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白湯鍋魚・物語

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最終更新者:皮蛋納豆丼

一 自由への道・壱

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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白湯鍋魚

「ふぅ。取っ手付きの酒器とかは絵の中で補えたね。」

「あと何が足りないのか見てみよう……うわっ、本当に心が痛むな!」


唐末期の盛宴でトラブルが起きたが、白湯鍋魚が絵や宮中の陳列物に火をつけて騒ぎを起こしたおかげで、みな無事に逃げ出すことができた。


その火は人を傷つけることなく、現実の物を燃やすこともないが、ただあの宴会で使われた装飾品は、そのほとんどが、絵の中から取り出した珍しいものばかりだった。


大火事の後、すべての物がその伝奇的物語と共に、灰と煙に化した。絵の中のあちこちで土偶や金細工が欠けてしまったので、白湯鍋魚は再び絵筆でそれらを補わなければならなかった。


【選択肢】

・彼の顔料作りを手伝う

・彼の絵巻整理を手伝う

選択肢

彼の顔料作りを手伝う

白湯鍋魚

「ハッ、もうこんな時間か。絵を描き始めるとすっかり時間を忘れてしまう……今日あなたが付き添っていなければ、いつまでやっていたかわからないよ。」

「辰砂の研磨には力がいる。僕がやるよ。絵巻の整理を手伝ってくれない?」


彼の絵巻整理を手伝う

白湯鍋魚

「幸い君が付き添ってくれたけど、僕1人だったら、いつまでやっていたかわからないよ。」

「これらの補った絵巻を僕の代わりにあの棚で乾かしてくれないか?幸い、この絵の中で燃やされた器物が何か、まだ覚えているよ……」


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白湯鍋魚

「子龍がたまに僕が怒ると、びっくりすると言うのも無理はない。僕は興奮すると、自分のカラダでさえも焼いてしまうんだ……」


白湯鍋魚の絵巻の整理を手伝っていたところ、誤って棚に足を引っかけてしまい、棚にあった表装済みの絵を落としてしまった。床に広がった絵巻には、生き生きとした唐宮の人物画が描かれていた。


白湯鍋魚

「しまった!絵は傷ついてない?」

「この絵は……なんでもないんだ。ただ唐宮の過去を描いたに過ぎない。」

「前に僕にきいたよね。どうして空桑に来た後、いつも調度品ばかり描いて、宮中の女官たちを描かないのかって?」

「絵は、結局は絵だ。宝飾品は絵の中で保存され、かつての美を再現することができる。でも絵の中の人は、画境でのみ生き、描いた動きをただただ繰り返すだけ、空桑の、あの動く画のようなものさ。うまく描けてもおもしろくない。」

「この絵の中の物語に興味ある?ハハッ。最近、あなたを見つけてはいろんなことを話しているから、もう僕の知っていること全てを話し尽くしたかと思っていたよ。」

「この絵も、あなたとそれなりに古い縁がある。あなたは偶然にこの絵巻を開いたんだ。いい機会だし、あなたを連れて行こう。」


目の前の景色が一転し、2人は絵の中の世界に入った。見たところ、後宮内の庭のようだ。さっきの絵に描かれていた侍女たちが、にぎやかに動き回っている。


彼女たちは魚を愛で、犬と戯れ、扇を揺らしながらお茶を飲んだりしている。描かれたその瞬間の動きや表情だ。でも外から来た者がその中を歩いていても、中の人たちは誰も気づかない。この女性たちは筆で描かれた絵に過ぎないのだ。


白湯鍋魚

「見て。あれは誰?」


白湯鍋魚が、その方向を見ると、もう1人の彼がいた。絵の中の白湯鍋魚は、画史の装いをしていた。侍女たちのために作画に集中し、絵の具が服に落ちたことさえも気づかない様子だ。


侍女壱

「瑜画史、もう長い時間描いているけれど、私たち姉妹を、どのように描いたのかしら?」


瑜画史

「もうじき完成だよ!ただ……お姉さんたち、ケーキとお茶は、もう少し後にしてほしんだ。あなたたちは午後もずっとお喋りしているし、口紅の部分の色がいつもうまく表現できないからね……」


