【白猫】City of Bullet Story
ギャングが一匹―― 立ち寄った町で、銃を撃つ―― |
2016/12/21 |
目次
主な登場人物
story1社交の島のハイソな歓迎
世に有名な、華やかなりし貴族の園
――社交の島・ゼメキア――
……だが、煌びやかな光の影には――
さ~安いよ安いよ!ゼメギア名物、ウリーヴォオイルが今ならたった150Gだ!
え~……最近、粗悪な品質のニセモノが出回ってるし……
あっ!……ったく、見る目がないねぇ!これは正真正銘本物なのに!
おっと!そこ行くおにいさん!一瓶買っていかないかい?
名物ウリーヴォオイルがなんと150Gポッキリ!
あァ?
うっ!?
……オレが観光客にでも見えた?
し、失礼しやした、旦那……
……悪くねェ島じゃねーか。
町中に……水路、ってか。イイ趣味してやがる。
<――>
なんつーか、ハイソだねぇ……
<――ドンッ。>
お?
失礼。
おう、気にしてねェよ。
失礼を承知で申し上げます。
ヨソ者に大きな顔で歩かれますと、大変不愉快でして。
お忙しいところ恐縮ですが、ご足労願えますでしょうか?
……なに?この島はギャングまでそーゆークソ丁寧なワケ?
なわきゃねぇだろ、気まぐれだ。面白かったかァ?田舎モン!?
なんだよ気が合いそうじゃねぇか。
そーやって、無駄に人を楽しませようとする努力、嫌いじゃねーぜ?
いつまで余裕カマしてんだァ?アァ!?
歩いて来てもらいてェんだがなァ?引きずってくのは、重ェからよォ!
そんなら名案があるぜ?……ここでくたばれやァ!!!
story2 幽霊紳士
――さ~て、そろそろメシ屋でも探して――
ン?
…………
あァ……?
貴方、強いのねぇん♪
お?
……なんだ、あんた!?
幽霊、よ♪
幽霊……!?始めて見たぜ……!
怖いかしら?
うんにゃ。殴り合えばオレの方が強そうだ。
たしかに、アタシは殴れるわ。だけど、アタシの心は殴れない……♪
このゼメキアを見て……貴方は、どう思った?
いいとこじゃねーか。見てくれは。
ただ……ちぃっとばかし、ドブみてぇな臭いがすンなァ?
……澄んでいるのは水路だけ。その清らかさの裏で、人の心は……
あ、立ち話も悪いわよね。雰囲気のいいバーがあるの。一緒に来てくれないかしら?
構わねぇが、おめぇ、店は入れンのか?
仮装……で、通るの。この島では、ね♪
フゥーン……
(…………)
***
ここのチーズリゾットが絶品なのよ~♪ゼメキアに来たら、まずこれを食べなくちゃね♪
おめぇ食えンの?
おめぇじゃないわ、ベンジャミンよ♪
――そうか、食いきれよベンジャミン。オレぁ手助けしねェからな。
story3蜜蜂の寄る花
……フェロー一家?
古い連中でね……アタシが子供だった頃に、よくキャンディーをもらったわ。
生前の話か?
もちろん。フェロー一家は、もはやギャングというより貴族ですらあるわ。
金で地位を買ったか。
マ、いいんじゃねェの?長い繁栄を望んだギャングは、丸くなるからなァ。
……ところが最近。ドン・フェローは変わったの。
どういうわけか、急速に勢力を拡大してる。そんな必要もないのにね。
〈ワスカの葉〉を密輸入しているってウワサまであるわ。
マユツバじゃねーか?例の戦争が終わった後、規制はとんでもなく厳しくなった。
連邦に帝国……網をかいくぐるのは並大抵のことじゃねェだろ。
……まさか……?
……〈闇〉じゃあ、ないらしいわ。〈運び屋〉が、いるらしいの。
〈運び屋〉――
***
いやー、いいトコっすねえ。心が痛いっすよ。
業務時間なんだから、無駄口叩かない。
わかってるっすよパイセ~ン。
あら?あなた、見ない顔ね。ゼメキアは初めて?
……仕事なんで。
ぶーん?あ!!あなた、一緒にいるのって精霊さんでしょ!?
ねえ、よく見せて!その服どうなってるの!?今後の参考に、見せて、お願い!
……いいわよ?
ありがとう!
パイセ~ン、仕事中っすよ~?
ついて来て……
ぶーーーーん♪
(……!)
story4 運び屋の業務
ちょっと!どこ行くのよ!
帰る。ごっそさん。
もう少しくらい話を聞いてくれたって!
潰せってんだろ、そのギャングを?
ええ!箔がつくと思うわよ♪
裏社会での、だろ。もう十分なんだよ。
ウチの島のために、近隣の島のアホどもに、そこそこ追い込みかけたかんなァ。
知ってるわ、〈火薬庫〉ヴィンセント。いいえ――
――もっと前は、〈狂犬〉だったかしら?
