「究愛の覇拏嫁」プリテリオナ

主人公「えっと、今日仲間になってくれる人は……、」

プリテリオナ「主人公ーっ！」

主人公「ぐふっ！？」

プリテリオナ「キミ、主人公だよね？きっとそうだ！　話に聞いていた通りだもの！うわぁ、よろしくよろしく！　がぶりっ！」

主人公「うぎゃっ！？な、なんだこの言いようのない感覚は！」

プリテリオナ「あれ、噛まれたのは初めて？わぁい、主人公の初めてもらっちゃったー！」

プリテリオナ「なんてね、うちの挨拶みたいなものだから気にしないで！あっ、牙は立ててないから安心してね？　甘噛み、甘噛み！」

主人公「た、たしかに、痛くはないけど……。って、君はいったい誰なんだ？」

プリテリオナ「おっと、忘れてた！ごめんね、挨拶が遅れちゃったよ。」

プリテリオナ「うちの名前はプリテリオナ。好きなように呼んでくれていいけど、様付けだけは忘れないで！うち、偉い人間だから！　がぶがぶ！」

主人公「あっ、君がプリテリオナなのか？」

プリテリオナ「は？」

主人公「……っ！プ、プリテリオナ……様ですか？」

プリテリオナ「やだなぁ、敬語なんて！歳もそんなに変わらないんだし、様付けだけでいいよぉ！はむはむはむ……、」

主人公「そこは絶対なんだな……。」

プリテリオナ「うん、基本的に上の立場でいたいから！ぺろぺろ……あっ、ここおいしい。」

プリテリオナ「ね！　ね！　何か質問はある？うちのこと知りたくない？　聞いときたくない？」

主人公「えっ？あぁ、そうだな。それじゃあ、ひとつだけ聞きたいんだけど……、」

主人公「……どうして俺は噛み続けられてるんだ？」

プリテリオナ「そりゃあ、主人公って獲物ーって感じがするから！」

主人公「あぁ、餌だと思われてたんだ、俺。」

主人公「……仲間以前に、捕食者と被食者の関係じゃん！」

プリテリオナ「主人公が悪いんだよぉ？こーんなに美味しいのに、全然抵抗しないんだもの。がふふふ……うちの野生が刺激されちゃうなぁ？」

主人公「ひぃっ！？」

プリテリオナ「どこからいただこうかな？頭かな？　お腹かな？　それともこの柔らかいほっぺた？」

プリテリオナ「がふふふ、うちを悩ますなんて、主人公は罪な男だねぇ？」

主人公「と、吐息が……！」

主人公「助けてぇえええ！俺みたいなのを食べてもお腹はふくれないぞー！」

プリテリオナ「量より質だよ、主人公！さぁ、おとなしくうちのおやつになれー！」

主人公「ぎゃああああああ！」

プリテリオナ「……なんてね。」

主人公「……へ？」

プリテリオナ「なるほど、主人公はこういう反応かぁ。うん、無抵抗もたまには悪くないね！割とゾクゾクできたっ！」

主人公「え？　え？」

プリテリオナ「理解できていない顔もいいなぁ。守ってあげなきゃって気持ちと、もっと混乱させたいって気持ちが駆り立てられて……、」

プリテリオナ「ゾクゾクしてきたっ！」

主人公「さっきから、ゾクゾクしているテンションじゃなくないか！？」

プリテリオナ「そう言われてもねー。この湧き出る高揚感を抑えきれないんだよ！」

プリテリオナ「がふふふ、うちはラッキーだなあ。しばらくはゾクゾクもお預けだと思ってたけど、こんなにすぐに代わりになってくれる人が見つかるなんて！」

主人公「か、代わり……、ずいぶんはっきり言うな……。」

主人公「というか、代わりってことは、元々プリテリオナ……様には、こういうことをする相手がいたってことか？」

プリテリオナ「うん、いたよー。幼馴染の男の子！いやぁ、いい反応をするんだよねぇ……。」

