荒場 流子/NEW GAME
Illustrator:しきみ
名前 | 荒場流子(あらば るこ) |
---|---|
年齢 | 19歳 |
職業 | 専門学生 |
- 2021年11月4日追加
- NEW ep.I - Side.Bマップ1(進行度1/NEW時点で5マス)課題曲「人生攻略☆Tips」クリアで入手。
荒場 流子【 通常 / NEW GAME / 雛飾りの二人 】
初登場から2年が経過し、高校を卒業した彼女は、友人と今までのチュウニズムを回顧する。
チュウニズムは追加時点で6年目なので時間の流れがおかしいというのは禁句
- ラストのMAPの顔面圧
AIR ep.VIIの告知画像のオメガ・クィントゥスの画像であると思われる。
当時は14初実装もそうだが、ケースワベ氏のイラストの圧も話題になった。
- 名前を言ってはいけないあの人
みんな大好きゲキ!チュウマイのノーツデザイナーの譜面-100号のこと。
- 「だね、個人的には伝説のユ――」
第1回CHUNITHM楽曲公募の八咫烏 鋼太郎部門にてUSAO氏が別名義で投稿した『YouTube Dream』のこと。
現在は削除されているが、Climax追加の際に大いにネタにされていた。
- ひな祭りにちなんだ男雛と女雛の衣装
- 穴山大輔のアカウントを凍結
近頃恒例のSEGA社員によるゲキチュウマイのボス曲が登場する、あるいはそれが近くなると、決まって穴山大輔氏のTwitter*1が動き出し、プレイヤーたちは不穏な動きに怯えることとなる。
そして決められた条件を満たした(CHUNITHMではALL JUSTICE達成)*2と穴山大輔氏のアカウントは凍結され、次のボス曲まで眠りにつくのがいつもの流れ。
「午前中にはもう凍結してた」はプレイヤーたちに伝説として語り継がれている業 -善なる神とこの世の悪について-が500円(=15プレイ)でAJ陥落した事件のことであると思われる。なお、その後はあるMASTER 15が500円で理論値陥落してしまった事件があったが…
チュウニズムでもかなりの厄介譜面として知られる楽曲たち。
《逃避》 ~ The Deserterは流子が嫌悪する名前を言ってはいけないあの人の譜面でもある。
- ピュア
CRYSTAL、CRYSTAL PLUSバージョンのキャッチコピーに登場したワード。
ACゲーム界でもかなりギリギリを攻めることで知られているチュウニズムが名乗っていたことで総ツッコミが多発したのは記憶に新しい。
しかも、このキャッチコピーの登場と同じアップデート日に例の事件をやらかしている。
あとシビュラ精霊記はピュアではないと思います
スキル
RANK | 獲得スキルシード | 個数 |
---|---|---|
1 | オールガード | ×5 |
5 | ×1 | |
10 | ×5 | |
15 | ×1 |
include:共通スキル(NEW)
スキルinclude:オールガード(NEW)
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | スキル | ||||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
スキル | |||||
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
スキル | |||||
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
高校を卒業した私は、春から専門学校に通っている。
音ゲーに明け暮れた高校生活を送っていたけど、その日常は今も変わってはいない。
にぎやかな音の洪水の中を、真っすぐに突っ切っていく。
目的はもちろん、CHUNITHM!
あの日、ただの暇つぶしで寄ったゲーセンで音ゲーに出会ってから2年、私の世界はすっかり音ゲー中心で回っている。
音ゲーは色々触ってみたけど、一番しっくりきているのはCHUNITHMだった。
ピアノを弾くようなスタイルでもいい、DJのようにスライダーを擦ってみてもいい。
そういう自由なところが魅力かな。
あ、あと判定がゆるいとこ!
