不動 絶音
通常 | 漢の咆哮 |
---|
Illustrator:創-taro
名前 | 不動 絶音(ふどう ぜおん) |
---|---|
年齢 | 26歳 |
職業 | 不動流音撃術師範 |
目的 | 攫われた妹を助ける |
- 2019年9月5日追加
- AMAZON ep.VIIマップ4完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/5/13~6/9開催の「「大きな魚がお空を泳ぐでしょう」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2022/2/3~2022/3/2開催の「「最後の物語。約束はあなたと共に」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「音神翔」を装備することで「不動 絶音/漢の咆哮」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「Rebellion」。
音楽と武術を組み合わせた不動流音撃術の師範。
不動 絶音【 通常 / 音神の悟り 】
攫われた妹を救うため、漢は一人闘いへと歩みだす。
不動流音撃術――それは音楽と武術を組み合わせた全く新しい格闘技……
「龍虎の拳」と同じくSNKが制作した格闘ゲーム「風雲黙示録」のオープニングのセリフ「風雲拳──それは実践空手道とブーメランをくみあわせたまったくあたらしい格闘技…」より。
不動流音撃術
「龍虎の拳」の主人公「リョウ・サカザキ」たちが使用する流派「極限流空手」が元ネタ…に見えるが、絶音が使用する技(後述)を考慮すると、「龍虎の拳外伝」のキャラクター「不破刃」の流派「不破流忍術」の方が近いと思われる。
歌音さんが何者かに攫われて……!
さらわれた妹「ユリ・サカザキ」を助け出すことが「龍虎の拳」でのリョウたちの目的である。
地元の暴走族がたむろする酒場
第2ステージの対戦相手が暴走族のリーダー「ジャック・ターナー」。
暴走族たちの目の前にあった5本のビール瓶が、鮮やかに切断され
ボーナスステージの「ビール瓶切り」。
絶音の胸板めがけてドロップキックを仕掛ける
上記のジャックの必殺技「超ドロップキック」。
4枚積み重なっていた氷柱はすべて叩き割られ
ボーナスステージの「氷柱割り」。
一見すると男性に見えるほど凛々しい麗人
ステージ4の対戦相手「キング」。なお、ゲーム中では美術館の支配人ではなく、レストランの用心棒である。
音撃波を絶音に向かって勢いよく蹴り出した
上記のキングの必殺技「ベノムストライク」。
音壁陣
前述の不破刃の必殺技「流影陣」。飛び道具を跳ね返すのも同様である。
その柔肌が露わになってしまった
上記のキングを必殺技で倒すと衣服が破ける演出がある。
なお、キングは「龍虎の拳」時点では女性であることを隠しており、この演出で女性であることが判明するという仕掛けだった。
軍服を着た謎の男
ステージ6の対戦相手「ジョン・クローリー」。
身体を捻って高速で回転を始める
上記のジョンの必殺技「フライングアタック」。
音震残響刀
前述の不破刃の必殺技「真空斬首刀」。
犯人は棒術の使い手
ステージ7の対戦相手「Mr.ビッグ」。
武器を持った奴が相手なら『音神翔』を使わざるを得ない
会話デモ中のリョウのセリフ「武器を持った奴が相手なら覇王翔吼拳を使わざるを得ない」。
ツッコミどころの多さゆえに各所でネタにされていると言わざるを得ない。
音神翔
前述の不破刃の超必殺技「闘神翔」。
拙は
不破刃の一人称も「拙」である。ちなみに「せつ」と読む。
古びた寺で音神翔の会得を目指した
挑戦すること6回目にして、何かが見えた気がした
ボーナスステージの「超必殺技伝授」。コマンド入力を一定回数成功させると前述の「覇王翔吼拳」が使用可能になる。
