「能弁の銃士」マレード

マレード「よっ、俺がマレードだ！よろしくな～！」

メルク「よろしくなのですよ～！」

主人公「えっと、ジャム・ワールドから来たんだったよな。」

マレード「そのとおり！銃の腕前はぽんこつだから正直言うと期待されるとすごく困るけど」

主人公「そうなの！？」

マレード「かといって、まるっとぽんこつじゃないって自信はあるぜ。なにか困ってることはないか？お近づきの印にこのオレが解決してやるよ！」

メルク「え、ええと……。」

マレード「そうはいっても、できることには限りがあるけどな。なぜならオレの真の武器はこの舌だら！言葉が通じなきゃどうにもならないんだな、これが。」

マレード「そうそう、オレのことを少し話してやるよ！実はオレは口から生まれたといわれるほどのおしゃべりなんだ！」

マレード「朝から晩まで、ぺらぺらぺらぺらしゃべってるから母さんはオレがクレープ生地になっちゃうんじゃないかって心配してたのは、オレの栄えある伝説のひとつさ。」

マレード「なんでオレがぺらぺらしゃべってるかっていうと、それはやっぱりしゃべりたいからだよな！オレは息をするようにしゃべる！」

マレード「しゃべるっていうのは口から息を吐くことだからすっかり息継ぎがうまくなっちゃってさ！試したはないけどきっと泳ぎもばつぐんだな！」

マレード「おっと、話がそれちゃったな。しゃべりたいってことだ。その話をしてたよな！」

マレード「うん、やりたいことを我慢するのはよくない！オレがお仕えするお嬢様もそう言ってたし！あっ、お嬢様が誰かって言ってなかったな。」

マレード「オレのお嬢様は王女様！ジャム・ワールドの王女様なのさ！すごくない！？」

マレード「オレは従者として勤め上げた後、お嬢様の偉業を伝える語り部になるつもりだ。語り部、うん、オレにぴったりの職業だ！」

マレード「そして語るべきこともたくさんある！なんせお嬢様は不遇なるジャムの地位向上を目指している志高いお方だからな！」

マレード「っと、そろそろ困りごとは思いついたか？でも、いくらでも悩んじゃってかまわないぜ。オレは何時間でもしゃぺっていられるからな！」

マレード「そうだ、考えやすいようにいろんな話をしてやろうか？そうしたら連想出来て、思い付きやす……、」

メルク「みゅわー！集中できないのですよー！」

主人公「身振り手振りまで入って動きまくってるのがなおさら集中力を削っていく……！」

マレード「わはは、ごめんな！また怒られちった！」

マレード「よくお嬢様にもうるさいってジャムを口につっこまれるんだよな！おいしいからご褒美なんだけどさ！」

マレード「はっ、そうか！あれはご褒美だったのかも！？ということは、お嬢様はツンデレ……、」

マレード「って、そんなわけないか！わはははは！」

主人公「元気だなあ……。」

メルク「今日の宿がまだ決まってないことを言おうと思ったのですが、もはやマレードさんが困りごとになりそうなのです。」

マレード「わはは、そうかそうか！だけどオレだって黙ろうと思えばできるんだからな！よーし、聞いてろよ！」

マレード「……。」

マレード「……。」

「……。」

主人公「倒れたー！」

マレード「息っていつ吐くんだっけ……。」

メルク「呼吸の方法を忘れるほどしゃべってきたのですよ！？」

マレード「あっ、そうだ。しゃべりながら吐いてたんだった！」

メルク「も、もういいのですよ。好きなだけしゃべってほしいのです。倒れられるよりいいのですよ。」

マレード「いやあ、ごめんごめん。お詫びはするからさ！ちょっとついてきてくれよ！」

メルク「みゅっ！？どこへいくので……、」

主人公「行っちゃったな。とりあえず追いかけるか。でも、どういうことなんだろう。」

メルク「さあ……。」

<街>

マレード「よし、ここがよさそうだな。」

主人公「もしかして宿を探してくれてるのか？」

メルク「待つのですよこの町ではもうほとんど断られてしまったのです。ここの宿もすでに……、」

マレード「いいからいいから！ちょっとオレに任せてみてよ！それじゃ、ここで待っててな！」

メルク「も、もう入っていってしまったのですよ。」

主人公「なんであんなに自信満々なんだ。」

メルク「みゅ、出てきたのですよ。」

マレード「フッ、入りな。」

主人公「えっ、まさか……。」

マレード「宿、とれたぜ！オレの話術によってな！」

メルク「ほんとなのです！？すごいのですよ！」

主人公「まさかマレードがそういう方向で話術を使えるとは……。なんだかんだで頼りになりそうだ。」

<夜の街>

「それでコンフィさんがお嬢様に言ったんだ。ご冗談でしょうってな。けどお嬢様は笑顔でコンフィさんを引きずって……、」

「寝言でもしゃべり続けるのはやめてくれー！」

「夜中だぞ、静かにしろー！」

「なんで俺が怒られてるの！？」

「うう、マレードは頼りになるけどその代償が安眠なのはキツすぎるー！」