侍女B

「どうして難しいの?最近、新しい口紅を手に入れたのよ。あなたにあげるから、直接絵に塗れば同じ色になるでしょ?」


瑜画史

「ありがとう、お姉さん!はい……でも口紅と顔料じゃ、やっぱり違うところが多いんだ。花の汁を配合したものは退色しやすくて、辰砂のように色がのこらないんだよ。えっと……」


絵の中の女性たちは、この馬鹿真面目な返答を聞き、思わず笑ってしまった。瑜画史だけが絵筆を握って、ポカンとしている。なぜ彼女たちが笑っているのか分からないのだ。


侍女壱

「ハッハッハッ、彼は本当に「絵描きバカ」ね。あなた、一日中彼をからかってる。」


侍女B

「ハハッ。これまでは男性が女性に口紅を送るのが常だったけど、逆に男性が女性に口紅を求めるなんてね。あなた、本当に絵以外のことに無関心ね……」


侍女壱

「もういいわ。瑜画史、彼女にかまわないで。あなたをからかっているだけなのよ。後宮の中には、あなたみたいに純粋な人は少なくないわ。私たち姉妹は、あなたの描く絵が好きよ。」


瑜画史はわかったようなわからないような顔でうなずき、絵巻に加筆する作業に没頭し、そして満足げな笑みを浮かべた。


突然、宮中の司鬨が、焦った様子でやってきた。さっきまで彼をからかっていた侍女たちも次々と跪き、恭(うやうや)しくお辞儀をした。司鬨は激しい表情であたりを見回し、瑜画史を人気のない小道へと連れて行った。


司鬨は瑜画史の絵を仔細に観察していた。そして絵を瑜画史に返す際、隙間に銀貨をはさんだ。


司鬨

「絵の中のこの新任の侍女は、病気にかかっています。皇帝への謁見に適しませんので、この者を消していただきたい。」


瑜画史

「なんですって!それはお受けできかねます。絵の質をいたずらに下げることにもなる。侍女のために絵を描くよう、僕は皇帝から仰せつかったのです。さっきのあの女性たちは、とても病を患っているようには見せませんでしたが……」


司鬨

「皇帝は前朝を率い、後宮は皇后のご意思が尊重されます。」


司鬨が瑜画史に接近し、声を抑えて話した。その言葉の中には脅迫のニュアンスも含まれていた。


司鬨

「画史は数日前、冷宮から聞こえた泣き声を聴きましたか?皇后の神経に触れる女性は、たとえ皇帝がご覧になる絵であっても控えねば……画史が皇后の笑顔をお望みならば、ここはどうか折れていただきたく……」


瑜画史

「ですが彼女は宮中に上がることを許可されて以来、皇帝に謁見する日を待ち望んでいた……」


司鬨

「宮中にそのような夢を抱かない者などおりましょうか?あなたは一介の画史にすぎません。この件での口出しは無用。もめ事を起こさぬよう忠告します。数日後の鳳凰の宴席で、こちらが求める絵を献上すればよいのです。」


白湯鍋魚に連れられ、一面何も描かれていない絵の中にやってきた。画境の中に新しい景色が広がった。


白湯鍋魚

「宮中では盛大な宴を実際に体験できるんだ。超絶技巧で楽器を奏でる楽伎たちも絵に描けた。思う存分絵を描けるときは実に楽しい。けれど、嫌気がさすような揉め事もたくさんある……」


絵の中では鳳凰の宴が催されている。侍女たちは酒を飲み、音楽を奏で、宮中ではろうそくが灯っている。賓客が酒を飲み交わしている最中、瑜画史はひとり裏口から抜け出し、自分の完成したばかりの絵を整理していた。