棍をクロスさせて、ダイビングアタックの構えを取った
前述のMr.ビッグの必殺技「クロスダイビング」。
鬼の面をつけた男
最終ボス「Mr.カラテ」。
面をつけたその男の構えに、既視感を抱いたからだ
Mr.カラテの正体はリョウの父親「タクマ・サカザキ」である。ゲーム中でもリョウと同じ技を使用する。
勢いのついた連撃を浴びせ
リョウの隠し必殺技「龍虎乱舞」。なお、面の男の元ネタのMr.カラテは「龍虎の拳」では使用できない。
サウンド・オブ・ファイティング
「龍虎の拳」の海外でのタイトル「ART OF FIGHTING」。
頭突きに競り勝つと、面の男はなんと空高く垂直に吹っ飛んだ
前述の不破刃の特殊技「頭突き」。
ストーリーの通り、頭突きなのに相手が垂直に、しかも不自然なほど高く浮くことから、必殺技ではないのにインパクトが強い技。
「……すごい漢だ」
前述の不破刃の勝利メッセージの一つ。インパクトが強かったため、不破自身が「すごい漢」と呼ばれることも。
「お兄ちゃん! やめて、お兄ちゃん!!」
「その人は私たちの……」
エンディングでのユリのセリフ。
あまりにも有名なため、自社・他社問わず様々な作品でネタにされている。
さすがにストーリー全部ネタにされるとは思わなかっただろうが
スキル
RANK | スキル |
---|---|
1 | 無の境地 |
5 | |
10 | |
15 | 音神翔 |
include:共通スキル
- 無の境地 [CATASTROPHY]
- 魔神の領域と機神の暴走を組み合わせた全く新しいわけでもないスキル。ローリスクローリターンになった神の啓示ともいえる。
- 上昇率を平均すると+2で300%。9本はほぼ確定で、譜面を選べば10本も可能。
- +2するとこころここから(MASTER)で10本可能となり、限界突破の証系以外では数少ない、「Memoirs of CHUNITHM」マップ7における課題曲のソロ攻略可能スキルの一つとなる。
- 強制終了に関わるのはATTACK以下だけなので、ALL JUSTICEならば必ず完走可能。
- 絶音のSTORYの元ネタは「龍虎の拳」だが、同じくSNKが作成した格闘ゲーム「サムライスピリッツ」シリーズの一部作品に同名のシステムがある。やはり意識したのだろうか?
GRADE | 効果 |
---|---|
共通 | 3/4経過までゲージが上昇しない ATTACK以下3回で強制終了 |
初期値 | 3/4経過後からゲージ上昇UP (1000%) |
+1 | 〃 (1100%) |
+2 | 〃 (1200%) |
理論値:不定(譜面依存) |
- 音神翔 [CATASTROPHY] ※専用スキル
- ハイリスクハイリターンの極致の一つ。エアーライドが突然変異を起こし過ぎた成れの果て。
- 基盤がTARGET型であるため、譜面の締めを把握していないとリスクだけのスキルと化す。詳細はこちらを参照。もっとも、強制終了条件の時点で常人に扱えるスキルではないが……。
- なお、対応楽曲のRebellionはEXPERT、MASTERともにAIRで終わるためこのスキルの対象となる。
完走できるとは言っていない。 - 絶音がSTORY中で習得する不動流音撃術の奥義。AIR/AIR-ACTIONで終わる譜面が相手なら音神翔を使わざるを得ない
GRADE | 効果 |
---|---|
初期値 | 最後のノーツがAIR/AIR-ACTIONの場合 成功時にゲージがMAXになる JUSTICE以下10回で強制終了 |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
不動流音撃術――それは音楽と武術を組み合わせた全く新しい格闘技……。
その不動流音撃術の使い手である不動絶音は、人里離れた山奥に暮らしていた。
そこは不動家が代々受け継ぐ、不動流音撃術の道場として、現在は絶音の祖父が主となり、妹である歌音と数人の門下生と共に暮らしていた。
