練り切り・エピソード
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練り切りのエピソード
華道を愛し、星象館の世話役をしている真面目な青年。計画性のある性格で、他人のために立てた計画が崩れると、他人に説教を始める。星象館の他の者たちは突拍子もない事をするため、いつも頭を抱えている。周りの盆栽は生きている、鉢植えから出るととても活発的になる。
Ⅰ.雪
すっかり冬になった。
何もかもが白に覆われ、生気がなく、少し寂しい気持ちになってきた。
幸い、星象館の内部は暖かく、植物もまだ生き生きとしていて、ちょっとした剪定で美しい形態が保てられる。
ちょうど不自然な横枝を折ったところで、ふとイヌマキの盆栽は中庭に置かれていることを思い出し、そろそろ室内に移動しないとと急いで向かうことにした。
扉を開けた途端、雪玉が飛んできて、私の顔に当たった。
「ハッハー!どうだりんご飴…じゃなくて……ラムネ……?うわっ、練り切り……」
顔についた雪を払い落としながら、驚愕の表情で固まっている金平糖を見た。
私の視線を感じたか、彼女は慌てて手に持っていた雪玉を捨て、不自然に視線を逸らし、口笛を吹いた。
「あ、あれれ?どこに行っちゃったの?今、狸が雪玉を投げながら走ってきたんです……うわ、練り切り、あなた、狸に雪玉ぶつけられたの?」
「……ええ。その狸にはお仕置きをする必要があるようですね……ふざけるのはいいが、嘘をつくのはただですみませんね。」
「りんご飴とかくれんぼをしていて、練り切りに説教されたくないから嘘をついてしまったの!……違う!本当はそんなつもりじゃなかったの!待って〜、襟を引っ張らないで〜、お仕置きされたくないの〜!!」
「練切さん、金平糖にちょっと厳しすぎませんか?」
抹茶はそう言って、手に持っていた湯気の立つカップを置き、金平糖に目をやった。彼女はいま探偵事務所のメンバーたちに文句をこぼしながらお茶を淹れている。
「先生、これは誤解です。金平糖は活発な性格のため、私にいろいろと迷惑をかけました……だが、彼女を処罰する理由はこれではありません。」
その言葉が終わらないうちに、金平糖は突然首を傾げて、私におどけた顔をしてみせた。
「30分も説教されましたよ。私に命中されて悔しがってるだけじゃないですか?」
「……いたずらを許してもいいですが、嘘をついて責任から逃れようとすることは決してあってはならない行為です。他人に対して正直であることはとても大切なことなのだと、彼女には理解してもらいたいのです。」
「分かりました。今度いたずらしたら、あなたに雪玉を何十個もぶつけても、私が投げましたと大声で認めますから。」
「……」
「……突然の訪問で申し訳ありません。今度はちゃんと事前に連絡をしておきます。」
「いいえ、お客さんですから。当然なことをしただけですよ。どうかお気になさらず。」
時折、金平糖と館長の悪ふざけで混乱を起こすことを除けば、星象館の生活は実に平和でのんびりしている。
日暮探偵団の皆さんとこのお茶の時間を楽しむことは、平凡な日常に潤いを与えてくれた。
草加煎餅と書道の指南を交わしているとき、ふと振り返ると、先ほどまで談笑していた人たちが急に集まってきて、期待に満ちた視線をこちらに送っている。
「練り切りさん!金平糖から、練り切りさんは生け花が得意だと聞いています。私たちも見てみたいです!」
せっかくなので、がっかりさせたくありませんが……
「星象館にある植物は、ほとんどが緑色の植物で、生け花には向いていないんです。食霊の私でも、自然の法則に反して無から花を生み出す能力はありません。だから…申し訳ございません。」
