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フィッシュアンドチップス・エピソード

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作成者: Mayusagi
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フィッシュアンドチップスのエピソード

平民出身の食霊、自分の努力と勤勉及び周囲善良な友達のサポートにより、一歩一歩確実に聖殿騎士の道に歩んだ。自分の努力で世人を救って、堕落な連中を感化することができると信じている。



Ⅰ.生活

「アンディ!早く!俺の手を掴んで!」

「ああ!」


俺はアンディの手を掴んで彼を引き上げ、共に高い塀を乗り越えた。

塀の中からアンディの父親の怒号が飛んできて、思わず首をすくめた。


「終わった、絶対親父に絞られる」


アンディは自分の頭を掻いた。怒り狂う子爵様の顔を思い浮かべると、俺も身震いした。


「しまった!追いかけて来てる!走ろう!」


後ろの「追手」は犬を連れて追いかけてくる。俺たちは目を合わせ、暗黙の了解で二つの方向に分かれて走り出した。


「いつもの場所で落合おう!」


追手を撒いた後、俺はのんびり商店街をぶらついた。とても天気の良い日だ。空には綺麗な青が広がっていて、爽やかな風が花の香りを運んでくれる。そして、果物屋のおばさんは大きくて赤いりんごをプレゼントしてくれた。


本当に良い日だ。


空気中に広がっているのは、上品で甘みのある百合の香り。その香りがする方に向かって歩くと、花屋のルイアをボーっと見つめるアンディを見つけた。


頬を赤く染めた彼は、両腕で道端の木を抱きしめていた。思慕の念を抱きながらも、一歩も踏み出せないでいる情けない姿に、俺は白目をむきそうになった。


「おい!」

「ああああー!フィッシュアンドチップスかよ……ビックリした。驚かすな!」


アンディに叩かれて痛む肩を揉みながら、木の後ろから顔をのぞかせて、ルイアの方を見た。


「好きなら告白すれば良いでしょう」

「すすすすすすき?!だだだれがルイアなんか!!!!!」


いつもニコニコしているアンディが、耳の付け根まで真っ赤になっているのを見て、笑いをこらえながら彼の頬をつついた。


「誰もルイアのことだなんて言ってないでしょう?ほら!さっさと告白して来て!」

「いや……彼女の誕生日まで待つ!」


アンディは俯いて、綺麗に包装された小さなプレゼントボックスを撫でた。その顔はなんだか甘くとろけていた。


「早く!金を出せ!」

「旦那ぁ、見逃してくださいよ。これは息子の薬代なんです……ああっ!」


背後から聞こえて来た声に反応し、振り返ってみると、そこには数人の「昔なじみ」がいた。

Ⅱ.美しさ

「アンディ様、もう二度としません!」

「この前もそう言ってただろ!」

「……本当にもうしません!本当に!!どうか見逃してください!」


俺は路地の入口に立って、奴らの逃げ道を塞いだ。俺たちが謹慎している隙にやりたい放題していた奴らは、今やあざだらけの顔でアンディに許しを乞うている。


道を踏み外すひとは一定数いるものだ、まるで自分たちのしたことは誰にも罰せられないと思い込んでいる。


この町に俺たちがいる限り、ここは俺たちが守る。


あのチンピラ共を治安官に引き渡した後、治安官は俺とアンディを複雑な表情で眺めた。


その表情の意味を理解する前に、子爵様が治安官の背後から出てきた。そして、俺たちの背筋を凍らせるような笑顔で俺たちを見た。


「悪ガキ共、やっと捕まえたぞ。課題は終わったのか!」

「あっ、あの……子爵様、坊ちゃんは町民のために……ですね……もう良いのではないでしょうか……」

「それでもだ!座学を疎かにしてはならん!家に帰ったら続きをやれ!倍の量をだ!」


こうして、俺たちのトレーニング計画は水の泡となってしまった。


数日後。子爵様は突然、課題に頭を抱える俺たちを呼び出した。


フィッシュアンドチップス、アンディ。法王庁を改革させた方々が今日こちらに来ているそうだ。彼らはこの近くで堕神の巣穴を見付けたらしく、君たちの力を借りたいらしい。どうだ、共に向かう気はあるか?」


