「錠菓の鎌使い」ラムネ

ラムネ「ぴゅーるるる。ぴゅるるーん。」

「ぴゅるるるーん。ぴゅるる、るるーん。」

ラムネ「ぴゅい。ぴゅる、ぴゅーるる。」

「ぴゅるるる。ぴゅいいいいっ。」

ラムネ「もご。」

「もごもご。」

メルク「ラムネさん。さっきからそこでなにをやっているのですよ？」

ラムネ「ほら、このキャンディ。笛みたいなカタチをしてるでしょ。」

ラムネ「吹くと音がなるんだ。もちろん、ちゃんと食べられるやつ。」

主人公「へえ、そういう飴もあるのか。それで、周りにいる子どもたちは知り合いなのか？ずいぶんと賑やかなことになってるみたいだけど。」

ラムネ「ちがうよ。わたしが街を歩いてたら、勝手についてきちゃったんだ。」

ラムネ「みんな、甘いものが目当てなんだよ。わたしのポッケにあるキャンディを狙ってるの。」

ラムネ「へへ。だからね。吹いて遊べるこのキャンディで気をそらせようと。」

「ぴゅらら。ぴゅらららららん。」

メルク「なるほど。楽しそうに合奏しているところを見る限り、ラムネさんの作戦は成功したみたいなのですね。」

パン屋のおやじ＆紹介所のお姉さん「ぴゅろろ。ぴゅろろろろ。」

ラムネ「へへ。ふたりもすっかり夢中だね。」

主人公「いや、えっ？なんかしれっと混ざってますけど。どうしてパン屋のおやじさんたちがここにいるんですか。」

パン屋のおやじ「ぐっ、見つかっちまったか。周囲にうまく溶けこめているつもりだったんだが。」

主人公「気づけなかった自分が不思議なくらい浮いてますけど。イタズラがバレた子どものような顔をしないでください。」

パン屋のおやじ「べ、別にいいだろ。俺たちだって童心に帰りたいときくらいあるんだよ。」

紹介所のお姉さん「私はまだそんな歳でもないけど、仕方ないでしょ？ちょうどおやつの時間に、ラムネちゃんがいたんだもの。」

ラムネ「オトナも、コドモも。みんな、キャンディが大好きなんだね。」

ラムネ「へへ。主人公もやってみる？」

主人公「ああ、いいのか？ラムネのくれる飴はおいしいからな。」

ラムネ「ちなみに、吹くにはコツがいるんだよ。へたっぴは、ちゃんと音が鳴らないの。」

主人公「そう言われると、緊張してくるな。口にくわえて、息を吹きかけるだけでいいんだろ？」

ラムネ「うん。がんばって、主人公。」

主人公「ひょろ。ひょろろ。」

ラムネ「へへ、鳴ったね。」

メルク「ええっと、たしかに。いちおう音は鳴ったみたいなのですが。」

主人公「ひょろい。ひょろろい。」

パン屋のおやじ「ははは。心なしか、弱っちい音色だなあ。」

主人公「あの、ラムネさん……！？なんかバカにされてるような気がするんですけど！？」

ラムネ「へへ。気のせい、気のせい。」

ラムネ「あ、でもね。練習すれば、いろんな音がだせるようになるよ？」

ラムネ「主人公には、お世話になってるから。へへへ、わたしがコツをおしえてあげる。」

主人公「そ、そうか。俺もちょっと納得いかないし。ラムネが手ほどきしてくれるなら、まあ。」

(暗転)

「ひょろーい！ひょろいひょろい！」

主人公「おいっ、さっきよりも悪化してないか！？たしかに音をしっかり出せるようになったけど！？」

ラムネ「へ、へへ。気のせい、気のせい。」