なんてことを考えて進んでいる内に、あっという間にCHUNITHM筐体の前。
「お、いたいた」
「流子ちゃん、今日は早いね」
「まあね! 課題が一発で通ってさー、これで自主練しなくてすむわ」
「本当? 一週間後に悲鳴を上げてないといいけど」
そんな風に皮肉を言ってくるこいつは、舞園星斗。
高校時代からの音ゲー仲間だ。
小さく笑う度に揺れるたくさんのフリルとツヤッツヤな縦ロール。
極めつけは、ばっちり決まったメイク――だが男だ。
『こんなに可愛い女の子が! 男の子なわけない!』
↑の叫びは、初めて星斗を見て、勢いで告ったやつが自爆した時に言うお決まりの捨て台詞。
でもさ……ぶっちゃけたこと言うとね……。
「分かる……、分かるわ……」
分かりすぎて、ワールドエンドよ。
ご存じ星斗はお姉さんの影響でフリフリの服を着せられてから、私服ではずっと可愛い服を着ている、いわゆる男の娘。
今は大学に進学して制服を着なくてもよくなったこともあって、星斗の“完全武装”の度合いは会う度に増している。
「流子ちゃん、急にどうしたの?」
「ん、あーごめん、なんか頭の中がね、回想モードになっちゃってたみたい」
「回想って……ああそっか。もう筐体の更新時期だもんね」
CHUNITHMは来週に大型アップデートを控えている。今のバージョン『PARADISE』は今週で終わり。
そう、電子の楽園は終焉を迎えるのだ。
あ、なんか別の電波受信しちゃった!
ほんと、PARADISEが稼働し始めた時期は色んなことがあって、割とメンタルにダメージを受けてたんだよね……でも、あのポスターを見た時にすごい元気をもらったのを今でも覚えている。
「あっという間だよね。あと数日で終わるのかと思うと、ちょっと寂しくなるっていうか……別にCHUNITHM自体が終わるわけじゃないのに、なんなんだろうねこの感じ」
「それだけ僕たちが夢中になってるってことかもね。筐体との付き合いも長いしさ」
「確かに」
思えばCHUNITHMとは長い付き合いだ。
それはつまり、私と星斗が出会ってからの年月と同じでもある。
「もう二年も経つんだなぁ……」
「また遠い眼をしてるよ、流子ちゃん?」
「ねえ星斗、私、今日は想い出に浸りたいみたい」
うん、すっかりそういう気分になっちゃった。
「あはは、何それ。まあでも、僕も流子ちゃんと話してたら振り返りたくなっちゃった。あっちでお話しよっか」
「意外に長いもんね、私たちの歴史」
私たちは自販機の横にあるベンチに腰かけて、これまでのことを振り返ることにした。
私が星斗と知り合ったのは、バージョンがAIRになる前だったかな。
「あの時星斗が声を掛けてくれなかったらさ、私も、今の私たちの関係もなかったかもしれないんだよね」
「うん。そう思うと人生って、ほんと何があるか分からないよ」
「ねえ、そういえばどうして私に声をかけたの?」
maimaiを始めて間もなかった頃の私なんて、別に上手いわけでもなかったし。
星斗は少しだけ思い出すような素振りを見せると、笑いながら答えてくれた。
「流子ちゃん、すごく楽しそうにプレイしてたよね。それを見てたら僕も楽しくなっちゃってさ、それで声をかけたんだ。流子ちゃんとなら楽しく音ゲーができそうだなって」
「あー……やっぱ私って目立ってたのか」
「目立つことは悪いことじゃないと思うよ? 中にはそれが気に食わない人もいるかもしれないけどさ」
その時、ほんの一瞬だけ星斗の表情が曇ったのを、私は見逃さなかった。
「あ、ごめん、嫌なこと思い出させちゃったかも!」
