MTA-XXX【パンドラネメシス】
通常 | トランジェント |
---|
Illustrator:おぐち
名前 | MTA-XXX【パンドラネメシス】 |
---|---|
年齢 | 9600周期 |
職業 | 元メインフレーム所属未端管理プログラム |
- 2017年10月5日追加
- STAR ep.IIマップ5完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2020/11/12~12/9開催の「「露天湯めぐり生放送」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2021/9/2~10/6開催の「「ハイスクールセカンドシンドローム」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「オルタネイトサージ」を装備することで「MTA-XXX【パンドラネメシス/トランジェント】」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「Iudicium」。
- STAR ep.IIIマップ5のマップボーナス(+2)に名指しで指定されていた。
メタヴァースの未端世界を管理していたプログラムの成れの果て。
MTA-XXX【パンドラネメシス】【 通常 / アンテノラ 】
手にしたVOXが彼女の運命を大きく揺り動かす。
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | デスティニージャッジ |
5 | |
10 | オルタネイトサージ |
15 |
- デスティニージャッジ [HARD]
- 確率で許容数が変動する即死スキル。2行目の実際の挙動は「残りカウントが[10]になった時【50%】の確率で強制終了」なので、強制終了条件は「MISS回数10回か20回のどちらか(確率は半々)」。
- AMAZON時点で筐体で入手可能、かつノート数に関係なく7本を狙えるスキルの中では比較的使いやすいが、初期値だと理論値でちょうど7本なのである程度の育成が必要。
- オーバージャッジと比較すると、確率でMISSの許容数が多くなる・筐体で入手可能という利点がある。GRADEを上げれば上昇率も上回るため完全上位互換となる。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
プレイ環境 | 最大 | |
---|---|---|
開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | +1 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | +2 |
あり | +8 | |
CRYSTAL | 無し | +6 |
あり | +8 | |
AMAZON+以前 |
GRADE | 効果 | |
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▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
共通 | MISSでカウント [-1]/カウント[0]で強制終了 カウント[10]でMISS時 【50%】の確率で強制終了 ※初期カウント20 | |
初期値 | ゲージ上昇UP (210%) | |
+1 | 〃 (215%) | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+2 | 〃 (220%) | |
+3 | 〃 (225%) | |
+4 | 〃 (230%) | |
+5 | 〃 (235%) | |
+6 | 〃 (240%) | |
+7 | 〃 (245%) | |
+8 | 〃 (250%) | |
理論値:129000(7本+3000/26k)[+1] | ||
理論値:132000(7本+6000/26k)[+2] | ||
理論値:144000(7本+18000/26k)[+6] | ||
理論値:150000(7本+24000/26k)[+8] |
- オルタネイトサージ [ABSOLUTE] ※専用スキル
- 強制終了条件は「JUSTICE以下を出すと【1%】の確率で強制終了」。計算上、JUSTICE以下69回から生存率が50%を下回る。
運が良ければ死神の鎌よりローリスクになるかもしれないが、極限まで運が悪ければ理論値以外アウトとなる。 - いつ終了するかわからないギャンブル性からか、賭ケグルイ××MAP2以降のマップボーナス(+1)に名指しで指定されている。なお、コラボキャラに強制終了条件が同じスキルの所持者が2人もいる。
- ただし、パンドラネメシスはコラボイベント開催時点のカードメイカーから入手できず、コラボキャラのマップボーナスの方が高いので、キャラを合わせてディスティニージャッジなどの7本用スキルを使った方が無難。
GRADE | 効果 |
---|---|
共通 | JUSTICE以下で 【1%】の確率でカウント [-1] カウント[0]で強制終了 ※初期カウント1 |
初期値 | ゲージ上昇UP (255%) |
+1 | 〃 (260%) |