酒に酔った、招かれざる男がひとり、彼の後をつけていた。


花鳥使い

「よっこらしょ。これは、これは。皇帝の前ですこぶる得意になっていた、あのやさおとこではないか。」

「お前は普段からそんな変な格好をしているのか?しかも、酒も全然だ。女と変わらん。お前は飲まんのか?」


瑜画史は彼を一瞥し、相手にしなかった。しかし、その態度が逆に、酔っ払いの神経を逆なでした。酔っぱらいはふらふらと歩み寄り、画史を力いっぱい押そうとした――



【選択肢】

・怒って、その酔っ払いを懲らしめに行こうとする

・側にいる白湯鍋魚の肩をやさしくたたき、彼を慰めようとする

選択肢

怒って、その酔っ払いを懲らしめに行こうとする

白湯鍋魚

「ハハッ。大丈夫だよ。こんなもの、つまらない過去の記録に過ぎない。」

「あなたはなんでこんな水墨の染みに腹を立てているの?気にしないで。そのまま見ていてね――」


側にいる白湯鍋魚の肩をやさしくたたき、彼を慰めようとする

白湯鍋魚

「ハハッ。大丈夫だよ。こんなの過去の記録のひとつに過ぎない。」

「でも、気にかけてくれてありがとう。大丈夫だから、そのまま見ていてね。」




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二 自由への道・弐

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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???

「このゴロツキめ!花鳥使いの中でも底辺の分際で、なんて傲慢なの?酒をちょっと飲んだだけで、いつも騒ぎを起こす厄介者。あなたに警告するわ。今度こんなことをしたら、宮殿から追い出し、田舎の奴隷にしてやるわよ!」


花鳥使い

「小、小玉?チッ、お前がなんでこの小僧を守るんだよ……まあいい。おじさんはお前が好きだし、お前には迷惑をかけないさ……」


彼は騒ぎを引き起こしたことで、今後、何か罰を受けるだろう。彼はひどく怒られてようやく酔いを醒まし、毒づきながら去っていった。侍女が1人、腰に手を当てて屋敷の玄関に仁王立ちしている。ずいぶんと豪快な感じだ。


瑜画史

「お姉さん、助けてくれてありがとう。あ……あの人を知っているの?」


小玉

「あいつ?皇帝が宮廷に女性を採用するために派遣している、ただの「花鳥使い」よ。皇帝は風流で趣きがあるものを大切にされているの。あの花鳥使いは下賤な人間のくせに、力を持ったと勘違いし、宮中でのさばる愚か者よ。」

「次に彼に会った時は、もっと強い態度でどなり返しなさい。そうすれば彼はすぐに弱気になるから。あなたは人が良すぎるわ。彼に罵られて、どうして黙って聞いているのよ。」


瑜画史

「はぁ……あのような者たちのことは、僕は気にしないことにしているんだ。いくら罵られても、絵を整理する作業に影響は無いからね。関わるのも面倒だし、時間の無駄だよ。それじゃあ、僕はもう行くね。」


小玉

「ブッ、あなたって人は……わかったわ。あなたって、彼女たちが言ってたあの「絵描きバカ」でしょ?」


瑜画史

「うん、そうだよ。でも不思議だね……これまで女官の絵を描いてきたけど、あなたを見かけたことはなかった。じゃあ今度、あなたをモデルに何か描くよ。その絵を皇帝に献上しよう。」


小玉

「駄目よ!!そんなおそれ多い事、願ったこともないわ……」


天宝年間、皇帝は風流を愛し、民間に「花鳥使い」を派遣して女性を多く召し抱えた。出自も配偶者の有無も問わず、美しい女性はみな宮中に奪われた。中には皇帝の寵愛を受けた者もいたが、多くは奥宮中で、生涯を雑務係として過ごす。


この悪しき制度は突然始まり、民は悲鳴を上げる暇もなかった。こうした花鳥使いによる女性採用の様に対し、「良人妾の心を顧みて死別し、小女爺を呼んで血に泪を垂らす」という詩を詠んだ詩人もいた。


小玉

「私の家は代々武芸を生業をしてきたの。奴らの連れ去られた時、ちょうどお父さんと馬に鞍をつけているところだった。なのに、気がついた時にはこの規則だらけの檻の中に閉じ込められていたの……」

