SPB-52カクテル・エピソード
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SPB-52カクテルのエピソード
人間の邪悪な党に連れ去られて、研究と変革をした後、B-52カクテルは感情のない殺人機械として登場する。強力なパワーを持ち、システムで設定した「マスター」に従う。
怪我する時と研究期間中、彼は巨大なペトリ皿の中で休む。
Ⅰ
……
……ここは……どこ……
研究者:霊力圧5814、意識入力15%、個人の意識を洗浄する必要がある。
研究者:チッ、面倒だ。たかが機械だろう?ちゃんと手順通りに作業すれば良いだろう。
研究者:無駄口は止めた方が良いぞ、 課長はもうすぐ帰ってくる。 もし教授が帰って来て、まだ洗浄が終わってなかったら怒るだろうな。
研究者:はあ。私も他の部署に異動したい。毎日この怪物たちと接してたら、 いつか命の危険があるかもしれないだろう。
研究者:誰だってそうだ。でもなんとかうまくやってるじゃないか、 こいつはまだ話を聞く方だし、暴走した事もない。 近くの実験室の試験品たちを見てみろよ、 自爆しただけじゃなくて、道連れにされてたからな。
研究者:はあ、そうだな。意識洗浄を再開する。
研究者:霊力制御液オン、注射を開始する。
B-52カクテル:......
研究者:!!!彼が目を開けたぞ! 鎮静剤の注射は?!
研究者:鎮静剤の効果によって、 彼は少なくともあと5時間は目覚めない筈だ!どうして今目を覚ました?!
研究者:今はどうしたら良い?!
研究者:鎮静剤の量を増やせ!
研究者:しかし......
研究者:しかしも何もないだろう! 飛び出してきた彼に殺されるのを待つつもりか?! 早くしろ!
……寒い……
研究者:彼は......彼は身体を丸めているけど......本当に大丈夫か?
研究者:彼は怪物だぞ!教授たちの話を忘れたのか?!
研究者:......おかしな同情心を捨てる事で初めて、 この世界にもっと貢献出来る。
研究者:ダメだ、もっと量を増やさなければ。 彼が完全に正気になったら大変だ。
研究者:鎮静剤、既定の四倍、注射を開始する。
………………重い……
……
巨大な容器の中で徐々に落ち着きを取り戻していく少年を見て、 白衣を着た研究員二人はやっとホッとした。 全身をパイプで張り巡らされている少年を見て、一人は同情の視線を送った。
研究者:......彼は十代のように見える。
研究者:ハッ、彼らは召喚された時からこの姿だ。 そんなに彼に同情するなら、彼を出してからついでに隣の狂人セイレーンも救ってやれば?彼女は君の肉を千切って口に入れて食べるかもしれないよ。
研究者:......
研究者:彼は教授の最高傑作、 つまり私たちの最強の武器だ。彼がいなければ、私たちは歌声で人を殺せるセイレーンを捕まえる事は出来なかった。
研究者:あの両足とも白骨化した海妖か? あの怪物は彼が捕まえてきたのか?!あの海妖が前回発狂した時、 隣の実験室にいた全員が殺された! もし直ちに毒ガスを出して行動を制限しなかったら......
研究者:そうだ、彼でなければ、 私たちはあの怪物を捕まえる事が出来ない。
研究者:......この食霊たちは...... 一体どんな怪物なんだ。
研究者:そうだ、怪物ばかりだ。
Ⅱ
数か月前
実験室
研究者(左):あの狂人は死んだのか?
研究者(右):彼はまた自分を食霊に改造しようとしたようだ。データに何かしらの問題が起きて、結局自分を死なせてしまったらしい。
研究者(左):はぁ……本当に可哀そうな話だ。彼の好きな人、兄弟弟子そして先生も堕神に殺された後、彼は復讐の事しか考えてこなかった。飛行艇を設計するための能力は全部彼の食霊の改造に使われた。
研究者(右):……それか……
青年は注意深く後ろの培養液の中で目を閉じている少年を見た。少年は巨大な容器の中で浮遊していた。数え切れないほどのパイプが彼の体に怪しい蛍光の液体を注ぎ込んでいた。
培養液の中で浮遊しているが、彼に意識はないようだった。呼吸管の中から時々小さな泡が出ていなかったら、青年は目の前の少年が死体だと思ってしまうだろう。
研究者(左):シーッ。そうだ、これだ。
研究者(右):彼はどうして彼の食霊を……
研究者(左):狂人が考えてる事なんてわからない、彼は自分の手で堕神を殺したいと思っているようだった。研究のためにわざわざ彼の食霊を交換条件として教授にあげたそうだ。もう良いだろう、まず彼を取り出そう。
研究者(右):取り出す?
研究者(左):ああ。彼の個人の意識はあと3%しか残っていない、外に出して任務をこなしてもらう。
研究者(右):前回はどういう状況だったんだ?彼の個人の意識は30%まで戻っていたようだったじゃないか。
研究者(左):壊滅任務を遂行していたそうだ、あの人たちを見て情に流されそうになったんじゃないか?
