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スキンカーニバル 幻の夢・ストーリー

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最終更新者:時雨

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①カステラ/月祭りの夜

暖かな提灯が落ちた星のように夜風の中で軽く揺れ、空にまだ丸くなりきれていない月を照らしている。

町の中では、人通りが多く、笑い声が響く。静寂の夜に現像のような賑わいを添えていく。


「……お客さん、絵馬はいかがですか? お祭りの祈願におすすめですよ。」

絵馬がいっぱいかかっている屋台の前に、 親切な店主がしばらく呼びかけて客引きしていると、ようやく興味がありそうな若い恋人を迎えた。


「ねぇ……ほら、絵馬だよ。」

「綾子も祈願したいの?」

「うん、心を込めて願いすれば、神様が願いを聞いてくれるらしいよ……試してみない?」

「いいよ!すみません、絵馬を2つください!」


少年と少女が店主の手から絵馬を受け取って、真面目に自分の願いを書く。


「神様、どうかぼくは綾子とずっと幸せな生活を送れますように……」

「あら、ばかねぇ!口に出したら願いが効かなくなるのよ!」

「えっ?ほ、本当なのか……じゃ書き直す!すみません、絵馬をもう1つ!」

「もう……」


棚にきちんとかかっている木製の絵馬が軽く揺れて夜風の中で「からから」と音を立てる。



また1人のお客が足を止めた。 彼は笑いながら、絵馬に夢中になっている若い恋人たちを見て、そして目の前のびっしりかかっている絵馬の棚を見つめる。


「お客さん、願い事でもしませんか?」 清楚な服に高貴な気品を持つお客さんを、店主はねんごろに迎える。


青年が首を横に振り、シルクハットが顔に影を落とす。


「結構です。」

「えっ、お客さん、試しても損はしませんよ!!ただ願いを絵馬に書くだけで、神様が叶えてくださいますから!」

「そうか……でも残念だ。神様へ願う事なんてない。」


絵馬から目線を逸らして、青年は帽子のつばを少しあげて、空にある月を眺める。


……………………



「この『世界』で、欲しい物は自分の手で掴めばいい。」


月が輝き、明かりが水のように澄んでいる。紙提灯のぼやけた光は人々が往来する町を照らす。すべてが夢の中のようだ。


青年が腰に下げている絵馬を手に取り、そこにおおざっぱで豪快に書かれた文字を見る。月明かりで、字がぼんやりうかびあがる。そして「……永遠の友達」のような文字が微かに映った。