「皇帝は詩や舞楽を好み、司鬨も私たちに皇帝がお喜びになるようなものを学ばせたわ。でも私は小さい頃から、そんなもの全く興味が無いの。皇帝の寵愛も要らない!ただ家に戻って、もう一度お父さんと馬に乗って駆け回りたいだけ……」


瑜画史

「そうだったのか……その夢を叶えるだけなら難しくはない。」


瑜画史はその子の前で絵巻を広げた。人物は描かず、そこに1匹の駿馬を描いた。


その子は彼に絵の中に招き入れられ、笑顔で馬にまたがった。絵の中で駿馬は駆け回り、馬上の女の子は、髪を振り乱しながら馬を走らせ、楽しそうな声をあげた。


小玉

「ふぅ……あ、あなたにはこんなすごい能力があったのね!」


【選択肢】

・でも絵の中の景色は、実際のものとはあまり似ていないでしょ?

・人を楽しませるという点では、この能力もなかなか使えるよね。

選択肢

でも絵の中の景色は、実際のものとはあまり似ていないでしょ?

小玉

「そんなことないわ!風の音や馬が着地するときの振動は無いけれど、絵の中の馬場も、この大きな駿馬も、本物そっくりよ!」

「本当にありがとう……あなたは私にとって大切な恩人よ。本当に今日は宮中に来て以来、一番嬉しい日だわ!」

「ただ……分からないんだけど。あなたはこんなすごい能力を持っているのだから、揉め事は止められないにしても、少なくともあのゴロツキたちをこらしめるくらいはできたわよね?」


瑜画史

「こんなに素晴らしい画材や、こんなにきれいな色彩は、美しものだけを描くのに使うべきだよ。ひとときの満足のためにこの能力で、奴らに仕返しをしたら、僕も奴らと変わらない、卑しい悪者になっちゃうでしょ?」



人を楽しませるという点では、この能力もなかなか使えるよね。

小玉

「本当にありがとう……あなたは私にとって大切な恩人よ。本当に今日は宮中に来て以来、一番嬉しい日だわ!」

「あなたはこんなすごい能力を持っていて、揉め事は止められないとしても、少なくとも、あのゴロツキたちをこらしめるくらいはできるでしょ。なんでやらないのか最初は分からなかったけど……でも、今は分かった気がする。」


瑜画史

「ハハッ、あなたもそう思う?こんなに素晴らしい画材や、こんなにきれいな色彩は、美しものだけを描くのに使うべきだ。ひとときの満足のためにこの能力で奴らに仕返ししたら、僕も奴らと変わらない卑しい悪者になっちゃうでしょ?」


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瑜画史

「僕は前に、舞踊を愛してやまない女性を描いたことがある。彼女が軽快に踊っている時の顔は輝いていて、実にきれいなんだ。さっき馬を走らせている時、君も似た表情をしていたよ。君は確かに宮中の暮らしに向いていないのかも……」


小玉

「もちろん……でもこれが私の運命だし、私の一存では何も変えられない……あなたはどうなの?あなたの性格だと、ここにいることは、けっこうツライんじゃ?」


瑜画史

「僕は「焼尾宴」と一緒に宮中に献上されてから、ずっとここで画史をしている。絵を描いている時は、いつもうれしい気持ちさ。もっと自由に描けたらさらにいいね。ただ、ここは揉め事が多すぎて、なかなか思いは届かない。」


小玉

「あなたが「絵描きバカ」と呼ばれるのもわかるわ。私たちはこの宮中から出られない。だから一緒に、夢を見続けるしかないわね。でもいつの日か、自由に絵を描けて、揉め事とは無縁の理想郷を見つけられることを願っているわ。」

「私は……この悪魔のような花鳥使制度が廃止されて、世の中から私のように家族と引き離され、自由を奪われ、苦しむ女の子がいなくなることを願ってる。」

「あのね。私はもともとはお父さんと家業を再興して、そして才能や容姿も悪くない、私と深い愛情で結ばれている男の子と結婚するつもりだった。でもなんの悪夢か、今は会ったこともない男の妾になっている。こんなのってある?!」


