不来方 とあ
Illustrator:お久しぶり
名前 | 不来方とあ |
---|---|
年齢 | 1X歳(外見年齢10歳前後?) |
職業 | 不詳 |
NEW ep.I - Side.Bマップ10(進行度2/NEW時点で385マス/MAP1から1670マス*1)で「蜘蛛の糸」クリアで入手。
正体不明の"ナニか"と一緒にいる不思議な少女。
STORYはそんな彼女に翻弄する、とある男性の視点とかつて彼女と関わった人物の記録と分ける形で語られる。
スキル
RANK | 獲得スキルシード | 個数 |
---|---|---|
1 | 天地創造 | ×5 |
5 | ×1 | |
10 | ×5 | |
15 | ×1 |
include:共通スキル(NEW)
スキルinclude:天地創造(NEW)
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | スキル | ||||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
スキル | |||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
スキル | |||||
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
雲ひとつない晴天と照り返す日差し。
五月蝿いくらいの蝉の鳴き声も嫌いじゃない。
僕は、大学生活二年目の夏を迎えようとしていた。
随分と慣れてきたような気がするが、生活パターンは一年目とさして変わらない。
一人暮らしのアパートで自由な時間に目覚め、講義のある日は大学に行って、ない日はバイト。
親しい友人もおらず、これといった趣味もない。
映画や本を読むのは好きだけれど、それだけだ。
同好の士を募るつもりもないし、自分で作ろうという気もさらさらない。
だが、僕にも微かながら興味を引かれる事があった。
それはアパートのすぐ隣に最近建てられた一軒家だ。
引っ越してきた住人はずいぶんと若く見える夫婦と、その娘さん。
仲が良さそうで、とても幸せそうな家族に見えた。
だけど、なんだか引っかかりを覚えて――あ。
気を取られてるうちに、僕はアパートの階段を見事に踏み外した。
受け身など取れるはずもなくそのままごろごろと下まで転がっていく。
僕はほんの少しの後悔とともに、痛む身体をゆっくり起こした。
大きな傷みはない。身体を打ったりもしていないし、痣もない……と思う。
「ぐ……」
頭に鈍い痛み。最初に軽くぶつかったのだろうか。
触る限りコブにもなってなければ、切り傷もない。
まぁ一応、病院には行っておこうと思う。
近くには父さんが昔勤めてた病院がある。
今でもそこは僕のかかりつけ先だ。
病院から軽い打撲と診断されて戻ってきた時には、もう日が落ち始めていた。
自分が住むアパートの前まで来ると、ふと思い立って隣の家を見上げてみる。
すると二階の窓辺には、女の子が立っていて――
「……ァ……」
――僕はその表情に、震えた。
彼女の瞳は、空虚そのもの。感情の見えない硝子玉の瞳が、虚ろに外の世界を眺めているみたいだった。
「……ッ!」
呼吸するのすら忘れるくらいに見入っていた僕は、息苦しさに喉をわずかに引きつらせる。そのまま視線を外し、静かに呼吸を整えた。
こんな不審者のような真似をして、自分はどうしてしまったのか――そんな言葉が頭に浮かび、なんとか冷静さを取り戻す。
あんなに幸せそうに笑っていた女の子だ。今ここで見たのは気の所為に違いない――と、そんな風に考えつつも、僕は性懲りもなくもう一度顔を上げてみた。
窓辺では、女の子が笑顔で僕へと手を振っている。
やはり僕の見間違いだった――安堵して息が漏れた。
僕は慣れない笑顔を作り、手を振って返してみせる。
「……?」
すると不思議そうな顔で顎に指を当て、小首を傾げてみせた。
