「帥賊の獄囚」ラユシフ

<紹介所>

ラユシフ「よう、坊主。待たせて悪かったなァ、俺がラユシフ……、」

主人公「こここ、これからよろしくおねがいします！」

ラユシフ「おいおい、そうビビってくれるなよ。社会貢献だか何だかで坊主に協力してこいとのお達しだ。取って食いやしねェさ。」

主人公「しゅ、すいません、つい緊張しちゃって……。」

ラユシフ「逃げるつもりもねェから安心しろよ。坊主は運良く、戦力が手に入ったと思って気軽に癒術士として働いてりゃいいのさ。」

主人公「は、はあ……。」

ラユシフ「それにしても、坊主みてェなチビが癒術士とはなァ。世界を動かすモンは、思わぬところから現れる。」

ラユシフ「こんな形とはいえ、癒術士に協力することになるとは、なかなか不思議な縁の巡り合わせだぜ。」

ラユシフ「まァ、ちょいとばかし加減は間違えるかもしれねェが、テメェの旅を手伝わせてもらおうじゃねェか。」

主人公「あ、ありがとうございます。」

主人公「（ラユシフさんって、意外と協力的な人なんだなあ……。盗賊団の頭領って聞いてたけど、その時とはもう心境が違うってことなのか）」

主人公「（それとも、もともとこういう人なんだろうか。けど、会ったばかりで直接聞くのもな……。俺もどう接すればいいのか迷ってるし……）」

町の少年「わっ！」

ラユシフ「あァ？なんだァ？」

町の少年「ぴゃっ！僕、前見てなくて……、ご、ごめんなさ……、ひええ……！」

町のお姉さん「ご、ごめんなさい、ごめんなさい！」

町のお姉さん「ほら、早くこっちに来なさい！」

町の少年「お、お母さん～っ！」

町のお姉さん「あの人にはうかつに近づいちゃだめって言ったでしょ！」

町の少年「ごめんなさい～っ！怖かったよ～っ！」

主人公「……、（そうか、監獄都市の近いこのあたりだとラユシフさんの素性を知ってる人も多いのか……）」

ラユシフ「やァれやれ、行く先々でこれじゃァ、坊主も大変だな。仮面でもかぶるか？」

主人公「いえ、俺は大丈夫ですけど……、」

主人公「（盗賊団ってことは、確かに悪いことをした人なんだろうけど……）」

主人公「（それでもあんな風にどこに行っても避けられるのは俺だったら辛すぎて泣くかも……）」

主人公「（この人がどんな人なのかも、どうして盗賊になったのかもわからないけど……）」

主人公「（でも、これから一緒に旅をする相手なんだし、ラユシフさんのことを、少しでも知れるように努力して、その上でどう接するかを決めよう……！）」

ラユシフ「おーい、坊主？やっぱ看守に言って、今回の件はなしに……」

主人公「あの、ラユシフさん！」

ラユシフ「ん？」

主人公「これから俺と一緒にご飯を食べに行きませんか！」

ラユシフ「……、」

ラユシフ「おう、いいぜ。」

<町：昼>

主人公「（しばらく一緒に旅してラユシフさんの人柄とか信念とかもわかってきたけど……）」

町の少年「うわーっ！ごめんなさい、許してーっ！」

ラユシフ「まだなンも言ってねェよ。」

主人公「ラユシフさん、その顔ですよ……。」

主人公「（ラユシフさんがいろんな人に怖がられるのは盗賊云々の前に、まずはこの悪人面のせいだ……！）」