へぇ。おめぇさん、長生きだねぇ。
死んでからも人生って続くものなのねぇ♪
……だから気付いたこともある。
ン……
力を貸して欲しいんだ。
この国は濁ってしまった。循環させなくては、手遅れになる。
――彼女のためにも……!
なんだよベンジャミン。恋の悩みなら先にそう言えよ。
オレが二、三人、みつくろってやらァ。好きなタイプはどんなだ?
――っつって。一人しかいねェ、って、ツらだな。
僕の表情がわかるのかい?
あんた、存外表情豊かだぜ?結構、人に言われねェかィ?
ふっ……面白いことを言う男だ……
メシ代、オゴってもらったしなァ。
足りねぇ分は、おめぇさんの披露宴でたらふく飲ませてもらうぜ?
幽霊の僕が、結婚など……
………………
シャレてんだろ?
あぁ……!世界一のパーティーに招待しよう……!
***
ねえねえ、どこまで行くの?
もう少しよ……
こっちってさ……フェロー家の館がある方向じゃない?
…………
ハチミツの妖精って、正義の味方なんだよね~……
――何を企んでるの?
……はは、ウケるっすね。
それ、コスプレっすよね?
衣装は力をくれるの。悪に立ち向かう、勇気もね!
あなたたち!〈運び屋〉ね!?
バレちゃいましたよ、パイセ~ン?
まだ業務時間よ、オリバーくん。
そこで俺に振るんすか~?社員がやってくださいよ~?
自分、ケーヤクなんで。手加減とか、わかんないっすよ~?
!!
story5 大義名分
ただいまっす~。
遅い!……そいつは!?
エルウッド家の小娘!?
あ、知り合いっすか?
貴様ら、誰にもかぎつかれるなとあれほど……!
いや、それはキツイっす。この時給じゃ、そこまで細かい仕事はムリっす。
契約違反だ!
その辺は上司に言ってくださ~い。俺、ケ~ヤクなんで~。
……!
オリバーくん、駄目だって。クライアントの前では、行儀よくしないと。
うぃ~っす。
ミスター。フェロー。今回の分の〈ワスカの葉〉です。
ふん。前回のように不純物はないだろうな?
俺らは運ぶだけっす。渡されたまんまの品質は保証するっす。
では、後金を。
ブツの確認が先だ!奥の部屋で待っていろ!
うぃ~す。
では。
……余計なモノまで拾ってきおって……!
…………
眠っているようですが……どうしますか?
……待てよ。エルウッド家か……
これを機に……攻めますか?
馬鹿野郎!そんなに都合良く進むワケがねぇだろ!
しかし……なら、どうするんです?タダで返してやったって……!
畜生……!まだ時期は早ぇだろうがよ……!
…………イケんのか……?俺たちは……?
***
……まさかあそっから、無策とはねェ……
ごめんなさいねぇ……
目的だけはあるんだけど、こんなに早く実行できるとは思ってなかったものだから……
オレがガーっと乗り込んでバーっとやるんじゃダメなのかィ?
大義名分がないと、ただのヤンチャだもの……
まァな……言ってることはわかるぜ……
薔薇の香りは正義の兆し!悪しきを正す薔薇剣士、〈レディローゼン〉!華麗に参上!
あなたたち、冒険家ね!頼みがあるの!
そこらヘンうろついてりゃ、絡んでこねェかなァ、連中?
う~ん、私闘じゃあ、親玉まで引っ張り出すのは難しいでしょうし……
ちょ、ちょっと!?私のことを無視しないで!
順々に強い奴が出てくるだろ?一匹ずつのしてきゃ、ボスまでいかねェかな?
結構臆病な奴らなのよ。ギャングってみんなそうなの?
まあ、大なり小なり、どいつも小心者だわナ。
へぇ、意外ねぇ。
ちょっと、聞いてよ!大変なの!
女の子がフェロー一家の館に連れ去られてしまったの!助け出さなくちゃ!
なんだよ、それを早く言えよ。
聞いてたの!?
あら、あなたはたしか……
――コホン
常勝の剣は民のために!〈レディ・ローゼン〉よ!
――さっきも言ったけど!
story6 勇気
どけやオラァアアア!!!
こ、こいつ……!
さぁ~て、ここでクイズがあるわぁ~ン。
〈火薬庫〉には弾薬がありま~す。それを撃ち尽くしたら……
1、あたし降参、アンタらの勝ち。2、素手になっても超強い。
さて、どっちでしょ~?
あぁ!?ンだそりゃ、クイズになってねェぞ!
律儀にお答えありがとねん♪そりゃそうよ、こんなのはクイズじゃなくって――
脅しっつーんだからなァア!?
***
ひぃ、ひぃ……!
いやぁ~ん、そんなに必死に逃げないで~♪
観念しなさい、ドン・フェロー!
少女誘拐及び、〈ワスカの葉〉の密輸入!このレディ・ローゼンにはお見通しよ!
義賊ゴッコの分際でぇ……!
…………
!!まだだぁ!!
ジュリアちゃん!!
ハハハ、どうだ!一歩でも近づいてみろ!コイツの命はねぇぞ!
!!……う、うぅ……!
ベ、ベアトリスちