【白猫】ルーグ(Brave The LionⅢ)・思い出
呪われし両腕 ルーグ・シェプ・イル CV:真殿光昭 禁呪を両腕に宿す男。 己の正義を貫く。 |
~Brave The Lion 3 後日談~
思い出1
ただいま。
おかえりなさい!
ふう……やっぱり<我が家>が一番落ち着くわね……
長旅お疲れ様です、カティア様。コーヒー滝れておきましたよ。
あら、気がきくじゃないヨシュア。ついでに肩も揉んでもらおうかしら。
はい、カティア様!
……ここは平和だな。あの事件が嘘のようだ。
大変だったみたいですね……あ、ルーグさんもコーヒーどうそ。
俺はいい。そいつはユーリエに渡してくれ。
ユーリエさん?
ほうほう、この子たちか。なんとまあ……キラキラしとるのう。
こちらの方は?
カティアの先生だ。
えっ? 先生って……あたしたちと同じ年頃に見えるんですけど……
ほっほっほ。わしはこう見えてカティアよりもうーんと長生きしとるからのう。
えっと……それってつまり……
ヨシュア!手が止まってるわよ!
は、はい! カティア様!
もうお兄ちゃんったら……カティアさまの年齢のことは……
いーい、ヨシュア。肩が終わったら次は足裏よ。その次は頭皮マッサージをお願いね。
ええっ!?頭皮なんてやったことないですよ!
ほっほっほ。カティアが楽しそうに……実に幸せな光景じゃ。
それもこれも二人のおかげじゃて、ありがとうな。
そんな……お礼をいいたいのはあたしたちのほうで……
謙遜せんとお嬢ちゃん。まったく、可愛いのう。
あ、あのユーリエさん……抱きつくと、コーヒーが、こぼれちゃいま、す……
可愛いのう。可愛いのう。
…………
どうしたんじゃルーグ?むすっと両手を見つめて……もしやお主も、ミレイユちゃんに……
うずく。
なぬ?
今日のところはこれで失礼する。
も、もうですか?
もっとゆっくりしていけば……
また来る。
……気をつけて帰りなさいよ。
ああ。
***
俺の両腕は呪われている。
いずれ俺は、大切な人を傷つける。
思い出2
なんだあんた。みねえ顔だな?
俺はルーグだ。人を探している。
この街に、解呪を生業とする老婆がいると聞いたが。
あん?ああ……お婆のことか。そんならほれ、あそこで病気の犬を冶してら。
いぬ?
おうおう、こんなにも痩せて……すぐ元気にしてやるからのう。
くうん……
せやっ!!!
<老婆は犬の体に人差し指を突き立てた!>
わんわん♪
ほほほ、そんなに走りまわって……喜んでくれてなによりじゃ。
ほれ、飼い主のところにお帰んなさい。
わん!
…………
すげえだろ。体のツボを押して体内のソウルの流れを変えて健康にしてるとかなんとか……
そうか。試してみる。
っておい。
ん?なんじゃいあんちゃん……そ、その腕は!?
俺の腕は呪われている。冶してほしい。
し、しかしこれは……
頼む。こうしている間にも破壊衝動がこみあげてきている。
怖いこというのう……わかった、やってみる。その代わりじっとしとるんじゃぞ。
すまない。
えっと……呪いに効くツボは……ここらへんかのう……いや、もっと右かのう……
どうした?
最近、老眼か進んでな……まあ心配しなさんな、ここじゃ!
せやっ!!!
!?
…………
なにか変わったのか?
し、しもうた!間違えて<閉塞のツボ>を突いてしもうた!
どうなる?
そ、それは……
うお!?突風だ ちきしょう!ったく、カツラがずれちまうよ……
…………
なにやってんたあんちゃん?家にぴったりはりついて……
風に体を押さえつけられている。
はあ? この程度の風でなに言ってんだい?
やはりのう……
どういうことだ?
体が……衰えてしまったんじゃ。
思い出3
ふむ。つまり、おばあちゃんに変なツボを突かれて体が貧弱になってしまったと……
それでこのままたと禁呪が制御できなくなっちゃうから心身を鍛えに……
山ごもりをしにきた。
みんなをひきつれて?
悪かったわね、あんたたちも巻き込んで。サポートできる人間は多いほうがいいと思ったのよ。
俺は一人で平気だと言ったんたが。
強がり言わない。転んだだけで大怪我する体のくせに。
ふふ、カティアさまはルーグさんのことが心配なんですよ。
そんなんじゃないわよ!ほ、ほら、せっかくの助手候補に死なれると困るし……
素直じゃないんだから。
なんか言った?
い、いえ、なにも……
すまないみんな。恩にきる。
それじゃあ、修行開始といきましょうかね~。
キャトラがしきるんだ……
その前に食事をとりたい。今の体は、少し動いただけで空腹になる。
いきなり拍子抜けしちゃうわね……わかったわ!だったら私が料理を――
あたしが作りますね。
ちょっとミレイユ!それってどういう意味よ!
カティアさまの料理はその……変な薬をいれるから……
むっきィィィーーーッ!隠し味と言いなさい!
にぎやかでいいな。
***
いただきまーす♪
うん、美味しいわミレイユちゃん。
ありがとうごさいます。シチューは得意なんですよ。
ま、まあまあじゃない……でもカロリー計算がなってないわ。ブロッコリーは一人につき2個が妥当よ。
おい、ミレイユ。僕のシチュー、ほとんど具が入ってないよ……
…………
あれ?ルーグさん、どうして食べないんですか?
困った。
もしかして苦手な野菜が?
