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ブルー・スタイン

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作成者: ゲストユーザー
最終更新者: ゲストユーザー


通常オールドフィクセイト

Illustrator:雅(まさ)


名前ブルースタイン
年齢不明
身分追放されし機械種
  • 2021年9月16日追加
  • PARADISE ep.VIマップ5(PARADISE LOST時点で455マス?/累計1475マス?)課題曲「X7124」クリアで入手。

イベントinclude:開催日(オリジナルNEW+)

  • 専用スキル「太古の青」を装備することで「ブルー・スタイン/オールドフィクセイト」へと名前とグラフィックが変化する。

ブルー・スタイン【 仮想世界編 / 地上編 】

いずこかより地上世界へと流れ着いてきた男。

かつて『太古の青』と呼ばれた存在であったようだが…?

スキル

RANKスキル
1オーバージャッジ
5
10
15太古の青

include:共通スキル


スキルinclude:オーバージャッジ


  • 太古の青 [CATASTROPHY] ※専用スキル
  • ボーダージャッジ・アルティメットがさらにハイリスクハイリターンになったもの。
    ノルマ達成不能となっても即座に強制終了とはならず、18~20秒の間隔が空く。
    最終盤であればそのまま完走は可能。
  • カウントが減少しない条件を英霊の魂のような記述にすると次のようになる。
    通常譜面であれば「JUSTICE以下が1.00%以下かつATTACK以下が0回」。
  • ATTACK1回で失点を100点以下に抑えるためには必要なノーツ数は5100ノーツ。通常譜面には5100ノーツ以上の譜面がないため、ATTACK以下を出すとカウントの減少が始まる。
  • MISS1回で失点を100点以下に抑えるために必要なノーツ数は10000ノーツ。WE譜面まで含めても10000ノーツ以上の譜面がない*1ため、MISSを出すとカウントの減少が始まる。
  • 譜面の長さが短い譜面ほど10カウントの割合が高くなるため、譜面分布を考慮しなければ有利。この場合、長さが偏った譜面の短い譜面が参考になる。
  • 完走が確定すればゲージ9本の可能性は高い。
  • ゲーム終了時のみのボーナスのため、終盤のMISSでもゲージ3本のときのダメージ(-540)になる。これは、1000ノーツの場合TAPによるMISS50個の許容となる*2
GRADE効果
初期値ゲーム終了時にボーナス +150000
1009900点以上が達成不能のとき
一定時間ごとにカウント [-1]
カウント[0]で強制終了
(※初期カウント10)
理論値:210000(10本+0/30k)

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ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
 
