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創世日祭典・ストーリー

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御侍様、今日は何の日かご存知ですか?

わたしたちの一周年記念日ですね。

え? 御侍様、覚えていてくれたんですね!? 嬉しいです!

好きな人と一緒にいると、いつも時間が足りないと思います。

ライスは御侍様と一緒にいると、時間がとても短く感じます。

ずっと、御侍様と一緒にいたいです。

わたしは御侍様の最初の食霊ですが、わたしには霊力がありません。

みんなのように、御侍様を守ることができません……。

それでも、御侍様は根気強く、ずっと優しく接してしてくれました。ありがとうございます!

御侍様もどんどん強くなっていきますね。これからもわたしたちは、ずっとあなたのそばにいます!

御侍様の確固たる姿が、わたしたちを導いてくれているんですよ。

あれから――御侍様は冒険の旅を重ね、たくさんの仲間と知り合いになりました。

みんな、御侍様と肩を並べて戦って、ティアラ大陸の平和を守っていきたいと願っています

目次 (創世日祭典・ストーリー)

メインストーリー

創世日祭典・ストーリー・メインクエスト1-16

メインクエスト

わからず屋

納豆梅酒は祭典を歩いて、とある射撃の名手を発見した。ただちょっとわからず屋な感じ

1神からのプレゼント

 

創世日ー光耀大陸


 空には光り輝く星たち、地上は色鮮やかな明かりにライトアップされている。今宵の光耀大陸は観光客で賑わっている。

 梅酒が祭典の入場口で目を輝かせながらその時を待つ。会場の歓声は熱気を帯びていた。

梅酒「さすがは創世日を祝う祭典。賑やかですね!納豆……納豆?」

 呼びかけに返事はなく、不思議に思った梅酒が振り返るとそこには何やら何かを呟きながら記録を取っている納豆の姿があった。

納豆「「創世日」それはティアラ最大の祝日。各国が交代で祝い……祭典の期間中はいかなる理由であっても戦闘行為は禁じられ……皆が揃って神の恩恵に感謝する日……」

 梅酒はそんな納豆の真面目な姿を見て、笑みを浮かべながら首を振りつつも納豆の襟を持って行列の進みに合わせて、ゆっくりと前進していく。

 この時、白と黒の服を着たふたりの青年が梅酒の注意を引いた。彼らは何やら言い合いをしている。

ワンタン「はあ……せっかく山を降りて遊びに来たのに、ずっとこの調子では。こんなに行列ができるのを知っていたら早めに来るんだった。」

亀苓膏「朝起こしに行った時にもその考えがあったなら……」

ワンタン「そうだなぁ……今から昼寝をしてくるから、入場する頃また呼んでくれ。今度はすぐに起きるから。」

亀苓膏「なんて理不尽な……。」

ワンタン「はは、冗談だよ。正直に言うと、今年の参加者がこんなに多いとは思わなかったんだ。みんな、神君の贈り物目当てかな?」

納豆「あの!すみません、「神君の贈り物」とはなんですか?」

 梅酒が気付いた時には、既にそこに納豆はいなかった。いつの間にか筆を置き、白黒のふたりに質問を投げかけていた。

ワンタン「地元の人ではないようだ。祭典に参加するのは初めてかな?」

納豆「はい。僕たちは桜の島から来たんです。」

ワンタン「そうか。君は知らないだろうが、毎回祭典のときは、神君様が豪華な贈り物を気に入った者に贈るんだ。」

ワンタン「前回は一口飲めば寿命が延びると言われていた神酒だ。ですが今年は別格で、神君の願いだってさ。」

納豆「願い?」

ワンタン「ああ。花火大会の前にこの祭典で最も神君を楽しませた者の願いを一つ叶えてくれるとか。」

納豆「えぇー!?」

ワンタン「どう?創造しただけでも楽しみにならないかな?」

納豆「うん!」

 納豆は大きく頷き、再び筆をとる。

納豆「この情報は知りませんでした!記録しておかなくては!」

ワンタン「え??」

梅酒納豆はやっぱりこうした新鮮な話題に一番喜ぶ……)

ワンタン「はは、君はなかなか面白いね。」

亀苓膏ワンタン、入場のようです。行きますよ。」

梅酒納豆、私たちも行きましょう。」

納豆「うん!すぐ記録しちゃうね。」

 納豆は素早く巻物に記録し、ワンタンに一礼する。

納豆「ありがとうございます!」

ワンタン「どういたしまして。そういえば、この祭典で屋台の景品に珍しい書籍や記録本もあるようだ……君がもし興味があるようでしたら気に留めておくと良いかもね。思わぬ収穫があるかもしれない。」

 話を聞いた納豆が、目を輝かせた。

ワンタン「では、またの機会に。」

 ワンタン亀苓膏はそういうと、人の群に歩き去った。

梅酒「仙人様のようなふたりでした……納豆、私たちも行きましょう。お好み焼きも待ってます。」

納豆「うん、今すぐ……」


2授業参観


 祭典会場はお祭り一色である。見渡すと、各国のグルメが並び、観光客も国それぞれの独特な服装に身を包んでおり、至る所から楽し気な笑い声が聞こえてきた。

梅酒「はぁ、お好み焼きは一体どこに……?入り口で待っていると言っていたのに。」

納豆「僕たちが来るのが遅かったから、もう遊びに行っちゃったのでは……、」

梅酒「そうかもしれませんね……申し訳ない、本当に遊び好きで……ほんとは今日ふたりを会わせたかったのですが。」

納豆「大丈夫です。もしかしたらどこかで会うかもしれませんし、梅酒はどこか行きたいところはありますか?」

梅酒「そうですね……特にはないので、さっきの君が言っていた書物が手に入るイベントを探してみますか?」

納豆「それはいいですね!」

 納豆は目を輝かせて、すっと巻物を取り出して何かを確認する。

納豆「私たちに一番近いのは射的ですね。」

梅酒「おお……いつのまに屋台の記録まで?」

納豆お好み焼きを待っていたときです。」

梅酒「す、すごい。一体どうやって……」

納豆「簡単ですよ、道行く人の話を記録していただけですから。」

 納豆の表情を見て、梅酒はただ静かに親指を立てた。

梅酒「でもこんなに広い会場だと性格な位置がわかりませんね?」

納豆「北側です。」

梅酒「え……ええ??いつの間にか会場の地図も記録したんですか?」

 梅酒は唖然としつつも地図を持って進む納豆の後をついていく。

 そして、すぐに目的地である射的場に着いた。

梅酒「景品の書籍はどこでしょう……?あ、ありました!まだチャンスがありますよ!」

 梅酒は飛び跳ねながら、人混みの奥の屋台を覗き、書籍が残っていることを嬉しそうに報告する。しかしそんな時人混みから笑いが起きる。

梅酒「うん?何があったんでしょうか?」

 梅酒は頑張って納豆を連れて人混みの中を進む。なんとか前に出てから人混みから納豆を引っこ抜く。

 納豆は人混みに揉まれて乱れた格好を整え、頭の面を正す。

 そしてふたりは息を荒げながら前を見るーー

 ひとりの華やかな服装をした男性が少女の後ろに立っている。男性は銃を構える少女の体を支え、とても親密な様子だった。

シャンパン「体が硬いな、力を抜け。」

フォンダントケーキ「わ、わかってますよ……!手を離してください!」

 周りの笑い声を聞いて、シャンパンに抱きかかえられたような体制で耳を赤らめていたフォンダントケーキは急いでシャンパンから距離をとる。

 シャンパンはそんな彼女を見て一歩下がり、ため息をついてどこか納得いかない様子。

シャンパン「ああ、好きにするといい。俺のサポートがなかったから、と後で泣いても知らないがな。」

 シャンパンは不満げに腕を組んでそっぽを向く。

 フォンダントケーキはそんな若い国王のことは気にせず、自分の胸をポンポンと叩いて自分を落ち着かせる。

フォンダントケーキ(落ち着いて、落ち着くの!たかがゲーム!狙いを定めて、引き金を引くだけ、難しくなんてない。大丈夫、大丈夫よ!)

 彼女が狙いを定めたのを見て、周りも静かになる。


3伝説な酒天童子


 パンー

 銃声が鳴り響き、フォンダントケーキは音に少し驚きながら、ゆっくりつぶっていた片目を開ける。目に映ったのは傷一つない的の風船だった。

 フォンダントケーキは肩を落とす。だがそんな彼女の後ろであざ笑うかの様な表情を浮かべるシャンパンを見た彼女は頬を膨らます。

シャンパン「ふんーーー駄目だな。」

フォンダントケーキ「お前は……。」

シャンパン「なんだ、失敗したら恥ずかしくなったか?こっちに来い。」

フォンダントケーキ「な、なに?ねぇ……」

 シャンパンは何も言わず、彼女の手を掴み引き寄せる。

シャンパン「手、銃、目、ここは一直線。距離から計算した弾道から風船の少し下方をねらうんだ。引き金を引く時は息を止め、手元を安定させる。そう、こんな風にーー」

 シャンパンフォンダントケーキの手を支えて引き金を引く、すると先ほどまで膨らんでいた風船が音を立てて破裂した。

 周りの観衆から喝采が起きる。

フォンダントケーキ「わあ……当たった……ねぇ、シャンパン当たったわ!」

シャンパン「そこで休んでいたらいい。射的なんて面倒なことは俺に任せておけ。どの景品が欲しい?全部取ってやる。」

 シャンパンフォンダントケーキの手元から銃を取り、金を店主に渡す。彼女の返事も待たずに、狙いすましたように、近いものから遠いものまで次々と風船を割っていく。

フォンダントケーキ「……」

店主「いい腕だ!景品は好きなものを持っていくといい!」

梅酒「まずい、フォンダントケーキを怒らせたに違いない……」

納豆「わわっ、欲しかった景品の本が取られてしまう……!」

 一方、シャンパンは得意げな様子で景品の山をフォンダントケーキの前に置く。

シャンパン「どれがいい?好きなものを選べ。」

フォンダントケーキ「……店主さん。私が最初に割った風船の景品はなんです?」

店主「ああ……お嬢さん、あれは一番近い風船だから末等の祭典のお面ですよ?」

フォンダントケーキ「それでいいの。ありがとう、店主さん。」

 フォンダントケーキはそう言うと景品を持ってそのまま立ち去る。

シャンパン「うん?」

 シャンパンは何かおかしいと思い、立ち去ろうとするフォンダントケーキの腕を掴む。

シャンパン「怒っているのか?何故だ?」

フォンダントケーキ「離してください、陛下。」

シャンパン「俺に命令するのか?」

フォンダントケーキ「今日は創世日、身分は関係ないですよね?」

シャンパン「お前は……」

 ふたりが言い争いを始めたその時ーー空が黒い影が覆った。それと同時に、フォンダントケーキは堕神の気配を察する。その影はフォンダントケーキに襲いかかる。

 フォンダントケーキは一瞬宙に浮かされたが、気付いた時にはシャンパンの後ろにいた。

酒呑童子「手に入れたぞ。」

梅酒「堕神!」

納豆「あれは酒呑童子。記録で見たことがあります。光耀大陸の堕神です。お酒を持って歩きするのを好み、人間への攻撃性はそれほど高くないとありましたが、その通りだったようですね……。」

 周りの人々はあちこちに逃げ回るが、酒呑童子に攻撃の意思はなく、ただあたりをふらついて立ち去った。

シャンパン「大丈夫か?」

フォンダントケーキ「はい。でも……祭典のお面を取られてしまいました。」

シャンパン「なに?いい度胸だ。」

 シャンパンは酒呑童子の立ち去った方を睨み、自身の銃を構える。


4シューティングも人の機嫌を取るのも難しい


酒呑童子「わかったよ、返すよ……。」

 酒呑童子はシャンパンの銃弾をなんとか交わしたが、シャンパンの銃さばきの前に結局逃げ場を失った。そして悔しそうにお面を宙に放り投げて、酒を抱えて一目散に逃げ去った。

フォンダントケーキ「陛下、お面が取り戻せたならいいです。今日は創世日、見逃しましょう。」

シャンパン「その甘さはどこへ行っても変わらないな。」

 シャンパンはどこか納得のいかない様子だったが、ここは言うことを素直に聞くことにした。

 お面は宙で放物線を描きながらちょうど梅酒のところに落ちた。梅酒は慌ててそれを受け止めた時にはシャンパンがすでに梅酒の背後に立っていた。

梅酒「ど、どうぞ……」

シャンパン「ありがとう。」

 シャンパンはお面を受け取ると、眉を顰めながらではあったがフォンダントケーキに渡した。

シャンパン「機嫌が直ったようだな。だが、どうしてこんなおかしなお面を気に入っている?」

フォンダントケーキ「……私はこれが好きなんです!いいじゃないですか!」

 フォンダントケーキの顔色が再び悪くなり、お面を受け取るや否やその場を立ち去ろうとする。

梅酒(すごい、的確に地雷を踏んでる……)

シャンパン「何故また怒ったんだ?」

 シャンパンは困惑した表情であたりを見るが、誰もその疑問には答えようとはしなかった。

シャンパン(仕方がない。こうなったら何かプレゼントを与えて、機嫌を直してもらうか)

 シャンパンは先ほど積まれていた景品の中から大きなクマの人形を引っ張り出し、それを持ってフォンダントケーキの立ち去った方へ向かう。

シャンパン「待て。俺の許可なく先に行くな……」

 ふたりが立ち去るのを見ていた梅酒納豆は安堵の息をつく。

梅酒「ああ……ここで騒ぎにならなくてよかった。」

納豆「あぁ……本を持っていかれなくてよかった。」

店主「はは、そこのお友達も射的に挑戦したいのか?」

納豆「うん!」

梅酒納豆頑張って!」

納豆「うん!」

 しばらくしてーー

納豆シャンパンさんがさっき言っていたことは記録済み……なのにどうして当たらないんだろう……?」

店主「ああ……このゲームはそんなに真面目にやらなくてもいいよ?頑張っているようだし、なんならお面をプレゼントしようか?」

納豆「ありがとうございます。でも僕が欲しいのは本なんです。」

店主「ああ、なるほど。ならこうしてはどうかな?東市に行ってみるといい。あそこには本を景品にしているところがいっぱいあるよ。」

梅酒「東市?確かおでんのお店もそこにあったような。もしかしたらそこでお好み焼きにも会えるかも!納豆、そっちへ行ってみない?」

納豆「うん。それもいいですね。」

 梅酒はお面のお礼を言う。少し物欲しそうな納豆を引っ張って東市の方へと向かった。だが東市付近について間も無く、どこかおかしいように感じた。

梅酒納豆、地図は間違ってないよね?どうしてここには人がひとりもいないんだろう?」

納豆「おかしいなぁ……見てください、屋台はまだやっているのに店主さんもお客さんもいません。」

梅酒「ホントだ……ここで一体何が?」


ゼリッチへの愛の為

ゼリッチの愛を取り戻すのだ。ファンミーティングに誤って入った彼は人生最大の災難?

5はぐれた「家族」


 納豆梅酒は慎重に無人の東市を歩く。

 そんな時、遠くの方で叫び声が聞こえてくる。

梅酒「うん?何の声?」

納豆「声のする方角……記録によれば大舞台があったはずです。」

 納豆は何かに気付いたかのように屋台の一つに歩み寄ると、そこにはペンライトが置いてあった。

納豆「どういうことか、わかったかもしれません。」

梅酒「うん?」

 自分の考えを確かめるように納豆はペンライトの明かりをつける。梅酒も真似してつけると、それは緑色に光った。

オムライス「ゼリッチ~!お待たせしました~小生がすぐにまいりますよ~!」

 納豆が何かを話そうとする前に、突然ふたりの前に颯爽と現れた人影に納豆梅酒は驚く。そのまま通りすぎるかと思いきや遠くで止まったかと思うとその人影は再び戻ってきた。

オムライス「あ!こんなところにもはぐれた同士が!ゼリッチのライブはもう始まってしまうというのにどうしてこんなところで?」

梅酒「え??」

オムライス「承知です!あなたたちもきっと小生と同様、ゼリッチの曲を聴きながら歩いていたら道に迷ったんでございますね!?」

梅酒「あの……私たちは……」

オムライス「ええ、説明などいりませんとも!ゼリッチファンクラブ会長のオムライスと申します!さあ、ともにゼリッチの応援に行きましょう!」

梅酒「ちょ、ちょっと待ってください……」


6ファンの言葉


 納豆梅酒オムライスに連れられ大舞台の前までやってきた。

 舞台上ライトアップは済んでおり、舞台前にはペンライトを持ち、まるで軍隊のように隊列を組む人々が立っており、それぞれ整列番号を叫んでいる。

オムライス「ゼリッチ―!いつまでも貴方と共にー!」

オムライス「甘くて可愛い僕らの女神ー♪心を射抜いてー♪」

オムライス「ゼリッチ愛してるー!!」

 オムライスの勢いのまま集団に連れ込まれた納豆梅酒は、周りの目を気にして、見よう見まねでペンライトを振った。

梅酒納豆、こ、この状況は……!」

納豆「ゼリッチ……今ティアラで最も人気のあるアイドル、グルイラオ出身、デビューから歌に舞台に活躍。「ひとり百変化」の称号を持っていて、ファンの名前「ゼリッチファンズ」、応援カラーは緑。」

納豆「これは僕がグルイラオで以前記録したもの。さっきのところに誰もいなかったのは、多分ライブがあったからでしょう。」

オムライス「おぉ!どうやら君達は一般のファンだったみたいですね!まだゼリッチへの愛が足りないですぞ!?さささ、私がゼリッチの良さを一から教えましょう!」

 ふたりの話を聞いていたオムライス納豆の肩をぐっと引き寄せ、ゼリッチについて語り始める。

 一方納豆も嫌がる素振りはなく、すぐに巻物を取り出し記録を始めた。

梅酒(創世日の祭典で納豆はたくさんの収穫があるみたい……)

オムライス「……今晩のライブは聞くところによるとかなり準備に凝っているみたいで、サプライズまで用意してあるらしいんです!目が離せないですよこれは!」

オムライス「そうです!もう一つ注意事項でございます!」

納豆「??」

 オムライス納豆と組んだ肩を外し、颯爽と集団の前へ出て叫んだ。

オムライス「皆の者!間も無くライブの時間でございます!我らがゼリッチを神君様のお気に入りにすべく!もう一度約束ごとを復唱しましょう!」

ゼリッチのファン「おおお~!」

オムライス「一つ!ライブ開始時は練習通りペンライトを用いて「ゼリー」の文字を描いて応援ーー」

ゼリッチのファン「おおお~!」

オムライス「二つ!規定ラインより前へは出ず、決してゼリッチに迷惑をかけない!」

ゼリッチのファン「おおお~!」

オムライス「三つ!ライブ中は大声厳禁!決して周りの観客がゼリッチの音楽を楽しむのを妨げてはならない!」

ゼリッチのファン「おおお~!」

オムライス「小生らでゼリッチに最高の応援を!」

ゼリッチのファン「ゼリッチに、最高の応援を~!!!」

梅酒「わあ!オムライスが好きなアイドルに対する愛情がひしひしと伝わってきますね。」

梅酒「一体どんなアイドルさんなんだろう?こんなにたくさんの人を熱狂させるなんて。あれ?納豆、何を記録してるの?」

納豆「ファン語録……これも興味深い時代の記録ですから、記録しないと。」

 梅酒納豆の言葉に感慨深くなっている時、周りがざわつき始めた。皆興奮と期待を隠せないようで暗くなった舞台を見つめている。

 音楽の前奏が流れ始め、梅酒も興奮気味に納豆の服を引っ張る。

梅酒「ほら!きたきた!」


7愛を取り戻せ!


 部隊のライトが再びつき、舞台の中央に照明が集まる。小さな人影がその光の下から現れた。彼女は小さく下をむいて、ツインテールが音楽に合わせて揺れていた。

 そして……ピアノの音とともに少女は顔を上げ、明るい笑顔を見せる。彼女が踊り始めると周りの歓声が激しくなる。

ファンA「わああー!神子が踊ってる!」

ファンB「わああー!ゼリッチに会えるなんて夢じゃないよな!?」

ファンC「わああー!ゼリッチ!愛してるよ!」

 止まない歓声、ゼリーは華麗に舞いながら観客に手を振る。

ゼリー「ティアラの起源、世界誕生の日……今夜、ゼリッチがみんなに会いに来たよ~!みんな~!こんばんは!!」

 まるで夢から覚めるかのように舞台下から大きな歓声が沸き起こる。皆がゼリーの名を呼び、ペンライトで空を緑色に染め上げる。

ゼリー「今日は来てくれてありがとう!みんなに会えて嬉しいよ~!」

ゼリー「今日みんなに会えたことは世界最高のプレゼントだよ!」

オムライス「甘くて可愛い僕らの女神ー心を射抜いてーゼリッチ!愛してる!!!」

 応援の中ゼリーは甘い微笑みを見せ、自身の腰にかけていたお面を取り、軽く口づけをする。

ゼリー「今日は創世の祭典……応援、本当にありがとう!」

ゼリー「祭典のお面には世界中の感謝と祝福が込められてるの。今、このお面をみんなにプレゼントするね!みんなの願いが叶いますように!」

 澄み切った声がマイクを通して広がる。ゼリーの手から離れたお面は宙に美しい弧を描いた。

 会場の熱気が一気に上がり、誰もが手を挙げ、そのお面が自分の手元へ渡ることを期待している。

 しかし、そのお面が観客の元へ渡る前にまたしても見覚えのある影がそのお面を空中で奪い去った。

酒呑童子「今度こそ手に入れた。」

梅酒「あ……あれって……酒呑童子?」

 その瞬間、会場は一瞬静けさに包まれた。

オムライス「あああ!!!!ゼリッチファンの皆さん!!!ゼリッチからの愛を取り返すのでございます!!!」

 大きな声が前方で響いたかと思うと、納豆梅酒が反応する前にオムライスはファンの皆を引き連れて酒呑童子に向かっていった。


8絶対試さないで!


