タピオカミルクティー・エピソード
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タピオカミルクティーのエピソード
旅が大好きな少女。旅行記を書き溜めている。また趣味でオカルト小説を書いており、強い探究心をもっているが、尊敬する紅茶の身にまつわる謎は未だ解けていない。
Ⅰ 隣人
「タピオカミルクティーさん!猿がトランクを狙っています!」
ティラミスさんの注意は最初に何が起こったのか全然わかっていなかった。
そして、手に力を感じた。下を見れば、一匹の猿が私の箱を引っ張っている。
「きゃー!トランクを放してください!」
私は驚いて叫んで、力を入れて手を離さなかった。ティラミスさんが霊力でその猿を追い払った。
私は慌てて彼女に感謝したが、彼女は笑いながら手を振って、そしてもうすぐ到着する町の後ろにある森を眺めた。
「森に近い小さい町ですけど、まさか荷物を奪う猿がいるとは……ここは確かに平和ですね」
「野外で猿に荷物を盗まれると言われましたが、自分が直に奪われるなんて想像もできませんでしたね。」
「まあ、猿は全部追い払いましたし。これは冒険小説の素材になりませんか?」
「そうね。せめてここにくる価値があるわね~」
私はティラミスさんの手を捕まえて立った。スカートの土を払って、彼女と一緒に目の前の町に行った。
ここは平和な町だ。堕神が侵入したことはなかった。
だけど森が近すぎるせいか、野生の動物がよく町に出現した。ウワバミとか、猿とか。
町の住民はもう慣れているけど、旅人にとってはすごく怖いだろう。まあ、朝ドアを開けたら大きいウワバミが現れることは、誰でもびっくりだろうね。
でもこの町は有名になった。近距離で野生動物と接触するためわざわざこの町に来る人も増えた。私とティラミスさんは別にそうではないけど、ただ自然と調和共存のこの町に興味があるだけだ。
なので、トランクが奪われそうになっても、私の気持ちには全然影響がない。
珍しい体験ですもの。
「だめだ!今すぐ行け!馬車がここに止まったら、うちの商売はできないぞ!」
町に入ると、喧嘩のような大声が聞こえた。それにもうたくさんの人が集まっていた。
私とティラミスさんも気になってちょっと見てみた。2つの店の間に一つの馬車が止まっている。
そして一つの革靴を持っている人と、馬車から下ろした箱を抱いているもう一人が喧嘩している。
「また始まった。あの二人が喧嘩してないことなんて、一つもないぞ」
「昔あんなに仲良かったのに。裁縫屋の馬車、わざとそこに止まってるだろう?靴屋に嫌がらせするため。」
周りの人の会話から、私とティラミスさんは事態を大体把握した。
喧嘩しているのは町の裁縫屋と靴屋だ。長い間の隣人で、もともと仲が良かったが、突然に反発し合い、それから対立となった。しかし誰も原因がわからない。
相当気になるけど、知らない人のプライバシーを聞き出したくないからなあ。
ため息を吐いて、ティラミスさんと離れようとした時、彼女に止められた。
その時の私はまだ知らなかった。ティラミスさんが発見したことは、私達の旅にとんでもない話をもたらした。
Ⅱ おかしい宿怨
(※一部誤字と思われる箇所を編集者の判断で変更して記載しています)
「待ってタピオカミルクティーさん、そこを見てください」
「あれは…急ごう!」
ティラミスさんが指した方向を見ると、人群の外に一人の妊婦が辛そうに壁についている。
私達が走って妊婦のそばに行って、彼女を支えて周囲を見回した。
「大丈夫ですか?もうすぐ出産のようですが、お医者さんに送りましょうか?」
「いいです。最近はよく陣痛があってね、ありがとう…家はこの前ですが人群に囲まれて…」
「あなたまさか?」
「…はい、うちはその裁縫屋です。」
私とティラミスさんは目を合わせた。彼女はすぐに大声で人群を追い散らして、御者に馬車を移させた。私は妊婦を支えてゆっくりと家に移動した。
先まで隣の靴屋と喧嘩していた裁縫屋の主人は、奥さんの腹が痛いと聞いたら、すぐ馬車の御者に更に前に移させた。奥さんが家に気安く帰れるように、靴屋の店舗を完全に遮った。