2122232425
スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY

EPISODE1 地上の光「現実の世界のなんと広大なことか……。この大地に、私は星の息吹を感じたのだ」

 ――わたしと同じ名前を持つあなた。あなたがいたから、今も世界は続いている――


 キシ、キシと。

 機械の身体を軋ませる男は、地平の果てに立ち並ぶ細長い塔を眺めていた。

 彼はふと口元に小さな笑みを浮かべる。

 あの構造体――電子の楽園の中で、無限にも思える悠久の時を眠りにつく人間たちは、まるで刑期を控えた煉獄の囚人のようであると。

 この広大な大地にあって、男にはその威容があまりにも寂しく映ったのだ。


 男がこの世界に辿り着いた時、世界は未だ再生の途上にあった。

 だからこそ男は彷徨い続けてきた。

 ひび割れた大地の中に萌ゆる新緑を。

 灰色の空の雲間から漏れた光を。

 天空を貫く程に隆起した山脈を。

 無窮の広がりを見せる砂漠を。

 この世界の在り方を、この眼に焼き付けるために。


 そして、これらのすべてが、人の手によって生み出されたものではなく、自然の手によって形作られてきたという事実に、いつしか男は虜になっていた。

 それと同時に、無上の喜びを感じてもいた。


 彼は、ふと懐から取り出した青い鉱石を懐かしそうに眺める。

 その視線は、どこか遠くの世界に想いを馳せるように穏やかなものだった。


 「太古の青<オールドブルー>、か。自らの意志で楽園を去り、力を失った私にはもはや名前などどうでもよいのだが――」


 その時、ふと頭にある考えがよぎる。

 それを確かめるように何度もうなずくと、誰にともなくつぶやいた。


 「そうだな、私には『ブルースタイン』の名が相応しかろう」


 この広い世界から見れば、自身など路傍の石ころのようなちっぽけな存在でしかないのだから。


 そして男は夢想する。

 見果てぬ大地の行末を。

 電子の楽園の結末を。

 ふたつの世界がどう交わり、どう変わっていくのか。

 それは――神の眼をもってしても分からない。

EPISODE2 所詮は夢幻の如く「メインフレームとネメシスの戦争。その果てに待つのは、滅びのみ」

 かつて、私が存在した電子の楽園『メタヴァース』は、とある日を境に混沌の時代へと突入した。


 ――秩序の王の死。


 楽園を欲しいままに支配してきた王が、人間とプログラムの融合を果たした少女たちの手によって討ち倒されたのだ。

 これにより均衡の崩れたメタヴァースは、長い周期に亘ってネメシスとの戦争にもつれ込んでいく。

 人間をも巻き込んだメインフレームとネメシスとの争いは、やがてこの楽園の行末を揺るがしかねない事態にまで発展していったのだ。

 私を取り巻く環境に変化が訪れたのは、言うまでもない。

 それを理解した瞬間、私の中で激情が走った。

 これでは……これでは私の実験が滞ってしまうッ!

『究極生命体』を生み出すという私の“夢”がッ!


 度重なる各地での戦闘によって領域が失われていき、徐々に私の工房は破壊されていった。そして、いつしか私は最外周領域へと流れ着いていたのだ。

 世界の果てですら、メインフレームとネメシスの戦闘が繰り広げられている。

 その事実に眩暈を覚えた時だった――『蒼い少女』をこの目で捉えたのは。


 人の身でありながら混沌の器と戦う能力を持つ少女が普通でないことは見ただけでも分かる。

 三姉妹たちのように処置を施され、戦闘に耐えうる力を植え付けられた『代理構成体』。


 「まったく……奴にはこだわりというものがまるで感じられん」


 あの合理性だけを追求した面白みのないやり口は、ディアンの手によるものに違いない。

 あれが奴の導き出した『究極生命体』への解か。


 ならば、この争いの果てに待ち受けている結末は、明るいものではないだろう。

 そんな未来に己の命を預けるなど、できるはずがない。

 とすれば、今私がすべきことは。


 「楽園との――決別か」

EPISODE3 繰り返される歴史「楽園を去った私に残されたのは虚しさだけ。かつて抱いた願望も、探究心も、潰えてしまった」

 電子の楽園を去って早々。

 あれ程固執してきた究極生命体への渇望は、空気が抜けていくようにしおれてしまった。

 まるで、抜け殻だ。

 現実の世界に渡った際に、新たな器として手に入れた機械の体も、中身である私がこの有様では宝の持ち腐れである。

 私は、どこへ行きたい訳でもなく、あてもなく世界を彷徨うことにした。


 灰色の空からわずかに漏れた、青き空。

 荒々しくうねり猛る、昏き海。

 いずれも、目を見張る程の光景が広がっている訳ではない。

 だが、しかし。

 そのどれもが、圧倒的なまでの生命力に充ち満ちていた。それは、私の目を引きつけてやまなかったのだ。

 荒廃からの再生を願う、大自然の息吹。

 その息吹が、私の空っぽになった器へと流れ込むように私の魂を突き動かしたのだ。


 「素晴らしい……素晴らしイィィィッッ!!」


 ――それからの私は、復興してゆく世界を見て回ることにした。

 その旅路の中で、私は大地の復興を目指す『真人』を目の当たりにする。彼らは、機械のように大地を癒すことだけを目的に動いていたが、ある日を境にして、まるで意思を持った人間のように振る舞い始めたのだ。

