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【黒ウィズ】幻魔特区スザク Story5

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作成者: にゃん
最終更新者: にゃん


story


「……それで、結局クロはお前のガーディアン……なのか?

「でも、クロって確かキワムが拾ってきた犬なんじゃなかったっけ。どういうこと?

「俺にもそれはわかんねーんだって!それより、大事なのはアッカの方だろ。

キワムの言葉で、皆の視線がアッカに集中する。

「あはは……み、みんな目が怖いよ?

「……それで、お前が『収穫者』に捕らえられると、どうなるんだ?

「どうなるって言われても……多分、何にでも変身できるロッカが重要なんだよ。私は二の次。

多分ガーディアンを引っこ抜かれて、それで終わりだと思う。

「ガーディアンを……?そんなの心を無理矢理引き抜くのと同義じゃない。

「同じ人間のすることじゃないわ……狂ってるわよ、あいつら……。

ヤチヨが眉をひそめながらそう言うが、何故かアッカはそれを見て首をかしげている。

そして、彼女はこう続けた。


「ヤチヨは変なこと言うのね。あなた達も私も、それにあの人たちも……そもそも人間じゃないんだけど。

「は? どういう――。

「だから、あなた達みーんな、世界中にあるロッドを守るために作られたガーディアンじゃないの?

アッカの口から出た驚くべき事実に、その場に居る全員の時が止まった。彼女はなおも続ける。

「……ねえ、キワム。あなたが住んでいた333号ロッドの他の住人って思い出せる? 他に誰が住んでたの?

k「えっ……? あ、あの時みんな、収穫者の奴らに……やられて……。

「だから、そのやられた人たちのこと思い出せる? 本当はそんな人達いなかったんじゃない?

s「……そ、んなこと……あるわけ……。

「それにあんな辺境のロッドに誰が好んで住もうと思うの? 辺りには畑も何もないのに。

アッカの言葉に、君はふと333号ロッドの風景を思い出す。

……確かに、街らしい建物群は多かったものの、あそこには驚くほど生活感がなかった。

t「……ウソ、だろ……?

y「やめて、アッカ。これ以上は、もう……!

「あなたたちの街は、ここみたいに人で溢れてた? 思い出してよ、あなた達以外の人達を。

それにトキオ。ロッドが折れたことを誰にしたの? 誰に? 顔は思い出せる?

t「やめろ……俺は……俺は……!

「あなた達はロッドを必要とする人達に仕組まれてあの場所に居た。ずっとずっと、それこそ思い出せないくらい昔から。

皆は必死に何かを思い出そうとしているが、君は知っている。あの場所には、「君たち以外誰も居なかった」ことを。

強いて言えば、ロッドから離れた場所に住むあの医師だけ。だが、彼もアッカの言うとおり「仕組まれて」あの場所に居たとすれば……。

「そこの、黒猫のヒトは気づいたみたいね。そう、全部作り物なの。全てはロッドを保護するために作られた「仕組み」。

そしてロッドを守るためだけに、望みもしない力を与えられたガーディアン達が……。

自分の運命を弄んだ人々に復讐するために作り上げた組織。それが「収穫者」。

彼らは、その「仕組み」に抗うためにロットを折るの。全部、一切合切、残さずに。」


……キワムたちに突きつけられた真実は、とてつもなく重かった。

自分たちが築き上げてきた思い出が、全て黒く塗りつぶされていくような、そんな現実。

だが、苦々しい表情をしながらも、キワムは立ち上がる。


「……それでも、俺達は「共に挑む」しかないんだ……。

「キワム……?

