マオシュエワン・エピソード
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マオシュエワンのエピソード
少し短気な青年、笑顔が絶えない、常に弾薬箱を傍らに置き、雪丸というフェレットを飼っている。腕に装着した武器に雷火弾を装填し、発射して攻撃する。体内の血液は制御が効かず、体温が上がると暴走して、無差別に他人を攻撃してしまう。
Ⅰ.辣子鶏
「痛い」
皮膚の隅々から、骨の隅々まで伝わってくる痛みによって、体が裂けているような感覚がした。
(俺は……まだ生きているのか……)
よく覚えていないが、記憶の中にある溶岩のような灼熱の温度によって、体は理性ごと溶けていたはずだった。
毎回終わりが近づいているように感じる、しかし気付けばまたこの世に戻ってくる。
こんな拷問が、何度繰り返されただろうか。
熱さは消えたものの、その温度に対する恐怖、或いは自分を失うことに対する恐怖はまだ心の中で燻っている。
必死で体を起こし、痛む胸に手のひらを当ててみると、驚いたことにあんなに熱かった胸が少しだけ冷えていた。
ひんやりとした温度と石のような滑らかな感触に驚いて俯くと、おぼろげな記憶の中で既に吹き飛ばされていたはずの胸には、奇妙な赤い結晶が埋められていた。
「起き上がるな、病人は大人しく横になってろ」
少し眠気を帯びた綺麗な声が、そう遠くない所から聞こえて来た。俺は声のする方を向いた。
鮮やかで気高く、まるで伝説の中の金鳥のような人物が目の前にいた。
辣子鶏(らーずーじー)を初めて見た時、俺はこんな感想を抱いた。
しかし次の瞬間、彼はその手で俺の幻想をぶち壊した。
彼は俺の顔にモフモフの毛玉を叩きつけてきやがった。さっきまで優雅だった顔には嫌味の色が浮かび、透き通った美しい声には傲慢さが帯びていた。
「機関城には召使いが一人足りない。俺様に助けられたからには、機関城に残って恩返しをしろ」
この真っ赤な青年の得意げな口調に俺は思わず口元を歪めた。
命の恩人に恩返しする事に異論はないが、こんなにも堂々とした態度で恩を着せてくる奴は初めて見た。
「辣子鶏!また俺を投げやがって!俺は朱雀だぞ!!!神獣の朱雀だぞ!!!」
「フンッ、ただのモフモフ鳥だろ」
「だれがモフモフ鳥だ!」
「お前なんかより、離火の方がよっぽど主人公らしいぞ、だろう?」
「チュンッ」
俺の懐でどうにか体をひっくり返した毛玉は、ぴょんぴょんと俺の頭上に飛び乗った。
「ウッ!」
正直、この小さくてモフモフの鳥が、まさかこんなに重いとは思いもしなかった……
「俺は辣子鶏、機関城の城主、これからは俺がお前の主だ。だからゆっくりここで怪我を治せ、俺の機関城にいれば誰もお前に手出し出来ない」
辣子鶏は俺の頭上から黄色い毛玉を掴み取って、それを撫でながら言葉を離れようとした。
「なあ!」
「なんだ?」
「どうして……俺を助けた?」
「俺たちは同じ食霊だ、助けるのに理由なんて必要かるそれに、例えお前が悪人だとしても、どうせ俺には勝てない」
辣子鶏に自信に満ちた表情に、俺は呆気にとられた。これ以上質問する様子がない俺を見て、「ゆっくり休め」とだけ言い残して彼は部屋を出た。
Ⅱ.機関城
体がまともに動けるようになったのは、随分後になってからだった。
俺が今いるこの場所が機関城だそうだ。よく食事を運んで来てくれる冰粉(びんふぇん)の口からそれを知った。
この城はどこにも位置しない。機関術と五行の法によって空を飛ぶ天上の城だからだ。
同時に、この城はどこにも位置出来る。何故なら、この天上の城には主の思い通り世界のどこへでも行ける巨大な双翼があるから。