瑜画史

「「愛情」って何だろう?僕が前、姉さんたちに絵をあげた時、彼女たちがよく口にしてたんだ。僕にはよくわからなかった。それについて聞くと、笑われるんだ。あの姉さんたちは、帝からの寵愛を期待しているけど、それも帝の「愛情」?」


小玉

「奥宮はさみしいところよ。誰かに気持ちを寄せるだけでは、「愛情」とは言えない。」


瑜画史

「じゃあ……あの花鳥使いは?確か君に「好き」って……」


小玉

「あんな奴の話はやめて!」

「私が宮中に入ってから、一度も陛下にお会いできてないのを見て、あいつ、変な気を起こしたの。彼の物になるならば、私が病死したと上に報告し、彼の家で匿ってくれるって。」

「あいつはどうせ、カラダが目当てなのよ。吐き気がする!「愛情」なんて言葉には全く似つかわしくない存在よ!」


瑜画史

「そう…ですか。」


小玉

「あなたに言っても分からないでしょ。でもある日突然、すごく心をすっきりさせてくれたり、突然その人のために絵を描きたいと思う自分がいて、その人に自分の過去や未来、全部話してあげたくなったとしたら――それは「愛情」よ。」

「これからも……時々また、馬に乗りに来てもいい?」


瑜画史

「もちろんだよ。あなたからは、これまで知らなかったことをたくさん教えてもらった……」


ここまで一緒に絵を眺めてきた白湯鍋魚は、彼のそばにいる人を見て、少し顔を赤くしていた。




【選択肢】

・これが私を絵の中に連れて来た理由?

・そんな人に、もう会えたの?

選択肢

これが私を絵の中に連れて来た理由?

白湯鍋魚

「いや……そ、そ、そうかもね。」



そんな人に、もう会えたの?

白湯鍋魚

「あ、あなたはまさに、僕の思い出の中心に立っているよ。」



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白湯鍋魚

「あなたと「友情の証」を結んで以来、僕の心は小鳥のように軽やかになった。あまり自分の過去を人に話すことはないけど、あなたには何を見られても全然平気さ。」

「本当に彼女の言う通りなら……「愛情」というのは、実に素晴らしいものだね。」


眼前の景色は水墨に染まって変化し、この物語の最後のシーンがゆっくりと現れ始めた……




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三 自由への道・参

◆主人公【男性】の場合◆

(逆の場合の差分は募集中)

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ある朝、瑜画史が部屋の画材を片付けて外に出ようとすると、武器を手にした兵に止められてしまった。周囲を見ると、画院は完全に封鎖され、それぞれの入り口には兵が立っていた。


瑜画史

「護衛さん、これは一体何事で?」


護衛

「ここの画史が絵を餌にし、妖術まがいの事をしているとの密告があったのです。

 陛下は、真実が明らかになるまで、あなたを一歩もここから出すなと命じられました。」


瑜画史

「妖術!?まさか……」


護衛

「陛下の命令です。どうか部屋の中にお戻りください。」


数日間、瑜画史は絵画院内に軟禁された。玄関の護衛に向かって筆を振り上げようとしたこともあったが、やはり躊躇し、その筆をおさめた。そして絵巻の中にさわやかな景色を描き、こっそり絵の中に身を隠したのだった。


ある夜、護衛の交代時、急に門の外で物音がした。1人の女性が塀を乗り越えて入ってきた。小玉だ。


瑜画史は夜通し絵を直していたが、小玉が涙を浮かべながら入ってくるなりその場にひざまずこうとするので、慌てて止めた。


小玉

「ごめんなさい!!!こんな事になったのは私のせいなの!」


瑜画史

「大丈夫だよ。泣かないで……一体、どういうこと?」


小玉

「あなたを密告したのは、あの花鳥使いよ!あいつは何度も私に拒絶されたから、仕事を口実に後宮に紛れ込んで、ずっと私を尾行したの……それで私があなたに会いに行って、絵の中に消えるところを見られたのよ。」

「あいつ、陛下にあることないこと吹き込んで……あなたは私の大切な恩人なのに、こんな卑怯者の悪だくみに巻き込んでしまって、本当に申し訳なくて……」



【選択肢】

・コソコソと……本当に卑劣なネズミだね!