「そうなんですね……残念!」
話を聞いた皆はとても残念そうだ。先ほど華やいだ雰囲気も一気に白けたムードになり、部屋が一瞬シーンとなった。
しかし、やがて、少し頭痛がするほど聞き覚えのある声が響き渡った。
「練り切り…金平糖…誰かドアを開けてくれない?いま手が空いてなくて…!」
Ⅱ.星
「エヘン!昨日は星の動向を解読してみんなが来ると予知しました!ほら!」
梅の枝を持った最中が部屋に入った。皆の表情を見回して、意気揚々としている。
「どうだ!これさえあれば、生け花ができるんだろ?」
「ありがとうございます、でも館内に入るときは靴を脱いでくださいね。冬の雪で畳が濡れてしまいますから。」
靴を脱ごうとして転倒しそうになった館長から梅の枝を受け取り、私は一行を奥の部屋に案内した。
満開の梅の花は、まだ新雪がちょっと残っていて、この寒さの中で、春の花よりも豊かに、鮮やかに咲いている。
冬の夜はあっという間に訪れ、空が真っ暗になるのも束の間。
梅の花を生けた花瓶を窓際に置いた。
夜の闇に反して、雪を取り除いた赤い花びらは、いっそう明るく輝いて見えた。
今日は天気が悪いようで、空には星一つもなく、最中が今日に行う占いがすこし心配だ。
しかし、彼は相変わらず冷静沈着で、私の作品を興味深そうに見つめている。
「すごいね。これだけの花を花瓶に詰めただけなのに、たった一本の梅の枝がこんなに芸術的になるなんて……。」
「美とは豊かさだけではありません。人生と同じように、生花も引き算が大切だったりします。……もし興味があれば、花道の要点を説明しますよ。」
「自分の『作品』に攻撃されないように、あなたのこの盆栽と同じ……痛っ!」
いつもはついてくる盆栽は、誰かが触ろうとしているのを察知したらしく、葉を伸ばして最中の指を叩いた。
それを見て、私は思わずため息をついてしまった。
「この盆栽が動くのは、花道の要諦と関係なく、私の食霊としての能力が原因です。貴方の作品はそうはなりませんよ」
「ただし、気軽に触らない方がいいです、この子たちは……ちょっと風変わりなんでね。」
「ああ、ご主人様に全然似てないじゃないか?このチビどもは!ほら~当たんない~」
意味もなく盆栽に攻撃された最中だが、全く怒ることがなく、逆に盆栽をからかい始めた。
「占いの小道具を探しに来たんだ、遊んでるところじゃないや。」
「……お言葉ですが、貴方とは遊んでなんかいませんよ。」
「いいから急いで!もうすぐ時間だよ!みんな、星見台へ急げ!!」
最中がそう言って、群衆と一緒に星見台に向かった。
必要な占いの道具をすべて持ち出した頃には、皆はすでに着席して談笑していた。
「今日は自分が望む結果を見つけ、欲しいものを手に入れられるといいですね。では……」
「今日の占いを見てみましょう!」
私が帰る理由を考える前に、最中は私の手首を掴み、人混みの中に座らせた。
「みんな、見てろよ!未来が開示される瞬間を!」
星の川を覆っていた暗雲がいつのまにか消えた。最中の目が星の光に照らされ、バッと明るくなった。
Ⅲ.華
最中と出会うまでは、未来に過度な期待はしていなかった。
万物の栄枯盛衰は自然の法則である。
暗い部屋を照らしたロウソクの火は躍動している。テーブルには食べかけのお菓子と花や木が散らかっている。そしてその前に座っているのは私の出現に驚きもしなかった疲れ果てた御侍。
それが、私が生まれた当時の世界の記憶すべてであった。
厳格な花道の大家の跡取りでもなく、単なる養子に過ぎない。
彼は人々にわざと難癖をつけられ、矢面に立たされていた。少しでも気が緩んだら、一族から追放されかねなかった。
御侍の執着が深すぎたか、私にも影響を及ぼし、花道に特別な才能と愛着を持つようになった。