絶音の父は10年近く修行の旅から帰らず、母は5年前に病気で他界。
絶音は残された祖父と妹の面倒を見ながら、受け継いだ不動流音撃術を極めるため、ひとりで修行を続けていた。
その一方で、絶音は幼少の頃より不動流音撃術を学び、祖父から師範の地位を与えられており、門下生からも師範と呼ばれ慕われていた。
そんなある日、門下生のひとりが血相を変えて道場へ戻ってきた。
それは妹の歌音と共に、麓の街まで買い出しへ行った門下生だった。
「た、大変です師範! か、歌音さんが! 歌音さんが何者かに攫われて……!」
絶音は瞬時に表情をこわばらせた。事情を聞くと、手分けして買い出しをしていたが、待ち合わせの場所に歌音が戻らず、そこで通行人から手紙を受け取ったというのだ。
その手紙には『妹は預かった。救いたいなら絶音ひとりでこの場所へ来い』と書かれており、地図が用意されていた。
それを見た絶音は手紙を握りしめ、雄叫びを上げる。
「うぉおおおおおおおおおおおお!」
絶音はこのことを祖父に話し、妹を助けるためひとり山を下りることを決意。
「絶音……、歌音を頼んだぞ」
その祖父の言葉に絶音は無言で頷くと、道場を後にした。
「参るか……」
絶音が地図に示された場所へ行くと、そこは地元の暴走族がたむろする酒場だった。
絶音は暴走族たちに、手紙について尋ねようとするが、暴走族たちはまったく話を聞く様子がない。
「はぁ? なんだデカいニーチャン? なんか言ったか? ハハハッ!」
まったく礼儀を知らない暴走族たちにも動じず、再度情報を集めようと話しかける絶音だったが、暴走族たちは知らぬ振りを続けて酒を飲んでいる。
絶音は完全に無視されていた。
「うむ……仕方ない」
そう言うと、絶音は暴走族たちの前にあるビール瓶に向かって、静かに息を吸いながら気力を高め、獲物の弦を弾く。
その音が絶音の身体を巡り、手刀へと集約していく。絶音はその手刀を振りかぶった。
「ハァァァァァァ!」
掛け声とともに手刀を一気に振り下ろすと、暴走族たちの目の前にあった5本のビール瓶が、鮮やかに切断され、中のビールが流れ出る。
「ッ……!!」
その様子を目の当たりにした暴走族たちは、瞬時に言葉を失い、店内は静寂に包まれた。
「聞きたいことが、あるのだが」
絶音は静まり返った店内で、暴走族に向かって改めてそう言った。
絶音の行動にひるむ暴走族たちだったが、その中のひとりがゆらゆらと絶音に近づいてくる。
「いい気分で飲んでるっつーのに、ずいぶんと白けさせてくれたなニーチャン。ここがどこだかわかってんのかぁ?」
その暴走族の男は、周囲の声から察するに、どうやらこの暴走族のリーダーのようだった。
体格は絶音よりも一回りほど大きく、対峙するとその大きさはかなりのものだ。
暴走族のリーダーは絶音の前に立つと、おもむろに飛び上がった。
巨躯であるにも関わらず跳躍力は高く、そのまま絶音の胸板めがけてドロップキックを仕掛ける。
だが、絶音はリーダーの足を空中でがっちりと掴むと、そのまま床へ叩きつけ、倒れたリーダーに対して流れるような動きでその太い腕を曲げ、体重を乗せた肘を落としていく。
「グボッ!?」
リーダーは声にならない声をあげ、そのまま気絶した。
「ふん、このたわけが!」
絶音はリーダーを一瞥してそう言葉を発した。
それを見た暴走族たちは、蜘蛛の子を散らすように酒場から逃走してしまい、結局情報を聞くことはできなかった。
「ふむ……困ったものだ」
暴走族を追い払ったことで、酒場のマスターから感謝された絶音は、このギャングたちが美術館に頻繁に出入りしているという情報を入手する。
その後、マスターから得た情報にあった美術館へと向かった絶音だったが、絶音の身なりをみた警備員に止められてしまう。
「ちょっと君! ここはそういう身なりじゃ入れることはできないよ。出直してきてくれ」
