佛跳牆・エピソード

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佛跳牆のエピソード

それが海山の珍味であろうと、富と名声であろうと、手が届くものなら何でも欲しくなる性分。そのため、いつも忙しい。友人には気前がいいが、御侍には関心が薄いように見える。

Ⅰ 謎の誘い

「じゃあ、この誘いは受けるのか？」

金箔を貼られているこの招待状はかなり高価なものだけど、誰からの誘いかはわからない。

御侍は丁重にそれを持って、食い入るように招待状に書かれた内容を数回読んでようやく決心した。

「もちろん行く。招待状だけでもこれほど高価なら、行けば必ず金になる」

御侍の興奮した顔を見て、俺は否定しなかった。まずは共に行ってから、招待状を送ってきたのがどんな相手なのかを確認しよう。

俺の御侍は成功した商人だ。世間が思った通り、彼は金がなによりも大事な人で、金のためなら手段を選ばない。

利益しか求めない御侍の経営手段より、俺は求学から帰って家業を受け継いだ長男の経営方法を気に入っている。彼は信義を基本に、善を持って他人と接し、約束を決して破らない。

その夜、俺は御侍と共に約束の場所にやってきた。

ここは廃棄された屋敷、庭には一本の槐と涸れた井戸がある。風の音は鬼の鳴き声みたいに聞こえた。御侍は不安そうに回りを見渡す。

その時、黒マントを羽織り凶獣のマスクを被ってる二人が突然現れた。彼らの格好は招待状を送ってきた人と全く同じだ。

近づいてきたら、彼らは御侍と俺に、まず目を覆ってから集合地点に連れて行くと言った。

御侍はしばらく不安そうに呟いたら、「なるようになれ」と言って、目隠しを了承した。

俺は目隠しくらい別にどうでもいい、そんなことよりこの謎の集会に興味がある。

目隠しされ、いつの間にか現れた輿に乗り、揺られ始めた。長時間の揺れの中、同朋の足音しか聞こえない。

再び風の音が聞こえたとき、俺たちはもう目的地についた。

目隠しを取り、俺と御侍は京で見たことのない高閣の前に居た。周囲を見渡す暇もなく、俺たちは黒マントに中に連れられた。

閣内部の飾りはとても煌びやかで、空間も広い、たくさんの黒マントが同じマスクを被って二列に座ってる、俺と御侍だけが素顔だった。

彼らはどの方向に注目してるのかはわからないけど、俺を見ながら呟いているような気がして気分が悪い。

場の雰囲気に押された御侍は俺の後ろに隠れた。

「承天会へようこそ」

一番前に座ってる黒マントは歓迎しているように俺と御侍に両腕を広げた。

俺と御侍を末席に新しく設けた座席に座らせたら、彼は俺たちをここに誘った目的を説明し始めた。

承天会、それは国の運営を支えている機密機関である。彼らは背後で国の財政を操り、皇位の変更にすら影響を与えられる。

彼らはずっと国の更なる繁栄のために能力のあるメンバーを探している。

御侍の財力なら、彼らにとって大いなる助力になれる。

その見返りとして、彼らは御侍を平民から士族に昇格してくれるらしい。

名誉と利益、それは誰しも求めるものであり、俺も変わらない。

この取引は確かに魅力的だ。でも俺は黒マントの話し方に疑惑を感じた。

そもそも俺が好きなのは自分の力で手に入れたものであり、他人に恵んでもらったものじゃない。

俺がいるこの国は建国以来ずっと世襲の名門に操られ、建国の皇帝も名門の助力で戦乱を平定したそうだ。

名門の者が朝廷で中枢の要職に就き、平民出身の官員などほとんどいないし、庶民が自分の階級を変えることが極めて難しい。

俺はこの情勢を知ってるし、今は御侍と共に財を増やすことしか考えていない、高い階級に登るのはそのあとのことだと思っている。

マスクを被ってるこいつらは何者なのかは知らないが、その言い方では名門の関係者であることは間違いないだろう。

ただ、なぜ一から財を築いてきた御侍を選んだのだ？

こいつらが言ったように、御侍の今の財力がある故に、上流社会に入る可能性が生まれたかもしれない。