 酒呑童子がファンの人々に袋叩きにされる様子を見て納豆梅酒は思わず唾を飲む。

梅酒「こんな状況だけど、少し酒呑童子に同情するよ……」

納豆「うん……。」

お好み焼き「ふん!何を同情することがあるのさ!ライブに割って入るなんて、自らやられにきたようなものじゃない。」

梅酒「あれ?お好み焼き?」

お好み焼き「ハァイ!梅酒~!調子はどう?今日のアタシのコーデ舞台上のゼリッチにも負けてへんやろ?」

梅酒お好み焼きらしい……それより……どうして急に現れたの?」

お好み焼き「アンタらが来るのが遅いから先にまわってたんよ。そんでライブの事を聞いて見にきたんやけどな、まさかこんなに面白いなんてなぁ!」

梅酒「うん、確かにライブは面白いね……。」

 その一方でオムライスたちは颯爽と酒呑童子を懲らしめて、お面を取り返した。

 そしてすぐさま自分たちの位置に戻りゼリッチとともに歌い始める。

 何事もなかったかのような会場を見て、三人はようやく落ち着きを取り戻す。

 納豆はすぐさま巻物を取り出し真剣にこう書き記した。「ティアラでの御法度:ライブ中のファンへの妨害行為。」

お好み焼き「ぷはははー!熱心に記録取って可愛いねぇ!アンタ、納豆やな?」

納豆「うん?」

お好み焼き「アタシはお好み焼き梅酒の友達や!よろしゅうな。」

納豆「あ、あなたがお好み焼き……!こ、こんにちは!」

お好み焼き「はは、ごめんな?一緒にまわろうって約束したのに、我慢できんとひとりで先に行っちゃって。」

納豆「い、いえ、僕たちが遅れたわけですから。」

 納豆の人見知りな一面はお好み焼きを喜ばせたようで、彼女は梅酒納豆の肩に手を回した。

お好み焼き「他のとこも見に行こ?こないにおっきな祭典やし、まだ見てへん場所もめっちゃあんで!」

お好み焼き「そういえばさっき美味しいたこ焼きを見つけたんよ!お詫びにアタシが奢るから食べに行こうや!」


お好み焼きの出番?!

ミスコン大会にショッピング女子はメインだ! 美味しい料理を食べた後お好み焼きは会場に駆けつけて、現場は……?

9美味!


 お好み焼き納豆梅酒を連れて人混みを抜け、グルメ街道へやってきた。

お好み焼き「こっちこっち!おいで!」

 梅酒納豆は歩きながらあたりを見渡す。

梅酒「見渡す限り美味しそうなものがいっぱい……目が回りそう。」

梅酒「そうだ、お好み焼きおでんのお店もこの近くだよね?」

お好み焼き「あ、そうやな。でもあそこの味は食べ飽きちゃったから、今日は新しいものを食べましょ!」

お好み焼き「ほら!あそこがそうやで!」

 話していると、香ばしい香りが漂って来る。

たこ焼き「お客さん、たこ焼きができたで! うまいで~!!」

 少女は慣れた手つきでたこ焼きを器に移し、目にも留まらぬ速さで包む。熱々の美食と甘い笑顔が届けられ、お客は揃って目の前で屈託のない笑顔を見せる少女に親指を立てた。

お好み焼き「店主はん!またきたで!今度はたこ焼き三人分!」

たこ焼き「あんさんか!いらっしゃい!ティアラ風味ミックスでええか?」

お好み焼き「おお!そうだ、納豆は辛いのは平気?」

納豆「大丈夫です。」

お好み焼き「なら問題ないで!」

たこ焼き「はいよ!ティアラ風ミックス三人分!」


10母の味


たこ焼き「出来立てやから、気ぃつけや!」

 たこ焼きは笑顔でたこ焼きを包み納豆たち三人に渡す。

 納豆たこ焼きの笑顔に見とれながらもたこ焼きのいっぱい入った箱を受け取る。

納豆「ありがとうございます。いただきましょう。」

 納豆は慎重に一口かじる。すると、次の瞬間には目を見開いていた。

納豆「美味しい!」

梅酒「旅を始めて以来、久しぶりに桜の島味のたこ焼きを食べたよ。」

お好み焼き「どうや!アタシのオススメは間違いないやろ?」

 梅酒納豆は口いっぱいにたこ焼きを詰めながら、ただただ頷いた。

お好み焼き「うふふ、ふたりともハムスターみたいで可愛いなぁ!ゆっくり食べや、アタシの分もあげるし~!」

 完全に「ハムスター」と化した納豆梅酒お好み焼きの話も聞かずにひたすら食べ続けた。

 お好み焼きはしばらくふたりを微笑みながら眺めていたが、しばらくすると祭典をまわりたい衝動が込み上げてきた。

 彼女はあちこち見渡し、前方に人だかりができているのを見つける。

お好み焼き「なぁ、店主はん!あっちに人が集まっとるけど何ぞあるのん?」


11とっておきの番組


 お好み焼きは人だかりを見つけて、興味本位にたこ焼きに尋ねる。

お好み焼き「ミスコン大会?」

お好み焼き「それならアタシの独壇場やな!アタシが出ないわけにはあかんで!」

お好み焼き「はやくはやく!梅酒納豆、食べながら行くで~!」

般若「き……き……き……」

お好み焼き「え?誰なん?邪魔しないで、急いでるんよ!」

たこ焼き「あかん!般若や!堕神やから気を付けて!」

お好み焼き「ええ?また堕神?」

般若「き……き……き……」

お好み焼き「ああもう、わかったわ!邪魔をするなら容赦しないで!」


12ショッピング少女は忙しい


般若「あうう~!」

 急に現れた般若はお好み焼きに懲らしめられ逃げ去った。

 それでも後を追おうとするお好み焼きをようやくたこ焼きを食べ終えた梅酒が落ち着かせる。

梅酒「落ち着いて、急いでるんじゃなかったの?」

お好み焼き「ふん、今回は見逃したる!」

 納豆は横で静かに筆を握る。

納豆「「ティアラでの御法度:ミスコン大会に向かっている女性の道を遮る」」

 たこ焼きに別れを告げた後、三人は急いで大会会場へと向かった。

お好み焼き「くっそー!」

 堕神との戦闘によって、三人が到着した頃には舞台前の席はすでに隙間が全くないほどに埋め尽くされていた。

 参加登録も終わっており、見やすい席も取れず、お好み焼きは唇を噛む。

梅酒「まあまあ……あなたは私たちの中では常に一番綺麗だから。参加してもしなくてもそれは変わらないよ。」

お好み焼き「ふん……」

 梅酒お好み焼きを慰めながら納豆にも何やら催促する。

納豆「うん?」

梅酒納豆も彼女を慰めてよぅ!)

納豆「ああ!般若の情報を知りたいんですね?少し待ってくださいね。」

梅酒「……はぁ、そうじゃないってば。」

納豆「あ、あった。あれ、おかしいですね。」

お好み焼き「なにがおかしいんや?」

 予想外にお好み焼きが食いついた。彼女は納豆の巻物が気になるようだった。

納豆「言い伝えでは、般若は桜の島で誕生した堕神です。蛇君の眷属として普段は行動を共にしているのですが……単独行動はしないはずなのに、それがどうして光耀大陸に?」

梅酒「そう考えると、酒呑童子も同じような状況ね。」

梅酒「おかしいね、本来堕神の眷属として共に行動するはずが、どうして単独行動で祭典に?私たちを攻撃して来るし……何か陰謀があるんじゃ……」

お好み焼き「もう、考えてもしゃあないんちゃう?また何かあれば捕まえて聞き出せばええよ。その前に……」

お好み焼き「次のイベントに行くで~!ほら、早く早く!」

梅酒「え?もう機嫌治ったの?」

お好み焼き「ただでさえ時間が足りへんし、いつまでもイライラしてられんわ!ささ、次行くで~!」


グルメの殺傷力

その日まで納豆は知らなかった。料理でも堕神を撃退するなんて。

13勇敢な少年


 三人がミスコン大会会場を後にして、祭典をまわってると突然どこからか鼻をつくような辛い匂いを嗅ぎ三人とも咽せる。

 前方には舞台があり、舞台には何人もの選手がテーブルにつき、何かをひたすら食べていた。

 彼らの前に置かれていたのは熱々の肉まんだったが、どうしてか食べている人たちは皆涙を流しながら苦しそうにな表情をしている。

麻婆豆腐「大食い選手権の選手枠は残りひとりになりました。まだ参加したい方はいますか?」

麻婆豆腐「もし激辛肉まんを誰よりも多く食べることができたら、食事代タダと、この古書がもらえますよ!」

お好み焼き「げ、激辛肉まん!?こわっ!早よ行くで!」

 お好み焼きがそそくさと先を行こうと納豆の手を引こうとした時、納豆はまるで足に釘が刺さったかのように止まっていた。

納豆「珍しい……書籍……!」

お好み焼き「んん?納豆落ち着きや、すっごい辛そうやで!!??」

納豆「参加します!!」

麻婆豆腐「あら、そこの勇敢な少年が手を挙げてくれました!最後の挑戦者に拍手!!」

お好み焼き「あちゃぁ~、ダメだわ、止められなかったわぁ。」


14狙いはチャンピオン


 舞台の上での大食い大会は熾烈を極めた。

 舞台下ではお好み焼きが手で顔を覆っている。

お好み焼き梅酒梅酒?どうや?納豆は倒れたりしてへんか?」

梅酒「うん……まだ大丈夫そう……。」

 --五分経過。

お好み焼き梅酒梅酒?どうや?納豆は血を吐いたりしてへんか?」

梅酒「うん……多分……まだ大丈夫かな……?」

 --更に五分経過。

お好み焼き梅酒梅酒?今はどうや?お医者さん呼んだ方がええかいな?」

梅酒「必要なさそうですね……。」

 お好み焼きはようやく自身の顔を覆っていた手をどけてゆっくりと舞台上を見る。

 大会会場では皆少し食べただけで水をひたすら飲み、ある者は突然倒れてそのまま運ばれて行った。

 他のものとは違い、表情一つ変えずに肉まんを頬張る。それはまるで味のない饅頭を食べているようだった。

梅酒納豆ったらすごいです……!あんなに辛いものを顔色一つ変えずに、汗もかかずに食べちゃうなんて!」

お好み焼き「……すごいわぁ!」

 すぐに、納豆以外の選手が次々に棄権していった。

麻婆豆腐「おおー今年の優勝者が決まったみたいです!」

麻婆豆腐「ただ、まだ時間はあります。果たしてこの少年は過去の記録を破って新記録を叩き出せるんでしょうか?」

梅酒納豆ー!あなたがナンバー1だよー!」

 舞台下で梅酒お好み焼きに抑えられつつも、必死に応援する。

 一方麻婆豆腐は真剣に食べた数を数える。この時誰も気付いていなかった。もくもくと肉まんを食べる納豆を何者かが影から見ていた事を。



15愚者


麻婆豆腐「終了ー!!優勝おめでとう。同時に新記録達成です!」

麻婆豆腐「名前をお聞きしてもいいですか?」

納豆「……他には?」

麻婆豆腐「どうやら名前は言いづらいようですね。大丈夫大丈夫、なら優勝した感想をお願いできるかな?」

納豆「……。」

麻婆豆腐「あちゃ~……。」

麻婆豆腐「どうやらチャンピオンは秘密主義のようですね!大丈夫大丈夫、これが景品よ!」

 納豆は黙ったまま景品の本を受け取り、観客へ軽くお辞儀をする。そして歓声の中、ゆっくりと舞台を降りようとしていた。

麻婆豆腐「最終ラウンドの景品も無くなりました。今季の大食い大会これにて終了。皆さんのご来場ありがとうございます~って、え!?」

 その時、一本の触手が納豆の足元に現れ、危うく納豆を転がしかけた。

 だが納豆の反応も早く、咄嗟に本を懐に抱えて触手をかわし、眉を顰めながら突然現れた堕神を見る。

暴食「うう~!腹が減った……みんなと一緒、タダで肉まんをいっぱい食べたい!!」

麻婆豆腐「暴食?」

麻婆豆腐「え?ははは、何が食べたいって?」

暴食「わ、笑うな!私を……見るなぁ!」

お好み焼き梅酒、この堕神なんだか阿呆やわ……」

梅酒「そうだね。」

麻婆豆腐「いいよいいよ、食べたいのでしょ?ほら、あげる!」


16絶対試さないで!その二


 麻婆豆腐はまるで子犬に餌をやるかのように激辛肉まんを手渡し、暴食はそれを疑いもせずに口へ放った。

暴食「……(もぐもぐもぐ)」

暴食「……(もぐもぐ)」

暴食「……(もぐ)」

暴食「……(……。)」

 まるでゼンマイのおもちゃのように、暴食の動きが次第にゆっくりとなり、最後には動かなくなった。

 数秒後、涙と悲鳴が同時に溢れ出す。

暴食「うわあああ、この悪魔めっ!!!」

 暴食は涙ながらに麻婆豆腐を触手で攻撃しようとするが、あまりの辛さで触手が絡まっていた。

麻婆豆腐「はは、自分で言ってたでしょ、食べたいって?」

暴食「わざとだな!束になって騙すなんて……!」

麻婆豆腐「いつ束になったって言うの?」

暴食「ならなんであいつはあんなに食べても平気なんだ!!!すごい美味しそうに食べてたし!!」

納豆「……ぼぐのごどでずか?(僕の事ですか?)」

暴食「??」

暴食「ううううこの嘘つき~まさかその無垢な表情に騙されてたなんて~」

 暴食は絡まった触手を抱えてそのまま逃げ去った。

納豆「……?」

お好み焼き「ぷっ、ははは~!納豆、笑わせんやないわ~」

お好み焼き「さっき喋らなかったのって、辛さで舌が腫れ上がってたからなんやな?ぷっはははは~!」

納豆「うう……。」

麻婆豆腐「そんなに辛かった?もう少し唐辛子を入れてもいいかなって思ってたんだけど。」

 麻婆豆腐が下顎をさすりながら発した言葉に、周りにいたものたちは皆思わず振り返って麻婆豆腐を見る。

 納豆は舌を痺れさせながらも、また筆をとる……

 「ティアラでの御法度:決して女性から手渡された食べ物を安易に食べてはならない、それが一見ただの肉まんであっても。」

麻婆豆腐「うわ、もうこんな時間!?この後まだ用事があるんだった。早く片付けないと……」

麻婆豆腐「チャンピオンさん、ほら、特製ののど飴!食べたらスッキリするよ!景品は大事にしてね!貴重な本だから!」

 納豆は感動し、頷く。そして、手を振って麻婆豆腐に別れを告げた。

創世日祭典・ストーリー・メインクエスト17-24

アグレッシブ サムライ

猫たちに囲まれた武士は再度ポイを手に取った。今度は金魚をすくえるのか?

17絶版書物


 舞台周りの客も減り、舞台を降りた納豆お好み焼き梅酒が複雑そうな目で見る。

納豆「どぶじまじだ?ふだるしでぼぐぼびで?(どうしました?ふたりして僕を見て?)

お好み焼き「頑張りすぎやろ……ノド飴もらえたからよかったけど……」

納豆「へへ……ほら!手に入れた!僕、すごくないですか!?」

 納豆は微笑みながら、大切に本を懐に抱えている。

梅酒「はいはいはい、一番すごいですよ。はやく中身を見てみたら?」

 納豆は得意げに本を開いて彼女たちに見せる……

お好み焼き「「五年選別三年育成ーー光耀大陸唐辛子栽培のおすすめ地域」??」

梅酒「世界発行部数一冊、本書の製造番号001……。」

納豆「えへへ、すごいでしょ!」

梅酒「……確かにすごい本みたい。」

お好み焼き「ぷっ、ははは~!納豆、アンタってほん……わぷっ!?(梅酒!最後まで言わせてや!)」

梅酒「はいはい、それじゃ他を見に行ってみましょうか……。」

 梅酒お好み焼きの口を塞ぎながら無理矢理先を進む。


18迷路


 梅酒お好み焼きが楽しげに前を歩き、納豆がその後ろを手に入れた本を読みながらついていく。

 突然、前のふたりが同時に足を止める。

お好み焼き梅酒、見ぃや……」

梅酒「うんうん、見えたよ、か、かわいい……。」

 どこから来たのやら、街道にまん丸とした可愛らしい三匹の猫がお尻を揺らしながら歩いていた。

 梅酒お好み焼きはそれを見て思わず足を止め、目で追い、そのまま後をつけていく。

 猫たちはついてこられている事に気付いたのか、振り向いて一声鳴き、そのまま軽快な動きで姿を消した。

 ふたりはやっと夢から覚めたようだった。

お好み焼き「ありゃ?猫がいなくなっちゃったわ、見失っちゃったかぁ?」

梅酒「あれ……?お好み焼き……納豆がいない……!」

 一方その頃。納豆は自分が他のふたりとはぐれたことに気付いていなかった。手に入れた本を読むのに夢中のようだった。

 ユーモア溢れる本の内容、その中で語られる光耀大陸の風土と人情はとても興味深いもので、読みながらどれだけ遠い道のりを歩いたものか。そうやって歩いていると納豆は人壁にぶつかる。

すき焼き「おいおい、もう数歩歩いたらその本がおじゃんになるぞ。」

 納豆が驚いて顔を上げるそうしてやっと納豆は自分がいつの間にか街を外れて小池のそばまで来ていたことに気付く。


19奇襲失敗


 小池の前で自分を引き止めてくれた男性に納豆はあたふたしながらも、お礼をする。

納豆「ありがとうございます!!」

すき焼き「あーー」

納豆「うん?」

 納豆はその時ようやく、小池のそばに大きな看板が掲げられていることに気付くーーそこには「金魚池」と書かれている。

 この時、武士の装いをしたひとりの青年が落ち込んだ様子で手に持った穴の空いた網を見ている。

さんまの塩焼き「……また……失敗した。」

納豆「すみません……わたしが金魚たちを驚かせてしまったから。」

すき焼き「大丈夫大丈夫、今回は偶然。もう一回やれば成功するさ。」

さんまの塩焼き「そうだな。」

 さんまの塩焼きは頷いて新しい網を持ち、慎重に水に入れる……

お好み焼き「納~豆~!ようやっと見つけたで~!!」

納豆「!」

さんまの塩焼き「!!」

 少女の高い声が響き、それに反応したさんまの塩焼きが思わず手を動かしてしまい、網は破れ、金魚は泳ぎ去ってしまった。

すき焼き「……ふっ。」

 さんまの塩焼きは再び破れた網を静かにそばに置いた。

お好み焼き「え?金魚すくいしてるの?ごめんごめん、騒がしちゃったね……」

さんまの塩焼き「大丈夫。」

 さんまの塩焼きは再び新しい網を持ち、今後は辺りをしっかりと警戒する。

 周りの皆は静かにその様子を眺め、小さな猫でさえ見守っている。

さんまの塩焼き(もうこれ以上誰も来ないはず……)

 彼は再び慎重に網を水に入れる。今回、金魚はその網に全く気付いていない様子だった。

般若「だ、だ、だーー」

さんまの塩焼き「!!!」

 目の前に近づく般若。すき焼きはこの後何が起こるか予知したかのように、センスで顔を覆う。


20絶対試さないで!その三


 さんまの塩焼きが刀を一振り。先ほどまで喧嘩を仕掛けてきた般若が空の彼方へと飛び、星となった。

お好み焼き「うっわ~、よく飛ぶなぁ。」

 武士は刀を鞘に収め、先ほどまでの鋭い眼光は消え、元の温和な雰囲気に戻る。

梅酒「て、手慣れた動きですね。」

すき焼き「はは、それはこんな感じの襲撃が今回が初めてじゃないからだな。」

すき焼きさんまの塩焼き曰く、祭典の日は殺生はいけないらしい。こんな風に退けるしかないんだってさ。」

すき焼き「ただ、今回の般若は少し気の毒だな。さんまの塩焼きが金魚すくいをしている時にきたのが運の尽きだな。」

納豆「なるほど、覚えておきます。」

納豆「「ティアラでの御法度:遊戯中の食霊の邪魔はしないこと。たとえどれだけその姿が優しそうな者でも。」」

 一方でお好み焼き梅酒の注意を引いていたのは、さんまの塩焼きが連れていた猫だった。

 すき焼きは扇子を扇ぎながら近くでお好み焼き梅酒さんまの塩焼きに猫を抱っこしていいか尋ねる姿を眺める。

すき焼き「はは、あいつにも俺より女性に好かれる時があるとはね。」

 そして、猫を抱きかかえていた梅酒納豆のもとにやってくる。

梅酒納豆、見て、納豆……納豆?」

納豆「ふむふむ?」

梅酒「どうしたの?考え事?」

納豆「……う~ん、今日出会った堕神たちにはどこか共通点があるんですよ。ただ、もう少し様子を見る必要がありますね。」


嗚呼!

