秘密ガーデン・ストーリー
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秘密ガーデン
目次 (秘密ガーデン・ストーリー)
- 秘密ガーデン
- カウントダウンマンガ
- 第一章-悪の花
- 悪の花Ⅰ
- 悪の花Ⅱ
- 悪の花Ⅲ
- 第二章-エデンガーデン
- エデンガーデンⅠ
- エデンガーデンⅡ
- エデンガーデンⅢ
- エデンガーデンⅣ
- エデンガーデンⅤ
- エデンガーデンⅥ
- 第三章-ジャッジの実
- ジャッジの実Ⅰ
- ジャッジの実Ⅱ
- ジャッジの実Ⅲ
- ジャッジの実Ⅳ
- ジャッジの実Ⅴ
- ジャッジの実Ⅵ
- ジャッジの実Ⅶ
- 第四章-ライフツリー
- ライフツリーⅠ
- ライフツリーⅡ
- ライフツリーⅢ
- ライフツリーⅣ
- 終章-解けない謎
- 解けない謎Ⅰ
- 解けない謎Ⅱ
- 解けない謎Ⅲ
- エピソード‐失われた秘密
- 小さいな庭
- 再会の日
- 出発前の夜Ⅰ
- 出発前の夜Ⅱ
- ファントムの前に
- ファントムの外
- ファントムの後ろⅠ
- ファントムの後ろⅡ
- ファントムの後ろⅢ
- エデンドア
- 裏話
- 再会の時
- 新たな計画
- 嘘
- 救済の時
カウントダウンマンガ
第一章-悪の花
悪の花Ⅰ
招かれざる客がエデンに来た。
ミドガー
エデン
「エデン」はミドガーの最も大きな植物園。毎年夏になると、一般観光客に向けて、一週間の無料開放期間がある。
マッシュポテト「ちゃんと列に並んでください!まだたくさんありますから!」
植物園の入り口で、マッシュポテトは観光客に無料の花の種を配っている。突然、通りすがりの子供たちががやがやと取り囲んできた。
女の子「ねえ、ペンタスの種が欲しい!」
男の子「ひまわりの種はある?」
子どもたちがあまりに興奮するから、マッシュポテトは花かごを頭上に高く掲げる。それでも、彼はまた押されてよろよろしていて、足もとが危なっかしい。
マッシュポテト「……危ない!」
ミネストローネ「気を付けろ。」
花かごはいつの間にかミネストローネの手元に来た。さっきの子供たちは退散した。
子供たちは怖がってミネストローネを見ている。ミネストローネは花かごを持って揺れた。
ミネストローネ「種が欲しいのか?ならば列に並んで、一人ずつ受けとるんだ。わかったな?」
女の子「……。」
ミネストローネ「よし、最初は誰だ?」
男の子「……ウワ――ママ――――!!!」
子供たちは泣きながら遠くへ逃げた。
ミネストローネ「……。」
マッシュポテト「ほら、子供たちを驚かせましたよ。」
ミネストローネ「フン……だから俺はガキが嫌いなんだ。」
マッシュポテトは仕方なく笑って、手を伸ばして花かごを持とうとしたが、振り向くとミネストローネは花かごを隣のベンチに置いて移動していた。
マッシュポテト「え?まだ終わりじゃありませんよ!」
ミネストローネ「あれが本気で欲しい奴なら自分で取りに行く。今日はとても暑い。お前入り口で一日中立っていて疲れないのか?」
マッシュポテト「……いいえ、全然……。栽培方法をまだあの子たちに教えていませんのに……。」
周りは行き来する観光客ばかりだ。マッシュポテトは引っ張られて帰っていく最中、小さな声で文句を言った。
カプチーノ(スキン)「ダニエル先生!!!僕だよ!」
マッシュポテトが振り向くと、すたすたと走って来るカプチーノの姿が見えた。
ミネストローネ「チッ、さっきのガキどもよりもっと邪魔な奴が来たか……。」
マッシュポテト「カプチーノ?今日はあなたは家族の集会の日でしょう、どうしてここにいるのですか?」
カプチーノ「へへ!あの集会つまらなすぎ……。おべっか人間ばっかだ……。全然面白くない。だから途中でこっそり逃げてきた!」
マッシュポテト「あなた……。でもその服装を見て、ちょっとお見それしました。大人になったみたいです。ねえ、ミネストローネ?」
ミネストローネ「どんな格好をしても、まだ一撃にも堪えられない貧弱な小僧だ。」
カプチーノ「おい、お前!喧嘩売ってるの?」
ミネストローネ「フン、俺の時間は大切なものだ。子どもと喧嘩している暇はない。」
カプチーノ「ミ、ネ、ス、ト、ロー、ネ!」
マッシュポテト「はい、ここまでです。喧嘩はここの禁則事項です!さもないと庭の隅で施肥させ続けますよ!」
マッシュポテトの話を聞いた二人はやっと黙った。マッシュポテトは満足そうに頷き、何かを言おうとすると、群れの悲鳴が彼の注意を引いた。
兵士「どけ!どけ!」
マッシュポテトが振り返ってみると、衛兵のような格好の人たちが植物園に飛び込んできた。何も言わず、植物園の入り口を取り囲んだ。
悪の花Ⅱ
暴走する悪の花。
マッシュポテト「あの……どちら様ですか?」
???(黒服)「私たちはアークの調査チームだ。ダニエル教授、私たちはあなたが邪悪な植物を利用して犯罪を犯していると疑っている。調査を行うため、私たちについてきてもらおう。」
リーダーらしき男は黒い服を着て、声がかすれていた。
カプチーノ「犯罪??先生がそんなことするわけがない!」
???「したかしていないかは、調査をすればわかることだ。」
そう言って、黒い服の人は懐から黒い箱を取り出した。彼が箱のスイッチを押すと、突然激しい騒音が箱の中から聞こえてきた。
マッシュポテト「うるさい……この音はなんだ……。」
マッシュポテトは耳を塞ぐ。
彼は少し怖くて、思わず隣のミネストローネに近づいてしまったが、意外にもミネストローネが突然自分を押しのけた。
ミネストローネ「……グ……近寄るな!!!」
今のミネストローネの体は黒い煙に囲い込まれている、マッシュポテトは全然近づけない。彼はなぜ自分の前に立っている人がこんなに怖がっているのか理解できない。
ミネストローネ「クソ……お前ら……なぜ太陽の下で生きているんだ……死ね……全員死ね!!!!」
この話をしていたミネストローネの目がだんだんゆるみ、その血走った白目が絶望の黒に染まった。
カプチーノ「先生、危ない!」
マッシュポテト「ミネストローネ、どうしましたか?しっかりしてください!」
驚いたマッシュポテトはつるを呼び出し、しばらく暴走したミネストローネにとりついた。周りの観光客は悲鳴をあげて逃げた。
ミネストローネ「離せ!!!」
マッシュポテト「ミネストローネ!ミネストローネ!落ち着いて!」
マッシュポテトとカプチーノが協力して、狂ったミネストローネを抑えた。マッシュポテトは首をひねってあの男を詰問する。
マッシュポテト「彼に何をしましたか?!!」
???「ここのマイナスエネルギーを増幅させただけだ……。彼の体に寄生しているのは、「悪の花」、だから彼は今の姿になった。ダニエル教授ならこの植物の特性をよく知っているはずだ。」
マッシュポテトの顔は「悪の花」という単語が聞こえた瞬間、真っ白になった。
マッシュポテト「そんな……ばかな……。」
マッシュポテトが油断した瞬間、ミネストローネの体は突然黒いエネルギーを発して爆発した。マッシュポテトとカプチーノは強い気波に押し倒された。ミネストローネはつるを引き裂いて、黒い嵐の中に消えてなくなってしまった。
悪の花Ⅲ
審問の目的?
ここは暗くて湿っぽいタワー。よく観察すれば、周りの壁には変な黒い落書きがある。
しかし、今のマッシュポテトはさっきのミネストローネが暴走して逃げていく場面に浸っているから、周りの様子を見る気にもなれない。
門の取ってが落ちる金属の音がこの空間に木霊したことで、彼はやっと少しだけ正気を取り戻した。
マッシュポテト「……どうやって僕を拷問しても無駄です。知っている事は全てあなたたちに告げてしまいましたから。」
???「とりあえず座ってください、ダニエル教授。よく話をしましょう。」
黒い服を着た男はテーブルのそばの椅子を指さした。本人は反対側の隅の方で何かをしているみたいだ。
マッシュポテト「……極雪原にいた頃、僕は悪の花を栽培していました。丁度同じ時期にミネストローネが迷い込んで来ました。あの時、悪の花は彼に絡みついたのかもしれません……でもそれは彼のせいではありません……。」
マッシュポテト「彼は被害者です。悪の花に寄生されるのはとても苦しいことです。僕はこの半年間ずっと彼と一緒にいましたが、何も見つかりませんでした!」
マッシュポテトは震える手で顔を覆った。
???「彼が教授に気づかせたくなかったのは当然です。」
マッシュポテトが苦々しく顔を上げた。
マッシュポテト「どういう意味ですか?」
???「半年前、ミネストローネは悪の花を持って「シチリ」と呼ばれる島に行った。そして島の人間を全員殺してしまった。」
???「もし教授にこのようなことを知られたら、彼はまだ良い人の芝居を続けられると思いますか?」
マッシュポテト「いいえ……。ばかな……彼は性格があまり優しくないけど、人を傷つけたことはありません……子供でも……。」
???「悪の花に寄生された者は、どんな悪いことをしてもおかしくありません。」
???「あなたは喜ぶべきです、今まで生きていたことを。」
マッシュポテト「彼は決して僕を傷つけません!」
???「その理由は、あなたが彼の欲しいものを持っているからです。」
マッシュポテトは少し呆然とした。心の中で急に警鐘が鳴った。
???「私が知っている限りでは、先日あなたは継承しましたね……「あの場所」――無数の植物精霊の力を集める…「エデンガーデン」を。」
???「彼の体は悪の花に寄生されている。その力はもはや食霊のものではない。教授の傍に残った唯一の目的は、その植物精霊の力を持つ宝物を得る事でしょう。」
マッシュポテト「……あなたの話の意味が分かりません……「エデンガーデン」はただの植物学会の伝説、僕と関係あるわけがありません!」
黒い服を着る人がゆっくりと遠くの闇から歩いてきた。彼の手には何か細い光がさしている物がある。
マッシュポテトはその瞬間、全てのことを理解した。
マッシュポテト「あなたたちがエデンに来た理由は、悪の花のためではない!あなたたちはエデンガーデンが僕のところにあると思っているから、口実を見つけて僕を拷問している!」
マッシュポテト「やめてくれ!!あなた……僕に……何を……注射しているんだ……」
注射器の針がマッシュポテトの首に刺さり、彼は首を押さえて椅子に倒れた。
???「これは通常用量のベリタセラム。これを注射されたら、嘘がつけなくなります。」
???「エデンガーデンの植物はエネルギーがとても強い。今回あそこから脱出したのは悪の花。次また何が脱出するかわからない。」
???「教授がうまくコントロールできないなら……この秘密は私達に任せて、引き続き植物園の園長だけしていて頂けませんでしょうか。」
マッシュポテト「そんな……あななたち……どうして……。」
マッシュポテトは怒って逃げようとするが、意識が何故か恍惚した状態になった。体が巨大な石のように重い。相手の低い声が聞こえた。催眠の振り子のように、彼の頭の中を一文字ずつ叩いた……。
???「今すぐ、エデンガーデンに関する全ての秘密を、私に教えて下さい。」
思い出がつぎつぎ浮かび上がる。マッシュポテトは思わずすべてが始まる前のあの日のことを思い出した――
第二章-エデンガーデン
エデンガーデンⅠ
意外に現れた地図!
二週間前、ミドガーのエデン。
真夏の午後はとても静かで、マッシュポテトが植物研究室のテーブルに寝そべっている。
突然、奇妙な気流が吹いて、彼はぼんやりした目を開けた。
マッシュポテト「……うん?これはなんです?」
テーブルの上に、得体が知れない、神秘的な紋様が描かれた地図がある。
彼は疑念を抱きながら目をこすり、その上の内容を見極めると、薄い眠気がすっかり抜けてしまった。
マッシュポテト「こ、これは、「エデンガーデン」の地図??」
マッシュポテトが驚いて目を大きく開けた。
マッシュポテト「「エデンガーデン」、すべての植物学者が憧れる宝庫。ティアラの伝説に存在する土地、そこには今でも多くの古代精霊時代にあった植物が生えていると言われている。」
マッシュポテトはもう長い時間をかけてその存在場所を探していたが、未だ調査は進んでいない。
マッシュポテト「この地図をテーブルに置いたのは誰ですか??」
マッシュポテトが不思議そうにつぶやいた。振り返って見ても研究室に異常はない。玄関も窓も、昼寝前と同じようにしっかりと閉められている――
マッシュポテト「待って……窓は??」
マッシュポテトは窓の外の様子を見ると、一気に冷たい空気を吸った。
彼の研究室の外で、ミネストローネは銃を持って真っ直ぐカプチーノに向けている。一方、カプチーノのスータン(聖衣)も負けずに空中で転げ回っている。
マッシュポテト「しまった!」
次の一秒、彼は椅子から飛び上がった。
ミネストローネ「ずっとお前のようなガキが大嫌いだった、今日こそお前の消える日だ。」
カプチーノ「それはこっちのセリフだ!」
マッシュポテト「二人とも、早くやめて――」
危機一髪のところ、二人の足下の土から、二つの紫色のつるが破って出てきて、二人の四肢を素早く縛った。しばらくの間、二人は動かないボールになった。
マッシュポテトは無事な苗たちと見て、安心した。
マッシュポテト「フウ……間に合った、植物を傷つけていなかった。」
エデンガーデンⅡ
一緒に出発する!