靴屋の主人が激怒して、持っている靴で裁縫屋の主人を殴ろうとしたが、靴屋の店舗からもう一人の妊婦が出てきて、主人を阻止した。
裁縫屋の主人が私が支えている妊婦を家に迎えた。
彼女はベッドに横になった後、陣痛が和らいだようだった。
私とティラミスさんは心配で家に入ったが、彼女が礼を言った後にも状況を聞いてみた。
「奥さんとお子さんも大丈夫なようですね。出産予定はいつ頃でしょうか?」
「今月のようです。あ、そう言えば、隣も今月ですね。」
「ふん、絶対にあいつより早く産めよ!」
「何をバカなこと、これを決めたのは私じゃないし。」
まだ、もうすぐ出産の妊婦を一人で出かけさせた原因を聞かないうちに、夫婦喧嘩が始まってしまった。
ティラミスさんは彼らを見て何を言っていいのか、わからなくなったみたいだ。私はいいことを思い出して、彼らの喧嘩を止む、気になる問題を質問してみた。
「あの、どうして隣より早く子供を出産したいの?なにかあるのですか?」
「負けたくないからな!」
「え?」
「あんた黙りなさい、私が説明するわ。」
妊婦は主人の手を叩いて、話す前に主人の様子を見て、仕方ないように笑った。
裁縫屋と靴屋は店舗だけでなく、裏庭も繋がっている。ある日その真ん中の小道に何故かさくらんぼの木が出てきた。道の通行を塞いだけど、さくらんぼの実が食べられるため、両方共嬉しかった。そして一緒にその木を育てる約束をした。
しかし、ようやく収穫できる時が来たら、全ての果実は一夜の間になくなった。
両方の意見によって、みんな相手が採ったと思って、相手が自分を誘って共に食べるのを待っていた。でも長い時間が経ったが、だれも誘いを受けなかった。
結局両方共相手が独り占めしたと思った。
私とティラミスさんはこの話を聞いて、顔を見合わすばかりで、何も言えなかった。
これだけであんなに恨み合うことになるのか?
人間は本当におかしい。
でも、こんなことがあったからこそ、人間は私の小説にたくさんの素材を提供してくれた。私はもっと人間のことを理解したい。この点についてティラミスさんも同じだ。
Ⅲ 猿の酒
(※誤字・文章がおかしい箇所を編集者の判断で変更して記載しています)
私とティラミスさんが旅をしてこの町に来たことを知ると、裁縫屋と奥さんは親切に私達を泊めようと招待した。
私達は些細なことで何年間も誤解を続ける人間に興味があるから、観察のいいチャンスと思って拒まなかった。
夜、私は真面目に今日の奇遇を記録していて、時にティラミスさんに話しかけた。
「トランクを奪われなかったのはラッキーだったね。じゃないと日記も記録もできなくなる。」
「それをきっかけに新しい日記帳に変えるのも悪くないのでは?」
「でも以前の記録は戻らないね。」
急に、一つの考えが浮かんだ。私はペンを置いて昔の記録を確認してみた。
「あったあった!ティラミスさん、これを見てください!」
「なにがあったのですか?」
「猿だ!裁縫屋と靴屋の宿怨の原因は猿かもしれない!」
「……猿の酒ですか?」
「そうです。昔ある町で猿が果実を採って酒を作る噂を聞いたの。今回はきっとこれが原因だよ」
私はちょっと興奮して、自分がようやく真実を掘り出したと思って、隣に来たティラミスさんを抱きしめた。
「慌てないで…タピオカミルクティーさん。猿の酒はあくまでも噂です。本当のことか確かめないといけません。」
「じゃ明日確かめてみよう!どうせその森にいくつもりだし~」
翌日、私とティラミスさんは朝早く起きて、猿の酒を探しにいこうと思った。しかしそのとき台所からの辛そうな呻き声に留められた。
「痛い!痛い!もうすぐ出そう!」
「医者さんを呼んできます!タピオカミルクティーさんはここで看病してください!早くベッドに連れていってあげてください!」
妊婦が辛そうな顔で地面に跪いている。
最初はちょっと慌てていたけど、ティラミスさんの手配で落ち着いた。ベッドのそばでずっと妊婦の看病をしていた。
私と一緒に妊婦の手を握っていた。二人とももうすぐ来る新しい命に対して興奮していた。一点違ったのは、私は出産の助けをした経験を小説に書いたらきっと面白くなると思った。
