コタロー
Illustrator:夢ノ内
名前 | コタロー |
---|---|
年齢 | 0歳3か月 |
職業 | 小学4年生 |
- 2021年11月4日追加
- NEW ep.I - Side.Bマップ6(進行度1/NEW時点で165マス/累計400マス*1)課題曲「Super Kitsch Mode」クリアで入手。
夏休み中、日記を付けながら自由になりたいと望むハムスターの少年。
ある日、二日間家族全員仕事で留守番を任せる事になったが、警察からは最近自宅周辺で泥棒の目撃情報があるようで……?
STORY自体は「PUIPUIモルカー」や「とっとこハム太郎」の要素も含んだ、映画「ホーム・アローン」が元ネタである。クリスマスじゃないけど
スキル
RANK | 獲得スキルシード | 個数 |
---|---|---|
1 | コンボエクステンド | ×5 |
5 | ×1 | |
10 | ×5 | |
15 | ×1 |
include:共通スキル(NEW)
- コンボエクステンド【NEW】 [COMBO]
- 一定コンボごとにボーナスがあるスキル。
- PARADISE LOSTまでのコンボエクステンドと同じスキル。
- 強化版であるコンボエクステンド・フォルテや特定のコンボ数を達成することでボーナスが得られるコンボエッジがなくなり、唯一TECHNICAL系のスキルで残った。
- NEW初回プレイ時に入手できるスキルシードは、PARADISE LOSTまでに入手したBOOST系スキルの合計所持数と合計グレードに応じて変化する(推定最大99個(GRADE100))。
- スキルシードは300個以上入手できるが、GRADE300でボーナスの増加が打ち止めとなる。
- CHUNITHM SUNにて、スキル名称が「コンボエクステンド」から変更された。
効果 | |||
---|---|---|---|
100コンボごとにボーナス +???? | |||
GRADE | ボーナス | ||
1 | +2500 | ||
2 | +2505 | ||
21 | +2600 | ||
41 | +2700 | ||
61 | +2800 | ||
81 | +2900 | ||
100 | +2995 | ||
▲PARADISE LOST引継ぎ上限 | |||
101 | +3000 | ||
141 | +3200 | ||
181 | +3400 | ||
221 | +3600 | ||
261 | +3800 | ||
300~ | +3995 | ||
推定データ | |||
n | +2495 +(n x 5) | ||
シード+1 | +5 | ||
シード+5 | +25 |
開始時期 | 最大GRADE | ボーナス | |
---|---|---|---|
NEW+ | 121 | +3100 | |
NEW | 277 | +3880 | |
~PARADISE× | 376 | +3995 | |
2022/7/21時点 |
(ゲージ5本~9本)
※NEW稼働時点でゲージ5本以降の到達に必要な総ゲージ量が変更。必要なゲージ量を検証する必要があります。
- ノルマが変わるGRADEのみ抜粋して表記。
GRADE | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 | 9本 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 8 | 15 | 22 | 29 | 39 |
7 | 8 | 15 | 22 | 29 | 38 |
16 | 7 | 14 | 21 | 28 | 38 |
20 | 7 | 14 | 21 | 28 | 37 |
35 | 7 | 14 | 21 | 27 | 36 |
41 | 7 | 14 | 20 | 27 | 36 |
50 | 7 | 14 | 20 | 27 | 35 |
55 | 7 | 13 | 20 | 26 | 35 |
66 | 7 | 13 | 20 | 26 | 34 |
70 | 7 | 13 | 19 | 26 | 34 |
77 | 7 | 13 | 19 | 25 | 34 |
83 | 7 | 13 | 19 | 25 | 33 |
101 | 6 | 12 | 18 | 24 | 32 |
121 | 6 | 12 | 18 | 24 | 31 |
128 | 6 | 12 | 18 | 23 | 31 |
137 | 6 | 12 | 17 | 23 | 31 |
141 | 6 | 12 | 17 | 23 | 30 |
156 | 6 | 11 | 17 | 22 | 30 |
164 | 6 | 11 | 17 | 22 | 29 |
176 | 6 | 11 | 16 | 22 | 29 |
187 | 6 | 11 | 16 | 21 | 28 |
213 | 6 | 11 | 16 | 21 | 27 |
221 | 5 | 10 | 15 | 20 | 27 |
240 | 5 | 10 | 15 | 20 | 26 |
259 | 5 | 10 | 15 | 19 | 26 |
269 | 5 | 10 | 15 | 19 | 25 |
273 | 5 | 10 | 14 | 19 | 25 |