研究者(右):……彼には人間性があるって事か?
研究者(左):ハッ、人型の武器に過ぎない。人間性なんていらないだろう。人間性があったとしても、彼自身を苦しめるだけだ。
プシューー
研究者(左):あっ、出てきた。コードネーム01352。これが君の次の任務だ。
容器の中の培養液が段々抜けていくにつれ、分厚いガラスは空気の抜ける音と共に開き始めた。少年は容器の中で座り込んで項垂れていて、生死がわからない。
研究者(左):コードネーム01352?
B-52カクテル:……
研究者(左):起きろ、命令を実行しろ!
容器の中に座っている少年はゆっくりとそして機械的に顔を上げた。その青い両目は徐々に体に注がれている液体と同じ赤色に染まっていった。
研究者(左):……
目標人物識別中……
研究者(右):彼は……どうかしたのか?
研究者(左):いや、教授は彼が命令を拒否したり、他の人に連れ去られたりするのを防ぐため、彼に命令していた。
研究者(左):これは今回のターゲット、辺境の国の女王と彼女の食霊だ。彼女たちは近い将来戦争を引き起こし、その惨劇によって大量の死者を出す可能性がある。
目標を確認出来ました。指令を受け取りました。
研究者(左):所以你的任务是在一切发生之前杀死女王,不惜一切代价带回她的飨灵,如果带不回来就处理掉。将一切伪造成内乱的样子。有必要的情况下,允许大规模杀伤。任务时限。三天。
B-52カクテル:指令受信中……指令が受信されました。
Ⅲ
ゴロロ――
空をも貫く炎、それはB-52が目を開けた時最初に見た光景だ。
炎は彼の皮膚を溶かす程に熱く、熱い炎は砂利と共に、次々と爆発して大地を震え上がらせた。
B-52カクテル:……
周囲から凄まじい悲鳴が聞こえてくる。残骸の下でもがきながら伸ばした手は震えながらゆっくりと動きが止まった。
B-52カクテル:……
死亡が確認されました。
B-52が何かリアクションをする前に、彼の体はコントロールを受けずに前に進んで行った。
タッタッタッ――
遠くから足音が聞こえてくる。その足音の主はとても焦っているようで、覚束なく転んだりしたが、すぐに立ち上がってまた足音が聞こえてきた。
それはハイヒールで地面を蹴っている音だった。
それは走るための靴ではない筈。
炎はB-52の足を妨げる事はなかった。その足音は徐々に近づいてきて、足音もだんだん緩やかになっていった。
スターゲイジーパイ:御侍さま……御侍さま、もう走れません……ふぅ――ふぅ――
???:スターゲイジーパイ!立って!走り続けて!止まらないで!
スターゲイジーパイ:御侍さま……私は……本当にもう走れません……
この二人の声はB-52の耳に届いた。
スターゲイジーパイ:誰?!助けに来てくれたのですか?
ターゲットロックオン。
B-52カクテル:……
???:スターゲイジーパイ!行かないで!
壊れた宮殿の中、高貴な女王だった彼女の頭は力なく項垂れた。彼女の両目は死ぬ瞬間になっても目の前の少年を必死に見つめていた。
殲滅モードオン。
彼女の目の底には火花が燃えていた。
しかしこの時、その火花は、徐々に、徐々に、消えていった。
スターゲイジーパイ:ああああああ、ああ、わたしはあなたを殺す!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ロックオン。
ドンッ――
殲滅します。
Ⅳ
研究者(左):持ち帰れる可能性が15%以下だったから、殺したのか?
研究者(右):プログラムには何の問題もない。ひょっとしたら彼はまた個人の意識を取り戻しているのか?
研究者(左):まさか。理論上、個人の意識が5%以下になると、取り戻す事は不可能だ。とにかく、もう一度洗浄してみよう。
研究者(右):……彼の魂だったり……
研究者(左):兵器に魂があるわけがないだろう?君は研究者だろう!
研究者(右):……
研究者(左):覚えておけ、私たちがやっている事は全て人間のためだ。犠牲は付き物だ!今回は、以前の記憶も一緒に消去しよう。
研究者(右):……わかった、メモリ洗浄プログラム、起動します。
B-52カクテル:……記憶……魂……
B-52が再び目を覚ました時、見慣れた混乱した景色が広がっていた。
まるで彼は永遠に血の海の中に現れるかのように。
B-52カクテル:……
???(パスタ):リオ……リオどうした?!……目を覚ませ……目を覚ましてくれ!ここで、ここで何があった?!
B-52カクテル:……
???:御侍……そうだ……御侍の奴は…
B-52カクテル:……
B-52も状況を把握できていなかった、彼は無意識に赤い髪の人物の後を追った。
その赤い髪は炎が渦巻く旋風の中で靡いていた、それは石に掛かっている血よりも鮮やかだった。
パスタ:おいっ!馬鹿者!目を覚ませ!寝るな!
