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SPライス・エピソード

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作成者: Mayusagi
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目次 (SPライス・エピソード)

SPライスのエピソード

世界が一旦壊滅して、 ライスは夢見る力をかき集めて、新たに世界を創った。故に、新たな創生の神となった。

神という身分でありながら、ライス自身は、自分はまだまだ料理御侍の饗霊(食霊)に過ぎないと思っている。

いわば完全体のライス、力を取り戻し、喋りも流暢になった。

冷静で芯のある性格になったが、御侍への気持ちは変わらない。



※翻訳修正につき更新しました

 私はライス、役に立たない食霊です。

 ずっと頑張ってきたけど、頑張ってるけど、でも……


ライス(M):おんじさま、危ない!

ライス:痛ッ!!

主人公:ライス

………………

…………

……

ライス:(また?……)

 崩れてきた岩が御侍さまを襲った時、自分の体で御侍さまを守ることしかできなくて、頭の中で最初に浮かんだのは、こんな嘆きだった。


主人公:ライス大丈夫?

 御侍さまの心配そうな呼びかけが聞こえてきた。返事したいけど、口を開く力も残ってなかった。

主人公:大丈夫だ、私がライスを連れて行く!

 温かな腕に包まれてるのを感じた。御侍さまの慣れ親しんだ、安心する匂いがした。

 いつもなら、こんな風に抱き締められたらすぐにヘラヘラと笑い出したと思う。だけど、今の私は目を閉じて、精一杯涙を我慢することしかできなかった。

ライス:(いまは……ないてる……ばあいじゃない……)

 御侍さまは私を物陰にある岩の下まで連れて行ってくれて、肩の傷を手当てしてくれた。

 外を見ると、世界はとっくに堕神に占拠されていた。あちこちに、私たちを狙っている黒い影があった。

ライス:早くにげて……ライスをおいて……にげてください……

主人公:ダメだ、絶対に置いて行ったりしない!

ライス:でも……堕神が……多すぎます……

主人公:大丈夫、私を信じて。

 御侍さまは私を慰めながら、ひきつった笑顔で私の顔についていた汚れを拭き取ってくれた。

ライス:おんじさまは……何を……するのですか?

 御侍さまは力を振り絞って岩を移動させて、私の周りを囲んで安全な空間を作った。そして、石ころいくつか拾ってポケットに入れた。なんだか嫌な予感がした。

主人公:ライスごめんね、しばらくここで隠れてて。堕神たちが離れたら、すぐに北京ダックたちの所に行くんだ、わかった?彼らが君を守ってくれるよ。

ライス:……ダメ……ダメです!おんじさま……戻ってください……戻って!

 御侍さま――!

 私が全力で叫んでも、御侍さまは振り返ることなく飛び出して行った。堕神たちはすぐに御侍さまの方に注意を向けて、攻撃の方向を変えていった。

 肩の傷のせいで動けなかった。私は無意識に唇を血が出るまで噛んで、ただただ見ていることしかできなかった。

 崩壊した大地が御侍さまの進む道を遮るのをただただ見ていた。

 憎い堕神たちが御侍さまを襲うのをただただ見ていた。

 自分の視界を遮る砂ぼこりをただただ見ていることしかできなかった。

ライス:(ここまで……なの……?)

ライス:(強くならなきゃ……おんじさまを……守らなきゃって……決めたのに……誓ったのに……)

ライス:(結局……また何もできないの?)

ライス:なら……神さまはどうして……どうしてライスに……食霊の命を……くれたんですか?!

 心臓が抑えきれないぐらいの痛みに襲われた。全身が感じたことのない悲しみに包まれた。

 その時、ある声を聞いた。

創世の神:吾が霊よ、泣くな。世界とは虚と実が均衡を保っている物だ。そなたはその空っぽの体を使って、時空の秩序を新生させることを望むか?

ライス:新生……秩序……?あなたさまは……この禍が……まだ起きていない時に……戻せるのですか……?

ライス:もし……本当にできるなら……ライスも……手伝わせて……ください!お願いします!

創世の神:……さすれば吾が霊よ、そなたは万物と同じ夢を見る事となろう。そして全てを、死と生すらも失う。

ライス:……………………

ライス:死と……生を……失う……?