酒呑童子は拘束され、拷問を受けて自白した。絶対お面を奪いに来たわけじゃない!

21偶然


 さんまの塩焼きすき焼きに別れを告げ、三人は再び祭典めぐりにもどった。

お好み焼き「ぷっ、ははは。どんだけ熱中して読書してたら人にぶつかるの?」

お好み焼き「ホンマおもろいわぁ。アタシ、実際にその瞬間を見てみたかったぁ。」

納豆「……や、やめてくださいよ……」

 納豆が顔を赤くしていると、隣で梅酒が彼の袖を引いた。

梅酒納豆、その時の様子ってあそこにいる女の子みたいだったのかな……。」

納豆「うん?」

 お好み焼き納豆梅酒の見る方向に目線を向ける。

タピオカミルクティー「あ、ごめんなさい!」

人混みの中、メガネをかけた女性が一冊の本を手に持ち、俯いて何かを考えているのか、時折前から歩いてくる人とぶつかっていた。

納豆タピオカミルクティー?彼女も祭典に?」

 納豆の目がキラリと光る。

梅酒「え?彼女があのタピオカミルクティー?あなたの一緒に「記録者」茶会を立ち上げた作家の?」

納豆「はい!そうですよ!お~い……タピオカミルクティー。こっちですよ!」

タピオカミルクティー「ん?私を呼んだのは、誰?」

 納豆タピオカミルクティーの方へ走って行った。


22「記録者」


お好み焼き「なぁ、梅酒。今話してた「記録者」茶会って何するん?」

梅酒「記録とかが好きな食霊の集まりで、時間を決めて集まって、旅の記録を共有するお茶会なの。お好み焼きも入る?」

お好み焼き「あ~!遠慮しとくわ。やっぱり流行りものの話題の方がアタシに合うわ。」

 一方。

 長い間会えなかった友に会った納豆はタピオカミルクティのもとへ走っていく。

納豆「お久しぶりです!」

タピオカミルクティー「この声は……納豆?」

 タピオカミルクティーは嬉しそうな笑顔を見せ、手を左右にに広げ、しばらく会わなかった友人と抱擁しようとする。

 だが……

納豆タピオカミルクティー。どうして電柱にハグしているんですか?」

タピオカミルクティー「あ……ごめんなさい。よく見えなくて……」

 納豆はその時、タピオカミルクティーのメガネに亀裂があることに気付く。

納豆「あれ、メガネが。何かあったんですか?」

タピオカミルクティー「ああ……話せば長くなるのだけれど……」


23飛べ!


 風が山の谷底から吹き上げ、冷たい空気はまるで鋭利な刃物のように納豆の足を横切る。

 彼は息を飲み、躊躇しながらも一歩前へ踏み出す。

梅酒納豆……早まらないで……!」

お好み焼き「あと一歩出たら戻れないで!」

納豆「説得は無用です。覚悟を決めました。」

店主「ご安心ください!ここはしっかりとした正規のバンジージャンプ場です!絶対に問題は起きません!」

 時は先ほどまでいた街中へ……

お好み焼き「うわ~!バンジーをやったん!?勇気あんなぁ!!」

タピオカミルクティー「はい。迷ったのですが、好きな本が景品になっていたから。」

納豆「本?本が景品なんですか?僕も行きます!」

お好み焼き「え?何するん?」

――バンジージャンプ台にて。

梅酒「高い……こんなところから飛んで本当に大丈夫なのかな?」

店主「ほら、さっき飛んだそこのタピオカミルクティーさんだって、ピンピンしているだろう?」

タピオカミルクティー「はい。安全ですけど、店主さん……私にメガネを外すことを言い忘れてましたよ?」

店主「あちゃ~……。」

店主「それは悪いことをした。でも今回は問題ない!」

納豆「うん、本のために!勇気をだすんだ!」

 納豆は台の淵に立ち、後ろでは緊張のあまりお好み焼きが目を瞑って、梅酒に抱きついている。梅酒はあらぬ方向を見ていたタピオカミルクティーの視線を正し、三人共に静かに納豆へエールを送った。

 だが、誰も彼らの背後にいる人影には気づいていなかった。

酒呑童子「今度こそ失敗できない!跳ぶ瞬間に襲撃だ!あいつからお面を奪ってそのままトンズラだ!」

 納豆が片足を前に出すのと同時に酒呑童子が襲いかかる。

店主「……そうだ。頭の仮面は外しておきなよ。風で飛ばされたら困るしな!」

納豆「……(声に反応して咄嗟に出した足を引き戻す)」

酒呑童子「!(終わった!)」

お好み焼き「店主はん!そういうんは早よ言いや!びっくりするやろ!?」

梅酒(……さっき人影が納豆の頭上から飛び降りて行ったように見えたけど気のせいかな?)


24不明瞭


 店主はお好み焼きに叩かれた頭を抑えながら隅っこへ行き。声を発せなくなった。

 納豆はもう一度呼吸を整え、つけていたお面を外し、タピオカミルクティーに渡す。

 歯を食いしばり、目を瞑ったまま台から跳ぶ。

 皆が崖の淵の手すりから身を乗り出し、納豆の安否を確認する。

梅酒納豆―!だいじょうぶ~?」

納豆「へ~い~き~で~す!」

 タピオカミルクティーはよく見えないため、少し離れたところでお面を持って待機していた。

 その時、崖の淵から突然一つの手が伸び、満身創痍の人影はなんとか崖を登り、彼女の前に倒れこんだ。

酒呑童子(なんとか登ってこられた……)

タピオカミルクティー「あら?そちらにいるのは誰?」

酒呑童子「!?あややっ、見つかった!!」

タピオカミルクティー納豆ですか?」

酒呑童子「どうやら仲間と勘違いしている……待てよ、あいつの手に持っているお面は?」

タピオカミルクティー「どうしてこっちから上がってきたの?はい、お面はお返ししますね。」

酒呑童子「チャンスだ!騙し取ってやろう!」

 酒呑童子は落ち着いてタピオカミルクティーに近づき、何気なくお面を受け取ろうとしたその時。突然タピオカミルクティーの大きな声が響く。

タピオカミルクティー「皆さん~、納豆はこっちですよ!早くチャレンジ成功のお祝いを!」

酒呑童子「あああ、今度こそ終わった……。」

創世日祭典・ストーリー・メインクエスト25-40

ヌクメン男子キター!

おでんは衝動的なお好み焼きをとめて、ニコニコ笑いながら、最後まできいてあげてと話した。

25とっておきのネタ


 納豆が縄で頂上に戻った時、目の前には何とも言い難い光景が広がっていた。

 酒呑童子が縄で縛られ、梅酒タピオカミルクティーが猫じゃらしで酒呑童子の足をくすぐっていた。お好み焼きの姿は見えない。

梅酒「言いなさい!」

タピオカミルクティー「言いなさい!」

酒呑童子「や、やめてくれ!絶対に親分の命令でお面を奪いにきたことなんて言わないからな!」

梅酒「親分って?」

酒呑童子「教えない……」

納豆「明瞭な根拠はないですが、おそらく暴飲王子だという噂が。」

酒呑童子「え?どうしてそれを?」

納豆「ああ、本当だったんですか。これで証言を記録できました。」

酒呑童子「……うう。」

納豆「でも、いったい何があったんですか?」

タピオカミルクティー「コホン……梅酒……」

 タピオカミルクティーは顔を赤らめながら梅酒の袖を引く。

 梅酒は微笑みながら説明する。先ほどタピオカミルクティーが酒呑童子を納豆と勘違いしたことは言わずに、力を合わせて酒呑童子を捕まえたことだけを。

梅酒お好み焼きは、酒呑童子がお面を奪うため、食霊を襲っていると聞き、おでんのところへ行ったようです。」

梅酒おでんもお面をしているし、心配になったんだと思う。」

納豆「ひとりでですか……。」

タピオカミルクティー「あなたたちも後を追ってください!バンジーの店主さんがもうスタッフの方に連絡してくださったはずですから、酒呑童子を連れて行ってくれるはずです。」

タピオカミルクティー「店主さんが戻るまでは私がここで酒呑童子を見張っておきます。今回はなかなか良い素材が手に入るチャンスです!」

 タピオカミルクティーは興奮気味に手に持った猫じゃらしを振る。

納豆「うん、それでは次の「記録者」茶会でのお話に期待してます!」

タピオカミルクティー「ええ!またお茶会で!」


26腐れ縁


 梅酒納豆が東市に戻ってしばらく、やっと響いてくる喧嘩の声でお好み焼きを見つける。

お好み焼き「客も少ないんやし、早めに店仕舞いしたってええやろ?アタシの話、聞いてた!?」

おでん「聞いてましたよ。少し声のボリュームを落としてもらえねぇかい?」

お好み焼き「めんどいって思っとるやろ?」

おでん「そんなことないですよぅ。ただそんなに叫んでたら喉を痛めるよ?ほら、君の好きな大根とタケノコだ!」

おでん「心配してくれてるのはわかりましたよ……。」

お好み焼き「ふん、誰が心配なんか!!!アタシの湯豆腐はまだか!?」

 お好み焼きは話題を切り、お椀を持って、目線はすでにグツグツ煮込まれている豆腐に向かっている。

お好み焼き「もうだいぶ経つのに同じ味……変化もなくって……どうやって客を集めるんや!」

おでん「これこそが皆が望んでいる故郷の味でさぁ。おでんはこうでなくっちゃねぇ。」

 おでんは話しながら豆腐を彼女のお椀に入れる。その時、店先で立っていた納豆梅酒の姿を見て、おでんは意外そうな表情をする。

おでん納豆?」

納豆おでんさん、お久しぶりです。」

 おでんも挨拶がわりにと、何度か頷く。

お好み焼き「あれ?梅酒納豆?どうしてここに?納豆……アンタ、おでんと知り合いだったの?」

納豆「うん!以前おでんさんには色々な話をしてもらいました。」

おでん納豆は久しぶりに来た常連客だよぉ。ほら、立ってないで入ってくだせぇ。」


27大根と竹の子


良い匂いが立ち込める中、納豆おでんに堕神がお面を奪おうとしていることを教えた。

おでん「なるほどぉ。道理でさっきお好み焼きが慌ててあたしに店を閉めろと……お好み焼き、気遣いをありがとうなぁ。」

お好み焼き「礼なんていらんわ!アタシも別にアンタのためだけに来たわけやないし!アタシはただ大根とタケノコを食べに来ただけ!そうや!大根とタケノコをな!」

納豆おでんさん……今日、大丈夫でしたか?堕神に襲われてないですよね?!」

おでん「いいや、今日一日とてもいい日だったよぅ。お客さんは多くなかったけどねぇ、面白い人ばかりだったさ。」

おでん「特にあの大根とたけのこが好きな女の子が一番さぁね。」

 おでんは笑みをこぼし、お好み焼きの頭を撫でようと手を伸ばしたが避けられてしまった。

お好み焼きおでん……!」

お好み焼き「ふん!タケノコ、もう一つ!」

おでん「はい、はいな。」

 おでんは再びお好み焼きに手を伸ばした。今度は避けることなく、そのままガシガシと撫でまわされた。

お好み焼き「頭を撫でるなって言ってるやろ!納豆梅酒!アンタたちももっと食べや!こいつのお財布をすっからかんにするんや!」

 おでんは笑った。

おでん「問題ないさ、みんなちょっと待ってておくんなまし。新しいお客さんが来たみたいだ、ちょっと見てくるよ。」

お好み焼き「でも、もしも暴飲王子がお面を欲しがっているのなら、酒呑童子が現れたのには納得できるわ。ただ、般若たちもお面を被った食霊を追ってるんやろ?」

納豆「確かにおかしい、きっと、このふたつのことには何か繋がりがあるに違いないですよ。」

 その時、玄関からおでんの優しい声が聞こえた。

おでん「いらっしゃいまし。おや、あなたは?」

般若「だ、だ、だーー」

お好み焼き「般若や!おでん、はよ逃げや!」


28最後まで聞いてあげて


 突然の般若の出現に皆が驚き、お好み焼きはすぐさま飛び出し、おでんをかばうように、般若の前に立ち塞がった。

般若「だ、だ、だーー」

お好み焼き「ほら来いや!この前の事、全然懲りてないみたいやね!」

 お好み焼きは袖をひるがえし、臨戦態勢に入ったが、おでんに腕を掴まれた。

おでん「落ち着きなはれ、まずは話を聞かせておくれ。」

お好み焼き「聞いてどうするんや!?アイツが襲いに来たんだよ!」

般若「き、き、きーーきい、てくだ、さい……、お面を、かぶった、堕神を見ま、せんでしたか……?」

お好み焼き「……。」

納豆「……。」

梅酒「……。」

おでん「悪いねぇ、見てないよ。」

般若「あ、あ、お邪魔、しました……」

 皆が驚いている中、般若はお辞儀をし、身を翻すと、体をカタカタと鳴らしながら、去っていった。

お好み焼き「ど、どうなってるんや?」

おでん「いいかい?物事を表面だけで決めつけてはいけないよ。何事も冷静に判断するといいよ。わかったかい?」

お好み焼き「……。」

 おでんはククッと笑い、呆然としているお好み焼きを店内に引っ張り戻した。


当たらなかったらお代は結構!

黄山毛峰茶は危うく屋台を潰したところだ。緊急時、彼の目の前に現れたのはなんと……。

29伝説の占い師


 酒呑童子は捕らえられて、般若も今の所襲ってこない。お好み焼きは無理におでんの店を閉めろとは言えなくなってしまった。

 三人はおでんと子の刻にお店に戻り、一緒に花火大会を見に行くと約束し、それまで引き続き祭典を巡ることにした。

お好み焼き「あの般若がずっと探し回っていたお面を被った堕神が、誰だか分かるん?」

梅酒「知らないよぅ。」

お好み焼き「もしかして納豆が言っていた般若のボスって、言い伝えの蛇君のことか?」

納豆「可能性はありますね。」

お好み焼き「やあ、こんなことは本当に初めてやで。般若が人探し?それに酒呑童子が何もせずに、お面だけ奪う?そんなんおかしいやろ。誰か答えを直接教えてくれたらええのに!」

黄山毛峰茶「鉄は一刀両断。嘘偽り無し……勘定は後回し。役に立たなきゃ金はいらない。」

 三人が般若が言っていたことについて話していると、突然呼び止められた。

黄山毛峰茶「ああ、そこのお嬢さん……見渡さなくていい。私が呼んでいるのは、お主のことだ!」

 お好み焼きは辺りを見回し、黄山毛峰茶が彼女のことを言っているのだと気づくと、不思議そうに首を傾げた。

お好み焼き「アタシに、なんの用??」

黄山毛峰茶「お嬢さん、眉間が黒くなっているよ、もしや、今まさに心の中で誰かに疑問の答えを聞きたいと思っているんじゃないか?」

お好み焼き「え?そうそう、そうやの!すごいわ!なんでわかっちゃったん?」

梅酒(誰の心にでも悩みがあるだろうに、言い当てるのなんて簡単。この人はペテン師なんじゃないのかな……)

黄山毛峰茶「ハハ、貧道がお嬢さんの疑問を解決してあげよう。お嬢さん、聞きたいか?」

お好み焼き「うんうん!おじさん、早よ教えや。これは一体どういうことなん?」


30結婚の気配


 黄山毛峰茶は灰を手で払いながら、思わせぶりに目を閉じ、印を結んだ。

黄山毛峰茶「見えたぞ!」

お好み焼き「なになに?」

 梅酒も警戒しながら、前に詰め寄った。

黄山毛峰茶「コホン、お嬢さん。お主が今日、周囲が混乱していて心が乱れていると思うのは、それは全部良縁の兆候だ!これは悪いことじゃない!とても喜ばしいことだ!」

お好み焼き「え?何するん?」

梅酒(ああ、この人はホントにいい腕をしているみたい……でも、お好み焼きも、もしかしたらもう……)

お好み焼き「なんやって?今日は追われて襲われて……これがいい事やって?これを喜べって言うん?」

黄山毛峰茶「そうだ。お嬢さん、追われるのは悪い事じゃない。喧嘩をするのも普通だ。良縁とは、心が動くから行動が伴うのだよ。しかし、私からひとつ助言をしよう。」

お好み焼き「……えっ?」

黄山毛峰茶「お嬢さんはとてもきちんとしていて、話上手な良縁の持ち主だ。良いことだが、才気ひけらかしてはせっかくの夫婦の縁が逃げてしまうぞ?」

お好み焼き「夫婦の縁?夫婦の縁やと?何言うてるん!?もういっぺん言ってみ??」

 お好み焼き黄山毛峰茶が何を言っているのかを理解した途端、尻尾を踏まれた猫のように怒りが爆発した。

黄山毛峰茶「いやいや。お嬢さん、言ったはずだ。熱愛の時期だからって、想う相手と毎日喧嘩ばかりしちゃあ駄目だ。相手が自分をどんなに好きだからってそれに甘えるのは良くない。」

黄山毛峰茶「時には優しい一面も見せる必要がある。そうすることで、長続きする。それと私は、お主に似合いそうな桃の花のお面を持っていてなーー」

お好み焼き「……。」

梅酒(とっても……嫌な予感がする……!)

黄山毛峰茶「見てくれ、このお面を!とても神秘的だろう?これを恋人の家に飾るか、身につけるかすると、お互いの厄を追い払ってくれるのさ。心を晴れーーうわあ!!」

黄山毛峰茶「何をする!買わないならそれでいいから、壊さないでくれ!」


31口は災いのもと


 お好み焼きは顔を真っ赤にし、黄山毛峰茶の店の品物を黄山毛峰茶の顔に投げつけた。

 近くで見ていた納豆黄山毛峰茶と怒ったお好み焼きを見て、どっちに手を貸すべきかあたふたしていた。

黄山毛峰茶「えっと……貧道は事実を言っているだけだ。最初からお主が頼んできたんだ。そんな急に怒られても……?」

お好み焼き「まだ言うか!?アタシは堕神のことを聞いてるの!なにわけのわからないこと話し始めてるんや!」

黄山毛峰茶「お主はーー」

 黄山毛峰茶は引き裂かれた八掛を見ながら今日の早朝に重陽糕の話していた予言を思い出す。

黄山毛峰茶(確か災難は口からやってくると言っていたが、まさか本当に当たるなんて、まったく!)

 黄山毛峰茶が呆けていると、危うく墨のついた筆が額にあたりそうなる。それを器用にかわすと後ろから声が聞こえた。

酒呑童子「痛――」

梅酒「酒呑童子、どうやって逃げ出したの!?」

酒呑童子「お前達は、俺を止められない……」

黄山毛峰茶「酒呑童子?ここで何をするつもりだ?」

酒呑童子「その桃の花のお面を、渡せ……。」

黄山毛峰茶「こここ、これを貧道から奪うつもりか?!」

酒呑童子「早く渡せ!」

黄山毛峰茶「困ったもんだ……私が言えることはひとつ。君のお家では、物を奪う時は黄歴を見ろと教わらないのかい? 何をするにも、日は選んだ方が良いぞ?」


32贈る言葉


黄山毛峰茶「次に貧道と戦う時は、子どもだけで来るんじゃないぞ。貧道が弱い者いじめをしていると思われないためにな。」

酒呑童子「お前ら覚えていろよ……私は諦めないからな……。」

 お好み焼きは見直したかのように、酒呑童子を撃退した黄山毛峰茶と目を合わせる。

お好み焼き「少しはできるみたいやない?」

黄山毛峰茶「いえいえ、外で飯にありつくには多少なりとも護身術の心得は必要なので。」

 この戦いを経てどうやらお好み焼きの憤怒はスッキリしたようだ。彼女は少し申し訳なさそうに散らかしたお店を片付ける。

 お好み焼きが辺りを見て、納豆梅酒まで散らかった店を整えている姿を見て、顔を赤らめて小さな声で尋ねる。

お好み焼き「あの……」

お好み焼き「あのお面は本当にきくんか?」

 黄山毛峰茶は少し可笑しく思いながらも、小さな声で答えた。

黄山毛峰茶「もちろん、騙したりしませんよ。効き目がなければお代は結構。」

 梅酒納豆が八掛をもって黄山毛峰茶に返した。お好み焼きが慌てて買い物袋に何か入れたようだったが、よく見えなかった。

梅酒「道士さん、私達はもう行くね。」

黄山毛峰茶「縁があったらまた会いましょう。最後に、貧道からお主たちにお告げをひとつ送りましょう。」

納豆「道士さん、ありがとうございます。教えてください。」

黄山毛峰茶「北へ行くといい。そこにスイーツ通りがある。そこに行けば、君たちが探している答えがある。全てが解決するぞ。」


Exchange or rob?