しかし……

後ろで驚喜の顔になった御侍を見て、彼は既にそいつの話を信じたと俺は悟った。

俺は心の中でため息をついた。

やはりな……欲深い人間はたぶらかしやすい。

Ⅱ 危険な秘密

最終的に御侍を信じ込ませたのは、マスクを取った承天会の一人、彼は自分に今日の成功があるのは承天会の官員のおかげだと言っていた。

御侍はその官員を知っている。彼に賄賂を贈ったことがあるから。

あれは庶民出身の高位官僚だ。彼は才能があって昇進したと世間は思っているが、彼は他人からの恩恵があるから成功できたと自称している。

打ち破られた空像はまるで冗談みたいだ。

俺はより強く承天会を不信に思った。

承天会から御侍を誘ったくせに、忠誠を示すために三つの任務をこなせと言ってきた。

御侍はすぐに了承した。俺が止めに入る暇も与えずに。

一つ目の任務は、御侍の傘下にある店舗を引き渡すことだ。全部ではない、数軒だけでいいとのことだ。

俺は全く驚かなかった。この要求はただ御侍を試すだけのものだから。ただちょっと意外と思ったのは、奴らは真っ先に御侍の立身の基本を要求してきたことだ。この後どれほどのものを要求するかしれたものじゃないな。

もしこれはただ御侍を試すだけなら、奴らが本当に欲しいものはなんだというのだ？

御侍は数日考えて最後数軒売り上げがあまりよくない店を承天会に渡した。家業を引き継いだ長男はすぐそれに気づいて、帳簿を持って御侍を詰問した。

俺は血相を変えた長男を止めようとしたが、御侍に下がらせられた。

最後に一目御侍を見て、俺は言われた通りに書斎のドアを閉めた。彼は承天会のことは包み隠さず長男に話した。

長男のあれほど驚いた顔はかつて見たことがない。これは後日の出世のための犠牲だと御侍が言い出すまで、彼は唇を震えさせ、なかなか落ち着かない。

「佛跳牆、これは本当なのか？」

「聞いた通りだ」

この不思議なことに対して、長男は俺に確認する。俺は肯定したが、心にある全てを話さなかった。

俺は徐々に落ち着いてきた長男を観察して、彼は御侍のやり方を受け入れたように見えて、キツく握った拳が彼の本当の気持ちを暴露した。

俺が知る彼なら、恐らく俺たちが考えもできないことをしてくるだろう。

俺の予想通り、やはり長男は動いた。

今回の「親御相談」の数日後、俺は偶然長男の食霊がこっそり屋敷の裏門から出て行ったことに気づいて、彼の後を付けることにした。

彼の行き先はとても隠蔽で、後をつけられないように細心の注意も払っていたけど、予め準備しておいた俺には気づかなかった。

彼は会った人物と何を話したのかは聞こえなかったが、その人物に渡した封筒を見て、恐らく承天会は既に秘密じゃないようだ。

「清蒸武昌魚、アンタと公子は何をしようとしているんだ？」

その人物が離れて、清蒸武昌魚も引き返そうとしたところ、俺は彼を阻み単刀直入に聞いた。

清蒸武昌魚は驚いたものの、慌てなかった。

けど彼には言い訳を用意する暇もなかった。

「公子と俺は、この既にコントロールを失った国を救おうとしている――このことは誰にも言わないでくれ、佛跳牆、皆のためだ」

「コントロールを失った……」

これは最適な形容ではないだろうけど、俺は賛同せざるを得ない。

この国の最高権力者ですら他人の操り人形だとすれば、国そのものの運命も他人に委ねることになるんじゃないか？

そして俺の御侍も、今やいつ他人に利用されるかわからない捨て駒でしかない。

哀れなことだ。

「アンタらがやっていることはとても危険だ」

「俺も公子も、命を捨てる覚悟はもうできている」

「ふ、アンタもわかってるはずだ、もしバレたら、お前らだけじゃない、御侍――一族全員が道連れになるかもしれない。この危険性がお前らの覚悟だというのか？」

「……」

「俺に気づかれるくらいだ、あの『天にも届く』組織もいずれ気づくだろう。早くやめるか、もっと慎重で徹底的にやるかのどっちかだな。今回は見逃してやるが、俺はアンタらと共倒れするつもりはないぞ」