手を振っていた相手は……僕ではないのだろうか。
そのことに気付くと、先走った後悔と不安が、そして少しの好奇心が押し寄せてくる。
だって、今の今まで僕の周りには誰もいなかった。
なら、誰に手を振ったのだろう――生まれてしまった好奇心は、そこで捨てておかなければいけないモノ。
そう、そのときの僕は“知る”ということが自分にどんな変化をもたらすのか、微塵も頭になかった。
だから、そんな莫迦な僕は振り返ってしまったのだ。
前には誰もいない。なら、その誰かは後ろにいるはずなのでは、と。
「――は?」
信じられないような光景に、僕はまた、息を呑んだ。
ソレは“誰か”と言えるモノではなかった。
得体の知れないおぞましさを覚えるような――とても人には思えない奇妙な肉塊のようなモノ。
ソレは、スカートのように広げた下半身を引きずり、ゆっくりと僕へにじり寄ってくる。
これは……どこまでが現実で、どこまでが夢、なのだろう――
現実感のない光景に、僕は逃げることさえ忘れていた。
ソレは僕を丸呑みできるくらい、大きく口を開ける。
――目が、合った。
ソレの口の奥に、人の顔があったのだ。
さっきの見たモノと同じような――そう、あの硝子玉の瞳。
その瞳には、なんだか不可思議な顔をした僕が小さく映っていた。
それから――
「あはっ」
少女のような不思議な笑い声が聞こえて――僅かな浮遊感と共に、僕の世界はひっくり返った。
「――ィ、――ゥ、――ェ、――ァ、――」
何かの鳴き声のような、奇妙な音を耳に残して。
最初の出会いからもう一週間。
今の僕は、彼女のことを知っている。
――不来方とあ。
それが、隣の家に住む女の子の名前だ。
10歳前後で、察するに多分学校には行っていない。
そんな彼女の両親が帰ってこなくなったのは、つい三日前のことだという。
「おにいさん、きてくれたのね」
講義を終えた僕はそのまま自分のアパートに帰ることなく、隣の家の扉をくぐり、二階にある彼女の部屋へ直行した。
「約束だからね」
そう言って、僕は彼女と隣に佇む■◆■◆に、微笑んでみせる。
■◆■◆は彼女が生まれた時から一緒にいるらしい。
最初に見たときこそ恐怖を覚えたが、見慣れてくると可愛らしいとすら思えてきた。
「――、――ァ、――」
ノイズのような音が、耳を通り過ぎていく。
見た目も独特なら、鳴き声も独特だった。
黒板を引っ掻いたような不快な音に近い。
でも、何故か不思議と嫌じゃなかった。
その理由はよくわからないけれど。
「ふふ……ラヴはおにいさんが本当に好きなのね」
■◆■◆はずるずるとなにかを引きずり、そのまま僕へのしかかってくる。
最初に出会ったときも同じだった。
僕はてっきり食べられてしまうのかと思ったけど、これは愛情表現の一種らしい。
「――ゥ、――ァ、――」
ちゃぷ、と冷たい感触が服の中へ入り込んでくる。
■◆■◆はきっと僕が見えていない。
もしかすると、触れながら確かめているのだろうか。
僕が僕であるということを。
「あ……はっ……」
思わず、笑いが込み上げた。
――僕は、異常だ。
だってこうされることに、なにも感じない。
拒否も抵抗も侮蔑も別に浮かんでこない。
ただされるがままに受け入れている。
「おにいさん。ラヴってやわらかくて、あったかくて気持ちいいよね」
「ああ……」
頷くと、そっと撫でてやる。
なめらかでシルク生地のような手触りだ。
なんとなく、落ち着く感じすらある。
「……ぁ…………」
冷たい感触に、浮かされた気分が現実に戻る。
犬や猫に肌を舐められているような感覚に、見た目はこうでも、普通のペットと変わらない、という実感を覚えていた。
「おにいさんとラヴは仲良し、わたしも仲良しになりたいなぁ」
そんな風に笑う彼女はまた、あの硝子玉の瞳を綺麗に輝かせ、微笑っていた。
不来方永愛(こずかたとあ)。
17歳。通院歴7年。親族・親戚は無し。
元々は四人家族の次女であった。