(ゲージ10本以上)
※NEW稼働時点でゲージ5本以降の到達に必要な総ゲージ量が変更。必要なゲージ量を検証する必要があります。
- ノルマが変わるGRADEのみ抜粋して表記。
- 水色の部分はWORLD'S ENDの特定譜面でのみ到達可能。
GRADE | 10本 | 11本 | 12本 |
---|---|---|---|
1 | 48 | 60 | |
10 | 48 | 59 | |
12 | 47 | 59 | |
19 | 47 | 58 | |
23 | 46 | 58 | |
28 | 46 | 57 | |
35 | 45 | 57 | |
37 | 45 | 56 | |
47 | 44 | 55 | |
57 | 44 | 54 | |
60 | 43 | 54 | |
68 | 43 | 53 | |
73 | 42 | 53 | |
78 | 42 | 52 | |
87 | 41 | 52 | |
90 | 41 | 51 | |
101 | 40 | 50 | |
114 | 40 | 49 | |
117 | 39 | 49 | |
126 | 39 | 48 | |
133 | 38 | 48 | |
140 | 38 | 47 | |
150 | 37 | 47 | |
154 | 37 | 46 | |
168 | 36 | 45 | |
183 | 36 | 44 | |
187 | 35 | 44 | |
199 | 35 | 43 | |
207 | 34 | 43 | |
216 | 34 | 42 | |
229 | 33 | 42 | |
233 | 33 | 41 | |
251 | 32 | 40 | |
271 | 32 | 39 | |
276 | 31 | 39 | |
291 | 31 | 38 |
- 登場時に入手期間が指定されていないマップで入手できるキャラ。
- カードメイカーやEVENTマップといった登場時に期間終了日が告知されているキャラ。また、過去に筐体で入手できたが現在は筐体で入手ができなくなったキャラを含む。
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | スキル | ||||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
スキル | |||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
スキル | |||||
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
8月11日。はれ。
楽しみにしてた夏休み。
たくさんテレビやゲームをできると思ってたのに、お父さんとお母さんがおそくまで起きてちゃダメってやらせてくれません。
本当はもっと遊びたいのに。
あーあ、神様はどこを見てるのかな。
ボクはこんなにいい子なんだけど。
お父さんとお母さん、どっか行っちゃえばいいのに。
「え? それって本当?」
その日、お父さんとお母さんがボクにお仕事でしばらく帰ってこれなくなるって話をしてくれた。
やっぱり、神様はいるんだ!
遊べないボクのために時間をくれたに違いないよ!
「となりのお姉さんが? えー、見に来てくれなくてもボク平気だよー!」
お姉さんのことはキライじゃないけど、これじゃあ、一人になれないじゃん。
その日の夜。
お父さんとお母さんは帰ってこないけど、おとなりのお姉さんがやってきた。
「こんばんは、コタロー君。夕ご飯作ってきたから一緒に食べましょ?」
「はーい!」
「と、その前に! 今日はちゃんと大人しくいい子にしてた?」
「してたしてた。ボクいつもいい子にしてるじゃん」
「じゃあ、これはなにかな?」
「あっ!?」
お姉さんが持っていたのはボクが捨てたはずのピザの空箱でした。
あれはちゃんと捨てといたはずなのにどうして、と思っていたらお姉さんが教えてくれたよ。
「捨てるときはちゃんと隠しておかなきゃダメだよ。キッチンに立ったときに丸見えだったわ」
「あー、そっか!」
今度からは見つからないようにしないといけないって思いました。
「ね、ねえ、今日だけだからさ、お父さんとお母さんにはナイショにして!」
「……本当に今日だけ?」
「うん!」
「しょうがないなー。今回だけは見逃してあげる。でも、一つだけお願い聞いてもらっていいかな?」
「なになに、なんでも言って!」
「実は明日と明後日なんだけど、私も仕事で来れなくなるの」
ボクはやったー、って言いそうになったんだけど、がまんしてお姉さんの話を聞きました。
「それでハムカーのお世話をお願いしたいの。できるかな?」
「え!? ハムカーって、もしかして、TOKOTOKOハムカーのこと!?」
「コタロー君、知ってるのね」
TOKOTOKOハムカーって言ったら、今、テレビとかでたくさんやってる有名なやつだ。
説明されなくたって誰でもわかるよ。
「二日間だけだけど、ちゃんとできる?」
「できるできる! やったー! ハムカーのお世話ができるなんて、学校でじまんできるよ!」
「それじゃ、お願いね」
「へへ、任しといてよ!」
明日からお父さんも、お母さんも、お姉ちゃんもいないなんてサイコーだと思いました。
だって、今日から2日間、ボクがなにしてもおこる人がいないんだもんね!
