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シェリー・エピソード

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シェリーのエピソード

情熱的で明るい女性。

「ビンに閉じ込めた太陽」のような彼女だが、暗い一面も持ち合わせている。あらゆる面で弟であるジンに敵わないためそのせいで心が病んでおり、そして自らが仕えているシャンパンを異様なまでに崇拝、敬愛している。

Ⅰ家族

お姉さんはね、シェリーって言うの。

シェリー酒』って呼ばれることもあるけれど、シェリーの方が好きだわ。だってこっちの方が可愛いでしょう?

私はビクター帝国で生まれた、当時この国はまだこの名前ではなかった。

軍人である私の御侍は努力さえ続ければ、身体が弱い人でも強くなれると信じていた。
私が誕生しても彼女は驕ることはしなかったし、却って更に自分に厳しくなった。

彼女は知っていたんだ、彼女がいかに霊力を制御出来るかによって私の強さが決まるということを。そのため、彼女はより一層学問や訓練に励んだ。もちろん、彼女は私にも彼女と同じような過酷な訓練に参加するよう望んだわ。

訓練は本当に疲れるし、全身汗臭くなるけど、そんなのどうだっていい。
だって……訓練後の御侍の両目は、いつも称賛と誇りでキラキラと光っていたから。
努力は無駄ではなかった。私たちの実力が大いなる成長を遂げた時、なんと御侍は二人目の食霊の召喚に成功した。

戦場で亡くなった双子の姉弟が忘れられないのだろう、ジンのバカと私はよく似ている。

その時、私は初めて御侍が泣いている所を見た、そして彼女は私たちを強く抱きしめた。
その抱擁は優しくて、まるで冬の日の日差しのように暖かかった。

「良かった、私のもとに帰ってきてくれたのね……本当に良かった……」

この言葉を聞いて初めて、彼女の強さの裏に隠れていた弱さを知った。

彼女は持てる全ての力で私たちを抱きしめていたから、とても痛かった。だけどちっとも彼女を押しのけようとする気持ちにはなれなかった。

彼女は私たちに『母』と呼ぶよう言ってくることはなかった。だけれど彼女は私たちのために母親として出来る全てをしてくれた。
それと同時に、父親として背負うべき責務ですら背負おうとしてくれた。

深夜、暖炉の前に座る彼女をドアの隙間から覗く。静かに、ゆっくりと、偉大なる将領の写真を撫でているその姿はこの時しか見られない。

私たちは彼女にとって最も大切な家族だ、そして一人ぼっちの彼女の冷たい世界の中の最後の温もりだった。

Ⅱジン

ジンが私たちのもとにやって来てから、私に有能だけれど少しボーっとした弟が出来た。

ジンは私と違って、とても内気な子だった。表情もなんだか少し冷たい。

私が友人たちと遊びに出掛ける時、彼はいつも大人しく私の後ろについてきてくれた。私の荷物を持って、静かに言うことを聞いてくれた。
調子に乗った奴らに出会ってしまった時は、私の前に出てくれるしとても頼もしい。

クールでハンサムな彼は、人付き合いが得意じゃない。彼にあからさまな好意を示す女の子が現れると、いつも顔を赤くしていた。

私の友人たちも言っていた、未来の旦那様は絶対彼みたいな人を選びたいって。
だからか、彼女たちは「女っ気がない」彼をいつも耳が赤くなって逃げて行くまでからかっていた。

私も彼女たちの悪趣味を止めることはなかった。だって私もみんなに囲まれてからかわれて顔色を変える彼を見るのが好きだったから。

でもそんな彼は戦闘になると、とても頼れる戦友になる。

彼は手柄を立てたいタイプじゃないけど、何もしない訳でもない。
いつもみんなの背後を守って、自分が倒すべき敵を淡々と処理していた。

強大な敵が現れた時だけ、彼は真珠のような眩い光を放ちながらそれに立ち向かう。その姿に誰も目が離せない。

彼はおもちゃのような銃を持って、彼が全力を尽くしても勝てない相手をあっさりと倒す。

巨大な凶獣が四肢を歪ませ倒れていき、濁った血液が噴泉のように噴き出しているけれど、私に一滴も掛かることはなかった。

だって彼が私の前に出て、広いとは言えないその背中で私のために全てを遮ってくれたから。

「……バカ、そんなに汚してどうするのよ」

ポケットからハンカチを出して彼の頬についた汚れを拭おうとした時、周囲の戦友たちが彼を囲んでしまった。慌てふためく彼を、歓喜の声を上げながら空高く胴上げして、強敵を倒したことを喜んだ。

その輪から押し出されてしまった私は、ハンカチを握りしめながら、いつもは見せない明るい笑顔を浮かべながら胴上げされている彼を、静かに眺めていることしか出来なかった。

