傲岸不遜・ストーリー・ダークストリート
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目次 (傲岸不遜・ストーリー・ダークストリート)
序章-行方不明

ダークストリート
アンソニーのバー入り口
コンコンコンッーー
サンデビル:……
サルミアッキ:……誰も、いないみたい。
サンデビル:ああ……確かにまだ営業時間ではない。
サルミアッキ:別の場所を探す?
サンデビル:ここは彼が指定した地点だ、彼の住処に行くと……彼は、寝起きが酷いからな。
サルミアッキ:うぅ……確かに。
サンデビル:しかし今は緊急事態だ……サルミアッキ、ここで待ってろ、裏口に行ってみる。
サルミアッキ:うん。
サンデビルが去った後、サルミアッキはゆっくりとバー入り口の階段に腰を下ろした。一息付けたと思ったら、視界に足が映った。
サルミアッキ:サン教官……あれ?違う……
チンピラ:お嬢ちゃんはこんな所で何をしているんだい?ここは良い子の来る所じゃないよ。
サルミアッキ:大丈夫、サルミアッキは良い子じゃないから……あたしは、先生だから。
チンピラ:それは良いね、へへっ……おじさんがバーよりもっと面白い所に連れて行ってあげるよ。
油汚れがついた手がサルミアッキの腕を掴もうとした時、突然、男は後ろに引っ張られてよろめいた。
チンピラ:嬢ちゃんとのイイコトを邪魔をするなんて、てめぇ……
ペルセベ:あ?
チンピラ:ボ、ボスッ?!
突然現れた青年はチンピラの汚い胸ぐらを掴み上げた。イラついているのか眉間に皺が寄っていて、低い声で唸るとチンピラは一瞬で顔を青ざめ、痙攣したかのように震え出した。
ペルセベ:イイコトだと?差し歯にするのと義足を増やすの、どっちが良いんだ?
チンピラ:俺が間違ってました!ボス、もうしません、俺は……
ペルセベ:うるせぇな、いっそ永遠に口がきけねぇようにしてやるか。
チンピラ:ヒィーー!もう一度チャンスをください、お願いします……うわああああーっ!
ドンッーー
サルミアッキ:おお……飛んだ、すごい距離……
ペルセベ:チッ、役立たずめ……ガキ、貴様だけか?太陽野郎は?
サルミアッキ:彼は……
サルミアッキ:彼はここにいるよ。
物音を聞きつけ急いでやって来たサンデビルは、目の前にる二人と地面でひっくり返っているチンピラを見比べ、その予想外の光景に固まってしまった。
ペルセベ:何の用だ?またあのバカ王に会えってか?
サンデビル:……まあ、貴方がいるならちょうどいい、「学校」から……
ペルセベ:チッ、クソ学校のくせに用ばっかだな!この「ダークストリート」をガキ共の訓練所として貸してやっただろ、後何をしろってんだ?
サルミアッキ:訓練に来ていた学生が、行方不明になった……
ペルセベ:はぁ?
第一章-賭け
サルミアッキ:訓練に来ていた学生が、行方不明になった……
サンデビル:ペルセべ、緊急事態だ、学校は貴方の力が必要としている!
ペルセベ:こ・と・わ・る。
サンデビル:え?
サンデビルは予想だにしてなかった冷たい返事に愕然とした。血色の冷たい瞳を見つめながら、どう言葉を続けたら良いか考えあぐねた。
サンデビル:貴方は状況をわかっていない、行方不明の学生はまだ実力不足だ、ここは最近荒れているし……
ペルセベ:行方不明になったのは学校のもんだろ?俺様には関係ねぇ。
サンデビル:関係ない?
ペルセベ:ダークストリートにガキ供を入れたのは、あの「鹿」に二度とちょっかい掛けて来て欲しくねぇからだ、別に協力関係を結んだわけじゃねぇ。
ペルセベ:誰もが帝国の犬になりたい訳じゃねぇんだ、俺様を好きに使いてぇとか、夢でも見てろ。
サンデビル:……それでも、学生はここダークストリートで行方不明になったんだ、ここを一番知っているのは貴方だ、学生が危険な目に遭う可能性も……
バンッ—
バーの前にあるからの酒樽が青年の怒りの犠牲になった。轟音はサンデビルの言葉を強引に遮った上、飛び散った木屑は微かなお酒の香りがして、青年の怒号で舞っていた。
ペルセベ:頭に水でも入ったのか?ダークストリートにバカ見てぇな宿題なんてねぇし、学生をとっ捕まえてどうするんだ?自分で失くしたもんは自分で探せ、俺様を巻き込むな!
バンッ——
アンソニー:朝っぱらから俺の家の前で喧嘩してる奴はどこのどいつだ、生き急いでんのか?!
バーのドアを内側から蹴り開けた人物が、大声で叫んだ。外にいる二人を見ると、声帯を引っ張られたかのように、声が何オクターブも高くなった。
アンソニー:コホンッ……ボスだったのね、朝から元気ねー!