「行こう、タモンが待ってる……終わらせよう、みんなで。


 ***


夜間に満ちた、スザク大ロッドの路地裏。

君たちはアッカを連れて、タモン達の元へとやって来た。

「みんな、大丈夫なのかにゃ?アッカの言葉で落ち込んでるんじゃ……。

君は耳打ちするウィズの言葉に、否定も肯定もできなかった。

彼らがどう自分たちのことを感じているのか、君はわからない。


「よく来たね~、偉いぞ~! で、ここに来たってことはアッカちゃんを貰って良いってことなのかな?」

タモンは挑発混じりの言葉運びで、君たちへと質問してくる。

だが、誰もそれに答えようとはしなかった。

「お耳ついてますかァ~~!?アッカをこっちに渡せっつってんの!聞いてる?」

「……アッカを渡したら、お前らはこのロッドを折っちまうんだろ?」

「ん、まあね。その様子だとアッカちゃんから聞いたかな、俺ら「収穫者」の目的ィ。」

「先程は敵対しましたが、あなた方が良ければ仲間に引き入れることも可能です。

いかがでしょう、ここで互いに消耗するのは得策では無いのでは?」


あくまで調子を崩さないトキモリとタモンだが、その手には例のコインが握られている。

気に入らない答えが帰ってきたら、彼らはすぐにでもガーディアンを展開するつもりだろう。

一触即発の空気。

そんな中、最初に口を開いたのは――キワムだった。


「……人生はすげー難しいんだ。それは人間じゃない俺たちでも解る。」

「あ?」

「一緒に過ごしてきた友達が怪物だったり、挙句の果てに自分たちが人間じゃなかったり……。

人生はすげー難しいんだよ。……多分、この街に住んでる人達も、色々大変なんだ。

だから、俺達が何かすることで、この街の人達が今まで通りに過ごせるなら……。

俺は、戦おうと思う。」

そう言いながら、キワムはクロを抱き上げる。

「おめー何が言いてえんだ? 要点をスッキリハッキリまとめてから喋れよ。」

「――お前をぶん殴る。それでいいか。」

「――ッ!?」


「我が心の化身よ、共に進もう、我と共に挑め。

さあ、行こう、共に――”アウデアムス”!!」

キワムは、気合を込めた言葉とともにガーディアンを展開する。

そしてそれに呼応するように――。


「我が心を貫き出でよ、雷牙の機神ーー”エクスマキナ”………!

「花開け、我が心に咲く赤い果実よーー″インフローレ”。

「我から這い出でよ、月白の蛇骨ーー"エクスアルバ”。

「鏡写しの我が心、ゆらめく姿をここに示せーー”トイボア”!



四人は、ほぼ同時にガーディアンを展開した。皆は今、キワムと同じ目をしている。

強い意志に彩られた、誰かを守ろうとする瞳の色――!

だが、皆の様子を見て、タモンはガシガシと頭をかきながら盛大なため息を漏らす。


「ああ……ほんっと、だから嫌なんだよ3って数字はよぉ……333号ロッドとかさぁ……最悪の数字だよなぁ……。

それに……生意気なガキには……熱い熱ゥ~いお灸を据えてやんないとなぁ……!!

トキモリ。行くぞ、本気を出せ。」

「はい。」


タモンとトキモリは、手にしたコインを構える。そして――。


「影よ立て、我が身とともに彼の敵を討ち果たさんーー”ネヴィアム”!

「見よ、我が影は立ち上がる、尽く征し喰らえとーー”アドヴェリタアアアアアス”!!

二人も、キワムたちに倣ってガーディアンを展開した。


「さあああああ!!始めようかァアア!!」

「うおおおおおお!!!」


そしてタモンとキワムの叫びとともに、最後の戦いの火蓋が切って落とされた!



 ***


BOSS タモン・トキモリ


 ***


「ぉぉぉおおおおお!!