ミネストローネとカプチーノから「ちゃんと話をして、二度と喧嘩しない」保証を聞いたマッシュポテトは二人の縛りを解いた。
マッシュポテト「昼寝に行っただけですのに、どうして喧嘩したんですか?」
カプチーノ「先生、先生が昼寝している隙にミネストローネが庭に忍び込んでいた所を、僕が捕まえたんだ。」
ミネストローネは冷笑して、腕を抱いて立っていて、話をしない。
マッシュポテト「庭?研究室の後ろのところですか?あそこは昔、僕の御侍様が僕も知らない方法で錠をかけてしまったから、僕でも入れませんでした……。ミネストローネ、どうして急にあそこに興味を持ったんですか?」
ミネストローネ「さっき、あそこらへんに知らない誰かの霊力波動があることに気づいた。お前はたいていこの辺にいるから、お前の危険を恐れて来てしまった。」
カプチーノ「ヘン!本当かなぁ……。」
マッシュポテト「なるほど、そういうことですか……。」
カプチーノ「先生、そんなに簡単に彼を信じないでください。」
マッシュポテト「まあまあ、カプチーノが僕を心配してくれているのは知っています。しかし、さっきは本当に誰かが来たのかもしれません。」
マッシュポテトはカプチーノの頭をもふもふして、彼が静かになってから、先ほど得た地図を取り出した。
マッシュポテト「誰だかわかりませんが、この地図を残していってくれました。」
カプチーノ「ここに書かれているのは……これはエデンガーデンの地図?!」
マッシュポテト「はい、その可能性が高いです。」
ミネストローネ「うっ!!」
ミネストローネが急に手で自分の頭を押さえつけて、苦しそうな顔をしている。
ミネストローネ「頭痛の持病が出ただけだ。別に大したことじゃない。」
マッシュポテト「そうですか……それならいいのですが。」
ミネストローネ「さっき、エデンガーデンと言ったか?……お前がずっと探していたあのエデンガーデンか?」
マッシュポテト「そうです。御侍様のノートによると、エデンガーデンにはライフツリーがあります。その種は不思議な治癒能力を持っています。ブルーチーズも僕に頼みにきました、彼は彼の友人を救うためにライフツリーを必要としていました。今回、やっとのことであれの手がかりを得ました。」
カプチーノ「先生、本当にこんな怪しい地図に従ってエデンガーデンを探すの?」
マッシュポテト「ええ、今の所、これだけが唯一の手がかりです。」
カプチーノ「でも、リスク高くないかな……?」
ミネストローネ「俺も一緒に行くぞ。」
マッシュポテト「ええっ?」
カプチーノ「……じゃ僕も先生と一緒に行くよ!」
マッシュポテト「待って待って、ばかなこと言わないでください……カプチーノはわからないと思いますが、ミネストローネ、あなたは知ってるはずでしょう、極雪原で会った怖い「悪の花」のことを。伝説によるとエデンガーデンの生物はこんな古い植物ばかりらしいです!これは僕と友達の約束ですから、あなたたちが巻き込まれる必要はありません……えっ!ミネストローネ、戻りなさい、僕の話をちゃんと聞きなさいよ!」
ミネストローネ「聞こえない。」
マッシュポテトの引き止めを無視し、ミネストローネはだらだらと手を振って出かけた。
カプチーノ「先生、あの人は無視してもいいよ、僕が先生を守ってあげるから。そうだ!今日は僕ここに泊まるよ、すぐに旅の荷物を用意するね!」
マッシュポテト「え??」
マッシュポテトは左右の二人を見て、まだ何か言いたかったが、最後は持ち上げた手を仕方なく下に置いた。
エデンガーデンⅢ
出発前夜の悪夢。
その夜、エデン。
マッシュポテトは自分の御侍が残した植物のメモを撫でながらそばの地図を見ると、胸がわくわくした。
マッシュポテト(エデンガーデン、本当に御侍様が書いたような奇妙な場所なのだろうか……)
マッシュポテトのかつての御侍の名はパクリト。昔のグルイラオで最も有名な植物学研究者。彼は若い頃にティアラ大陸を歩き回り、エデンガーデンに関する世界各地の伝説を記録し、植物ノートにまとめてきた。
そのノートにはエデンガーデンにある様々な珍しい精霊植物のことが記載されていた。様々な民話の中に登場する精霊時代の植物たちは今でもエデンガーデンでのんびりと生きている。
同じような植物の楽園を作りたいという思いから、御侍は自分の植物園を「エデン」と名づけた。
マッシュポテト(御侍様のノートの中でしか「エデンガーデン」のことを知ることはできないと思っていましたが、まさか明日、本当にその場所を目指して出発するとは。何を経験するかわからない。どれくらい危険かもわからない…… ……まあいいです、これ以上心配しても意味がない。カプチーノとミネストローネがいる限り、どんな困難でも乗り越えられるでしょう……ただ、犬猿の仲の二人は本当に大丈夫でしょうか……?)
マッシュポテトはそこまで考えて、あの二人は本当にどうしようもないなという気持ちとそれがまた面白おかしいなという気持ちで、ため息をついた。
半年前、彼はミネストローネと再会した。ミネストローネは自分の旅は一旦終わったと言った。マッシュポテトは彼をエデンに誘った。
カプチーノは自分と同じように新たな仲間が増える事を喜ぶと思ったが、予想に反して二人はいつも喧嘩していた。
マッシュポテト「カプチーノは僕の大切な教え子、ミネストローネも僕の親友……彼らをどうすればいいのか本当にわからない……。御侍様、僕はどうすればいいのでしょうか?あーあ、やっぱり御侍様に頼りすぎたかな?でも、今日もらったこのエデンガーデンの地図のように、このすべては御侍様が僕たちにくれたチャンスだと思うな。」
マッシュポテトは敬虔にノートをなでると、深く息を吸い込んで、地図を丁寧に畳んで、ノートに挟んで、カバンの中に入れる。
マッシュポテトは思わずあくびをした。そして彼は消灯し、布団に潜り込んだ。
マッシュポテトは何か恐ろしいものを夢見ているようで、苦しそうな表情は静かな寝顔に取って代わって、汗が彼の額からにじみ出ている。
マッシュポテト「僕を……僕を捨てないで……!!!」
ドンドンドン!!!ドンドンドン!!!
カプチーノ「先生!ダニエル先生!!!!」
大きなノック音がマッシュポテトの耳に入った。彼が急にベッドから立ち上がった。
マッシュポテト「フウ……夢か……ん?あれは何だ?」
彼は黒い塊が窓の前をさっと通り過ぎていくのを見た。もうちょっと目を揉んでから見直すと、もう何もない。
マッシュポテト「……気のせいか。」
カプチーノ「ダニエル先生!!!!!」
ドアの外ではカプチーノがまだ焦って叫んでいる。あれこれ考える暇もなく、マッシュポテトがドアを開けた。
マッシュポテト「フウ……カプチーノ……あれ?ミネストローネ、どうしてあなたまで来たのですか?」
エデンガーデンⅣ
悪魔の女の子に会った?
エデンガーデンに出発する前の夜、マッシュポテトは悪夢で目を覚ました。彼は部屋のドアを開けて、カプチーノとミネストローネを見た。
ミネストローネ「……無事そうだな。」
マッシュポテト「僕のことですか?心配しないでください。」
カプチーノ「先生、さっきは先生におやすみを言いに来たんだけど、今先生の部屋の前でこそこそしていたこいつを見つけたんだ!こいつが何か起こさないか心配だったから、早く先生を呼んだんだ。先生が無事で本当によかった。」
マッシュポテト「僕の部屋の前に?こんなに遅い時間にここに来たんですか?」
マッシュポテトは目をぱちくりさせて不思議そうに、隣で顔を少し不自然にしているミネストローネを見ている。
ミネストローネ「……何が言いたい?」
マッシュポテト「まさか……あなた夢遊病をひいたんですか?」
ミネストローネ「……バカなことを言うな。俺は隣の部屋でお前の寝言を聞いた、うるさいから様子を見に来た。」
マッシュポテト「あ……そ、そうですか?」
マッシュポテトは恥ずかしそうに耳たぶを触る。
マッシュポテト「すみません、さっきは悪夢を見てました。僕の寝言がそんなに大きいと思いませんでした……。」
カプチーノ「悪夢?でも僕が来た時、この辺りから明らかに悪い気配を感じたよ!」
カプチーノはミネストローネを睨み付ける。ミネストローネも眉を上げて挑発する。
ミネストローネ「おかしいな、ダニエル。どうしてこの学生が泊まる夜にお前は悪夢を見たんだ?本当に偶然か?」
マッシュポテト「……いいからいいから、僕は大丈夫ですよ。もう遅いから、早く寝てください。おやすみなさい。」
マッシュポテトはあくびをして、部屋のドアを閉めようとするが、カプチーノは彼の手を引いた。
カプチーノ「だめだよ、やっぱり先生のこと心配でたまらないよ。僕が先生を守ってあげる。誰かさんがまたこそこそと来るかもしれないからね。」
ミネストローネ「……フン、なら俺も帰らない。ある小僧に無実の罪を着せられるかもしれないからな。」
マッシュポテト「…………。」
ドン!マッシュポテトは二人を廊下に捨てて、迅速にドアを閉めてしまった。
彼は仕方なくこめかみを押して、ため息をついた。
マッシュポテト「はあ〜。二人が仲良くなるまでの道はまだ遠いなぁ……。」
翌日の朝
マッシュポテト「ミネストローネ、カプチーノ、おはようございます!」
ミネストローネ「おはよう、ダニエル。」
カプチーノ「ダニエル先生おはようございます!夜はどうでしたか?」
マッシュポテト「はい!再び悪夢を見ることはありませんでした。とにかく気持ちは良くなりました。」
カプチーノ「よかったですね!じゃあすぐに出発しましょう!」
マッシュポテト「待ちなさい、出発の前に二人に言っておきたいことがあります。」
カプチーノ「ええっ?」
マッシュポテト「お付き添いは本当にありがたいですが……今回の旅は想像以上に危ないかもしれません。ですがそれでも必ず一緒に帰ると約束して欲しいのです!」
エデンガーデンⅤ
「サタンカフェ」の依頼
3人を乗せた馬車は森の端に止まった。
マッシュポテト「地図に示された終点はここですが、本当にエデンガーデンですか?」
目の前の森は、狭い道へ続いている。この馬車ではきっと通らない。
カプチーノ「先生、行こう。様子を見に行こうよ!」
森の中で、三人は周囲を警戒しながら歩いている。周りには特に異常はない。
一番前のミネストローネが急に止まった。
マッシュポテト「どうしました?」
いつの間にか、周囲から濃い霧が現れて、前方に一軒の怪しい黒い城が現れた。
城の前で、一つの人影がゆっくりと霧の中から現れた。
ミルク(スキン)「……なぜここに侵入するのですか?」
カプチーノ「えっと??あなたは悪魔ですか???」
マッシュポテト「こんにちは──聞きたいことがあるのですが──エデンガーデンのある方向をご存知ですか?」
ミルク「……手元の地図を渡してください……。」
マッシュポテト「ええっ?」
マッシュポテトがびっくりして、地図を後ろに隠した。
マッシュポテト「いえ、それはちょっと困りますよ……。」
ミルク「私は……同じ事を二度言いたくありません……。」
マッシュポテト「あの、本当にあげられません……。」
ミルク「……ならここから出ていきなさい。」
ミネストローネ「フン、俺たちがどこに行くのか、お前に関係あるか?」
ミネストローネはにやついて、次の一秒で銃を取り出した。
マッシュポテトが急いで前に進んで、ミネストローネと相手の間に止まった。
ミネストローネ「コイツは目障りだ、なぜ俺を阻む?」
マッシュポテト「ちゃんと話をしなさい、喧嘩しても問題は解決しませんから!」
ミルク「うん……地図は本物ですね……。」
マッシュポテト「え??」
突然耳に入った声のせいでマッシュポテトはびっくりした。彼が振り向くと、いつの間にか女の子が近づいて来て彼の手元の地図をじっと見ている。
ミルク「これは精霊文字ですね。あなたたちは私が待っていた人たちのようです。」
マッシュポテト「すみません、今何て言いましたか?」
ミルク「私についてきてください。」
女の子はマッシュポテトの質問に答えなかった。ただ振り向いて、黒い建物に向かって行く。そしてその姿はすぐ消えてしまった。
カプチーノ「先生……僕たちをあそこに誘ってるのはどういうつもりなのかな……。」
マッシュポテト「僕にもわかりません……でも彼女は悪意を持っていないと思います。とにかく行ってみましょう。」
エデンガーデンⅥ
本物のエデンガーデンが現れたばかりだ。
マッシュポテトたちは神秘的な女の子についていき、森の黒い城に入った。
カプチーノ「ここ、悪魔のキャッスルとかじゃないの……?」
ミネストローネ「何を怖がることがある?」
ミネストローネはためらうことなく、目の前の黒い扉を開けた。
澄んだ風鈴の音がしてから、濃いコーヒーの香りが三人の鼻に入って来た。
マッシュポテト「ウワ……まさかここは……。」
ミルク(通常)「いらっしゃいませ。」
カプチーノ「えええ?さっきの……悪魔姉ちゃん??」
ミルク「……。」
彼女は何も言わず、ただ三人を一目見ると立ち去った。
カプチーノ「……僕いけない話してあの人を怒らせたかな……。」
コーヒー「大丈夫ですよ、ミルクちゃんはちょっと恥ずかしくなっただけですから。」
店の向こうからきれいな男の声が聞こえ、三人の注意を引いた。
コーヒー「『サタンカフェ』へようこそ、私は店主のコーヒーと申します。」
カプチーノ「『サタンカフェ』……聞いたことある!あの伝説の、多くの手紙を送る人の願いをかなえてくれるという。どこを探しても見つからない、けどどこにでもある神出鬼没のカフェ!そうだよね?」
コーヒー「ハハハ、そうですか?今、外の人たちは私たちをそのように評価してるんですか?」
コーヒー「こんにちは、ダニエル。あなたにあげたいものがあります。」
マッシュポテト「え?僕のことを知っているんですか?」
コーヒー「ある人が私に預けたものです。あの人は…本物の地図を持つ人こそが本物のダニエルだと言っていました。」
コーヒー「私たちも頼まれた。あなたが来る前に、私たちはエデンガーデンを誰も見つけられないように守らなければならなかった。」
マッシュポテトが箱の古い、複雑な文様に触ると、閉じていた箱が突然開いた。
コーヒー「やっぱりあなたですね。あの頃から、私たちはこれを開けられたことがありません。あのお客さんはこの中が「エデンガーデン」への入り口だと言っていました。」
マッシュポテトは一瞬気が抜けた。隣のミネストローネも頭を上げた。
マッシュポテト「入り口が……箱の中に?どういう意味ですか?」
マッシュポテトが丁寧に箱の中を観察する。
箱の中にあるのは、強い魔法なんて発していない、一つのネックレス。そしてネックレスのペンダントには青い葉が封じられている。
マッシュポテトの注意は完全にこのネックレスに惹かれて、思わずそれを持ち上げた。
カプチーノ「先生、これライフツリーの葉じゃないかな?」
マッシュポテト「その通りです……しかしどうしてここにあるのでしょうか……一体誰が僕にこれをのこしたのでしょうか……。」
この時から、マッシュポテトは今回の旅はそんなに簡単なものではないと思い始めた。
そして、不思議なことが起こった。マッシュポテトがネックレスを取ってから、ネックレスはだんだん光を発して、だんだん明るくなって来た。大地も急に震えて来た。
カプチーノ「外で何か物音がする!」
マッシュポテト「早く行ってみましょう!」
第三章-ジャッジの実
ジャッジの実Ⅰ
すみません、お邪魔しました。
全員はカフェを飛び出して、やっとはっきりそれを見た。さっきまであった森は生き物のように両側に退いていて、目の前に突然新たな場所が現れた。
天地の間には青紫の光のカーテンがかかっている。光のカーテンの後ろには、新しい世界がある。
マッシュポテト「これが……エデンガーデンなのか……?」
カプチーノ「やった先生、僕たちは見つけたんだ!」
コーヒー「そうだ、皆さん、もう一つ伝えなければならなかった。箱を預けたお客は「入り口」に入るチャンスは一回のみと言ってました。成功失敗問わず、君たちが離れたら、あれは完全に消えます。」
マッシュポテト「『成功』?それはどういう意味ですか?」
コーヒー「すみません、これ以上は私も知りません。ただ伝言をあなたに伝えただけです。これからの道の幸運を祈ります。」
今まではまだ順調だったが、謎がまだ解明されていないだけでなく、逆に多くなった。
エデンガーデンの地図を送ったのは誰だ?コーヒーが言っていた客か?まるでマッシュポテトを一歩ずつ引っ張る人がいるようで、すべての手配をしてしまったかのようだ。エデンガーデンで何か完成させなければならないことが彼を待っているのか?