ペルセベ:…………
アンソニー:あら!イケメンくんじゃない!
サンデビル:!
アンソニー:早く中に入って!今度こそおもてなしをしてあ・げ・る!
サンデビル:ちょっ……まっ……や、やめろ!
有無を言わせずサンデビルはバーに引きずり込まれた。慌てふためいている彼を見て、普段から不機嫌な顔をしているペルセべは珍しく口角を上げた。
ペルセベ:ハッ、手伝っても良いぜ、ただし一つ賭けをしろ。
サンデビル:なっ、何の賭けだ?
ペルセベ:情報と行動権限を与える。貴様が先にガキを見つければ、さっき言ったなんとか祭りに参加してやる。
サルミアッキ:創世日、祭典……なんとか祭りじゃない……
ペルセベ:名前なんざどうでもいい。あのバカ王が俺様に会いたがっているんだろう?見せてやろうじゃねぇか。だが、もし俺様が先に見つけたら……
ペルセベ:貴様、残ってアンソニーの所で働け。
サンデビル:なっ……
アンソニー:ナイスアイディア!新しく買ったバニーボーイの衣装がやっと役に立つわ!
サンデビル:ばばばバニー、ボーイ……?!
ペルセベ:反論しねぇなら、承諾したって事にするぞ?
サンデビル:いや……私は……
ペルセベ:54321、よし、賭け成立。
サンデビル:ちょっ……数えるのが早すぎるだろう!
サルミアッキ:バニー……楽しみ……
サンデビル:変な物を期待するな!
第二章-行動
3時間後
アンソニーのバー
手下:ボス!聞き回ったけど、あのシュスターって学生は誰も見てないらしいっす。
ペルセベ:わかった、もういいぞ、遊びに行け。
サンデビル:…………
アンソニー:イケメンくん、眉をひそめないで、ずっとそのままだとブサイクになるわ。
サルミアッキ:サン教官は、とても心配している……
ペルセベ:じゃあ、ガキ共は?仲間が半月もいなくなって、誰も報告しなかったのかよ?
サンデビル:シュスターは内向的な性格だから……
ペルセベ:友達がいねぇって事か。
サンデビル:……学生の中では一番聞き分けの良い子だ、むやみに走り回る事はないだろう。まして、ダークストリートは勝手に出入り出来る場所でもない、なのに見つからないなんて……
サルミアッキ:まさか、もう危険な目に……
ペルセベ:俺がいれば、このダークストリートは最も安全な場所だ。誰も危険な目に遭わねぇよ、それか……
ペルセベ:あいつはそもそもダークストリートに来てねぇとか。
サンデビル:?!
サルミアッキ:確……かに……
サンデビル:しかし、報告書には学生十五人が全員揃っていたと……
サルミアッキ:報告書は、誰が書いたの?
サンデビル:今回の特訓を引率した教官だ……彼に確認して来る。
サルミアッキ:じゃあ、あたしも……
凸凹コンビがバーに出ると、アンソニーは目を見開いたまま、大げさな表情でベルセぺに近寄った。
アンソニー:ボス、今日はどうしたんだ?彼らの面倒事に首を突っ込むなんて!
ペルセベ:じゃあ、賭けはナシにするか……
アンソニー:えー!やめて!ウサギの耳も準備しちゃったのに、今更ナシにするのはずるい!
ペルセベ:なら余計なこと言うな。
振り払ったやかましい声の主が、床にへたり込んでわざと悔しそうな顔でチラリと見上げて来たのを見て、ペルセべは白目をむいた。
ペルセベ:手伝ってねぇ、ただ学校の連中に代価を払わせようとしただけだ。
アンソニー:代価って……バニーボーイ?流石に割に合わないんじゃ……
アンソニー:それと、前から聞きたかったんだけど、どうしてあんなに学校を敵視しているの?別に酷い事をされた訳じゃないのに。
ペルセベ:もう十分ひでぇだろ?!権力を振りかざして俺様を顎で使おうとするなんてな、これだけであいつらが何百回死んでも気が済まねぇぐらい気に食わねぇ!
ペルセベ:あとあの太陽野郎、おもしれぇ奴を見つけたと思ったら、あいつらにガチガチに縛られて、頭もバカにされた見てぇだ。俺様の楽しみの一個潰されたんだ、それでも酷くねぇって言うのか?!
アンソニー:わかったわかった……酷い酷い、死ぬべきだわ……
青筋を立てたペルセベをなだめながら、アンソニーは何か思いついたかのように口の端を吊り上げて呟いた。
アンソニー:でも、イケメンくんが貴方を訪ねなくっても、絶対自分でこっそり人探しに行ったでしょうね……ツンデレにも程がある、あのガキんちょが心配だって認めても何も減らないのにねー
ペルセベ:はあ?何か言ったか?
アンソニー:えへへ、なんでもない。ボスは座ってて、カクテルを用意して来る。
ペルセベ:いらねぇ、もう出る。
アンソニー:え?どこに?