理論値:156000(8本+4000/28k) |
J以下:JUSTICE以下の回数
生存率:オルタネイトサージで強制終了しない確率
参考スキル:JUSTICE以下が左記の回数で強制終了する他のスキル
J以下 | 生存率 | 参考スキル |
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10 | 90.44% | 神の啓示 |
アルテマヴォルテックス | ||
音神翔 | ||
憎しみの二重螺旋 | ||
18 | 83.45% | エ゛エーイ |
20 | 81.79% | 破壊の旋律 |
30 | 73.97% | 女神の試練 |
女神の慈悲 | ||
40 | 66.90% | |
50 | 60.50% | 道化師の狂気 |
英霊の魂 | ||
ヴァーテックス・レイ | ||
暴走と孤絶 | ||
60 | 54.72% | |
70 | 49.48% | |
80 | 44.75% | しゅごいAWPレター |
ドルオタ忍法・強制剥がし | ||
90 | 40.47% | |
100 | 36.60% | ブラック・オア・ホワイト |
リバーシブルレクイエム | ||
光吉のしるし | ||
有刺鉄線の結界 | ||
世界を覇すその日まで | ||
鮮血と追駆 | ||
150 | 22.15% | 勇気のしるし |
運命の螺旋 | ||
暗黒DTMer降臨 | ||
Jack the GAME*1 | ||
200 | 13.40% | 白虹 |
口先の魔術師 | ||
225 | 10.42% | 光の奔流 |
250 | 8.11% | ドS天使 |
300 | 4.90% | 嘆きのしるし |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
- | - | - | - | - | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
- | - | - | - | スキル | |
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
闇色をした混沌の海を1人の少女が眠るように漂っている。
少女の身体はまるで陶器のように青白く、触れただけで割れてしまいそうな繊細な美しさを秘めている。
だが、その身体は背後の墓標を思わせる巨大な装備に鎖で繋がれており、彼女が破壊される側ではなく、破壊し、殲滅させる側なのだということを物語っていた。
「今日も聞こえる。ワタシを破壊に誘う声が……」
少女は溜息をつくように呟くとゆっくりと瞳を開ける。その瞳は片方が真紅に輝き、数多の地獄を覗き込む深い闇で彩られていた。
――少女の名前は『パンドラ』。
元はメインフレームよりメタヴァース末端世界の管理を命じられていたプログラムだ。
彼女はメインフレームの領域管理機能端末『VOX』を使い、メタヴァース拡張のために末端世界の領域座標を確定させ、正規の管理者が着任するまでの間、そこを一時的に管理運営することを使命としていた。
しかし……ある日、彼女のいた世界が突如、闇色の海に飲まれ、消失してしまう。
それでもパンドラとVOXは消失しなかった。その身をコールタールのような闇に侵食されながら、新たなプログラムとして機能し始める。
彼女の心と身体を侵す闇……『ネメシス』と呼ばれたそれは、人類の守護者として振る舞う秩序の世界、メインフレームへの『憎悪』と『破壊願望』のみを持ち合わせていた。
後に定義されたコードは『Metavers Trivial Admin-XXX』。通称『MTA-XXX【パンドラネメシス】』と名付けられる。
ネメシスに飲まれ変容したパンドラネメシスは、自分の中に今まで感じたことのない、マグマのような感情が根を張っていることに気が付いた。
(スベテヲジュウリンシ、スベテヲヤミニホウムレ。……メタヴァースヲハカイセヨッ!)
(……何なの? この声は? いったい誰なの?……ううん。いったい『何の』叫びなの?)
パンドラネメシスには自分の中で渦巻く怨嗟の声の正体は分からない。
ただこの声は、人間でいうところの本能に等しく、今の自分では到底逆らうことはできないということだけは分かっていた。
それにパンドラネメシスは元々末端管理者だ。絶対的な力の前に従うというのは、彼女にとってごく自然のことに思えた。
(ワタシがメタヴァースを壊す?でも……いったいどうやって?)
パンドラネメシスは自分の手元に唯一残されたVOXを見る。
変容前、彼女はこのVOXを辺境領域の確定、そしてその管理と運営、記録にしか使用していなかった。
というよりも、彼女の権限ではそれ以外の使用をロックされていたのだ。
(VOXはメタヴァースの管理機能端末、全機能を解放できれば、メタヴァース内の世界の創造や破壊を自在に操れるという……ならばこれを使って……)
そう考えたパンドラネメシスは、VOXの解析を始めたが……変異した彼女へVOXは何も反応を返すことがなかった。
ある日、いつものようにVOXの解析を行っていたパンドラネメシスの元に1人のプログラムが姿を現した。
「ほう。こんな混沌の地で、プログラムが生息しているとはな……興味深い」
パンドラネメシスの中に残されていた知識が教える。
(こいつはメインフレームだ……ハカイ、ハカイハカイハカイッ!)
