「青藍の術士」フルシア

主人公「つっかれた～……！まさか紹介所のお姉さんからの頼まれごとがこんなに大変なものだったとは。」

フルシア「主人公くん、お疲れさま。コーヒー、いれておいたよ。ミルクは多め。」

主人公「フルシアさん……！うう、ほどよい苦味がおいしい。優しさが疲れた身に染みます。」

フルシア「ならよかった。」

主人公「思えば、フルシアさんにはいろいろと気にかけてもらってますね。いつもありがとうございます。」

フルシア「どうかな……。でもそう言ってもらえると、うれしい。」

主人公「そういえば、フルシアさんってどうして俺の仲間になってくれたんですか？」

フルシア「どうして今頃？」

主人公「いやー……、フルシアさんって優しいからなかなか仲間のできない俺を見かねて仲間になってくれたのかもと思ってたんです。」

フルシア「ち、違うよ。」

主人公「目をそらして言われても。」

フルシア「そういえば！主人公くんって似てるよね。」

主人公「あからさまに話題をそらされた！」

主人公「……似てるってなにがですか？」

フルシア「ユージュに。」

主人公「……。」

フルシア「ええと、プリティ♡ファイターっていう物語に出てくる精霊なの。主人公くんは知らないと思うけど。」

主人公「いや……、すごい知ってます。」

フルシア「え、そうなの？」

主人公「エレキの国で流行ってる子ども向けの物語ですよね。でもその人気は子どもたちだけではなく大きいお兄さんやお姉さんたちにも及んでいるという。」

フルシア「ほんとによく知ってるね。」

主人公「ちょっと思い出がありまして……。」

主人公「でも、フルシアさんがプリ♡ファイ知ってるのは意外でした。」

主人公「たまにファンイベントでキャラクターの衣装を着たりしてるから。」

主人公「えっ。」

フルシア「もともとは物語の存在すら知らなかったんだけど、成り行きでそういうことになっちゃって……。」

主人公「どんな成り行き！？」

フルシア「友だちと一緒に行ったイベントがプリ♡ファイのファンイベントだったの。」

主人公「その友だちさんがプリ♡ファイのファンだったとか？」

フルシア「ううん。私たちは調石についての勉強会があると思ってそのイベント会場に行ってたの。」

主人公「何が起きたらそんな誤解に！？」

フルシア「たまに探索隊を手伝ってくれる人がその日にイベントがあるって話してたんだ。妹さんが楽しみにしてるとかなんとか……。」

フルシア「その人は調石師を輩出する家柄の出身だから、てっきりその関連のイベントなのかと思っちゃって。」

主人公「行ってみたらファンイベントだったと。」

フルシア「そう。そしたら人に囲まれちゃったの。」

主人公「えっ！？」

フルシア「その時はわからなかったんだけど、プリ♡ファイに出てくるピュア・デルフィーって子に似てるみたいで。」

主人公「パッション・ローゼの協力者でしたよね。名脇役として名高いって聞きました。」

主人公「たしかに言われてみれば似てますね……。物静かで優しい雰囲気に服装も。髪の毛がツインテールだったら完璧かも。」

フルシア「そう、その時もそう言われたの。それでぜひ衣装を着てみてほしいって頼まれて……、恥ずかしかったけど着たの。」

主人公「勇気ありますね！？」

フルシア「すごく真摯にお願いされたから断るのも悪いかなと思ったんだよね。服を着替えるだけだし、１度だけならいいかなって。」

主人公「な、なるほど……。」

フルシア「そうしたら、思った以上に喜んでくれる人が多かったの。」

フルシア「特にユジュマルZさんっていう人は、すごくたくさん感想を言ってくれたりして。早口でたまに聞き取れなかったけど。」

主人公「なるほど、ユジュマルZさん。」

フルシア「私にファンアクトの何たるかを教えてくれた人だよ。おかげでプリ♡ファイを好きになれたの。今でもイベントで会うたびにお世話になってるかな。」

主人公「って、あれ？衣装を着るのは１度だけのつもりだったのですよね？プリ♡ファイにハマってファンアクトにもハマったとか？」

フルシア「う、ううん。ほんとは人に囲まれるのは恥ずかしくて苦手なの。」

フルシア「でも、別れるたびにみんなが次を楽しみにしてるって言うから、期待に応えてあげたくて……。」

主人公「……俺の仲間になってくれたのも似た理由ですよね？」

フルシア「実はそうです……。」