ペルセベ:コロシアム。あの野郎がもしガキを捕まえてたら、あいつらが飼っている畜生をまとめて焼き尽くしてやる。
ペルセベは大きな歩幅でバーを出た。ダークストリートが目覚める午後、彼が行き先だけはしんと静まり返る。それでも傲岸不遜な顔には苛立ちがこびり付いていた。
ペルセベ:待ってろ、絶対に手足を揃えて連れ帰ってやる……
シュークリーム:うわーっ!
ペルセベ:?!
突然の悲鳴にペルセベは足を止めた、その血色の目には興奮を荒々しさが浮かび上がる。瞬きもせず、真っすぐ声がした方へ駆け出した。
ペルセベ:俺様の縄張りを荒らすなんてな……やれるもんならやってみろよ!
第三章-誘拐
悲鳴を追って駆けつけると、ダークストリートの住民が見知らぬ少年に迫っているのが見えた。その光景に、ペルセベは怒りのあまり気を失いかけていた。手下たちが揃いも揃って余所者にちょっかい掛けて、自分が定めたルールを破っている現実に、彼の堪忍袋の緒が切れた。
チンピラ:ボッ、ボス……俺は……その……
ペルセベ:死にてぇのか!
シュークリーム:ちょっと待ってください!
ペルセベ:はぁ?
シュークリーム:誤解です。彼は僕を傷つけるつもりはありません、僕が……
ペルセベ:ガキ、早く教官の所へ戻れ。
シュークリーム:教……官?申し訳ないのですが、教官というのは……
チンピラを蹴り飛ばそうと上げた足を下ろし、ペルセベは困惑した表情で金髪の少年を見た。
ペルセベ:貴様、シュスターじゃねぇのか?
シュークリーム:シュスター?えーと、聞き覚えはありますが、残念ながらそれは僕の名前ではありません。僕はシュークリームです。そして……
サッーー
金属音と共に、少年はペルセベの武器によって壁際に追いやられた。一命を取り留めたチンピラは慌てて逃げ出したが、少年は目をぱちくりするだけで、まったく顔色を変える事はなかった。
シュークリーム:何をなさっているのですか?
ペルセベ:ガキ、見ねぇ顔だな。どうやってここに入った?
シュークリーム:うぅ、彼らの後を追って、あの真っ黒な門から入って来たんです。創世日祭典に向かっているのかと思っていました、まさか……
シュークリーム:ここは不思議な場所ですね。入ったら出れなくなりました、どういう仕組みなのかわかりますか?
ペルセベ:ダークストリートのモンハ俺様しか開けられねぇし、俺様の許可がなければ誰も出られねぇ。
シュークリーム:へー!そういう事なんですね!凄いですね!
ペルセベ:……ガキ、さっき誰と入って来たって言った?
シュークリーム:同じような服装の少年たちの後ろについて……そうでした!シュスターという名前、道理で聞き覚えがあったのですね!あの時、入り口にいた先生のような方が僕の事をそう呼んでいました!
ペルセベ:先生が?
シュークリーム:はい!彼に「はい」と答えるように言われた後、中に入るよう促されました。
ペルセベ:チッ、学校のバカ共は学生の顔すら覚えてねぇのかよ。やっぱシュスターってガキは……
シュークリーム:シュスター……ああ、神のいたずらで可哀想な人を見失ってしまったのですね。彼に会えたら、どうか僕の元に連れて来てください!
ペルセベ:はあ?
シュークリーム:彼の魂が濁っていようと、歪んでいようと、神は彼を受け入れ、救ってくださいます!
ペルセベ:何をごちゃごちゃと……
サンデビル:ペルセべ!どうしてここに?
ペルセべ:俺様のダークストリートだ、俺様がどこにいようが俺様の勝手だろう!
単純な質問が挑発と取られてもサンデビルは特に気にせず、慣れているように話を続けた。
サンデビル:シュスターの手掛かりは?
ペルセベ:貴様らが人違いをしてこいつを入れたみてぇだ、シュスターってガキはダークストリートには来ていない。
サルミアッキ:シュスターは家にも帰っていない、学校にも、いない。
ペルセベ:サボって遊びにでも行ったんだろう。
サルミアッキ:シュスターが好きなのは、実験だけ……遊んだりは、しない……
ペルセベ:実験?
サンデビル:……シュスターは、誘拐されたのかもしれない。
ペルセベ:はぁ?
第四章-偶然の出会い
レストラン
クレームブリュレ:うぅ……この仕事が始めたばかりなので、半月前の事はわかりません。本当にすみません!
サンデビル:……大丈夫だ、感謝する。
クレームブリュレ:いえいえいえ、とんでもない!しかし……最近、行方不明事件がたくさん起きているみたいです、しかもいなくなるのは子どもばかり……心配ですね。
サルミアッキ:子ども……行方不明……
クレームブリュレ:まあ、心配し過ぎても仕方ありませんよ。こういうおかしな事件は大体専門家が処理してくれるので、安心してください!