その腕を買われて、伝説の巫女の前で披露する機会もできた。
私の記憶の中では、あれは桜の島が最盛期を迎えていた時期。
巫女は世界を見守り、膨大な数の生き物のために天候を祈り、人間は巫女を尊敬し、それぞれの方法で感謝を捧げていた。
だから、巫女のために花道を披露した後、一族は地位と富を得て、何十年も栄えた。
その結果、御侍が当主となり、繁栄と幸福に満ちた生活を送るようになった。
しかし、栄華の中にあっては、心や精神を失いがちである。
御侍にはあまり贅沢をしないようにと忠告したのだが、冷たい態度を取られただけだった。
「これだけ苦労したのだから、存分に楽しむのが当たり前でしょう?嫌なら契約を解除してもいい。あなたの言うような極貧生活を送ればいいじゃないか!」
御侍から離れることは一度も考えたことがなかった。
というか、それまで自分がどうしたいかなんて考えたこともなかった。
私の忠告を聞き入れなかった御侍は、どんどん高価な花瓶を購入し、そこに入れる植物の種類もどんどん珍奇な物に変わっていった。名前も性質も知らない、ただただ珍しい植物を高い容器に入れるだけだった。
植物を知らずに良い作品を作るなんて、ありえないことだ。
御侍は自分の技量が後退していることに気づいていなかった。媚びを売る連中も作品に賞賛の言葉をこぼすだけで、誰もそんなことを気にしていなかった。
彼のそばに残るか去るか、確かに私が熟慮すべき問題になったかもしれない。
しかし、行き先を決める前に、思いがけない出来事があった。
人間が巫女を暗殺し、その巫女と親密な関係を持つ家族も巻き込まれ、百年の積み重ねが一瞬にして灰と化したのだ。
せっかく御侍を助け、人の少ない山奥まで連れて行ったのに、途中で傷を負った彼は、長い間、人の手を借りなければ自力で歩くことさえできなかった。
「万物の栄枯盛衰は自然の法則……あなたがあの時去っていたら、私はすでに命を落としていたでしょう。」
「しかし、もし貴方が私に召喚されず、巫女に気に入ってもらえなかったら、私は今日殺されていたかもしれない。」
「いや、私は家族の騒動の渦中で死んでいただろう……」
負傷した手で、御侍は私が摘んだ花を割れた花瓶に挿した。
再び苦難に陥ったとは言え、昔の光はその目に戻ってきた。
しかし、悩ましい昔の出来事が、ついに御侍の心を陰鬱に染めてしまったのだ。それ以来、彼の顔から笑顔が消えた。
それ以来、世の中に花道を学ぶ一族が消えた。
山には花道を愛する無言な華道師が不毛な町に生気を呼び覚ましたという虚しい伝説が残された。
そして、彼の死とともに、それらは皆から忘れ去られた。
Ⅳ.輝
金平糖から星象館に入った理由を聞かれたとき、私は言葉に詰まった。
何しろ、約束をした理由より、後に彼の言葉よりはるかに信用できないことが判明した館長の方が記憶に残っているのだから。
初めて星象館とやらに案内された時、目の前の乱雑な建物を見て、表情のコントロールもできないところだった。
私は長いこと山奥に住んでいる、そこの生活環境は決して豊かとはいえない。
しかし、ここの問題は、老朽化して不毛であることではなく、整理のしようがないほど乱雑なことなのだ……
「それじゃ、練り切りに任せるね。私は昨日、星を眺めていたら、北へ向かうと奇妙な出会いがあるらしいので、私はこれで……」
「お待ちください。」
私は抜け出そうとする最中を掴み、息を静めて怒りをこらえた。
「館長として、あなたは模範を示すべきです。責任を持って、その奇妙な出会いを探しに行く前に、私と一緒にこの場所を掃除してください。」
ついに古民家が新しく生まれ変わり、「未来を垣間見る星象館」として正式に人々に知られるようになった。