……眩しいわ。

戦場から家に帰ると、彼は御侍の自慢の子になる。
庭のドアを開けるとすぐに、引退した彼女が家から飛び出て彼に抱きつく。

彼女の目には誇りと心配の色が浮かんでいた。そして抱きしめられたジンも子どものように顔を赤くしていた。

いつもクールな彼が恥ずかしがっている様子は、なんだか可愛らしかった。

ドアの外にいた私は彼らの邪魔にならないように、こっそり離れて裏口から家に入った。そして自分の部屋で自分の手当をした。

こんな弟を。
好きにならない人はいないわ。

だけど……どうして、こんなにも眩しく感じるのかしら……

Ⅲ光

古傷のせいで、御侍は寿命が来るより先に、病床に伏せた。

その時の彼女は、もう目の前にいるひとを認識出来なくなっていた。
たった数日で痩せ細り、枯れ枝のような手を震えながら差し出して来た。

彼女の手を取ろうとしたら、その手はジンの手の甲に落とされた。

最期、彼女はジンの手を握ったまま、この世を去った。

葬式の日、陽ざしは草原に優しい光を降り注いだ。墓碑に飾られた彼女の笑顔は、金色の光に照らされたことでより一層神聖で安らかなものに見えた。

彼女こそ私たちの母親……
「母」と呼ぶよう言われたことはなかったけれど……

私は彼女の写真を強く抱きしめながら先頭を歩いた。ジンはいつものように私の傍にいたけど、真珠のような涙が俯いている彼の頬を伝ってこぼれ落ちていく。

私は手を伸ばして彼の鼻筋をこすった。

ジン、どうして泣いているの。シェリル様が見たら"泣くことは最も意味のない行為だ!泣く暇があったら、どうすれば同じ過ちを犯さないか考えろ!"って説教するに決まっているわ」
「……姉さん、泣きたいのなら泣いてください」

私は彼を強く抱きしめた。
彼の体温は、かつて御侍がくれた抱擁と同じくらい温かかった。
彼が私の最後の家族だ。

私たちは御侍の棺が少しずつ土に埋もれていく様子を見守った。ジンは私の傍で、黒い日傘をさしてくれた。

傘によって陽の光が遮られ、闇が広がったことで私は遂に悲しみに耐えきれず地面に蹲ってしまった。

涙がぽたぽたと地面に吸い込まれていく。
ジンも私につられてしゃがみ込んだ、いつものように口下手で、慌てふためくだけでどう私を慰めたら良いかわからずにいた。

このバカ……貴方も慰めを必要としているのに……

突然、淡い松の香りのするハンカチが目の前に差し出された。

その淡い香りによって、私の気持ちは少しだけ落ち着いた。無意識にそのハンカチを受け取り、持ち主に礼を述べようと顔を上げると……

太陽の下で光り輝く男性がいた。

彼は周りにいる人々とは違い、顔に抑えきれない悲しみはなかった、むしろ微笑んですらいた。

そんな彼を怒るべきだったけれど、どうしてかボーっと彼を眺めることしか出来なかった。

シェリー、お前はシェリル夫人を失って悲しいだろう。しかしその悲しみが過ぎた後、お前はシェリル夫人の名を継いでいる事を忘れるな──ビクター帝国の全国民に信頼され、頼られた偉大なる女性の継承者だ。笑え、シェリル夫人が強敵に相対している時に浮かべるような自信に満ちた笑顔で笑え。そうすれば天国にいる彼女も安心出来るだろう」

太陽の下で光り輝く男性、彼の言葉は私の心に強く突き刺さり、我に返った。

土に埋もれていく棺を見て、そして彼自身が発光しているように見えるその男性をもう一度見た。

すると、彼は私に向かって頷いた。どうしてか、彼に認められたことで今まで感じたことのない力が湧き出た。

私はゆっくりと墓前に立ち、墓碑に飾られた笑顔のシェリル夫人に向かって片膝をついた。

「シェリル夫人、今日からこのシェリーが貴方の全ての意志を継ぎます。自らの全力をもってビクター帝国を更に強くします。戦争によって多くのひとが苦しまないような世界を作り上げ、ジンをそして私たちの家を守ります」
「……姉さん?」

驚いた表情を浮かべたジンを見て、私は笑いながら私より少しだけ背の高い弟の頭をなでた。柔らかなその髪は、まるで羽毛のようだった。御侍が彼の頭をなでたがる理由を知った。

「シェリル夫人はもういたい。私たちには、もうお互いしかいないわ。ジン、私がバカな弟を守ってあげるわ」
「……はい!私も……姉さんを守ります!」
「もう!言ったでしょう、私のことはシェリーって呼ぶようにって。姉さんって呼ばれるとなんだか年を取った気分になるわ……」
「うっ……シェリー……」
「良い子ね!」

立ち直った私がさっきまでいた綺麗な服を着た男性に礼を言おうとした時、彼は既にこの場を立ち去っていた。

「……あら……さっきの方、一体誰だったのかしら……」
「彼の傍にいたひとが、彼のことを陛下って呼んでいました……」
「えっ、彼があの陛下!?」

Ⅳ失敗

あの日以降、私はあの光り輝く男性の正体を知った。

彼こそがこの国のトップ、全ての困難を打ち破って頂点に立った王だ。

あの日太陽の下で、私を認めるような彼の視線は私の心臓に撃ち込まれた強心剤のようだった。それによって、シェリル夫人がいなくなったことで広がった暗雲は全て、私が努力する動力となった。