サンデビル:……シュスターは一体どこに……
クレームブリュレ:あれ……そう言えばちょうど半月前から、近所から訳もなく人が消えているらしいです。幽霊に連れていかれたんだって、皆さん言ってました!
サルミアッキ:幽霊……
クレームブリュレ:へへっ、その幽霊は痩せていて小さな若者に狙いを定めているらしいですよ!幽霊に連れて行かれた人は、恐ろしい悪魔の化身になって、人間に復讐を……
レストランオーナー:おいっ、新人!
クレームブリュレ:ああああはいっ!
レストランオーナー:サボるな!早く働け!
クレームブリュレ:えへへ、見つかっちゃいました……お客様、申し訳ありませんが、お先に失礼いたします。
トレーを抱えた人懐っこいウェイトレスは勢い良くキッチンに入って行った。彼女の情報にかき乱された客たちは、思い思いの表情を浮かべていた。
サンデビル:……不可解な失踪……シュスターも関係しているのだろうか……
ペルセベ:考え過ぎだろ、三歳児でもねぇし、そんなに心配する必要があんのか?
サンデビル:違う……無駄な「情報」などない。
サンデビル:学校では多様な人材を養成している、シュスターは戦闘出来るタイプではない、それに……実験室の研究資料をたくさん持っている、機密資料も多い、万が一本当に誘拐されたら……
ペルセベ:ガキに大事なもん持たせておいて、ちゃんと見ておかねぇなんて、貴様らはいつになったら頭の水を全部抜けるんだ?
サルミアッキ:ダークストリートは、安全な場所……こうなるとは、思っていなかった……
ペルセベ:もういい、まずガキを見つけるのが先だ、ていうか……
ペルセベ:なんでこいつもついて来てるんだ?!
シュークリーム:え?僕の事ですか?
ファストフードに夢中になっていた金髪の少年が、可哀想な表情で顔を上げた。この顔を見たペルセベは、何故か彼の食事を邪魔しかたかのような、申し訳なさそうな気持ちになった。
サンデビル:シュスターにはあっていないと言っていたが、片方だけの意見では……
ペルセベ:見張るって事か?
サンデビル:否定はしない……相手が子どもだからといって、気を抜く訳にはいかない。それに、彼は何故だかシュスターの事をよく知っているようだ……
シュークリーム:シュスターは……孤独で、苦しい少年です……
サンデビル:…………
シュークリーム:その少年が一日でも早く深淵から脱出出来るよう、祈ります。あなたちの事も助けてあげたいと思います、何故なら…
シュークリーム:神は、この世の全ての者を愛しているのですから!
サンデビル:…………
サルミアッキ:……サルミアッキは、神より、幽霊のが好き…………
サンデビル:行こう、早くシュスターを見つけなければ……
手早くテーブルの上の食事を済ませ、会計をしようとした時、裏口から元気な声が聞こえてきた。
クリームブリュレ:えっ?お客様はお手洗いに行かれていたのですね、長い間戻ってこられないので、お帰りになったのかと思いました!
???:……
クレームブリュレ:裏口から出たいのでしょうか?では、お会計を……
???:……どいて。
クレームブリュレ:わあ!食い逃げです!誰か!食い逃げした人がいます!
少女の叫び声はその場にいた全ての者の注意を引いた。サンデビルはすぐに前に出て、逃げようとしている者を捕えた。そして、揉み合っている内に相手が羽織っているマントを引きずり下ろした。
???:!
サンデビル:シュスター!
サンデビルが呆気に取られている内、貧弱な少年は必死にもがいて、どうにか振り切って外に逃げて行った。
ペルセベ:チッ、待て!
第五章-謎の人物
ペルセベ:クソガキ、逃げられるもんなら逃げてみろ?!
シュスター:…………
ペルセベ:金がねぇなら教官から借りればいいだろ、何で逃げんだ?!
シュスター:…………お前には、わからない…………
ペルセベ:確かにわからねぇな、俺様は例え餓死しても食い逃げなんてしねえよ!
シュスター:…………
サンデビル:……シュスター、どうして特訓に行かなかった、この半月、貴方は……
シュスター:構うな。
サンデビル:?
シュスター:教官たちは、何もわかっていない。
ペルセベ:あーうぜぇ……これが思春期のガキか?
鎖がジャラジャラと音を立てている、ペルセベの我慢が限界に達したのか、首を捻って獣のような威圧的な声を発した。聞いた者は皆思わずゾッとする。
ペルセベ:一回殴れば、聞き分けがよくなるだろう……
過去に暴れた姿を見ているため、サンデビルは慌ててペルセベを制止しようとした。しかし手が伸ばすよりも早く、シュスターが背にしている壁の向こうから誰かが跳び下りて来た。
ペルセベ:?
謎の少年:行って。
シュスター:…………
次の瞬間、シュスターは少年の肩を踏んで、壁の向こう側に消えた。
ペルセベ:おいっ!