8月12日。はれ。
今日から誰もいない自由な夏休みが始まった。
ハムカーのお世話をしなきゃいけないけど、こんなに可愛いんだからぜんぜん平気!
「こんにちは、今日からボクが君のお世話をするコタローだよ。よろしくね!」
「キュー!」
ハムカーはキューキューと鳴きながらボクにすり寄ってきてくれる。
きっと人なつっこい子なんだなと思いました。
「ほら、ご飯だよ。たくさん食べてね」
「キュキュー!」
食べているハムカーはかわいかったです。
ボクがハムカーにご飯をあげて、家に戻ると、チャイムが鳴りました。
「あっ、誰か来たみたい。さっき注文したピザ、もう届いたのかな」
ボクがドアののぞき穴から外を見てみると、そこにいたのはケーサツの人でした。
太ってる犬のふとっちょさんと、背の高いサルのノッポさん。
どうしよう、ボクなにも悪いことしてないのにってとっても驚きました。
「な、なんで!? ど、どうしよ!」
「今、声が聞こえたな。お留守じゃないなら、出てきてくれませんかねー」
ボクはもう逃げられないと思って、ドアを開けてケーサツの人の前に出ていきました。
「やあ、こんにちは。私たちは――」
「ボク、なにも悪いことしてないよ! お父さんとお母さんにナイショでピザ頼んじゃったけど、それってクーポンをボクの家のポストに入れていったお店の人が悪いと思うんだ!」
「あはは、そうかそうか。ナイショでピザを頼んじゃったのか。俺も大好きだから、よく頼むよ」
怒られると思っていたのに、ふとっちょの人はニコニコと笑顔を向けてきます。
「ぼ、ボクのことタイホしに来たんじゃないの?」
「しないしない。ピザ頼んで逮捕されちゃうなら、こいつを何回も逮捕することになっちゃうからな」
「あはは……」
人の良さそうなふとっちょさんとノッポさん。
ボクは、タイホしに来たんじゃなくてよかったと安心しました。
「今日はこの辺りで泥棒さんが出てるって話をご近所さんに伝えて回ってるんだ」
「えっ! ドロボーが出るの!?」
「ああ、そうなんだ。……ところでお父さんとお母さんはいるかな?」
「ううん、お仕事でいないよ。だからボク一人でお留守番してるんだ、えらいでしょ!」
「おお、一人で。そうかそうか……。君は偉いね、夜とか寂しくない?」
「全然平気だよ!」
ボクは子供じゃないから一人でもこわくないし、さみしくなんてないもんね。
それにボクにはハムカーがいるから平気だよ。
「それで念のために防犯設備の確認をしたいんだ。ちょっとだけ見させてもらってもいいかな?」
「うん、いいよー!」
ケーサツの人があそこがいいとか、あれなら見えるとか色々お話をしてたけど、ボクにはほとんどわからなかった。
しばらくして、二人が戻ってきた。
「やあ、坊や。設備の確認できたよ。どこも問題なさそうだから、安心してね」
「うん、ありがと!」
「それじゃあ、くれぐれも気をつけて」
ニコッと笑ったふとっちょさん。
その前歯に金色に光っている歯が見えた。
「かっこいいね、その金歯!」
「おっ、見る目あるね。これはおじさんが大切にしてるものなんだよ」
「そうなんだ!」
「じゃあ、もう行くね。それとピザばかり食べてると俺みたいになっちゃうからほどほどにしなよ」
ハハハと笑いながら、ケーサツの人は帰っていきました。
ボクは早くドロボーさんがつかまるといいなーと思いました。
8月13日。くもり。
今日もハムカーのお世話をたくさんしたよ。
「とことこー、進むよ、ハムカー!」
「キューキュー!」
お隣のお姉さん家のガレージでボクはハムカーと遊びました。
本当は外をいっしょに走りたいけど、表に出しちゃダメって言われてるからがまんしたよ。
「あ……な……だ……よ……」