憎悪は一気に沸騰し、パンドラネメシスは目の前の男を左手の鍵爪で引き裂こうとしたのだが……。
「いきなり攻撃とは行儀が悪いとは思わんのかね?ん……? お前は、まさかッ!」
刹那の攻防の間に、パンドラネメシスのデータを読み取った男は驚愕の表情を浮かべる。
「なんということだ……信じられん!ネメシスに侵食された融合体なのか! 素晴らしい!」
「貴様は何者だ?」
「私の名前は『オールドブルー』……この世界の進化を探究する者とでも言っておこうか……」
「この世界の進化……だと?」
「ああ。そしてお前は私の目指す進化の形にとても近い。素晴らしい研究対象だ……だが、まだ足りない」
オールドブルーはパンドラネメシスが抱えた物言わぬVOXに気が付くと、目を輝かせて話し続けた。
「……そのVOXを使い熟したいのか?ならば私が一部機能を解放してやろう」
「お前はメインフレームではないのか? ワタシはこのVOXで、世界を破滅へと導くつもりなのだぞ?」
「世界が滅ぼうが滅びまいが関係ない。私が興味を抱いているのは、この世界の生命体がどのように進化を遂げるかということだけだ」
「……おかしな男だ」
こうしてパンドラネメシスはVOXの機能を一部開放することに成功したのだった。
パンドラネメシスは、オールドブルーの手によりVOXの機能を大幅に拡張することに成功した。
今やVOXは使用者がパンドラネメシスであっても、世界の構築、および隣接する領域への干渉が可能となっていたのだ。
(この力があれば、世界を滅ぼすことができるかもしれない)
そう確信させるように、パンドラネメシスの内なる声は強くなる。
(ハカイセヨ。センメツセヨ……コノイツワリノカミガシハイスル、メタヴァースヲハカイセヨッ!!)
(……いったいこの声の主は誰なんだろう?)
声の主は1人のようでいて、複数のように思える。あるいは、人間ではなく獣の咆哮のようにも聞こえる時があった。
この誰のものとも言えぬ、憎しみの声についてもオールドブルーに問いかけてみた。
「さてな。以前よりこの最外周部と呼ばれる領域には、プログラムの残滓が集まると言われている。彼の死神が統治する『深淵なる終焉』とは、また異なった墓場だ。どんなプログラムが流れ着いても、おかしくはないし、お前と融合した結果、発生したバグなのかもしれない。……だが、お前のメタヴァースに対する憎悪、それはもしや……」
オールドブルーはかぶりを振った。
「……いや、よそう。研究者たるもの憶測で物事を語るべきではない……それに融合元がなんであれ、お前の成すべきことは変わらないのだろう?」
「そう、ね。私がするべきはただ1つ。……メタヴァースの破壊よ」
パンドラネメシスは機能を拡張させたVOXを使い、世界への侵攻を開始した。メタヴァース外周部に広がる美しい原始の風景、そこで安穏と生活するプログラムたちを見ると、彼女の中の憎悪の炎は一気に燃え上がるのだ。
最初は、世界を破壊していけば、その炎は徐々に消えていくものなのかと思った。
(でも違うわ……1つの世界の崩壊を薪にして、ワタシの中の炎は一層強く燃え上がる。この憎悪は尽きることがないのかもしれない)
パンドラネメシスは内なる声に逆らわなかった。彼女は己でもコントロールできない憎悪と狂気の傀儡と化すのを良しとしていたからだ。
パンドラネメシスは最外周部……ネメシス付近に存在する世界を汚染し、欲望の赴くままに全てを壊して、次々と己の領土としていった。
冷たく白い月のような顔(かんばせ)に紅蓮の瞳だけ光り、混沌に満ちた領土を見下ろす……パンドラネメシスは死の女帝として最外周部の最深部に君臨していた。
ここでは生ける者は彼女しか存在しない。世界を汚染した際に侵食され、異形の化け物と変じたプログラムが生まれることはあっても、彼女のように高度な自我を持つプログラムは生まれることは無かった。
(ワタシには仲間はいない。……あるのは闇のVOXと内なる破壊の呼び声だけ)
時折オールドブルーがやってきて、化け物となったプログラムを『サンプル』と称し、拾っていくことはあったが、彼は所詮、客人(まろうど)であり、彼女の理解者ではない。
パンドラネメシスの中には狂気と憎悪の声がある。彼女は孤独ではなかったが……独りだった。
ある日、パンドラネメシスの王国である最外周部に奇妙な稀人たちがやってきた。
通常、この最外周部ではあらゆるセンサーは機能しなくなる。だがパンドラネメシスはここの女帝。
彼女の持つVOXだけがこの空間を自在に支配することが可能なのだった。
パンドラネメシスは自らの王国にやってきた稀人がメインフレームの使者だということを見抜き、憎悪した。
内なる声もまた、彼女の心を燃え上がらせる。
(メインフレームヲハカイセヨ!)