「……わかった。今度は気をつける」

俺に気づかれて以来、武昌魚は更に慎重になった。

しかし、俺が彼らの計画に気づく前、承天会は既に彼らの意図に気づいたことに、俺たちは気づいていない。俺たち全員が、奴らの捨て駒でしかない。

Ⅲ これは借りだ

「どけ佛跳牆！俺は御侍を連れて行くんだ！」

「落ち着け！」

「落ち着けだと！？御侍はもうすぐ承天会に渡されるぞ、落ち着けるか！」

「落ち着かないと、アンタも公子も無事では済まないぞ！」

俺は長男の部屋に入ろうとする武昌魚を阻止した。彼を撃退したらその急所を狙って、怒り狂った彼を庭に引き止めた。

彼の気持ちはわかる。俺も承天会から長男を渡せと言われたから。そして御侍は本当に長男を閉じ込めて、俺に承天会の人が来るまで見張れと命じた。

「頭を冷やせ！よく考えろ、今の状況になったのは、アンタらの連れはとっくにバレたってことだ、これからどうするつもりだ？」

俺に恫喝され、理性を失いかけた武昌魚はすぐに冷静になった。

「……俺たちの事業は終わらない。他の奴らは勝手に逃げるだろう。今俺が御侍を連れだせば、きっとまだやり直せる」

「ふん……事業？当ててやろう、アンタらの救国計画は皇帝に関係あるだろう。アンタらはいままで承天会の存在を知らなかった。皇帝は名家に脅迫されて民と国に利益のある政策を下せないと思っている。違うか？」

「……」

「承天会と名家の関係も推測できただろう、しかし情報伝達の過程でどこかでそのことがバレた。俺かもしれない、皇帝の近辺にいる奴かもしれない、或いは……アンタら内部の奴かもしれない」

「あいつらのはずがない！」

「ふふん、どうやら当たったようだな。でも奴らなぜもっと早く動かず、今になって公子に手を出そうとするんだ？」

「……知らない」

俺はため息を吐いて、彼の腕を叩いた。

「俺もそのことが気になる。もしかしたら、奴らは公子のために御侍を招いたかもしれない……もう帰れ、明け方また来てくれ。ぼさっとするな、いけ、後できっと望む通りになるから」

武昌魚を帰らせたら、俺は懐中時計を取り出して時間を確認したあと、ある方向を見て指を動かす。

彼らがここを出る前、もう少し手助けをしてやろう……

明け方、約束通り武昌魚がやってきた。

庭を守衛してるのは俺一人だけだ。俺は武昌魚を荷物を片付け終えて待ってる長男の前に連れて、二人が抱擁しているところを見て、早く行くように催促した。

「荷物には十分な金を置いた。国を出るルートも公子に渡した。途中にはいくつかの秘密な避難所がある。全員俺が以前御侍のために商売してきたときに知り合った友人だ。彼らは助けてくれる事を了承した。ここを監視してた承天会の食霊は俺が片付けた、安心して行くといい……この国を変えられる十分な力があったらまた帰ってこい」

