【百鬼異聞録】「新緑と戯れて」ストーリーまとめ【イベントストーリー】
目次 (新緑と戯れてストーリー)
エピソード
春の草木には特別な魅力がある。 淡い緑色やピンク色は一目見ただけでも心が奪われ、外に出かけたくなる衝動に駆られる。 日々楽しいことで溢れている妖怪たちでさえも、こんな景色に心を動かされずにはいられない。 ある者は桜の花びらが舞い散る運河沿いを散策し、またある者は温泉塔の近くでひんやりした水しぶきを楽しみ、春を満喫している。 商店街の各店舗もこぞって旬の商品を売り出し、春花爛漫とはまた違う風物詩となっている。 五丸 『一条兄ちゃん、見て!あの島、ピンク色になってる。霧に包まれたマシュマロみたい。』 五丸 『もしかして島全体に花が咲いてるかも……行ってみたいなぁ……』 子猫は兄の服の裾を引っ張ると、自分が発見した場所を指差した。 三つ目 『おや?五丸が何かいいものでも見つけたの?』 どこからともなくやってきた三つ目も背伸びをして、五丸と同じ方向に視線を向けた。 一条 『五丸はいいとして、なんで三つ目がここに?仕事してる時間じゃないのか?』 三つ目 『まぁまぁ、気にしないで。休憩がてらに花見に来ただけさ。』 三つ目 『それより、あの島、本当に綺麗だね。』 三つ目 『桜でも咲いているのかな?』 一条 『……』 一条 『はぁ……後で青行燈さんや縁結神さんに立ち寄れないか聞いてみよう。』 一条 『そんなに気になるところなら、お客さんたちにも気に入ってもらえるかもってな。』 兄の許可を得た二匹の猫妖怪は嬉しそうに飛び跳ねた。 そうしていると、子猫たちの声が聞こえたかのように、蜃気楼が緩やかに進路を変え、島の方へ向かった。 三つ目 『蜃気楼を動かす妖怪もなかなかわかってるじゃないか!』 三つ目 『これで大妖怪たちにお願いする手間が省けたね。』 五丸 『……それにしても、蜃気楼の進路を決めているのは一体誰なんだろう?』 三つ目 『それは……』 一条 『えっと……』 最も蜃気楼に詳しいはずの猫給仕たちがしばらく黙り込んだ。いくら頭の中を探しても、答えが見つからないのだ。 ただ、その小さな疑問も船が島に近づくにつれて、子猫たちに忘れ去られた。 |
淡い霧を抜けると、雲のように咲き連なる桃の花が目に入る。大きな桃の木に花が満開し、ほぼ島全体を埋め尽くしている。 そして、桃の花と競い合うかのように、クチナシやツツジ、シャクヤクなど多くの野花も季節外れながら咲き乱れている。 その景色に子猫だけでなく、船上のお客さんたちも見惚れた。 五丸 『桃の精姉ちゃんのところの桜餅を持ってお花見に行こう!』 三つ目 『いいね!そうしよ!今日の仕事は明日の僕に任せた!』 三つ目 『五丸とお菓子を買いに行くから、一条兄さんは他のみんなを呼んできて――』 兄の返事を待たずに、三つ目と五丸は手をつないで走っていった。 |
その時、少し離れた百聞館では―― 様々な見聞で青行燈と歓談していた白沢はなぜか眉をひそめ、立ち上がると窓辺まで行った。 青行燈は話を止め、好奇心を満たしてくれる言葉を待つ。 しばらくすると、蜃気楼と違う時空から来た瑞獣は苦笑いしながら首を振った。 白沢 『時が交差し、因果が乱れている……まったくとんでもない場所に来てしまったな。』 青行燈 『そうかしら?危険を感じるなら、ここを離れるようあの方に相談してみたら?』 しばらく考えた後、白沢は躊躇いながら口を開いた。 白沢 『このままでも……いいかもしれない。』 白沢 『ここは我が昔いた場所と雰囲気は似ているが、まったく同じではない。』 白沢 『もしや何か特別な出会いが待っているかもしれないな。』 青行燈 『ふふ、百聞かるたにできるような物語が生まれるといいね。』 |
何か大きな秘密を知っているような二人だが、このあやふやなやり取りでは、この先の展開がどうなるか知る由もない。 とはいえ、目の前の絶景を放っておくわけにはいかない。とりあえず花信風のお菓子を食べながら花見を楽しみ、浅瀬で水遊びをして自然を満喫しよう。 何しろ春は人を待たず。満開のうちに堪能しないと。 |
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