謎の少年:皆さん、彼の邪魔をしないでください。
ペルセベ:はあ?貴様誰だ?
謎の少年:彼の事は、私が一番よくわかっています。
ペルセベ:……気持ち悪ぃ。
謎の少年:えっ、気持ち悪いって…………
サンデビル:この半月、貴様がずっとシュスターと一緒にいたのか?
謎の少年:……フフッ、半月も行方不明に気付かないで、今更心配するなんて、ちょっと都合が良過ぎませんか?教官さん。
サンデビル:…………
謎の少年:彼には計り知れない価値があるが、貴方たちにとってはこの程度だったという事です……本当に彼の事を心配しているのなら、もうここで手を打ったらどうでしょう?
ペルセベ:命令するな?!貴様……
サンデビル:待て!
振り上げた拳をサンデビルに止められ、ペルセベは少年が向こうに消えていくのを信じられないような顔で見ていた。彼の顔は、怒りで真っ赤になっている。
ペルセベ:頭の中に溜まっていた水を出せつったが、脳ミソまで捨てろとは言ってねぇだろ!何故止めた!
サンデビル:シュスターの様子がおかしい、まず彼がここ数日どんな経験をして来たのか、知らなくてはならない。
ペルセベ:ああ?監視の次は尾行?正々堂々と聞けないからこそこそやんなきゃいけねぇのか?やはり学校の奴らは同じ穴の狢だな。
サンデビル:正々堂々と?私に学生を拷問して自白を強要しろと言うのか?ダークストリートのルールがどこでも通用する訳ではない!
ペルセベ:誰がガキに自白を迫れと言った?俺様が言いたいのは……
サルミアッキ:喧嘩は……ダメ……
サンデビル:…………
ペルセベ:チッ。
女の子の声を聞いて、ペルセベは急ブレーキが掛けられたかのように動きを止めた。サンデビルを睨んだ後、視線を戻したが、顔は不満だらけだった。
シュークリーム:あの……彼を追わなくて良いんですか?もう随分遠くに行ってしまってますよ。
サンデビル:行こう!
第六章-獲物
廃倉庫
サンデビル:……シュスターはどうしてこんな所へ……
ペルセベ:言っとくがクロの鼻が間違える訳がねぇ、ここだ。
クロ:ワン!
ペルセベ:だが……教会の倉庫の地面に、何故注射針がこんなに転がってんだ。
シュークリーム:薬瓶、試験管もたくさんありますね……うわっ!メスも!
サンデビル:まるで実験室みたいだ……
ペルセベ:実験室?おいガキ、シュスターの奴は実験が好きだと言ったな。
サルミアッキ:うん……彼はよく先生を手伝って、実験してた。
ペルセベ:先生?
サンデビル:…………
ペルセベ:いっ――何を震えてやがんだ?貴様の丸鋸に切られるとこだったじゃねぇか!
サンデビル:コホンッ……何でもない。
サルミアッキ:シュスターはいつも、自分を実験体に……
ペルセベ:自分を実験体に?……さっきの謎のガキは、シュスターをモルモットにして、何か実験してんじゃねぇのか?
サルミアッキ:可能性は、ある……
シュークリーム:哀れな少年よ、神のご加護があらんことを……
ペルセベ:半月も行方不明になってんのに、誰にも気付かれねぇなんて本当に哀れな奴だな。
サンデビル:シュスターは内気だ、いつも実験室に籠って、確かに注目される事は少ない……クソッ!もっと早く気付くべきだった!
ペルセベ:何でも自分のせいにすんだな?貴様はダークストリートに来てねぇし、引率の奴の問題だ。
サンデビル:だがシュスターは私の教え子でもある、反論も言い訳もない。これは、私の責任だ。
サンデビルの声は大きくはなかったが、一言一句に重い感情が乗っていた。相手の本音であるとわかっていたペルセベだが、彼は慰めや誤魔化しの言葉を口に出来る性格ではないため、鼻で笑う事しか出来ない。
ペルセベ:カッコつける暇があるなら、早くガキを探せ。
サルミアッキ:仲直り……?
ペルセベ:仲間じゃねぇんだから、仲直りだなんて……
サルミアッキ:うん……仲直り……良かった、クロも、嬉しい……
クロ:ワン!ワン!
サルミアッキ:クロ……可愛い……
ペルセベ:地獄犬を可愛いと言ったのは、貴様が初めてだな……
クロ:ワン!ワン!ワン!
ペルセベ:え?
伴生獣がふとある方向に向かって吠え始めた。ペルセベは気を引き締め、目の前の壁を穿つような鋭い視線を向けた。
ペルセベ:隠れるな、出て来い。
アールグレイ:フフッ、やはり獣のようですね、嗅覚が鋭い。
サンデビル:何者だ?こんな所で何をしている?
アールグレイ:狩人ですから、狩りに決まってるじゃないですか。
サンデビル:狩り?こんな所に野獣が出ないのは素人にもわかるが……
アールグレイ:フフッ、何故なら人間も、私の獲物ですからね。
サンデビル:!