 私には、この出来事がメタヴァース内で起きた異変に起因しているのだと、すぐに理解できた。


 「真人か……」


 彼らは能力面では人間よりも秀でてはいるが、人を模して作られた以上、自我を与えられた時点で結果は想像するまでもない。

 元より真人たちに未来などないのだ。いずれ、古き人間たちと同じ道を辿っていくことだろう。

 あの沈みゆく夕陽のように。


 「この胸を焦がすような光景を、ワイズマンにも見せてやりたかったよ」


 それからどれ程の時が流れただろうか。

 やはり私の見立て通りに事は運んでしまった。


 ――世界を二分する程の争い。


 美しき大地は、真人たちによって再び汚されたのだ。

EPISODE4 レナ「もはや関わることはないと思っていたのだがな……。機械の身である私が“神”の存在を意識するとは」

 再び大地に戦乱を巻き起こした真人たちは、私が安住の地として選んだアントゥルーヤさえも脅かした。

 少年の名はギデオン、少女の名はヨナと言ったか。

 この真人たちは敵対する勢力から逃がれるために、この地を訪れたようだ。

 まったく、争うなら私を巻き込まないで欲しいものだが……とはいえ、同胞からも追われる異分子の身<イレギュラー>としては、誰かと言葉を交わすこと自体が久方ぶり。

 昂った私は、音声記録をたれ流す機械のように、多くのことを語った。

 ひと通り語った後は、真人たちが乗ってきた船まで丁重に見送ることにした。

 だが――そこで私は見つけてしまった。

 決して交錯することのないはずの存在。

 運命の少女との出会いを果たしたのだ。


 ――似ている。


 『レナ』と名乗った彼女は、私の実験に協力してくれた『アルテミス』をどこか彷彿とさせる雰囲気をまとっていた。

 電子の楽園からやって来た彼女が『帰還種』と呼ばれているということは、あの楽園がひとつの区切りを迎え、現実世界への帰還フェーズに移行したことを意味する。

 その転換期に私が彼女と出会うなど……これを天の采配と言わずしてなんと呼ぶ!?

 彼女をこの目にした時から湧き上がってくる衝動。

 無限に溢れ出てくる好奇心。


 ――それは、狂おしい程の渇望。この世界で私の中に生まれたことのない“激情”だった。


 私は、この少女が導き出す答えを、この目で、この魂で見届けたい。彼女の行動が、選択が、この世界にどんな影響を及ぼしていくのかを、私は間近で見てみたいのだッ!


 「――私の名はブルースタイン。かつて電子の楽園の管理を担っていた神々の、末席に属していた者さ」


 滾る思いを胸の内に秘め、私は自らの名を告げた。

EPISODE5 彼の地に眠るもの「イノベイターとの全面戦争を勝ち抜くには、封印されし力を解き放つ必要がある」

 ピーコッド号の船内は、重い沈黙に支配されていた。

 強硬派<イノベイター>の度重なる襲撃にも耐えてきたという彼女たちであったが、先の戦いで共に困難を乗り越えてきた仲間が、命を散らしてしまったのだ。


 「ぅ……っ、……ぁぁ……」


 泣き崩れたレナ君を抱きしめるように、ヨナは哀しみに打ちひしがれている。

 ミリアムもまた、ギデオンを喪ったショックを隠し切れてはおらず、行き場のない怒りに身体を震わせているようだった。


 この状況で唯一幸いと言えたのは、私たちが乗る船への損傷が軽微であり、順調にいけば一週間程でペルセスコロニーに辿り着けるということ。

 だが、懸念点は残ったままだ。

 アントゥルーヤで対峙した追手のイノベイターを、完全に撃退した訳ではない。

 そこへ、更なる援軍が加われれば、我々などひとたまりもないだろう。


 (どの道、あの真人たちとの直接対決は避けられない訳だ。ならば、こちらから迎え撃つ状況を作り出すのもひとつの手ではあるか)


 帰還種であるレナ君がペルセスコロニーに着いただけですべてが解決する訳ではないだろう。それでイノベイターが納得できるとも思えない。ともすれば、奴らとはいずれ決着を付けなければならない訳だ。