星斗は以前、プレイ中に心ないプレイヤーにいちゃもんをつけられたことがある。
一時期は引退まで考えてて、ゲーセンに来なくなった時は焦った。本気で焦った。
「大丈夫。今となってはあれも良い思い出だから。音ゲーをやめずにいられるのは、流子ちゃんが引き止めてくれたからなんだよ。ありがとう、流子ちゃん」
うぐっ、ま、まぶしい……。
「こ、こっ恥ずかしいってば! 私たちの思い出話はこれぐらいにしてゲームの話をしましょ!」
面と向かって微笑みかけられると、なんか、すっごいふわふわしちゃう…………ふ~、危ない危ない。
私じゃなかったら、100パー恋に落ちてたわね。
「え、AIRといえばさ、画面が一気に明るくなってびっくりしたわよね!」
「確かにそうだったかも。新鮮だったし、何より新要素のコースモードが楽しかったね」
コースモードといえば、最初は曲が勝手に決まってるとか、ライフが共通になってるとかで、これ本当に面白いの? って思った。
でもいざやってみると、途中で強制終了なんてさせるもんか! ってやる気が湧いてきて、そればっかり遊ぶようになってたっけ。
「ランダム選曲コースとか、普段僕が選ばないような曲が来たりして、腕試しに丁度よかったよ」
「そうそう! でもさー、どうしてもひとつだけクリアできないのがあって悔しかったな~」
「あはは、流子ちゃん負けず嫌いだもんね」
なんてこと言ってるけど、星斗は星斗で負けず嫌い。私が少しでもスコアが上の曲があると、追い越すまでずっと同じ曲をやってたりすることもある。
まあ、悔しいことに音ゲーの実力自体は星斗の方が上なんだけどね。
「あ! ねえねえ、CHUNITHMっていろんなMAPが用意されてるけどさ――」
「AIRのラスト!」
「それよそれ! ラストのMAPの顔面圧! 授業中に告知見ちゃってさー、もう笑うのを我慢するのが大変だったわ。私、今でもお昼の更新が楽しみでね」
「……流子ちゃん、授業は真面目に受けようね?」
星斗との想い出話は、AIRからSTARに。
STARといわれてパッと浮かんでくるのは、やっぱ『OVER POWER』かな?
「『OVER POWER』が出てから、レートを伸ばしたくて全部の譜面触った記憶があるわ。埋まっていく過程を見るのって、なんか癖になるのよね」
「それもあるし、いろんな曲で遊んでるうちに新しい発見があったり、腕自体が上がってたりするよね。それに、興味なかったと思ってたジャンルを好きになったりしてね」
「うんうん! そういうのが音ゲーの魅力だったりするんだよね!」
それでオールジャスティスをバシっと決められた日にはもう! 私、天才? 才能目覚めちゃった!?
って、思っちゃうよね。
それでさ、色んな曲をプレイしてると、だんだん譜面にもこだわるようになってっちゃうの。
でもたまに、あれ? やけにアタミスが多いなって思う譜面が増えて……この譜面を作ったのは誰よ!?
って確認したら……うぅっ、急にめまいが――。
「流子ちゃん、大丈夫?」
「ダメ。あの人の譜面だけはダメ」
「ああ……マイナ――」
「やめて! それ以上あの名前を言わないで! 頭の中にあのクセ強譜面がなだれこんできちゃう!!」
「譜面アレルギー!?」
絶妙にすっぽ抜けていくあの譜面!
気づいたらデススキル発動して強制終了させられたあの譜面!
そう、名前を声に出すだけで夢に出てきそうな、あのノーツデザイナーのことよ!
私はもう、名前を見なくても感覚であの人の譜面だと分かるようになってしまった。
もう呪いの類だよね、これ……。
あの人は本当に人間? 実はノーツデザイナーたちが召喚した禁断の何かだったりしない?