「ふふっ、私の願いは、もう叶っただろう……」


綺麗な花火が夜のとばりに打ち上げられる。青年は絵馬を慎重にしまうと、踵を返し幻のような月の色へ踏み込んでいった。


②ホイメン/夢の中で乱れる桜

華麗な夜桜の影が枝に沿って動く。

空に幻のような真ん丸の月が低くかかり、森羅万象を眺めているかのようだ。


浅い幽香が軒先を彷徨い、夢から目覚めたばかりの少女の頬に落ちると、美しい想いを残す。


「ここは、どこだっぺ……」

少女は好奇心から腕を上げて広い袖を見つめ、それから履いている重い下駄を蹴ろうとして、最後に空の満月に目を向ける。


静かな月は手が届くほど近く、幻想と思われるような奇異な色をかもしている。

遠く連なっている長屋の灯火は明るいが、紙提灯を飾っている路地にはひとっこひとりいない。夜風まで驚くほど静かだ。


「もしかすっと……まだ夢の中か。」

少女が呟いて、月の中に鎮座する神にでも聞いているかのようだ。


ドンーードンーー

路地の突き当たりから、遥かな鼓の音が聞こえ、風の中の夜桜が乱れ、花びらが旋回して落ちると、地面に触れた瞬間狐のお面に化ける。


戸惑いながらそれを拾った少女。鼓の音が激しくなり、静かな夜に騒がしい笑い声が急に湧き上がる。


「お母さん、どら焼きが食べたい、買って〜」

「おかしいね、今日の花火大会は遅れているかしら、まだ始まってないのよ……」

「ほら見て、綺麗な月、かぐや姫が守ってくれているでしょ!」

「金魚すくい……お客さん、金魚すくいはいかがでしょうか?」

「……」


お面をつまんでいる少女が見上げると、さっきまでがらんとしていた路地はもう人込みでいっぱいになっている。

見渡す限り、りっぱな商品の並んでいる屋台が提灯に覆い隠される。いい匂いがする珍しい軽食に、きらきらと輝いている小さくて精巧なおもちゃ。


まるでさっきの静かな町がただ少女の夢の中の蜃気楼のようだ。


ポンーーパッーー

綺麗な花火が頭の上まで打ち上がり、幽玄な月を掠め、無常で綺麗な桜のように現れては消える。

観客が足を止め、花火に映える満月に向かってうっとりとした目線を向ける。


「ああ……月の下で花火を見るなんて、本当に幸せだね。」

「どうか、かぐや姫もこの月のように、永遠に明るく美しく、私たちを照らしますように……」

「かぐや姫はきっと私たちの願いを聞いてくれます……」


近くや、遠くから聞こえてくるやかましい話し声が優しい風に入り交じって、夜の露が落ちるように、夢にさざなみを立てる。

少女は戸惑って空を眺めていると、花火の中の淡い月の輝きがさらに虚しく見える。


「なんだか変なところだっぺ。月は綺麗だけんど、ちょっと……やっぱり早く帰るべ。」


狐のお面が床に落ち、少女は人々に逆らって路地の突き当たりに向かって歩く。あそこは月明かりの届かないところ。

幻が消えるところ、彼女は振り向いて月に向かって祈りを捧げている人たちを見る。


「これが夢だったら、彼らも早く目が覚められるように……」

③草加煎餅/夕霧の藤花

血のような夕日の赤が、暮雲にマーブルに染み込んでいる。

荒れ果てた神社の、倒れた狐の石像にも赤が刺す。


神隠しの地に迷い込んだ子が石像に寄り添って、霞のような赤くて甘い夢に落ちている。

鈴が鳴り、夢の魂を呼びかける。赤い霞には紫を思わせる藤の花の香りが漂う。


「迷ったのですか……ついてきてください。」


逢魔が時、百鬼夜行。

ちゃりんーー

風鈴の音が深い森の霧にぶつかって、子供がぼんやりと眠そうな目を少し開け、青年について進む。


藤の花が落ち、暗い紫の紙傘が軽く回ると、美しい花びらが夢のように舞い落ちる。

子供が見惚れたように手を伸ばすと、指の間をもふもふした毛が掠った。


驚いて見上げると、恍惚として目の前の人の肩に白い狐が伏せていた。

何本もの美しい狐の尻尾が彼の掌をなでると、たちまち淡い藤色の靄になってしまう。


子供はその場でぼーとしている。静かな夕日が残っている山野の中に澄んだ鈴の音が鳴り、霧がひっそりと濃くなってきた。

狐火が真夏の夜に舞い上がる蛍のようにいたずらに踊っている。


興味が湧いてきた子供が眺めていると、いつの間にか、霧の中に人影がちらつく。


にっと微笑んでいる少女が蛇のような細い首を伸ばし、空を数週回る。

バンダナで顔を遮っている女が何気なく腕を半分見せると、そこには目がびっしりと覆っている。

体が青色の隻眼の僧が手にした木魚を叩き、大きな足がぬかるみに足跡を残す。