ひとしきりの短い白い光が過ぎて、三人は再び目を開けた。
青い光が彼らの周りに漂っている。天地の間に大きな青い木が立っている。神秘的で静かで、人に息を止めさせる……。
カプチーノ「先生……あれがライフツリーかな……?」
マッシュポテト「そうかもしれません。……あれ?何か音が聞こえませんか?」
ミネストローネ「誰だそこにいるのは?!」
ジャッジツリー精霊「ウワ──声大きすぎ。寝たいのに。」
マッシュポテト「え?」
青い木の隣の芝生で、それは一人でよろよろと起き上がった。
マッシュポテト「君は植物精霊???」
ジャッジツリー精霊「ハァ?言い方に注意しな……俺は何千年も生きてきた、せめて敬語を使おう?」
マッシュポテト「はい!申し訳ございません……さっきは気分が高ぶってましたから……僕は初めて精霊にお目にかかります……御侍様のノートに書かれていた生物がまさか本当に実在するとは……。」
ジャッジツリー精霊「フン……まあ良いだろう……。木霊の俺たちは元々精霊の中でも数が最も多い一族だった……。今は逆に後輩に希少生物と扱われている……。」
マッシュポテト「申し訳ございません……。」
ジャッジツリー精霊「無駄話はやめろ。それより、ここは久しぶりに人が来た。何をしに来た?」
マッシュポテト「お忙しいところ申し訳ございませんが、僕たちはライフツリーを探しにきました。」
ジャッジツリー精霊「ハハハ、また道を間違えたバカだ……よく見ろよ!あいつと少し似ているが、俺は根性がある、ジャッジツリー様だ。あんな根性なしな奴じゃねえよ!」
マッシュポテト「へ?ジャッジツリー?」
マッシュポテトがびっくりした。その名前は御侍のノートで見たことがある……。そして……厄介な奴だ……。彼は黙ってカプチーノとミネストローネを引っ張りながら、少し後ろに下がった。
マッシュポテト「なるほど、こっちのミスですよね。申し訳ございません、ではお先に失礼します!」
ジャッジツリー精霊「ハア?──俺の睡眠を邪魔したのに、そう簡単に立ち去れると思うか?ちょうど、俺は何年も実が生っていなかった……お前の霊力旨そうだな、残って俺の栄養分になれ!」
声が落ちないうちに、巨大な葉っぱが突然三人に向かって吹き寄せられた!
マッシュポテト「しまった!危ない!早く避けて!」
マッシュポテトは隣の二人を押しのけて、自分は木の葉に包まれて、まもなく木の葉の間に埋もれそうになる。その時、ミネストローネがぱっと飛び上がって、彼の手をつかんで、外に引っ張り出そうと試みた。
マッシュポテト「ウ──ミネストローネ!離しなさい!このままではあなたも引き込まれる!」
ミネストローネ「うるさい!」
ジャッジツリー精霊「ハハハ!一気に二匹を掴んだ!これでお腹いっぱいになれそうだぜ!」
もう一枚の巨大な木の葉が襲ってきて、ミネストローネの背中に直撃した。彼は息をのんで、抵抗力を失った……。
ジャッジの実Ⅱ
赤い善悪の実を育てよう。
マッシュポテトが目を開けると、身の回りは白い霧ばかりだった。彼はこわばった体を動かして、やっと自分の右手が誰かにしっかりと握られていることに気づいた。
相手──ミネストローネの力が強い。マッシュポテトは少し痛みを感じた。
マッシュポテト「ミネストローネ、起きてください。大丈夫ですか?」
ミネストローネ「グ……。」
ミネストローネは目覚めた。
ミネストローネ「ここはどこだ?」
マッシュポテト「御侍様のノートに書かれていたことが間違いないなら……ここはジャッジツリーの幻影(ファントム)の中のはずです……。極雪原にいた頃、悪の花に出会ったことを覚えていますか?」
ミネストローネ「……当たり前だ。」
マッシュポテト「御侍様のノートの中にジャッジツリーの資料があります。彼と悪の花は同じく精神系の精霊植物であり、ファントムで生き物の精神力を捕食するのが得意です。だからここを脱出したいなら、ジャッジツリーのファントム攻撃を我慢しなければなりません……。」
ミネストローネは眉をひそめる。
マッシュポテト「……でもあまり心配しなくてもいいです。彼は悪の花と違う。悪の花は人の悪夢を専門に吸収します。それに対してファントムは人の負の感情が積み重なってできます。ジャッジツリーは、プラスの感情でもマイナスの感情でも、実を生らせることができる。僕たちが楽しいことばかり考えて、悪いことを考えなければ、このファントムが僕達を傷つけることはないと考えられます!」
ミネストローネ「無駄だ、外に出られないなら。例え良い夢だろうと夢中にさせられたら、外に出られないのだから同じく死ぬぞ!」
マッシュポテト「そんなことはありません。ノートによるといい夢の力はジャッジツリーに赤い実を生らせます。その時にジャッジツリーはファントムの中にいる生物を解放します。逆に、ファントムの中にいる人のマイナス感情が多すぎると、ジャッジツリーは黒い実を得ます……そして、その人は永遠にファントムの中に拘束されます……。だから楽しいことを考えれば、きっと外に出られます!僕を信じてください……では、まずは僕がやってみましょう。」
マッシュポテトは目を閉じて、両手を合わせて胸の前に置く。
マッシュポテト「うん……そういえば、来月はエデンの無料解放サービスを実施するんでした……その時はきっと多くの人が僕の植物園を見にくるはずですから、とても楽しみです!」
話終わると、周りの景色が急に変わった。白い霧が散って、花と緑の葉が足元から広がり、見慣れた庭園が目の前に現れてきた。
マッシュポテト「ほら見てください、エデンです!やはり御侍の記録は正しかったのです。」
マッシュポテトは目を開けて、驚喜して周りのすべてを見ている。
遥かな空にあるべき太陽は、今一つの赤い実に代わられた。しかしまだ未熟すぎて、完熟まではまだ遠い。
しばらくした後、エデンのファントムが散った。周りは再び白い霧しか見えない。
マッシュポテト「この通り、とても簡単です。さあ、一緒に頑張ればきっと出られます!ミネストローネ、あなたもやってみましょう!」
ミネストローネ「……。」
ミネストローネ「もう想像している。」
マッシュポテト「本当に?」
マッシュポテトはちょっと周りを見る。
マッシュポテト「でも僕には何も見えませんよ。」
ミネストローネ「楽しいことなんて出会ったことがない。」
ミネストローネは目をそらして、自分自身を皮肉るように笑った。
ミネストローネ「まあ、どうしてもと言うなら…それはお前と一緒にいる時間……。」
ジャッジの実Ⅲ
彼の楽しい思い出はあなただけだ。
ミネストローネ「楽しいことなんて出会ったことがない。……まあ、どうしてもと言うなら…それはお前と一緒にいる時間……。」
ミネストローネはそんなことを言いながら、マッシュポテトを見た。その言葉を聞いたマッシュポテトは少し呆然とした。すぐに意識を取り戻したが、何を言うべきかわからない。
マッシュポテト「えと、あの……もうちょっと考えてみましょう……楽しいことがないなんて……ミネストローネは忘れているだけかもしれません。前の旅で……あなたは色々な場所に行った……一つもないのは……あり得ない………………すみません。」
明らかに、マッシュポテトはミネストローネの話の後半を聞いていなかった、彼の声がどんどん小さくなり、最後は一言の陳謝で終わるしかなかった。
彼はどうやってミネストローネを慰めればよいのかわからない。周りの生気を持たない白い霧を見たらわかる。こんな時、相手を信じることは、無理やり過去のことを振り返るよりもっといい選択肢だ。
ミネストローネ「お前にここでこんなことを話すべきではない。」
マッシュポテトが頭を上げると、ミネストローネが肩をすくめて笑っているのを見た。
ミネストローネ「……さもないと、ここでお前の気持ちを悪くさせて、俺たちの状況はもっとやばくなるだろう。」
マッシュポテト「……そんな冗談はやめてください。」
マッシュポテト「昔のことはどうでもいいです、これから、時間はまだたくさんあります。僕たちはまた楽しいメモリーをいっぱい作ることができます。」
ミネストローネ「……ダニエル……。」
マッシュポテト「今は心配しなくてもいいですよ。僕がミネストローネに最も楽しいことを教えてあげます。それならあなたもあの楽しい瞬間を体験することができます。」
ミネストローネ「………………わかった。」
マッシュポテトはミネストローネがうなずいたのを見て、やっと笑いを取り戻した。
マッシュポテト「僕が最初に出会った、自分を楽しませてくれた人間は、僕の御侍様と彼の奥さんです。御侍様の名前はパクリト、とてもかわいい植物学研究者です……。」
マッシュポテトがゆっくり説明するにつれて、二人の周りにマッシュポテトの思い出が出現した。マッシュポテトが召喚された直後や、御侍夫婦が植物学を勉強する様子等、家族三人で過ごした何十年間の貴重な思い出が。
マッシュポテト「二人ともいい人です……僕は食霊ですが、教授と奥さんのことを自分の両親だと思って接しました。……でも人間の命は短すぎました。一緒にいた時間はたった数十年ぽっちです。教授と奥さんには子どもがいません。二人はエデンを僕に残してくれました。彼らがいなくなったばかりの頃、僕はとても苦しかった。でもその後、ブルーチーズが僕を見つけました。」
マッシュポテトが手を伸ばすと、白い雲が彼の手の中でバイオリンの形になった。
マッシュポテト「ブルーチーズも僕の家族です。彼は僕に家族の温かさを改めて感じさせてくれました。あの時、僕はもう一度立ち上がってエデンをしっかりと守っていく決心をしたのです。それからカプチーノに出会って、あなたに出会うことができました。」
ミネストローネはまだ反応がない。マッシュポテトは「彼は僕の過去に興味がないのだ」と思った。だから彼に関することを話したくなった。
そう思うと、周りの景色がまた変わって、見慣れた洞窟がそのまま二人の前に現れた。
ミネストローネは急に足を止めて、ようやく和らいだと思った表情がまた硬くなった。
ジャッジの実Ⅳ
初めの場所に戻る。
マッシュポテト「あれ?ここは極雪原の洞窟ではないですか?」
ミネストローネ「どうしてここに現れたんですか?ミネストローネは楽しいことを思い出しているんでしょう。」
マッシュポテト「だからだろう。お前とはここで知り合ったからな。俺にとってこれは楽しいことだ……。」
ミネストローネ「………………。」
マッシュポテト「ここが現れたなら、次は出口に行きましょ。早く出ていかなければなりませんから。」
ミネストローネは返事しなかった。今の彼は顔が疲れているが、執拗に前に進んでいる。
マッシュポテト「そういえば、極雪原にいた頃もこのようにファントムの中に閉じ込められていましたね。……いつも変なところに閉じ込められやすいようですね。」
ミネストローネ「ホウ?あれは楽しいことだったか?」
マッシュポテト「あの出来事があったから、僕たちは出会ったのです。大切な思い出ではないですか?」
ミネストローネ「思い出か?まあそれはここから出られた後の話だ。」
マッシュポテト「出られますよ。ほら、あの実はもうすぐ成熟しそうです。」
マッシュポテトは彼らの前にずっとつり下がっている赤い実を指す。
マッシュポテト「こう見ると、楽勝ですね。……成熟したら取れるのかはまだわかりませんけど……。」
ミネストローネ「フン、こんな時にそんな考え方ができるのはお前しかいない。」
この話をしているミネストローネの疲れた顔に現れた微笑みが幻覚だったかどうかはマッシュポテトにはわからないが、またマッシュポテトを喜ばせた。
マッシュポテト「そうですよ、これは僕にとって一番幸せなことです。また悪の華のような悪霊にあうかもしれませんが、それでも植物研究の道を行き続けたいです。それにお陰様で、あなたとカプチーノに出会えましたしね……。」
ミネストローネ「…………。」
喋っていたマッシュポテトはこの時になってやっと、ミネストローネの表情が更に苦しくなったことに気づいた。彼はミネストローネをなだめたいが、慌ただしい中、先に宙づりの実の結果を見た。
マッシュポテト「待って!どうして実が黒くなっているんですか……。ミネストローネ、何を考えていたんですか?」
ミネストローネ「……フン、俺にとってこの場所は……想像よりやばいな……。」
マッシュポテト「落ち着いて、余計なことを考えないで!」
マッシュポテトはミネストローネの体がかすかに震えていることに気づいた。彼は何か恐ろしいことを思い出したようで、強烈なアレルギー反応が現れていた。マッシュポテトがドキドキして、ミネストローネの手を引っ張りながら出口に向かって走る。
マッシュポテト「もうちょっと頑張ってください!出口はあと少しです!」
突然、洞窟が揺れ動いた。
ターダッキン「……ん?」
そして出口の方向に一人の知らない人が現れた。マッシュポテトは彼女の姿に見覚えがあったが、具体的に誰だったか思い出せない……。
しかしこの時、ミネストローネは一歩進んで、銃を取り出した。これ以上自分の暴走を抑えることは不可能だったためか、彼は前の女性に向けて三発撃った。
バシッ!バシッ!バシッ!