・自分を責めないで。あなたのせいじゃない

選択肢

コソコソと……本当に卑劣なネズミだね!

瑜画史

「悪いのはその悪人だ。自分を責めてはいけないよ。」


小玉

「フフッ、あなたはいつも上品なのに、私のせいでこんな汚い言葉を使うようになってしまったのね。」


瑜画史

「こんなセコイ手しか使えない奴は、倉庫で絵巻の端を齧るネズミのように、忌み嫌われる存在だ。遠慮する必要はない。」



自分を責めないで。あなたのせいじゃない

小玉

「あなたはとても純粋で、私に対して、武行の兄弟のように思ってくれていると知ってるわ。なのにあの悪人は、そんなふしだらな関係だと思い込み……あなたを誤解して、こんなことまで……」


瑜画史

「こんなセコイ手しか使えない奴は、倉庫で絵巻の端を齧るネズミのように、忌み嫌われる存在だ。彼のことは気にしなくていい。」


小玉

「フフッ、あなたはいつも上品なのに、私のせいでこんな汚い言葉を使うようになってしまったのね。」



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瑜画史

「まあ、安心してほしい。この数日間、別にあまり悪い思いはしていない。

 これから何か刑が執行されるとしても、僕には何も恐れるものはない。」


小玉

「ダメよ。私は絶対に、自分が引き起こした問題で、誰かを巻き添えにしたりはしないわ!」


瑜画史はまだ何か言おうとしたが、小玉は決心したかのように黙って一礼すると、去っていった。





数日後……





瑜画史が画院を出ると、久しぶりに浴びた日差しで、頭が少しクラクラした。


画院の外の護衛たちは皆いなくなっていた。それだけじゃない、周りをよく見回すと、彼がよく知っている宮人たちも、どこにもいなかった。宮中を回り、瑜画史は何か思いついたかのように、刑部獄へと向かった。


花鳥使いは獄中からとある女性を連れ出した。それは小玉だった。


花鳥使い

「自分の家の中で偽の巫蟲(ふこ)を使い、罪を全てかぶるとは!あの小僧は、お前にどんな妖術をかけたんだ!」

「奴はただの絵描きだ。お前を助けられるとでも思ってるのか?

 俺が最後のチャンスやろう、俺のモノになれば、助けてやらないことも……」


その光景を見た瑜画史が、急いで駆け寄ろうとする。しかし彼が近づくより早く、小玉は彼の姿に気がついた。


小玉

「その必要はないわ!」


花鳥使いに対して答えたようにも聞こえるが、その目は瑜画史へと向けられていた。小玉は決然とした表情で、小さく首を横に振った。


小玉

「宮中では、万事自分の思うままにならず、権力者の言いなりになるしかない。楽しい日なんか1日もない。こんなふうに生き続けるのは、とってくにうんざりしてたのよ……」


小玉は花鳥使いを力いっぱい押しのけると、刑場の脇にとめられた馬に走り寄り、その馬に跨った。そして花鳥使いに向かって突進した!