キワムのガーディアン、アウデアムスの一撃が、タモンを吹き飛ばす。

建物の壁にぶち当たったタモンは、そのままの勢いでそれを突き破った。

ガラガラと瓦嘩が積み上がる壁の穴を見つめながら、キワムは肩で息をしている。


「はぁ……はぁ……終わった、か……。

彼は言いながら、大の字になって地面に転がる。

「キワム、それにあなたも……お疲れ様、ありがとう。

涙目で走り寄ってきたアッカに、君とキワムは笑顔を返す。

他の皆も、地面に座り込んだり膝をついたりと、満身創痍の様子だった。

「勝った……んだよな?多分……。

「ええ、これで……アッカを引き渡さずに済む……と思う。

「それにスザク大ロッドも、しばらくは無事だろう。また奴らが来るとは思うが……。

「……その時は、俺達がまた戦えばいいだろ。ここは、俺達が守っていくんだ。

誰かに踊らされたっていいだろ。それで、誰かが楽になるんだったらさ。

満足そうに……ただ、少しだけ寂しそうにキワムは笑う。昇り始めている朝日を見つめ、皆が目を、細めた。

――だが、その空気はスミオの言葉によって一変する。

「……ん? お、おい。あのオッサン……タモンとか言ったっけ……?

居ねえぞ、どこにも……。」

手にした機械を忙しく操作しながら、スミオは画面と周囲を見比べている。

「どこにも、さっきまでの反応がねーんだよ。」

「馬鹿な、たった今キワムが――!」

トキオが見つめる先、日の差し始めた瓦磯の奥には、誰も居ない。

トキモリも、タモンも、いつの間にかどこかへ消えてしまっていた。

y「どういうこと……?」

「……まあ、いいじゃない。一旦嵐は去ったんだし、ね?」

アッカは君の足下にいるウィズを撫でながらにっこりと笑う。

「そうだといいにゃ。……しばらくは、ここで皆もゆっくりするといいにゃ。」

「そうだな……また、クロを散歩にも連れて行ってやんないといけないし。」

「……おい、あまり悠長な事は言ってられないかもしれないぞ。派手に暴れすぎた。」

苦々しい顔をしているトキオに気づき、君は路地の向こうを見る。

そこには、戦闘による破壊の跡を見つけた野次馬たちが集まり始めていた。


「……おい、黒猫の。お前はどこかに隠れてろ。」

「どうしてにゃ?」

「……この猫、お前のガーディアンじゃないだろう?だからだよ。」

「にゃっ!?な、なんでわかったにゃ!?」

「カマかけたのに引っかかるなよ、全く。」

ふっ、とトキオは小さく吹き出し、笑う。それは君が初めて見たトキオの笑顔だった。

「――ほら行け、今なら間に合う!」

言いながら、トキオは君をさらに細い路地へと押し込んだ。

戦いの疲れからか、君はたたらを踏み、そのまま尻もちをついてしまう。

そして、それと同時だった。

君のポケットに入れたフォナーが、突如として鳴り響き始めたのだ。

『ごきげんよう、魔法使い。お気をつけてお帰りを。

「にゃっ――!?こ、これって……!」

――次の瞬間、君の姿はフォナーとウィズを巻き込みその場から消える。

気づいた時には、君はクエス=アリアスヘと帰ってきていた。




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エピローグ



「……何が起きたというのだ……あの箱はなんだったのだ……?」


と、バロンの言葉が中途半端に聞こえてくる。

目を開けると、そこは見慣れたギルドの景色。

「……このままではいかんな、急ぎ捜索隊をォォオおお!!?」

喋りながら振り返ったバロンは君たちの姿を確認し、驚きながら後ずさる。


「お、お前、それに猫も……ど、どこへ行っていた?

なんだかずいぶんとボロボロのようだが……。」


ちょっと用事があって、と君は軽く言う。

あの世界のことを話しても、きっとバロンは夢だと思うに違いないからだ。

――ふと、君が手にしていたフォナーが振動する。

画面を見ると、そこには「新しいメッセージがあります」という謎の文言。

ご丁寧に、封筒の絵も一緒にゆらゆらと揺れている。

差出人の欄には、「キワム」とあった。

君は画面を触り、それを開く。


「……結局その箱は何のための道具なのだ?」

離れた場所の人と話ができるんだよ、と君は返す。

画面には、「ありがとう」という文字が浮かんでいた。



幻魔特区スザク ―END―




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