長男も武昌魚も驚いた表情になった。武昌魚は俺の腕を掴んで、俺と向き合った。

「なぜ助けてくれるんだ？奴らはいったいどれほどの勢力なのかはまだわからない。こんなことをしたら、大旦那だけじゃない、お前まで――」

「個人の利益のために家族まで売れる人は、何をやらかしてもおかしくない。いつか俺も彼の野心の犠牲になるかもしれない」

俺は武昌魚の話を遮って、手を振った。

「承天会について知ってることは少なすぎる。今は助けられるけど、これからも助けてやれるかどうかわからない。この国を変えたいなら、結局アンタら自身の力でやらないといけない。しかし……どうせこんな国で、俺が求めるものは得られない。アンタらが本当にこの国を変えられるなら、それも悪くない」

「お前の求めるものは？」

「ふふん、それは知らなくていい。早く行け」

「……ありがとう、この借りは必ず返す」

「言わずとも後で必ず取りに行くさ」

Ⅳ 三つ目の要求

公子と武昌魚が居なくなったことに御侍は激怒したけど、過ぎたことは仕方ないし、ひとまず隠しておくしかない。

しかし紙で火を包むことはできない。承天会はすぐ長男と武昌魚の逃走を知った。奴らは長男の死を御侍に齎したと同時に、御侍に三つ目の要求をした――俺を解約して彼らに渡す、じゃないと御侍は財産を失うだけじゃなく、一族も滅ぼされると。

泣きながら俺に乞ってきた御侍を見て、俺は侮蔑を隠しきれず、平静に彼に聞いた。

「武昌魚は？公子は殺されたそうだが、武昌魚も死んだのか？」

「武、武昌魚？知らない、彼に関しては何も言われてない、もしかしたら一人で逃げたかもしれない！」

武昌魚は主を見捨てて逃げるはずがない、彼自身も被害に遭ったのなら話は別だが。

俺は突然一つの考えを浮かべた。

まさか……長男の排除はただのついでで、本命は食霊である俺と武昌魚を手に入れることなのか？

この突拍子もない考えに俺自身ですら戸惑った、命令に従わない食霊を手に入れてどうするつもりだ？

「佛跳牆、助けてくれ、俺が召喚しなかったら、お前はこの世に生まれてこなかっただろう……」

「わかった、行く」

御侍の情けない乞いはもう聞きたくないから、それを遮って、了承した。

御侍の背信行為は自分の悲惨な未来を決めた、これを機に契約を解除しといたほうがいいだろう。後は武昌魚を助け出して、ここを離れるだけだ。

俺はなんの未練も残さず、抵抗もせず屋敷を離れた。

俺が全く抵抗しないことは予想しなかっただろう、承天会は俺を押送するために食霊を一人派遣した。

最初は、その食霊も俺がいつか暴れだすかと警戒してた。承天会の縄張りに入ったら、その警戒も緩んだ。

連れて行かれた場所は飲氷台と呼ばれてるらしい、何やら実験をするための場所だとか言ってた。

飲氷台に入り、奥まで行ったら、引渡しのところまで辿り着いた。

これを機に、俺は警戒を解いた食霊に不意打ちをかけた。引渡し相手の食霊は少しびっくりしたあと、俺に構わず通路にいる人間を全員張り倒した！

「アンタ……何者？」

「俺は金華ハムだ、清蒸武昌魚を助けてくれ」

「武昌魚はここにいるのか？」

「あ、ついてきてくれ」

緊急時だ、ひとまずこの食霊を信じるしかない。

金華ハムは承天会とかなり深い関わりがある。彼は飲氷台の配置に詳しい、俺を連れて通路を歩く間は誰にも疑われなかった、だから守衛に不意打ちをかけることはかなり簡単だった。

すぐ、彼は俺を武昌魚が閉じ込められた部屋に連れてきた。気を失っている武昌魚は台の上に縛られている、周囲にはたくさんの幻晶石と名も知らない金属でできた工具がたくさん置かれている。