アンディと目を見合わせると、彼の目の奥からは喜びが滲み出ていた。


「もちろんです!」


法王庁も最初は小さな教会に過ぎなかった。

子爵様が仰っていた方たちの努力のもと、食霊の力を合わせ、より多くの人を守れるようになったそうだ。


俺たちは緊張した面持ちで持っている中で一番良い服に着替えた。子爵様の後ろについて、初めてクロワッサンラムチョップと対面することに。


彼らは何か話しているようだった。クロワッサンは苦笑いを浮かべ、更に話を続けようとしていたが、俺たちが来たことによってそれは中断された。


俺とアンディは本能的に背筋を伸ばしたが、畏まってしまってどうして良いかわからない。


「なんだ?どうしてそんなに緊張している?ほら、リラックスしろ!終わったら、一杯どうだ?」


ラムチョップの笑顔は、クロワッサンのに比べたらだいぶ明るいものだった。彼はとてもユーモアのある方で、どうしてかいつもわざとクロワッサンを怒らせるようなことをしていた。


堕神の巣穴を駆除した後、ラムチョップクロワッサンを引きずりながら、俺たちを町で唯一の酒場まで連れて行った。


ビール四杯!一番大きいサイズのをくれ!」

「今日の成功のために!乾杯!」

「乾杯!」


クロワッサンは予想以上に酒が弱く、何口か飲んだだけでテーブルに突っ伏して寝始めた。ラムチョップは自分のコートを彼の頭の上に被せる。いたずらをしているのか、それとも風邪を引かないよう気を利かせたのか、その真意はわからない。


「彼は大丈夫でしょうか?」

「ああ、あまり酒を飲まないから、すぐに酔い潰れる。問題ない、私が連れて帰る」


ラムチョップは話しながらクロワッサンの頬を数回つねった。その顔を見ると、いたずらが成功したと言わんばかりの得意げな表情を浮かべていた。彼がクロワッサンの腕を肩に回して、連れて帰ろうとしているのを見て、俺は慌てて話しかけた。


「あっ!ラムチョップ……俺たちにはずっと聞こうとしていた事があります」

「何が聞きたいんだ?」

「あなたたちは、何のためにこんなに頑張っているのですか?」


ラムチョップは一瞬呆気に取られたようだったが、すぐに俺たちの記憶に刻まれる程、忘れることのできない笑顔を浮かべた。


普段は少しだけ悪そうに笑う彼だったが、この時はとても優しく微笑んだ。目と眉は緩やかに弧を描いている。彼は天を仰いだ、まるで天井の向こうにある月と星が輝く空を見ているようだった。