それもそのはず。絶音は上半身がほぼ裸の身なりのため、街中ではかなり目立っており、おいそれと近づく者はいなかったのだ。
「ぬう……」
一考した絶音は周囲を見渡す。
この美術館は氷の彫像などがいたるところに飾られており、絶音の近くにはまだ彫像になっていない氷柱が重なって置かれていた。
思案した結果、絶音はビール瓶の代わりに氷柱を使うことにし、警備員の目の前で氷柱に向かって構える。
「ハァァァァァァッ!」
掛け声とともに、絶音が手に持った獲物を激しく奏でると、その重厚な音撃によって、絶音の身体全体に力が蓄積していく。
そうして溜まった力を手刀に乗せ、一気に氷柱へと振り下ろした。
「ぬおおおおお!」
4枚積み重なっていた氷柱はすべて叩き割られ、真っ二つになった氷柱はバラバラと床に落ちていく。
警備員は絶句し、その場で唖然としていた。
入り口での騒ぎを聞きつけたのか、見るからに美術館の支配人と思しき人物が現れる。
その支配人はスーツをスタイリッシュに着こなし、ヘアースタイルはショートカットという一見すると男性に見えるほど凛々しい麗人だ。
「あなた、もしかして不動絶音?」
それが麗人の第一声だった。絶音は突然自分の名を口にされたため警戒するが、麗人はそのまま話を続ける。
「警戒しなくていいわよ。まだ何もしないわ。でも私のところへ来たということは、例の妹さんね」
麗人はやはり情報を持っている。そう確信した絶音は妹の居場所と犯人について尋ねるが……。
「そういえば、あなたずいぶん強いんですってね。不動流音撃術……だったかしら? 私と戦ってあなたが勝ったら、情報を教えてあげてもいいわ」
絶音は無言で頷く。するとその直後、麗人は一気に間合いを詰めて、連続した蹴りを放つ。
数発当たってしまった絶音ではあったが、ダメージはまだ軽い。
「あまり動きは速くないようね」
麗人はそう言いながらすばやく動き回り、絶音を撹乱しようとする。
しかし絶音はそれに惑わされず、ゆっくりと音を奏で始める。
麗人は構わず蹴りを仕掛けてくるが、絶音は手に持った獲物を奏でながら、揺れるようにその蹴りを躱していく。
「なるほど、そういうこと。これじゃあ、あまり意味がなさそうね。それならこれで終わりにするわ」
麗人は絶音からやや距離をとって立つと、大きく足を振りかぶる。
すると、空気が擦れる音とともに、麗人のつま先付近に空気の塊が形成された。
「それは、音撃術か……」
絶音は獲物を弾く速度を上げ、両腕に力を溜めていく。
一方の麗人はサッカーボール大ほどに溜めた音撃波を絶音に向かって勢いよく蹴り出した。
高速で向かってくる音撃波に対し、絶音は両腕に溜めた力を一気に開放し、腕を上下に開く。
「音壁陣!」
その掛け声と共に絶音の前に音の壁が現れ、麗人の攻撃を受け止めた。そして、そのまま麗人へと音撃波を反射する。
「なっ!? あぁぁぁぁぁ!」
自ら蹴り出した音撃波が直撃し、あまりの衝撃に麗人の衣類は見る影もなく破られ、その柔肌が露わになってしまった。
「くっ……しかたないわね、私の負けよ……」
辛うじて無事だった麗人は、弱々しく起き上がると負けを認めた。
こうして勝利した絶音は、麗人から妹の居場所に関する情報を得たのだ。
ついに妹の居場所を突き止めることができた絶音だったが、その場所へ向かっていると軍服を着た謎の男から強襲を受ける。
「残念だが、お前にはここで死んでもらう」
それだけ言うと、軍人は絶音に向かって怒涛の勢いで攻撃を繰り出し、息の根を止めに来た。絶音は反撃の機会を伺いながら防御を続けるが、軍人は中々その隙を見せない。
「ぬぅ……」
徐々に体力を消耗していく絶音に対し、軍人はトドメとばかりに高く飛び上がり、身体を捻って高速で回転を始める。
すると軍人の周囲に真空の刃が現れた。
強靭な肉体を持つ絶音といえども、受けてしまえば軽傷では済まない。
しかし、絶音はここに勝機を見出した。
獲物を掻き鳴らし、蓄えていた力を放出するように腕を広げ、軍人のように高速で回転を始めた。
