「散り揺る苞片」ブーゲリア_include
属性補正
炎属性
100%
水属性
54%
風属性
}
185%
光属性
100%
闇属性
100%
モデル
ストーリー
主人公「おかしい……、この木をさっきも見た気がする。」
メルク「みゅー……、完全に迷ってしまったのです。どうするのですよ、このままだといつまでもこの森から抜け出せないのです。」
主人公「だ、だれか……、だれか通りかかってくれたら……!」
主人公「……なんてそんな都合のいいことはないよな。」
~♪
メルク「みゅ? 主人公さん、なにか聞こえるのです! 人の声みたいなのですよ!」
主人公「……これ、歌か?」
メルク「行ってみるのですよ!」
ブーゲリア「~♪」
メルク「……不思議な歌なのですよ。」
ブーゲリア「……、」
メルク「みゅっ、邪魔をしてしまって申し訳ないのです!」
主人公「あの、俺たちは……、」
ブーゲリア「今のは、緑精の歌です。私は妹弟子に教えてもらっただけなので、この耳で聞いたことはないのですが。」
ブーゲリア「ついてきてください。」
主人公「えっ?」
ブーゲリア「迷っているのでしょう。森の外まで案内します。」
メルク「さっきはブーゲリアさんのおかげで助かったのですよ~!」
主人公「その上、仲間にまでなってくれたし……。ありがたやありがたや。」
ブーゲリア「主人公、あなたは目が悪かったのですか。森で迷っていた理由に得心がいきました。」
主人公「い、いきなりどうしてそんな結論に……。」
ブーゲリア「私は木ではありません。」
主人公「そ、それは見ればわかりますけど……。あと、俺の目は別に悪くないです。」
ブーゲリア「……? それならばなぜ私に感謝を?」
メルク「森から出る案内をしてくれたのと、仲間になってくれたお礼だったのですよ!」
ブーゲリア「ああ、そうでしたか。うっかりしました。」
ブーゲリア「しかし、礼には及びません。王国に詳しい人の手を借りたいと思っていたので、ちょうどよかったのです。」
メルク「そうだったのです?」
ブーゲリア「ええ、この村にもつい昨日ついたばかりですから。」
主人公「えっ! 迷いなく森を歩いてたから、てっきりこのあたりに住んでる人なのかと……。」
ブーゲリア「ヘザーほどではありませんが、私も記憶することには長けているつもりです。幼い頃から祭司になるための修行を受けてきましたから。」
ブーゲリア「ああ、ヘザーというのは私の妹弟子のひとりです。2年ほど前に祭司となりました。」
主人公「祭司?」
メルク「たしか、植物の国にそういう職業の人がいると聞いたことがあるような……。」
メルク「でも詳しくは知らないのです。どういうものなのですよ?」
ブーゲリア「緑精の歌に耳を澄ませ、口ずさみ、力を借りる者のことです。」
メルク「もしかして、あの森で歌っていたのはその歌なのです?」
ブーゲリア「ええ。しかし、私には緑精の存在を感じることしかできませんからヘザーに教えてもらったのです。」
主人公「そういえばそんなことを言ってましたね……。」
メルク「では、ブーゲリアさんが旅に出たのはその祭司になるための修行の一環か何かなのですよ?」
ブーゲリア「いえ、私はもう祭司になるつもりはないのです。もともと自ら望んで修行を始めたわけでもなく、どれだけ修行を積んでもなれないでしょうから。」
メルク「みゅ、そんなになるのが大変なものなのですね……!」
ブーゲリア「祭司になるのはまず、口伝で伝えられてきた幾多の歌を覚えなくてはなりません。すべてを完璧に覚えきるには早くても20年ほどかかります。」
ブーゲリア「そして、それらを覚えられたとしても、祭司になれるとは限りません。私やシルビアのように。」
メルク「シルビアさん?」
ブーゲリア「もう一人の妹弟子です。私には、2人の妹弟子がいるのです。」
メルク「そうなのですね~……。では、なんのために旅をしてるのです?」
ブーゲリア「シルビアを探しているのです。」
主人公「もうひとりの妹弟子っていう……?」
ブーゲリア「ええ。いつのまにか書置きを残して修行の旅に出ていたので、追いかけてきたのです。」
ブーゲリア「祭司になるために熱心な子なのですが、少し心配なところがありますから。」
メルク「そうだったのですね~。森で助けてくれたことといい、ブーゲリアさんはクールな見かけによらず面倒見がよくて優しいのですよ~。」
ブーゲリア「……? 私は熱の通う生き物ですが。」
メルク「そ、それは見ればわかるのです……。」
主人公「ええと、冷たそうな性格に見えるってことです!」
ブーゲリア「ああ、そうでしたか。うっかりしました。でも、私は情熱的な人間ですよ。」
主人公「そ、そうですよね。」
ブーゲリア「だから祭司になれないのです。」
主人公「え?」
ブーゲリア「(……そう、歌を覚えただけでは祭司たりえない)」
ブーゲリア「(シルビア……、あなたがヘザーに執心しているうちは資格を得ることはないでしょう)」
ブーゲリア「(その執心ゆえに祭司となりたいあなたには、酷なことですが)」
ブーゲリア「(……私にはいまだにわかりません)」
ブーゲリア「(12年前、あなたの涙に心揺れて、森に呼ばれたヘザーを引き止めたこと。そして我が師のもとへつれていったこと)」
ブーゲリア「(あの選択が、果たして正しいことだったのかどうか……)」
備考