しかし猿の酒が……
「タピオカミルクティーさん、わたくしが猿の酒を探してみます。」
ティラミスさんは医者さんを連れて戻った。でもその後に彼女はまた外に出ることを選んだ。
ティラミスさんは優しい食霊で、きっとここで妊婦を助けたいはずだ。
彼女はきっと早く二つの家族を和解させたいと思っている。その宿怨は次の世代に伸ばしてはいけない。でも私が興奮している様子だったから、彼女は私が新しい命の誕生に立ち会いたい思いを見透かした。
「でも森の中は危ない。ティラミスさんが一人で……」
「わたくしたちは食霊ですよ。二人より、一人の方が猿に気づかれにくいでしょう?そして、その宿怨は子でもたちに伸ばしたくありません。早く仲直りできれば…」
よく考えた後に結論を出した。ティラミスさんが一人で森に猿の酒を探しに行く。私はお医者さんと一緒にもうすぐ出産の妊婦を看病する。
しかし、十時間過ぎて、太陽がもう沈んだ。ティラミスさんがまだ帰ってこない。妊婦もずっと出産していないけど、子宮の収縮反応により辛そうにずっと呻いている。
さらにまずいのは、靴屋の奥さんも破水になって、お医者さんに先に自分の奥さんを診断させようとやってきた。
私はお医者さんを引っ張って、「順番にやれ」と言い続けている裁縫屋を見て、頭が痛くなった。妊婦の手を握って離れないように勧めようと思ったけど、裁縫屋を何回呼んでも相手にされない。私は深い息を吐いて、心の中で祈り始めた。
早く戻ってください、ティラミスさん。
悲劇は物語に新鮮な感じをもたらすけど、現実は悲しい結末を望まない。
Ⅳ 仲直り
(※誤字や文章がおかしい箇所を一部編集者の判断で変更して記載しています)
ティラミスさんはようやく帰ってきた。そして一本の酒を持ってきた。それは猿の酒だ!
彼女は急いで部屋に入って、取っ組み合っている裁縫屋さんと靴屋さんと医者さんを見て、珍しく怒りの表情を表した。
「なにをやってるんですか?妊婦の前でも喧嘩しますか?」
「あんたに関係ない!」
「ティラミスさん!靴屋さんの奥さんも、もうすぐ出産のようです!」
話を聞いたら、ティラミスさんの顔色はさらに怖くなった。
彼女が苦労して猿の酒を探して、二つの家族の宿怨を次の世代に伸ばさせず、仲直りさせたかったのに、二人の当主は妊婦の危険を配慮せず、無駄に医者を争っている。
「見てください!これはあなた達の宿怨です。」
ティラミスさんが蓋を開けて、濃厚な香りが部屋の中に広がった。医者さんが側に行って、指で酒を少し味見してみた。
「これは…さくらんぼの酒?」
「そうです。これも猿の酒です。猿があなた達のさくらんぼを採って酒を作ったのです。」
「そんな…ばかな…」
その場にいる人間はティラミスさんの情報に驚かされて、なにも言えなくなった。
「わたくしとタピオカミルクティーさんがここに来た時、猿が鞄を奪いに来ました。このあたりに猿が多いですよね?」
「そうだ。町の中にもよく猿が見えた。」
「じゃ間違いありませんね。全部猿の仕業です。猿も人間と同じで酒を作る習慣があります。あなた達がそのさくらんぼの木をよく育ててましたから、猿も毎年来てました。」
「じゃ…あいつがさくらんぼを独り占めしたんじゃなかったのか?」
「あなた達のこの数年の宿怨は全部無駄なものです。まだわかりませんか?」
まだ真実を受け入れられない裁縫屋さんを見て、ティラミスさんがため息を吐いて、容赦なく説教した。
私はちょっと咳をして、気まずい空気を和らげようとした。
「誤解の原因もわかったし、これで和解できるよね?」
誰も私の話に乗ってこなかった。ティラミスさんはこれ以上説明したくないようで、妊婦の隣に座って、私からタオルをもらって妊婦の汗を拭き取りはじめた。
妊婦がティラミスさんを見る目には感激の気持ちが見えた。彼女が体を支えて、お医者さんに話した。
「先生、隣に行ってください。私の子はまだそんなに焦らなくていいですから」
ティラミスさんのおかげで、二人の子供が誕生した後に仲直りした。