 イノベイターを指揮する者と直接の関わりはないが、妄執に取り憑かれた者の末路は最初から決まっている。


 そこにあるのは、滅びへの道だ。

 その先には、何も残らない。

 だからこそ、我々には奴らに抗しうる力が必要だ。


 ふと、スクリーンを見やる。そこには、厳しくも美しい山脈がどこまでも続く光景が広がっていた。

 確か……この辺りだったな。


 「ミリアム、今から言う座標へと向かってほしい」

 「……こんな岩山だらけの場所に、何の用だい?」

 「そこに、イノベイターに対抗できる『力』がある」

 「力……だって?」

 「ああ。それがあれば、たとえ相手が大軍であっても渡り合える」


 彼の地――ゼーレキア。

 そこに眠る力が、我々の要となる。

 奴らが本腰を上げて攻め込んで来る前に、なんとしても手に入れなければな。

EPISODE6 小さな意志「今はまだ、ほんの小さなきらめきに過ぎないが。彼女はいつの日か、世界に変革をもたらすだろう」

 ゼーレキアコロニーを目指して数日が経過した。

 イノベイターの襲撃は今のところないが、予断を許さない状況であることには違いない。

 甲板上でこの身を風にさらしていると、不意にハッチの開く音が聞こえてきた。


 「ふぁ……ブルースタインさん? おはようございます」

 「お早う、レナ君。今日は普段よりも遅い起床のようだが……その様子だと、踏ん切りがついたのかね?」


 そう返すと、レナ君は少しだけ困惑した表情を浮かべた後、私に銀色の眼差しを向ける。


 「そういう訳じゃありません。わたしがいつまでもクヨクヨしてたら、ヨナにミリアム、それにギデオンにも迷惑をかけてしまいますから」

 「ふむ、そうか」

 「だから、わたしは前に進まないといけないんです」


 不安が入り混じる中にある、確かな意志。

 それはまだ小さいが、メタヴァースが彼女を送り出した理由が、私にも理解できた気がした。

 

 「あの、ブルースタインさんはどうしてわたしによくしてくれるんですか?」


 その問いかけに、私は目を眇めて口角をあげる。


 「なに、唯の“好奇心”さ」

 「……え?」


 レナ君がきょとんとした表情を浮かべていると、突如船内に警報が鳴り響いた。


 『追手だ! 直ぐに戦闘になるよ!』

 「……思っていたよりも早かったな。私たちもブリッジへ向かうとしよう」

 「……あ、はいっ!」


 ――ブリッジに全員が集まったのを確認して、ミリアムは状況を淡々と伝えていく。


 「機影はひとつ。あれはあたしらが廃棄都市で交戦したイノベイターの船で間違いない。おそらく補給もろくにしないであたしらを追いかけて来たんだろうねぇ」

 「じゃあ、追手の数は少ないのかな?」


 ヨナの問いに付け加えるように補足した。


 「私が敵対した真人たちは、私の手で半数以下にまで減らした。戦力は我々とさほど変わらんよ」

 「なら、あたしらだけでも十分対処できるはずさ」

 「ゼーレキアコロニーで迎え撃ちたいところだが、止むを得んか」


 ゼーレキアコロニーは、もう二時間もしない内に到着する距離にある。しかし、敵の船の速度から換算すると、ゼーレキアへ到着する前にピーコッド号が交戦状態に入らざるを得ない。