通院開始の半年前、家族旅行中に事故に巻き込まれ、両親は即死。救出された長女の不来方愛惟(あい)は内臓系は無事だったが、潰れた車体に巻き込まれ、身体の大部分が激しく損壊している状態だった。
次女の永愛は車内から弾き飛ばされたことで、肉体は無傷に等しい状態であったが、落下時の衝撃で臓器系に障害が生じてしまっている。
そのため直前に死亡と判断された長女から、次女への臓器移植を医師は強行した。
その結果、永愛は十全な状態で回復。
その後は半年の経過観察を経て、復調したと判断。
経過観察のため、定期的な診察を行うこととなった。
――19XX年6月×日、とある記録。
「身体は元気で、完全な健康体。日常生活を送る上で支障はないでしょう……ですが」
私はこれから彼女が世話になる養護施設の担当職員へ現状を伝える。
「彼女、見えているんですよ。わたしたちにね、見えてないものが」
そう言って、私はカルテをめくる。
そこにはこう書かれていた。
■◆■◆。
それは、私たちには到底理解できないものだった。
やはり彼女の心は壊れてしまっているのだろうか。
自分の身に起きた現実に耐えきれなくて。
「まぁ、大きな問題はないでしょう。よろしくお願いします」
そう言うと、職員たちは一礼して出ていった。
施設には、何かしら精神的なトラウマを抱えている者も多い。こういうケースには慣れているのだろう。
カルテは職員たちには見せていない。
しかし、例え見たとしても、理解が及ぶだろうか。
彼女は分裂症ではない。しかし、棲み分けている。
“ソレ”が存在していい場所と、そうでない場所で。
誰にも見えない“ソレ”は、どんな姿なのだろう。
私の好奇心が疼いている。だが、知る機会は訪れないだろう。奇跡でも起きない限りは、絶対に。
だが――奇跡はあったのだ。
あくまで偶然の産物をそう呼ぶに過ぎないが。
――そう、その日は私に取って幸いと言えた。
「おとうさん、■◆■◆って?」
息子がそんな言葉を発したのは、診察後のことだ。
息子は奇しくも同じ名前を発していた。
知らぬうちに、彼女と出会ったのか?
そもそもここにいるのは、先日自宅の階段で頭を打ったことが原因だ。
それをきっかけに、同じものを見た?
面白い、と思った。
だから興味本位で、息子を彼女の元へ連れて行ったのだ。
「「■◆■◆」」
すぐに意気投合し、楽しそうに互いをその言葉で呼び合う子供たち。
■◆■◆とはなんだ? なんなのだ?
知りたい。私はどうしても“ソレ”を知りたかった。
僕が彼女と一日の時間を多く過ごすようになって、もう二週間。
何故そんなことになったのかというと、僕が夏休みの間、勉強を教えることになってしまったからだ。
「おにいさんはお勉強を教えるの上手ね」
そう言って、彼女は微笑む。
「――ァ、――ゥ、――」
「うふふ、ラヴもよくできましたって」
穏やかな光景に、僕も思わず頬が緩む。
「おにいさん?」
「なんでもない。続けようか」
――約束してくれないと、食べてしまうかも。
脅されるように始まった勉強会だけれど、結局ここに来ることを選んだのは正解だった気がする。
こんな幸せそうな彼女を見ることができたのだから。
「……まだ、食べたいって思ってる?」
笑い話のように、茶化して聞いてみる。
「――ゥ、――ゥ、――」
嬉しそうな声が聞こえた。
まだまだ僕は、安全な身の上には程遠いらしい。
「わたしはね、おにいさんがこんなにやさしいなんてしらなかったわ」
気づけば、彼女はいつものように窓の外を眺めていた。
「おにいさん、ちゃんと見ていてね」
僕は頷いてみせる。
「――ぁ」
ん?
「■◆■◆」
今のは――誰の声だったか。
――19XX年8月●日、とある記録。
私は夜勤のため、一人で残っていた。
もちろん、考えていたのは■◆■◆のことだ。
子供たちはずいぶんと仲良くなって、不来方永愛もその時だけは笑顔を見せるようにさえなった。
「やくそくしたんだ、ぼく!」
昨日彼女の話を聞いたとき、息子はそんなことを言った。
――ずっと三人で一緒に遊びたい、と。
“ソレ”――■◆■◆とは、人なのか?