ミネストローネ「どけ!しつこいやつだ!」
マッシュポテトは少しびっくりした。彼は今までここまで暴れるミネストローネを見たことがなかった。
もっとやばい事に、目の前の女性は撃退されず、逆に攻撃された事で二人の存在に気づいてしまった。
彼女は首をかしげて、二人を観察すると、彼女の両手が幽霊のような炎で燃えあがった。彼女はミネストローネの目をじっと見て、ゆっくりと歩いてくる。
ターダッキン「ミネストローネよ、私が君の魂の穢れを取り去ってあげる。」
彼女の声が聞こえるとほぼ同時に、マッシュポテトはミネストローネの手のひらの冷たさを感じた。
マッシュポテト(魂の穢れ?どういう意味なんだ??)
マッシュポテトの心は千々に乱れているが、それ以上尋ねる余裕を持たない。相手の霊力があまりに強すぎるため、まるでここがファントムの中ではなく現実であるかのように感じる……。
ミネストローネ「どけ!!」
ミネストローネは彼女の一言で追い詰められたようで、また銃で数発撃ったが、霊力で構成される弾は相手の体に当たると泥丸のように消えてしまった。
相手の手の中の炎が鳳凰の形になって、彼らに向かって吹きすさぶ。
マッシュポテト「逃げて!!!」
ジャッジの実Ⅴ
堕化の罪。
マッシュポテトはミネストローネの手を引いて洞窟の中に逃げる。
炎の鳳凰が後ろからついてくる。マッシュポテトは自分の髪も燃えていると何回も錯覚した。
マッシュポテト(いいえ、錯覚ではない、本当に燃えている!)
マッシュポテトが自分の髪の焦げた匂いを嗅ぐと、怒った。
──エデンのスタッフ全員が知っている、彼らの園長が自分の髪を園内の植物と同じように扱って大切にすることを。
マッシュポテト「酷すぎだ!」
マッシュポテトは突然足を止めて、振り返って、つるを呼び出す。沢山のつるは鳳凰に向かって飛びかかって、一歩、また一歩、ついに、しばらく後方を塞いだ。
マッシュポテト「……フウ。しばらく……彼女を足止めできました……。ここは道がとても複雑ですから、彼女がここに来るには時間がかかりそうです。そして彼女は僕たちと同じく道を知らないかもしれないですね。ハハハ……。」
マッシュポテトは疲れ切って石の壁に寄り、冗談を言う。
ミネストローネ「……お前は俺を捨てたらいいんだ。」
マッシュポテト「バカなことを言わないで……。」
マッシュポテトの呼吸がやっと穏やかになった。
彼はミネストローネを見て、言いかけてやめた。
ミネストローネ「あの女は誰か知りたいのか?」
マッシュポテトがうなずいた。
マッシュポテト「さっき思い出しました。極雪原で僕たちがファントムに陥っていた時、彼女も現れて、僕たちを驚かせた。当時の僕らの逃げ方も同じ……。でも彼女は当時と今の様子が違っていたようです……。名前はターダッキン、人間社会での身分は葬儀屋。僕は彼女についてこれくらいしか知りません。僕の御侍が亡くなった時、彼女に会ったことがあります……。でもミネストローネは彼女と……?」
ミネストローネ「あの女は俺を殺したいんだ。」
マッシュポテトが驚いて顔を上げた。
マッシュポテト「彼女は……あなたに恨みがあるんですか?」
ミネストローネ「いいや違う。」
マッシュポテト「じゃあ彼女はどうしてあなたを殺したいんですか?」
ミネストローネ「あの女にとって、俺の魂は……すでに堕とされたものだからだ。」
マッシュポテト「……なに?」
ミネストローネ「俺はお前に言ったな、お前に会う前は楽しいことがなかったと……。簡単に言えば、昔の俺はある人間に捕まえられて実験材料になっていた……。力を尽くして脱出した後、俺を救ったのは彼女だ。」
マッシュポテト「実験?どんな実験ですか?」
ミネストローネ「…………あれに関することを離したくない。」
マッシュポテト「ああ、すみません……言わなくてもいいですよ……すでに過ぎたことです……。しかし彼女があなたを救ったなら、どうしてまた……あなたを殺したいのですか?」
ミネストローネ「彼女が俺を救ってくれた時、俺の体は普通の食霊に比べて別のものになっていた。俺の体は堕化している。……ターダッキンは、堕化している俺はいつか自分の体をコントロールできなくなるからその前に俺を殺さなければならない、と思っている。彼女が他の奴にこの話をしている所を、俺は盗み聞いた。だから彼女が殺る前に俺はまた逃げた……。そのまま極雪原に来て、あの谷に行き着いた。」
マッシュポテト「………………なるほど……そういうことだったんですね……。」
ミネストローネは自分を皮肉るように笑った。
ミネストローネ「怖いか?こんなことを知って。安心しろ。エデンガーデンから脱出したら、俺はエデンを離れる。決してお前を困らせない。」
マッシュポテトが驚いて顔を上げた。
マッシュポテト「こんなことを知って、あなた一人で行かせるわけないでしょう!!!」
ミネストローネ「……なんだと?」
マッシュポテト「もし彼女に追跡されたらどうするんですか?もしくは彼女のようにあなたを狙う人に会ったらどうするんですか?それに、あなたが捕まえられて、人間に傷つけられて、堕化していたのだってあなたのせいではない。悪いのはあなたを傷つけた人間だ!何も間違っていないのに、なぜこんなことを……。おかしいよ!本当におかしいよ!」
マッシュポテトは珍しく怒りの表情を見せた。彼は深く息を吸い込んで、ミネストローネを見ると、語り口を緩めた。
マッシュポテト「一人でこれを背負うべきではありません。」
ミネストローネ「…………。」
マッシュポテト「これからエデンに住みなさい。僕があなたを守る。ライフツリーを見つけたら、あなたの傷もきっと治ると思いますよ!」
ミネストローネはあっけにとられて、しばらくした後、彼は黙って振り向いて、かすかな笑いを浮かべた。
ミネストローネ「ダニエル、お前は本当に……甘すぎだ。」
マッシュポテトが何か反論しようとした時、頑丈だと思っていたつるの壁が一瞬にして燃えて破られた。
ターダッキン「見、つ、け、た。」
ジャッジの実Ⅵ
魂の善悪、どうやって判明する?
つるの壁はターダッキンの猛火に破壊された。
ミネストローネ「……ダニエル、彼女は俺の感情から生まれた幻像、だからお前は安全だ、今すぐここを離れろ!」
ターダッキン「……幻像?」
ミネストローネ「ダニエル!早く行け!」
マッシュポテト「いいえ、お断りします!」
マッシュポテトは上の黒い実を見ると、決心して、ミネストローネの前に立ちはだかった。
マッシュポテト「あなたがここに閉じ込められたら、僕が楽しくなることは絶対にない!」
ミネストローネ「バカが!」
ターダッキン「君は……彼の友人?」
マッシュポテト「そうだ、彼に指一本触れさせない。彼は何もしていないのに。あなたがそんな風に独断してはいけない!」
ターダッキン「……独断?魂の善し悪しを、私は一目でジャッジできる。」
マッシュポテト「あなたがどうやって人の良否を判断するのかはわからない。だが僕は知っている。完全に枯れている草植物でも、心を込めて面倒をみさえすれば、枯れ木に芽を出すことができる。だから勝手に除去するな!どうしてミネストローネの堕化が必ず他人に危害を及ぼすと決めつけるのですか?」
ターダッキン「彼の存在は、世界のルールに違反するもの。危険すぎるの。」
マッシュポテト「僕が彼の面倒をみる、決してそんなことをさせない!」
ターダッキン「もしこのままあなたが本当に彼と一緒にいるつもりなら…いつか…彼に支配される……。」
マッシュポテト「そんな日は来ない、僕が必ず彼を治すから!」
ターダッキン「頑固な生き物……。」
ターダッキンはもう何も言わないで、再び炎を集めてミネストローネを攻撃する。周りの岩が揺れてきた。全てがまるであの日の極雪原の再現のようだ。
ミネストローネ「洞窟がもうすぐ崩れる、早く逃げろ!」
しかし今回、マッシュポテトは逃げなかった。逆にミネストローネの前に進んだ。
マッシュポテト「心配しないで、今回は僕があなたの味方についています!」
マッシュポテトは目を閉じて、強打を受ける準備をしたが、長い間何も起きなかった。
彼はゆっくりと目を開けた。周りが再び白くなった。ターダッキン、極雪原、洞窟、全部見えない。
続いて、彼は頭を上げる。天上にかかっているあの実はいつの間にか赤色に戻っていた。それはゆっくりと旺盛になって、ついに熟して、最後はマッシュポテトの手元に舞い落ちてきた。
周りの白い霧がだんだん消えていって、ジャッジツリーが再び彼らの前に現れる。
マッシュポテト「……終わった?」
マッシュポテトは赤い実を呆然と見ている。
マッシュポテト「でも……どうして……さっきのような状況……最も危ない状況だったのに、どうしてミネストローネを喜ばせたのですか……?」
再び赤い実を見ると、急に一つの考え方が生じた。
マッシュポテト(まさかミネストローネにとって……危ない時に誰かが彼の傍にいることが……最も楽しい夢なのでしょうか……?)
そんなことを考え、マッシュポテトの目から突然涙が落ちる。彼は振り向いてミネストローネにハグをした。
マッシュポテト「やった、成功した!」
ミネストローネ「……チッ。」
カプチーノが走ってきて、二人を無理やりに隔てる。
ジャッジの実Ⅶ
あなたと一緒に。
ミネストローネ「……しつこいガキだ。」
カプチーノ「フン!」
カプチーノはミネストローネに向いてあかんべえをすると、振り返って、マッシュポテトを心配の目で見ている。
カプチーノ「先生、大丈夫?あの精霊!アイツは二人がファントムの中にいると言ってたけど、どうしても僕を入らせなかった!腹が立ったよ!」
カプチーノが怒って言った。
マッシュポテト「もう大丈夫ですよ。ほら僕とミネストローネ二人とも脱出しました。……ちょっと待って……こんなにたくさんの葉をどうしたんですか……?」
カプチーノ「僕はファントムに入れないから、あいつの葉に腹いせしてやったよ!」
ジャッジツリー精霊「……俺様の葉……クソ!ウウウウウ……。」
マッシュポテトが抜かれた葉を見てから、そばで黙々と泣いているジャッジツリー精霊を見る。
マッシュポテト「どうして……僕たちにはあんなに酷いことをしたのに、カプチーノには……そんなに優しいのですか?」
カプチーノ「さあ、僕かわいすぎかも?」
マッシュポテト「……まあいいです。どんな理由にしろ、早くここから離れなければなりません!」
傍らで自分の葉を悼んでいたジャッジツリーは涙を拭い去って、三人の前に来た。
ジャッジツリー精霊「まだ逃げたいのか?俺様が許可しない!せっかく素晴らしい食べ物に出会ったんだ。今日、貴様らの一人は俺様の長期的な食材として残らなければならない!さもないと、一人も逃がさせない!」
カプチーノ「なに?さっき自分で言ったよね、先生たちがファントムを破壊したら、僕たちを逃がしてくれるって!」
ジャッジツリー精霊「に、逃がしてやるとは確かに言ったが、何人を逃がしてやるかは言わなかった!とにかく、早く決めろ!ハハン、ここは俺様の国だ。俺様の庇護が無ければ、お前たちの霊力は少しずつ消えていく……最後は、三人とも俺様の食料になる運命だ!」
カプチーノ「じゃ僕があなたの葉を全部抜いてあげる!」
ジャッジツリー精霊「ハハン???俺様を脅してるのか?」
ミネストローネ「無駄だ、この場所の全ては、こいつの幻像だ。」
カプチーノ「……じゃ僕が残る!彼の木皮を全部剥がしてしまうよ!」
ジャッジツリー精霊「……貴様、貴様はいらん。幼すぎて、夢が全然美味しくない。」
ミネストローネ「フン、じゃ俺はどうだ?」
ジャッジツリー精霊「貴様の心にもいい夢がねえ!」
カプチーノ「じゃあ決める必要あった?あなたは最初から先生を狙ってたんだ!」
マッシュポテト「……簡単に僕たちを見逃すつもりはないみたいですね。」
ジャッジツリー精霊「当たり前だろう、まだ完成していないのに、貴様を見逃すわけがない……」
マッシュポテト「今何て言いましたか?」
ジャッジツリー精霊「ゴホゴホゴホ、何でもない。これは──これは俺様が食材を蓄える精霊法陣だ、貴様が入るなら、他の二人は逃がしてもいい!」
一つの渦巻状の穴が木の表面状に現れた。
マッシュポテト「……本当に?」
カプチーノ「先生!彼の話を信じないで!約束したでしょ!一緒に出発して、一緒に帰るって!」
マッシュポテトはためらいつつも法陣を見る。カプチーノは急に彼をあわててつかんだ。
マッシュポテトはカプチーノの手をたたいたが、本当は彼の不安を解消してやりたい。
突然、強い風がマッシュポテトの前を通り過ぎた。彼がびっくりして振り返ると、ミネストローネが法陣に飛び込んでいた。
カプチーノ「先生!!」
マッシュポテトはミネストローネを引っ張りたい。また、カプチーノはマッシュポテトを引っ張りたい。結局、三人は一緒に精霊の法陣の中に落ちた。
第四章-ライフツリー
ライフツリーⅠ
一人を犠牲にする決断。
マッシュポテトはミネストローネを追って精霊の法陣の中に落ちた。
意外にも陣の中には人を蝕む魔法なんかはない。広い空間で、枯れている草木以外何もない。
マッシュポテトは木の下で弱っているミネストローネを見つけた。
マッシュポテト「大丈夫ですか?」
ミネストローネ「……平気だ。だが霊力をたくさん吸われた……。」
マッシュポテト「無謀すぎますよ!まだ他の解決方法があるのに。仮に最後に一人を犠牲にしなければならなくても、それは僕だ!」
マッシュポテトの息が速い。ミネストローネを支えて立ち上がった。
その時、カプチーノも飛び込んできた。
カプチーノ「先生!そして、おい、大丈夫か?」
カプチーノの珍しい関心に対して、ミネストローネも拗ねた顔で振り向く。
ミネストローネ「……うん。」
カプチーノはマッシュポテトを助けてから弱っているミネストローネを支える。三人は石に腰を下ろした。
そして不思議なことが起きた。
彼らが枯れた木を離れてから、生気がなさそうな木が突然緑へ帰った。ほぼ一瞬で、目の前の大きな木が生き返った。
マッシュポテト「これは……ライフツリー!」
マッシュポテトが驚いて言った。
盖娅「そうだよ、彼こそライフツリー……選ばれし者以外が彼に触ったら、枯れるしかない……。」
突然、木の枝の間から一人の妖精の少女が現れた。彼女は笑顔で三人を見ている。
ライフツリーⅡ
大地の精霊の継承者?