夢の中に不気味な波を湛えて、怖がる子供はただ立ちすくむしかない。

幽かな花の香りがすると、淡い紫の影が彼を包む。


「……怖がらないで。しっかりついてきなさい。」

優しい藤の花に囲まれる傘の影には、霧がそっと吹く。回りのけばけばしい光景も蜃気楼のように少しずつ遠ざかっていく。

夢うつつの霧と薄いモスリンの間に隠れている青年の顔が、神社の神像のようだ。


なんだか安心した。子供が頷いて、おとなしく頭を下に垂れる。


「ぱたっぱたっ」と暗い森の道に下駄の音がして、不気味な狐火が先を照らした。

妖怪の行列の中に目立たない人間の子が混じっているが、彼の気配が夢のような紫の藤の影に遮られている。誰も気付かない。


……


朝早く、早起きの女が襖を開けて、まだ寝ている小さい子に布団をかけ直してあげる。

鳥のさえずりに、柔らかな風が吹き、朝焼けが子供の顔に映り、まるで綺麗な夢のようだ。

彼の手の中には、柔らかな藤の花びらを軽く握られていた。


④寒ぶり/浮世を物見

夜の帳は降りたばかり。長い山の坂道に沿って紙提灯が、蛍のように賑わう町を飾っている。

雲が少しもない綺麗な空に悠然と月が清らかに輝き、夢の世界を紡いでいる。


路地の角に、数匹の赤い金魚が池の中を泳ぎ、この小さな場所に閉じ込められてものんびりとしている。

池辺には虎視眈々と彼らを狙う者たちが集まっている。紙のポイは絶え間なく渦を巻き、彼らはただ尾びれを振って逃げ、それからまたゆったりと泳ぐ。


なんといっても、池の中の者は外の世界を理解することなどない。


「ばっーー」

濡れた紙のポイが水を離れた瞬間の重さに耐えられず、金魚は足掻いて逃げる。


「はぁ、また失敗しちゃった……」

「お姉さん、もう1回やろうよ、あと1回だけ!」

「仕方ないね……お母さんから貰ったお小遣いは全部金魚すくいに使っちゃったよ。」

「だって金魚が欲しいんだもん……うう……」


池のそばにしゃがんでいる2人の女の子が同じような浴衣を着ている。1人は池を掴んで手を離そうとしないようだ。もう1人は仕方なく彼女の袖を引っ張っている。


「おや……金魚すくいじゃ!旦那、ポイを1つくれ。」

「はいよっ!」


下駄が軽やかな足取りで池辺に近づくと、団子の山と綿菓子を持っている少女が片手を挙げて、旦那から紙ポイを引き取る。

彼女は団子を1口食べて、体をかがめてキビキビとポイで水の中を掠めて弧線を描く。


「うわっ、一気に2匹も。」

少女が団子を咥えて、慣れたようにうなずいたが、突然自分に向けた2つの熱い目線に少し恥ずかしくなる。

「ん?あんたたち……」


「す、すごい!お姉ちゃん、金魚すくいの神だ!」

女の子の憧れの瞳が、提灯にキラキラと照らし、その中から星でも浮かんできそうな輝きだ。


「へへっ、金魚すくいのかみじゃと?……ただ、わしは運がよかっただけじゃ。」

少女はそばに山のように積まれたポイを見て、朗らかに笑った。

「欲しいのなら、この2匹はやるぞ。」


「うわっ!お姉ちゃんありがとう!」

女の子たちが金魚の袋を手に取ると、星の浮かんだ目をパチパチさせる。頭をくっつけ合って2匹の小さい魚を見ている。



目的を遂げた少女が手を叩いて立ち去ろうとすると、あとからこちらを眺めている人と目が合う。

濃い色の浴衣を着ている青年が月の下に立っている。穏やかな笑いが、いつもより優しい。


「ずっと探してたよ……ここで金魚すくいしてたわけか。」

「おや、カステラ!偶然じゃな、一緒に酒でも飲まんか?」

「ふふっ……きっとそう言うと思っていた。行こう、準備はしてある。」

「へへっ、今日はとことん付き合ってくれ!ここのお祭りは本当に賑やかじゃな……」


少女は軽快に歩き、隣の青年が笑いながら耳を傾けている。ほのかに聞こえる蛍のような話し声が夜風に乗っている。

賑やかな灯火が揺れる夢のような町に、肩を並べている2人の姿が徐々に人ごみの中へ消えていく。


万物が無尽蔵に眠り、月が夢のような世界を淡々と見ていた。

⑤プリンセストルタ/夜眠る朧な桜

幻の月が高く昇り、河をゆらゆらと照らす。

可憐な月明かりが大地を満たし、軒先の桜が月に照らされ静かに舞い上がる。


「はぁ、また満月か。こういう時は焼酎だなぁ〜」

会館の見張り番のつぶやき。後ろから聞こえて来た西洋の音楽に合わせて思わず足取りが揺らめく。


この時、金色に光り輝く会館のホールの中では身なりが華やかな貴婦人たちが、酒を酌み交わしている。