「う……鳥肌が止まらない……」
「ま、まあ、誰にでも苦手な譜面ってあるよね。僕もあの人の譜面は苦手だけどさ」
「苦手といえばさ……私のジャッジがこれは有罪って判断した譜面があるんだけど、聞いてくれる?」
「うん」
「『CHUNITHM第16話 殺人レコード恐怖のMASTER』って作者なの。私の譜面センサーには反応しなかったけど、あの譜面、どうせ-100号に決ま、ああぁぁぁ!! 今自分で名前言っちゃった! うっ……鳥肌が……!」
「一度ゆっくり深呼吸しよっか。はい、吸ってー、はいて」
あれ、ゴスロリ姿の星斗が白衣の天使に見えてきたわ
……。
「――ありがと、落ち着いた」
「よかった。あ、そういえばさ、この噂知ってる? 実はあの譜面、『Moon Strix』さんが作ったっていう」
「えっ!? 嘘でしょ!? 私あの人の譜面大好きだったのに!」
ガーン。
はい、私の中で何かが壊れました。
「やばい、私、ショック過ぎておかしくなりそう」
「譜面たくさん作ってたら、ひとつやふたつ合わないのも出てくるよ。多分、実験したい時に名前を変えたりしてるんじゃない?」
「そのためのワールドエンドモードじゃないの?」
「……この話題はもうお終いにしよう! えーっと、STARといえば、楽曲の公募が始まったのもこの辺りだったよね! 動画サイトで何度も聞いたなー!」
「星斗、そのフリはさすがに無理があるわよ」
まあでも、公募曲は私も楽しみにしていたのは間違いない。
この曲が採用されたらどんな譜面になるのかなって、想像するのが楽しかったなー。
「どの曲も完成度が高くてビックリしたわよね」
「だね、個人的には伝説のユ――」
「星斗、この世には触れていいものとそうではないものがあるのよ」
「え、でもそれが“CHUNITHM”ってものなんじゃ……」
「ダメよ! 自分から暗部に触れるのは止めて!」
バージョンSTARの頃、私たちがプレイする音ゲーがひとつ増えた。
名前はオンゲキ。
maimaiを作った人たちが関わってるだけあって、音ゲー界隈で話題になってたんだよね。
でも、あのホッチキスみたいな見た目に興味を持った人も多かったんじゃないかしら。
「オンゲキはロケテストの頃から大盛況だったね」
「それだけみんな期待してたってことよね。操作感も新鮮だったし、思わずプレイしてみたくなるんだもの」
「見た目通りに手を動かさなくてもよかったり、ボタンが左右にあるから運指の研究が楽しいんだよね」
「そうそう! コハDも色んな遊びができるってイチオシしてたしね。壁をドコドコ叩くのが楽しくて、ついやり過ぎちゃうし……」
「あはは、どの音ゲーも、最初は加減が分からないことあるもんね」
なんとなくだけど、リズムに乗って何かを叩くのは、もしかして人の原始的な欲求だったりするのかしら。
あ、私今すごい知的なこと言っちゃったかも?
「オンゲキといえばカードメイカーでリアルカードが作れるのが魅力のひとつだけど、実はそのタイミングでCHUNITHMもできるようになってたんだよね。そのカードで遊べたりもするんだ」
「あー、チュウニズム大戦?」
「うん。可愛いキャラだけでデッキを組めるんだよ! そうだ、流子ちゃん、せっかくだしチュウニズム大戦で勝負しない?」
「カードなんて持ってないわよ。そのワンコインで一体何分プレイできると思ってるの?」
「そう言うと思って、実は流子ちゃんの分も用意してあるんだ。はい、この中から8枚選んでくれる?」
「清々しいご都合展開ね!」
これはやらなきゃいけない流れらしい。
サラッとルールを聞いて、手始めに目についたキャラクターでデッキを組んでみる。
どうせデッキを組むなら、私は好みのキャラクターで組みたい。
私に相応しいカードは……これよ!
「準備できたみたいだね」
「勝負よ、星斗!」
――
――――
結果から言うと、惨敗だった。
「ま、こうなるのは見えてたわよね」
「あはは、でも気軽にできるから楽しいでしょ」
「そうね。スキルを把握したら星斗に勝てるようになるかも」
「……思ったんだけどさ、流子ちゃんのデッキってユリアちゃんとココちゃん多くない?」
「別にそんなつもりはないんだけど……やっぱり親近感がわくのかしら。特にユリアちゃんからはビビッとくるものがあるのよね」
「それ、やっぱり、む――」
「星斗ー、それ以上は戦争よ?」
忘れもしない。
あれはAMAZONのアプデが入る直前、星斗に急に呼び出された時のことだった。
『はい、流子ちゃん。この衣装、流子ちゃんに似合うと思うんだ♪』
そう言って渡してきたのが、何かのコスプレ衣装。
綺麗にたたまれた服を見てみると、それが和服であることは理解できた。
思わず引き受けちゃったけど、それがまさか、あんなことになるなんて……。
「急に呼び出されたかと思えばさ、変な格好をさせられるんだもん。参っちゃうわよ」
「えー、変な格好じゃないよ。あれはひな祭りにちなんだ男雛と女雛の衣装なんだから」
「男装させられるなんて思わないでしょ、普通」
「あ、ごめんね。もしかして流子ちゃんも女雛役をやりたかったの?」
「ばっ! あんなのまっぴらごめんよ!」
ダボダボっとした衣装なんて、着てらんないもの。
それに、ああいうのは自分で着るよりも、着ているところを見ていたいじゃない?