マッシュポテト、カプチーノとミネストローネは精霊法陣に落ちた。自分達は精霊の食べ物になると思っていたが、なんと本物のライフツリーが彼らの前に現れた。そしてこの不思議な空間にまた一人の妖精のような少女が現れた。彼女は一体何者だ……?
マッシュポテト「だから、ここはジャッジツリーの食糧倉庫ではないという事ですか?」
盖娅「フフン、もちろん。ジャッジツリーは寝過ぎ精霊だ。彼に沢山の夢をあげても、よく眠れなくなるだけだよ。」
盖娅「彼の行動は私を助けているだけだ。君に一つの試練をあげる。ファントムの中で君は悪い考えを排除し、君の善良さを証明した。これは最も基本的な品格である。」
盖娅「次に、誰かを犠牲にしなければならない法陣を前にして、君の仲間に混乱させられたけど、十分な勇気を示した。これも継承者にとってもう一つの重要な品格である。」
盖娅「この二重の試練に合格した者だけが、本物のライフツリーのところに来ることができる……。君はやっと来たね、ダニエル、ずっと待っていた。」
彼女の視線はまるで熱を帯びているかのようだ。マッシュポテトは首筋の間にゆっくりと熱を感じた。彼は手を伸ばしてつかんだ――ライフツリーの葉のネックレスだ。
マッシュポテト「このネックレスを僕にくれたのは君ですか?そして……地図も……。――僕たちをここに導いたのは君ですか?」
盖娅「いいや。私が探していたのは、最初から「君」だけだ。エデンガーデンの力を継承する食霊は、君だけと信じている。」
マッシュポテトがまゆをひそめた。彼は精霊の話を理解できない。
マッシュポテト「エデンガーデンの力を継承する?……あなた一体誰ですか?」
盖娅「私の名前はガイア、このエデンガーデンを司る精霊。私はエデンガーデンの本体だと考えてもいい。」
マッシュポテトは驚いて目を大きくした。隣のミネストローネとカプチーノもびっくりした。
マッシュポテト「エデンガーデンは……生き物ということ?」
盖娅「全ての土地は自分の命を持っている。精霊時代ならあまり珍しくないことだったけど……今は……霊気を持つ土地はますます少なくなっている。」
マッシュポテト「よくわかります……。」
建物の建造、鉱物の発掘……今の人類は幻晶石を掘るため、手段を問わず山と川の環境を破壊した……。多くの自然環境は自己再生の能力を失った。
このままでは世界は悪循環に陥ると気づいたからこそ、マッシュポテトの御侍はプロジェクト種を実行して、世界終焉のために準備した。
マッシュポテト「この世界にまだエデンガーデンのような霊気がいっぱいなところが存在しているなんて思いませんでした……。」
ガイアは首を横に振った。
盖娅「多くの人は、エデンガーデンは精霊時代から保存されて残された秘密の花園だと言っている……。隠された理由は、人類がここの数え切れない宝物を破壊しないようにするため……。君もそう思うでしょ?」
マッシュポテト「そうではないですか?」
盖娅「イエスと言ってもいい、ノーと言ってもいい。隠された理由について、もう一つある。ここの植物精霊たちが外の世界に流出するのを防ぐことだ。」
マッシュポテト「つまり、ここの精霊植物は、わざわざここに閉じ込められたのですか?」
盖娅「ああ。元々彼らは精霊時代の子。今の人間世界で生きるなら、「寄生」という手段しか使えない。」
マッシュポテト「寄生?」
ミネストローネ「……。」
盖娅「そう、植物精霊の寄生は精霊時代ではあまり大したことではない。精霊には植物の精霊が寄生している。双方の力を共有するのは、公平的な協力だ。」
盖娅「君が知っているように、この土地では色々な力が存在している。今の人間、さらに食霊にとっても致命的なものだ。」
盖娅「もしエデンガーデンの精霊植物を放っておくと、世界はすぐに植物に支配された寄生生物になる。」
盖娅「これが私がエデンガーデンを隠す最も根本的な原因。」
マッシュポテト「なるほど……。」
盖娅「人類の時代の始めから、私はエデンガーデンと外の世界との接触を遮断していたが、一人で支えすぎた……。」
盖娅「またガーデンの一部の危険な存在は外の世界を呑み込みたいと考えている。私もここをどれぐらい守れるか分からない。」
盖娅「だから継承者が必要なんだ。私の力を継ぎ、私の代わりにエデンガーデンを守る者が。ダニエル、その者は、君だ。」
ライフツリーⅢ
二つの世界の選択。
マッシュポテトが固まった。
マッシュポテト「ガイアさん、わからない……どうして僕を選んだのですか?」
マッシュポテト「僕はただ普通の食霊です。」
盖娅「私には私の考えがある、問答無用。とにかく、君が選ばれた。」
盖娅「君が私の力を引き受けるなら、君はライフツリーの全ての力を獲得する、そしてエデンガーデンの全ての資源を支配する。」
盖娅「しかし――」
ガイアは言葉を止めると、三人に向けて、最も残酷なルールをはっきり言う――
盖娅「もし君がエデンガーデンを継承するなら、私と同じく、永遠にここから離れられない、自然消滅するまで。」
マッシュポテト「……他の選択肢はありますか?」
盖娅「もちろん。」
盖娅「私の時間はあまり長くない、君が私の最後の希望……君が拒否するなら、私が自然に帰った後、エデンガーデンは完全に世界の前に暴露される。」
盖娅「その時……エデンガーデンを狙う人類も、エデンガーデンの世界を支配したい植物も、全てが暴走するだろう。」
マッシュポテト「それは……私が見たくない状況です。」
カプチーノ「ダニエル先生、彼女の話を信じないで。ここに来た人全員に同じ話をしているかもしれない。」
盖娅「精霊族の名誉にかけて誓う。私は嘘はつかない。」
ガイアはライフツリーの枝に飛び乗り、中から種を取って、手のひらに載せて、マッシュポテトの前に伸ばす。
盖娅「君がエデンガーデンを継承するなら、このライフツリーは君を主人として認識する。君は最上位の治療術を身につける。」
マッシュポテト「……僕は……。」
マッシュポテトが目の前の種を見てから、躊躇してカプチーノとミネストローネを見る。
カプチーノ「ダニエル先生!やめてください、僕はまだたくさんのことを先生に聞きたい……。」
隣のミネストローネも立ち上がって、マッシュポテトをじっと見つめる。
ミネストローネ「ダニエル、さっきファントムの中にいたこと、もう忘れたのか?」
マッシュポテトの動きが止まった。
マッシュポテト「心配しないで下さい、今回は僕があなたの味方です!」
マッシュポテトは彼の視線を避けた。
マッシュポテト(その治療術なら……ミネストローネの堕化も治せるかもしれない……)
彼は深く息を吸って、目を閉じて、素早くガイアの手から種を受け取った。
ミネストローネ「ダニエル!!」
マッシュポテト「すみません……僕嘘つきになっちゃいました。」
ミネストローネ「お前!!!」
盖娅「よかった!――ん!何をしているんだ!?」
大きな音がして、ミネストローネの銃がガイアの前の地面を爆破した。大きな穴ができた。
マッシュポテトはびっくりして振り向いた。後ろのミネストローネは非常に怒って、虚弱な体を支えて立っている。銃口にまだ煙が残っている。
ライフツリーⅣ
真実の試練と秘密……。
ミネストローネはまた銃を持ち上げると、ためらうことなく、ガイアに狙って第二発を撃った。
盖娅「私に刃向かった?頭が高すぎ!」
マッシュポテト「ガイアさん!彼らを傷つけないで!」
盖娅「わかった、私の継承者に免じて……君たちをここから追い出そう!」
ガイアは怒って両手を手印する。数秒後、周りの大地が震えて、周囲の植物が次々と暴走し始めた。彼女の後ろに巨大な扉が空に浮かんでいる。
マッシュポテト「これは……なに……。」
盖娅「フフン、これはエデンドア、外の世界に繋がる扉だ。私は彼らをここから追い出す!」
エデンドアがゆっくりと開けられ、強烈な渦が三人の目を混乱させた。マッシュポテトが目を覆った。周りの景色がおかしくなって仲間たちも急に様子が変わったようだ……。
ミネストローネ(スキン)「ダニエル!」
誰かがマッシュポテトの手を掴んだ。
彼は恍惚としていた気を取り戻した。ミネストローネの服は前と比べとても違っていた。彼の髪も暴風に吹き散らされて、自分が見たこともない右目を露わにした。
ミネストローネ「ダニエル!今だ!もうライフツリーの種を手に入れた、早くあれを持ってここから離れろ!」
マッシュポテト「ダメです、そんなことできない……僕が離れれば、エデンガーデンは障壁を失う。僕たちの世界は終わりです!」
ミネストローネ「お前がここから離れたら、この世界がどうなろうと、お前にはもう関係ないだろう?!」
マッシュポテト「違う……そんなことはない……」
カプチーノ「やだやだ!近寄るな!帰りたくない!ダニエル先生!ミネストローネ――助けて――」
マッシュポテトとミネストローネが振り返って見ると、カプチーノは植物の群れに囲まれて攻撃されている。植物たちは彼をエデンドアの方へ押していこうとしている。
ミネストローネ「クソ!」
バシッ!バシッ!バシッ!ミネストローネの弾は植物をバラバラにした。
盖娅「君たちは……離れるつもりはないみたいだね……では、私も手加減はいらないね。」
ガイアが手印すると、あのドアがだんだん閉じられてきた。
マッシュポテト「待って――」
マッシュポテトは慌ててエデンドアの前に飛び込んできて、自分の体で扉を閉めないようにする。
もう一方のカプチーノとミネストローネはまだ彼らをエデンドアに追いつめようとする植物を攻撃している。
盖娅「我が木の精霊よ、手加減はするな!」
ガイアの命令とともに、すべての植物たちは次々と黒いとげを生み出し、カプチーノとミネストローネに襲いかかる。
マッシュポテト「気を付けて!!!」
マッシュポテト(このままでは共倒れになるだけだ。早く決断しなきゃ!!)
マッシュポテトはエデンドアにとどまり、自分のつるを呼び出した。
藤蔓球「チ?」
マッシュポテト「早くあの二人を連れて来て!」
藤蔓球「チ!」
紫のつるは後ろから二人を締めて、エデンドアのところまで引っ張って来た。
マッシュポテト「これからのエデンは、あなたたちに任せます。」
ミネストローネ「!!!ダニエル!!!離せ!!!」
カプチーノ「先生!!やだ!!」
マッシュポテトは歯を食いしばって、二人をエデンドアに捨てた。
マッシュポテト「……終わった……。」
マッシュポテトが扉のそばから落ちてきて、湿った土地に倒れた。
まだ風の音が聞こえる。マッシュポテトは空を見ている。彼は知っていた、エデンドアが消えたことを。この長年の思い出(メモリー)も、一緒に消えてしまった……。
終章-解けない謎
解けない謎Ⅰ
審問者はなぜ彼だ?