私は更に強くなろうとした、彼の傍に行き、再び認められたかったから……

しかし、彼の傍に続く道はそんなに簡単なものではなかった。


「だから……どうしてジンまで私と一緒に"学校"に来るの?私一人で良かったのに!家で待っていてくれたら良いのに」
「……言ったでしょう、シェリーを守るって」

仕方なく、私と共に「学校」にやって来たジンを見つめた。

天才だらけの「学校」にやって来ても彼は注目の的だった。勉強しないと全ての課程に追いつけない私と違って。

よりによってその天才は他の食霊たちとは違い、「学校」の課程を通してシャンパン陛下の側近になりたい訳ではなかった。

「……だからジン!もう子どもじゃないんだから!姉にべったりのままじゃダメでしょう!彼女に間違えられるのもイヤだわ!どれだけの脅迫状を受け取ったと思っているのよ!しかもわざわざ精鋭クラスから普通クラスの私を訪ねてくるなんて……」
「うっ……じゃあ……私は何をしたら良いですか?」
「自分のやりたい事をすればいいわ!なんだって、姉さんは応援してあげる!」
「……はい」
「でも貴方に恋はまだ早いわ!……いや……私たち食霊にも早いとかの概念ってあるのかしら……とりあえずこれは置いておいて、本当に彼女や友人が出来たら、絶対に私に紹介してね!」

こうして日々は過ぎていった、私は常人には考えられないほどの努力をしてみんなにとっての優等生になった。
だけど……時々思う……
いくら努力しても……何も考えていない誰かには及ばないと……

ジン!おめでとう!また一位だったな!あっ、シェリー、いたのか気付かなかった……おめでとう!また三位以内に入ったな!」
ジン、教授は君を訓練課題の補佐役に指名したらしいぞ!……ああ、シェリーもだ!」
ジン、今回のチャンスは君にあげよう。シェリーも努力しているが、彼女の実力では……」
ジン……」
ジン……」

……
……
……

自主退学をするように言われた最初から、普通クラスにいられるようになって、更に精鋭クラスまで入って……

私は出来る限りの努力をした。
やっと彼を超えて、首席にもなった。

だけど……

「どうして!だって首席になれば……」
シェリー、君の成績は確かに優秀だよ。だけど、帝都に勤める枠は陛下の指定によりジンに決まったんだ、申し訳ない……」

鹿教官のその後の言葉を私は何も覚えていない。
私の脳裏にあるのは、私を見る彼の同情の視線だけだった。

Ⅴシェリー

この世は不公平だ。
誰かに見て欲しいがために努力しているひとがいたとする。
しかし、生まれながらにして人々に注目されるような存在もいる。

誰かに見て欲しいがために努力しているひとたちは、そういった存在には決して理解されないものだ。

シェリーは目の前で燃え盛る家を見て、かつてない程に冷静だった。

炎に焼かれた木材がパチパチと音を響かせている、燻された木の香りが漂ってくる。

(ああ……これは松の木が焼けた匂いかしら……やっぱりいい匂いだわ)

美しい両目に橙色の炎が映る。その鮮やかな色はまるで踊っているかのように彼女の両目の中で躍動していた。
彼女の頬は興奮なのかそれとも炎によるものなのか、夕陽のように赤く染まっていた。

(もうすぐ……もうすぐ……)

(同じ食霊なのに、同じ顔をしているのに)

(どうして、貴方はそんなに輝けるの)

(どうして……みんなは貴方しか見えないの……)

ジン……)

(どうして……母上も……彼も……)

(返して……彼らを全部……返して)



手の中の報告書を読みながら、デスクにいるシャンパンは眉をひそめた。その薄い紙は彼に握られて少し皺が出来ていた。

「これは確かか?」
「はい、あの日その家に遊びに行った子どもがかくれんぼをしていたため、見つからずに済んだそうです。その子が、犯人はジンであると、ジンの顔を見たと言っていました」
「……なら、これ以上話す事はない。鹿、タルタロスに引き取りにくるよう連絡しておけ」
「そんなに簡単に決めて良いんですか?」
「もちろんだ、ジンは目撃者を残しておく程バカではない」
「……つまり?」
「真犯人の目的を達成させてやらんと、真相は見えてこない」

──グルイラオホルスの眼支部オフィス。

シェリー、鹿教官が来ている、君に会いに来たそうだ」
「え?私に?まだ今年の募集は始まっていないはずよね」
「何か問題が起きて、君を呼び戻そうとしているそうだ!早く会いに行ってくれ、彼は外で待っている!」
「わかったわ!」


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  • 総コメント数2
  • 最終投稿日時 2021年08月29日 19:23
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タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
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  • カテゴリー
  • RPG(ロールプレイング)
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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