「音震残響刀!」
身体の回転に音の超振動を乗せる絶音の必殺技。音震残響刀は、軍人の繰り出した回転攻撃の威力を上回り、軍人を吹き飛ばした。
「うっ……。なんて技だ……俺の、負けだ」
負けを認めた軍人に、絶音は妹のことについて尋ねる。すると軍人の口から、妹を攫った犯人はマフィアのボスであり、そして棒術の使い手でもあることが語られた。
犯人は棒術の使い手……。絶音は軍人から聞き出した情報を整理し、思案した。
今まで戦ってきた相手はいずれも強者。その強者を率いるのであれば、想像するに一騎当千の達人以上の使い手ということだろう。
だとすれば――。
「武器を持った奴が相手なら『音神翔』を使わざるを得ない」
絶音はそう確信した。
音神翔は祖父が編み出した禁忌の技だ。未完成ながらその威力は絶大で、身体中で練った
『気』と、絶音の奏でる『音』を組み合わせて生まれる膨大な『音闘気』。
天に向かいそれを発するその奥義は、触れるものをことごとく破壊していく。
だが、使用者の肉体かかる負荷も大きく、それは命にかかわることもある。
それ故に封印していた技なのだ。
しかし、妹を助けるためには必ず必要になるだろう。
「拙は……歌音を助けるためならば……」
そう心に誓い、絶音は街外れにある古びた寺で音神翔の会得を目指した。
「うぉおおおおおおおおおおおお!」
完成間近だった音神翔だったが、絶音はあと一歩のところで失敗を繰り返していた。
急がなければ妹がどうなるのかわからない。そんな焦りが技の完成を遮っているようだった。
そんな時、祖父の言葉を思い出す。
「絶音、お前の中にはまだ眠っているものがある。それが目覚めた時、お前にはワシがたどり着けなかった新たな音撃術の極致へと到達するだろう」
眠っているものを目覚めさせる……。
絶音は心を落ち着け、目を閉じて自分を見つめ直した。すると、己の中に何かくすぶるものを感じた。
絶音はゆっくりと目を開き、獲物を構えて音を奏で始める。
「……これは」
今までの自分の音とは思えない音が聞こえる。
家族への想い、自身の強さへの想い、誰かのために力を振るうということによって生じた変化。
絶音の内から溢れ出る気と音が混ざり合い、新たな音色が目覚めた証拠だった。
「今ならば……もしや……」
絶音はそのまま激しさを増すように音を奏で、気を練り上げていく。
挑戦すること6回目にして、何かが見えた気がした。
「ぬあああああああああ!」
絶音は身体中から大量の『気』と『音』を放出する。それは破壊力を伴った『音闘気』として、怒涛の勢いで天へと昇っていく。
これが、音神翔だ。
ついに犯人の居場所にたどり着いた絶音。そこは廃工場になっており、今は稼働していない機械が放置されていた。
工場に入ると、絶音を待ち構えていたかのように、犯人と思しき人物がひとり立っていた。
「マフィアのボスとはお前か?」
サングラスをかけ、ロングコートを着たスキンヘッドの男に絶音は問う。だが、男はそれに答えない。
「……遅かったな、来い」
その一言で絶音は察した。眼前の男がマフィアのボスであり、妹を攫った犯人だと。
「いざ、尋常に勝負!」
絶音も一言そう発し、戦いが始まった。
両手に棍を持つマフィアのボスは、そのリーチを活かして絶音の攻撃が届きにくい間合いから仕掛ける。
次々に繰り出される鋭い一撃、絶音はなんとか攻撃を避け続けているが、圧倒的に不利な状況だった。
常に先の一手を読んで技を放つ相手を前に、絶音は攻撃を受けざるを得ない状況となり、ダメージが蓄積していく。
「くっ……このままでは」
反撃ができぬままジリジリと詰め寄られる絶音。防戦一方となってからは攻撃をいなすことができず、正面から受けとめる頻度も増加し、かなりのダメージを負っていた。
そしてついに絶音は片膝を地につける。
「……私の勝ちだ」
勝利を確信したマフィアのボスは、得意げな顔を見せ、その体躯に不釣り合いな跳躍で、絶音の頭上へ舞う。