「近くで声がしてるけど、誰か来たのかな」
ボクがガレージから出て、だれがいるのか見ようとしたけど、やめました。
急に出て、おどろかせたほうがきっと面白いと思ったからです。
「この家は結構セキュリティがしっかりしてるな」
「ホントだな、こっちにもカメラがあるぞ」
聞こえてきた男の人の声はどこかで聞いたことがあるような気がしました。
ボクはガレージのすきまから外を見てみると、そこには作業着の男の人が二人いました。
「あれ、どこかで見たことあるような……」
「この家よりは昨日の子供が出てきた家のほうが狙い目だな」
「そうだな、ありがたいことに留守番で子供一人みたいだし、楽勝だぜ」
そんな話をしていた男の人がニヤリと笑うと、その前歯に金歯がキラリと光ります。
ボクはその男の人が昨日のケーサツのふとっちょさんだとわかりました。
「なんでケーサツの人が……」
ボクはそのまま二人の会話を聞き続けます。
すると、なにか変な話をし始めました。
「そうと決まれば早速今夜お邪魔するとしようぜ。早く帰って準備するぞ」
「そうだな、金目のものいっぱいあるといいな」
二人は笑いながら帰っていきます。
ボクは二人が話していた子供が留守番している家というのが自分の家だとわかりました。
「もしかして、あの二人ってドロボー!?」
「キュー……」
「どうしよ、今日の夜に来るって言ってたよね……」
「キュキュー……」
「これってチャンスなんじゃないかな! ボクがドロボーを捕まえたらTVに出れるよね!」
「キューイ!?」
ボクは夜、ドロボーたちと戦うことを決めました。
来るってわかってるんだから、つかまえるのなんて、朝飯前だよね。
「へへ、そうと決まったら準備しなきゃ! よーし、やるぞー!」
8月13日。よる。くもり。
ドロボーをつかまえるために、ボクは家中にトラップを作ることにした。
作るのはとっても楽しくて、逃げる道もちゃんと作って計画もバッチリ。
これでボクも有名人だ。
「電気は消えてるな」
「ガキのことだ、もう寝てるに違いないぜ」
ボクが部屋を真っ暗にして待っていると、外からドロボーたちの声が聞こえてきた。
ガチャガチャとドアを開けようとする音が聞こえてくるけど、戸締まりはしっかりしてある。
「さすがに玄関の鍵は掛け忘れてないか。おい、そっちはどうだ?」
「おっ、こっちは開いてるぞ! やっぱ、ガキだな。地下は見落としてたみたいだぜ」
下を見たのはふとっちょ。
もちろん、掛けるのをわすれたんじゃなくて、わざと掛けていませんでした。
「よし、ここから入るぞ。ガキが起きねえように静かにな」
「あいよ」
ボクが仕掛けておいたカメラを見ると、そこには地下室に入ってくるふとっちょとノッポが見えました。
ボクは一階から地下室に入るドアの前で仕掛けを動かす準備を始めます。
「さてと、どこから手を付けていくかなー」
「……なあ、なんか暑すぎないか?」
「お前が太り過ぎなんだよ。スマートに仕事ができるよう痩せろっていつも言ってんだろーが」
「お、俺が太ってるのは認めるけど!」
「だから、気のせいに……い、いや、確かに暑い!」
「くそ、なんだこれ。汗が止まらねえ!」
ドロボーたちが周りをキョロキョロし始めます。
ボクはそれを見ながらリモコンのスイッチを操作していきました。
「な、なんだこれ!? どうして部屋の中で霧が出てくるんだ!」
「……違う! これは湯気だぞ!」
やっと気づいてくれたみたいで、ボクはちょっと笑ってしまいました。
仕掛けていたのは地下室がサウナになるとっておきのトラップ。
ちょっと水蒸気が多すぎるけど、これくらいがちょうどいいかなと思いました。
「よかったね。サウナに入れば、ふとっちょさんもきっとスリムになれるよ」
