「闇黒纏う魔札」スフォル

＜村＞

スフォル「……。」

主人公「スフォルさん、どうしたんですか。そんな神妙な顔をして……。」

スフォル「……っ。」

主人公「もしかして、体調が悪いとか！？ いますぐお医者さんに診てもらった方が……、」

スフォル「疼く……っ。」

主人公「え？」

スフォル「右目が疼く……！」

スフォル「瀆神の罪人（クリミナル）の仕業か……。」

スフォル「ヤツら、逢う魔が時にやって来ると見せかけてフェイントをかけてきたな……！」

主人公「疼く？ くりみなる……？」

スフォル「……主人公。」

主人公「は、はい……。」

スフォル「そこのクリミナルたちによって撒かれた虚無への前兆（オーメン・オブ・ヴォイド）を回収するのだ！」

スフォル「私はあちらのオーメン・オブ・ヴォイドの回収に着手する！」

主人公「あっ、オーメン・オブ・ヴォイドってゴミですか！？」

スフォル「その２文字は、闇に汚れた真名。口にしてはならない！」

主人公「いやだって、いちいちオーメン・オブ・ヴォイドって呼ぶの、長くて面倒ですよ……！」

主人公「クリミナルにしても、ゴミをうっかり落とした人に対しては仰々しすぎる……！」

スフォル「主人公、そこだ！ いいから回収を続けろ！」

「は、はい……。」

スフォル「次はそっちだ！」

「わ、わかりました！」

スフォル「闇が迫り来ている。早めに回収するのだ！」

＜紹介所＞

スフォル「くくく、くははははははっ！」

スフォル「村からオーメン・オブ・ヴォイドがすべて回収された！」

スフォル「我々の勝利だ。でかしたぞ、主人公。すっかり日は暮れてしまったがな。」

主人公「あ、ありがとうございます……。」

主人公（あくまでもゴミ拾いって言わないんだな……）

スフォル「どうだ、主人公。我が秘密教団『ダーク・カタルシス』に入らないか。」

スフォル「貴様の働きぶりは立派であった。『ダーク・カタルシス』こそが貴様の居場所だと思うのだが、どうだ。」

主人公「い、いやちょっと、癒術士との両立は難しいかなって……。」

スフォル「……ふむ、なるほど。惜しいな。」

スフォル「貴様は貴様の道を往く、か。」

スフォル「この秘密教団『ダーク・カタルシス』教主スフォルの誘いを断るとは、なかなかの強者。」

スフォル「さすがは私の旅の仲間になった男だ！」

スフォル「くははははははっ。」

主人公「……あの。ずっと気になってたんですけど……、」

スフォル「む。なんだ？」

主人公「『ダーク・カタルシス』って、団員は結構いるんですか……？ 教団って名乗るくらいだし……。」

スフォル「いや？ 私ともう１人、セルドナという娘がいてな。２人でアカデミーを拠点に活動している。」

主人公「少ないですね！？」

スフォル「我が教団は少数精鋭だからな。」

主人公「な、なるほど……。」

主人公「ゴミ……、じゃなかった。オーメン・オブ・ヴォイドの回収が『ダーク・カタルシス』の活動なんですね。」

スフォル「む。勝手に決めつけるな。それだけではないぞ？」

スフォル「我が『ダーク・カタルシス』は、他にも、さまざまな困難を克服する使命がある。」

主人公「……たとえば？」

スフォル「木の上にのぼって降りられなくなった子猫を助けたり……、」

スフォル「アカデミーで赤点をとった生徒のために特別補習をしたり……、」

スフォル「落ち込んでいる生徒のところに行って励ましたり……、」

スフォル「まあ、生きとし生けるものの心の闇を浄化し、その闇から世界を守ること全般が使命だな！」

主人公「すごいですね……。」

スフォル「くははははっ！ そうだろう、そうだろう。」

主人公（でもそれってつまり、ボランティア活動というのでは……？）

「きゃああああ！」

「こっちに来ないでー！」

スフォル「なんだ！？」

主人公「悲鳴！？」

スフォル「まさか、クリミナルの襲来か！？」

主人公「ど、どうしたんですか！？」

村のお姉さん「た、助けて！」

村の少女「突然、外からやって来たの……！」

主人公「来たって、一体なにが……？」

スフォル「はっ。あれは……！」

スフォル「飛来せし毒悪（フライング・ポイズン）……！」

主人公「フライング・ポイズン……？」

主人公「あっ、なるほど。ゴキブ……、」

「いやあああ！ こっちに来るわ！」

「お兄ちゃんたち、どうにかして！」

主人公「わ、わかった。」

主人公「って、あれ？」

主人公「どうしたんですか、スフォルさん。部屋の隅でうずくまって。」

スフォル「な、なんでもない！ なんでもないからな！」

スフォル「決して、その、フライング・ポイズンが恐ろしいというわけじゃないからな！」

主人公「……、俺がなんとかします。」

スフォル「ま、待て、主人公！」

スフォル「そいつは、このスフォルが相手をしよう……！」

主人公「スフォルさん、ゴキブ……フライング・ポイズンが苦手なら、無理しちゃだめですって！」

スフォル「いや。ここで引き退がっては『ダーク・カタルシス』教主としてセルドナに顔向けできん！」

スフォル「秘技……、」

スフォル「『混沌の審判』（カオスティック・ジャッジメント）！」

主人公「すごい、タロットカードがフライング・ポイズンめがけて一直線に……、」

主人公「……あれ。」

主人公「全然違う場所に当たった……。」

スフォル「ふっ。運のいいヤツめ……。」

主人公「スフォルさん、手が震えてますけど！？」

スフォル「こ、これは混沌の力を使った反動であってだな……、」

村のお姉さん「きゃあああ！ また飛んだ！」

スフォル「きゃあああ！ こっちに来たあああ！」

主人公「……やっぱり、俺がなんとかします。」