 その瞬間、全ての物音が消え去って行った。自分の声すら聞こえなくなった。

 背が伸びている感じがした。

 御侍さまと同じくらい高くなった。

 木と同じくらい高くなった。

 屋根と、山と、空と同じくらい……

 

 目を開けると、目の前にある世界は、違う姿になっていた。

ライス(SP):これが……時空を新生させる力?

 ここは神殿のような場所。

 私はありえない角度から目の前の自分、そして悲しそうな青年を眺めていた。

創世の神:吾が霊よ、どうしてここで自暴自棄になっておる?

???:我が神よ、貴方様の子として願おう、どんな代償を払ってでもエルフの命を救いたいのです!

創世の神:エルフは既におらぬ。

???:貴方様は至高なる神であります。どうか情けをかけて、彼女を私の元へと連れ帰して頂きたい!

創世の神:そなたが彼女を有する時間は既に終わっておる、エルフは恒久の過去のものとなった。

???:貴方様が認めてくだされば、彼女を復活させられるではないですか!

創世の神:吾が霊よ、何を代償としてくれるのか?

???:私の全てを捧げます!

創世の神:後ろを見よ、そなたも、エルフも、更にはティアラの全ても、元は吾の物である。

???:貴方様の所有物?

???:……

???:いいえ、私は貴方様を愛しています。エルフを愛していると同様に。

???:貴方様を愛しているからこそ、全てを捧げたいと思っています。エルフを愛しているからこそ、彼女のためにかつて貴方様に捧げた物を取り返そうとも思っております。故に、私は誰かの所有物ではありません、私の存在と選択は、私自身の物です。

創世の神:吾が霊よ、そなたの心は霞んでおる。しかし、吾はそなたの妄執を許そう。そなたの過ちは吾の過ちであり、そなたの悪念は吾の悪念である。

創世の神:去れ。

???:……

 若者はそれ以上何も言わず、暗闇に消えていった。

創世の神:……吾が霊はどうして幾度も恒久から逸れていくのか……眠りにつく事で時空の輪を呼び覚まし、この世界を、吾の過ちを正そう……


 ……

 どれ位時間が経ったかはわからない。

 目を遮っていた暗闇が破れた。

???:絶対にこの世界を新生させるもんか!

 目を開くと、あの若者が逃げていく背中が見えた。

ライス:何が起きたの?


 自分の視界が再び変わった。その若者は光っている何かを持っていた。私は見えない糸によってその若者に繋がれ引っ張られていった。

 目の前の景色は次々と変わっていった。白い雪が降り、花畑が枯れ、滝は海に逆流し、海は凍って氷原となり、クジラは空まで跳んでいた……

ライス:この大陸の人々は悲しみ泣いている。時空の輪は元の位置を離れ、世界は既に乱れ始めていた。


 再び目を覚ました時、目の前の景色はまた変わっていた。

ライス:(ここは少し寒い、そして暗い……)

ライス:(地下に来たみたいだ……)

???:おいっ――お前!

ライス:えっ?私が見えるのですか?

???:聞こえるか?聞こえるのか?

ライス:……

???:ハハハハッ、頭おかしくなってるんだろう、時空の輪に意識があると思うなんてな!

 目の前の若者は隅の岩に体を預けて、暗闇に彼の笑い声が反響していた。

ライス:(独り言ね……でも彼の言う通り、私は時空の輪に憑依しているみたい。)

ライス:(けれど、時空の輪とは一体どんな物なの?)

???:言ってしまえば――

 突然屈んだ若者に驚いてしまった。

???:お前はこの世界で最も強い神器だが、所詮利用されるためのただの道具だ。

???:ふんっ、意識を持たず、時空を逆転させる能力を持っていても……生きているとも言えない……お前!

???:どうして――私たちの世界は!お前みたいな物なんかに!あ、や、つ、ら、れ、な、け、れ、ば、ならないんだ!