香ばしいデザート街に来て、酒呑童子が連れた援軍と遭遇?!

33このまま北へ


 黄山毛峰茶と別れた後、一行は納豆の地図を元に北へ向かおうとしていたが、お好み焼きが突然立ち止まった。

お好み焼き「あの……アタシは一緒にスイーツ通りには行かんで。」

納豆「え?今起きている事件について、一番知りたがっていたのに?」

梅酒「それに、ずっと前からスイーツ通りに行きたがっていたじゃない。」

お好み焼き「実はそんなに重要な事じゃないんや……酒呑童子も逃げ出したし、おでんのヤツもあんなに霊力が弱いのに、もしも酒呑童子がお面を奪いにあの店に行ったら……」

お好み焼き「まあまあ!じゃあもう行くで!もし、スイーツ通りで何か分かったことがあったら教えてや!あと美味しいスイーツをアタシに持ってくるのを忘れるんやないで!」

お好み焼き「じゃあな!」

 お好み焼きは買い物袋を抱きかかえ、そのまま何も言わず、走り去ってしまった。

梅酒「あれー?お好み焼き、走るの早すぎだよう……!」

 ――北市、スイーツ通り。

 道には色とりどりの灯りがつき、まるで真昼のようだった。多くの人で賑わい、空気には甘い香りで包まれている。

 ティアラ各国の絶品スイーツが並び、どれも人の目を引くものだった。

梅酒納豆、見て見て!あのパティシエが作ったケーキ!とても美味しそう……!」


34パティシエは口下手


 ここは一軒のコーヒー店。入り口付近でパティシエがちょうどケーキを作っていた。

 梅酒納豆だけでなく、東方の格好に身を包んだ少女がふたり同様にそのケーキに目を奪われていた。

モクセイケーキ「「一粒の雪が花を成し、一抹の人間は甘味に歓喜す」……見事な腕前!重陽糕、貴方はどう思う?」

重陽糕「行雲流水、見分を広げん。」

 納豆は興奮気味に筆をとり、質問をする。

納豆「こんにちは!お聞きしたいのですが、このクリームはどうして高温下で溶けないのですか?」

梅酒納豆が注目するのはやっぱり素材なのね……)

パステル・デ・ナタ「……。」

チョコレート「皆さん、ようこそ!彼は、我えらが誇るサタンカフェのパティシエ、パステル・デ・ナタ!ああ、彼は今日少々疲れているようです。質問があればこちらへどうぞ。」


35ご立腹


 チョコレートは四人を近くの席に案内し、スイーツを振る舞った。そして納豆の横に座り、丁寧にケーキに関する質問に答える。

納豆「ありがとうございます!お時間を使わせてしまいましたが、おかげで多くのことを学べました。」

チョコレート「いえいえ。お客様のためですから当然です。まだ時間はたっぷりあるので、何でも聞いてください。」

コーヒーチョコレート、忙しいですか?」

チョコレート「いいえ、忙しくないですよ。店長、すぐにそちらへ行きます。」

チョコレート「申し訳ありません、時間切れです。スイーツはまだありますから、どうぞごゆっくり。」

納豆「あっ……?」

 チョコレートはサッと立ち上がり、そのままコーヒーと共に店を出て行った。

 納豆はまだ何か気になるようだったが、しぶしぶ筆を置く。一方で梅酒はスイーツを食べて満足気な表情を見せた。

梅酒「満足したぁ……!でもあの道士さんが言ってた「ここに来たら真相がわかる」ってどういうことなんだろう?」

納豆「ああ言うんだから何かあるはずですよ。あとでしっかり調査してみましょう。きっと何か見つかるはずです。」

重陽糕「なぜ探す?もし答えに厄災が存在するならば貴方はどう対処するのだ?」

納豆「??」

 重陽糕納豆が呆けているのを見て躊躇したようにも見えたが、結局何も言わず、目を逸らした。

重陽糕モクセイケーキ、行こう。花火大会まで時間がありますし、他を巡ってみたい。」

 モクセイケーキもそう聞いて立ち上がり、ふたりはそのまま人混みへと姿を消した。

 しばらくして、納豆は困惑して目をばたつかせていた。

納豆梅酒、さっきの女性が言っていた厄災というのは……どういう意味なんでしょう?まさか良くないことが起こるんじゃ?」

梅酒「わからない……ここはこんなに落ち着いているし。ともあれ、空から堕神が降ってくるとかだよね?」

 梅酒がまだ言葉を言いきる前に突然濃い酒の匂いが漂ってきた。

酒呑童子「親分、こいつらです……。」

暴飲王子「ふん、お前たちか?」

納豆「暴飲王子だ!」

梅酒(どうしようどうしよう、酒呑童子が本当に呼んできちゃった……)

納豆梅酒、避けて!」

 梅酒が気づいた時には暴飲王子が片手で大きな酒樽を投げてきていた。彼女が慌てて避けると、後ろから声がした。

 梅酒は少し驚きながらも振り返ってみる。

 そこにはまだ完成していなかったケーキが原型がわからないほどになっていた。

暴飲王子「はあ、酒を奢ってやろうと思ったのに、どうしてちゃんと受け止めないんだ?」

パステル・デ・ナタ「……。」

 パステル・デ・ナタは目の前の崩れたケーキを見て無言で肩を回す。


36畏堕神


暴飲王子「むむむ、ただケーキを潰しただけだろう!私の酒樽が壊れてもなにも言わなかったくせに!」

暴飲王子「やるか?まだやるか?やるなら容赦しないぞ!」

 近くで本来手助けしようとしていた納豆だが、一方的にパステル・デ・ナタにやられる暴飲王子を見てためらう。

梅酒「私たち……手伝う必要あるかな?」

 街の通りはますます人が増え、本来冗談交じりだった暴飲王子も少し焦り始めた。暴飲王子は必死にパステル・デ・ナタの攻撃を避けてスッと建物の屋上へと逃げる。

暴飲王子「おい、そこの坊さん!」

納豆「……僕のことですか?」

暴飲王子「他に誰がいる?ここに来たのはお前に聞きたいことがあるからだ。その頭のお面を俺の酒と交換しないか?」

納豆「どうしてこのお面を欲しがるんです?」

暴飲王子「知ってどうする!交換するかしないかを答えろ!俺の酒はそう簡単に手に入る代物じゃないぞ!よく考えろ!」

納豆「……いりません。」

暴飲王子「なんでだよ!!!」

 暴飲王子は予想外の返事に危うく屋根上から落ちかける。

暴飲王子「だったら、こっちも容赦しないぞ!」

 暴飲王子が目を細め、後ろの尻尾で納豆を攻撃しようとする。

重陽糕「待つのだ!」

 その時、ひとりの女性が人混みの中から現れる。

暴飲王子「……お前は?」

納豆(さっきの女性……遠くに行ったのでは?)

重陽糕「お主がわからずとも、わしはわかっている。今日お主に災いが降りかかることを。」

暴飲王子「……いったい何者だ!」

重陽糕「早く立ち去ると良い。でないとお主はこの災いから逃れられなくなるぞ。」

暴飲王子「……ふん!脅かすつもりか!そんなことで動揺なんてしない!」

般若「だ、だ、だーー」

 突然、暴飲王子は遠方に機械のようにこちらに行進する般若を見つける。さらにその後ろに見知った影を見てゾッとする。

暴飲王子「どうしてこんな時に……もういい、酒呑童子、行くぞ!」


花火の下で

終わりの花火の下で、みんなはそれぞれの願いをかけた。

37転換


 暴飲王子と酒呑童子はその場から離れた。周りの見物客も次第に散っていく。

 納豆梅酒、そして重陽糕はスイーツ通りを出てリバービーチで話しながら歩いていた。

納豆「わたしは納豆、彼女は梅酒。先ほどはありがとうございます。」

重陽糕「私は重陽糕。いや、わしは事実を言っただけだ。」

納豆「さっき暴飲王子に言ったことは本当なのですか?あなたは本当に見えるんですか……。」

重陽糕「ふむ。そんなに構えないでくだされ。わしの目は確かに人の災いを見ることができますが、何も話しにくいことはないのだ。」

梅酒「つまり、スイーツ店にいた時、あなたはすでに暴飲王子が襲ってくることを知っていたと?」

重陽糕「そうだ。ただわしの経験上、災いと幸福は比例するもの。わしはあまり誰かの運命を変えたくはなかった。だから教えなかったのだ。」

納豆「なら、どうして戻ってきたんです?」

重陽糕「……ふと思った。どのように災いから逃れるかを教えることはできぬが、少しでも抵抗したなら……わしの心も安らぐ。」

納豆「ああ、なるほど。優しいんですね。」

 重陽糕は一瞬呆けて、その後顔を背けて表情を隠した。

 そこからか人の歓声が聞こえてくる。スイーツ通り全体が急に静かになり、人々はみな空を見上げている。ちょうど一発花火が打ち上げられていた。

納豆「あ、これは花火大会がもうすぐ始まる合図!この後に本番が始まりますよ!」

梅酒納豆、私たちもおでんのお店でみんなと合流しないと。重陽糕、一緒に来ますか?」

納豆「そうですよ、一緒に花火を見ましょう!」

 納豆梅酒の期待の眼差しの中、重陽糕は頷いた。

ライス「うう……どうしよう……。」

梅酒「あれ?誰かが泣いてる?」

納豆「川岸ですね。言ってみましょうか。」


38しつこい客


納豆「なんだって、暴飲王子があなたのお面を?お酒を残して?」

ライス「うん。あのお面はこの後舞台で使うものなの……どうしよう……。」

梅酒「ひどいよ……納豆のお面が取れなかったからって、他の人のお面を取るなんて!」

納豆「すぐにお面を取り返してきます!」

梅酒「でもどうやって暴飲王子の居場所を……?」

重陽糕「お主ら、そこのお店を見たか?暴飲王子が店の中を歩いておる……店にはお面をした青年と、あとツインテールの女子もいる。」

梅酒「あ!それって……おでんのお店だ!」

 ――その頃、おでんの店では。

お好み焼きおでん、片付けはすんだか?花火大会がもうすぐ始まるで!」

おでん「そう慌てんと。すぐ終わるから。」

お好み焼き「……おかしい……納豆梅酒はまだ来ないの?」

暴飲王子「はは、花火大会の前になんとかお面を手に入れた!店主、早くこの店で一番うまいものを出してくれ!」

お好み焼き「うん?」

おでん「あ……お客はん、ごめんなぁ。もう店仕舞いなんや。」

暴飲王子「店仕舞い?ダメだダメだ、友達も呼んでるんだ!何か作ってくれ!」

お好み焼き「おい、あんた。店仕舞いだって言っただろう!こんなに店があるんだから、他の店をあたりなよ!」

暴飲王子「他に行けって?ふん、下調べもしてあるんだ。ここのおでんは伝統的な桜の島の味なんだって。ここで食うぞ!」

お好み焼き「はあ?流石にそれは迷惑すぎるんじゃないの?」

暴飲王子「いい度胸してるな。私が誰だかわかって言ってるのか?」


39どなた?


 一方、納豆梅酒そして重陽糕ライスを連れておでんの店へと向かっていた。

梅酒「着いた!お好み焼きおでん無事でいて!」

 勢いよくおでんの店の戸を開けて入る。

梅酒「え?」

暴飲王子「クソォ……腹黒すぎるだろ……ううう!!!」

 一同は苦しそうな表情で縛られた暴飲王子を見つけ、その口に雑巾をねじ込んで黙らせるお好み焼きの姿を見て唖然とした。

お好み焼き「あれ?納豆梅酒?おかえり!あと新しいお友達?」

梅酒お好み焼きおでん!実はこれこれこういうことがあって……。」

 ――お好み焼きは暴飲王子が来てからのことを、納豆たちに話した。

暴飲王子「いい度胸してるな。私が誰だかわかって言ってるのか?」

お好み焼き「誰かなんてどうだってええやろ!」

暴飲王子「お、お前……どれだけの酒となら交換する!?教えろ!」

お好み焼き「酒に興味なんてな・い・ね!」

おでん「ほら、一旦落ち着きぃ……お好み焼きも。」

暴飲王子「とにかく、友達ももうすぐ来るんだ。その前には何か出してくれ!」

おでん「お客はん……えっと、わかりましたわ。そこまで言うのならお座りくださいな。しばしお待ちくださいねぇ。」

暴飲王子「そうこなくっちゃな!」

 暴飲王子はズカズカと席に着き、おでんが茶を持って来る。

おでん「お客はん、先にちびっと飲んで待っててくださいな。」

暴飲王子「うん?美味そうだな。ゴクゴク……美味い!……うん!!??」

 暴飲王子はそのまま頭から机に倒れこむ。

おでん「あたしはただ一時的に薬で動きを封じようと思っただけなんやけども、もしやこの方が暴飲王子?」

納豆「早まらないで、多分敵意はないと思う。」

ライス「ありがとう、みんな!」

お好み焼き「よし……ことも済んだし、みんなで花火大会に行くで!」

梅酒「じゃあ……暴飲王子はどうしよう……ここに放っておくの?特に人を傷つけてはないようだし、さすがにこれは……」

暴飲王子「ううう!ううう!」

 お好み焼きが暴飲王子の口に詰まっていた雑巾を抜き出す。

暴飲王子「うはあー!お、お前たち!ひどすぎないか!私の仲間が絶対に見逃さないぞ!」

お好み焼き「友達って誰や?」

蛇君「彼の友達は私です。」

納豆「……蛇君!」


40願いの花火


納豆「皆さん、気をつけて。」

 華やかな装いの蛇君は店にいた者を見て、最後に目線を縛られて身動きの取れない暴飲王子に向ける。

蛇君「なんて恥ずかしい。」

暴飲王子「……ふん!早く解いてくれ!」

 蛇君が指を少し動かすと、暴飲王子を縛っていた縄が一瞬で切れた。

お好み焼き「どうしよう……アタシたちじゃ勝てそうもないし、逃げた方がよくないか?」

おでん「早まらんといて、多分敵意はないと思うわ。」

蛇君「暴飲王子、どういうことですか?どうして今日はずっと私を避けていたのです?」

 意外にも蛇君は敵意を見せず、逆に暴飲王子を質問責めにする。

暴飲王子「それは……ああ、もういいや!般若みたいな顔するのはやめてくれ!」

暴飲王子「言えばいいんだろう、言えば!今日朝にお前から借りたお面をうっかり無くしちゃったんだよ。」

暴飲王子「怒られるのが怖かったから……だからお面が見つかるまでは避けてたんだ……。」

蛇君「……。」

暴飲王子「何が『奪う』だよ!ちゃんと酒と交換しただろう!このケチな食霊共。」

暴飲王子「ふん!蛇君!蛇君!早く般若に言って、俺を解放させてくれ!面子が潰れちまう!」

 どこからともなく現れた般若たちが一斉に暴飲王子を囲みそのまま店の外へ連れていった。

蛇君「申し訳ない諸君、迷惑をかけた。」

 蛇君は般若とともに去って行き、店には再び静けさが戻る。

納豆「よし。今のうちに記録してなくては。」

お好み焼き「ぷっははは!いいやいいや。アイツらは放っておいて、アタシたちは花火を見に行こうや!じゃないと本当に見逃しちゃうで。」

おでんお好み焼き。会場までの道に詳しいお前さんたちで、先にライスを送り届けてきてくれるかい?店を閉めたら追いかけるさかいに。」

お好み焼き「わあったわ……早くしぃ!」

おでん「そうやな。」

 皆が離れた後、店に落ち着きが戻る。おでんは散らかった店を片付けていると、窓の外から突然瑞気(ズイキ)がおでんの前に舞い降りてくる。

おでん「うん?これはいったい?」

 おでんが驚いてそれを見ると、その瑞気は最終的に文章を成した。

おでん「「おめでとうやな、あなたは今回の祭典において優秀な働きを認め、創世日祭の大賞を授与する……『神君の願望』……神君にあなたの願いを告げてください。」」

おでん「……なんです?」

 子の刻が訪れ、広場はとても賑わっている。

 十……九……八……七……六……

 我慢しきれない子どもが大人の服を引っ張りながら期待に満ちた表情を浮かべる。

お好み焼きおでんはいつになったら来るんや!こないとホンマ怒るで!」

 五……四……三……二……一……!!

 鋭い音が舞い上がる光とともに暗闇の中に響き、鮮やかな花火が更に咲く。連なるそれは次第に線となり、海となる。それはまるで銀河のように、星空を彩る。

 ロマンチックな光の下、人々が何度も歓喜の声を上げる。人々は皆、空に咲く花火の下で自身の願いを祈った。

梅酒(私の旅に後悔がありませんように。)

納豆(僕の記憶で、世界に美しさを残せますように。)

重陽糕(今日より災いを挑戦とし、良心ある者となろう。)

お好み焼き(アタシは……)

おでんお好み焼き、着いたよ。」

お好み焼き「ふん!今頃来てどうするんや!一回目の願い事の時間は過ぎちゃったで!」

おでん「大丈夫や、もう願っておいたわぁ。」

 少し前の店内にて。

おでん「あたしの願いは、暴飲王子が無くしたお面が見つかりますように、やわ。」

おでん「はい、これがあたしの願いで間違いおません。祭典の日は、身分に関わらず、みんなが楽しむ権利を持っとるはずやから。」

お好み焼き「なにをお願いしたん?」

おでん「なんでもないさぁ。大したことのないお願いだよ。」

おでん「ほら、ライスのショーが始まるよーー」

 

……この世界に、夢と希望がありますように、創世の日に乾杯!

サブストーリー

創世日祭典・ストーリー・サブヒレイナ学園祭

ヒレイナ学園祭

1-1解けない謎

 ティアラのアート界で有名な画家であるホットドッグ――その性別は謎であった。

 真実を追求しようと、ホットドッグの周りには、いつも芸能記者が張り付いている。

 ティアラ創世の祝典に遊びにきたホットドッグの元に、スカウトマンが声をかけてきた。

ホットドッグ「……ミスコン大会?」

スカウトマン「はい、貴方はスタイルが良く、歩くビーナスと呼ばれています。ミスコンに参加したら、きっと優勝できますよ。」

ホットドッグ「ありがと。そんな風に褒められると、ドキドキしちゃうわね~。」

スカウトマン「是非参加してください!」

ホットドッグ「ええ、いいわよ。参加できるならしてみようかしら?」

スカウトマン「ありがとうございます! 今年のミスコンは、あなたのような参加者がいて、さぞかし盛り上がるでしょう!」

スカウトマン「では、参加登録カードの記載をお願いします。」

ホットドッグ「わかったわ。」

 ホットドッグはサラサラと登録カードに内容を記載していく。

スカウトマン「……ええ? えええ!? えええええ!! ハハハハハハハァ……!?」

 その日を境に、スカウトマンはホットドッグの秘密を探るのをやめた。彼が何を見たかは誰も知らない――


1-2気をつけて!

たこ焼き「いらっしゃいませ! 当店のおすすめは如何ですかー?」

 その瞬間、たこ焼きの笑顔が凍り付いた。

ブラッディマリー「おすすめのメニューはなんだい?」

たこ焼き「あ……創世の祝典限定ミックスたこ焼きです。」

 笑顔を忘れてはいけない……たこ焼きは引きつった笑みで目の前の男を見上げた。

たこ焼き「(この人……なんか怖いな)」

ブラッディマリー「いいね、それをもらおうか。」

たこ焼き「は、はい……。(落ち着いて……落ち着くんだ)」

ブラッディマリー「ん? 君、顔色が悪いよ? 大丈夫かい?」

たこ焼き「あー……今日はお祭りだから、お客さんが多っくって、ちょっと疲れちゃって……あはは。」

ブラッディマリー「確かに。こんな賑やかなお祭りは久しぶりだよね。」

ブラッディマリー「そうだ、聞きたいことがあるんだけど……。赤い髪で、頭に二本の角があって……鎧をつけた男を見なかったか?」

たこ焼き「えっと……?」

ブラッディマリー「連れはふたり。尖った耳に、釣り目のいけ好かない男と背が低くてポニーテールに大きなリボンをした女が一緒だ。」

たこ焼き「……すみません、見てないです……。」

たこ焼き「あ、ミックスたこ焼きができました。お待たせしました。」

ブラッディマリー「ああ、ありがとう。じゃあこれ、お代。」

たこ焼き「え!? あ、あの……多いですよ!」

ブラッディマリー「私の探し人――ビーフステーキがここに来たら、そのお金で食べさせてやって。私、ブラッディマリーからのおごりだって言ってね、フフ……。」

たこ焼き「……は、はぁ……?」

たこ焼き「(うっ……! こ、こいつはヤバい奴だ……!)」


1-3オーラ

 花火大会がもうすぐ始まる――たこ焼きは店の片づけをしていた。そこに一組の男女が顔を出す。

たこ焼き「あ、すみません! 今日はもう完売しちゃって……!」

豚骨ラーメン「お嬢さん、そこにあるたこ焼きは? 売り物じゃないの?」

 女は腕を組んで真っ直ぐにたこ焼きを見つめる。その強いまなざしに、たこ焼きは萎縮してしまう。

たこ焼き「あ、これは取り置きでして……! ごめんなさい……。」

たこ焼き(あいつが『予約』とか抜かすから、もうっ!)