小玉

「来世があるのなら、嶺間の自由な馬となって、一生何からも囚われない生活を送るわ!」


瑜画史

「やめろ!!!」


馬の高い嘶きが、周囲の衛兵たちを驚かせ、馬を奪って脱獄しようとする者の姿を視界にとらえた。衛兵たちは急いで弓と矢を構えた。小玉が馬から落ちたところは、宮門からほんの数理しか離れていない場所だった。


一時、刑部獄は混乱に陥った。叫び声を上げながら状況確認に走る者、馬の蹄で踏みつけられた花鳥使いを助けに行こうとする者、人々が右往左往していた。が、ここにいるはずのない画史がどこへ行ったのか気にする者は誰もいなかった。




数日後――





興慶宮……本来は陛下が政務を処理する場所で、最も警戒が厳重な所である。瑜画史はその厳重な警備の中を、まるで無人の空間を進んでいるかのように、堂々と歩き回っていた。


彼が描いた絵に騙され、内・外の宮殿の衛兵たちは、自分が幻の中にいることにも気づかず、いつも通り職務を続けていた。


瑜画史

「……」


彼は、朝臣たちから送られてきた上奏文書のそばに立った。花鳥使制による民の悲鳴は無視できないものになっていた。朝臣たちは民の憤りを鎮めるために、花鳥使制廃止を求め、皇帝に上奏していた。


彼は無表情のまま、黙って絵の中から一つ、玉璽(ぎょくじ)を取り出した。絵の中から取り出された玉璽は、本物と少しも違わなかった。彼はその玉璽を朱と墨につけ、上奏文書の上に押した。


翌日、朝中では、文士呂尚が諷諫した『美人賊』を陛下が賛美し、花鳥制を中止することを決意したと噂されていた。臣下たちは陛下の賢明さをたたえ、朝内の空気も洗われたように澄んでいた。


白湯鍋魚

「その日、陛下は登朝後、宮中で大激怒したそうだが、すでに民間にまで御触れが回っていたので撤回できず、そのまま進めるしかなかったらしい。花鳥使制はその後、再び採用されることはなく、やがて歴史上の記録と化した。」




【選択肢】

・花鳥制廃止は君の功績でもある……

・絵の世界にこんな力があったとは……

選択肢

花鳥制廃止は君の功績でもある……

白湯鍋魚

「そうかもしれない。その日から、自分の力でも何か大事なことが出来ると気づいたんだ。ただ、僕はこんなことよりも、純粋に絵を描く方が何倍も好きだけどね……」



絵の世界にこんな力があったとは……

白湯鍋魚

「確かに。その日から、自分の力でも何か大事なことが出来ると気づいたんだ。ただ、私はこんなことよりも、純粋に絵を描く方が何倍も好きだけど……」


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白湯鍋魚

「昔は、自分が人と関わらなければ、争いからも遠ざかれると思っていた。何かの時には、絵の中に隠れて世間の煩わしさから遠ざかることができる。」

「だが臆病にそれを避けているだけでは、心にある理想郷は、勝手にこちらに近づいてくれはしない。そうでしょ?」


最後の巻は、寂しく誰もいないお墓のような絵が描かれていた。画面の壁には、きらびやかな飛天の神女が無数に描かれている。ここには恐怖を感じさせるような寂しさはなく、美しい静謐な空間だった。


白湯鍋魚

「ここは……宮女の墓。朝廷の中で、このような物語をあまりにもたくさん見てきた。宮中の女性たちの多くは、小玉のように小さな夢と、期待を抱いていた。だがその思いは、宮中の奥深くで埃をかぶり、気にかける者など誰もいない。」

「ここに飛天神女像を描こう、色がくすんだらいつでも修復してあげよう。彼女たちがこの像のように、美しく自由に生まれ変われることを願って……」



【選択肢】

・彼の絵の中から取り出した花を受け取る

・絵具の調合を手伝う

選択肢

彼の絵の中から取り出した花を受け取る

白湯鍋魚

「あっ、今日この絵を取ったのは、彼女たちに花を捧げるためだって気づいたかな。」



絵具の調合を手伝う

白湯鍋魚

「あっ、今日この絵を取ったのは、女神像の色を補うためだって気づいたかな。」



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白湯鍋魚

「あなたは本当に僕のことを一番よく知っている親友だ……」

「あなたがいる空桑こそが、僕の桃源郷だよ。」

「いま分かった気がする――この手は、絵を描くための手だ。でもそれが必要な時は、この力で闇を払い、美しいものを自分の手で守りたい。昔も、今もそうだよ。」




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