「……分かっているわ」
パンドラネメシスは自分のいる最深部の空間を固定した。これで嫌でもメインフレームの使者たちは自分の前に姿を現すはずだ。
「いらっしゃい。憎き者たち……ワタシが貴女たちを壊してあげる」
やがてやってきた稀人たちは、パンドラネメシスと同年代の少女の姿をしていた。
彼女たちが繰り出す攻撃は、この空間を支配する自分にとって、あまりにか弱くそよ風のようだ。
しかし、そんなそよ風の中にパンドラネメシスは懐かしい香りを感じた。
「……貴女たちも私と同じ……捻じ曲げられたもの」
少女たちは自分と同じプログラムと『何か』の融合体だ。そして彼女らは、その事実をメインフレームに知らされていなかったようだ。
(ああ、やっと出会えた! ワタシの理解者に!)
パンドラネメシスは優しく囁く。
「私と同じで元の存在を消され、進化の礎として捨てられるもの。それなのになぜ戦うの?共に……メインフレームを滅ぼしましょう」
「ワタシはネメシスの浸食により生まれた。奪われ書き換えられた、それは貴女たちも同じ。己の意志とは関係なく理を歪められた……」
だから目の前の少女たちは理解できるはずだ。自分の心を、憎悪を、悲しみを。
だって元の自分を凌辱され、踏みにじられ、無かったことにされる痛みは、ワタシたちにしか分からない。
パンドラネメシスはさらに囁く。
「ワタシたちは仲間。ならば共に歩めるはず……さあ、この手を取って。一緒にメインフレームを滅ぼし、ワタシたちを歪めたこの世界に復讐しに行きましょう」
ネメシスの女帝は、目の前の純白の少女たちを慈しみ、闇の祝福を与えようとした。
だが少女たちの答えは女帝の期待を裏切った。
「私たちはこの世界に災厄を振りまこうとする貴女をここで破壊します……私たち姉妹は人間の守護者なのですから!」
(そんな……なぜ? ワタシと同じ混じり物なのにどうしてその運命に逆らおうとするの?)
パンドラネメシスの声は彼女たちには届かない。
互いが互いを信頼し、支え合う少女たちの姿を見て、彼女は思う。
(何て愚かで美しいの、眩しい……妬ましいっ!)
パンドラネメシスの中で一気に憎悪が膨れ上がる。
それは内なる声の誘いではない、彼女が初めて抱いた本当の憎しみだった。
「――いいわ。ならば滅びなさいッ!」
パンドラネメシスはこの闇の支配者として、目の前の少女たちに無慈悲な死を与える決断を下した。
「元末端管理者としてワタシは貴女たちと戦いたくはないけれど、ワタシの本能がそれを許さない」
そう、本当は戦いたくなかった。
ワタシと同じ存在を潰したくなどないのだ。
でも、お前たちが悪い。ワタシと同じなのに、ワタシを理解せず、逆らうから……だから!
(ソウダ……メインフレームノシシャニシヲ!)
「……イツワリノイノチニホロビヲアタエンッ!!」
パンドラネメシスはVOXを利用し、領域を構成するエネルギーを自身に集約させる。圧縮され、別次元の熱を帯びた光球は少女たちを蒸発させるのに十分なものだった。
「……オルタネイトサージ! 浄化してあげるわッ!」
だが、パンドラネメシスが光球を放つ刹那、少女たちの方がわずかに早かった。
「――トリニティヴァーテックス!」
煙の中から飛び出してきた少女は真紅の粒子を纏い、全身が圧縮された高エネルギーの塊となり赤熱を帯びる。超高速で突き出されたブレードが、まるで流星が夜を切り裂いたようにパンドラネメシスの身体を貫く!
その瞬間、莫大なエネルギーが身体の中に流れ込んできて、パンドラネメシスは苦悶の声を漏らした。
(がっ!? こ、これは……今のワタシでは耐えきれないッ!)