「おい、今の聞こえたよな! これはあのクソガキの仕業か!」
またドロボーたちが周りを見渡します。
でも、ボクはそこにはいません。
「探したって意味ないよ。だって、ボクは安全なところにいるんだから」
「……待て、よく聞け。あっちだ! 見ろ、あそこにドアがあるぞ!」
ドロボーたちがドアを見つけて走ってきます。
でも、湯気のせいで前が見えていないのか、たくさんの物に当たりながら進んできました。
「くそっ、ただでさえ見えねえのに汗が目に! あのガキ、ただじゃおかねえからな!」
「よし、着いた。とっととこんな部屋から出るぞ!」
ノッポが汗と水蒸気で全身ビショビショになりながらドアに手をかけた。
そのとき――
「ばわわわわわっ!?」
「な、なんだこりゃ!?」
ドアノブに流しておいた電気で、ドロボーたちに電流が走りました。
ふたりともぬれてるから、きっとたくさん電気が流れてると思います。
「今助けて――あばばばばばばば!?」
助けようとしたふとっちょがノッポにさわると同じように電気が流れました。
でも、すぐにふとっちょが倒れて、ドアノブから手が離れてしまいました。
「だ、大丈夫か……?」
「まだチカチカしやがる……。あのクソガキ、ぶっ殺してやるからな!」
今度はドアノブを触らないように、ふとっちょがドアをけって、壊してしまいます。
でも、そうするってボクにはわかってました。
「こうなったら、一気に――」
ドロボーたちがドアから出ようとしたとき、ボクはロープにつないだボーリング玉を落としました。
「ちにゃあ!?」
ボーリング玉がふとっちょのお腹に当たると、いきおいよく後ろに吹っ飛びます。
そのせいでノッポにぶつかってしまい、地下室に戻っていきました。
「ストラーイク! さすがボク、ど真ん中に命中だー!」
「い、いってぇぇ。あの野郎、ぶっ飛ばしてやる!」
立ち上がったふとっちょがドアに近づいてきます。
「あっ、そうだ。もう一発残ってるから、おまけにあげるね!」
そう言いながらボクはもう一発用意していたボーリング玉を落とします。
「へっ、そう何回も同じ手にかかるかよ! 今捕まえてやるからな!」
ドロボーたちはボーリング玉を避けました。
「やっぱ子供だな。大人を舐めるんじゃ――」
でも、そのボーリング玉はロープにつないであるので後ろから戻ってきて、ノッポの背中に当たります。
「ぐぶへっ!?」
「ほわっ!?」
ノッポが押されてふとっちょにぶつかり、ふたりとも仲良くこけました。
「へへ! ダメだよ、ちゃんとよけないと」
ボクは仕掛けが成功してうれしくなりました。
次もきっとうまくいくに決まってる。
ドロボーをつかまえるのってとっても簡単だなって思いました。
ボクとドロボーたちの夜はまだまだ続きます。
一階に入ってきたドロボーたちが、次にどこへ行くのかボクにはわかっていました。
「あのクソガキを追うぞ!」
ドロボーたちは目の前にある高そうなツボや絵を見ず、ボクを探し始めました。
それをとって逃げればいいのにって思ったけど言いません。
ボクが逃げたあとをおいかけてくるドロボーたち。
でも、ボクはそこにレボブロックのパーツをたくさんばらまいておきました。
「いぎっ!? な、なんだよ、このおもちゃは!」
「あのガキがやったんだな。こんなもん、気合で行きゃなんとかなる!」
ドロボーたちはいたそうにパーツをふみながら進んできます。
ボクはパーツをどけながら進めばいいのにと思いました。
だから、親切に歩きやすいようにしてあげることにします。
「おじさんたち、歩きづらそうだね。ボクが歩きやすくしてあげるよ!」
「こいつ、なにを!?」
ボクは手に持ったサラダ油をろうかにまきます。