すべては平和を取り戻したようだ。マッシュポテトは目を閉じた。彼の心は一部の魂を失ったよう……。
盖娅「ぷっ……フフン、おめでとう、最後の試練に合格した。」
マッシュポテト「……?」
マッシュポテトが疑惑の目を開けて、そばに座ってにこにこと自分を見ているガイアを見た。
マッシュポテト「なに……最後の……試練?」
ガイアはうなずいた。
マッシュポテト「……待って、まさか、継承者など、存在しないのですか?」
盖娅「継承者の話は本当だ。ただし、自由が制限されることはない。これから、また自由に外の世界とエデンガーデンを往来することだってできる。」
盖娅「また、今の私はまだエデンガーデンをコントロールする余裕があるから、これからしばらくの間、君は植物園の園長になっていても構わない。」
マッシュポテト「……じゃあ、さっきのは……。」
盖娅「エデンガーデンについて、君に教えてあげたのは全部本当だ。でも私は君が真実の秘密を守る覚悟があるかどうかを確認しなければならなかった。」
マッシュポテト「真実の秘密?」
盖娅「そう、エデンガーデンの場所。君を選ぶ理由、そして君の仲間たちを行かせなければ教えられなかったメッセージ……これらが真実の秘密。」
盖娅「だから、これから話す全ては……決して第三者に言うな……。」
マッシュポテトは少しうなずいた。ガイアのゆっくりとした話に対して、彼は全てを信じられない……
――ドンッ!
マッシュポテトの頭は背もたれに重く押された。審問者は彼を押して、彼の自傷行為を止めた。
???「……話せ、エデンガーデンの入り口は、どこだ?」
マッシュポテト「フン……お……し……え……な……い……よ……。」
???「……。」
???「さっきのベリタセラムの有効時間は短すぎたな。」
マッシュポテトは相手が彼を解放したことを感じた。彼の体は絶えず震えていて、椅子の手枷を振り解こうと試みる。
彼はうつむいていて、生理的な涙が目じりから落ちてきた。
マッシュポテト「助けて……誰か……僕を助けて……。」
注射器の針はまた容赦なく彼の首を刺した。
???「離せ、エデンガーデンの入り口は、一体何なのだ?」
マッシュポテトの息が急に止まった。彼は頭を上げて、かすかに拡大している瞳の中から、青い光を発した。
???「……なに?」
マッシュポテト「……あああああ!!!!!」
次の一秒、マッシュポテトの体から巨大なエネルギーの爆発が生じた。審問者は思わず後退する。周辺の物が乱雑に飛び散った。
???「……。」
審問者はマッシュポテトのそばに戻り、彼のあごを上げた。
ミネストローネ(スキン)「……今までここで霊力を使えた者は一人もいなかったのだが……これがエデンガーデンの力……?」
ずっと顔を隠していた審問者がようやく顔を出した。マッシュポテトは恐怖を感じた。
解けない謎Ⅱ
いつか来る救済者。
ミネストローネ(スキン)「……さっき私を何と呼んだ?」
マッシュポテト(いや……あり得ない……ミネストローネは僕の目の前で暴走して逃げた……)
ミネストローネ(スキン)「答えろ!何を考えているんだ?協力を拒むのか、いいだろう。」
マッシュポテト「……!」
マッシュポテトはどんどん近づいてくる相手を恐怖して見ている。彼が次に何をしでかすのかわからない……。
その時、外から急に怖い声が聞こえてきた。悲鳴が次々と起こった。
審問者の動きが止まった。彼は振り向いて、騒がしいところに向かった。
マッシュポテトは頭を上げた。門は誰かに破られ、一つの懐かしい赤い影が目の前に現れた。そしてあの審問者が短い悲鳴を叫ぶと、完全な無音となった。
マッシュポテトがにっこりと笑った。
マッシュポテト「ミネストローネ……僕は信じている……あなたはきっと僕を助けに来る……。」
解けない謎Ⅲ
ファントム?リアリティ?永遠の秘密?
ベリタセラムがまだ効いているのかもしれない。昏睡したマッシュポテトはエデンガーデンの最後の光景を夢に見た。
ガイアは一つの封筒をマッシュポテトに渡す。
盖娅「これは君の御侍、パクリト教授が君に残した手紙だ。」
マッシュポテト「御侍様?!」
盖娅「そう、実はこの秘密について、彼のことから話さなければならない。」
マッシュポテト「待って。つまり僕がここに来たのは、御侍様と関係があるということですか?!」
盖娅「うん。全てのことは彼のこの手紙に書かれている。彼は君がこの手紙を読んだら全て理解すると言ってたことがある。」
マッシュポテトがゆっくりと手紙を受け取って、落ち着かない気持ちで読み始めた……。
到丹尼尓「愛しいダニエル、我が子よ、君がこの手紙を読む時、最初に言いたいのはまずおめでとうだ。君は私の誇り。君がこの手紙を読んでいるということは、すでに全ての試練に合格して、ガイアさんの新たな友人になったのだろう。
……私が35歳の頃エデンガーデンに行って、ガイアさんに出会った。当時、「アーク」という組織の力を借りて、伝説のエデンガーデンを探すため、探索プロジェクトを建てた。伝説によると、エデンガーデンには巨大な古い精霊時代の宝物が潜んでいる。全ての生命を癒すライフツリーもそこに含まれている。
しかし、私がエデンガーデンにたどり着いた時、ガイアさんは私に真実を教えてくれた。少し残酷な話だが、彼女はすでに最悪の結果を君に告げてしまったと思う。エデンガーデンの植物は決して私たちの世界と直接接触してはいけない。彼らが人間の世界に入ったら、人類、食霊、全ての生命は精霊植物に飲み込まれる……。
ダニエル、君がこの世界を守ってくれていることを誇りに思う。だから今は、君の肩に本当の役目を預けることができる。
君はずっと、エデンの後ろの封鎖された小庭に何があるか知りたかったのだろう。今教えてあげよう、あそこはエデンガーデンの入り口として、ライフツリーとつながっている。」
マッシュポテト「……なんですって?!あの小さい庭ですか?」
盖娅「うん。実は、君がまだ召喚されていなかった頃、私はよくあそこに遊びに行ったんだよ。」
到丹尼尓「……あの庭は、私とガイアさんの約束だ。彼女は優しい大地の精霊、強い力と慈愛の心を持つ主。私とガイアさんは知っている、エデンガーデンも、私たちの世界も、ティアラの世界は壊滅の道に行っていることを……。だから、私たちの間で一つの協議がまとまった。彼女の力で、エデンガーデンの種を少しずつ私たちの世界に運んできたんだ。世界の物質と文明は滅びるが、命の種はそうではない。これは私が種のアークを建てる最初の理由。
覚えておきなさい。種のアークの存在理由は、この世界が滅びた後、世界を再生することだ。しかし、繰り返してはいけない。種のアークは二つの世界の最後の希望。希望は滅びが前提として存在するもの。
最後に言いたいのは、この世界にはエデンガーデンの力を狙う組織が多すぎる。最初に協力してくれたアークという組織も……。彼らの目的は単純ではないようだ。だから私はエデンガーデンに関する情報を彼らに伝えなかった。
私は人間、君は食霊。だから私より君の方がもっと長い間この秘密を守り、私たちの秘密の花園を守るだろう。君のことをずっと信じている。君を愛している御侍、パクリト。」
マッシュポテトは手紙を読み終わって、長い間気を取り戻さなかった。ガイアは本物のライフツリーの種を彼の手元に置いた。この種は一瞬で青い網になり、彼の両手を包んで、血管の間に隠れた。
盖娅「これから、この秘密の花園の扉を開けられるのは君だけだ。こっちに来て。」
マッシュポテトが呆然と自分の両手を見る。しばらくした後、彼はこぶしを強く握りしめた。
マッシュポテト「昔からずっとおかしいと思っていた。御侍様はどうやってあんなにたくさんの古代精霊時代の種を集めたのか……。今やっとわかった。」
盖娅「あれらは自分の意思で胚胎になって、眠りに落ちた精霊たち……。しかし、エデンガーデンの植物全員が私の仲間ではない。彼らは自分の本音を隠して、蘇るチャンスを待っているのかもしれない……。とにかく気をつけなければならない。」
マッシュポテト「はい!わかりました。」
マッシュポテトは夢から覚めた。始めに見えたのは一つの知らない部屋。
カプチーノ「先生!やっと目覚めたよ!どう?体の具合大丈夫?」
カプチーノ「ここは僕の家。先生は心配しないで、ここにはアークの連中はいないから。」
マッシュポテト「…………あなたが……僕を助けてくれたのですか?」
カプチーノ「……うん。アークの連中が先生を連れ去った後……僕は家に帰って、父さんにアークと交渉するよう頼んだんだ……父さんは一応偉い人らしいから……。
……先生?」
マッシュポテトは天井のどこかを見ている。カプチーノは小さい声で彼を呼ぶ。
マッシュポテト「……ありがとう。
しかし意識を失う前に、あの刑務所でミネストローネを見た気がする……。薬のせいで僕は幻覚を見ていたのかもしれない……。」
カプチーノ「……先生、あの日ミネストローネの体に悪の花が潜んでいることがわかった後から、彼はずっと行方不明だよ……。誰も彼を見ていないよ。今はアークもホルスの眼も、全員彼を追っている。彼は悪の花の力でシチリの住人を全員殺した。彼が連中から逃げられるにしても逃げられないにしても……僕らが彼と……再開することは無理だよ。」
マッシュポテトは答えずにまた目を閉じた。カプチーノは彼の休憩を邪魔したくないから、こっそりと離れた。
マッシュポテト「……ミネストローネ。あなたは本当に彼らが言っていたように、エデンガーデンの力を得るため、僕の傍にいたのですか?」
広い部屋でマッシュポテトが小さな声で聞いてみた。
今回は誰も彼に返事をしなかった。永遠に、真実は秘密にされたままかもしれない。
「秘密の花園」 メインストーリー 完
エピソード‐失われた秘密
小さいな庭
封鎖された秘密。
マッシュポテトは好奇心旺盛に周りを見回す。彼はこの世界に召喚されたばかり。御侍はこれからこのエデンは彼の家だと言った。でも、この家は大きすぎじゃない……?