第七章-尋問
ペルセベ:この野郎……やるならさっさとしろ!逃げ回んな!
アールグレイ:フフッ……申し訳ないが、ご期待に沿えません。そちらのお嬢さんの澄んだ瞳を暴力で汚したくありませんので。
ペルセベ:はぁ?
アールグレイ:おや、面白い返事ですね。
サンデビル:………………
サンデビルは顔色を変えずサルミアッキを自分の背後に隠した。それを見た向かいの「狩人」は、申し訳なさそうに頭を下げる。
アールグレイ:これは失礼いたしました。私は神恩軍から参りました、アールグレイと申します。余計なトラブルを避けるため、ここで身を隠していたのですが、まさか皆様に誤解を与えてしまうとは。
サンデビル:神恩軍?
アールグレイ:失踪事件を調査するよう命じられています。たまたまこちらに通りかかったので、どうぞお気になさらず。
サンデビル:私たちが探している人も、その事件に関係しているかもしれない。情報を共有して下されば、帝国連邦の名において、神恩軍に感謝をさせていただきます。
アールグレイ:帝国連邦のためならお安い御用ですよ。ただ……現時点で、あまり多くの情報は持っていません。行方不明の少年たちが人体実験の犠牲になっている事だけは確定事項のようです。
サンデビル:!
アールグレイ:その邪悪な実験は、人間に食霊の力を与えようとする物だそうです。しかし人間の弱い肉体と精神は強い霊力に耐える事が出来ず、最終的に半人半鬼の怪物になってしまう。
サルミアッキ:ウェイトレスのお姉さんが言っていた、「悪魔」……
サンデビル:……サルミアッキ、ルートフィスクの実験で何を研究しているんだ?
サルミアッキ:人間に、食霊の力を注入する……でもとても危ないから、中止になった……
ドンッーーバンッーー
ペルセベ:何の音ですか?
シュークリーム:み、皆さん!早く、早くこっちに来てください!
ペルセベ:あのクソガキ、いつの間に……
ペルセベ:おいっ!何を……!
シュークリームが危ない目に遭ったのかと思い、急いで出て来た一行は、彼が一人の少年に馬乗りになって嬉しそうに笑っている光景を目にした。
シュークリーム:皆さん、彼を捕まえましたよ!
謎の少年:放せ!卑劣な奴らめ!
尾行する計画は破られたが、この時サンデビルもゆっくり真実を確認する気にはなれず、シュークリームを持ち上げ、目には怒りの炎を灯していた。
サンデビル:何を企んでいるんだ?行方不明になった子どもたちは全員貴方が誘拐したのか?こんな事をして一体貴様に何の得があるんだ?!
謎の少年:フンッ、お前ら食霊共にわかる訳がないだろう。
サンデビル:?
謎の少年:生まれながらにして不平等なのに、「学校」というものを使って格差を更に広げようとしている……全てを持っているお前らにはわからない、私たちがどんなに苦しくて、どんなに悔しいかを!やっとここまで来たのに……邪魔をするな!
サンデビル:自分の罪を美化するな、貴様はシュスターを利用しているだけだ!
謎の少年:ハッ、どうでも良い、とにかく私は何も言わない。
サンデビル:……
ペルセベ:フンッ、学校がろくなもんじゃない、これには賛成だ、だが……命は、貴様らのようなガキが好き勝手して良いもんじゃねぇんだ!
謎の少年:……何をするつもりだ?
ペルセベ:ここまで来て、まだそんなに強がれるなんて感心するな。
アールグレイ:おや?尋問ですか……ちょうど良い、私も尋問の仕方をいくつか知っているんです……
二十分後ーー
謎の少年:やめろ!やめてくれ!言う!全部言うから!だから……
ペルセベ:チッ、つまんねぇな、まだ本気を出してねぇのによ。
アールグレイ:心配しないでください、どんなに酷い怪我をしても、こちらの可愛らしいお嬢さんが治してくれますよ、もう少し頑張りましょう?
謎の少年:全部話します!もう、もうそんな気持ち悪い物を飲ませないでください!
サルミアッキのグラスを持つ手が震えた。無表情のままだが、どこか切なさを感じる。
サルミアッキ:特製なのに……気持ち悪いなんて……うぅ……
アールグレイ:フフッ……やはり人間は精神なんかより、胃腸の方が弱いようですね。
サンデビル:シュスターはどこにいる?
第八章-変異
荒廃した教会
ペルセベ:チッ……こういう奴らって、どうしていつも教会に隠れたがるんだ?
アールグレイ:神聖で厳粛なイメージのある教会を利用し、人目を欺こうとしているのかもしれませんね……
シュークリーム:だけど、あの人は放っておいて大丈夫なのでしょうか?彼も悪い事をしましたよね……
サンデビル:安心しろ、処理してくれる者がいる。
アールグレイ:ところで、貴方たちはシュスターを見つけて、どうするつもりですか?