「……これは？」

「奴らの実験道具だ……奴らはずっと強制的に食霊と契約する方法を探している」

「何！？」

「食霊をより多く手に入れればより強い戦力が得られる。その時、奴らはこの国だけでなく、他の国も……光耀大陸すら手に入れられるかもしれない」

「……それが奴らの目的か」

「俺は武昌魚に助けられることがある、今その借りを返す、早く彼を連れて逃げるといい」

武昌魚を縛る鎖を解き、俺は彼を背負い、金華ハムについて隠し通路から逃げる途中、ハムの過去を聞き出そうと試みる。

だが彼は自分の事を話そうとせず、ただもう承天会の被害に遭う人を見たくないと言ってる。

「アンタは一緒に来ないか？」

「やめておこう……俺の事情はここでしか解決できない。アンタらの避難所はもう用意した、俺を信じてくれるなら、武昌魚を連れてあそこに行け。承天会の相手をするのは怪我が治ってからだ。その時俺がまだここにいたのなら、最大の助力をしよう」

「……ではお大事に」

決意を決めた金華ハムを見て、俺は説得を諦めて、武昌魚を連れてここを離れた。

人にはそれぞれ追い求めるものがある。その報酬も、或いは対価も自分で背負わなければならない。

この国は俺の求めるものがないから、俺はここを離れて、他の場所に行って新しい始まりを探す。

でも俺の知人たちは皆、ここに故郷を持っている。

未来において彼らは何を選ぼうと、俺は他の場所で彼らの選択を見守ろう。

Ⅴ 佛跳牆

佛跳牆が離れてすぐ、佛跳牆の御侍は謀反の罪人を逃がした罪で罰せられた。

佛跳牆はその結末を離れる前に既に予見した。佛跳牆にとって、それは息子と友人を切り捨てた奴の当然の末路だ。

御侍が息子を承天会に引き渡すつもりだと知ったとき、佛跳牆は既に自分の将来を計画し始めた。

追いつかれる可能性の高い陸路より、彼は危険だけど追いつかれる可能性の低い海路を選んだ。

彼は御侍の商売を整えるときに蓄えた貯金で頼れる人に商船を買ってもらい、出航の準備に入った。

このように、佛跳牆は清蒸武昌魚を連れて金華ハムに用意してもらった避難所に辿り着いた。そこで、清蒸武昌魚は廬山雲霧の治療を受けた。

佛跳牆は清蒸武昌魚に金華ハムに助けてもらった事も、彼は一緒に来なかった事も話した。

清蒸武昌魚はため息をついて、それ以上何も言わなかった。

佛跳牆もそれ以上聞かず、懐中時計で時間を確認して、キッチンに清蒸武昌魚の薬を煎じにいった。

清蒸武昌魚の怪我がまだ治っていないうちに、佛跳牆は避難所を出た。清蒸武昌魚は必ず生まれたあの国に戻って、御侍を殺したあの影で国を操ってる奴らに復讐するのだと分かってたから。

佛跳牆は承天会に興味がない、彼の目標はそこにない。

この国の外にはもっと広い空が広がってる事を、彼はとっくに知ってた。そこでならば、彼は自分の才能を存分に発揮して、自分の名前をもっと広く轟かせ、更なる財を集める事ができる。そうすれば彼は欲しいものを全て手に入れられる。

――もちろん、承天会のような自滅みたいな方法は使わない。

この地を離れた佛跳牆は一人と一隻の船だけで、簡単な輸送と護衛から始め、陸で店を構えるまでかなり苦労した。

その過程で、彼は信頼できる兄弟と知り合った、頼れる仲間ができた。やがて強大なチームを組み、商売はますます大きくなった。

佛跳牆は商売に専念すると同時に、復讐のために国に帰った友人の事も忘れなかった。彼はずっと友人のことを気をかけ、必要があれば援助もした。

例えば、正体がバレた清蒸武昌魚が追われたとき、しばらく彼を船に避難させたとか。

その度にまた一つ貸しだ、いずれ取り戻すから復讐のために無理して死ぬことのないにようと、佛跳牆は清蒸武昌魚に言う。

ただ、佛跳牆は一度も借りを返せと清蒸武昌魚言ったことがない。彼はいつもこうやって清蒸武昌魚に冗談を言う。

「いつか、その借りを全部取り返すから」

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