罗琳「ここは普段パクの仕事場です。目の前にあるのは彼の実験花畑……。今はまだ仕事時間だから、彼を邪魔しないようにしましょう。」
罗琳「エデンの環境は大体こんな感じです。ダニエル、道を覚えています?」
マッシュポテト「……これから頑張ります!」
マッシュポテト(えと、さっきはどこから来たんだっけ……)
罗琳「ハハ、大丈夫、ゆっくり慣れればいいわよ。昔のパクはずっと一人で仕事をしていた。でもマッシュポテトが来たなら安心ね。彼の世話をよろしくね。」
マッシュポテト「はい!ご安心ください、精一杯頑張ります。」
マッシュポテトは恥ずかしそうに頷くと、周囲の環境を記憶するように努力する。その時、彼は前の木造の家の後ろに、何かがあることに気づいた。
マッシュポテト「奥さん……御侍様の研究室の後ろの場所には、何があるんですか?」
ローリンは少しびっくりした。
罗琳「ああ、まだ言ってませんでした。あそこはね、パクの私用ガーデンです……いつも錠をかけて、人が入れないようにしています。」
マッシュポテト「えっ?奥さんもダメですか?」
罗琳「ええ、いくら私の主人でも、彼のプライバシーを尊重しなければなりません。だからダニエルも、あそこには近寄らないように気を付けてね。」
マッシュポテト「はい、かしこまりました、奥さん。」
再会の日
あなたに接近した目的。
半年前のミドガー。今年の冬はとても暖かい。優しい陽射しは街のあちこちに届いた。
赤い髪の青年がだらだらと街を歩いている。隠された右目以外、他の人と区別ができない。彼には目的がなさそう、ただ大通りや路地を回るだけだ。
ミネストローネ「おい……一体どこだ!」
悪の花精霊「待って、もうちょっと私に感じさせなさい……んん……やはり違う、さっきの道に戻ってみましょう。」
ミネストローネ「……お前は俺をなめてるのか?」
悪の花精霊「貴様はエデンガーデンは観光地と同じように、入り口の前に早く来てと書かれている看板があると思ってんの?」
悪の花精霊「私はもうずいぶん信号をキャッチすることに全力を尽くした!走りな!探したくないの?!」
ミネストローネ「……。」
ミネストローネはいらいらして唇を舐めるが、結局また言葉に従って引き返して行く。
悪の花精霊「そうそうそう、いい感じ……もうちょっと前……。ストップ!ここよ!んんん?本当に観光地なの?」
ミネストローネは公園みたいな場所の入り口に止まっている。
伊甸園售票員「「エデン」へようこそ!入園したいならチケットを買ってくださいね!」
ミネストローネ「……。」
ミネストローネは眉を上げて、正門の上の「植物園エデン」という文字を見る。
悪の花精霊「ハ?本当に観光地なの?」
ミネストローネ「…………なぜここなんだ……。」
一つの、久しぶりに会った姿が彼の頭に浮かんだ。
悪の花精霊「何をぼんやりと待っているの?金持っていないし、あの門番を悪夢に連れて行きましょう。早く行きな!」
ミネストローネ「……。」
ミネストローネは返事をしない。彼は少し前に進むと、腕を抱いて入り口の隣で仮眠し始める。スタッフは彼が入らない様子をみてから、困って頭をかくと、それっきり彼のことを無視する。
突然、園の中から騒いでいる二人が出て来た。彼らの話を聞くと、ミネストローネが頭をもたげた。
カプチーノ「……僕を連れていかないと、もっと大きな声で言うよ!エデンだけじゃなく、入り口で、道で言うよ!」
マッシュポテト「こわっぱ……。あなたにこんな恥ずかしいことを告げた僕が本当にバカでした――帰ってください!」
カプチーノ「帰らないよ、先生が僕を連れていかないなら――あれれ?」
跳んだり跳ねたりしている子供が小さな砲弾のようにミネストローネに当たった。
マッシュポテト「宿題を完成させるまでどこにも行ってはいけません!」
ミネストローネはその子どもの襟を持って、そばまで持って行った。そして久しぶりに会ったマッシュポテトに笑顔を見せた。
ミネストローネ「よお、ダニエル先生。俺は宿題がないから、先生と一緒に行ってもいいか?」
マッシュポテトはびっくりして、久しく聞いてなかった名前を言った。
出発前の夜Ⅰ
カプチーノの警告。
エデンガーデンに向かって出発する前の夜に、ミネストローネとカプチーノはまた細かいことで喧嘩していた。だからマッシュポテトは二人を外に捨てた。
ドアが閉まった。
一緒に外に捨てられた二人は同時に立ち上がった。カプチーノは悔しそうな視線でミネストローネを見ている。
カプチーノ「おいミネストローネ、お前がエデンに来てからもう半年経った。今回初めてお前の体に悪念を見つけたんじゃない。明日からエデンガーデンに行く、先生にとってこれはとても大事な事だ。お前がもし何か悪い事を考えているなら僕が許さないよ!」
ミネストローネは無表情で振り返って、離れた。
カプチーノ「聞こえないふりをするな!お前の悪念は隠せないものだ。いつか先生にお前の本性を見せてやる!」
最後の話を聞くと、ミネストローネの目がだんだん暗くなった。彼は首をかしげて、何も答えずに自分の部屋に帰った。そしてドアを閉めた。
部屋のドアを隔てて、ミネストローネは呼吸を抑える。カプチーノの足音が消えた瞬間、彼はもう抑えきれなくなったようで、地面に転げ落ちた。
その時、一つの黒い影が彼に近づいてきて、人の姿になった。黒い影はミネストローネの震えている手を持って、陶酔の表情を見せた。
悪の花精霊「よし……ツン、ツン。ああなんておいしい恨みなの……我が宿主よ……久しぶりに美味しいものを食べさせてくれたわね……。」
出発前の夜Ⅱ
悪の花への警告
エデンガーデンに向けて出発する前の夜、ミネストローネが一人で部屋に帰った後。
ミネストローネの部屋の大半は黒い煙に囲まれている。悪の花の精霊は貪欲に養分を吸っている。
悪の花にとって、恨みや恐怖などのマイナス感情だけが、ソレ(悪の花)を育てる肥料。しかし、半年前に、この不幸な宿主がここエデンに来てから、ソレはほぼ何も食べられなかった。
今日久しぶりに宿主からこのような濃い恨みの念が見えた。本当に珍しい……。
悪の花精霊「ん!!!な……何をするの?」
ソレはまだおいしいものが食べられる喜びに浸っているが、ミネストローネが急に彼の首を絞めて、壁に叩きつけた。
ミネストローネ「何回も言ったよな……俺が寝ている間に外出するな……。それにアイツに触るな!この半年間でやっとアイツと信頼関係を築いたのに、お前のせいでもう少しで俺の計画は頓挫するところだった!」
ミネストローネ「お前の命長すぎると思わないか?」
ミネストローネの声が低い。そして力がどんどん強くなって、もうすぐで悪の花の精霊の息の根を止める。
悪の花精霊「グ――グ――」
悪の花がどんどん力を失う。ソレの眼球は外に突出して、のどから獣の悲鳴のような音が出た。
ソレの瀕死の様子を見ると、ミネストローネが急に何かを思い出したように、すぐ手を離した。
悪の花精霊「ゴホ……ゴホゴホゴホゴホ……私のせい、だと思ってる?」
悪の花がさっきまでの調子に乗った勢いを失った。狼狽して部屋の隅に逃げて、震えて縮んでいる。
悪の花精霊「自分自身の姿を見ろ!この半年間でどこまで虚弱になったと思ってるの?私の力がなければ生きられないのに、また私の食事を禁じやがって!貴様の悪夢だけで、他の食べ物がなければ、まもなく私は人の形でさえ維持できなくなるわ!」
悪の花精霊「こんなことをしていたら、偉大な復讐計画はおろか、今の力ですら失うわ。貴様死んでしまうわよ!」
ミネストローネ「いつお前に食事を禁じた?最初に言っただろ、ダニエルとエデンの人間以外は好きにしろと言ったぞ!」
悪の花精霊「チッ、確かにそう言った。でもこの半年間で貴様がエデンを離れた日は何日あった?私はどうやって食べ物を探すの?ミネストローネちゃん、何を言おうがこの茶番は偽物、私が寄生種だってこと、忘れたの?」
ミネストローネ「………………。」
ミネストローネ「あの邪魔な小僧もいる、ならばアイツをやれ!」
悪の花精霊「カプチーノのスータンは厄介なやつだわ。私を制圧できる特性を持っているもの。もう私のお腹ペコペコ、無理無理!」
ミネストローネ「………………なぜ俺の体に寄生しているのに、そんな役立たずなんだ?」
悪の花精霊「悪いわね、私ら悪の花の性格と力は全て宿主を真似るものなの。」
悪の花の精霊があかんべえをすると、ミネストローネは思わず笑って、自分の腕を揉む。
ミネストローネ「力が欲しいのか?ならもう少し我慢しろ。ダニエルと一緒にエデンガーデンに行って、ライフツリーの種を手に入れたら、やりたい放題だ。」
悪の花精霊「……大げさだけど上手ね。でもお腹は空く、力が出ない、どうすればいい?」
ミネストローネ「お前の種は俺の持ち物だ。だから失敗したら、お前を生贄にして、新たなやつを育成するとしよう!きっとお前より従順なやつだろうぜ。」
悪の花精霊「……卑怯!汚い!冷血動物!後足で砂をかける!最初からエデンガーデンの情報を貴様なんかに伝えなきゃよかったわ!」
悪の花がどうやって怒っても、ミネストローネはまたベッドで横になって、彼の話を無視した。
悪の花精霊「……ねえ、マッシュポテトの地図を盗んでくれない?あの地図には純粋な精霊の力が潜んでいる。一昨日の午後に見た時はもう我慢できないところだったわ……。」
ミネストローネが目を開けた。冷たい視線を感じた悪の花はすぐ黙った。
悪の花精霊「……こんなせこい宿主を見たことないわよ!これはダメあれもダメ……貴様自身が悪夢見て死ね!」
悪の花が怒って床を叩き足を跳ねる。でもミネストローネは相変わらずソレを無視しているから、仕方なく再び黒い煙になって、ミネストローネのてのひらに戻っていった。
ファントムの前に
悪の花の攻略
ミネストローネはマッシュポテトと一緒に、エデンガーデンのジャッジツリーの前に来た。
彼はマッシュポテトとカプチーノの予想を聞いているが、実は彼には木の本体が何かわかっている。
悪の花はエデンガーデンから脱出した生き物だ。ソレ(悪の花)にはわかっている、ジャッジツリーの試練はライフツリーに会う前提だと。
だから、マッシュポテトがジャッジツリーの巨大な葉に巻き込まれた時、ミネストローネは迷わずついて行った。
悪の花精霊「ついていきな、マッシュポテトと一緒にいる事で、貴様のマイナスエネルギーはジャッジツリーに見逃される可能性がある。さもないと、マイナスエネルギーを持つ貴様一人でファントムの中に入った瞬間、終わりよ!」
ミネストローネ「うるさい、わかったよ。」
ミネストローネは手を伸ばしてマッシュポテトをしっかりつかんでいる。後ろから攻撃が襲って来ても、離さなかった。
しかし、マッシュポテトの心配そうな目を見た時、ミネストローネは「俺は本当にコイツを守りたいのだな」と思っていた……。
ファントムの外
カプチーノとジャッジツリー
エデンガーデン、ジャッジツリー。
巨大な葉のさやが光を帯びてぐるぐる回っている。中にはマッシュポテトとミネストローネがいる。
一方、外に残されたカプチーノはジャッジツリーの枝に座り、焦るように木の葉を抜いている。
カプチーノ「出られる、出られない、出られる、出られない、出られる、出られない――なに? やばい、もう一回もう一回!」
彼がもう一つの枝を選んだ。
カプチーノ「出られる、出られない、出られる、出られない、出られる!よし!今回は正しい!」
ジャッジツリー精霊「……神様よ、お願い、早く終わって。このまま抜かれたら俺はげになりそう……。」
精霊はそっと涙を拭いて、木の後ろに隠れた。またカプチーノを見て、感慨的に首を振った。
ジャッジツリー精霊「今年のあの一族の小さな王子様と本当に似ているな……本当に彼なら……それも悪くない……少なくとも今の彼は天真爛漫で、まるで天使……かわいすぎだよ……。」
30分後。
ジャッジツリー精霊「俺様の葉!!悪魔!さっさと帰れ!!!」
ファントムの後ろⅠ
口の減らない人。
ミドガーのエデン、ミネストローネの部屋。
悪の花の精霊は腹をなでてしゃっくりをして、だらだら横になっている。ミネストローネは嫌々したのでソレを蹴ったが動かない。
悪の花精霊「……こんな生活も悪くない……。昔のように強い恨みは食べられないが、悪夢が食べられるだけでも十分……。」
ミネストローネ「一ヶ月前までは、お前は俺になぜ復讐しないのかと催促していた。一ヶ月で何があった?なぜ急に本性が変わったんだ?」
悪の花精霊「うん……この間エデンガーデンに帰ったわよね?まだあそこに閉じ込められている同胞に比べたら、私は運がいい、これ以上やりすぎる必要はないと思ったわ。」
悪の花精霊「それにエデンガーデンで、最後にライフツリーの種を奪うチャンスを放棄して、マッシュポテトを探すことにしたのは貴様自身だろう?」
ミネストローネ「俺は好きじゃない、だからあの力を使いたくない。」
悪の花精霊「あのさ、貴様もしかしてツンデレ屋さん?」
ファントムの後ろⅡ
枯れ枝を育てる。
エデン。エデンガーデンの旅が終わった一週間後、ミネストローネは丁寧に花に水を与えている。
悪の花精霊「おい……彼に従って花を育てるのはぎりぎり納得できるが、貴様は何を育ててる?魔法棒?」
悪の花の精霊にツッコミを入れられたのは、植木鉢の一本の枯れ枝だ。でも最近ミネストローネはずっと彼に水を与える。
ミネストローネ「ダニエルは枯れ枝でも生き返る可能性を持っていると言っていた。なんだ、文句あるか?」
悪の花精霊「私なんだか怖くて……貴様、最近まるで別人になったわ……。」
悪の花精霊「……貴様の復讐計画、このまま捨てるの?」
ミネストローネ「お前はどう考える?」
悪の花精霊「私?私なら、貴様の考えはきっとそんな簡単なものではない……例えば、この……この枯れ枝、やばい力が潜んでいるでしょ?」
ミネストローネ「俺が好きなだけだ、別にいいだろ?」
悪の花精霊「……好きにしな!」
真面目にこのバカな宿主のことを考えるべきではない!悪の花は怒ってしまい、ミネストローネと話したくなくなった。
ファントムの後ろⅢ
憎しみの源
ミネストローネ「……あの頃俺が閉じ込められていた実験室の所属は、既にはっきり判明している。「アーク」という組織、そして本部はミドガーにある。」
悪の花は彼に背を向けているが、まだ彼の話を聞いている。
ミネストローネ「表では「アーク」は資金を集めて、公益事業を支持する組織と言われているが、裏では奴らの神を造る実験を実施するため、料理御侍から食霊を買い取っている。特に金が少なく、偶然食霊を召喚しただけの料理御侍を狙っている。」
ミネストローネ「俺が御侍に売られた時、俺の霊力は強かったから……実験室に来た直後、最も人気の実験材料になった。」
ミネストローネ「その間、連中は毎日俺から採血した。連中が俺の血液を持って何をしているか当ててみな。」
悪の花精霊「血液?血液は低級な霊力材料、記憶の保管と人の恐怖を起こす以外、あまり役に立たないんじゃない?私は人の姿になれない時しか、そんなくだらないことしなかったわ。」
ミネストローネ「そうだ、狙われたのは記憶、或いは……俺の遺伝子。」
悪の花精霊「……遺伝子?」
これを聞いて、悪の花がようやくミネストローネの方に向いた。
ミネストローネ「そう、連中は俺をコピーした。アークで毎日、連中はずっと俺をコピーしていた。」
悪の花精霊「理由は?貴様がイケメンだから?」
ミネストローネ「連中の神を造る実験のためだ。連中は俺を神の形骸と選んだ。しかし成功の可能性が100%だと保証できないため、ずっとコピーで実験を実施していた。」
悪の花精霊「……?この世界に悪の花の私たちよりもっと変態な存在がいるの?」
ミネストローネ「俺は毎日自分を見ていた、一気に複数の自分が死んだこともある。慣れたら面白いと思った。連中は決してこれらのことを俺に隠さない。時には死体を俺の隣に積んでおいて、片付けられなかったら、違いを探すゲームもできる。」
悪の花精霊「……やはり貴様も変態……。なるほど、だから貴様の悪夢はいつでも地下室、そしてたくさん人の顔があるわけね……。」
悪の花精霊「でも、最後はどうやって脱出したの?」
ミネストローネ「……。」
悪の花精霊「つまらないわね。毎日聞いても、これだけは言わないんだから!」
ミネストローネ「そんなことは大事なことではない。大事なのは脱出した時、連中に一つのプレゼントを残したことだ……。今は、俺の代わりに彼に復讐させるのも悪くないと思っている。」
エデンドア
カプチーノが忘れてしまった過去
エデンガーデン、巨大なエデンドアが開いている。
マッシュポテト「これからのエデンは、あなたたちに任せます。」
カプチーノ「やだ――ダニエル先生!」
カプチーノが驚きの声をあげる。前に向かってマッシュポテトの手をつかみたいが、エデンのドアの前では、全てが無駄になった。
カプチーノ「い、いけない……先生一人をあんなところに残してはいけない!!」
カプチーノの頭の中ではこのような強い思いが浮かんでいた。すると彼の頭の中で急に誰かの声が聞こえた。
???「あなたさま……あなたさまがやっとお帰りになられたのですね……。ずっとここでお待ちしておりました。」
カプチーノ「……誰?誰が喋っているの?」
???「……わたくしはかつてのエデンガーデンの大地の精霊です。……昔のことを、あなたさまは全て忘れてしまわれたのですか?」
虚空から、老いぼれたため息が聞こえてきた。
???「……あなたさまは出発する時に言われました、わたくしに前に向かって進めと、新たな出来事全てを迎えろと……。私自身の固執のせいで、長い間立ち止まってしまいましたが、全てをガイアに託さなければいけなくなって……今あなたさまにお目にかかったことで、やっとあの言葉の意味を理解しました。」
カプチーノ「……あの、すみません、意味わかんないんだけど……。」
???「……わかる必要はございません、全部過去のことですから。お目にかかるのも最後かもしれません。だから最後にあなたさまのお力になろうと……。あなたさまは、先ほど何を考えられていましたか?……あなたさまの強い願いが、わたくしを呼び覚ましました……。」
カプチーノ「なになに?僕の力になれるだって?じゃ、先生をエデンガーデンから連れ出してくれる?」
???「……なるほど……まだチャンスはある、かもしれません。でも最後は彼の意志次第で決まることでございます。」
裏話
ミネストローネが物語を語る。
伝説によると、この世界には、かつて神さまに寵愛されていた精霊がいたらしい。
彼は従順で、神様の命令に一度も逆らわなかったため、神様は彼が好きだった。
神様は彼にご褒美として、彼に洗礼を与えて、自分のガーデンに迎えたいと考えた。
洗礼の日、神の使者は精霊を部屋から連れ出して、彼に服を脱がせて、白いスータンに着替えさせた。
神様の使者たちが彼のスータンに色々な宝石を飾ると、真っ白なハトがオリーブの枝をくわえてきた。
彼の足元に、周りに、色とりどりの宝石が集まる。彼の手元には、神様に向かって敬意を表わす為の礼銃が握られている。
彼は洗礼台に持ち上げられた。使者たちは彼を取り囲んで歓声を上げ、神様の魔法が来るのを待った。
しかし突然の出来事が起こった。
ミネストローネ「……洗礼台に立っている精霊は礼銃を持ち上げ、周りの使者たちを狙い撃った。」
ミネストローネ「バシッ!バシッ!バシッ!」
……洗礼台のあちこちは使者たちの血に染まった、ハトの目も血に染まっていった
カプチーノ「え――?」
ミネストローネ「誰も精霊に聞かなかった。普通の世界で精霊として生活したいか、或いは神のガーデンで人形として永遠に生きたいか。」
ミネストローネ「物語は終わりだ。」
マッシュポテト「……あああ……まさかエンディングがこんなことになるなんて……。」
エデンガーデンでマッシュポテト、ミネストローネ、カプチーノ三人がご飯を食べている。じゃんけんに負けたミネストローネはお話を語らされていた。
カプチーノ「全然面白くない!」
ミネストローネ「俺が知っている物語はこんなものだ、聞かなくても構わない。」
マッシュポテト「まあ、僕はこの物語はけっこう意味深だと思ってます。」
マッシュポテト「人によって、いい物語の基準は様々です。」
マッシュポテトは感心してうなずいた。
マッシュポテト「ミネストローネ、この物語は誰が教えてくれたんですか?」
ミネストローネ「さあ、忘れた。」
マッシュポテト「ええ?」
ミネストローネ「物語は終わりだ、めしを喰おう。」
ミネストローネはマッシュポテトのボウルにサラダをスプーン一杯すくって、彼の話を阻止した。
再会の時
エ、エデンを爆破する?