そして腕を伸ばして棍をクロスさせて、ダイビングアタックの構えを取った。傷ついた絶音を仕留めるために、トドメの一撃を見舞おうとしたのだ。
「……まだだ、まだ拙はっ! 拙はぁぁぁ!」
棍が絶音に届くその刹那――絶音の身体中から気と音が混ざり合ったあの新たな音が、爆発するかのように放出された。
「んんん……うおああああああッ!」
絶音の魂の叫びと共に、練り上げられた『音闘気』が凄まじい勢いで全身から放たれた。それは、まるで炎のような闘気となって、マフィアのボスの身体を天高く突き上げていく。
凄まじい威力の音がマフィアのボスの身体を襲い、声にならない声を上げ、その巨体はボロボロになりながら地面に叩きつけられた。
あまりのことに驚きを隠せない絶音だったが、すぐに理解した。自分は会得した音神翔を無意識に繰り出したのだ。
身体に大きなダメージを負ってしまったが、辛くも勝利した絶音は、マフィアのボスから妹の居場所を聞き出した。
「歌音……もう少しだ……」
そこは、古い道場だった。
絶音は自分の道場を思い出して、少し懐かしさを感じながら、その古びた道場の門をくぐる。すると目の前には、鬼の面をつけた男が立っていた。
絶音はその男に向かって言葉を発する。
「歌音……妹は無事なのだろうな?」
だが、面を付けた男はその問いに答えることなく、無言で身構えた。
緊張感に覆い尽くされた道場は、張り裂けんばかりの空気に満たされ、見つめ合う二人は一触即発の雰囲気を漂わせていた。
「ならば、その面を叩き割り、正体を晒して聞き出すしかないな」
そう言って絶音も獲物を構えたが、絶音は不思議な違和感を覚えた。面をつけたその男の構えに、既視感を抱いたからだ。
「その構えは……」
しかし、絶音が言い切る前に面の男は間合いを詰め、一気に絶音の懐に入ってきた。
構えの違和感に気を取られ、反応が遅れた絶音は、防御もままならず手痛い一撃を受けてしまう。
「こ、れは……」
膝をついた絶音は立ち上がることができずにいた。先程の一撃は、受けた瞬間軽く感じられたが、その衝撃は身体の水分を揺らし、人体の内部に大きくダメージを与えていた。
マフィアのボスと戦った傷が癒えていない絶音には、あまりにも重すぎるダメージを与える一撃だった。
「ぐっ……はぁ、はぁ」
なんとか立ち上がることができた絶音だったが、その場から動くことができない。
面の男は動けない絶音に容赦なく突進し、その巨体を突き飛ばすと、勢いのついた連撃を浴びせ、絶音を道場の壁に叩きつけた。
「うおあああぁぁぁぁぁ!!」
凄まじく重い攻撃に、絶音はゆっくりと膝から崩れ落ち、意識を失った。
「エイッ! ハッ! エイッ! ハッ!」
道場では今日も早朝から修行が始まっていた。祖父の修行は厳しいはずだが、門下生たちはしっかりとついてきている。
このまま成長してくれるならば、不動流音撃術もまだまだ安泰だ。
「師範。朝食の後、1本稽古をつけていただきたいのですが、よろしいですか?」
師範と呼ばれるのはいつまでたっても慣れないが、門下生たちとはうまくやっている。
「あぁ、わかった」
「お兄ちゃん! お兄ちゃんってば!」
歌音の声が聞こえる。また料理で何か失敗したのだろうか。
「どうした? 歌音」
歌音は家事全般をそつなくこなすが、料理だけは失敗も多く、上達が遅い……。
「朝ごはんできたから、呼びに来たの! もぉ」
心配だったが、どうやら今日は失敗していないらしい。そして今日は歌音の誕生日だ。
夕食は拙が腕をふるってやろう。プレゼントは門下生に頼んで用意してあるからな。
「歌音。今日は歌音の誕生日……だったな。誕生日、おめでとう」
歌音の誕生日は、毎年門下生も含めた全員で祝っている。
「わぁ! ありがとうお兄ちゃん! えへへ、プレゼントなにかなぁ?」
歌音の笑顔は、道場全員の宝だ……誕生日……誕生日……。
そうだ……今日は……。今日は歌音の誕生日……だ!