その方が性に合ってると思うし。
「なんとなくそう言うと思ったから、男雛の方を渡したんだよね。実はあの時の写真、スクラップブックに保存してあるんだけど見る?」
「えっ? 何それ、聞いてないんだけど!?」
「流子ちゃんの男雛がカッコ良くてさ、ふとした時に見返してるんだ♪」
「やめて! 恥ずかしいから!」
ああもう、思い出すだけで顔が熱くなっちゃう!
「えー、最後はピースまで決めてたのに?」
「はい、おしまーい! この話はお終いでーす!」
これ以上あの話をされると私の身がもたない。
というわけで。
「あのさ、私、今回こそ穴山大輔のアカウントを凍結させてやる! って気合い入れてたのよね……あ、もー、いつまで笑ってんのよ!」
「ご、ごめんごめん。あの時の流子ちゃん、かなり意気込んでたもんね」
「そうよ! 私もあのビッグウェーブに参加できると思ったのに、午前中にはもう凍結してたのよ? どういうことよ!?」
「気持ちは分かるよ。流子ちゃんもそうだけどさ、みんなどんどん成長していくから、陥落するのが早くなってるよね」
「海外じゃ初日に荒神が陥落しちゃうし、本当に同じ人類なのか疑わしくなるわ……」
「だからノーツデザイナーの人たちも俄然やる気になって、手応えのある譜面を用意してくれるのかもしれないね」
「だとしてもよ。いくらやりがいのある譜面を作ってくれたとしても、あの人だけは許されないわ、絶対に」
「絶対」
「ええ、絶対によ」
今ここに誓うわ。
いつか必ず、あの人の譜面を初日で陥落させてやるんだから!
「僕はやりごたえがあって、可愛い譜面で遊べればいいかな。ノーツデザイナーさん、お願いします!」
「ちょっと星斗、どこに向かって祈ってんのよ」
そうそう、忘れちゃいけないのがmaimaiの話。
AMAZONからCRYSTALにバージョンが変わる前に、maimaiがでらっくすになったんだ。
「maimaiでらっくすといえば、コハDのプレゼンだね。はっぴーのフリップ芸可愛かったなー」
「えっ、そこ? まあ可愛かったのは認めるけど……そうじゃなくて。あんなに真剣に語られたら聞き入るでしょ?」
私は配信で見た口だけど、正直言うとプレゼン資料は分厚すぎてちょっと引いた。でも、制作チームの熱意とプレイヤーの想いがすっごい感じられたよね。
そのせいかな……私、最後にコハDが泣いた時、ガラにもなくジーンと来ちゃったんだ……。
「新しいノーツとか、もっと面白く楽しくしようとしてくれてるのを感じられたかな。それとさ、イヤホンジャック! あれが一番嬉しかったかも!」
「そうだね! あれで没入感も上がったし♪」
これ、私だけじゃないと思いたいんだけど、筐体の音量次第で周りの音に意識が飛んじゃうことあると思うんだよね。
それから解放されるって、もう感謝しかないでしょ。
「あれ、でも最近CHUNITHMばっかりだよね。maimaiは?」
「あー、えっと……私的には嬉しいこと尽くめのリニューアルだったんだけどさ、ひとつだけどーしても納得いかなかったことがあって」
「何?」
「好きだった曲が一気になくなっちゃったの!」
あれは思ってた以上にショックだった。
いざプレイしてみたら頭が真っ白になっちゃって、まともにプレイできなくて……。
具体的に言うと、電子の楽園が一瞬で超大陸エマーグになっちゃった時みたいな。
まあ、今はショックも薄れてプレイするようになってはいるんだけどね。
「なるほど……確かに、急な変化ってどうすればいいか分からなくなることもあるよね」
「そういう星斗はなんとも思わなかったの? 思い入れのある曲が急にプレイできなくなるんだよ?」
「ないと言えば嘘になるけど。僕は他の人よりは変化に慣れてると思うからさ」
「慣れてる?」
「うん。変わることってさ、すごく怖いよね。僕も新しい環境になるたびに、素の自分を受け入れてもらえるかどうか不安になったりするから」
