【白猫】ミッドサマー・オペレーション! Story4
story
「私はしばらく、お父さんのそばにいるよ。
時間が空いたら顔出すかもだから、みんなでたくさん楽しんで♪」
…………
メエ――ーッ!!!
動き回るには向いてないけど、水が入ってこないスペースを確保できるわ!
アタシの人脈を駆使して、すでにたくさんのひとを!呼んで!あるのだから!
人数分の<水羽衣のルーン>も、ギルドに頼んで手配済みよ!
楽しい楽しい、海底お花見の幕開けよー!!
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よし、日陰スペース完成!これでジークがいつ来ても――
あ、きたきた!遅いぞー!
…………
いまもこうして、一緒に、今まで見たことのないような素敵な景色を見てられる。
お姉ちゃん、嬉しいぞ。
w受けなさい!これが、私とボールの絆の力!
wひゃ――!?!?
<<>
それはそれとして、謝るわ!サモンカードもビーチバレーも危険行為はご法度だもの!
や、きたきた!呼び出してごめんねー。
……あのさ……
ちょっとだけ……付き合ってくれない?
ほら、こっちだぞー☆
あ、そこ!岩で手、切らないようにね!
うわ、足元、力二さん!挟まれちゃう!
頭上にわかめ!顔にひっついちゃう!
……そんなに心配しなくて大丈夫?
あはは、ごめんごめん。お姉ちゃんのクセでして……
……よしっと。ここら辺でいいかな?
ごめんねー?突然、付き合わせちゃって。
えとさ。実はさ。一緒にお手紙を……書いてほしいんだ。
私そういうの書き慣れてないから、君に手伝ってほしくて。
ほら、お手紙を入れるためのピンも、用意してあるんだー!
さらさら透き通ってて綺麗でしょ?私の宝物コレクションのーつです☆
そ、ボトルメッセージってヤツ♪
この夏の冒険のこと、この素敵なお花見のこと、みんなと過ごしたこと――
お手紙にちゃんと記して、このビンにね、しまっておくの。
……ううん。違うよ。
れはね、海には流さないの。
ここに、埋めていこうと思って。
夏の想い出も……この綺麗な景色も……君と、こうしている時間も……
宝箱には、しまえないけど。
誰の手にも届かない場所に、残しておきたいんだ。
そうすれば、今日が終わって、この夏が終わって、いつもの日々に戻っても……
私が海のどこかにいる限り、きっと思い出すことができるから。
この夢みたいな想い出を、いつまでも、いつまでも……
――ってね☆
というわけで、さっそく書こー!いますぐ書こー!
この夏、君が一番、心に残ったこととかあるー?
笑顔……?……私の……?
あ、あはははは……面と向かって言われると、照れちゃうなあー……
…………
でも、うん……
君がそう言ってくれるなら、私はいつまでも、笑ってるよ。
太腸みたいにっ♪
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(……樹を見ていると、嫌でも思い出してしまう)
(私たちの過去。犠牲になってきたもの)
(こんなに綺麗なのに……胸が、少し、痛む)
ルエル |
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……これが、<海に咲く桜>?
……綺麗……でしょ?
素敵な音色……ピアノ……?
海の中なら、地上とはまた違った音を奏でられる気がして。
おせっかいだった?
でも、少しだけでいいから、音色に耳を傾けてみて?
だって音楽には、力があるから。
……心が、落ち着くね。
(……ルエルちゃん、来てくれてよかったな)
あ、こんにちは!
……え?私と一緒に……ですか?
は、はい!私でよろしければ……
……あの……
何か、悩みでもあるんですか……?
いえ、少しだけ、元気がなさそうに見えたので……
もしよかったら、話してもらえませんか?
……そうだったんですか。……大変でしたね。
…………
(な、なにか……話題……!元気が出る話題………!)
って、きゃ――ーっ!?なんかふんだー!?
ううう~……ごめんなさい~……
って、きや――ーっ!?すすす、すみません!い、いますぐ離れますー!
そ、そんなに笑わないでくださいよう~……
あ、あの……よかったら、膝枕なんて、このまま……どうでしょう……?
こ、孤児院の子供たちにも、けっこう好評なんですよ。
……はい……ごゆっくり……!