意識を失った絶音が起き上がることを、面の男はただその場で待っていた。
すると、絶音の身体が動き始める。
「今日は……歌音の……誕生日……だ!」
満身創痍の身体を気迫で動かし、絶音は立ち上がり、再び面の男と対峙する。そして、絶音は手に取った獲物で音を奏ではじめた。
「うおおおおおおおおお!」
不動流音撃術――その基本は音と肉体の共鳴。絶音はその基本に立ち返ったのだ。まさしくサウンド・オブ・ファイティング!
絶音は面の男へ向かって突進し、頭突きを繰り出した。対する面の男も絶音と同じく頭突きを繰り出し、頭と頭がぶつかり合う。
そこで絶音は妹を強く思い、叫ぶ!
「今日は、歌音の、誕生日だっ!!」
絶音の気迫が勝ったのか、頭突きに競り勝つと、面の男はなんと空高く垂直に吹っ飛んだ。
絶音はそのまま最後の力を振り絞り、落ちてきた面の男に連続で突きを繰り出すと、そのまま側転のように回りながら攻撃する『側動蹴』を重ねる。
空中で連撃を受けた面の男を地上に叩きつけたところへ、ダメ押しと言わんばかりに勢いよく踵を振り下ろした。
面の男の体力、気力、そのすべてを真っ赤に染め上げる。
絶音の死力を振り絞った連撃により、勝負はついた。
面の男を倒した刹那、視界の向こうでゆっくりと吹き飛んでいく姿を見届ける絶音。面の男は宙を見るように仰向けに倒れたまま、立ち上がることができないでいた。
絶音は勝利した。
しかし、もはや気迫だけで立っているのが精一杯の絶音は、倒れている強者に対する賛辞として言葉を贈った。
「……すごい漢だ」
だが、男は鬼の面を付けたままだ。正体を暴き、妹を助けなくてはならない。
「妹……妹はどこだ、言わないのであれば、如何にぬしとはいえ、このままトドメを刺させてもらう……」
そう言って手刀を振りかぶったその時だった。
「お兄ちゃん! やめて、お兄ちゃん!!」
妹の切なる叫び声が、絶音の動きを停止させた。
「か、歌音っ! 無事だったのか……」
妹の無事な姿を目にした絶音は、全身を脱力感に襲われ、徐々に意識を失っていく。
「うん、私はなんともないの……お兄ちゃんあのね。その人はね、その人は私たちの……」
絶音の意識が薄れゆく中で、妹は何かを伝えようとしていた。
しかし絶音は最後まで聞くことなく、意識を失った……。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
---|---|---|---|
スキル名/効果/備考 | |||
◆ジェネ | EXPERT | 0 / 340 / 680 | |
リミットダウン(上限点数-100) | |||
COMBO/CHAIN時発動。 全プレイヤーは上限点数が「-100」される。 |
-
-
チュウニズムな名無し
452022年05月17日 23:07 ID:nj55vzkrんんん……うおああああああッ!
-
-
チュウニズムな名無し
442021年05月24日 18:52 ID:t0qz5abx今更だが今回の新マップの攻略してる時に気づいたけど境地って+2で無凸啓司と上昇率同じなのか…
強すぎでは?
-
-
チュウニズムな名無し
432021年05月14日 21:47 ID:kbgve0iq【朗報】「歩いていこう!」の登場で、スキル『音神翔』が使いものになることが証明される
「よかったね、お兄ちゃん」
-
-
チュウニズムな名無し
-
-
チュウニズムな名無し
412020年12月01日 22:37 ID:t05tb24x背中の刺青、なんて書いてあるのか今まで謎だったけどもしかして「絶」って書いてあるのか
-
-
チュウニズムな名無し
-
-
チュウニズムな名無し
392019年12月20日 21:53 ID:l4e0d98r「音闘気」ってもしかして「音ゲ」って読んだり…?
-
-
チュウニズムな名無し
382019年12月06日 23:46 ID:f4jqqbxm一回だけでもいいから音神翔使って「トドメだ!」やってみたい
-
-
チュウニズムな名無し
-
-
チュウニズムな名無し
362019年10月15日 00:03 ID:pe4xg4g1無の境地でだんご大家族10本乗りますねぇ
今のうちにガッツリマップ進めなきゃ…