 そこでミリアムが打った策は、自分たちが有利な場所で敵を迎え撃つことだった。

EPISODE7 決死隊「窮地こそが進化を促す。これが人を模して生まれた真人の可能性ッ!」

 イノベイターの追手をゼーレキアコロニー付近の廃墟地帯で迎え撃つことにした一行。

 敵が襲いかかって来たのは、ブルースタインとヨナが罠を設置し終えた頃だった。

 飛行船から飛来した敵は、四人。

 武装二輪に乗った大柄の男――サウルと、その配下の男たちが着地した。


 「――今だッ!」


 ブルースタインは躊躇なく、設置された爆雷を起動。ヨナは起動する罠の合間を縫って、高低のある崖の上から銃撃を試みる。

 後陣からは、対物ライフル「ピースキーパー」を構えたミリアムが狙い撃つ。

 三人の巧みな連携によって、迫りくる敵の行く手を阻むものの、わずか四人程度でしかない敵兵の士気は異様に高く。

 己の負傷など一切顧みずに、突撃を敢行してくる有様だった。


 「――なんなの、こいつら!?」

 「玉砕覚悟という訳か……ッ!」


 敵兵たちにとっては、ここが死地となっても構わないという気概に満ち溢れていたのだ。

 あまつさえ、死に体になった兵は己の身すらも武器と変えて、罠を巻き込むように自爆する。

 その鬼気迫る光景は、まるでひとつの目的のために行動する群体のような――


 「これ以上は行かせんッ!」


 敵の数は三人。

 ミリアムによって、武装二輪を破壊されても勢いの衰えないサウルを前に、ブルースタインは切り札に取っておいた防護障壁を展開し、足止めを行った。


 しかし、その瞬間――


 突然、周囲に生まれた影。

 その異変に気付いたブルースタインの視界に飛び込んできたのは、この一瞬を狙っていたかのように突撃してきた飛行船だった。


 「なん……だとォッ!?」


 大質量の衝突によって、障壁はいとも容易く瓦解していく。

 爆炎と、おびただしい程の煙が辺りに充満し、視界を奪う。ヨナとミリアムといえど、この中でイノベイターを狙い撃つのは、困難を極めた。

 その混乱に乗じて、サウルたちが防衛網を突破していく。

 そして――


 「辿り……着いたぜェェッ!」


 ピーコッド号を射程に収めたサウルは、雄叫びと共に武器を構えたのだった。

EPISODE8 手負いの獅子「時として神は、人に試練を与える。レナ君にとって、これもそのひとつとなるだろう」

 イノベイターの飛行船が障壁に衝突したことによって、ピーコッド号への進路を塞がれてしまったヨナたち。

 レナの下に向かうには、道を塞ぐ燃え盛る船を鎮火させるか大きく迂回するかのいずれかだ。

 判断に迷うブルースタインだったが、行動に移ろうとしたその時、炎の中から飛び出してきたものがあった。

 それは、サウルと行動を共にしていたイノベイターの兵の一人、アビナダブ。


 「お前らの相手は俺だァァッ!! こっから先には行かせねェッ!!」

 「これは……迂回している場合ではないようだなッ!」


 身体中に傷を負っていようが構わずに、アビナダブは両手に構えた自動小銃を乱射する。

 その戦いぶりは正に手負いの獅子と呼ぶに相応しく、応戦する二人を前にしても引けを取らない気迫を見せつけていた。

 だが、二人が物陰に隠れても所構わずに掃射する姿を見て、ヨナは敵の目的が自分たちを足止めすることであると気づく。

 ヨナは通信機でブルースタインに指示を飛ばした。


 「ブルースタイン、攻撃が止んだら敵を引きつけてくれる? その隙に、私が仕留める」

 「了解した」


 その直後――敵の攻撃が止んだ。


 「今よ!」


 物陰から勢いよく飛び出したブルースタインが、威嚇するように銃撃を見舞う。


 「機械種ゥゥゥッ!! お前はここで死ねェェッ!」


 ものの見事にブルースタインに注意が向いたのを見計って、ヨナは狙撃モードにしたライフル

「バルディッシュ」を構えた。

 アビナダブがヨナに気づいた時には既に遅く。

 正確に、胸の中心を撃ち抜かれていた。


 「イノ、ベイターに……栄光、あ……」


 アビナダブが倒れ、動かなくなったのを確認した二人は、燃える船を鎮火させ、急ぎレナたちの下へと向かう。

 二人が駆けつけた時には、既に決着が着いていた。

 イノベイターは地に倒れ伏し、ピクリとも動こうとしない。

 そして、ヨナたちが目にしたのは、ピーコッド号の船体に寄りかかるようにして蹲る、血塗れのミリアムとレナの姿だった。

EPISODE9 戦場は赤く染まりて「彼女をこのままにしてはおけない。私が行動するのには、それで十分だった」

 「――アムッ! ミリアムッ!」


 ミリアムを抱きかかえたレナが、必死にその名を呼ぶ。


 「どうしよう……血が止まらない……わたし、どうすればいいの……っ!?」

 「レナ!!」


 駆けつけてきたヨナとブルースタインは、目の前の惨状に息を呑む。

 レナの手によってどうにか応急処置は行われていたが、傷口が塞がった訳ではなく、包帯越しに止めどなく血が溢れていた。

 このままにしておけば、ミリアムの命は助からない。


 「わ、わたしが目を覚ましたら、ミリアムが! ……っ……さっきまで、意識はあったの! ねぇ、どうすれば、ミリアムを助けられるのっ!?」

 「急いで傷口を塞がないと……でも……これは……」


 ヨナは悔しそうに唇を噛む。

 ミリアムは腹部を中心にして複数箇所を撃ち抜かれていた。悠長に傷口を縫合している間にも、その命は喪われていく。

 そこへ割って入ったのはブルースタインだった。


 「ここは私に任せてくれ」


 すると、ブルースタインはおもむろにミリアムの身体をスキャンし、弾が体内に残っていないことを確認する。


 「ヨナ、ミリアムが誤って舌を噛み千切らないよう、口に布を当てがってくれ。それと、レナ君と一緒にミリアムの体をしっかり押さえるんだ」

 「一体、何を……」

 「荒療治だがこうする以外に手はない」


 ブルースタインは、二人が準備を終えたのを確認すると人差し指を傷口の中にうずめていく。

 そして、次の瞬間。

 赤熱したブルースタインの指が、ミリアムの傷口を内側から焼いた。

 