明かりがすべて消えて、1つの光が舞台を照らす。


「ご来場の皆様、これから紹介するコレクションは、百年前のナイフラスト王室職人が手掛けた置時計でございます。」


「最新の技術で作られておりまして……」


下駄を履いている男は顔を生き生きしながら説明をする。口元の髭が彼の口の動きに合わせてピクピクと動いている。


「……この時計の特別なところは……働いているコアと歯車が、すべて人形の骨の中に埋めてあるということです!」

「そうです!時計の中は人形です!なんと不思議な考えでしょ!」


人々は驚きや好奇な声を発し、息を止め、不思議な時計を一刻も早く見てみたいという期待が高まる。


場内が盛り上がっているのを見て、男は満足げな表情を浮かべる。

ゆっくり赤い布を引っ張っていると、次の瞬間、場内が騒然となり固まってしまう。


置時計の中は特別なところは無く、ただ少し精巧そうな彫刻の針がいつものように動いている。


男は唖然とした。彼が仕切りの板をこじ開けて、その奥も空っぽだったことに気づいた。

「くそぉ……!どういうことだ!手を抜きやがったな!」


「ウソつき!」と叫ぶ人がいて、嘲笑と冷たい目線が男に刺さるように注がれる。


しかし、この茶番のような事件が起きていると同時に、庭のあるかた隅に……


ポネットシルクハットを被って、濃い桜色の振り袖を着ている少女がぼんやりと月明かりの下を歩いている。


「チックタック、チックタック……」

彼女の心臓がとても規則に脈打って、針の動きとそっくりだ。

足を持ち上げていると、骨の深くから歯車が回っている音が仄かに聞こえてくる。


「ここが……外の世界か……私、逃げ出せたのね……」

少女の目の前では夜桜が舞っている。わけもわからなく心がざわつく。


優しい夜風が彼女の髪を掠め、花びらが静かに掌に舞い落ち、柔らかい触り心地がする。


彼女は進もうとすると、いきなりある幼い童謡の声に心を奪われる。

桜の木の下に、和服を着た女の子が手鞠を持って、一人で遊んでいるようだ。


「あれ……お姉さん、私と同じで、道に迷ってるの?」

女の子がすぐに近寄ってくると、好奇心にあふれた無邪気な目を向けてくる。


「私……確か……月が昇る頃、出てきました……」


「あっ、お姉さんも会館に閉じ込められるのが嫌だから、出てきたのね。私も好きじゃない……あそこは私の家じゃないんだもん……」


女の子が言い終わると、無言で首を垂れた。なにか、頭の上から暖かい感じがする。


少女が体をかがめて、瑠璃宝石のような目に浅い笑いがうかぶ。

「私たち……一緒にここから出て、外に自分たちの家を探しに行きましょう。」


「ほ、本当にいいの……!外の世界はかぐや殿が守ってくれて、美味しいタコ焼きや、面白い金魚すくいがあると聞いたの、きっと最高ですよね!」


女の子の鈴のような笑い声が遠くのホールの騒ぎを遮る。

少女が女の子の手を取って、庭の外へ歩いていく。


当時、煙のような桜色に、枝の花びらが揺れていて、雪のように舞い落ちる。

空の月の影が動き、路地の奥の人影がまるで夏祭りに赴いてるかのようにひしめくのを少女は微かに見た。


「ここが私たちの家じゃありませんが、あの人たちの住処でしょう……しかしここは……ただの夢に過ぎないような感じが……」

「もし……夢じゃなければいいけど……どうして、こんな感じがするのでしょう……」


誰も気づかない少女の囁きが、さざなみのように儚い月の色に溶け込み、消えていく。


……


空の色が少し明るくなり、靄が晴れる。

酒臭い見張り番があくびをして、腰に下げている鍵の束が足取りに合わせて音を立てた。


突然、見張り番が足を止め、戸惑って隅へ目を向ける。


「ちっ……あんなに珍しい置時計を捨てるなんて。それに倉庫のあのぼろ手鞠も、なんでこんなところに捨ててあるんだ……」


⑥イートン・メス/幻の遊びに満る甘い夜

空に墨のような幕が広がり、雲のまにまに漏れる月明かりが軒先に降り注ぐ。


深く眠っている世界に、小柄で軽快な姿が月の影を踏んでいく。

柔軟な足取りで、物陰に入っていく。


「チャリンーー」

のれんのから入ってきた風が風鈴を鳴らし、「和菓子」と書いてある看板が少し揺れる。


そういった音はすぐに、階上のから聞こえるいびきに呑み込まれるが、水槽の中で眠っている金魚たちの夢を邪魔したようだ。


「プクプク……」と金魚たちがゆっくり動き始め、泡を吐き出している。


窓の外でうっすらと光る蛍。チョコレート色の影がガラスの水槽の上に現れる。