「この世界を素晴らしいとは思わないか?」

「……はい」

「だから、私たちは守るんだ!」


Ⅲ.守る

ラムチョップクロワッサンはすぐに私たちの町を離れた。


そしてその日から、俺たちは本当に守りたい物を見つけた。


一部の人からすれば、「美しさ」を守りたいというのは馬鹿げた話かもしれないが、俺たちは目の前の全てを守りたいと思った。


サラサラと流れる渓流、温かな日差し、涼しく吹くそよ風、瑞々しい果物、美味しい食べ物、そして優しい人々。

その全てが、この世界で一番美しい風景だ。

俺たちはその全てのために、自分たちの全てを捧げようと思った。


例えこの世界にどれ程の悪があろうとも、その美しさを消し去ることはできない。


俺たちは煩雑な座学を拒否することをやめた。武力だけがこの世界を守れる唯一の物ではないと、気付いたからだ。


全ては順調に進んだ。


あー……アンディの恋以外は。


アンディはルイアの誕生日に告白をしたけれど、無情にも振られてしまった。

彼女は幸せそうに新しく出来た彼氏と手を繋ぎながら、申し訳なさそうに跪いて拳で地面を殴るアンディを慰めた。


俺は引きつった笑顔のアンディの後ろについて、そっと彼の肩をつついた。


「アンディ…?アンディ、大丈夫?」

「大丈夫だ――あーもう、うるさい!!!」

「本当に大丈夫?」

「大丈夫だ!!!」

「ルイア……」

「ああああああっーー!クソッ!!!ううううルイア……本当に好きだったよ……」


俺は彼の肩を叩いて、仕方なさげに頭を横に振った。


アンディがルイアに振られた後、彼らは友人関係に戻った。

彼の話を借りると、彼女に迷惑をかけない形で、違った方法で彼女を守ろうとしているそうだ。


そしてルイアの彼氏も、すぐに俺たちと仲の良い友人になった。


ルイアの結婚式の日、俺は心配そうにアンディの様子を伺った。だけどそれは余計な心配だったようだ。


彼女の幸せそうな笑顔を見て彼はとても満足そうにしていた。心から彼女の幸せを祝福していたのだ。


アンディはルイアの彼氏の肩を叩いて、彼に告げた。


「ルイアは、お前に頼んだぜ!俺たちはもう行かなければならないんだ!」

「えっ?二人はどこかへ行っちゃうの?」

「俺たちはもっと大切な物を守りに行く!」


不思議そうに俺たちを見るルイアに、アンディは二通の招待状を見せた。


それは、帝国騎士学院の入学通知書だった。


「騎士学院?!……貴方達は、やっぱり行くのね」

「ああ、行くと決めたんだ」

「頑張って!貴方達の成功をずっと祈っているわ!」


ついに、俺たちは夢に一歩近づけることとなったのだ。


Ⅳ.夢

帝国騎士学院は元々、皇都の上流貴族のご子息しか入学できない学校だ。


そこに入ると、層の厚い教師陣による一般人が学べないような知識を学べる上、専門の食霊教師を招待しているため、料理御侍とその食霊たちに力の使い方を教えてくれる。


現在、中央法王庁の努力のもと、上流貴族以外の学生を募集し始めることとなった。


あの日、俺たちが子爵邸に帰った時、子爵様は既に書斎で俺たちを待っていた。


彼の机には、二通の帝国騎士学院の入学通知書が置いてあった。


俺たちはその通知書を見て驚いた、アンディは信じられず子爵様に問いかけた。


「父上……俺たちは……本当にここから離れて良いのですか?」


アンディは子爵様にとってたった一人の息子だった。子爵夫人が逝去した後、子爵様は再婚を拒否し、莫大な財産も堕神に襲われた町民たちのためにほとんど使い切ってしまっている。