巨大な城が空を飛んでいることが既に不思議なのに、更に驚くべきなのは、この機関城の周りには、光耀大陸の天幕のような見えない障壁があり、堕神などの邪悪なものが城に入ることは絶対に出来ないのだ。
ここはまるで……光耀大陸……いや、全ティアラ大陸の人が憧れる夢の桃源郷だ。
冰粉曰く、この城は辣子鶏によって作られた、そしてこの城に住む全ての食霊も彼によってあちこちから拾って来られたそうだ。
大怪我を負った彼らは、この見るからに頼りない城主の手にかかると、その天賦の才能によって全員「治癒」される。
欠けた手足は、機関術で作られた手足に置き換えられる。
怪我で失った内臓は、代わりの霊核を機関術で作り、法陣で補助して動かせるようになる。
彼は間違いなく天才だ。
俺が最後に狂気に陥る前、もう誰にも危害を加えないように自分の周りに無数の雷火弾を落とした。
おびただしい数の雷火弾は、俺の肉体の大部分を破壊するのに充分だったが、その欠けた部品は全て、彼によって赤い半透明の材質に置き換えられた。
俺の中で脈打っている機械の心臓や、他の臓器の代わりに動いている歯車が見て取れる。
狂気の行動を取ったことで俺は生き延びることが出来た。そして俺の体も機械のおかげで、だんだんと回復していった。
療養で使っていた部屋を出て、俺は初めて機関城を見た。
想像していたものと同じではないが、それほど違ってもいなかった。
雲がとても近くにある訳でもない、ありふれた城だったのだ。
そこにはごく普通の老人や子どもがいて、若者たちが騒いだり、働いたりしていた。彼らの最大の悩みと言えば、勉強が難かしすぎて、先生にいつも手を叩かれることぐらいだった。
「辣子鶏は、賑やかな所が好きなんです。だからこの城を建てたそうですよ」
俺の後ろに立っている冰粉の言葉には、微かな笑みと誇らしさがあった。彼はいつも辣子鶏が指図するばかりで何もしないことに苛立っているが、文句自体はないようだ。
「こんな多くの者を救って、その中に……」
「悪人もいたのではないか?いましたよ」
「なら……」
「彼は最強なんです。彼さえいれば、機関城は大丈夫です」
これは、俺がこれまでに見たことのない信頼だった。相手に全てを委ねても良いという信頼だ。
しかしこのような信頼を一身に受ける者は、本来なら限りない負担を感じるはずだ。
だが辣子鶏にとっては、ごく自然なことに過ぎないようだ。
「ここは俺の機関城。俺以外に、機関城をどうこう出来る者はいない」
その声は決して力強いものではない、微かな笑みを含んでいて、何気ない一言だった。それでいて人を妙に安心させる力があった。
まるで彼が笑みを浮かべている限り、この世の全ては彼の眼中にないようだった。
それは自信の表れだ。乱世の中、この場所の平和だけは守るという雄々しい気概、そして天地に縛られない高慢さも滲み出ている。
機関城にいる人々は、彼のおかげでこの乱世の中珍しく善良さと純真さを保てている。
彼のおかげで自分を守れる能力も持つようになった。
彼らは世の苦しみを知りながらも、機関城を心の浄土とみなし、自我を保てている。
酒を飲みながら空を見上げている彼の姿を見て、俺は初めて、何故機関城にいる多くの食霊が心から彼を城主と呼んでいるのかわかった。
ここは本当に素晴らしい場所だ。
彼らも本当に素晴らしい奴らだ。
しかし、だからこそ……
俺はここにいてはいけない。
Ⅲ.離れる
体の傷はほぼ回復し、体の中に入れられた心臓も以前ほど熱くなくなった。
機関城には一年を通して無数の祭りがある。
彼らは毎日、あらゆる理由をつけて祝おうとするのだ。
機関城は日々笑いに満ちていて、たとえ誰かが能力を身につけてここから離れようとしても、皆はいつも笑顔で送り出す。