???:……パスタ……早く……みんなを……救って……
パスタ:馬鹿者!寝るな!!!目を覚ませ!!!!!
女の子:パスタのお兄さん――うわぁん――
パスタ:ティナ、どうなっているんだ?
女の子:うううう……お兄さんは、お兄さんは私を守るために怪我をしたの……うわああん……みんな死んじゃった……
パスタ:ティナ、一体何があった?!
傍に立っていたB-52は、小さな女の子がパスタの懐に飛び込み号泣しているのを見ていた。そして彼女は自分を見た瞬間、顔全体が青ざめた。
女の子:彼!彼だ!彼がみんなを殺したんだ!
パスタ:……
B-52カクテル:ターゲット識別中…
B-52カクテル:システム情報を確認します。ターゲット識別、パスタ。指令、持ち帰るまたは殲滅。
パスタ:……貴様か……ははは……貴様だったのか……ははははは……見つけた……
B-52カクテル:……
パスタ:どこに行っても、逃げられないのか?ははははは……はははははは!!!!
骨まで灰になる程の炎はたちまち目の前の赤い髪の青年を呑み込んだ
パスタ:どれだけ掛かっても!どこにいても!どの世界に行っても!私はきっと貴様に代価を払わせる!
パスタ:死んでも構わん!次の世界で貴様を見つけだす!貴様の悪夢になってやろう!貴様のもたらした全てをそっくりそのまま返してやる!
パスタ:待ってろ!次の世界できっと貴様を見つけ出す!!!!!待ってろ!!!
凄まじい咆哮、まるでこの炎は彼に少しの痛みももたらす事が出来なかったかのよう。その赤い髪の青年はそのまま炎の中に消えていった。燃えて黒炭になったとしても、彼の表情は相変わらず獰猛だった。
少しずつ消えていく青年を見て、B-52はまるで何事もなかったかのように冷静だった。
しかし次の瞬間、彼は倒れた。
Ⅴ
数え切れない程の人影が脳裏を駆け巡り、煉獄の血の海の中で見知らぬ顔が大火に吞み込まれていく。
彼らは叫んでいた、吠えていた、手を伸ばして少年の首を掴んだ。
しかし、次の瞬間、これらの人影は徐々に、少しずつ消去され、白い紙の鉛筆の文字のように消去されていった。
しかし……薄く痕跡だけを残して……
B-52カクテル:……
研究者:どうして今回のターゲットを殲滅した。今回のターゲットは持ち帰れる可能性が68%もあっただろう。
B-52カクテル:……
研究者:……もう良い。長い間使っていれば、いくら良い機械だとしても問題は出てくる。今回の検査の後、教授に内部の部品を交換して貰え。
B-52カクテル:指令……エラー……
研究者:何?どこに問題があったのか……新たな指令だ。今回の検査の後、サイモン教授の所へ行って部品を交換しろ。
B-52カクテル:……指令の受信に成功しました。
研究者:もう良い
半日後。
晴れた夜空の上、目立たないコートに着替えた少年は、翼を広げて非常に速いスピードで飛んでいた。
ギシギシ――
翼から音が聞こえて来たため彼は振り返った、すると次の瞬間、彼はバランスを崩し落下した。
主人公:ききききき、君は誰?
B-52カクテル:……
数ヶ月後、ミドガル。
B-52カクテル:気をつけてください。
主人公:B-52……みんな……大丈夫?
B-52カクテル:……
B-52カクテル:心配しないでください。僕はいます。
主人公:B-52?どういう意味だ?!全部私に渡したら、君は?!君はどうするんだ?!
B-52カクテル:……後で君に会いに行きます。
炎に呑み込まれていく少年は、飛行装置を付けられて遠ざかっていく○○を見ていた。彼は機械的で、不自然な笑みを微かに浮かべた。
B-52はゆっくりと目を開けた、自分の翼から聞き慣れた軋む音が聞こえて来た。
どうしてか、彼は少しホッとして目を閉じた。故障した機械の翼は動きを止め、真っすぐ落下していった。
主人公:君は…君は誰だ?
B-52カクテル:カクテルB-52です。よろしくお願いします。
主人公:よ、よろしく。いや?!じゃなくて?!どうやって入って来たの?!
B-52カクテル:天井からです。
少年はプログラムに乱れが生じる程に見慣れた顔を見て、口元で誰にも気づかれない程の小さな弧を描いた。
主人公:B-52?笑ってるの?!笑ってるんでしょう!どうした?何かあったの?嬉しいの?
B-52カクテル(UR):……いいえ。
主人公:早くおいで!
B-52カクテル:はい。
例え何度再起動しても、少なくとも今回は自分の選択に従って、この人の傍に居続けよう。最期まで。
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