叫化鶏・手紙

最終更新日時 : 2021/11/14 20:37

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最終更新者：miran

半分風雅

主人公名：

　ここに呼んでくれて、衣食住の用意までしてくれたこと、とても感謝している。ただ、オレは『叫化(きょうか)』と呼ばれると、嫌な過去を思い出すんだ。だから、このあだ名では呼ばれたくない。これだけは覚えておいてくれ。

　忙しいところ、迷惑をかけた。

虞山鶏

主人公名：

　アンタはオレの手紙の落款がとても気になるようだな。過去のことについては、本当は触れたくなかったのだが、アンタに認められる以上、オレも無関心でいられなく、お断りするわけにもいかない。

　オレは虞山に生まれ、化霊したころから出身にとらわれ、上品な場所に出せない。その後に「虞山鶏と一生付き合っても松江魚は一日も相手にしない」と有名になったとしても、「叫化(こじき)」という言葉から逃れられない。

　しかし、オレはこういう運命に縛られたくない。

虞山鶏

主人公名：

　オレのことを認めてくれてありがとう。

　いつか必ず柳のお嬢さんみたいに自分の力で他人の尊厳を勝ち取る。そう信じているが、アンタが褒めてくれることは……オレにとって、特別な意味があるんだ。

　泥殻から抜け出す日が、もうじき来るのかもな。

虞山鶏

主人公名：

　虞山の頂きに「拂水晴岩」という絶景がある。昔はよく旧友と一緒に散策したな。

　今でもはっきりと覚えている……花香橋を渡ると、晴れの日でも小雨に打たれるように感じるんだ。周りの塵は、綺麗に洗い流された気がする。

　もしアンタがそこに行ってみたいなら、連れて行ってやるよ。それで、旧友たちの墓参りをして、過去と決別する。そして……アンタと共に新しい未来を迎えよう。

花烏子

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