サンデビル:彼を学校に連れ戻し、カウンセリングをする。
アールグレイ:それだけ?
サンデビル:……どういう意味だ。
アールグレイ:もし……シュスターがただの被害者じゃなかったら?
ガランとした陰気な教会の温度が急に何度も下がった。サンデビルは神恩軍と名乗る青年の方を零度に近い冷たい目で見た。
サンデビル:何が言いたいんだ。
アールグレイ:申し訳ありません、貴方を怒らせるつもりも、「学校」の決定に口出しするつもりもありません。ただ、先程の少年は戦えるようにも、頭が回るようにも見えません、明らかに首謀者ではないでしょう。
アールグレイ:しかし、長年実験や研究を続けてきたシュスターの価値は尋常ではないと言っていました……
ペルセベ:おいっ、いい加減にしろ。
低い声がアールグレイの淡々とした説明を遮った。問題を起こす気のない彼は、血色の目からの冷たい視線を感じると、表情を変えずに口を噤んだ。
ペルセベ:人をバカにするにも程がある、そんな事わからないとでも思ってんのか?ただ証拠を見つけるまで、誰も疑う必要がないだけだ。しかも、こいつの教え子だしな。
ペルセベ:太陽野郎は牙を抜かれた飼い犬に過ぎない、脳ミソを食われたバカじゃねぇ。でないと、俺様がこんな所まで付き合う訳がねぇだろ。
シュークリーム:えーだけど、少し前に脳ミソがないと言っていたじゃないですか?
ペルセベ:別の話だ!
サンデビル:…………
アールグレイ:フフッ……大変失礼いたしました。
サンデビル:……いや、貴方の言う通りだ。私はシュスターの教官である、彼が犯行した可能性を捨ててはならない……しかし、例え彼が被害者であろうと加害者であろうと、私は彼の行為に最後まで責任を負う所存だ。
サンデビル:何故なら、彼は私の教え子だからだ。
シュスター:冗談じゃないよ……
サンデビル:!
いつの間にか姿を現した少年は痩せ細っていて、血色がない。大きいとは言えない声を出すだけで全身の力を使っているようで、青筋を立て、握っている両手も不自然に震えていた。
サンデビル:シュスター……
シュスター:綺麗事はいくらでも言える。お前が責任を負うと言っているのは、食霊としての恥ずべき虚栄心を満たすために過ぎない!
シュスター:お前は食霊であり、帝国最強の騎士、私の教官だ。私に何かあったら、お前の輝かしい経歴に泥を塗る事になるだろ、なあ?!
サンデビル:違う!
シュスター:違う?じゃあ、どうして半月の間私を探しに来なかった?どうして私を学校に入れるだけ入れて、イジメられても放っておいたんだ?どうして私が唯一得意な実験を中止した?どうして私に希望を見せておいて、それを踏みにじるんだ?!
サンデビル:…………
シュスター:認めるんだな?私の存在は、お前らのような強者の引き立て役に過ぎないって事だ!
ペルセベ:クソガキ、調子に乗るな!引き立て役になりてぇなら、まず自分の力量をはかっておけ!
サンデビルは急いでペルセベの言葉を遮った。だが意外にも少年は挑発される事なく、むしろ目には笑みが浮かんでいるように見えた。
シュスター:ハハッ……私の力では食霊と対抗出来ない。だから今日まで……密かに研究してきたんだ……
少年はそう言いながら、何十頭もの猛獣を閉じ込められる程の鉄檻を隅から引っ張り出して来た。その檻を覆う黒い幕を取ると、中にいる「実験体」たちが目を見開き、獣のような牙を見せた。
サンデビル:本当に……貴方だったのか……
シュスター:さあ、お前らで私の実験成果を確認する時が来た!
少年は檻を開け「怪物」たちを放つと、自分の腕に注射針を刺した。液体が体内に注入されていくにつれ、彼の目は真っ赤になり、血管が膨張し妖しく蠢いた……
サンデビル:じ、自分にも……
シュスター:これは自分の力で得た力だ、得た強さだ……生まれながらに全てを持っている食霊たちよ、弱者である人間の力を味わえ!
ペルセベ:ハッ!望むところだ!
サンデビル:待て!子どもたちを傷つけるな!
終章-救済
シュスター:がっ、学校にはもっと強いひとがいます、私なんて必要ありません……私は実験さえ出来れば……
父親:馬鹿者!人間が学校に入れるだけで光栄に思え!家族のためだ、お前に拒否権はない!
シュスター:……
***
食霊A:学校は一体何を考えているのかしら、どうして人間と一緒に授業を受けなければならないの?
食霊B:サンドバッグ用じゃない?ほら、ちょっと怪我しただけで動けなくなってるよ。こんなに弱くて、何の役に立つんだ?
シュスター:…………
学生A:フンッ、ルートフィスク先生に気に入られた位で、何調子に乗ってんだ!
学生B:先生はお前をただの便利な実験道具としか思ってないよ。まだ聞いてないよな?実験は中止になった、お前にもう利用価値なんてない!