ここの子供たちは、他の子どもと違って俺を恐れなかった。むしろひんやりとした小さな手で、俺の体に触りたがる子すらいる。
「お兄ちゃん、どうしてそんなにあったかいの?」
「お兄ちゃんみたいなすごい人は、寒がったりしないの?僕もお兄ちゃんみたいなすごい人になりたい!城主さまが武術を教えてくれるって言ってた!そしたら僕は妹を守れる!」
子どもたちの笑顔を見ていると、俺の気持ちは揺らぐ。
ここは、俺がいるべき場所ではない。
火。
大きな爆発音と共に炎が町を包み込んだ。
俺が愛した建物は炎の舌に舐められ溶けていく、かつての笑顔は恐怖の色に染まった。
俺は自分自身に向かって怒鳴り続けた。
ーーダメだ、ここにいる人たちを傷つけてはいけない。
俺は自分の体を止めようとした。
しかし、以前と同じように俺は体の中に閉じ込められたまま、炎によって赤く染まった空を見上げ、俺の手によって次第に壊れていく町を眺め、薄れていく意識に身を任せる他ない。
パッ目が覚めると、俺は瓦礫の中にはいなかった。
頬に触ると、冷や汗でびっしょりしていた。
熱くなっていく自分の手のひらを見つめ、苦笑を浮かべる。
いくらここが好きでも。
いくらここに残る理由を探しても。
それは、立ち去らなければならないたった一つの理由には敵わない。
俺がここに残れば、彼らには災いしか降りかからない。
それに気付いた時、自分の手のひらに爪を立てたことで傷が出来ていた。
俺は自嘲気味に笑った。
たった数ヶ月ここにいただけなのに、もう離れたがたくなったのか?
でも……そう思える程に良い場所だからこそ、ここにはいられない。
幸い、身一つでここにやってきた。
持って行かなければならないものなんてない。
結局、俺は城の皆が贈ってくれた小物だけを持って、ゆっくりと城門の方に向かって歩いた。
半月に一度、機関城は陸地に一晩留まることを知っていた。
俺は三か月前の満月の夜ここにやってきた。この満月は俺がここを去る合図だ。
既に決めていることなのに、実行に移すのは思いの外難しかった。
とっくに回復しているはずの足は、鉛を流し込まれたかのように、一歩一歩が重い。苦笑いしながら、俺は地面に長く伸びる自分の影を見た。
そんなに離れたくないのか……
しかし、あんたの存在は彼らの笑顔に翳りを与える。
将来再会することがあれば、その時も友だちでいられるように、早く出て行った方がいい。
Ⅳ.帰る場所
「おい、どこに行くんだ!皆探してんだぞ!」
明るい声が背後から聞こえてきた。あいつはいつも、どんな事があっても、臆することはない。何が起きても彼の眉間には皺一つ寄ったりはしない。
俺は振り返らなかった。自分の手にある荷物を握りしめ、俯いたまま城門に向かった。
「出ていくつもりか?どこに行くんだ?帰る場所なんてあるのか?」
彼は他人の気持ちに配慮することが出来ない男だ、時々心が痛くなるような言葉を口にする。
「帰る場所がないんなら、この機関城を家にしたらどうだ?飯は食わせてやるから、あの子たちに武術を教えてやってくれ、普段は使い走りにするけどな」
人の気持ちに配慮出来なくても、彼の言葉には温かみが感じられる。
彼が与えてくれた印象のように。
まるで暗闇を照らす金鳥のようだった。
「おーいっ!俺の話を聞け!!!この俺様がお前に話しかけてるんだぞ!!!」
俺が黙っていたからか、辣子鶏は怒って俺の前に飛び出してきた。
「おい、何してるんだ!冰粉たちはお前のこと、半日も探してたんだぞ!」
「……俺……もう行くから」
「行く?行く所がないならここにいた方がいいって言っただろ?それとも家が恋しくなったのか?それなら送ってやるよ」
家?