すべりやすくなったおかげで、ドロボーたちは背中からドスンと転がりました。
「いってー! ぶ、ブロックが背中に刺さったー!」
「た、立てねえ! この油をなんとかしろー!」
ドロボーたちは立ち上がろうとするけど、油ですべって、転ぶたびにパーツがささってました。
「おい、こんなところにロープがあるぞ。あのガキ、これを使ってブロックを避けたんだな!」
ボクが仕掛けておいたロープに気づいたノッポ。
それを掴んで立ち上がろうとすると――
「バカ、やめろ!」
ふとっちょが止めようとするけど、間に合わなくて、ノッポがロープを引きます。
そのさきにつなげておいたのは、あつあつのアイロンでした。
「あっっちにゃあああああ!?」
ノッポの顔にアイロンが落ちました。
きっと、アイロン型のきれいな日焼けができたに違いありません。
ボクはそれを見たあと、すぐに部屋に入ってケーサツに電話をします。
「もしもし、ケーサツですか? 今、家にドロボーが入ってきてるんです。名前は……」
ボクが名前を言おうとしたけど、その前になぜか電話が切れてしまいました。
ボクがどうしてかなと、思っていると電話線を持ったふとっちょが部屋に入ってきます。
「残念だったな。これでもう誰の助けも呼べないぜ、クソガキ!」
「もう来ちゃったの!?」
ボクは慌てて電話をふとっちょになげつけて、近くのドアから逃げ出しました。
二階のボクの部屋に行けば、あとはもうつかまえるだけだから大丈夫だよね。
ドロボーたちに追いかけられるボク。
でも、二階に上がれば、なんとかなるから大丈夫に決まってる。
このときはそう思ってました。
「おい、ガキが二階に逃げるぞ。階段を塞げ!」
ふとっちょが声をあげると、ノッポが階段に向かって走ってきました。
ボクはなんとかノッポよりも先に階段についたけど、すぐ後ろまで来ています。
「よっしゃ、捕まえた!」
「うわあ!?」
ボクはおいついたノッポに足をつかまれてしまいました。
ほどこうとするけど、力が強くて、なかなか逃げられません。
「覚悟はできてるんだろうな! これまでの借りは、きっちり返させてもらうぞ!」
ボクはなんとか逃げなきゃと思って、こういうときのために用意していたものを取り出す。
それはたくさんのリアルな虫のおもちゃ。
ボクはポーチからノッポに向かって、おもちゃをばらまきました。
「ぎゃああああ!? む、虫!? た、助けてくれ、俺は虫が大嫌いなんだー!」
まいた虫のおもちゃを振り払おうとノッポが手を離したので、そのすきにボクはすぐに逃げました。
「バカヤロー、なにやってんだ!」
「だって、クモが、ゴキが!?」
「俺がぶっ倒してやる。じっとしてろよ、絶対に動くんじゃねえぞ」
「ちょ、ま――」
ノッポがふとっちょを止める前に、ふとっちょが手に持ったバールをふり下ろしました。
「えぎーーーっ!?」
「よし、虫は俺がぶっ倒したぜ!」
「なにしやがる! 思いっきり当たってんだろ!」
「でも、虫はなんとかしてやったぞ。ほら、もう動かないだろ?」
「……って、これよく見たらおもちゃじゃねえか!」
ボクが投げたのがおもちゃだとわかったノッポがそれを床に叩きつけました。
「ば、バカにしやがって!」
「とっとと追いかけるぞ!」
「追いかけるって誰を? ボクはここにいるんだけどなー」
ボクは二階から階段の下にいるドロボーたちを見る。
下からドロボーたちがにらみつけてくるけど、ボクはそのまま手に持ったひみつへいきをかまえた。
「お、お前、その手に持ってるのは!?」
「いくぞ~、おぶつはしょうどくだー!」
ボクが持っていたのはチャッカヤンを改ぞうしたお手製のかえんほうしゃきです。
そのスイッチを押すと大きくはないけど小さな炎の柱が出た。
