「芳果の看板娘」リコラ

「やっほー！」

メルク「みゅ？主人公さん、外で声がきこえるのですよ。」

主人公「ああ、リコラかな。そろそろ待ちあわせの時間だし……。」

リコラ「やほやほ～！常夏の果実をいっぱいかかえたリコラさんがあなたたちのもとにやってまいりまし……、んがっ！？」

メルク「みゅみゅ！？リコラさんが扉につっかえているのですよー！」

主人公「ず、ずいぶん大きな荷物かついできたな。まさかその中身、ぜんぶフルーツなのか……？」

リコラ「みんなのためにおうちから採ってきたんだ～！というかみてばっかりいないで、ちょっと？は、はやく、たすけっ、わあああ～っ！？」

主人公「リコラー！」

メルク「みゅわわっ！？あふれた果物が床に転がり落ちていくのですよ！」

紹介所のお姉さん「主人公くん、メルクちゃん？あなたたち、なにをさわいで……、」

主人公「ああ、すみません。ちょうどリコラがきてくれたところなんですけど。」

紹介所のお姉さん「あら、この独特のあまいにおいは……。」

主人公「紹介所のお姉さん……？ええっと、いますぐかたづけますので……。」

―――――――――――場面転換―――――――――――

主人公「たくさんもってきてくれたんだな。気をつかってくれなくてもよかったのに。」

リコラ「これからお世話になるんだから、とりあえずあるだけもってけって、おかあさんいうんだもん。」

メルク「とはいえ紹介所のお姉さんにも好評だったみたいでよかったのですよ。」

リコラ「うん！あんなに感激されるなんて、いっぱいもってきた甲斐があったなー！」

主人公「ただまあ……、ついでに切りわけてもらえたのはいいんだけど、この量だとさすがにぜんぶ食べきれるかどうか……。」

リコラ「うーん、そうだね。わたしもおなかいっぱいだよー。」

紹介所のお姉さん「あら、みんなもういらないの？そういうことなら私がもらっていくわね。」

主人公「あ、はい、どうぞ。それにしても、まだ食べられるんですか……？」

紹介所のお姉さん「だってせっかくのおみやげなんだから。のこしてしまうのはもったいないでしょ？」

リコラ「紹介所のお姉さんはやさしいんだなー。おかあさんがきいたら、きっとよろこぶよ。」

紹介所のお姉さん「いえ、とうぜんのことだもの。感謝されるようなことじゃないわ、ふふ……。」

メルク「(みゅ……、紹介所のお姉さんの様子がいつもとちがうような……)」

主人公「(あ、ああ……。いったいどうしたんだろうな……)」

主人公「そういえばこの果物、リコラの実家で栽培してるんだっけ？」

リコラ「うん、うん！栽培から収穫、販売までやってるよー！わたしのおうちはけっこう繁盛してるんだ。」

リコラ「あちこちの飲食店でわたしのおうちで採れた果物を使ってもらってるんだよ。」

メルク「リコラさんのおうちはなんでもやっているのですね～。」

リコラ「まあ卸しにいってるのは、おとうさんだけどねー！おかげで人手がたりずにわたしもおてつだいしてるんだ！」

リコラ「ちなみに取引先の１つに、常夏の国初といわれてるかき氷屋があって。」

主人公「常夏の国初の？」

リコラ「うん！わたしの友だちがはたらいてるからよくいくんだけど、そこではいつもきざんだ果肉とシロップを氷にかけるの。」

リコラ「それがとってもおいしいんだよー！」

主人公「かき氷にこの果物をいれるのか。俺も機会があったらためしてみたいな。」

主人公「なんだか変わった形をしているものもあったけど、どれもあまくておいしかったし、かき氷にもあいそうだ。」

リコラ「あったかいところでないとそだたない果物ばっかりだから、主人公にはめずらしかったのかもしれないね。でも気に入ってもらえてよかったなー！」

リコラ「太陽の日差しをたっぷり浴びた常夏の果物は、栄養満点で、美容にとってもいいんだよー！」

主人公「へえ、そうなのか。なるほど、どうりで……。」

リコラ「主人公？いきなりどうしたのー？」

主人公「ああ、いや……、」

主人公「(だから紹介所のお姉さん、あんなにはりきって切りわけてくれたんだな)」

メルク「(みゅ、お姉さんのたゆまぬ努力は尊敬に値するのですよ)」