 彼は私を掴み、歯を食いしばりながら問いただしてきた。

 私たちの距離は近い。真っ赤になった彼の首に浮かぶ青筋や、血眼になっている両目が綺麗に見える程に近かった。しかしどうしてか、彼の五官は常に黒い霧に覆われていた。

 彼の声と目はなんだか懐かしい気がする、だけれど誰に似ているかは思い出せなかった。

 彼は怒っていた。私を掴む手が震える程、次の瞬間私を地面に叩きつけそうになる程に怒っていた。

 おかしいのは、私に恐怖はなかった事だ。むしろ悲しみに襲われた。

ライス:もう悲しまないで、ください。

 私の声が届かない事を知っていたが、どうしても話さずにはいられなかった。

 思いもよらなかったのは、次の瞬間、怒りに満ちた彼の両目は突然震えた。

 彼は私を放し、私は再び彼の傍に浮かんだ。彼は自分の顔を覆いながら丸まり、動物のように噎び泣いていた。微かに声が聴こえて来た。

???:エルフ……

ライス:……

精霊甲:おいおい、本当にここがあの邪神が住んでる地下宮殿か?悪魔が集まってるって噂だろ、誰もいねぇじゃねーか。

精霊乙:シーッ、静かに!時空の輪はそいつの手にある、何も備えてない訳がないだろ?気を付けろよ。

精霊丙:フンッ、恐れる事ねぇよ、人手は多いからな。しかも、創世の神は我らを味方している!邪神なんかどうって事ねぇよ!

 若者は洞窟の音から聞こえてきた笑い声を聞いて、突然冷たく笑った。

???:世界を新生させようとしているのは神自身だと、彼らがその真相を知ったら、彼らはまだこんなに身を尽くすと思うか?

 彼は顔を上げて私を見た。まるで先程崩壊していた者は彼ではないかのように。

???:そんな事はどうでも良いだろう?

???:この世界には邪神が必要だ、そして私が現れた、それだけだ。

???:お前の主は、全部計算済みなんじゃないか?

 彼は低く笑い出した。

???:……私を舐め過ぎだ……

ライス:(何を……するつもり?)

 若者は立ち上がり、私を持って外に向かって歩き出した。

???:私にこの役をくれたのなら……最後まで付き合ってやる。


 戦争、神と神との戦争。

 見た事ない筈なのに、何故か見覚えのある顔が私の目の前を過っていく。彼らが攻撃しているのは私の傍にいる彼――この世界の時空の輪を奪った邪神。

ライス:彼らは貴方に勝てない、貴方の勝ちですね。

???:本当の決闘はまだ始まってない。

ライス:えっ?

???:……チクショウ、どうしてお前と話している感じがするんだ?

ライス:うん……

???:本当に意識があるのか?あるなら創世の神を呼び出せないか?彼女をずっと待っている。

ライス:違うよ……

???:まあ良い、この世界で何が起きたのかを知れば、お前も私の傍に残ってくれないだろう。

ライス:……

 彼の言う通り、私は確かに今起きた事を把握出来ていなかった。

 一体誰が正しくて、誰が間違っているのか? それ以前に、どうして自分がここにいるのかすらわからない。

 私が唯一今思える事は、もし、この戦争がなければ良かった、ただそれだけ。

 戦争がなければ、死ぬ事はない、恐怖も悲しみもない。全員楽しく生きていけたらどれだけ良かったのだろう?

 しかし戦争は既に始まってしまった、終わらせないといけない。


 創世の神が降臨したその日、若者は私を連れて溶岩が滾る灼熱の広場の中央に来ていた。彼は私の力を使い、この時空の乱れによって燃え盛っている平原に暴雨を降らそうと試みた。この場所を住める場所にするために。

 これは良い事だと思った。手伝おうと思った。しかし私たちは相性が悪かった。

???:クソッ――また間違えた!

 足元から広がっていく氷を見て、彼は雪にまみれた頭を振るって、私を睨んだ。

 彼の視線はナイフのように鋭く、もし自由に動けたならきっと逃げていただろう。

ライス:申し訳、ありません……

 しかし彼にとって、今の私はデタラメにスキルを発動し、空中で自転する能しかないダメな神器でしかなかった。

 勿論彼は聴こえない謝罪を気にする事なく、再び俯いて天候を変える魔法陣を研究し始めた。

 しかし、嵐は突然やって来た。

ライス:!!!

創世の神:吾が霊よ……

 目の前に私と同じ外見を持った人が現れた。その人は私ではない。だけど私の姿をしていた。違和感が拭えない。

???:……やっと来たか。

創世の神:そなたは吾の花園を乱した。新たな芽が芽吹く筈だったが、旧土の茨を蔓延らせた。故に、そなたは永遠の罪を背負い、無限に追放される。

???:ハハハハッ、おかしいだろ!