「そんなおもちゃみたいなもんで――あっっちにゃにゃにゃにゃ!?」
「うわらばあああ!?」
さっきのサラダ油に火がついたみたいで、小さい火だったけど、ドロボーたちの全身に火が回っていきました。
ドロボーたちは火を消そうと、床をごろんごろんと転がり始めます。
やっと火が消えて、ドロボーたちが立ち上がるとボクは二人の頭を見て笑いました。
「人が燃えてるのがそんなに楽しいか!」
「違うよ、二人のかっこうがおもしろくて!」
「格好? ……お、おい、お前、毛が!?」
「うわあああ! 俺のなけなしの毛があああ!?」
お互いを見てびっくりするドロボーたち。
全身の毛という毛が焼けているのに、頭の一部分だけが、燃えずに残っています。
それはまるでモヒカンみたいで、ボクは見て思わず笑ってしまいました。
「イカれたヘアスタイルだね!」
「てめええええええ!」
階段を上がってくるドロボーたちから逃げるようにボクは自分の部屋に入った。
ここまでくればボクの勝ちだ。
ボクの部屋にはとっておきの仕掛けがあります。
これできっとドロボーも負けましたって、言うにちがいありません。
いよいよ、ドロボーたちとの戦いも終わります。
あとはボクの部屋に入ってしまえば、最後の仕掛けでドロボーたちを捕まえられる。
ボクはドキドキしながら、自分の部屋に飛び込みました。
ドアを閉めようとした、そのとき――
「オッケー、間に合った!」
ドアの間からにょきっとノッポの手が入ってきます。
びっくりしたけど、なんとかドアを閉めようと、バンバンと何度も指をはさんでやりました。
「イテテテ!」
ノッポがいたがって手を引っ込めると、ボクはすぐにドアのカギを閉めました。
「お、おい、なにやってんだ。早くこっちに来てドアを開けるの手伝え!」
「だったら、さっきのバールでこじ開けようぜ!」
部屋の外でドロボーたちがバタバタとなにかし始めているみたいでした。
でも、ボクはそんなことは気にせず、窓を開ける。
そこには昼のうちに用意しておいたロープがあって、その先は庭の木とつながっています。
ボクはロープの上をサーカスの人がしてたみたいにバランスをとりながら進みました。
「あともう少し、もう少しで……」
ロープをわたっていると、後ろからドアがこわされる音が聞こえてきました。
ふりかえって見ると、ボクの部屋にドロボーたちが入ってくるところでした。
「もう逃げ場はねえぞ! ……あれ、いねえな?」
「あっちだ! 窓の外!」
ふとっちょがボクがいるほうを指差す。
「こんなロープで逃げようとしやがって!」
「あーどうしよー、もうトラップもないし、こっちに来られたらオシマイダー」
ちょっとわざとらしいかなと思いましたが、おバカなドロボーは気づきませんでした。
「ハハハ! なんだ、もうネタ切れか。だったら、お望み通り、そっちに渡ってやるぜ!」
そういって、ふとっちょとノッポが二人でロープに乗ると、ロープが少しゆれてこわかったです。
でも、ボクはなんとか渡りきれました。
「おい、ガキが渡りきっちまったぞ! 警察を呼ばれる前に、とっとと捕まえねえと!」
「わかってるから早く進めよ!」
ロープの真ん中くらいまで来てるから、このままだと本当に渡ってきそうでした。
なので、ボクはポーチからハサミを取り出します。
それをドロボーたちに見せました。
「ねーねー、これがなにかわかるー?」
「あ? それがなにかも知らないのか。そいつはハサミって言うんだよ!」
「なんだ、ハサミも……ハサミだと!?」
「早く逃げたほうがいいよ。ボク、ロープ切っちゃうからね」
ボクはハサミでロープを切り始めました。
でも、乗っても大丈夫なように太いやつにしたのでちょっと切るのに時間がかかってしまいます。
「おい、早く戻れ!」