 その様子を黙って見ていた男が、溜息混じりに女を止める。

うな丼豚骨ラーメン、怯えてるだろう。たこ焼きは諦めて他のものを探そう。」

豚骨ラーメン「あぁ? いつ誰が誰を脅したって?」

うな丼「拙者たちがいなくなれば、すべて解決だ。お嬢さん、悪かったな。出直すよ。」

 男が強引に女を引っ張っていく。事なきを得て、たこ焼きはホッと胸を撫で下ろした。


1-4つかず離れず

 片づけを終えたたこ焼きは、取り置きのたこ焼きを前に眉をひそめていた。

流しそうめん「悪い! 遅くなった!」

たこ焼き「ホントやわ、随分待ったで。」

流しそうめん「聞いたよ、完売しちゃったんだよな? 予約しといて良かったよ。」

 たこ焼きを受け取って、流しそうめんは満面の笑みを浮かべた。

たこ焼き「……何か言うことはないんか?」

流しそうめん「言うこと? えっと……んー! たこ焼きたこ焼きはうまいなー!?」

たこ焼き「……他には?」

流しそうめん「あ、ありがとうございます……かな?」

たこ焼き「ふん! もうええわ。はよ、行き!」

 たこ焼きはドン、と流しそうめんの背中を押す。

流しそうめん「なんだよ、たこ焼きは花火見ないのか? せっかくだし、一緒に見ようぜ!」

 その言葉に、ピタリとたこ焼きは動きを止める。苦い顔で流しそうめんを見上げて言った。

たこ焼き「……なんでウチがあんさんと一緒に花火を見なあかんのや?」

流しそうめん「ああ、いい席を取れたからさ! たこ焼きなら、みんなも歓迎だ!」

たこ焼き「みんな? 誰がいるん?」

流しそうめん猫まんま水信玄餅と……うな丼に、他にもいっぱいだ! へへ、みんなで見たらきっと楽しいぜ?」

たこ焼き「……ああ、そういうこと。だったら行くわ……ホント、あんさんは相変わらずやね……まったくもう。」


1-5もうひと皿

 赤ワインビーフステーキは、たこ焼き屋の列を前に立っていた。ジンジャーブレッドはこの列に並ぶ気はないと別の場所で待機している。

ビーフステーキ「おお、良い香りだ! さすが人気のたこ焼き屋だな!」

赤ワイン「この列に並んでまで食べたいとは、お前は変わり者だな。」

ビーフステーキ「無駄口を叩くな。人気店の行列は、当然のことだ。さて、どっちが奢る?」

赤ワイン「……当然お前だろう。そして、俺様はこの行列に並びたくもない。」

ビーフステーキ「私も同じ意見だ。では、勝負だ! じゃけん……!」

赤ワイン「ぽん!」

赤ワイン「……」

ビーフステーキ「ハッ! 貴様の負けだ! さっさと買ってこい!」

 赤ワインは悔し気にビーフステーキを睨みつけ、長い列へと向かう。ビーフステーキは近くの椅子に腰を下ろし、キューブのおもちゃで遊びながら、列に並ぶ赤ワインを見守った。それから暫くして――

赤ワイン「店長、たこ焼きを三皿くれ。」

ビーフステーキ「お、やっと順番が回ってきたか……店長ー! 唐辛子はかけないでくれるか!」

たこ焼き「は、はいっ! ……ん?」

 たこ焼きは遠くで手を振っているビーフステーキを見て目を見開いた。

たこ焼き「お待たせしました。お代は二つ分で大丈夫ですよ。」

赤ワイン「うん?」

たこ焼き「あの方の分を既に頂いているので。彼、ビーフステーキさんですよね?」

 たこ焼きビーフステーキに視線を向けてそう言った。

赤ワイン「……奴の分、いったい誰が払った? まさか――」

たこ焼き「ブラッディ・マリーさんって方ですね。」

 たこ焼きはブラッディ・マリーが来たときの話をした。

赤ワイン「なるほど……な。」

たこ焼き「(ふ……このお客様なんか機嫌悪そう。)」

赤ワイン「店長、すまない。」

たこ焼き「え? わっ……!!」

 たこ焼きの前で、赤ワインが無表情のまま、たこ焼きの皿をひとつ落とした。

赤ワイン「悪いな、店長、もう一つ作ってくれ。おごりだった分は落ちてしまったのでな。」

たこ焼き「……は、はぁ……?」

 すると、その様子を見ていたビーフステーキが大笑いで叫ぶ。

ビーフステーキ「おい、赤ワイン! そんなに手をブルブルさせて老人か? ハハハハハハハ!!!」

赤ワイン「……店長、作り直すたこ焼きは、唐辛子をたっぷりとかけてくれ。翌日まで影響するくらいに、な。」


1-6邪魔するな

 創始日の朝。デザート街。


ミルフィーユパステル・デ・ナタ!パステル、パステルー!」

 ミルフィーユは朝から普段通りにパステル・デ・ナタのお店に出向き、デザートを全部独り占めしようとしていた。

 けれど、今日朝からお店に現れたのは彼だけではなかった。

寿司「こうするの!難しいわね。」

パステル・デ・ナタ「ええ、たくさん練習するといいですよ。」

ミルフィーユ「ん?パステル・デ・ナタ、何をしている?」

寿司「あぁ、おはようございます。私は寿司と申します。パステル・デ・ナタにデザートを教わりに来ました。」

ミルフィーユ「へぇ!いいな、私も教わりたいぞ!」

ミルフィーユ「長い知り合いだが、習ったことはない!なぁ、私も入れてくれ!前のあのケーキを教えて欲しい!うまいし見た目もいいし!後で君が暇がなかったら、自分でも作れるじゃん!」

パステル・デ・ナタ「……ミルフィーユ、邪魔するな。」

ミルフィーユ「ん?邪魔とは?」

パステル・デ・ナタ「これを学んでどうするつもりだ?」

ミルフィーユ「……。」

寿司「ねぇ、パステル・デ・ナタ、彼、怒っちゃったみたいだけど……大丈夫なの?」

パステル・デ・ナタ「……大丈夫だ。」


1-7最高って言われたい!

パステル・デ・ナタ「今、オーブンからケーキを取り出そう。」

 甘い豆花はデザート街で弟の塩辛い豆花へのプレゼントを探している。この時、甘い香りが漂ってきた。彼はパステル・デ・ナタ寿司にケーキを渡すところを見かけた。

甘い豆花「いい香りだね。マスター、このケーキまだあるか?」

寿司「申し訳ない。このケーキは自分で作りました。」

甘い豆花「自分で? 根気があるね。」

刺身「お姉さん! 朝からここで何をしているの?」

 寿司はケーキを刺身に手渡した。

寿司「プレゼントだ。創生日おめでとう。」

刺身「うわ……ありがとう! お姉さん最高! 大好き!」

 刺身寿司を連れて行ってしまった。

パステル・デ・ナタ「こんにちは、ケーキを作りたいですか? こちらは無料で習うことができますよ。」

 甘い豆花の頭に塩辛い豆花の顔が浮かんできて――もし彼が……

塩辛い豆花『お兄さん最高!』

 甘い豆花は思わず身震いして、そのシーンを頭から追い出した。

甘い豆花「いやいや、すみません、お邪魔した。」

 パステル・デ・ナタは何も言わず、くるりと後ろのオーブンからスポンジ生地を一つ取り出した。何かを思い付いて、彼はしばらくぽかんとしてから、念入りにケーキを飾り始めた。


1-8運命の出会い

 ジンジャーブレッドはハッとして辺りを見回した。気づけば、赤ワインビーフステーキの姿が見えない。

チーズ「あーもう! ピザカッサータ、どこに行っちゃったのぉ~!?」

ジンジャーブレッド「あ……もしかして、あんたも迷子? 仲間とはぐれちゃった?」

チーズ「うん、もしかしてアンタも?」

ジンジャーブレッド「そうだね。ただ、迷子になったのは私じゃないけどね。」

チーズ「もー! あのふたり!! チーちゃんを置いてった罪、償わせてあげるんだからね……!」

ジンジャーブレッド「え? 何するんだ?」

チーズ「じゃじゃーん! これをあげるの! コチュジャンがたーっぷり詰まってるクッキーよ!!」

ジンジャーブレッド「いいな、それ! 面白そうだ!」

チーズ「ふっふーん! ひとりはすぐに気づくけど、もうひとりは全く気付かなくってすぐに食べちゃうわ! ああ、反応見るのが楽しみ……♪」

ジンジャーブレッド「なぁ、それどこに売ってた?」

チーズ「買ったんじゃなくて作ったのよ。良かったら作り方教えてあげようか?」

ジンジャーブレッド「作るのは面倒だな……ふむ、あたしは別の方法でやりこめることにするよ。」

ジンジャーブレッド「どうやるかって? あはは、簡単だよ。あいつらに会ったら、力いっぱい殴って怒りを晴らしてやるのさ!」


1-9だから邪魔するな

 目の前の光景に、ミルフィーユは目を疑った。

 暴飲王子が、パステル・デ・ナタに激しく殴られている。ミルフィーユは静かにチョコレートの方へと移動して、腕を突いた。

ミルフィーユ「何があった?」

チョコレート「あれのためかな。」

 パステル・デ・ナタの作ったケーキがデザートスタンドの上で、壺に壊されてしまっていた。

ミルフィーユ「……えっ?」

 ミルフィーユはすぐわかった。そのケーキは彼が大好きで、今朝、パステル・デ・ナタから作り方を教わろうとしたものだ。

ミルフィーユ「……うむ、変形しちゃつたけど、味は甘いな……。」

 ミルフィーユは指でクリームをすくって口に入れ、嬉しそうに笑った。

ミルフィーユ「――パステル・デ・ナタ、がんばれー!!」

 その声に、パステル・デ・ナタの動きが一瞬止まる。その隙に、暴飲王子は屋根へ飛んで逃げていった。

パステル・デ・ナタ「……ミルフィーユ、邪魔するな。」


1-10暫し拝借 

コーヒー「これは……いったい……」

コーヒー「倉庫に在庫の整理に行ってきた間に、ここでなにがあった?」

チョコレート「彼に聞くといい。」

パステル・デ・ナタ「……すまない。」

 ミルフィーユパステル・デ・ナタの肩を自分の方へ抱き寄せた。

ミルフィーユ「まあまあ、コーヒー、許してくれたたまえ! 堕神を撃つ時にちょっと場所を拝借しただけだ。だよな?」

パステル・デ・ナタ「……。」

ミルフィーユ「それより――さっき頼んだケーキ、早くもう一個作ってくれないか?」

パステル・デ・ナタ「そんな約束していない。手を離せ、暑い。」

 これはサタンカフェでよく見慣れたシーンだ。祝典の出店でも変わらない光景を見られたことにコーヒーは嘆息する。

 背を向けて立ち去ろうとしたとき、細い腕が肩に伸びてきた。そして、彼を別の方角へと導いた。

コーヒー「どうした?」

チョコレート「ちょっと付き合ってくれ。」

創世日祭典・ストーリー・サブ玉京のお祭り

玉京のお祭り

2-1間違った遊び方の例 

 さんまの塩焼きすき焼きは、げんなりとしていた。せっかくの祝典会場で、堕神が現れたからだ。

すき焼き「キリがないな……これで何体め?」

さんまの塩焼き「さぁ……数えるのも疲れたね。」

すき焼き「……それで、何か言うことは?」

さんまの塩焼き「――殺さないように。」

すき焼き「せっかくのお祭りだしね。わかってるよ。」

 そのとき背後から、ドスンという鈍い音と共に唸り声が聞こえてきた。さんまの塩焼きすき焼きは慌てて振り返る。

 するとそこには、酒呑童子が手負いとなって倒れていた。

すき焼き「(なかなか鋭い一発を食らっているな……どっちにしろ、助かった)」

 ――離れた射的屋にて。

ふぐの白子「ふふっ、このゲーム、面白いわ。」

キャビア「白子、教えてくれ。今、君は何を撃った……?」


2-2名勝負

 コーンブレッドは長い銃をかついで、祭典会場を練り歩いていた。そのとき、射的屋が目に入る。

コーンブレッド「『射的屋』だって! 面白そう〜!!」

 コーンブレッドは早速店の主人から10発購入し、的に向かって弾を迷いなく撃ち込んだ。彼女の見事な腕前に、観衆が湧いて喝采が起こる。

 そこに偶然キルシュトルテが通りかかった。少女の見事な腕前に、思わず感嘆の息を漏らした。

コーンブレッド「よーし! もう二十発、いっちゃうよ〜! 追加で弾頂戴っ!」

キルシュトルテ「お前、上手いじゃないか。なぁ、店主。私にも弾を二十発くれ。」

 キルシュトルテコーンブレッドに向かって、不敵な笑みを浮かべた。そして射的銃を構え、鋭い眼光で獲物を撃ち落としていく。

 その様子に、コーンブレッドの目が輝いた。

コーンブレッド「Hey,ユー! ミーと勝負してよっ!」

キルシュトルテ「ほう? 威勢がいいな。いいだろう、遊んでやるよ。」

コーンブレッド「遠慮はいらない! 本気でかかぅてきなっ!!」

キルシュトルテ「ハッ! それはこっちの台詞だ、行くぞ!」

 ふたりは同時に手を上げて、前方の標的を狙って、射的銃を構える。観客が息を呑んでその様子を見守る中、射的銃から勢いよく弾が放たれた。

 それは一瞬の出来事だった。大量の景品が地面に落ちている。見事な腕前を披露したふたりに、観客は惜しみなく拍手を送った。

コーンブレッド「WoW! ユーは凄腕スナイパーだ! また戦ってほしいな! ミーはコーンブレッド。友達になってよ!」

キルシュトルテ「私はキルシュトルテだ。ふむ、友達……か。」

コーンブレッド「Yah! 今この瞬間から、ミーとユーは友達だ! ユーはどこに住んでるの? 今度遊びに行くよ!」

キルシュトルテ「とても……小さな街だ。本当に来るのか?」

コーンブレッド「もちろん! ミーは有言実行だ!」

キルシュトルテ「ハハッ……そうか、楽しみにしている。待ってるからな、怯むなよ?」


2-3便利な遊び

 紅茶ミルクが一緒に祝典会場を回っていた。

紅茶「このお祭り、早く終わらないかしら……今すぐ帰って銃の訓練をしたいわ。」

ミルク「なぜこの祭りには、同じことを繰り返さないでもクリア出来るゲームがないのでしょう……。」

 それぞれの思いを口にして、ふたりは溜息をつく。

 そのときだ、射的屋の店主が声を掛けてくる。

店主「お嬢さんがた! 遊んでいかないか? まだ良い景品が残ってるよ!」

紅茶「あら……いいわね。今日の訓練の代わりになるし、景品も得られるなんて。」

ミルク「ふむ、銃で景品を撃てば手に入る……繰り返しがない、いいゲームですね。」

 ふたりは顔を合わせて、同時に銃を取る。そして、無言で景品に向かって銃を撃ち放った。

店主「――一時間後。」

 唖然とした顔で、呟いた射的屋の店主を他所に、ミルクは既に目的の本を手に入れて読んでいた。

ミルク紅茶、あとどれくらいかかりますか?」

紅茶「もうすこし……あと十個、景品が残っています。」

ミルク「そうですか。」

ミルク「店主さん、ここに出ている景品、全部取ってしまっても大丈夫ですか?」

店主「はは、は……そういうゲームですからね……どうぞ続けてください……。」

 店主は、紅茶の足元に置かれた景品に、虚ろな表情を浮かべるしかできなかった。


2-4頼もしいイチゴ

 二人の小さな影が懸命に射撃露店の前に押し寄せています。

ダブルアイス「イチゴ、見て! あの人形、ペアだよ! 欲しくない?!」

ダブルアイス「うん……。」

ダブルアイス「ペアだからひとり一個もらえるよ! ちょうどいいな!」

ダブルアイス「そうだね……じゃあ、兄さんが取って。」

ダブルアイス「玉は十発……! よーし、絶対取るぞぉ~!!」

 ――五分後。

ダブルアイス「イチゴ、大丈夫、だから……! 絶対、取る……から……!!」

ダブルアイス「……兄さん、頑張って。」

 ――十分後。

ダブルアイス「イチゴ、大丈夫、だから……! 絶対、取る……から……!!」

ダブルアイス「……兄さん、頑張って。」

 ――十五分後。

ダブルアイス「イチゴ、大丈夫、だから……! 絶対、取る……から……!!」

 イチゴは無言で店主にお金を払い、銃と玉を受け取る。そして、無言で狙っていた人形を撃ち落とした。

ダブルアイス「すごいっ! 一発で当てるなんて! さすが自慢の弟だ!! 見てください、これ、弟が落としたんですよ……!」

ダブルアイス「……そんな知らない人にまで教えなくていいよ。兄さんって、ほんとバカ……。」


2-5よく当たるシューティング

 カクテルB-52が射的屋を見かけ、店主に声をかける。その後ろには、ブラウニーの姿もあった。

B-52「店主さん、一階お願いします。」

店主「はいよ。兄さん、このゲームは難しいよ。さっき来た双子は十五分かかってやっと一個取れたくらいだ。」

ブラウニー「ふむ、彼には一発あれば十分ですよ。」

店主「だったらその腕前、見せてもらおうかな。玉を十個君の分はサービスだ。それで一発でも当たるといいがね。」

ブラウニー「……ではどうぞ、B-52。」

B-52「距離、3.75メートル。高さ、1.52メートル。目標方位確認――B-52、いきます。」

 その声の後、『パンッ』という音と共に、勢いよく玉が発砲された。その玉は、真っ直ぐに、狙っていた景品の中心に当たった。

店主「ほう……すげぇな、兄ちゃん。だが、それは比較的取りやすい景品だ。他の景品はそうそう取れないだろうよ。やってみるといい。」

 ――一分後。

ブラウニー「景品で袋がいっぱいになりました。これくらいで十分でしょう。早く、みんなんところに戻りましょう。」

店主「……。」


2-6ボスの商売

佛跳牆は、忙しく働く麻婆豆腐の露店に通りかかって足を止める。

通りすがりの人「麻婆豆腐、お疲れ様! 麻婆まんを二個ちょうだい!」

麻婆豆腐「いらっしゃい! はい、どうぞ!」

佛跳墻は腕を組んで、麻婆豆腐の傍に近づいた。

佛跳牆「繁盛してるじゃないか。」

麻婆豆腐「佛跳墻じゃない。今年の花火大会ってアンタんとこが企画してたよね? こんなとこで油を売ってていい訳?」

佛跳牆麻婆豆腐、お前に頼みがあってきた。花火大会が始まる前に、うちの者と協力して広場に不審者がいないか見てくれないか? お礼は、俺と一緒に見る特等席の花火だ。」

麻婆豆腐「ハァ? なんであたしがそんなこと――」

麻婆豆腐は、ジッと佛跳墻を睨みつける。だが、佛跳墻は泰然自若な態度で、足元にいる小葱を抱き上げた。

麻婆豆腐「まぁいいわ。また海神祭りのときみたいな騒ぎはごめんだしね。それよりアンタ、花火に興味あったんだ?」

すると、佛跳墻はフンと鼻で笑って、麻婆豆腐を見下ろした。

佛跳牆「打ち上げ花火自体がうちの商品だ。興味があって当然じゃないか?」

麻婆豆腐「……。(またお金がたんまり稼げるってことか……。ご立派なボスだよね、まったく!)」


2-7気安く試さないで!