頭に精巧な蝶結び付きのシルクハットを乗せ、小さくて可愛い猫耳が動く。


風鈴の余韻に合わせて黒く短い尻尾を振り、緋色の水晶のような瞳がぐるぐる回り、なにかを興味深げに見ているようだ。

しばらくすると、それは食器棚に飛び上がり、すばしこい手で棚の扉を開ける。

たちまち、甘くていい匂いが部屋に満ち溢れる。


金魚たちはみすみす「招かれないお客」がデザートを次から次に咥えだして、焦ったかのように泡を吐き出している。


次の瞬間、ピンクの肉球がいきなりガラスに貼りつく。

金魚たちは無意識的に後ずさりし、慌てて尾びれを振り波を立てる。


緋色の瞳の猫はただ目尻を図々しく細めた。


「うふふ、全部見ちゃったよね……もし、今夜の秘密を守ってくれるなら、魔法のご褒美を一つやってもいいよ」

猫の唇が動き、聞こえてきたのはまさか可愛い女の子の声だった。


「プクッ、プクッ!」

金魚たちが不器用に頷き、少しでも迷いがあると、鋭い爪が自分たちに襲いかかってくるかと心配しているようだ。


「えへへ!約束よ、破っちゃいけないよ!」

猫がご機嫌に叫び、尻尾も嬉しそうに高く立てている。


話が終わった途端、煙と共に消え去り、小さい女の子がぴょんぴょんと出てくる。

ただ、猫耳と尻尾の代わりに、チョコレート色の蝶結びで飾っているふんわりパニエと純白のレースで飾られた羽のコートを着ている。


女の子のウイスキーボンボンのようなヒールが地面をふわりと踏み、特別な旋律を奏でる。

彼女は金色のフォークを空から取り出し、テーブルのデザートをおいしそうに食べ始める。


彩って、キラキラして柔らかそうなデザートから甘い香りがする。女の子が満足そうに感嘆の声をだす。

「もぐ……おいしい!こんなデザートは食べたことない!」


女の子の頬がハムスターのように膨らみ、ルビーのような目がキラキラと光る。

食べ終わると、満足げに猫のような姿勢で伸びをした。


金魚は目を大きく開け、浮き上がる泡がパチッとはじける音がする。


この時女の子が、なにかを思い出したかのように、ウインクし笑いながら水槽の金魚に目を向ける。

「お腹いっぱい。さぁ魔法の時間よ!私と一緒に、甘い世界に行って遊びましょう〜!」


女の子の声はまるで奇妙な呪いのようだ。たちまち、澄み渡った水は透き通った水晶や宝石のように凝結する。風鈴が澄んだ音を鳴らす。


周りに、蛍の光がきらめき、目に映るものは全て浮き上がっている。


急に大きくなった金魚が水槽の束縛から抜け出して、長い尾びれを振り、夢のような部屋の中をゆらゆらと行き来している。


女の子もうれしそうにクルクルと回転しながら踊り始め、ツヤツヤした光が彼女のスカートの裾や髪に落ちる。


「うふふ、面白い!またおいしいものを食べに来たいな!」

「でも残念、時間だね。金魚ちゃん、機会があったら、また会おうね〜」


童話のような画面は潮のように引き、女の子の話し声もだんだん遠くなっていく……


いつの間にか、空の雲が濃くなり、金魚が尾びれを振り、次の瞬間自分が元のところに戻ったことに気づく。

部屋がまた静まり返り、ただテーブルに残っている紙幣がなにかを示している。


雲が最後の光を遮り、猫が静かに影の中へ姿を消した。


いびきがだんだん大きくなり、金魚が泡を吐き出して、体を一周回転してまた眠りに落ちる。


……


夜風にレースのカーテンが揺れ、月明かりがベッドのそばに差し込む。

ピンクの髪色の女の子がチョコレート色の猫型のぬいぐるみを抱きしめて、ぐっすり眠っている。


夜番の下僕たちが慎重に扉を閉じ、思わず低い声で囁く。

「お姫様は、本当に桜の島の伝統デザートがお気に召したようですね。寝ている時も口にしていますから。」

「そうですね、明日お姫様のために多めに用意しましょう。」



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ゲーム情報
タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
対応OS
    • iOS
    • リリース日:2018/10/11
    • Android
    • リリース日:2018/10/11
カテゴリ
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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