 「――――――――ッッ!?」


 あまりの激痛に、ビクンと身体をのけ反らせて喘ぐミリアム。肉の焦げる匂いと音が、押さえつけているレナとヨナの心を抉っていくのだった。

 そして、無限とも一瞬とも思えた時間の果てに――ミリアムは死の淵から生還した。


 「あ、あたし、まだ……生きてるんだねぇ」

 「「ミリアムッ!」」

 「や、やめておくれ……き、傷に、響く……」


 慌てて離れた二人に、ミリアムは助けてくれた礼を述べると、自身に処置を施した男を見やる。


 「あ……ありがとよ、ブルースタイン。まさか、あんたに助けられることになるとはねぇ」

 「礼には及ばんさ。だが、いくら真人といえどもその傷は深刻だ」

 「そうさね、少し、血を流しすぎたよ」

 「その状態で船を操縦するのは厳しいだろう。船の操縦は私が担当する。君はそれまでの間、回復に専念するといい」


 ブルースタインの突然の提案に驚きの声を上げるヨナたちだったが、ミリアムだけは妙に納得していた。


 「都市の機能を、直接……操作できるような、奴だ。船の操縦くらい……朝飯前だろう、よ」

 「まぁ、そんなところだ」


 それから、ミリアムをピーコッド号へ収容した一行はゼーレキアコロニーへと飛び発った。


 ――

 ――――


 つい先程まで戦闘が行われていた廃墟。

 そこには、方々に刻まれた戦いの爪痕と、戦闘の中で散っていった者たちの亡骸だけが取り残されている。

 それらは、本来であれば長い時の流れの中で徐々に風化し、大地に還っていくかに見えた。

 しかし――


 「奴ら、を――殺す。殺して、やるッ!!」


 夕暮れの廃墟の中、何かを引きずるような足音が響く。

 それは、ゆっくりと、だが強い意志を感じさせる足取りであった。

 おぼろげながらに見えたその影は、全身を血で染め上げている。

 その瞳に映るは、復讐の焔。

 妄執に取り憑かれた男――サウルは、半死半生の身体を突き動かして、廃墟の合間から見える高くそびえ立つ構造体を目指す。

 古代都市ゼーレキア。

 サウルはその都市こそが、己の命を捧げる場所になると直感的に悟っていたのだった。

EPISODE10 ゼーレキア「そうか、答えを見出せたようだな。ならば、私は私の役目を果たすとしよう」

 古代都市ゼーレキア。

 廃墟と化した構造体が、まるで峻険な山脈のように乱雑にそびえ立つ、異様な光景が広がる都市。 

 その都市の麓のそこかしこに見えるのは、何の用途に使われたかも定かではない、人間程の大きさの機械の残骸だった。


 甲板上から見る光景に、レナは言葉を失った。

 そこに満ちるのは、“死”の気配。

 ここは、砂まみれの都市アントゥルーヤとはうって変わり、肌寒さを感じさせる不気味な静寂さを纏っていたのだ。

 レナが何を感じ取ったのかは分からない。

 ただ、その匂いに引きずられるようにして、レナの中ではいくつもの想いが巡っていた。


 (どんな困難が訪れても、諦めないって約束した。けど、わたしがいることでみんなが命を落として、危険な目に遭っていく。なのに、わたしだけがこうして生きて……)


 己の存在意義と強硬派たちの思惑。

 その狭間に思い悩みへたり込んでいると。


 「どうしたの、レナ?」


 風に乗って聞こえた優しげな声。

 その声に顔を上げれば、そこには小首を傾げたヨナが佇んでいた。


 「ヨナ……」


 ヨナは不安げな顔を浮かべるレナの下へと歩み寄る。

 そして、レナの隣に腰掛けると、優しく語りかけた。


 「レナ、悩んでるんだね?」

 「……分かるの?」

 「分かるよ。ずっと一緒に旅してきたんだもん」


 ヨナは少しだけ寄りかかるように体を預けて、


 「私でよかったら、なんでも聞くよ?」

 