「ば、バカ、押すんじゃねえよ。落っこちたらどうすんだ!」
ロープの上でわちゃわちゃしているドロボーたち。
おかげでボクがロープを切る時間ができて、あと少しで切れるところまで来ました。
「ねえ、もうすぐ切れちゃうけどいいの?」
「だ、ダメだ! お、おもちゃ買ってやるから、とりあえずそのハサミを捨てろ!」
「ほんとー?」
「ああ、好きなだけ買ってやるから、な?」
「でもね、お父さんとお母さんに知らない人から物をもらっちゃいけないって言われてるんだ」
「いや、ちょ――」
「じゃあね、ばいばーい!」
ボクがハサミに力を入れると、ジョキンと音がして、ロープが切れました。
「うわああああああ!?」
ドロボーたちは落ちながら大きな声を上げて、ずどん、と庭に落っこちていきました。
ボクが木の上から庭を見ると、口いっぱいに泡をふいたドロボーたちがいました。
「へへ、どんなもんだい! ドロボーはつかまえたし、これでTVデビューだ~!」
ボクは嬉しくてその場でとびはねました。
そこが木の上だということをすっかり忘れていて、枝がペキっと鳴った音に気づきませんでした。
「TVに出たらサインとか考えなきゃ。きっとたくさん書くことになるよね!」
すると、ベギっと音がして、ふと体が軽くなった感じがしました。
「あっ!?」
気づいたときにはボクは木から落ちていました。
なんだかスローモーションみたいになって、ゆっくりと地面が近づいてくるのがわかります。
もうだめだ、とボクは目を閉じました。
そのとき、なにかがこわれるような音がして、なんだか柔らかくて温かいものに包まれました。
「あ、あれ?」
「キュー!」
ボクが目を開けると、そこにいたのはお隣さんのハムカーでした。
ハムカーがボクのことを助けてくれたんです。
「助けてくれたんだね、ありがとう!」
「キュキュー!」
「でも、フェンス壊しちゃったね」
「キュー……」
「大丈夫、ボクも一緒にあやまってあげるから!」
「ちょっと、今の音はいったいなに!?」
その大きな音に気づいた他の家の人がどんどん集まってきました。
ボクはハムカーからおりると、庭を指差して、大きな声で言いました。
「たいしたことないよ。ちょっとドロボーをやっつけただけだからね!」
8月31日。はれ。
ボクがドロボーをやっつけた日から、とってもいそがしい日が続きました。
ケーサツの人になにがあったか教えてあげたり、かんしゃじょーを貰ったり。
もちろん、楽しみにしてたTVにも出ました。
たくさんの番組に呼ばれて、いっぱい有名人にも会えて楽しかったです。
まあ、ボクもその有名人の一人になったんだけど。
ボクはじまんしたりしないよ。
でも、これだけはクラスのみんなにじまんしようってことがあったんだ。
それはボクの体験が映画になることが決まったんだ。
たしか……「LonelyHouse」だったかな。
ボクは本人役で出たかったんだけど、やっぱり演技するのはむずかしいからやめたんだ。
でも、完成したら真っ先に見せてくれるっていうからすごく楽しみしてるよ。
そういえば、今度の休みにお父さんとお母さんががんばったごほうびに『トーキョー』に連れて行ってくれるって約束してくれたんだ。
それもボクが大好きな飛行機で。
うそじゃないよって、予約したチケットも見せてくれてたんだけど……。
ボクには『キョート』って書いてあるように見えたんだけど、気のせいかな。
まあ、きっとみまちがいだよね。
旅行も今から楽しみです。
最初はたいくつな夏休みだったけど、たくさんの思い出ができました。
ありがとうございました、神様。
でも、今度はたいへんな思い出はいらないから、楽しい思い出だけにしてください。
よろしくおねがいしまーす!