「あ……」
そうだ。
星斗は音ゲーをプレイしている時や私と遊んでいる時はいつもニコニコしてるけど、他の場所ではきっと楽しくないことだってあるんだ。
「変化、ね……」
変わるのが嫌だって感情は分かる。
お気に入りの曲がプレイできなくなる、あの置いていかれたような寂しい気持ち。あれは多分、言葉とか感情だけで片付けられるものじゃない。
でも、この世界には変わらないままでいられるものはきっとないんだと思う。じゃなかったら、私は今星斗と一緒に遊ぶこともなかっただろうし、音ゲーに触れてなかったら今の私もいなかったわけで……。
「あ~~っ、上手く言葉にできない~~っ」
「ちょっと難しい話になっちゃったね。しっとり話は一旦お終いにして、別の話にしよっか?」
「CRYSTALになってからの新機能と言えば、チームだよね」
チーム機能で課題曲を投げ合ったり、コースを作って競ったり。
あれのお陰で音ゲー仲間との結束は更に強まったんじゃないかと思う。
でも、中には無理難題を押しつけてくるやつもいるわけで……。
「星斗が作るコースだけ、いっつも難しかったのを覚えてるわ」
「そうかな? macrocosmos×3とか……僕はみんなにも体力と精度を鍛えて欲しかっただけだよ」
「どうしてその細い身体からあれをクリアし続ける体力が湧いてくるのか疑問に思うわ……」
「あ、そうだ、僕、新しいコース作ったんだ♪」
「うわ……もう嫌な予感しかしない」
「Genesisに《逃避》 ~The Deserter、Yume no hajimariだよ」
「嫌がらせでしょ! 真ん中からは私への悪意すら感じるわよ!」
「えー、そうかなぁ……楽しいしかわいいと思うんだけど……」
やっぱり星斗とは分かり合えない気がする。
まあいいわ。好きな譜面も人それぞれってことよね。
うんうん、みんな違ってみんないい。
「ねえ、この機会だからさ、もうひとつ話しておかなくちゃいけないことがあるの」
「ん、何?」
「CRYSTALといえばさ、やっぱりストーリーじゃない? 私、美鈴ちゃんにエルザちゃん、それとミィムちゃんの話を読んでウルっと来ちゃったの。ああ、これが世界一ピュアってことなんだ! って、思ったのよね」
「うん、綺麗な話だったよね」
……あれ? なんか思ってた反応と違うんだけど。
そこはもっと共感して欲しかったんだけど?
あんなにピュアな話が響かないなんて、星斗ってば何がお気に入りなのかしら。
「あんま響いてなさそうだけど、星斗はどの話が好きなの?」
「CRYSTALのストーリーと言えば、やっぱりシビュラ精霊記だよ」
「え、嘘でしょ……あの残酷な……みんながやたら勧めてくるから、頑張って、がーんーばーってー、シエロちゃんまで読んだんだけどさ、あれは無理。そこでギブアップしたわ」
「えっ、ジュナちゃんの話は読んでないの? そこが一番ゾクゾクするし、ピュアなお話なんだよ?」
「ピュアァァァ!? あれって、本当は怖いお伽話みたいなものじゃないの!?」
星斗は黙ってニコニコしている。
ピュアって何!?
誰か教えて!
「あ、もうこんな時間。すっかり話し込んじゃった」
「ほんとだ。ゲーセンに来たのにまだ一回もプレイしてないなんて、なんか変な気分だわ」
「じゃあ、ワンクレだけマッチングして帰る?」
「オッケー、そうこなくっちゃ。一発勝負だからね? 今日こそ参ったって言わせてやるわ!」
「はいはい」
「あっ、今笑ったでしょ。私に負けるわけないと思ってたら、痛い目にあうからね?」
「そんなこと言って、『もうワンクレお願い!』って言うまでが流子ちゃんだもんね。僕は詳しいんだ」
「……っ、本気の私を見せてやるんだからっ!」
なんだかんだで、星斗との日常は楽しく過ぎていく。
来週からは新筐体。
心機一転、一喜一憂する日々がまた始まるんだ!