二人の父親がまだ子供を抱いて自分の子の方がかわいいと張り合っていたが、この前のように喧嘩はもうしなかった。
二人の母親はその息子と娘を一緒にさせようと約束もした。
新しい命の誕生を見た私は隣でたくさん書いた。その時の激動と感動を記録したいと思った。
「あの……よかったら、子供たちの名前を決めてもらえるか?」
裁縫屋さんと靴屋さんが一緒に子供を抱いて私達のところに来た。私はかわいい赤ちゃんを見てメガネを上げた。
「タピオカミルクティーさんが決めましょう。彼女はたくさんの本を読みました。きっといい名前を決められます。」
「え?」
私は目をぱちぱちさせて、その場にいる人を見回して、少し考えた。
「じゃ……ロミルとジュリアで!」
Ⅴ タピオカミルクティー
「え?今回の話はこれで終わりなの?マカロンはもっと聞きたいよ〜!」
「もちろんまだ終わってないよ、ちょっと休ませて。」
グルイラオのある深い森に、サタンカフェという店がある。たくさんの食霊がここに集まってる。
タピオカミルクティーは彼らの一員ではないが、時にティラミスと旅をした後にここに来て、旅途中に出会った話と彼女が書きたい話を他の食霊に話した。
このサタンカフェは彼女とティラミスが出会った場所だ。ここの食霊はみんな彼女が気になってもずっと知らなかったことがある。
例えば、彼女はティラミスと一緒に何度の旅もしたが、今でもティラミスがそんなに平和を望んでいる理由を知らない。
「それからね、ティラミスさんが私を連れてまた森に行ったんだけど猿の酒の隠した箇所を見つけたの。ほら、もう一本の酒だよ」
タピオカミルクティーが話しながら、さくらんぼの酒を注いだ。その濃厚な匂いはマカロンでも寄り添った。
「お猿さんに会いませんでした?」
ミルクもケーキを置いて、マカロンのそばに座って私の話を聞きに来た。
「あったよ。あの日は超スリリングで、猿に遭遇しそうな状況だったな!」
「発見しましたらきっと苦戦になりますね。ちょっとマカロン!飲まないで!」
「うわーマカロンの頭フラフラに……世界が回っています……」
「部屋に連れて休ませましょう」
マカロンがタピオカミルクティーが持ってきた猿の酒をこっそり飲んだ。その小さい食霊はまだ酒を飲むこともなかったので、猿の酒がそんなに強いとも思わなかった。一杯だけで、ミルクの胸に倒れた。
「ミルクのお姉さんはあとで戻るの?」
「戻りませんよ、他の仕事がありますから。」
「話を聞くのは重複作業ではないよね。ミルクお姉さんはまた聞きに来るのは嫌?」
「なんですって?」
「いいえ、なんでもないです!」
ミルクはマカロンを抱いて立ち上がる。タピオカミルクティーはメガネを上げて、笑顔で彼女を見送った。そして、自分の鞄に今回の書きたい物語のプロットをリストアップした日記帳を取り出した。
ティラミスはタピオカミルクティーの側にもう誰もいなくなったのを見て、彼女に寄り添い、日記帳に記入されるプロットを読んだら、声を立てて笑った。
「ロミルとジュリア、二人の家族が憎しみ合った。彼らの母親は親友だったが、家族の問題で対立の立場に強いられた。母親達の励みで、ロミルとジュリアは恋に落ちた。そして、二つの家族を和解に導いた。タピオカミルクティーさん、これは今回あなたが書きたい物語ですか?」
「まだアイデアです。やっぱり冒険小説を書きたくて、恋しながら冒険させよう。だから明日に出発しようと思って」
ティラミスはびっくりした。
タピオカミルクティーが旅が好きで、一つのところに長くいたくない習慣を知ってるが、今回こんなに早く離れるのは予想外だった。
出会った時を思い出せば、タピオカミルクティーは自分と話した当日、旅に誘ったが、それは何日か経って、お互い了解した後に決めたのだ。
「今回は冒険小説を書きたいから、ちょっとした緊迫感というか、冒険に適した環境に身を置いて書くと、刺激になるんじゃないかな!」
ティラミスはタピオカミルクティーのワクワクした様子を見て、頭を傾けて笑った。
「そうですね。じゃ新作を楽しみにしています~」
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