【黒ウィズ】魔法使いとクロ犬のウィズ Story
2015/04/01
story
4月1日の事である。
朝、君か目覚めると、いつも傍らに寝ているはずの師匠の姿か消えていた――
たった1枚、「ワン!」とだけ書かれた置き手紙を残して――。
君がクエス=アリアスの魔道士となってからどれだけの月日がたっただろう?
雨の日も、皿の日も、雪の日も、君は魔道士として、ずっと師匠と二人で冒険を続けてきた。
そう言えば………独り残された君は、改めて考えてみる。
自分は一体、師匠についてどれだけの事を知っているのだろうか……と。
精霊の呼び出し方、契約方法、ギルド魔遭士としての基本を教えてくれた、あのー―。
「ウィズ」師匠を!
『ワン!』
あの時、自らの姿を〈犬〉に変えてまで君を守ってくれた、あの――。
「ウィズ」師匠を!
『ワンワン!』
なんだかとても悪い予感がする。君はたまらず飛び出した!
あの――。
「ウィズ」師匠を探しに!
『ワン!』
師匠の姿を求めてがむしゃらに走る君は、ついに見つける!あの――。
「ウィズ」師匠を!
「師匠!」君はそのおしり、いや背中に向かって呼びかけてみる。
『クーン♪』
しかし「ウィズ」師匠は蝶々を追いかけるのに夢中で、君の存在に気が付かない。
こんな時には、あれしかない。
君は懐から「いぬクッキー(チーズ味)」を取り出して、もう一度「師匠……」とそっと囁いた。
『ワン!ワン!ワン!』
クッキーの気配(匂い)を感じ取った「ウィズ」師匠は早速振り返りー―。
『ワンワン! ハッハッ!』
猛然と君に向かってきた!
君の魔法で放たれたクッキーに飛びつきながら、「ウィズ」師匠は尻尾をプリプリ全身で喜んだ。
なんだか久しぶりに、「ウィズ」師匠に魔道士としての稽古をつけてもらった気がする。
気持ちいい――。君の心に清々しい風が吹いた。
『ワン! ワンワン!』
「ウィズ」師匠もきっと君と同じ気持ちなのだろう。
君がもうー枚、懐に忍ばせている「いぬクッキー(ミート味)」に向かって、まっしぐらだ。
どこまでも行こう。この、「ウィズ」師匠とともに。
春のうららかな陽ざしの中、君は改めてそう思った。
「にゃ、にゃ! 一体どうなってるにゃ!」
魔法使いとクロ犬のウィズ -END-
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