「光留の重戦士」テルル

テルル「ふう、やれやれ。厳しい戦いだったけど、どうにかなったみたいね。」

主人公「危ないところを助けてもらって、ありがとうございました。俺、主人公って言います。」

メルク「私は、メルクなのですよ！」

テルル「あら、丁寧にありがとう。私はテルル。ある人の手伝いで、このあたりのモンスターを調べてるの。」

メルク「みゅ、私たちもそうなのですよ！　最近、モンスターが何故か暴走したと聞いて……、」

テルル「ははあ、やっぱりそうだったのね。それなら、調査が終わるまで互いに協力しない？」

メルク「いいのですよ？」

テルル「私もあんまり戦いは得意じゃないから、君たちがいてくれると助かるの。癒術士の力は、今の戦いでよくわかったしね。」

メルク「そういうことなら、大歓迎なのですよ！　ありがとうなのです、これからよろしくなのですよ！」

テルル「ええ、よろしくね。」

メルク「テルルさんはこういう調査とかは得意なのですよ？」

テルル「うん、普段からお世話になってる博士の手伝いをしてるからね。」

メルク「そうなのですね、頼もしいのですよ！　お手伝いというと、助手か何かのお仕事をされてるのです？」

テルル「うーん、まあそんなところかなあ。学校が終わったら、その人の所へ行って研究を手伝うの。」

テルル「助手といえばそうだけど、暇を見て勉強も教えてもらってるし、いろいろ他のことでもお世話になってるし……、」

テルル「あはは、どちらかといえば私が助けてもらっちゃってるかな。」

メルク「そうなのです？」

テルル「そうなの。あの人には……、初めて会った時からたくさん悩みを聞いてもらっちゃった。」

メルク「何か悩み事があったのです？」

テルル「……うん。その日は、そのことで兄さんにも八つ当たりしちゃって、すっごく落ち込んでたの。」

テルル「そしたら、あの人が声をかけてくれて……、忙しいはずなのに、そんなそぶり全然見せないで天体観測でもしながら、お話しましょって言ってくれた。」

テルル「……なんだかね、私。その夜、初めて夜空を見た気がしたの。広がる空の大きさも、星や月の輝きも。」

テルル「ここが特等席なのよってココアまで淹れてくれて、いつもなら絶対に声をかけられたからってついていかないし甘いものだって好きじゃないのに、その時は……、」

テルル「不思議とおいしかったのよね。もしかしたら、ちょっと塩味になってたからかもだけど。」

テルル「……その夜まで、進路のこととか家のこととかでずっと悩んでたんだけど、その人のおかげで、自分のやりたいことをしてもいいのかもって思えたの。」

テルル「今でも完全に吹っ切れられてはないけど……、でも、あの人が自分の生きたいように生きればいいんだって背中を押してくれたから。」

テルル「今は、自分の勉強したいことを勉強してるわ。」

主人公「そうだったんですね……。」

メルク「素敵な人なのですよ……。」

テルル「ええ、変わった人だって言われてるけどね。さて、そろそろ調査を再開しましょうか。」

主人公「そうですね。」

テルル「ところで、同じくらいの年なんだから、敬語なんて使わなくていいわよ？」

主人公「えっ？」

テルル「えっ？」