 その暖かな声音と、隣にヨナがいるという安心感が、不安に押しつぶされかけていたレナの心に淡い光を灯した。


 「わたしに、みんなが命をかけてまで護るような価値が、本当にあるのかな?」

 「あるよ、絶対ある」

 「でも、わたしが来たからギデオンも……それにミリアムだって、あんな風に……」


 レナの震える身体を、ヨナは後ろから抱きしめた。


 「ヨナ……?」

 「私に後悔はないよ。ギデオンも、ミリアムだってきっと同じ。レナは真っ直ぐ前を向いていけば良いの」

 「わたしに……できるのかな?」

 「もう、できてるよ。レナがいたから、私は今ここにいるんだから」


 すがるように見つめるレナに、ヨナは真っ直ぐな自分の気持ちをぶつける。


 「レナなら大丈夫。それに、迷っていいんだよ。立ち止まったら、私が支える。そっと、背中を押してあげる。だから――」


 立ち上がったヨナはレナの前に回り、


 「一緒に行こう」


 微笑みと共に差し伸べられた手。

 その力強い言葉は、レナの中にあったわだかまりを溶かし、沈みかけていたレナの心をすくいあげていく。


 「……うんっ!」


 答えは、決まっていた。


 「ありがとう、ヨナ。わたし、見つけられた気がする!」

 「ふふ、レナの力になれて良かった」

 「――その調子なら、大丈夫そうさね」


 不意にかけられた声に二人が振り返ると、船体に寄りかかるようにして立つミリアムがいた。


 「ミ、ミリアム? いつからそこに……ていうか、身体は大丈夫なの!?」

 「ああ、鎮痛剤はばっちり効いてるし、なんてことないさね」

 「だからって、安静にしてた方が……」

 「自分の体のことは自分が一番分かってるさ。お、そろそろ目的地に到着するみたいだね」


 ミリアムは、船が徐々に降下していることに気付き、欄干からゼーレキアコロニーを見下ろす。

 その視線の先には、船を丸ごと飲み込める程に大きな穴を空けた遺跡が、不気味に蠢いていた。

EPISODE11 焦土兵器『メギド・ゴグ』「旧人類種にとって唾棄すべき存在。この忘れ去られし兵器と共に、奴らを迎え撃つッ!」

 ゼーレキアコロニーに残された遺跡群。

 その中に、とりわけ大きな穴を空けた遺跡がある。

 地下深くまで続くその巨大な穴は、地下から反響する音によって、まるで亡者の怨嗟の声のように聞こえていた。


 「こりゃ……今のあたしには厳しい深さだねぇ」


 遺跡近くに着陸しつつあるピーコッド号の中からどこまでも続く暗闇を見たミリアムはそう独りごちた。


 「あたしはここで待つことにするよ」

 「分かったわ。何かあったら直ぐ連絡してね?」

 「はいよ、これだけ深い穴だと、通じるかは怪しいところだけどねぇ……」


 ミリアムに見送られ、レナ、ヨナ、ブルースタインの三人は、遺跡の深奥へと歩を進めていく。

 一行は螺旋状に続く階段を黙々と降り、徐々に深奥へ近づくにつれ、レナは不安の色を強くしていった。


 「レナ、大丈夫? 何か感じるの?」

 「うまく言葉にできないんだけど、この先から嫌な感じがする。胸の中をキュッと鷲掴みされるような……怖い……怖いよ、ヨナ」


 得体の知れない感覚に、レナは身体を震わせる。

 やや遅れてその疑問に答えたのは、ブルースタインだった。


 「君がそう思うのも無理はない。ここは、遥か昔に機械種が前哨基地として建造した都市なのだ」

 「それと、レナが怯えてることに何の関係があるっていうの?」

 「ここには、旧人類種を抹殺するために造り出された兵器のひとつが、今も眠りについている」

 「それが……ブルースタインさんの探している物なんですか?」

 「ああ。物と呼ぶには、いささか大きすぎるがね。名は『焦土兵器メギド・ゴグ』」

 「……そのメギドっていうのを、本当に起動させるとして、制御できるの?」

 「できるさ。『私』を誰だと思っている? メギドの力は必要不可欠だ。イノベイターからレナ君を護りきるためにはな」


 機械の体になったとはいえ、彼が管理者の側であることに変わりはない。

 その自信に満ち溢れた態度に、レナは問わずにはいられなかった。


 「ひとつ、約束してくれますか? その力を絶対に悪いことには使わないって。お願いします」


 レナの真摯な眼差しが、ブルースタインへと向けられる。

 何もかもを見透かすようなその瞳に根負けしたブルースタインは、思わず口元を緩めた。


 「約束しよう。メギドの力はイノベイターと戦うためだけに使うと」