 トッポギキムチの手を引っ張って、麻婆豆腐の露店へ走ってきた。

キムチ「気を付けて、転ばないようにね。」

トッポギ「大丈夫よ、心配性ね!」

 トッポギは笑いながら振り返る。そのはずみで隣の柱にぶつかってしまった。

トッポギ「あぅっ!」

キムチ「だ、大丈夫? 痛くない?」

トッポギ「う、うん……大丈夫っ!」

 トッポギは痛みで顔を歪めたが、興奮が冷めやらない。

トッポギ「店員さん、私、唐辛子まんの大食い選手権にに参戦するわ!」

 トッポギは唐辛子まんで顔を真っ赤にしながら叫んだ。だが、その瞳には涙が浮かんでいる。

 そんなトッポギに、キムチは苦笑いで水の入ったコップを渡す。

キムチ「無理しないで、辛いんでしょう?」

トッポギ「うん、う、うう……か、辛くない! わよっ!」

 キムチキムチをあたたかな眼差しで見つめながら、その背中を優しく撫でた。

キムチ「はいはい、そういうことにしておきましょうか。とりあえず、牛乳でも飲む?」

トッポギ「ううう……た、助かる……わっ!」


2-8麻雀のことは忘れて

 麻婆豆腐の屋台に、串串香火鍋がやってきた。

串串香火鍋は食べたらだめよ。お店のもの、全部食べちゃうつもり?」

 火鍋は片手に麻婆まんじゅうを持ち、両頬はまんじゅうで膨らんでいた。

火鍋「もぐもぐ……食べたのは一箱だけだよ。問題ないよね? 麻婆豆腐?」

麻婆豆腐「大丈夫よ。好きなだけ食べて!」

麻婆豆腐「(麻雀をやらないなら、いくら食べてくれてもいいわ! 火鍋とだけは、麻雀をしたくない……!)」

火鍋「この光耀大陸では、麻婆豆腐が作ったご飯が一番おいしいよね。すっごく辛いし~!!」

火鍋「ここに来る前、おでん屋に寄ったんだけどね、すっごく味が薄くってさぁ。全然辛くなかったし!」

串串香「……おでんの出汁は、繊細な味なのよ。お店の人にも、そう言われたでしょ。」

火鍋「ん~! やっぱ辛いのが一番だよねぇ、あはは~!」

 ――その頃、おでんの屋台。

おでん「ハクション!」

麻婆豆腐「また、私の店に来てよ。辛くなかったら、お代はいらないよ!」

火鍋「じゃあ、麻婆豆腐の店で麻雀しよっか! ……ん? 今、三人しかいないじゃん! 誰かもう一人いないと……ああっ! なんでみんな逃げるの~!?」


2-9雄黄酒と麻婆まん

 ロンフォンフイ雄黄酒と一緒にお祭りで歩いていた。

ロンフォンフイ「うむ、良い香りがする――雄黄酒、匂いの元を探すぞ!」

雄黄酒「刀に気を付けてください。他人を傷つけては大変ですよ。」

ロンフォンフイ「任せておけ!」

 ロンフォンフイは目的の露店を探し当て、湯気の立つ蒸し器を覗き込む。そこには、麻婆まんが乗っていた。

麻婆豆腐「お兄さん! できたての麻婆まん、おひとついかが? 光耀大陸でここしか売ってない逸品よ!」

ロンフォンフイ「麻婆まん? いいじゃないか! もらうぞ!」

 ロンフォンフイは蒸し器に手を伸ばし、麻婆まんを一口かじる。

ロンフォンフイ「これは……うまいぞ! もっとないのか!? ああ、まとめて袋いっぱいに詰めてくれ!!」

 雄黄酒が再びロンフォンフイを見た時、彼は一袋のまんじゅうを抱えて、うまそうに食べている。

ロンフォンフイ雄黄酒、これを食ってみろ! うまいぞ!」

 ロンフォンフイは麻婆まんを雄黄酒に差し出した。

雄黄酒「おまんじゅう……ですか? んんっ!」

 一口食べたその瞬間、口の中に辛さが広がる。そのあまりの辛さに、雄黄酒は眩暈を覚えた。

 雄黄酒は、そのままロンフォンフイに向かって倒れこんでしまう。そんな雄黄酒を支えて、ロンフォンフイは目を見開いた。

ロンフォンフイ「おい――雄、雄黄酒??!! ……子推饅!! どこにいる!? 雄黄酒が倒れた!! 助けてくれぇ!!」


2-10王の必修科目

 ローストターキーエッグノッグは、唐辛子まんの大食い選手権の会場へと足を向ける。会場は喝采に包まれていた。

ローストターキー「唐辛子まんの大食い選手権?」

 会場にいる人たちの反応を見て、エッグノッグローストターキーに真剣な表情で目を向けた。

エッグノッグローストターキーも参加してみたらいかがでしょう?」

ローストターキー「え? なんで余が……?」

エッグノッグ「辛さは痛みの一種でね。それに耐えられるのは、王として必須素質じゃないかと思いまして。」

 そうエッグノッグが言った瞬間、観客が悲鳴をあげた。何事かと視線を向けると、今まさに戦っていたと思われる選手たちが会場から運び出されている。

ローストターキー「……。」

エッグノッグ「大丈夫です、信じていますよ、貴方なら勝てます!」

ローストターキー「……。」

ローストターキー「そ、そうだな……余なら、勝てる!!」

 ローストターキーは息を呑んで、参加登録窓口へと向かおうとする。そんな彼の手を慌ててエッグノッグは掴んだ。

エッグノッグ「冗談ですよ、おバカさん。なんでも信じないでください。僕を罪悪感に濡れさせたくないのならね。」

創世日祭典・ストーリー・サブ氷涙湖カーニバル

氷涙湖カーニバル

3-1目を覚ませ、臆病者!

 人混みで、スフレは地面に落ちた人形を拾う。

スフレ「ん……? なんだここは……。」

 騒がしい中、スフレは、壇上で歌っているゼリーの歌声が聞こえてきた。

スフレ「つまらねぇ歌だ。これならオペラの歌の方がマシだな。」

オムライス「今、何と言いました!?」

スフレ「(なんだこいつは……? くそ、あの弱虫め! なんでこんなところに来やがった……!?)」

オムライス「あっ! この人形、素敵ですね! もしや、手作りですか!? 貴殿が作ったんですか?」

スフレ「まあな。」

オムライス「!」

オムライス「素晴らしい! この技術で、是非ゼリッチの人形も作ってほしいです!」

スフレ「……別に。」

オムライス「ははぁ……貴殿は、まだゼリッチの魅力に気づいていませんね? いいでしょう! このオムライスが、ゼリッチファンを代表して彼女の良さを教えてあげましょう!!」

 ――十分後。

スフレ「(くそっ! こいつ、いつまで喋り続けるつもりだ……!! 起きろ、弱虫! もう帰って寝るぞ!!)」

 これは、スフレの【裏】人格が初めてスフレの【表】人格を求めた瞬間の出来事である。


3-2同じくらい可愛い!

 オレンジジュースはサングラスをかけて、観衆を気取ってゼリッチが歌っている舞台を見ていた。

 そんなとき、通りすがりの人にゼリッチについて語っているオムライスを見かけ、近づいていく。

 オムライスは口がからからになって、やっと話すのをやめた。そんな彼と目が合ったので、オレンジジュースは手を振る。

 するとオムライスは、先ほどまで話していた者と別れ、オレンジジュースの傍に近づいてきた。

オレンジジース「お疲れ様、オムライス。」

オムライス「あ、オレンジジュースさん! 聞いてください! 今隣にいた人にゼリッチのおすすめポイントを語っていたのですが……!」

オムライス「小生は口下手で、ゼリッチの良さをどう伝えたらいいかわかりませんでした……! 小生、ゼリッチファンクラブ会長として誠に不甲斐ない想いでございます!」

 オレンジジュースはそんなオムライスを見て、顔を綻ばせた。

オレンジジュース「ゼリッチのいいところ? 『アイドルの良さを一生懸命語ってた』君と同じ……努力して頑張ってる姿よね? 違って?」

オムライス「え、えぇ……!? 拙者、こういうとき、とんな顔をしたらいいかわからないでございます~!!」


3-3お面の祝福

 その日の公演は無事終了した。プリンはゼリッチと共にゲスト休憩室に戻った。

プリン「お疲れ様でした、ゼリー。」

ゼリー「ゼリッチは全然疲れてないよ! 今日のショーはいっぱいお客さんが来てて、みんな喜んでくれてたから、ゼリッチも楽しかったよー!」

 ゼリーはファンからもらったプレゼントを見ながら、はにかんで目を細めた。

ゼリー「ほら、出店で買えるものがいっぱい! 今日一日、お祭り会場を歩いて買ってきたみたい! みんなに感謝しなくちゃ~!」

 その言葉に、プリンはお面を手に取ってゼリッチに渡す。

プリン「『みたい』ではなく、貴方は本当にこのような一日を持つべきです。」

ゼリー「それは……ゼリッチには無理だよ、ファンの人に見つかっちゃうよ……。」

プリン「このお面をつければ、一般人に紛れ込んで、祭りを楽しむことができるでしょう。」

 プリンゼリーの頭をそっと撫でる。そして大きく頷いた。

プリン「少しの時間ですが、お祭りを楽しみましょう。大丈夫、私が傍にいますから。」

ゼリープリン! ありがとう……! このお面で、ゼリッチは夢を叶えるよ……!」


3-4平凡が一番!

 ゼリーのショーが終わり、ファンたちの歓声が騒がしく会場に響き渡る。お屠蘇は腕を組んで、その様子を眺めていた。

臘八粥「聞いてください! お屠蘇、私は決めました。」

お屠蘇「なんだ、急に。どうした?」

臘八粥「アイドルとは、皆に愛されている職業です。私が再び人気者になる手段として良い気がします!」

臘八粥「豊年アイドルの臘八粥……うん、いい響きです!」

お屠蘇「……。」

臘八粥「決めました、私、アイドルになります! 明日からダイエットを始めます! 歌の練習やだんすも習わないといけませんね!」

お屠蘇「ふむ、それはいいな。じゃあ明日の朝から、私とジョギングをしようか。」

臘八粥「えっ?」

お屠蘇「ダイエットするなら、しばらく美味しいデザートも控えないとな?」

臘八粥「ええっ!?」

お屠蘇「有名になったら、こういう祭りにも来れないだろうなぁ……。」

臘八粥「えええっ!? だめです!! 来ます!!!」

お屠蘇「アイドルになるんだよね?」

臘八粥「……改めて検討してみましたが、やはり平凡が一番ですね。お屠蘇、デザートを食べに行きましょう~!」


3-5応援は学問だ

 スフレ【表】は強引に意識を覚醒させられた。ペンライトを持った手を見て、目をぱちぱちさせた。

スフレ「あれ……ここは?」

オムライス「あああ、我を忘れるほどゼリッチの応援に夢中になってしまいましたか!? わかりますぞ、その気持ちっ!」

オムライス「小生もゼリッチの歌を初めて聞いたときは似たような状況に陥りました。ゼリッチの魅力の為せる業でございますっ!」

スフレ「歌……?」

オムライス「そうですとも! ゼリッチの歌は聞く者を虜にします。貴殿もゼリッチファンクラブに入会して、一緒に応援しませんか!?」

スフレ「応援……とは何をするのですか?」

オムライス「応援とは学問なり! ここで会ったのも何かの縁! 特別にやり方を伝授して差し上げましょう!!」

スフレ「え……?」

 ――30分後。

オムライス「はぁ、はぁ……いいですか? 『応援』はアイドルにとって最大の力になります! よく、覚えておいてください……!」

スフレ「はぁ、はぁ……わかりました。この『応援』をしたら、私は、私のアイドル――オペラの力になれるでしょうか……?」

スフレ「(こんな『応援』をしたら、オペラに嫌われるぞ……バカが)」

 そのとき、幻楽歌劇団のリハーサル中だったオペラが、大きなくしゃみをした……。


3-6庶幾伝説

 タピオカミルクティーはペンを手に、道端に備え付けられた石の椅子に座った。そこで、祝典の取材メモの整理をしていた。そのときだった。

通りすがりの人A「バンジージャンプの伝説を知ってるか?」

通りすがりの人A「バンジージャンプで一番高い位置に飛んだとき、願いごとを唱えると願いが叶うらしいよ。」

通りすがりの人B「本当に? それは素敵ね。」

通りすがりの人A「あと、勇敢賞に選ばれると本がもらえるとも聞いた。どんな本だろうな。」

タピオカミルクティー「(貴重な本!)」

 三十分後――バンジージャンプ台の前で、壊れたメガネを持ったタピオカミルクティーは、飛んだ瞬間に思ったことは……。

タピオカミルクティー「長い間手元に置いておきたくなるような良い本が欲しい」というものだった……。


3-7空中コンサート

 アップルパイが祭典会場を歩いていると、すれ違った男女の話が耳をかすめた。

通りすがりの人A「なぁ、フリーフォールの伝説を聞いたか? 一番高い場所で願望を叫んだら、それが実現するって話。」

通りすがりの人A「バンジージャンプだけじゃなくて、フリーフォールでも同じ伝説が囁かれてるんだ。」

通りすがりの人B「へぇ……面白いわね!」

アップルパイ「(願い事が叶う? それってすごくない!?)」

 アップルパイは期待を胸に、フリーフォールの入り口に向かった。

店主「お嬢ちゃん、本当にやるの? これ、結構怖いよ?」

アップルパイ「大丈夫! 私、これでもけっこう勇敢なんだから! それに、私には夢があるしね!」

店主「なるほど。君もあの伝説を聞いて来たのか。だったら、このスピーカーを貸してあげよう!」

アップルパイ「やったあ☆ マスター、サンキュー♪」

 フリーフォールが動き出す。アップルパイは、息を吸って頂点に達するのを舞った。

 そして、フリーフォールが一番高い位置に止まった瞬間、アップルパイは満を持して叫んだ。

アップルパイ「ライブをやりたいよ~!! 世界一の歌手になりたいの~!!」

 アップルパイが願い事を叫んだ瞬間、フリーフォールで音楽が鳴りだす。それに合わせて、アップルパイはスピーカー越しに大きな声で歌った。

アップルパイ「わっふ~!!」

アップルパイ「マスター、スピーカーありがとう! 元気出てきたよ~……ってあれ!? マスター!? なんで倒れてんの!?」

アップルパイ「ま、マスターだけじゃない! 周りの人たち、みんな倒れてる!? な、なんで~!?」

アップルパイ「あたしの歌が原因……だったりしない、よね????」


3-8日常

 ピザチーズのふたりと共に、祭典にやってきたカッサータは、ふと目に入ってきた姿に、眉を顰める。

 気になって、後をつけてきたカッサータは、ふと気づけばフリーフォールまで来ていた。

カッサータ「いない……っていうか、そもそも誰もいねぇな。なんかあったのか?」

カッサータ「(早く戻ろう。ピザチーズが心配だ)」

ウイスキー「ふむ? 君は……まさか私を探しにきましたか? フフッ、なかなか執念深いですね。」

 聞き覚えのある声に、カッサータは驚いて振り返る。そこには目的の人物――ウイスキーが立っていた。

ウイスキー「それより、貴方はひとりでこの祭典に参加を?」

 カッサータは槍を抜いてウイスキーに向かって構えた。

 しかしウイスキーはまるで慌てる様子を見せずに、ゆっくりと距離を縮めてくる。

ウイスキー「そんなに彼に会わせたくないのでしょうか?」

ウイスキー「でしたら何故、貴方は彼の傍にいますか? そして今、どうして私の後を追いかけてきましたか?」

カッサータ「黙れ!」

ウイスキー「怒ったのですか? その前に……あちらを見た方がいいですよ。」

ピザカッサータ! どこだ、カッサーター!」

ウイスキー「さて、どうしますか? 貴方が私に攻撃を仕掛けるのなら、私は全力で抵抗しますが……それでも良いですか?」

 カッサータは槍を収めて、目の前で笑う男を睨みつけた。

カッサータ「今は引く。だが、必ずこの手で決着をつけてやるからな。」

ウイスキー「……期待しているよ、ナイト君。」

 ウィスキーはそう呟いて、その姿を消した。

ピザ「あ! カッサータ、こんなところにいたのか! なんでいきなり走り出したんだよ?」

カッサータ「ああ。ちょっとな。ここが面白そうだから、見にきたんだ。」

ピザ「ふーん? カッサータって、こういうのに興味があるタイプなんだ? 知らなかったな……。」

カッサータ「それより、チーズはどこだ? 一緒じゃないのか?」

ピザチーズ?! あ……っ!」

カッサータ「しょうがねえな。ったく、俺と一緒にお姫様の罰を受けるしかねぇな……。」


3-9想定内

 赤ワインビーフステーキは、バンジージャンプを見つけたので、試しにやってみることにした。

 高台に立つと、地面がひどく遠く、人がとても小さく見えた。ビーフステーキは思わず生唾を飲み込んだ。

赤ワイン「どうした? まさか怖いのか? お前の鈍感さには脳も痺れるな。」

ビーフステーキ「どういう意味だ?」

赤ワイン「お前がよだれを飲んでいるのを見たぞ? フッ、素直に怖いと言ったらどうだ。」

ビーフステーキ「それは貴様だろう……足もまともに動かせないほど怖がっているんじゃないか?」

赤ワイン「俺様は足でなら、お前を助けてやってもいいと思っているが?」

ビーフステーキ「結構。私は貴様と違って、これくらいの高さ、まるで問題ではないからな。」

 その様子を、ジンジャーブレッドが見ている。相変わらずのふたりに呆れた様子だ。

ジンジャーブレッド「いいからさっさと飛べ。どっちが先に叫ぶかあたしが見届けてやるから――ま、どうせ同時だろうけどな。」

ビーフステーキ「ハッ! 何を言うか、ジンジャーブレッド! 先に声をあげるのは赤ワインだ!」

赤ワイン「相変わらず自信過剰だな。先に声をあげるのはビーフステーキに決まっている。だいたいお前は……」

 言い合いを始めたふたりに、痺れを切らしたジンジャーブレッドは勢いよく足を振り上げた。その勢いで、ふたりは同時にジャンプ台から頬り出される。そして、ジンジャーブレッドの予想通り、声をあげたのは同時だった。

ビーフステーキ「あああー!!!」

赤ワイン「あああー!!!」

3-10意気投合

 天ぷらはバンジージャンプに挑むため、列に並んでいた。そのとき隣にいたトムヤムクンに、同じ魂を感じ取り、ニヤリと笑う。

天ぷら「……少年、お前も挑戦者か?」

トムヤムクン「その言い方……もしやお前もか?」

天ぷら「奇遇だな。どっちが根性あるか、勝負するか?」

トムヤムクン「いいぜ、かかってこいっ!」

 二人は向かい合ってバンジージャンプ台に登っていく。

トムヤムクン「俺はまだまだ上に行くぜ! 目指せ、てっぺん!」

天ぷら「見た目と違って根性あるじゃねぇか。まぁ、俺もてっぺんまで行くけどな。」

トムヤムクン「これじゃあ勝負がつかねぇな……だったら、目を開けてジャンプするのはどうだ?」

天ぷら「ハッ! いいぜ! あとで泣いても知らねぇからなっ!」

 天ぷらトムヤムクンは一瞬目を交差させたあと、同時に空に向かって飛び込んだ。

ふたりは、落ちながらも目を見開いて、相手の表情のすべてをその目に収めた。その様子はさながら、一つのパントマイムのように見えた。

天ぷら「……。」

トムヤムクン「……。」

 ――数十秒後。バンジージャンプを終えたふたりは、向かい合って立っていた。『もう言葉はいらない』……二人はどちらからともなくハイタッチする。

天ぷら「これからは俺たちが親友だ! 俺の名は天ぷら! よろしくな、少年!」

トムヤムクン「俺はトムヤムクン! よろしくな! 兄弟!」

創世日祭典・ストーリー・サブ月見祭

月見祭り

4-1動物園

 さんまの塩焼きすき焼きが金魚すくいをしていると、背後から覗き込む影が見えた。

竹飯「なぁ、旦那よぉ……ここに俺様を連れてきて何をさせる気だ?」

北京ダック「吾も考えのたのですが……やはり金魚すくいはそなたに相応しい」

竹飯「金魚すくいだって? へへっ! やっぱり旦那は俺様のことわかってるな! 俺は木を登ったり水に潜ったりするのが得意なんだぜ!」

北京ダック「知ってますよ、検討を祈ります。」

竹飯「任せとけ! おーい――太郎、次郎! こっちに来い!」

すき焼き「あれ? どこの竹鼠???」

竹飯「おい! オメェら! ダメだぜ!!!」

さんまの塩焼き「……ミカン! 駄目だよ!」

北京ダック「ふむ? これはこれは……。」

 竹飯が飼っている竹鼠は、さんまの塩焼きのニャンたちに飛び掛かった。驚いたニャンたちは毛を逆立てている。そのうちの一匹が、北京ダックの懐に飛び込んでいた。

竹飯「わりぃ……! 竹鼠が迷惑かけたっ!」

さんまの塩焼き「いえいえ、ミカンたちはちょっと怖がりなだけですよ。」

北京ダック「うちの者が失礼しました。どうかお許し願いたい。」

 三人は同時に頭を下げた。その様子に思わずすき焼きは笑ってしまう。その声に、残りの三人も照れ笑いで後ろ頭を掻いたのだった。


4-2人魚の歌

 西湖酢魚は池のそばに座って、金魚と戯れながら、優しい歌声を口ずさんでいた。

 偶然通りかかったシュールストレミングは、その光景に思わず足を止めてしまう。

西湖酢魚「貴方たちも賑やかな祝典に遊びにいきたい?」

西湖酢魚「残念だけど、貴方たちは私と同じ……一方の天地に閉じ込められてしまってるから。」

 金魚は彼女の歌に小さい尾を高くあげて、西湖酢魚の指の周りをぐるぐる回る。彼女を慰めるかのように、その指にキスをした。

 その姿を背後から見ていたシュールストレミングは思わず拍手をする。振り返った西湖酢魚の横に座って、にっこりと微笑んだ。

 西湖酢魚は、突然現れた珍客に瞬きをする。彼女の足元から覗く魚の尾を見て、少しだけ不思議に感じたからだ。

西湖酢魚「あら……貴方は?」

シュールストレミングシュールストレミングと申します。あなた、とても歌が上手ね。」

西湖酢魚「あ。ありがとうございます……私は、西湖酢魚と申します。」

 西湖酢魚の視線が自分の尾に注がれていることに気づいたシュールストレミングは肩を落とした。

シュールストレミング「怖がらせてしまったかしら。私と貴方は違うから……驚いたでしょう?」

西湖酢魚「少しだけ不思議に思っただけで、驚いてはいません。この世にはたくさんの出会いがありますが、私は貴方と出会えたことを嬉しく思っています……一曲、歌わせてもらっていいですか?」