……そんなものはとっくに自分で壊した……
無言を貫く俺に腹を立てたのか、彼は肩で眠っている朱雀を掴んで、俺の頭に思い切り叩きつけてきた。いつもぎゃあぎゃあ騒ぐモフモフ鳥は、この時ばかりは辣子鶏の酒を盗み飲みしたからか、ふらふらしていた。
「一体どうした?何か言えよ!」
「……俺は、俺は機関城を壊してしまう」
「は?」
「……あんたが俺を見つけた時、そこにあった村は俺が壊したものだ」
「は???」
彼は困惑した表情を浮かべているが、この綺麗な顔をした男がとぼけているだけだとわかった。だから、俺は顔を上げて、勇気を振り絞って状況を説明した。
「………………で、それだけ?」
「……足りないのか?暴走したら、あんたたちの顔なんてわからなくなる」
「よしっ、じゃあ一戦交えてみるか」
「え?」
ほとんどの者は辣子鶏の思考回路を理解することは出来ない、彼の考えはいつも想像の斜め上を行くから。
「全力で来い、暴走しても良い、さあ」
俺が反応する間もなく、それまで彼の腕の上に立っていた離火が突然飛び上がった。その横には突然透明な陣形が現れ、ある位置に止まった後、俺に向けて巨大な炎を吐き出した。
「お前の全力を使って俺を倒せ、俺に負けたら、俺の言うことを聞け」
相変わらずわがままで話を聞かない。そのわがままの中には、自信が満ち溢れていた。
彼に話しかけようとしたが、髪に火が燃え移った。
一方的に攻撃され、何度も何度も説明を試みたが、彼はこちらの言い分を聞こうとはしなかった。次第に得体の知れない怒りが、血と共に上ってきた。
「馬鹿野郎!!!俺はずっと我慢してたんだ!!!命の恩人だからって俺が殴れないと思うなよ!!!」
結局、俺はやはり暴走した。
しかし再び目を覚ますと、そこに廃墟はなかった。俺は寝台に寝転がって天井を見上げている。体に走る鈍い痛みと、ほとんどミイラのように巻かれた包帯から、辣子鶏が俺に伝えようとしたことがわかった気がした。
「辣子鶏!!!マオシュエワンがここに来て百日目のめでたい日なのに、どうしてこんな目に遭わせたんですか!!!」
「うっ……」
「何か言い分があるなら言ってください!」
「あいつがムカつくから……」
「今、なんと?」
「先生、俺が悪かった、先生は落ち着いて。俺っ、俺は東坡肉(とんぽーろー)と飲みに行ってくる!!!」
慌てて逃げて行った辣子鶏を見て、俺は笑わずにはいられなかった。
「ハハハハハッ……ゴホッ……いったたた…… 」
「……痛いのに笑わないでください。大丈夫ですか?」
「大丈夫、ありがとう」
「ああ、そうでした。城主から伝言を預かっております。これからは某についているようにと、そして温度が上昇して暴走しそうになったら、大千生で制御できるよう手助けいたします」
「……大千生?」
「ええ、もし大千生でも抑えることが出来ない時は、彼を呼んでまいります。安心してここで暮らしてください、貴方は彼にはかないませんから。次暴走したら、思いっきりぶん殴ってやる、と言っていましたよ」
「………………あの生意気野郎」
「貴方は、そういう性格だったのですね」
「え?」
「きっと、城主と良いお友だちになれるかと」
「……」
「では、今更ですが、ようこそ機関城へ。これから、ここは貴方の家です、失う心配のない家ですよ」
その日は心から笑った。
機関城に来て以来、こんなに気持ちよく笑ったことはなかった。
俺も……やっと家を持てるようになったってことか?