ほとんどの人から詐欺か冗談だと見下されるかと思ったが、それでも多くの人が訪ねてきた。
自分の運勢がどうなるか知りたいという貧乏人や自暴自棄のギャンブラーもいれば、名声と富を求め、大金を約束する金持ちや権力者もいた。
また、明日の天気が長旅に適しているかどうかや、愛する人の将来の運勢を知りたいなど、他愛もないことを尋ねる人もいる。
しかし、最近……。
「最近みんなこないね。最中兄さんの占いって結構当たるのに……どうしてみんな来なくなったの?今日は雨が降るから傘を持って来てくれと昨日言っていたの、それが当たったの!」
金平糖の問いかけに私は首を横に振った。
「確かに、最中は掴みどころがないが、彼の占いは外れたことなかった…おそらく、ここに来る人の中には下心があることを察知したから、わざと間違った予言をしたでしょう。」
「でもでも、星象館に来る人が減っているのは事実でしょう?」
「噂を流して物事をひっくり返すのは人間の常です。……未来を予知できるといえども星象館、それを避けることはできません。」
私と金平糖は一斉に門外を見た。そこに立っていたのは、ポニーテールに白い着物を着た若い男性だった。
無邪気な笑顔の裏には、未知の意図と危険が潜んでいる。私を見ると、敵意が表情に滲み出ている。
「どうりで、どこかで会ったことがあると思ったら、あの方のために芸を披露した人だったんだね……その名を借りてたくさんの利益を得ていたでしょう?」
不可解な言葉に戸惑い、若干の違和感を覚えたが、私が何か言う前に最中が館を押し出してきた。
二人は顔を見合わせた。どちらも笑顔を浮かべているが、二人の間には冷たい空気が広がっている。
最中は長い間、青年と向かい合っていたが、青年がわざと軽い調子で声をかけた。
陰陽家、巫女、突然の異変と災難、善悪や公平をめぐるもつれ………。
長い間頭のそこに封印され、時間の経過とともに埋もれた記憶が、一瞬にして呼び覚まされた。
「まだ諦めていないのか……もし彼が人間と和解することができなかったら、この憎しみによって桜の島は間違いなく危機に陥るだろう。」
最中は初めて真剣な口調でこう言った。
「星盤によると、星象館を閉めれば、私たちがそれぞれ別れることになるが、練り切りと金平糖は次の危機を免れ、残りの日々を平穏に過ごせるかもしれない。」
平穏…か。
でも、本当に平穏な生活を望むなら、そもそも最中の「山から出よう」「そんなつまらない生活にさよならをするんだ」という要求に応じなかった。
私は最中と出会った日のことを忘れることなかった。
彼は突然現れ、「貴方が星盤で見た人」と言い、「一緒に星象館を建立しない?」とせがんだ。
「練り切りの力を借りれば、桜の島は、あの時のような悲劇から回避できるかもしれないね!」
その言葉と、星に向かう彼の目が輝いていたからこそ、私はこの依頼を承諾し、元の世界に帰ってきたのかもしれない。
たとえ、トラブルや危険が増えることは避けられなかったとしても……。
しかし、星象館で過ごす日々の中で、次第に自分の存在意義を感じるようになった。
「私がいなければ、そもそもこの星象館は最初のような乱雑な状態に戻るのでは?」
「最中がいう争いや悲劇のない桜の島を、私も見てみたいと思いましたよ。」
Ⅴ.練り切り
リーダーが頼りない組織には、必ずしも一人、大小の事柄を処理できる世話役がいるようだ。
そして、神の国の中でも、星象館の執事である練り切りが一番、星象館の未来を心配しているのは間違いないだろう。
「最中は朝早くからどこかに行ってしまったし、金平糖も姿が見当たりません……花びら餅、確か貴方は今日の中庭の庭掃除ですが、なぜここに座っていますか?具合でも悪いでしょうか?