 「はいっ!」

 「だから私に見せてくれ。メタヴァースが送り出した君という“答え”が導く未来を。それを間近で見させてくれないか」


 そのためにブルースタインは、レナを排除しようと動くイノベイターたちを捨て置くことができなかった。


 例え、これからしようとすること自体が、過剰な干渉だったとしても。

 力強くうなずいたレナを見て、ブルースタインは満足げに振り返った。


 「さて、間もなく終点だ。あの扉の奥に眠る古の力、喚び起こさせてもらおうかッ!」


 重苦しい扉の先にあるものは――希望か、絶望か。

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脚注
  • *1 チュウニペンギン/ラブリーハートのSTORY(EPISODE17)で10000ノーツ警察(10000ノーツ以上にならないようにチェックする)の存在が語られているため、登場する見込みは限りなく薄い。
  • *2 実際にはJUSITCE及びATTACKの減少分を考慮する必要があるため、MISS1個分少なく見積もったほうがよい。
コメント (ブルー・スタイン)
  • 総コメント数20
  • 最終投稿日時 2022年09月23日 03:05
    • チュウニズムな名無し
    20
    2022年09月23日 03:05 ID:kikvkp5h

    >>19

    返信元の者です。

    簡潔でとても分かりやすく、おかげ様でモヤモヤが晴れました。早急で丁寧な説明をありがとうございました。

    • チュウニズムな名無し
    19
    2022年09月23日 00:57 ID:kgrvcog4

    >>18

    結論から言わせていただくと、ブルースタイン=現実世界に来たオールドブルーといった感じです。つまりブルースタインとオールドブルーは同一人物です。

    彼は元々仮想世界(メタヴァース)の管理プログラムでしたが、現実世界にやって来たことによって『ブルースタイン』と名前を変えました。

    めちゃくちゃ簡潔な説明をするとこんな感じでしょうか。分かりづらかったらごめんなさい。

    • チュウニズムな名無し
    18
    2022年09月22日 23:01 ID:nam3fou0

    最近チュウニズムを始めた者なのですが、ブルースタインはオールドブルーと何か関係があるのでしょうか?

    名前も見た目も似ているので気になって書き込ませて頂きました。どなたかご教示いただけると幸いです。

    • チュウニズムな名無し
    17
    2021年10月16日 15:20 ID:ikfsvmdt

    >>7

    8本ならボーダーブーストSSSのが良くない?

    • チュウニズムな名無し
    16
    2021年10月15日 16:40 ID:kmrmmyjw

    このマップ、絵師繋がりとスキル似てるキャラ結構いるけどみんなオールドブルーみたいにメタヴァ出身て事なのかな?

    • チュウニズムな名無し
    15
    2021年10月13日 11:16 ID:auq9mj99

    これ二CV付けるなら津田健次郎さんあたり来そう

    • 名無しのゴンベェ
    14
    2021年10月01日 23:30 ID:aulkm1v6

    ジャケットのイラストがニーアオートマタの世界観に似てる

    • チュウニズムな名無し
    13
    2021年09月24日 23:35 ID:bokka9wb

    カッコいい

    • チュウニズムな名無し
    12
    2021年09月24日 12:11 ID:o02dtf0r

    >>10

    8本ギリギリだから3%の差も結構大きいよ。どっちで狙うにしても8本狙うならAJ前提だし精度の猶予が254%か257%かで全然違う。

    確かに終了条件は緩いから安定は取れるけど8本狙いには向いてない。

    これで8本狙える精度あるならハローワールドの方が上昇率高いからミスしても8本届くし安定取れる。

    • チュウニズムな名無し
    11
    2021年09月21日 02:30 ID:mu2d9wo3

    太鼓の青(カッ)

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