Ⅴ.マオシュエワン
食霊は魔動炉から誕生する以外、もっと不安定な方法で誕生することもある。
それは契約の不安定さだけでなく、食霊の霊力の不安定さも意味している。
特殊な方法でも食霊を召喚する事は出来るが、このように召喚された食霊は、他の食霊にはない悩みを抱えることがある。
例えば、マオシュエワン。
彼は異常に上昇する体温によって理性を失い、大切な人を無意識のうちに傷つけてしまう。
辣子鶏たちに出会うまで、彼は自分に帰る場所があるとは思いもしなかったそうだ。
ここでなら、暴走して他人を傷つける心配はなくなった。
ここでなら、目を覚ました時に、廃墟を目にするのではという心配もなくなった。
そして、機関城に来てからは、彼も少しずつ、最初の頃に彼に戻っていった。
「ハハハッ!マオシュエワンざまあみろ!また辣子鶏に縛られてやんの!ハハハハハッ!」
金華ハムの豪快な笑い声が響き渡る。特製の手錠で柱に縛りつけられているマオシュエワンは正気を失っていて、叫びながら目の前にいる男を殴ろうとしていた。
「ほらー来いよ!ほらっ!届かねぇだろ!」
挑発を続ける金華ハムを見て、傍らにいる冰粉は呆れた顔でこう言った。
「彼が束縛から逃れても、知りませんよ」
「ハハハッ!こいつのこんな姿を見るのは気持ちが良いな!」
嫌な予感程当たるものだ。
金華ハムが腰を下ろして水を飲んでいると、微かに「ガタッ」という音がした。柱に縛りつけられていたマオシュエワンは束縛から解き放たれて、金華ハムに飛びかかったのだ。
「ドカンーー」
「ドンッーーカチャーーゴゴゴゴゴーー」
庭から聞こえてくる大きな声に、通行人は足を止めた。一同は振り返ると、慣れた様子で首を振り自分たちの仕事を続けた。
あの金華ハムという男が機関城に来てから、冰粉の小さな庭から静けさはなくなった。
「金華ハム、もうやめなさい!」
「ハハハッ!来い!今日こそあんたの全力を見せてもらうぞ!」
「……マオシュエワン!!!」
「ハハハハハッ!死ねっ!死ねっ!!!」
「………………」
幾度も補強を重ねた小さな庭を壊していく二人を見て、冰粉は額に青筋を立てていた。
「……最後にもう一度言います、静かにしなさい!」
「ハハハハッ!かかってこい!」
「あああああ!!!!!」
「ドンッ!ドンッ!」
二つの鈍い音と共に、小さな庭に鳴り響いていた怒鳴り声がぴたりと止んだ。
冰粉の背後にいた大千生が、ふわりと身をよじり、蕾の中で蠢いていた二つの物体を吐き出した。
花の汁にまみれ、吐き出された二人は先程とは打って変わって、ゆっくりと壁際で寄り添い、両手でしっかりと膝を抱え、小声で何かを囁き合っていた。
「俺はこの世で最大のゴミだ、生きている資格もない、塵になるしかない……」
「辣子鶏のチキン野郎には勝てないし、金華ハムのゴミにも勝てない、どうして俺はこの世界で生きているんだろう……」
二人の後ろ姿を見つめ、冰粉は「フンッ」と鼻を鳴らした。そして、振り返って子どもたちの答案用紙の採点を続ける。
入り口から顔を出した辣子鶏と八宝飯(はっぽうはん)は、一連の様子を見て唾を飲み込んだ。
「チキン野郎、やっぱりこれからは冰粉を怒らせない方がいいんじゃないか、あいつの大千生になんて改造をしてくれたんだ……」
「鎮静効果を強化しただけだったが、まさか人生を疑う程性格が変わるとは。うっ………」
辣子鶏は身震いを一つした後、部屋の隅に蹲り大千生の汁にまみれながら考え込んでいるマオシュエワンを見て、口角を上げた。
「チキン野郎、何を笑っているんだ」
「別に……ん?またチキン野郎って呼んだな?!この野郎、逃げるな!!!」
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