自分の元にはオルタネイトサージにより処理量ギリギリの膨大な力が集まっていた。そこへさらに少女たちの攻撃により流れ込んできた熱量は、いかにネメシスの女帝と言えども制することはできなかったのだ。
貫かれた身体が引き裂かれ、傷跡からプラズマを帯びた粒子が散る。
パンドラネメシスは自身の抱えた力に耐えきれず、断末魔の叫びを上げる間もなく消滅した。
パンドラネメシスはメインフレームの使者である3人の少女たちに敗北し、大破した。
彼女の身体の大半は崩れ落ち、幾千、幾万もの闇の粒子となって混沌の海に流れてしまった。
VOX周辺の僅かな欠片だけが、彼女の意志を残していた。
(ああ……ワタシは負けたのか。ワタシを認めなかった混ざり物、紛い物に滅ぼされるのか……あと少しで憎いメインフレームの使者を倒せたはずだったのに……)
パンドラネメシスの欠片とVOXは、共に闇色の混沌の海に沈んでいく。
メインフレームの使者たちはVOXの回収を不可能と考えたのか、空間固定を解除された最外周部から去っていた。
恐らくはメインフレームに帰還するのだろう。……パンドラネメシスのことを忘れ、置き去りにして。
(ワタシは結局、独りなのだ……)
パンドラネメシスの意識はそこで途絶え、彼女の欠片とVOXは深く深く沈んでいった……。
機能停止をしたパンドラネメシスは、いつしか自分が温かい闇に抱かれていることに気が付いた。
(……メインフレームヲホロボセ。メタヴァースヲジュウリンシロ)
闇からは懐かしい憎悪の声が強く聞こえる。
(ああ。ワタシには結局この声しかないのか)
そんなことは初めから分かっていたはずだ。
それでも自分は気が付いてしまった。自分の弱さに。自分以外の誰かを求める寂しさに。
(ダガ、オマエハキョゼツサレタ。オマエトオナジ、マジリモノタチデサエ、オマエヲホロボソウトシタ)
(そう、ワタシと同じ彼女たちはワタシを理解してくれなかった……)
(オマエハヒトリダ)
(ワタシは独りだ)
(コノセカイニオマエノイバショナドナイ)
(この世界にワタシの居場所などない)
(ナラバ……)
(……破壊するしかない)
この世界でパンドラネメシスは独りだ。だが王とは常に孤高なもの。他者を必要としない者なのだ。
(……全てを滅ぼし、全てをこの手にッ!)
パンドラネメシスの意識が覚醒すると同時に、彼女のVOXが混沌の海の最深部『何か』に触れた。
すると彼女の身体はパズルのピースを合わせるように、徐々に修復されていく。どれほどの時間が経ったのか、混沌とした闇の中でそれを計る術はない。
そして彼女の願いを聞き入れるかのように、新たなる破壊の力が流れ込んでいく。
負の波動に影響されたのか、VOXもまた闇色に輝き、その特性を大きく変容させたようだった。
幾千の周期を経て、破壊の女帝は復活し、世界へ再侵攻を開始する。
進化を遂げたパンドラネメシスは混沌の海を一気に浮上する。
そこでは美しく輝かしい世界が彼女を待っていた。
かつて秩序の元に生きた景色、どれほどの時を経てもその景色は変わっていなかった。
(ああ、なんて愛おしい。ワタシの世界よ。……待っていなさい。すぐにこの手で壊してあげる)
パンドラネメシスは手にしたVOXを細く白い指でなぞる。
彼女の愛撫に応えるように、VOXは闇色の光を発し、小さく震えた。
(セカイヲハカイシロ。イツワリノハンエイニ、シュウシフヲッ!)
「……ええ。分かっている。ワタシがこの世界を破滅に導いてみせるわ」
進化した彼女の身体の大半は、混沌の闇で構成されていた。今や内なる破壊の声はそのまま彼女の望みとなっていたのだ。
(いい。とてもいい。身体が満たされているのを感じる……ワタシは独り。独りで完成しているの)
パンドラネメシスは混沌の女帝。彼女の国に生者は必要ない……必要なのは破壊だけだ。
そしてこの世界は彼女のオモチャ。好きな時に好きなだけ遊び、飽きたら壊す。王とはそういうものだから。
「さあ……新たなVOXの力をどこで試そう?フフフ……できるだけ綺麗な破壊がしたいものだ」
――こうして憎悪の闇から生まれた災厄は世界中に振りまかれることとなる。
進化し意志を持つ美しき災厄の行く末は誰も知らない。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
■メタヴ | EXPERT | 0 / 370 / 740 | |
レーベルブレイク(♥●♠ミス) | |||
次のプレイヤーの♥、●、♠の COMBO/CHAINは、MISSとなる。 | |||
備考:♥グミン/●リレイ/♠アニマ |
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564年まえ ID:goabahh4進化系はtransient(儚い)か…?
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