アンディは彼の唯一の後継人として、家を立て直す使命を担っている。帝国学院の招待状は彼を大いに喜ばせたが、ここには捨てることの出来ない責務があった。


そして俺も、この町で唯一の食霊だ。

法王庁は時々人員を派遣して来てはくれるが、俺がここから出るということはこの町にとっての一大事だった。


「行ってきなさい。ここは狭い、君たちをここに閉じ込めてはいけないんだ」


この時になって、俺たちはやっと気付いた。いつも厳しい子爵様の髪には白が混じっていたのだ。アンディの肩を叩く彼の顔には、ほっとした微笑が浮かんでいた。


「我が家は騎士として国を守ったため貴族という身分を与えられた。アンディ、この家の栄誉と誇りを忘れるでないぞ」

「……はい」

フィッシュアンドチップス

「私はいつも厳しくしてきたが、君のことを信頼してるが故だ。君ならきっとアンディを守れる。アンディは頼んだぞ」

「はい!必ずや子爵様のご期待に応えてみせます!」

「行きなさい。この町の全員に、私の息子たちが立派に旅立つ姿を見せて来なさい」


町民たちの歓迎のもと、俺たちは初めて生まれ育った町から旅立ち――

皇都にやって来た。


繁華な皇都は、夜でも明かりが煌々と点されている。普通の商店ですら、子爵邸より豪華な店構えをしている店舗があった。


俺たちは馬車の中から興味津々にその全てを見ていた。俺たちを皇都まで送ってくれた車夫は力強く俺の肩を叩いた。


「アンディ!フィッシュアンドチップス!頑張って!」

「はい!きっと失望させたりしません!」


車夫を見送った後、俺たちは学院の入口で意外な人物を見付けた。


ラムチョップクロワッサン!どうしてここに!」

「学院の教師から、今年は子爵の子息とその食霊が入学すると聞いてな。貴方たちじゃないかと思って、やはりそうだったか!」


ラムチョップは俺の肩に腕を回して、俺の髪を揉みくちゃにした。


「教師?」

「ああ、人間の言い方だと、私たちは貴方たちの先輩にあたるな。頑張れよ!」

「もちろんだ!見てろよ!」

「法王庁で待っています」

「待ってるぞ!」

「待っていてください!」


Ⅴ.フィッシュアンドチップス

帝国騎士学院と言えば、ほとんどの教師は二人の困った学生を思い出すだろう。


辺境の小さな町からやって来た下級貴族の子とその食霊。


その二人を思い出すだけで、教師陣は頭を抱えてしまう。


普通の貴族と違い、活発すぎるその二人は成績優秀で、性格も明るい。

しかし彼らはほとんどの貴族とうまく付き合えず、貴族のご子息とご息女がよく教師に苦情を言いに来るほどだった。


騎士道精神を貫く二人は、教師たちの手を大いに焼かせたが、それ以上に教師たちは彼らを誇りに思っている。


優秀な成績で卒業した後、二人はすぐさま中央法王庁に入り、法王庁の一員となった。


アンディは人間であるため、堕神を完全に殺すことは出来なかったが、優れた剣術を持っていた。

これによって、彼は堕神との戦いの最中、自分を守れる上に兄弟のために堕神の攻撃を防ぐことも出来た。


彼の勇敢な行動はほぼ全ての騎士の模範となった。アンディの家族も彼と共に騎士としての栄誉を再び手に入れることが出来た。


アンディは健康だった。彼はフィッシュアンドチップスと長年連れ添い、結婚することなく、ただひたすらに自分とフィッシュアンドチップスの理想を追い求めた。


――この素晴らしい世界を守りたい。


彼らの存在によって、無数の人が絶望から立ち直った。

彼らの存在によって、数え切れない程の人々が改めて世界の美しさに気付いた。


フィッシュアンドチップスは知らない。彼とアンディの存在は太陽の光のように、皆に美しい希望を与えていることを。


ただ、人間はやはり時間という魔法には敵わない。


フィッシュアンドチップスは自らアンディの遺骨を埋葬した。アンディが去ったことの苦しみは無かった。白髪まじりの老人が彼の手を掴み、笑顔でこう伝えたからだ。

フィッシュアンドチップス、俺はお前を食霊だと思ったことは一度もない。父上がお前を自分の子として見ているように、俺もずっと、お前を俺の一番の兄弟だと思っていた」

「……」

「ずっと言えなかったが、お前が笑顔で俺を励ましてくれなかったら、俺は頑張れなかったかもしれない。お前こそ真の騎士だ、ありがとう……」


フィッシュアンドチップスが泣いている姿をその場にいる皆は初めて見た。彼はいつも笑顔で皆の心をあたためてきたから。本気で怒ったこともなければ、悲しみの中にいてもいつも一番に立ち直って来たのだ。


いつも通り、彼はすぐに涙を拭って、立ち直った。


ただそれ以来、星空の下で法王庁の仲間たちと共に、笑いながら酒を飲んで歌を歌う合間に、時々空を見ながらボーっとするようになった。


フィッシュアンドチップス、何をしているんですか?」

「いえ、ただ……この世界は、俺の力で少しは良くなったのだろうかと……考えていただけです」


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