もしかすると、私も頭に大きな衝撃を受ければ、見ることができるようになるのかもしれない。
机に重力のまま頭を打ち付けると、
がんっ、と鈍い音が響いた。
無理だ。私にまだ常識的な頭が残っている以上、自傷などできはしない。
探究心と世間体を秤にかけてしまうのが、大人というものだった。
――ずるっ。
「ん?」
静寂の中、布が這いずるような音がした。
今日はこの部屋に誰もいないはず――そんなことを考えながら扉の方を見やる。
そこには、いた。
得体知れずの、生物かもわからない“ナニカ”。
きっと、あれが■◆■◆。
こんな簡単に見れるとは思っていなかった。
「――ィ、――ゥ、――」
“ナニカ”の口が大きく開き、触手のようなものが私に絡みついてくる。
まるで私を排除せんとばかりに。
次の瞬間には、私の視界は塞がれた。
「ぇ……が……あ……」
苦しい。
喉が潰されていくようで、息がうまくできない。
「――ィ、――ァ、――ィ」
なんと言ったのだろう。
考えがまとまら、な――
■■■■
■■■■■■■■
■■■■■■■■■■■■
■■■■■■■■
■■■■
病院の待合室にあるテレビから、ニュースが流れている。
『昨夜、××病院にて、男性医師が殺害される事件がありました。防犯カメラには怪しい人影が映っており、被害者は夜勤の休憩中に襲われたと――』
転院させられていく患者たちで騒がしい中、子供が病院を後にする車を微笑って見送っていた。
――■◆■◆――
それは、あの日にした約束。
ずっと、三人で、一緒に――
そんなものは、これからの時間で、いつの間にか忘れられてしまうのだけれど。
彼女の家に行くと、先客がいた。
確かあれは、彼女の母親……だっただろうか。
「あれ、あなた……この家に何か?」
「どうも。……その、僕は今、お嬢さんに家庭教師のようなことをしてまして」
「家庭教師……? そんなもの、誰が――」
遮るように、家からナニカが飛び出してきた。
「――ァ、――ェ、――ェ」
それは、僕にそのままぶつかって――
「あがっ!?」
ぶつかった衝撃のままに、僕は地面を転がった。
そのまま家の外壁に当たり、ようやく止まる。
「え、大丈夫ですか!?」
「……はい」
頭を軽く打ったようで、じんじんと響く。
血は出ていないが、僅かにこぶになっているようだ。
冷たい感触があって、小さな摩擦がくすぐったい。
彼女がその手で撫でてくれているのだろう。
「ありがとう」
返事はなかった。
でも、撫でる力が少しだけ強くなったようで、まるで側にいて欲しいと言われてるみたいだった。
「あなたたち、仲が良いのね。これからも、この子と仲良くしてあげて」
当たり障りのない言葉に、僕は頷いた。
――ん?
一瞬違和感を覚えたが、それはあの人を見送るうちにどこかへ消えていった。
――――
――――――
――――――――
いつものように彼女の部屋へ入るが、僕はそこで違和感を覚えた。
だってそこに、“誰もいなかった”から。
「あれ?」
代わりに、部屋に忽然と置かれたものがある。
可愛い制服を来た、女の子の人形だ。
窓辺にあったそれは、
風に揺られて、人工の髪が揺れていた。
「にん……ぎょう?」
硝子玉のような作り物の瞳が、ただ空の青を映している。
それにはどこか、見覚えがあって。
「なん……で……?」
そこでは、いつも彼女が、外を見ていて――
ずるっ。
布が床を引き摺るような音が聞こえた。
それは、この家の中で良く聞いていた音だ。
「え?」
それは、今まで聞こえていた彼女の声というよりは、あの鳴き声によく似ていた。
「きみ、は……」
そこにいたのは、白いワンピースのような服を引き摺っている、彼女だった。
「もう、いらないね」
僕が意味も理解する間もなく、いつのまにか彼女は人形を大事そうに抱き上げると、大きく持ち上げて――
「がッ!?」
勢いよく叩きつけた。
僕の頭へ、真っ直ぐに。
「あ……え……」
痛みの中で、僕ははじめて彼女の顔を見た。
ああ、そうだ――そうだった。
僕は、彼女を――知っている。
――頭が、痛い。
見える? 見えない?
わかる。わからない。
彼女は――■◆■◆は――あれ?
頬を伝う生暖かい感触が妙に生々しくて、ぼんやりとしていた意識が覚醒した。
どうやら“ナニカ”に舐められていたらしい。
身体に走る僅かな痛みに、思い出してきた。
僕は彼女に捕まったのだ。
手足は布のようなもので縛られて、上手く身動きを取れずにいると、僕の視界に小さく影がかかった。
「あ……」
目の前に、彼女の顔があった。
どこか遠くを見ているような瞳が、真っ直ぐに僕を見つめている。
ふと、僅かに視線を逸らす。
彼女の後ろ――そこに、人形のようなものが無造作に倒れていた。
その少し後ろに、見覚えのある瞳が転がっていて――
「……ひッ!?」
あれは、彼女の瞳だ。
そう、いつも窓から外を見つめていた、硝子玉の――
が ら す だ ま の ?