新筐体の稼働日はあっという間にやってきた。
やっぱり新しいバージョンになった日はソワソワしてしまう。何度新しくなったとしても、きっと、それは変わらないのかもしれない。
授業が終わり、私はご飯も食べずにゲーセンへ直行した。
「わー……結構並んでるじゃん。みんなも気持ちは同じってことかな」
新筐体にはもうかなりの行列ができている。
星斗はまだ来てないみたいだし、先に遊んで待っていよう。
並んでいる間、生まれ変わった筐体に目を向ける。
新筐体は、私がまだ始めたてだった頃の筐体の色を思わせる黄一色に包まれていて、どことなく懐かしさを感じさせるフォルムをしていた。
うん、CHUNITHMっていったらこの色よね。
この前星斗と想い出話にふけったからなのかな? あの色を眺めていると、昔のことが頭をよぎってくる。
『――良かったら、一緒にSYNCやりませんか?』
あの時、投げかけられた言葉。
その言葉に、私は救われたんだ。
何をしても暇つぶし程度にしか考えられなかった私が、今もこうして夢中になれているのは――
『ピコン!』
その時、スマホが振動した。
画面には星斗の名前と、短いメッセージ。
こっちに向かっている最中のようだ。
「あの……順番ですよ」
「え? あっ、ごめんなさい!」
いつの間にか、私の番になっていたらしい。
急いで筐体に向かう。
(まずは新しいマップをやるとして……ん?)
隣の筐体から気配を感じて見てみると、そこには明らかにぎこちない動きをしている女の子がいた。
制服を着てるし、多分高校生。
もしかしたら、これから初めてCHUNITHMをプレイするのかも。
そのせいかな、この子からはなんか懐かしさを感じるっていうか……あ、ちょっと手が震えてる。
「お、お姉さん、私に何か用ですか?」
「あっ、あ~、え~っと……」
うわっ、恥ずかしい!
凝視しすぎて逆に睨まれちゃったわ。
でも、その声を聞いて私が懐かしさを感じた理由が分かった。
自分の居場所が分からなくて、なんとなくそれを探している。
この子はきっと、あの時の私と同じかもしれない。
だからかな。
自然と言葉が出てしまったのは。
「ねえ、私と一緒にマッチングしない?」
「はい?」
いつか私を救ってくれた言葉。
今度は、私がそれを言う番だ。
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
72021年11月23日 02:02 ID:e65yn5eo現実世界での時間だと約一年ずつバージョンアプデが来るけど、そっちの世界線の時間では二年(24ヶ月)経っているから文章で表すと、
無印→(4ヶ月後)→AIR→(4ヶ月後)→STAR→(4ヶ月後)→AMAZON→(4ヶ月後)→CRYSTAL→(4ヶ月後)→PARADISE→(4ヶ月後)→新筐体
というプレイヤーも運営も色んな意味で大変ハードな事になるのだけど身体大丈夫だろうか……。
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
52021年11月09日 22:07 ID:cmckt9rbキチレコの答えも衝撃的だったんだけど、めちゃくちゃ流れ弾食らってる-100号面白すぎでしょ
公式で名前を言ってはいけないあの人扱いすな
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チュウニズムな名無し
42021年11月09日 21:49 ID:jekse3ya19歳(23歳)
※17歳の時に初期verをプレイし始めNEWまでの6年間が過ぎた場合
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チュウニズムな名無し
32021年11月09日 21:46 ID:aj5r9erg荒場流子ちゃん達と振り返る実質チュウニペンギン的な裏話ありの振り返りじゃないか(歓喜)
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チュウニズムな名無し
22021年11月09日 21:39 ID:dqxlj7g0殺人レコードMoon Strixだったんか...
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チュウニズムな名無し
12021年11月09日 21:30 ID:r4on6k8qMoon Strixさん……???