名指しされた少女は驚いて、手に持っていたものを地面に落としてしまった。
「私の本……あの?!な、なんでも、何でもないです!見ないで……見えない見えない見えない。」
「何言ってるんですか?……暇つぶしに絵本を見るのはいいですが。まずは自分の役割くらい果たしましょう……」
顔を真っ赤にした花びら餅には止める余裕がなく、既に床に落とした絵本を戸惑いながら拾い上げた練り切りの目に、次の瞬間、一生理解できないタイトルが飛び込んできた。
「『高嶺の花は僕に恋してる』?これはどういう……」
「見ないでって言ったでしょう!」
花びら餅の絵本を没収した練り切りは、金平糖を探しに行こうとしたところ、遠くない場所で水無月とつじうら煎餅が遊んでいるのを見かけた。
ポニーテールの青年は一番屈託のない笑顔をしているように見えたが、練り切りにはいつも少し不自然に感じられた。
あまりにも綺麗で、まるで何もかもを拭き取ったかのようなあどけない笑顔だ。
前は……
前って?いつの前?
練り切りは、忙しさのあまり、途中から頭の中で変なことを考えていたのかもしれないと思った。
そこで、金平糖に簡単な指示を出すと、その日の仕事をするために奥の部屋に戻っていった。
その不可解な感情や奇妙な考えこそが真実であったとは、彼は知らなかった。
彼らは、かつて「現世」が疫病に侵され住めなくなったこと、そしてここがもう傷つくことのない「神の国」であることを、神子から聞かされていたのである。
しかし、神子様がどのようにして自力で災厄に対抗し、一夜にして「神の国」を築き上げ、自分たちの記憶する「現世」とほとんど変わらないようにしたのか、誰一人として知る由もなかった。
なぜなら、一度触れた真実は、何かに消され、再び忘れ去られるようなものだからだ。
「雪を見るのは久しぶりだ……」
星空を眺めていた最中の突然の感嘆に、練り切りは戸惑いながらも横目で見ていた。
「雪?」
「ここの星じゃ何も見えないんだね…」
いつも好き勝手やっていた館長が、最近よく顔をしかめていた。
それを見て練り切りが苛つくことがないのは、花道で気分を調節しているからだそうだ。
「枝葉を切って捨てるなんて、もったいないと思わないんですか?」
「美とは豊かさだけではありません。人生と同じように、生け花も引き算が大切だったりします。」
「毎回?あなたの前で花道を披露したことがありましたか?」
「……今、人生に引き算が必要だと言った……引き算されるのは大切な思い出でもいいの?」
「?」
突然の最中の真剣な口調に、練り切りはぎょっとした。その意味を問う前に最中は続けた。
「でも、私なら梅の枝1本も捨てられないよ。なんてたってみんな、命なんだから」
最中の目には星の光が輝いている。練り切りの心の中に疑問が深まっていた。
「貴方……」
「ああ、いいんだ。今は忘れてもいいんだ。いつか思い出すことができたら、もう二度と忘れないよ。」
最中の顔に、見慣れた笑顔が戻ってきた。
「占星館、新しい名前にしたいんだ」
「新しい名前は――星象館だ。」
一瞬にして、記憶が波のように押し寄せ、頭の中でいろんなことが翻弄され、今にも浮上しそうで、口にしようとした瞬間に泡となって散ってしまった。
「どうして、どうして急に……星象館に改名したのでか?」
「あー……前に占星館を閉めれば、私たちがそれぞれ別れることになるが、練り切りと金平糖は次の危機を免れ、残りの日々を平穏に過ごせるかもしれないって話をしたでしょう?」
「な……」
「驚くことじゃないでしょ?あなたが占星館を離れる気ないってことぐらい知ってるさ。何しろ、疫病を断ち切るにはそれしかないから……だから占星館を閉めて、星象館として再開させればいいんだよ!」
強引な理屈に聞こえるが、その軽い口調のせいで大事な決断がどうにもふざけてるように見える。
でも、彼は久しぶりに笑顔を見せた。
万物の栄枯盛衰は自然の法則である。
しかし、練り切りは目の前の見慣れた笑顔を見ていると…
ふと彼は気がついた。
転機がこの瞬間に起こるかもしれないと。
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