 私は歌うことくらいしかできないから――と西湖酢魚は透明な声で歌った。それは、どんな言葉よりもシュールストレミングの心に響いた。

シュールストレミング「ありがとう――もう一曲歌ってくれない? もっと貴方の歌を聞いていたいわ……!」


4-3斉しい輝き

おせち「そちはまこと、光栄ぞ! わたくしの視界に入ることができたのだからな!!」

ブラッドソーセージ「え? 何この食霊……。やばくない?」

 突然声をかけられたブラッドソーセージは訝しげにおせちを見る。

おせち「なんだ? 巫女のわたくしに認められて嬉しくないのか? もっと喜ぶと良いぞ!!」

ブラッドソーセージ「……あなた、スターゲイジーパイと似た光を持ってるわ――でも残念、その光はあなたを不幸にする……。」

おせち「は? なぜわたくしが不幸に? わ、わけがわからぬ!!」

 おせちの声に、金魚が散り散りになる。それを見て、クスクスとブラッドソーセージは笑った。

ブラッドソーセージ「ほら、魚が逃げました。これは不幸なことではないでしょうか?」

 この少女は危険だ――そう察知したおせちは、逃げるようにこの場から去っていった。

ブラッドソーセージ「ふふっ、怖がらせすぎちゃったかしら? ま、いいか。スターゲイジーパイとの時間を邪魔されたくないしね……。」

スターゲイジーパイブラッドソーセージ! やっと見つけた! って……わぁ!? 金魚が一か所に集まってる! 何をしたの!?」

 スターゲイジーパイが金魚を見て驚いた。その様子を微笑ましく見つめるブラッドソーセージだった。


4-4ある意味天才

 焼餅タンフールーは金魚すくいをしていた。

タンフールー焼餅、いまだ! 取るんだー!!」

焼餅「ああ、任せろ! っとと!?」

 そのとき、焼餅の背後に誰かがのしかかってきた。それは、ナルトの髪飾りをつけた少女だった。

 その勢いで焼餅の手から金魚すくいの網――ポイが水の中に落ちてしまう。

焼餅「……。」

タンフールー「……。」

 茫然と焼餅タンフールーが振り返った。焼餅に覆いかぶさっている少女とふたりの視線が重なる。

 ナルトの髪飾りをつけた少女は状況を察して、引きつった笑みを浮かべた。

うどん「ご、ごめんね……わざとじゃないから! あたし、よく転んじゃうんだよね……」

うどん「店員さん、ポイくださいな。この失態は……あたしの腕で返す!」

 店員からポイを受け取り、少女は袖を巻いて金魚すくいを始める。タンフールー焼餅はその様子を黙って見守った。

――五分後。桶にはたっぷりと金魚が泳いでいた。だが少女はまだやる気満々で池を見つめている。

うどん「はい、これは君たちにあげよう! 金魚すくいは得意なんだ! まだまだ取っちゃうよー!!」

焼餅「……。」

タンフールー「あ…ありがとう……でもこんなにいらないよ……。」

うどん「店員さん! 桶をもうひとつちょうだい! 遠慮はいらないよ! ぜーんぶ取ってあげるからねー!!」


4-5金魚

 土瓶蒸しが会場をぶらついていると、金魚すくいの前にいる純米大吟醸を見かけて立ち止まった。

土瓶蒸し「おや、純米大吟醸。あんさん、金魚すくいとかやるんか? 意外やわ。」

 土瓶蒸しの姿を認め、純米大吟醸はキセルの煙をゆっくりと吹いた。

純米大吟醸土瓶蒸し……こんなところで会うとは奇遇でありんす。」

 純米大吟醸は首を横に振って、目を伏せた。

純米大吟醸「金魚の命は儚く脆いもの……遊女のようにその生を弄ばれ、客に買われても、長生きできない――」

純米大吟醸「ほら、あれをご覧あれ。」

 そう言って純米大吟醸が手に示した先には、金魚の入った袋がぺしゃんこになって、地面に落ちていた。

 その中で、二匹並んだ金魚が横たわっている。このままではこの二匹は死んでしまうだろう。

土瓶蒸し「これが彼らの運命だったら?」

純米大吟醸「彼らはその運命を変えるべきです。外が危ないとしても、外に出てみなければ真偽はわからないでありんす。」

土瓶蒸し「それが叶わなかったら?」

純米大吟醸「水に依存してしかいきられないならば、環境をよく知ることでありんす。そうすれば、環境に左右されないで生きられるようになるかもしれない……。」

土瓶蒸し「……私は、難しい話は苦手でしてね。これから私が詩を一句読みますわ。それでこの話は終わらせたいですなぁ。」

 純米大吟醸はキセルを握った手を軽く揺らしてから、ゆっくり立ち上がる。

純米大吟醸「あちきはもう行きます。最後に、良いことを教えてあげましょう。金魚すくいのポイは、高く売れるそうです。」

 純米大吟醸は柔らかく微笑み、優雅な歩みでその場から去っていった。

土瓶蒸し「いい話を聞きました。来年の祭典に向けて、いろいろ調べてみましょかね。」


4-6間違った食べ方の例 

火鍋「うーん、どう? 味がしなくない?」

串串香「難しい問題ね。これ、桜の島の料理だからねぇ……。」

 火鍋はため息をつき、スプーンを置いた。

おでん「あらら……お口に合わなかったですかい?」

火鍋「うーん――この出汁、薄くない?」

串串香「美味しいけど、随分と繊細な味よね。これこそ、桜の島の料理って感じだわ。」

 おでんは頷いた。

おでん「そうですねぃ。食材本来の味で食べる人を感動させ、その心をあたためる……それこそあたしのおでん……って、こほん! こほんこほん!! な。なんですか、それは?!」

火鍋「へへーん! マイ唐辛子だよー!」

串串香「ちょ、ちょっと火鍋!?」

火鍋「知らない店に行くときは、マイ唐辛子は必須でしょ!」

串串香「うぅん……それはどうかしら。」

火鍋「まだ足りない……まだまだ足りない……どんどんいれちゃうよー!!」

おでん「ご……ゴホゴホ……あの!」

串串香「ひ、火鍋、ちょっとストップ!」

火鍋「うん?」

 火鍋は手を止めたが、既にお椀の中は真っ赤に染まっていた。

 その様子に、おでんは目をつぶって、手で顔を遮った。

おでんおでんは……こほんこほん……! そのように食べるものではありません……!」

おでん「食材の……ゴホゴホ……! 本来の味を……コホン!」

火鍋「大丈夫? なんでそんなに咳き込んでるの?」

串串香「水を飲んで、落ち着いてちょうだい。この子ったら、もう……。」

 その言葉におでんは水を飲んだ。そして、長い溜息をついた。

串串香「店長さん、せっかくのおでんを、ごめんなさいね。」

おでん「……いえ、お客さんがおいしいと思えばそれいいです。来年には、辛口が好みのお客さんが好むおでんを開発しておきますね。」


4-7おでんの見識 

 水信玄餅がテーブルの前に座ると、おでんは熱いおでん一杯を運んできた。

水信玄餅「私は桜の島出身ですが、この通り自由が利かない身で……このお店のことはよく耳にしていたので、祝典に出店していると話を聞いてとても楽しみにしていました。」

おでん「いやいや! そんな、大したモンじゃあありません! いたって普通のおでん屋ですって」

水信玄餅「料理の腕は勿論、お客様のことも熟知しておられる様子で……観察眼に優れているのですね。そう聞きました。」

おでん「勘弁したってください……あたしゃ、自分の話よりもお客さんの話を聞きたいですよ。おまえさん、最近、何かありましたか? 随分と暗い顔で店に入ってきたんでね、ちょっと気になりました。」

 そう促され、水信玄餅は息を呑んだ。おでんは目の前で優しく微笑んでいる。その顔に安堵を覚えたのか、水信玄餅はゆっくりと話し始めた。

水信玄餅「最近……という訳でもないのですが。私は周りの者を不幸にしてしまう存在のようです。前の御侍様も、それで亡くなってしまいました。」

水信玄餅「私の周りにいる人は、皆いい人なのです。それなのに、私に関わってしまったために皆不幸になってしまう……。」

 うなだれる水信玄餅に、おでんは軽やかに笑った。その態度にムッとして、水信玄餅は上目遣いにおでんを睨んだ。

水信玄餅「……信じてませんね? 私の友達もそう言いました。そんなのは私の思い込みだって。けれど……!」

おでん「いえいえ、そういうことじゃありませんよ。お前さん、自分で言ったじゃないですか。周りにはいい人ばっかりいるって。」

おでん「ろくでなしの傍に、良い者たちは集いませんよ。だからお前さんは、ろくでなしなんかじゃあありません。わかりますか?」

 水信玄餅は驚いて目を見開いた。

 その時――勢いよくお店の扉が開かれた。

桜餅水信玄餅っ! ここにいたんだね! そろそろ花火大会が始まるよ!」

猫まんま流しそうめんたこ焼きを誘ってくるそうですよ。早く行きましょう。」

おでん「ほら、沈んだ顔はもう終わりでさぁ。おでんは包んで差し上げます。みんなこれつつきながら花火を楽しむといいですよ。」

 三人はおでんにお辞儀をして去っていった。その様子を見て、おでんは柔らかく微笑んだ。

水信玄餅「……あ、あの……その、ありがとうございます……。」

おでん「友だちがいるあの子は、きっと大丈夫でしょう。さて、次のお客さんのために、おでんを追加しましょうかね……。」


4-8祝福のお面

お好み焼きは激しいスピードで走っていた。

おでんの店まであと百メートルくらいのところまで来たので、お好み焼きは立ち止まる。そして息と身なり整えて、しずしずとおでん屋に入っていった。

お好み焼き「コホン!」

おでん「おや、また戻ってきたんですかい? 何か探し物をしているんでは?」

お好み焼き「見つかったんよ!」

おでん「それはよかったですわ。納豆も安心して祭典を回れるでしょう……では、何か食べていきますか? 豆腐はまだありますよ。」

お好み焼き「いいの! ちょっと通りかかっただけだから! それより……あの、ちょっとこっちに来てくんない?」

おでん「……なんです?」

お好み焼き「はい、これ!」

お好み焼きは、手に持っていたお面をおでんに押し付けた。

お好み焼き「あげる! じゃあまた!」

おでん「え……っと、これはいったい?」

お好み焼き「それは好運を呼ぶお面! 結構効果あるらしいよ? だから、かぶってなよね!」

おでんは手に持っているお面を撫でて、ひっそりと笑った。

おでん「困ったお嬢さんだ……フフッ。」


4-9危険な食霊

 ブラッディ―マリーは身を縮こまらせて、美味しそうな匂いのする暖簾を押しのけ、店の中へと入っていった。

ブラッディマリー「はぁ……ここはあたたかいですね。」

おでん「おや、いらっしゃい。お兄さん、何にしやしょ?」

 ブラッディ―マリーは身を縮こまらせて、美味しそうな匂いのする暖簾を押しのけ、店の中へと入っていった。

ブラッディマリー「ちょっと疲れてしまいましてね……ここで休ませてください。ふぅ……。」

おでん「わわっ、お客さん!? ……仕方ないですね、お茶でも飲んで体をあっためておくれ。」

おでんは小さく嘆息し、熱いお茶を注いだ湯飲みを出した。ブラッディ―マリーはそれを受け取り、ゆっくりと飲み始める。

ブラッディ―メアリーは、隅の席を陣取って、お茶を一杯飲む。そして満足気に頷いて、そっと店を後にした。

それから暫くして――店のドアがガラリと空いた。

プレッツェル「店主よ、今日この男を見かけなかったか?」

プレッツェルは、手に持った肖像画を男に見せる。

その肖像画を見たおでんは苦笑して言った。

おでん「ああ、ついさっきまでそこでお茶を飲んでいましたが――もう出ていってしまったようですね。」

プレッツェル「……そうですか。あの男は危険です。またここに来ることがあれば、十分に気を付けて対処してください。」

 お辞儀をして出て行くプレッツェルを見送って、おでんは小さく頷いた。

おでん「ふむ、危ない……ですか。さて、どうなんでしょうね?」

 おでんは面白いふたりだ、と思わず笑ってしまったのだった。


4-10密談

おでんの店で、土瓶蒸しはお酒を置いて、興味深そうに佛跳墻を見ている。

土瓶蒸し「へぇ~! 今晩のあの花火も君の商品なの?」

佛跳牆「ああ、そうだ。」

土瓶蒸し「ふむ――素晴らしい!皇都のイベントも花火で終わったら良いのですが……」

佛跳牆「ほぉ?君は花火に興味があるのか?」

土瓶蒸し「はい、是非とも桜の島で打ち上げられた様子を見たいですね。」

佛跳牆「それはそれは。うちの花火は、ティアラ1です。皆さんを失望させない、立派な花火です。」

土瓶蒸し「……でも、あんな大きなものが海を越えるって厳しいのでは?」

佛跳牆「うちの船なら、問題はないですね。」

佛跳墻は人差し指でテーブルを叩くと、爪の先が辺り、歯切れのよい音が響く。

佛跳牆「だが、現在の桜の島の状況で、商品を運ぶことができるのか……?それが問題になってます。」

土瓶蒸し「ふむふむ、なるほど。それが問題なのでしたら、私が協力できそうですよ。その件、是非とも私にお任せを。」

その言葉を聞き、佛跳墻の顔が明るくなる。ふたりはフッと笑い合い、盃を手に乾杯をした。

土瓶蒸し「なにとぞよろしくお願いしますわ。」

佛跳牆「こちらこそ、よろしくお願いします。」

創世日祭典・ストーリー・サブ花火大会

花火大会

5-1忠告

 黄山毛峰茶が店の入口に立っていると、そこに見知った姿が目に入った。

 重陽糕は目の前に払子が現れて、そこでやっと自分が黄山毛峰茶のやっている占い店の前に来たことに気がつく。

 彼女に目には笑顔の黄山毛峰茶とその後ろにはためく旗が見えた。そこには「騙しなし」の文字――すべてが胡散臭い、と重陽糕は眉を顰めた。

黄山毛峰茶「おやおや、重陽糕ではありませんか!本日最初のお客さんですね!いやぁ、おめでとうございます!」

重陽糕「そうだと思ったぞ。」

黄山毛峰茶「コホン!おいしい飯には待つ価値があり、有名になるのに主張はいらない……そんな貧道の当たると大評判の占い!今回は友人のよしみで、特別に無料で占ってあげましょう、如何?」

 重陽糕の返事を待たずに、黄山毛峰茶は占いテーブルに重陽糕を案内する。そして三枚のコインをテーブルの上へ投げる。

重陽糕「……これは、どういう意味?」

黄山毛峰茶「友に会え、福出ずべし、向吉。ふむ、吉だな!」

重陽糕「どういうこと?」

黄山毛峰茶重陽糕、今日から自分を変えるとよい。制限を取り払って行動したら……きっといいことがあるぞ?」

重陽糕「制限を……? それは、吉凶を告げろってこと? 無理だ、わしはもう吉凶は告げないと自分に誓ったからな。」

黄山毛峰茶「まぁ、どうするかは君次第だ。貧道は占いの結果をただ伝えたのみだ。」

重陽糕「素敵な占いをどうもありがとう。そのお礼に、特別にわしは制限を取り払って、お返しをしてあげよう。」

黄山毛峰茶「お返し?」

重陽糕「今日は発する言葉に気を付けると良いぞ?」

黄山毛峰茶「フッ……喋ることは貧道の仕事である。その忠言は聞けぬな。その吉凶、信じぬ、信じぬ!」


5-2レシピ

 モクセイケーキは、占い屋の前に備え付けられた椅子に腰掛けて、ひとり本を読んでいる。スイーツ街に行くために、重陽糕と待ち合わせをしていたからだ。

モクセイケーキ重陽糕、遅いわね、本が読み終わってしまうわ。」

 本にはたこ焼き麻婆豆腐のレシピが載っていて、とても美味しそうだった。そのとき店の前の扉が開き、黄山毛峰茶が出てくる。

黄山毛峰茶「『The Secret of the Lip~ティアラ大陸☆最強☆料理大全~』? ふむ……おぬし、何を作るつもりだ?」

 その声に、ビクンと背を伸ばし、モクセイケーキは勢いよく顔をあげる。

モクセイケーキ「あ、貴方には関係ないでしょ!! あっち行ってよ!」

黄山毛峰茶「貧道に好き嫌いはないのでな。何を作ってもらっても美味しくいただくぞ?」

モクセイケーキ「だ、誰が貴方に作ると!? うぬぼれないで! ああ、もう! 重陽糕ったら遅いんだから! 探しに行きましょう……貴方の相手をしているより、よほど建設的ですからね!!」

 モクセイケーキは真っ赤な顔をして、早足でその場を去った。黄山毛峰茶は、そんなモクセイケーキに肩を竦めるも、柔らかな笑みを浮かべて店の中へと戻っていった。


5-3思うままに

ミルフィーユ「ん――ここは何だ?」

黄山毛峰茶「やあやあ、お兄さんは随分と度量が大きいようだ! だが、眉根に憂鬱が漂っている。さては、何か悩みでもあるのでは?」

ミルフィーユ「おお! 何故知っている? いや言わなくていい……もしかして、君はさっきの人が言っていた、騙された女の子に追い払われた道士じゃないか?」

黄山毛峰茶「こほんこほん! 天道無常、それは不幸な事故でしょう。なんといっても貧道の占いはいつも当たると大評判! この旗に書かれている通り、『騙しなし』だ!」

ミルフィーユ「よくわからんが、悪い評判については聞かなかったことにしてやろう。で? 私が何を悩んでるって? 言ってみたまえ。」

 黄山毛峰茶は両目を閉じて、片手で指を折って数えて、口を開いた。

黄山毛峰茶「お兄さんは『パステル・デ・ナタのところ以外、うまいデザートがないな?』と思っている。」

ミルフィーユ「ん??? 何で知っている!!! やっぱり偽物じゃなくて本物だったのか!?」

黄山毛峰茶「疑うのなら、もう一回占ってあげましょうか?」

黄山毛峰茶(まぁ先ほどの言葉は、本人が呟いている聞いただけなのだがね)

ミルフィーユ「おお、頼む! 先生、お願いだ。どうしたらいいんだ?」

黄山毛峰茶「……ふむ、迷う時は心に従うべきだ。北へ向かおう。あそこに災いが降りかかるかもしれん。だがだぶん君が間に合って、その災いを解消できるかもしれない。」

ミルフィーユ「北? 私はそこから来たんだぞ? デザート街に戻れってことか?」

黄山毛峰茶「心に従うことだ。行きなさい。行けばわかるからな。」

 自信満々に告げた男に、どこか疑惑を抱きつつも、ミルフィーユは半信半疑で引き返した。


5-4解けない運命

ポップコーン「君さ、さっきのフリーフォールで目をつぶってたよね!」

サンドイッチ「つぶってない! 変な言いがかりはつけないでくれ!」

ポップコーン「二回つぶってたぞ!はっきり見たんだからな!」

サンドイッチ「だったら何だよ!?」

ポップコーン「ぼくの価値だ。今度御侍と一緒に映画を見に行くのが僕だぞ!」

サンドイッチ「勝手なこと言うな!御侍さまはおまえなんか相手にしない!」

黄山毛峰茶「こらこら、店の前で喧嘩するんじゃない……!なんの矛盾もない……一卦では解決できないぞ。そうなると二卦だな。」

サンドイッチ「こいつのせいで、忘れるところだった。道士さん、聞きたいことがある。」

ポップコーン「あ、僕もあるぞ。道士さん、こいつのことをほっといて、まず僕のことを占ってくれっ!」

サンドイッチ「お前なぁ……!」

 ファイティングポーズをとったふたりに、店の安全を考えて、黄山毛峰茶は払子を振って、二人を止めた。

黄山毛峰茶「よしでは、同時に占ってやろう!占ってほしいことを言うのだ。」

ポップコーン「レストランのスタッフになって、三日間でずっとアルバイトして休めないって夢を見た。」

サンドイッチ「レストランのスタッフになって、三日間でずっとアルバイトして休めないって夢を見た。」

ポップコーン「なんで俺の真似をする!」

サンドイッチ「なんで俺の真似をする!」

 黄山毛峰茶は頬杖をついてじっと考え込んだ。ポップコーンサンドイッチは期待満々に彼を見ている。

黄山毛峰茶「解決策はないな。これは今後も起こるだろう。諦めて受け入れるといい。」

ポップコーン「えっ???やだよ~!!」


5-5果てない道

 バター茶は優雅に占いブースに入ってきた。そして、手に握っているマニ車を動かす。それは、とても爽やかな音がした。

黄山毛峰茶「この大師は風格が違うな。ふむ、今日は占いをしに来たのか?」

バター茶「ええ。愚僧は初めてこのお祭りに参加します。そこで、滅多に会えない道士さんの占いを体験しに参りました。」

黄山毛峰茶「そんな、うちはその辺にいる一介の占い師ですよ。」

バター茶「でしたら、愚僧も決して大師などではありません。一人の僧侶にすぎませんよ。」

 このやり取りに、たまらず黄山毛峰茶は眉をひそめた。

黄山毛峰茶「えぇと……君は、人を探しているのでは?」

 バター茶はその言葉を聞いて、一瞬呆けるも、すぐにうつむいてしまう。彼の目に宿る寂しさに黄山毛峰茶の心が動かされた。

バター茶「よくわかりましたね。その通りです。けれど、全く手がかりがありません。」

黄山毛峰茶「それでも君は探し続けるのか?」

バター茶「成り行きに任せようと思っています。もちろん見つかったら良いでですけど、見つからなくてもそれが運命でしょう。」

黄山毛峰茶「それは果てしない道だ。」

バター茶「終わりのある道など、どこにもないですよ。後悔はしませんよ。」


5-6迷子の少女 

 飾り提灯が風で揺れている。人々の歓声が高まった。祝典のお祭りはこの夏に騒ぎと喜びをもたらした。人並みの中、ライスは踊りのステップを思い出しながら、お祭りの高楼へ歩いている。