いや、皿が重くて持てない。
スプーンを持ち上げるだけで腕が震える。
まさかそこまで弱っていたとは……
大丈夫!あたしがルーグさんに食べさせてあげます!
あ、僕も手伝うよ!
助かる。
まずはまともに生活できるくらいにはならなきゃね……
ふん。あの子たち、ちょっとルーグに優しすぎよ。
あら、ヤキモチ?
そんなんじゃないわよ!ちゃっちゃと食べて修行よ修行!
ふふふ、は~い♪
思い出4
…………
<ルークが滝に打たれている。>
お兄ちゃん。釣れた?
ぜんっぜん。小魚一匹もかからない……もっと上流にいってみようか。
その必要はない。
えっ?ルーグさん!?
はあっ!!!
<ルーグは足元で跳ねた魚を素手で掴みとった。>
何匹欲しい?
すごい……
修行の成果だ。
この調子なら力を取り戻す日も近いですね。
いや、これは単純な動作にすぎない。やはり実践を積まなければ。
どうだヨシュア。俺と。
え、遠慮しておきます……
!!
あれは……野生の星たぬき?それにしてはなんだか……
<星たぬきが尻尾を構えた。>
ルーグさんに戦いを挑んでいるようですね。
キュ!
その構えはクンフーか。
ちょうどいい。手合わせ願おう。
ルーグさん……大丈夫かな……
まあ、相手は星たぬきだし……
ワチャッ!ホォゥワチャアッ!
ホォォーーーーーーーホワアチャァァァアアーーッ!!
キュキュ!キュキュキュキュキュ!キュキュウウゥゥゥーーーッ!!!
***
ただいま戻りました……
おかえりなさい。魚はとれたかしら?
すまない。己を過信していた。
どどど、どうしたのよルーグ!?傷だらけじゃない!
もしかして凶暴な魔獣に!?
いえ、これはその……
***
「アイヤー!見つけたアル!どこいってたネ!」
「キュ! キュッ!」
「アイヤー……なんか燃えてるアルネ。」
思い出5
…………
<ルーグが弓を構えている。>
貢く!
<ルーグの放った矢が大木に突き刺さった。>
わずかにそれたか。だが、成功率はあがっている。
…………
遅くなった。そろそろ帰らないと、みなが心配する。
<ルーグの周囲に並ぶ無数の木々。それらすべてには1000本を超える矢が突き刺さっていた。>
ん。
あれは、魔獣か。
ふんふふんふ~ん♪野イチゴがたくさん採れたわ~♪
まずいな。あの少女、魔獣が近くにいるのに気づいていない。
<ミノタウロスは少女の背後に迫り、斧を振りあげた。>
少女を救えるか。いや、かなり距離がある。
ここから矢で射抜くしかない。
<ルーグは弓を構えた。>
ほんとにもう! ルーグったらどこにいったのかしら……
あ、あそこ!?魔獣が女の子を襲ってるわ!
くっ。
<木の葉が悪戯に、ルーグの目の前を舞う。>
しかも、あっちにいるのルーグじゃない!?
弓矢……もしかしてあれで魔獣を……!
でも今のあいつじゃ……主人公。これはもうアレしかないわ!
風が止んだ。今だ。
はああああっ!
思い出6 (友情覚醒)
はああああっ!
<ミノタウロスの体にルーグの放った矢が突き刺さった!>
命中した。
きゃっ!?な、なに……
<少女の背後で、失神したミノタウロスがその巨体を地面に叩きつけた。>
倒しちゃったね……
おや、君たちか。どうした?
どうしたじゃないわよ……心配してきてやったのに。
そうか。ありがとう。
そんなことより。どうやって魔獣を倒したのよ?
ルーグさんの体は衰えてたんじゃ……
<閉塞のツボ>を矢で突いた。
それってつまり、アンタと同じ状態にしたってこと?
そうだ。体験してわかったが。このツボヘの攻撃は戦闘において非常に有効だ。
だからって狙ってできるもんなの……
死に物狂いで練習したからな。
…………
おかげで元の力を取り戻しつつある。
…………
なんか……ひとりで解決しちゃったわね……
いいじゃない。それだけルーグさんが頑張ったってことだよ。
なにかいけなかったか?
ううん、べつに。
***
すまない。
ななな、なによこれ!
<飛行島の至る所に大きな穴が空いている。>
まさか、禁呪が暴れて……
いや、俺は禁呪を完全に制御できるようになった。
じゃあどうして……
己の力を制御できなくなってしまった。
俺は衰えた体を補おうと、通常の100倍の修行をしていた。
そのため体が元に戻ったとき、力も100倍になっていた。
かんたんに100ばいっていうけども……
えっと……今度は強くなりすぎたってことですよね……
ああ。おかげでスプーンを持つたびに曲げてしまう。
そのことでよくカティアに怒られている。
……これはこれで、まともに生活できないわね。
それで俺は。しばらく怠けようと思う。
力を衰えさせる。
なんでよ?強いにこしたことはないじゃない。
強さは慢心を生み、慢心は隙を生む。いずれその隙を、禁呪はつけいる。
だから俺は緊張感を持つため、以前のように禁呪が暴れるギリギリを保つことにした。
あのねえ、そんなことしたら今までの苦労が……
無駄になったそのときは、また一から修行をはじめるさ。
まあ、そのほうがアンタらしいか……うん。
馬鹿正直にがんばりなさい!
ああ。
俺は決して悪に屈しない。俺自身に棲みつく、悪にもだ。
そして今度こそ、禁呪の力を俺のものにしてみせる。
大切な人を傷つけるのではなく、守るために。
禁呪を制する者 ルーグ・シェプ・イル
その他