ほぼ同時に、ミネストローネとカプチーノは渦巻きからエデンに落ちてきた。
カプチーノ「痛い!」
カプチーノが振り向くと、彼の目の前にある水紋のような空間の裂け目が消えてなくなった。
カプチーノ「……ここは……あの封鎖された庭……。ダニエル先生!ダニエル先生!」
カプチーノは無力にも叫ぶ。彼に答えたのは静かな植物とそばにいるミネストローネの息だけ。
カプチーノ「……ウワ――――ン!ダニエル先生――」
ミネストローネ「……泣くな!」
ミネストローネは泣いているカプチーノのお尻を蹴ると、立ち上がって、庭の入り口に行く。ミネストローネは扉を押してみたが、相変わらず強い抵抗を感じた。
悪の花精霊「無駄よ……貴様この半年に何十回試した?ここから出られるなら、マッシュポテトと一緒に地図の指示に従ってエデンガーデンに行く必要あった?」
ミネストローネ「うるさい……。クソガキ、泣くな!普段はけっこうな強がりを見せているだろう?!早く手伝え!」
カプチーノ「な、何をするの?」
ミネストローネ「この扉を開けようとしているんだ。できたならば、お前の先生をまだ救出できるかもしれない。」
カプチーノ「ほ、本当なの?」
ミネストローネ「やらなければわからねえだろ!」
カプチーノ「わ、わかった!ダニエル先生、本当は先生の庭を破壊したくないんだけど許してください――」
ミネストローネ「早くしろ!」
カプチーノは祈りを捧げると、スータンが召喚されて出現した。ミネストローネも銃を持ち上げて、無理やり結界を破ろうとする――
マッシュポテト「あの????何をしているんですか???」
その時、一つの渦巻きが急に現れてきた。その中から出てきたマッシュポテトは必殺のエネルギーを蓄積している二人を見て、びっくりした。
カプチーノ「先生!!よかった――もう会えないかと思ったよ!!!!」
マッシュポテト「……もう大丈夫ですよ。心配させてごめんなさい……もう大丈夫だから……。」
隣のミネストローネは互いに抱きあっているカプチーノとマッシュポテトを見ると、黙って銃をおろした。
マッシュポテト「間に合った……さもないと、僕の庭があなたたちに爆発されてましたね……。」
ミネストローネ「……一体どういうことだ、人を驚かすのが楽しいことだと思ってるのか???」
マッシュポテト「いいえいいえ、あの……えと……この事は話せば長くなりますが……とにかく、今は大丈夫です!僕も帰ったんですから、怒らないで、ね?」
マッシュポテトはうずくまって右手でカプチーノを慰めながら、左手でミネストローネの服を引いて、愛想笑いをする。
ミネストローネ「……。」
マッシュポテト「あれ、ミネストローネ、足が傷ついてますよ!」
ミネストローネは頭を下げて、やっと自分の脛に傷があることに気づいた。これは先ほどエデンガーデンで、植物に攻撃されて残った傷だ。
マッシュポテト「大変、きっと痛いでしょ!」
ミネストローネは「この程度の傷はすでに慣れているから、痛くない」と言いたかったが、理由はわからないが、言い直した。
ミネストローネ「……まあ、少しだけな。」
マッシュポテトはすぐ立ち上がった。カプチーノも涙を拭いて、そばでミネストローネの体を支えた。
ミネストローネは彼らに支えられて、前に向かって歩く。この瞬間、彼は自分が本当に普通の食霊になったのだと感じた。痛みを感じたが、傷はいつか治るだろう。
新たな計画
俺たちの復讐
アーク本部。
マルスは普段のように、薬を取って、自分の部屋に行く。
ロックされたドアと閉め切ったカーテンはしばらく部屋と外を二つの世界に分けた。音もなく、夕日が落ちている。残された光はカーテンの隙間から鉄の皿の中の注射器を照らした。
ベッドに寝ていた人はようやく目が覚めた。夢の中にいる時、彼の見る光景は多すぎた。しばらくの間、彼はこの暗い部屋を昔の地下牢として扱った。
でも完全な夜に変わりきる前に、目の前の人は彼を目醒めさせた。
ミネストローネ(スキン)「あんたの薬。」
ミネストローネは栄養剤を受け取って、自分の体にゆっくり注射した。
隣のマルスは、静かにミネストローネの動きを見ている。
ミネストローネ(スキン)「悪の花でマイナスエネルギーを吸収しないから、あんたはわざわざ毎日栄養剤を注射しなければならないのか?」
ミネストローネ(通常)「じゃあ、お前は他の方法を持っているのか?」
ミネストローネ(スキン)「……いいや。」
ミネストローネ(通常)「フン……お前が俺をここに隠しているのは、何かいい考えを持っているからだと思ったが。」
ミネストローネ(スキン)「なぜ俺が「世界でもう一人の自分を完全に滅ぼしたい」とは思っていないと認めているんだ?」
ミネストローネが注射器を抜いた。顔が前の透明から少し回復してきた。彼は使用済みの薬の包みをマルスに投げると、笑った。
ミネストローネ(通常)「お前は俺だ。世界で最も俺をよく知っているのは俺自身だ。」
ミネストローネ(スキン)「……まあ、確かに一つの計画を考えてはいる。」
ミネストローネ(通常)「聞かせてもらおうか?」
嘘
捨てられた薬。
アークには高いタワーがある。
マルスは毎日タワーの一番高いところに行って、御侍に仕事を報告する。今日も同じ。
どさっ、コップが落ちると、低い悲鳴が上がった。
水がマルスの足元に跳ねかかったが彼は一歩も動かなかった。
アークの幹部「どういうことだ?どうしてあの家の坊ちゃんを直接審問室に行かせた?!」
髪が白い男は怒って木造のテーブルをたたく。
ミネストローネ(スキン)「申し訳ございません、御侍さま。カプチーノが直接飛び込んでくるとは思いませんでした。衛兵は全て人間だったため、彼の足を止められませんでした。」
アークの幹部「全て人間?なに?お前もいただろ!お前でも止められないのか??」
ミネストローネ「申し訳ございません。御侍さま。これからは実力を上げるため、精一杯尽力します!」
アークの幹部「……もういい。」
男が眉を揉んで、口調が和らいだ。
アークの幹部「マルス、決して君を非難するつもりじゃない。わしは知っていた、君は特別なのだ、少し弱くても構わない。」
ミネストローネ「精進致します!」
アークの幹部「エデンガーデンについて、どのくらいわかってきたか?」
ミネストローネ「記録は全て案件ファイルの中にまとめました。ご覧になってください。」
アークの幹部「もういい……場所と鍵がわからないなら、他の過程は無駄なことだ。マッシュポテトがカプチーノに迎えられて連れ去られたならば、二次審問は難しくなった……。」
マルスは黙っている。
アークの幹部「この件、一旦ここまでにしよう。君も休憩しよう。注射も忘れるなよ。」
ミネストローネ「はい。」
マルスは頷き、お辞儀をして去った。
彼は無表情に薬を取りに行って、今日の精神安定剤を取った。
薬を取ると、部屋に戻った。彼はドアをロックして、全ての薬をトイレに注ぎ込んだ。
救済の時
彼を救ってはいけない。
マルスは「ダニエル先生は自分が出会った中で最も意志が強い審問対象の一人だ」と思った。
まさか二本もベリタセラムを注射しなければならないとは。
この点も、マルスを興奮させた。
残念ながら、二本目の注射は間に合わなかった。
外から大きな音がした。マルスはマッシュポテトのそばから離れざるを得なく、外へ様子を見に行った。
おかしなことに、彼は外に行けば行くほど、頭痛の持病がひどくなった。
彼がドアを開けると、片目が隠された赤い髪の食霊が見えた。彼はこの食霊のことを知っている。今朝、エデンにて彼の目の前で逃げたのはこの男だ。
ミネストローネ(通常)「俺だ。だがお前の名前もこの名前だ。」
ミネストローネ(スキン)「……どういう意味だ?」
ミネストローネ(通常)「ん?なんだ?まだ気づいていないのか?哀れな我が友よ……。どうしたらそこまで鈍感でいられるんだ?」
ミネストローネはゆっくりと眼帯を外した。マルスは彼の五感を避けた。その時、後ろで倒されている衛兵たちに気づいた。
ミネストローネ(通常)「まだ生きている、悪夢に落ちただけだ。おい、まだ目が覚めていないのか?」
マルスはミネストローネの話にめまいを感じた。頭痛もさらに強くなった。彼は自分が無意識に目の前のこの男の顔を見るのを避けていることに気づいた。
ミネストローネ(通常)「……まさか、鏡を見ることも禁じられているのか?」
ミネストローネ(スキン)「……。」
ミネストローネ(通常)「ハハ、当たった?」
マルスはもう立っていられない。手元のベリタセラム(注射器)が床に落ちて、カリカリという音がした。ミネストローネはこの音に注意を惹かれて頭を下げて見る。彼は、それが注射器であることに気づいた瞬間、皮肉的な表情をようやく変えた。
ミネストローネ(通常)「クソ!アイツに何をした!」
マルスはミネストローネに押されて、ドアに寄りかかっている。犯人に向かって行くミネストローネを見ると、自分の頭の中の何かが自分の足を止めて動けない。一部の真実と記憶が、強引に引き裂かれよみがえっていく……。
昏睡状態が15分続いた。
マルスが再び目を覚ました時、ミネストローネが自分の前に立っていた。
ミネストローネ(通常)「起きたか?」
ミネストローネ(スキン)「……ああ。」
ミネストローネ(通常)「今日、ここに俺は来なかったとしろ……。アイツにもこのことを教えないでくれ。」
ミネストローネ(スキン)「彼を助けに来たのではないのか?」
ミネストローネは審問室の外を見ている。
ミネストローネ(通常)「俺が何をしたか知ってるだろ。俺の体は悪の花に寄生されている……。アイツは最も人気な植物研究者、もしアイツにもう一度連絡したとしても、アイツを害するだけだ。」
ミネストローネ(スキン)「……。」
ミネストローネ(通常)「これでいい、お前の目が覚めたなら十分だ。あとはカプチーノが来る。あの小僧はクソガキだが、アイツを助けることはできる。」
ミネストローネ(スキン)「で、俺に何を手伝って欲しい?」
ミネストローネ(通常)「無事にカプチーノをアイツのもとへ連れて行ってくれ。」
ミネストローネ(スキン)「……わかった。」
ミネストローネ(通常)「じゃあな。」
話が終わると、ミネストローネは幻影(ファントム)のように消えてしまった。
マルスはしばらく黙っていたが、振り向いて見るとマッシュポテトがテーブルの前に置かれて、寝ている。最後の「じゃあな」もよく聞こえなかった。
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