???:追、放……貴様が私を創り、この世界を創ったから、草花と同じように好き勝手にして良いと言うのか?

???:草花であっても、生きるかどうかを選択する権利はあるだろ?

創世の神:吾はそなたに与えた知識と力を回収す。

???:……私にくれた物は、私のだ。

???:回収したいのか?実力で奪ってみろ!

 長い間、大雪が降っていた。

 どうやって止めるべきかわからない、魔法陣を描いた人は既に倒れてしまっているから。

 私はただの神器、使う人がいなくなれば、何の役にも立たない。

ライス:またこの様な……無力感……嫌いです……

ライス:え?どうして「また」なんて?

ライス:何かを忘れているような……

 寒すぎたせいか、私の意識も徐々に凍り付いていき、周囲の変化に対しても鈍くなっていった。

 突然、ある手が私を支えた。

創世の神:茨は既に取り除いた。未来の木は、そなたによって最初の種を蒔かねばならん。

ライス:えっ、私に、話しかけているのですか?

創世の神:そなたが想う事こそ、吾の思う事なり。

ライス:…………わかりません。

 彼女はそれ以上話さず、私を連れて雪原を離れた。

 高く、どんどん高く飛んでいく。下を見ると、元あった平原はいつの間にか高原となっていた。溶岩にまみれた地は、連綿と続く真っ白な八つの山が立っていた。

 熱風の中必死で魔法陣を探っていた若者を思い出した。彼が消える時、願いは一つも叶っていなかった。

 彼は炎を消す雨を待てなかった。

 彼を慟哭させるエルフを取り戻せなかった。

 彼は彼の決闘に勝つ事が出来なかった。

 彼は……

創世の神:世界よ新生せよ。

ライス:……何?待って……!

 より一層高く飛び、いつの間にか全ての物音が聞こえなくなっていた。

 私は宇宙の中で、魚の形をしている星が二つの恒星の間を秩序立って泳いでいるのを見た。そして突然、前進する事を止め、逆行し始めた――

 懐かしい情景が数千回、数万回繰り返しているようだった。

 私は若者が倒れる前、流れた一滴の涙を見た……

 あの溶岩の下、魔法陣に守られている人々が、天災が終わるのを待ち続け、いつか故郷へ帰る日を待ち望んでいる様子を見た……

 ある大陸が海に覆われ、ティアラの半分が海水に沈んだのを見た……

ライス:……しかし……彼らは……彼らはまだ……!

???:――お前はこの世界で最も強い神器だが、所詮利用されるためのただの道具だ。

???:――ふんっ、意識を持たず、時空を逆転させる能力を持っていても……生きているとも言えない……お前!

???:どうして――私たちの世界は!お前みたいな物なんかに!あ、や、つ、ら、れ、な、け、れ、ば、ならないんだ!

ライス:――「自由」を得られていません!

 ……………………

 ………………

 …………逆行が、止まった。

 私は一つの嘆きを聞いた。

ライス:創世の神様?

創世の神:何度も繰り返して来たが、そなたはまた同じ選択をした。

創世の神:この旧土には既に多くの欲望と悪念が生まれている、しかしそなたはいつも成長させる事を選ぶ。

ライス:復元を止めたのは、私ですか?私は……私は命令に従うだけの神器であるとばかり……

創世の神:そなたが想う事こそ、吾の思う事なり……その逆も然り……

創世の神:吾が霊よ、次の選択を……待っておる。

ライス:……えっ?


ヒレイナ

レストラン

主人公:ライスライス

ライス(M):ん?えっ?

主人公:鏡の前で何ボーっとしてるんだ?

ライス:うん……

ライス:さっき……じぶんが……大人になった姿を……見ました……

主人公:えっ?

主人公:あはは、ライスも自分の見た目が気になる歳頃かー?

ライス:ええっ?

主人公:ライスが大人になったら、きっと美人になるだろうな!

主人公:でも私たちのライスは、ずっと子どものままでも大丈夫だぞ!

 ○○はライスの手を引いて、一緒に出掛けた。

 陽ざしは誰も映していない鏡に反射し、窓の上に星空で泳ぐ一尾の魚を映しているように見えた……


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  • RPG(ロールプレイング)
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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