……え?なにか話してくれ?え、ええと、ええと……話、話……!!
あ、えっと、じゃあ……子供たちによく読み聞かせているお話を……こほん。
――昔むかし、人間の王子に恋をした、海の精のお姫様がおりました。
お姫様は、王子に再び会うため、その美しい声とひきかえに、陸を歩くための足をもらいました。
そうして声を失ったお姫様は、それでも王子との逢瀬を重ね、仲を深めていきます。
しかし、ある日……王子に縁談が持ち上がりました。
このままでは王子は、別の誰かと結ばれてしまう……
けれど、声の出ないお姫様には、王子に伝えるすべがありません。王子への想いを――
――そこでお姫様は、得意のハーブを奏で、言葉ではなく旋律で……王子に想いを伝えました。
想いは王子へと届き、二人は末永く――幸せに暮らしました。めでたし、めでたし……
……ええと、どうでしたか?
……はい。本来の結末だと、お姫様の恋は叶わないまま、泡になって消えてしまうんです。
でも……えヘヘ。私がかってに、お話の筋を変えちゃったんです……
どうしても、お姫様に……幸せになってほしくて。
……どんな困難があっても……
諦めなければ、諦めなければ、きっと願いや想いは叶うって……子供たちに伝えたくて。
……元気が出た、ですか……?
……はい。それなら、よかったです。
もうしばらくだけ、二人で……こうしていましょうか♪
これから友達やクラスメートが遊びにきてくれるから。
ルオオオオン♪
食べながら、学園の話聞かせて!
「ひえええ――ーっ!?ドラゴンみたいな深海魚――!!
「あ、シエラだ……よかった……
「う、うん……海の底って、暗くて怖いね……
「あ、初めまして……シューマイ買ってきたから、みんなで――
騒々しいところですね。
「えひ――――――っ!?!?
「びっくりしたあ……
……まったくもー。フレイヤもエイスも……
あら、どうしたの?こんなところで?
……二人で?一緒に?
うん、いいよ。いこ♪
ふふ、抜け出してきちゃったね。
しばらく二人でのんびりしよっか?
せっかくのお花見だもんね。
それとも、どっちがたくさん花びら集められるか、競争してみる?
え、疲れるからいい?ふーんだ。
いつまで眺めてても、飽さないね……
……すごく綺麗?うん、ほんと♪
薄暗い海の中を、光の花びらがひらひら舞って……
なんだか、夜桜みたいで……
……え?ちがう?なにが?綺麗なのは……桜じゃなくて……?
ーは?わ、私……!?
み、水着……似合ってる……!?
や、やめてやめてー!じーっと見ないでよーっ!
これ、恥ずかしいんだからー!
うううう~……せっかく慣れてきてたのに……
なんかまた恥ずかしくなってきたあ~……
……ごめん、って。
う~ん。どうしよっかな~……
許してほしい?
じゃ~あ~……
ーバツとして、浮き輪、押して♪
あはははっ!遅い遅ーい!もっと速く速くー♪
えー、もう疲れた?
だめー。まだ許してあげなーい。
……あははっ!なんて、うそうそ。疲れたでしょ?
はいこれ、ジュース♪ー口あげる♪
え、いい?遠慮しなくていいのにー。
……ね?
次の夏も……そのまた次の夏も……
こうして、一緒に過ごせるといいね♪
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(……少し、騒がしいけど……)
(でも……こういうのも、たまには、いいな)
……やっぱり、ツキミさんのおだんご、美味しいです!
まさに水着ワンダフル包囲網。サマー……最高。
……あ、エマ!見つけた!
ふう……これで、ー段落かな。
こんにちは。いま着いたんだ?
うん、来られてよかったね。
……少しだけ……二人で、出かけない……?
……この辺りは、誰もいないね。
少し休もうか。ふう……
……桜。綺麗だね。
…………
ん?ううん、大丈夫。具合が悪いわけじゃないよ。
ちょっとだけ、疲れちゃって。今年の夏は……
すごく賑やかだから。
え?
疲れてるって言うわりに――楽しそうな顔してる……?