「あ……れ……?」
――あれは本当に、人形の瞳だったんだ。
なにかが、ずれていた。
変だ。
おかしいおかしいおかしいおかしい。
いつも僕を舐めてくるのは、■◆■◆で――
「……ぁ……」
彼女の吐息が耳元で聞こえた。
舌先から垂れた唾液が、そのまま耳から頬を伝っていく。
「やく……そく……」
どうしてか、聞き覚えがあった。
そういえばと思い出す。
こんなことが、昔――
『■◆■◆だよ』
「がッ……!」
なんだこれなんだこれなんだこれなんだこれ。
彼女は彼女でかの――頭に何かが溢――■◆■◆。
「き、み……は……■◆■◆」
彼女は首を小さく横に振った。
――ああ、違う。そうだ……思い、出した。
「■◆■◆」
彼女はソレを愛おしそうに言葉にする。
それは、僕の耳に心地よく響いて――
聞き覚えのあるサイレンが、それを掻き消した。
彼女の顔を最後に見てから、一年ほど。
気づけば次の夏がやってきた。
厳しい日差しと耳をつんざく虫の鳴き声の中で、僕はただただ歩みを進める。
僕の生活は今までと変わりない。
あの一ヶ月ほどの出来事は異常だったと、今では……いや、あの時も異常だとわかってはいた。
だけど、人間とはそういったものに惹かれてしまうものだ。
僕はあのとき満たされていた。
確かに、満たされていたのだ。
それに――
「約束は、守らないと」
僕は彼女との約束を忘れてしまっていた。
結果的に約束を守っているかのようになっていたのは偶然だったから。
それに気づかないでいたことは僕自身にとっても幸せだったかもしれないけれど。
「でも、もうすぐだよ」
約束は守らないといけない。
それは父さんが遺言のように残した言葉でもある。
――――
――――――――
――――――――――――
一年間収容されていた施設の門を出て、彼女は久々の自由と、夏の気配を感じていた。
夏らしい純白のワンピースは真新しいが、どこか身体に馴染むような気がして、頬が緩む。
ようやくだった。
彼女はようやく、自分の場所を見つけたのだ。
「あ……!」
どこか空虚に感じられた瞳は、希望に輝きを取り戻している。
そして彼女は、走り出した。
まるで、ごく普通の少女そのもののように――
彼女の視線の先には、約束の相手がいた。
「■◆■◆!」
彼女はその名前を言葉にする。
しかし彼女に向けられたのは、不思議そうな視線と、無邪気な笑顔。
「もう一回、これからの約束をしよう」
彼女が嬉しそうに頷くと、ソレは小指を出してみせる。
「さんにんで、ずっといっしょだ」
絡まった小指は、三本あったように見えた。
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チュウニズムな名無し
542022年09月08日 13:48 ID:arbqq4xmとあちゃん2位おめでと!!!!
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
522022年04月04日 22:38 ID:kfd16ckkストーリーよく分かんないけど主人公がとあちゃんにぺろぺろされてていいなぁって思いました
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チュウニズムな名無し
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>>57D47D2920
502022年02月16日 10:44 ID:fnffu8zm正直あいつは煽られても文句言えんで
まあそれはそれとして、
感極まって最後に馬鹿って入れちゃったのは失言だけど、逆にそれ以外は言ったことはまともだと思ってるから何故そこまで言われなきゃいけないのか
2文字だけで人の全てを知った気になるなよ
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チュウニズムな名無し
492022年01月24日 02:09 ID:dltiaqxw後ろにいるやつ、よく見ると手と胸っぽい部分があって、シルエットもウェディングドレスみたいな感じがするわね…
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チュウニズムな名無し
462021年11月29日 22:29 ID:oah85q82不来方とあ=人形(人格:永愛)
■◆■◆=ラヴ=不来方永愛(人格:愛惟)
EPISODE7で永愛の人格が僕(語り手)に乗り移った?(おそらく共存してる状態?)
ラストのシーンは
僕(人格:僕)「もう一回、これからの約束をしよう」
不来方永愛(人格:愛惟)、頷く。
僕(人格:永愛)「さんにんで、ずっといっしょだ」
かな?
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チュウニズムな名無し