プリテリオナ「でも、そいつが突然いなくなっちゃってさ。こうやって探しにくる羽目になってるの。参っちゃうよねー、ほんとに。」

主人公「えっ、いなくなっちゃったのか？」

プリテリオナ「そーなの。ひどいよね、手紙だけ置いて消えちゃうなんて。」

プリテリオナ「あいつがいなくなったら、うちは誰をからかって、その反応を楽しめばいいのさ。うう、寂しいよぉ……。」

主人公「(なんとなく、その人がプリテリオナの前から消えた理由がわかった気がする……)」

主人公「……ちょっと気になったんだけどさ。その人を見つけたらどうするんだ？」

プリテリオナ「そりゃあ、まずは耳を甘噛みするよ。今までの分、たっぷりと。その反応を楽しんで、ゾクゾクするっ！」

主人公「まずそこから入るのは、さすがとしか言いようがないな……。」

プリテリオナ「それでね、告白する。」

主人公「……えっ？」

プリテリオナ「手紙には『どうせ俺のことが嫌いだから、嫌がらせをするんだろ』って書いてあったけど……、」

プリテリオナ「それは勘違いだって伝えるの。好きだからやってるんだって、でも勘違いさせてしまったのはごめんなさいって。」

主人公「ちょ、ちょっと待ってくれ。……好き？」

プリテリオナ「うん、そーだよ。うちを１番ゾクゾクさせてくれるのはあいつ。うちを１番ドキドキさせるのもあいつ。」

プリテリオナ「だから好き。うちが生きている中で出会った誰よりも好き。」

プリテリオナ「あー、これも伝えないとね。絶対顔を真っ赤にして動揺するよ！がふふふ、早く反応が見たいなぁ！」

主人公「……。」

主人公「……。」

プリテリオナ「んー？　どうしてそんな顔をしているの？ぜんぶわかってますって感じで腹が立つなぁ。」

主人公「あっ、ごめん！ただ、プリテリオナ様って意外と純情なんだなと思って、ちょっと安心というか……親しみがわいたんだ。」

主人公「よかったらその人探し、協力させてくれないか？世界中を旅しているから、もしかしたら何かの助けになれる……、」

プリテリオナ「えい。」

主人公「ふぼ。」

主人公「……ふぁんへにっふうへはほをほはへふんは？(なんで肉球で顔を抑えるんだ？)」

プリテリオナ「えっとねー、微妙に頼りがいのあるオーラが出ててむかついた！生意気だぞぉ？」

プリテリオナ「主人公は、黙ってうちをゾクゾクさせてたらいいの。あいつの代わりにね。わかった？」

主人公「ふぁ、ふぁふぁっふぁ、ふぁふぁっふぁ。(わ、わかった、わかった)」

プリテリオナ「わかればよーし！がふふふふ、従順でいいねー。」

プリテリオナ「それじゃあ、うちはあいつを探してその辺ぶらぶらしてるから！何か用事があったら呼びにきてよ。」

「うちのほうからは絶対に行かないからね～。がふふふふ～！」

主人公「……俺をからかってる時にはピクリともしなかった尻尾が幼馴染の話になった途端、楽しげに揺れだしたな。」

主人公「うーん、それなら素直に幼馴染じゃないとダメなんだって言えばいいのに。それぐらい素直なら、幼馴染の人もきっと……、」

プリテリオナ「余計なお世話だよぉ。ちょっとうちと仲良くなったぐらいで、見透かしたような態度はやめてほしいなぁ？」

主人公「ひぃっ！？プ、プリテリオナ様……もう行ったんじゃ？」

プリテリオナ「がふふふふ……、おもちゃの管理を怠るプリ様ではないよぉ？」

プリテリオナ「さぁて、お仕置きはどうしようか？とりあえず、うちが満足するまで甘噛みしていいよね？がぶぅ！」

主人公「あいたぁ！？」

主人公「(うう！別の意味でも早く見つかってくれ、幼馴染の人！俺の身体が持たないぞー！)」