***
シュスター:………………
謎の少年:学校の学生ですよね……イジメられているのですか?大丈夫……強くなれば良いんです……実験は覚えていますか、私が助けてあげますよ……
シュスター:…………
***
謎の少年:学校の先生たちは貴方の事を何とも思っていません、私だけです、私だけが貴方と同じぐらい弱い、だけど貴方の夢を実現させるためなら努力出来る!学校に復讐したくないのですか?!やりましょうよ!
実験体:あああああ――!
シュスター:…………………………
少年は強い霊力を受け崩壊寸前になっている「実験体」の前に立っているが、空っぽになっていた。
シュスター:私は、最初、何をするつもりだったんだ……
サンデビル:シュスター!
シュスター:!
***
突然、痛々しい記憶が霧が晴れるかのように消えて行った、少年の目に光が戻る。夕焼けが教会の中に降り注ぎ、少しずつ彼の目の前にいる人物を照らした。
シュスター:せっ、先生……
サンデビル:良かった、目が覚めたようだな。
シュスター:君……
サンデビル:問題ない。
「実験体」が食霊には敵うはずがなかった。だが無実の子どもたちを傷つけないため、少年を守るため、サンデビルは身を挺して全ての攻撃を受けた。
自分が血まみれになっても、彼はいつも通り冷静で、少しも弱っているようには見えない。或いは、少年を安心させるために強がっているのかもしれない。
自分が憧れて崇拝していた教官が、自分のせいでこんなにも傷ついているのを見て、少年の声は震えた。
シュスター:どっ、どうして……どうして、私なんかのために、どうして……哀れな、私のために……
サンデビル:貴方が何をしても、私には貴方を守る義務がある……貴方が哀れな学生なら、私は哀れな教官だろう……
サンデビル:遅くなって、本当にすまない。
シュスター:ああ……そうだな、お、遅すぎた……
サンデビル:いや!まだ、遅くない!
シュスター:!
サンデビル:貴方はいくつもの選抜を潜り抜けて来た強者だ、ルートフィスクの実験は誰にでも理解出来るものではない、貴方にしか出来ない!
サンデビル:貴方を知らない者は貴方の一面しか見えない、奴らの評価に負けるな、そして、自分に負けるな!
シュスター:自分に……負けない……
否定されてきた人生だったが、教官の言葉で特別な物になったような気がした少年、彼の心臓はドクドクと強く脈打っている。罵られ、苦しみによって抑圧されて来た彼だが、また目に希望の光が宿ったようだ。
しかし次の瞬間、彼はまた深淵に堕ちてしまった。荒れ果てた教会、満身創痍の教官、全てが彼の罪を証明する。
シュスター:戻れない……私はもう……身勝手に他人を傷つける罪人になってしまった……
傷つけ、傷つけられた経験が冷たい触手となって彼に絡まり、地獄に引きずり下ろそうとした。彼が自分の魂が呑み込まれていくのを感じている時、赤く熱い何かが彼の身体にぶつかった。雷のように強いそれは、あたたかな温度をもっていたーーそれは教官が彼のために捧げた熱血だった。
サンデビル:自分のした事の責任は負うべきだ、だが貴方の苦しみに気付けなかった私にも責任はある……貴方に背負えない分は、私が背負おう。
ド―ン。
少年は教官の身体に身体を預け、震えながら涙をこぼした。
シュスター:先生……どうか、助けてください……
サンデビル:……お疲れ。これからの事は、全て任せてくれ。
力が尽きた少年は深い眠りについた。サンデビルはぎこちない姿勢で彼を抱え上げ、そして一角に彼を寝かせた。
サルミアッキ:……あの、紙は必要?ペル教官……
ペルセベ:はあ?冗談じゃねぇ!そんなもんはいらねぇ!ん……誰がペル教官だ?!
パチパチパチーー
アールグレイ:流石シャンパン陛下が育てた人材、演技も話術も一流ですね。勉強になりました。
ペルセベ:演技……?太陽野郎!全部演技かよ?!
サンデビル:なっ……そんな事をする訳がないだろ!
ペルセベ:学校の奴らはやっぱり同じ穴の狢だな、目的のために手段を問わない……イカサマだ!あのクソ祭りになんて絶対行かねぇ!
サンデビル:約束を破るつもりか!
気付けば、先程まで頼りになっていた大人たちが喧嘩を始めた、その物音は先程の決戦よりも大きい。
アールグレイ:おや、軽い冗談で場の空気を明るくしようと思ったのですが、失敗したようですね……
サルミアッキ:大丈夫……二人とも強い、それにサルミアッキの薬が、ある……
アールグレイ:フフッ、では私はお先に失礼します……
シュークリーム:あの!
アールグレイ:え?
シュークリーム:創世日祭典に行くつもりですよね、僕を連れて行ってくれませんか?
アールグレイ:貴方は……どうして私が行こうとしているのを知っているのですか?
シュークリーム:へへ……僕は、なーんでも知っていますよ。
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