そ、そうかな?わからないや、自分だと。
……いままでの私の人生は、一人の時間が、すごく長くて――
だから、大勢で一緒の時間を過ごすことも、まだ慣れてなくて。
――でも、ぜんぜん、楽しくなくないことはなくもなくって……
あれ、こんがらがっちゃった。
そんなに笑わないでよ……
……うん。楽しい――んだと、思う。
……そうかな?そんなに変わったかな、私……?
…………
……ええと。でもね。
あなたがそう思えるような私になれたのは……
きっと、あなたのおかげ。あなたとの、出会いのおかげ。
だから、ありがとう。
……大げさなんかじゃないよ。
う……だから、そんな笑わないでって……
……え?笑いすぎたらお腹へった?
もうっ。じゃあ、そろそろ戻る?
……まだもう少し?わがままだなあ。
――あっ!ちょっと待ってて!
これ、見つけたよ!
<マリンパイン>っていってね、海の中でだけなる、幻のフルーツなんだって!
持って帰ったら、みんな喜ぶと思うけど……
――二人でこっそり、食べちゃおうか?
……うん。そうだね。二人だけの秘密。
(……静かだ……)
北方氷槍騎士団!ここに集結しましたあああ!!
黙って、桜を見ろ。騎士団は休暇中だ。
よければ後でヴィクトール殿も乗せてあげていいんだよ?同じ戦場を駆けた戦友としてね♪
クライヴも、構わないだろう?
ジルベスタでのー件以来だな。壮健そうで、何よりだ。
クラアアアアアアアアイヴ!!!僕を!無視!するな――ー!!
――風流な景色だ。
それは僕たち騎士の絆と似て、輝かしく尊いもので――
……ふぅ。何か、用か?
――わかった。付き合おう。
サメは追い払った。もう、安全だ。
それで……何の用だ。
……?特に、何も?
―――
……いや。迷惑ではない。
そう思っているように見えたのなら……すまない。
感情表現は、苦手だ。
……?さっきから、何を焦っている。
お喋りの、話題?
……無理して喋らなくてもいい。俺もその方が、楽だ。
この景観を楽しむのに――
言葉など、不要に思う。
……それでも、変わり者だな、話したい?お前は。
……水着?ああ、そうだな……
甲冑を着たまま、潜水訓練をしたことはあるが……水着というのは、初めてだ。
……俺は、正直、落ち着かない。
――なぜ?……なぜ、か……
甲冑の重みはー騎士として、国と民を背負うことの重みだ。
それを感じられないのは、己の大切なー部分を……どこかに置き忘れたようで、空虚さを覚える。
……つまらない話をした。忘れてくれ。
…………とっておきの……ー発ギャグがあるんだが。
いらない?そうか……
――!
…………
……すまない。部下たちが、俺を探している声が聞こえた。
……いや、戻るのが、嫌なわけではない。
ただ、もうしばらくは――
この静寂に、身を置いていたい。
――待て。お前が去る必要はない。
お前と過ごしている時間を――煩わしいとは、思わない。
…………
――これでも――
笑っている、つもりだ。
見渡すかぎりキラキラのひらひら!いろんな色がピャーしてますよ!
海に桜……こんな光景は、初めてです。
フナムシは……いませんよね……?おお――!
輝く桜吹雪が舞い散る景色は……心打たれるであります……!
よっしゃ!夏のお花見、全力で満喫したら――い!
「はい。なんて……綺麗なんでしょう……
……樹の声が、聴こえます。子守唄のような……とてもとても、優しい声……
これぞお花見、って感じ♪
人の心を惹きつける魔力つちゅうやつが……桜にはあるのかもしれんねえ。
じゃなければ、お花見なんて文化、きっと生まれないもの♪
ただ桜を見てるたけなんてもったいないわ!
エマちゃん、どうかな?
水着は、コスモではない。
だが――
――あの、腰のひらひら。そこから垣問見えるのは、儚き夏のー瞬のみ観測可能な、彗星のごとき鮮烈なる輝き……
あれは……コスモ……!?いや、水着だ。しかし――!
暑いだろう?夏いだろう?済ました顔してんじゃねえ深海。全身で浴びろよ、この夏を!
わからないなら拳で教えてやる!海の底まで舞い降りた、夏を届ける鋼の天使――