ライス「え? 甘酒団子?」

甘酒団子「あうう〜!」

ライス「えっ! 泣かないで〜!」

 甘酒団子は唇をかんで、鼻をヒクヒクさせる。そしてライスを見て涙を溢れさせる。

ライス「どうして一人でいるの? 紹興酒は一緒じゃないの?」

ライスが言い終わらないうちに、甘酒団子は泣きそうになった。

甘酒団子「しょ……紹興酒兄さんがいなくなった……」

甘酒団子「あうう〜!」

ライス「大丈夫! 甘酒団子、泣かないで! わたしが一緒にいるよ!」

ライス紹興酒のとこまで連れていくね。」

甘酒団子「……うん。」

 甘酒団子を抱き上げて、ライスは慰めながら、彼女の背中を撫でている。だんだん二人は川沿いに着いた。

紹興酒甘酒団子! どこにいるんだ、甘酒団子?!」

紹興酒「どけ! あ……わりぃ! ちょっと通るぞ。」

紹興酒甘酒団子?! よかったぜ、見つかった……。」

甘酒団子紹興酒兄さん!! よかったぁ、また会えた……!」

ライス「わ! ふたりとも焦らず、ゆっくりしていってね!」

紹興酒甘酒団子、びっくりした……。」

甘酒団子「あうう……ご、ごめんなさい――」

紹興酒「いや、無事でよかった……安心したぜ。これでゆっくり花火が見られるな!」


5-7川の幽霊 

 さんまの塩焼きすき焼きは花火大会の会場へ向かって、川沿いで散歩をしていた。

 ここは人がまばらで、わずかな足音と声しか聞こえない。

 この時、妙な笑い声が響いてきた。何事かとすき焼きは首をかしげる。

すき焼き「……さんまの塩焼き、君が笑っているのか?」

さんまの塩焼き「いいえ。」

すき焼き「……ここは怪しいな。早く離れた方がいいね。」

さんまの塩焼き「そうだな。」

 ふたりは、逃げるように足を速めてその場から去っていった。

 それからすぐに、笑い声の主が姿をあらわした。それはふぐの白子だった。

ふぐの白子「ふふ……うふふ……。」

キャビア「白子……この服、そんなにおかしい……?」

ふぐの白子「……うん……すごくおかしい。あはは……! あーもう駄目! ごめんねぇ……!」

キャビア「……そんなにおかしいんだ?」

キャビア「そうか、服の選択を間違ったかな?」

ふぐの白子「いや、おかしいけどさ、よく似合ってるよ。うん、私……かなり好きだ。今回の祭典ではずっとその格好でいてね、ふふふ……!!」


5-8コーヒーと花火

 街の喧騒をバックに、チョコレートは祝典でコーヒーが営む店へとやってきた。

チョコレートモカをひとつ。」

 流れるようにカウンターに座ったチョコレートに、コーヒーは一瞬驚いた顔をするも、すぐに注文の用意を進めた。

コーヒー「お待たせしました。」

チョコレート「ありがとう。」

コーヒー「そろそろ花火があがる時間だが、こんなところにいていいのか?」

コーヒー「サタンカフェのお茶はいつでも飲めるが、今日あがるような花火はそうそう見れないですよ。」

コーヒー「今日の花火大会はさぞかし素晴らしいでしょうね。」

コーヒー「グルイラオの花火は、少々物足りないですから。」

チョコレート「ああ、俺もそう思うよ。」

 チョコレートは一口、コーヒーを飲む。そして、しみじみと溜息をついてコーヒーを見た。

コーヒー「だったら、早く行くといい。今からなら間に合うだろう。君と花火を見たい女性はたくさんいるらろうしね。」

チョコレート「フッ――」

 チョコレートは軽く笑って、コーヒーを見上げる。

チョコレート「君の言う通り、ここの花火は特別だ。それは間違いない。」

チョコレート「だが、それだけじゃ物足りない。せっかくならもっと贅沢をしたくなった。」

チョコレート「ここでお前の入れたコーヒーをを飲みながらでも花火は見られるだろう?」

チョコレート「それこそ、最高の贅沢だと思ってね。どうかな? 友よ。」


5-9母をたずねて三千里?!

 もう少しで花火が始まる。皆、河原のほとりで花火が打ちあがるのを待っていた。

 広場を見渡せる貸し切りの個室で、佛跳墻は葉巻の香りを楽しんでいた。

部下「そろそろ時間ですよ、佛跳墻さん。」

佛跳牆「あと五分待て。」

部下「でも、開始時間に遅れてしまいます。この花火大会は、景安商会にとって重要な仕事でしたよね?」

佛跳牆「五分程度遅れたところで、大した問題にはならん。また海神祭りみたいな邪魔が入るのだけは勘弁願いたいからな。」

部下「ハッ! 承知いたしました。」

麻婆豆腐「……佛跳牆! 待たせたわね! とりあえず、広場に怪しい奴はいないみたいよ。」

 部屋に入ってきた麻婆豆腐がそう告げたのを聞き、佛跳墻は部下に指示を出すために立ち上がる。そのとき、麻婆豆腐の背後に見知らぬ少女が顔を覗かせているのに気が付いた。

佛跳牆「……ん? 誰だ、その子は。」

佛跳牆に声を掛けられ、少女はパッと表情を華やがせた。

涼蝦(リャン・シャ)「お母さん……っ! ここにいたんだねっ!」

突然の言葉に、佛跳墻は思わず咳込んでしまう――誰が『お母さん』だって?

麻婆豆腐「えっと……彼女は涼蝦(リャン・シャ)っていうの。お母さんを探してて迷子になっちゃったらしくて連れてきたんだけど……。」

そんな説明をしている麻婆豆腐を余所に、部下が勢いよく立ち上がる。佛跳墻が咳込んだのを、花火大会開始の合図と受け取ったようだ。叫びながら外へと飛び出していく。

部下「おーい! 花火の打ち上げを開始するぞー!」

それから数分後、花火が空に打ちあがった。先ほどの咳払いは開始の合図ではなかったが結果オーライである。佛跳墻は溜息をついて、笑いながら花火を見ている麻婆豆腐たちと共に見上げた――


5-10HappyEnding!! 

 花火大会の隣りにある高楼に、ふたつの影があった。

暴飲王子「うー! 本格的なおでんをごちそうするつもりだったのに! ああ惜しい惜しい! あれは君の故郷の味だったのに!」

蛇君「もう光耀大陸に来たし、味覚の懐かしさにこだわる必要がないよ。こっちのお料理も新鮮だしね。」

暴飲王子「まあ、そう考えても悪くない。っていうかさ、本当に怒っていない? 大好きなお面をなくしたんだよ!」

蛇君「怒って役に立つなら、お面はとっくにみつかってるでしょうね。」

暴飲王子「わっ??? やっぱり怒ってるじゃん!!!」

 暴飲王子は悩み悶えて髪をかき乱した。

暴飲王子「くそ、桜の島に帰る前に、絶対それよりいいお面を見つけてあげるからな!」

 暴飲王子は胸を叩いて、天に誓った。この時、誰も気づかなかったが一縷の白雲が空から彼の袖に入った。

 パカッと音がして、美しいお面がひとつ落ちた。それは光輝いている。

暴飲王子「え??? お面???? これは君が貸してくれたやつだ!」

蛇君「……一日中探してたんだっけ? 実は酔っ払って袖に入れてたの忘れただけでは?」

暴飲王子「まさか! そんなわたしはバカじゃないぞ!」

蛇君「いやいや、どっからどう見ても、君はただのバカだ。」

暴飲王子「ちょっとー!? 知ってるか、蛇君! バカっていうほうがバカなんだぞ! だから蛇君もバカだ! 私とお揃いだな、フン!!」

食霊からの手紙

創世日祭典・ストーリー・手紙


食霊からの手紙

ライス

親愛なる御侍様


御侍様、いよいよ、 創世の祝典がはじまりました!


みんないつも通りだけど、でもとってもワクワクしてる。

えへへ、もちろんライスも同じだよ!


御侍様、創世の祝典ってどんなお祭りなんだろうね


私は初めて行くからとっても楽しみだよ!

御侍様は行ったことあるのかな……?

きっととっても賑やかなんだよね?


御侍様と会場でいろんな食べ物を食べたり、 催しものを見たり、出店で遊んだり……楽しいことがいっぱい!!


夜には花火も見られるって聞いたよ!

御侍様といっしょに見る花火は、とっても綺麗だろうなぁ〜♪


ライスより

北京ダック

拝啓


ご機嫌よう、御侍様。

お変わりなくお過ごしでしょうか?

北京ダックでございます。


創世の祝典がすでに開催されました。

吾と竹煙質屋の面々も祭りに参加を予定しております。


たまにはお祭りを全力で楽しもう、 と部下たちに言われまして……吾も重い腰をあげました。


こうした息抜きもたまには悪くないでしょう。

会場で、御侍様にお会いできるのを楽しみにしています。


敬具

コーヒー

Dear御侍さん


御侍さんは今年のティアラ創世の祝典に参加する予定はありますでしょうか?


私たちサタンカフェのメンバーは、祝典の数日前には光耀大陸へと向かい、ティアラあげての祭りを満

喫する予定です。


この祝曲では我がサタンカフェのパティシエであるパステル・デ・ナタが腕を振るう予定があります。


ミルク紅茶は屋台をいろいろ巡るんだ、と日々楽しそうに話しています。

ティラミスクレープマカロンも一緒になってはしゃいでおります。


バッタリと会場で御侍さんと会うかもしれませんね。

そのときは是非、彼女たちに声をかけてください。


私ですか?

少し祭りの気分を楽しみつつ、ホテルでひとり、のんびりと本でも読もうと思っています。


そんなひとときを想像しながら、ひとり御侍さんのことを思い出し、こうして手紙を綴っております。


チョコレートは今仕事で出ておりますが、祝典当日には、光耀大陸で合流予定です。


チョコレートも御侍さんと会えるのを楽しみにしていましたよ。


サタンカフェ以外で御侍さんと過ごせる時間を、私筆頭に、メンバー一同、楽しみにしています。


では、この辺で。

愛する御侍さんへ。

コーヒーより

さんまの塩焼き

御侍へ


ティアラの創世の祝典まであと少し……、


なかなか桜の島から……というよりも、そもそも鳥居私塾を留守にすることがほぼなかった僕にとって、光耀大陸まで出ていくということがかなりの珍しい事象で、今から当日が楽しみだ。


ここ光耀大陸は、桜の島とはまた違った美しさがある。


……似ているようで似ていない。

やはり、その土地土地で良き風習と特徴がある。


今回はかなりの大所帯での移動で、桜餅いちご大福たい焼きどら焼き刺身猫まんま水信玄餅流しそうめんたちと共に行くことになってる。


そうそう、水信玄餅によく手紙をくれるうな丼菱餅柏餅という友達と共にここに来ると聞いた。


御侍は彼らを知っている?


水信玄餅流しそうめん猫まんまは言葉にはしませんが彼らとの再会を心待ちにしているようだった。


そこに御侍が来たら、 盛り上がるだろうね。

御侍との再会、心待ちにしてる。


さんまの塩焼きより

すき焼き

御侍様へ


ティアラ創世の祝典。

お前は行くのかな。

行くなら一緒に行こうって誘いの手紙だ。

ま、忙しいだろうし、無理はしないでいいよ。


この祭りはもともと鳥居私塾の奴らと一緒に行くつもりだった。

でもさんまの塩焼きが「人数が多いから」って別々になった。

まあ、確かに紅葉小舎も人数が多いからな。

そういえば、お前はうちの旅館に来たことあったっけ。


みんな紅葉の館だの 紅葉館だの好き勝手呼んでる旅館だから、すくにうちの旅館の名前を思い出せな

いかもしれないな。


まあ、名前なんてどうでもいい。

お前も好きに呼んだらいい。

それ以前に、お前はもっとうちの旅館に来てもいいと思うけどね。


俺としてはこの祝典で、従業員に珍しく休みをあげられて良かったと思ってる。

全員連れて行ける訳じゃないけどさ。


うどん、お茶漬け、寿司、 ざるそば、天ぷら味噌汁は一緒に行くよ。


あいつらは騒がしくしてるから会場ですぐに見つかるんじゃないか?


夜になったら俺のところに来るといい。

一緒にうまい酒を飲もう。

光耀大陸のいい地酒を手に入れる手配をした。

月を見ながら一緒に酒盛りしよう。

待ってるよ、俺の御侍様。


すき焼きより

ボルシチ

Dear御侍様


御侍様、突然のお手紙を失礼します。


私はディーゼ旅館から、御侍様宛のこの手紙を書いています。


改めてお手紙を出すのは、とてもくすぐったい感じですが、同時にとても新鮮で嬉しい気分です。


さて。

もうティアラ創世の祝典がもうすぐ始まりますね。


私たち、ディーゼ旅館の面々も参戦予定です。

パスタもとても張り切っています。

ミネラルオイスターを楽しませるために、って理由をつけているけれど、本当は彼自身がとても楽しみ

にしているみたい。


他にも、シュールストレミングブラッドソーセージスターゲイジーパイキルシュトルテまで勢ぞろいで出かけることになりそうです。

なかなか大変なお祭りになりそう。


そうそう、B-52も仲間と一緒に創世の祝典に行くようです。


彼は少し前までうちにいたんですが、今はミルフィーユのところにいるらしいです。


そう、あのパスタとは険悪の中のミルフィーユだって……。


ここではいろいろあったけれど、ミルフィーユと彼の執事のブラウニーとは仲良くやってるみたい。


私は彼にそうした場を提供してあげられなかったから、彼がミルフィーユたちと仲良さそうにしている

って聞いて、その様子を見られてホッとしたわ。


光耀大陸では楽しい催しがたくさんあるみたい。

美味しいお茶やお酒が飲めるお店もたくさんあるって聞きました!

御侍様と一緒に飲めたら嬉しく思います。


貴方がふらりと、私たちのところに現れてくれますように。


ボルシチより

ワンタン 

御侍殿


元気にしてるか?


きみは滅多に忘憂舎にはきてくれないからな。

こうしてわざわざ手紙を送ってみることにした。


今もここは賑やかだ。

亀苓膏は庭園の世話をしながら、 忘憂舎に住む者や

彼が認めた者たちにうまい料理を振舞っている。


きみは亀苓膏の料理を食べたことがあったっけ?

彼はまた腕をあげたよ。

あの廬山雲霧茶も領かせるほどの料理を作る。


西湖酢魚の歌声は相変わらず美しい。


小龍包とカニみそ小龍包も仲良くやってる。

みんなでティアラ創世の祝典に行くのを楽しみにしているよ。


お屠蘇臘八粥よもぎ団子たちは毎日祭りで大騒ぎだ。


いろいろ楽しい催しがあるようだ。

私は夜になったら少し街の様子を見て回る。

亀苓膏をからかいながら見てまわる祭りは、さぞや楽しいだろう。


では、この辺で。

きみとの再会はいつだって歓迎だ。

鈍魂だって喜ぶだろうしね。


ティアラ創世の祝典で、 きみと会えることを楽しみにしている。


ワンタンより

ジンジャーブレッド 

御侍へ


お疲れ様、ジンジャーブレッドだ。

手紙なんてわざわざ書くの、 ちょっと照れ臭いね。


御侍もティアラをあげての祝典に行く予定だったりする?

いつも思うよ、バカみたいにでっかい祭りだってさ。


みんな日常生活どうしちゃったんだよってくらい、

どいつもこいつも遊びに来てやがる。


どうやらブラッディーマリーも来るらしい。

なんとか会わないようにしないとね。

祝典会場は広いし人も多いから、 たぶん大丈夫だろうけど……やっぱ ちょっと心配だ。


祝典には法王庁の奴らも来るらしい。

だから、そこまで心配してないけどね。

どっちにしろ、気を引き締めておくつもり。


そうそう、御侍はハンバーガーコーラを知ってる?


ビーフステーキの知り合いなんだけどさ、祝典で催しに参加するらしいよ


御侍も絶対見た方がいい。

彼らのショーはダイナミックだ。

何度見ても飽きないよ。


あんたも忙しいだろうけどな。

たまには……そういうの、一緒に見れたら楽しいだろうね。


そんな話はいいや。

あと三回寝たら創世の祝典が始まる。


こうして待っている間がいちばん楽しいんだよね。

始まったら……あとは終わるだけだ。


ジンジャーブレッドより

プリン

御侍様へ


こんにちは、プリンです。


こうして御侍様に手紙を綴る日が来ようとは思っていませんでした。

それほどこのティアラ創世の祝典は特別なお祭りということでしょう。


このお祭りで、ゼリーマンゴープリンと共に舞台に立ち、歌を披露することになっています。


彼女の歌はたくさんの方の胸に届き、拍手喝采を浴びることでしょう。

私も、今から楽しみです。


御侍様も彼女の歌を聞きにきませんか?

もしお聞きになっていたら、 ゼリーに一言感想を伝えてあげてください。

彼女もきっと喜ぶでしょう。


ああ、あのオム……とかいう食霊も行くらしいです。


いえ、一緒には行きません。

オレンジジュースとそのような話をしているのを間いただけです。

ああして他の者と接しているときは落ち着いているのに、どうしてゼリーのこととなると彼はあそこま

で様子がおかしくなるのでしょう。


何かあってからでは遅いので、 私も気が抜けません。

ゼリーには、歌うことに集中してほしいですからね。


失礼しました。

ゼリーのファンの話などここに書く必要はありませんでした。

紙面の無駄遣いはよくありません。


御侍様も忙しいでしょうが、祝典で一緒に花火を見られたら嬉しく思います。


この祝典が御侍様にとって楽しいものになりますように。


プリンより

獅子頭

Dear 御侍様


御侍様、こんにちは! 獅子頭だよ!

御侍様に手紙を出すのは初めてだよね。

ちょっとだけ緊張してるんだ……。


ティアラ創世の祝典がもうすぐ始まるよ!

僕たち景安商会も参加予定だよ!


でもね、佛跳牆は行かないって言ってるんだ。

仕事があるってさ。


そりゃあみんなでお祭り騒ぎって訳にはいかないのもわかってるんだけど。

僕たちのことは麻婆豆腐に頼んでるから大丈夫って言ってた。


麻婆豆腐は「ああいう人だから仕方ない」って言ってたけど……うううん!


だから僕、みんなに相談したんだ。

叫化鶏松鼠桂魚、年獣も協力してくれるって言ってくれた。


なんとしても佛跳牆にもお祭りを楽しんでもらおうって思ってる!

良かったら御侍様も協力してくれたら嬉しいな。


祝典会場についたら連絡をちょうだい。

僕たち、迎えに行くからさ!


当日は餃子と湯園、 ちまき月餅も来るって聞いてる。

きっと、すっごく賑やかになるよ!


それじゃあこの辺で。

御侍様に会えるの、楽しみにしてるね!


獅子頭より

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コメント (創世日祭典・ストーリー)
  • 総コメント数3
  • 最終投稿日時 2019年10月11日 22:47
    • 柚子ソラ
    3
    2019年10月11日 22:47 ID:igy5qhxf

    承知しました!

    >>3

    • 黒豆@副管理人
    2
    2019年10月11日 17:37 ID:srkeuuz5

    >>1

    開き次第だといつ着手かわからないので、着手日を仮で記入しておいて3日超えそうなら新しい日付に書き換えお願いしますー!

    • 柚子ソラ
    1
    2019年10月11日 16:55 ID:igy5qhxf

    月見祭『ボスの商売』開き次第着手…ってありです?

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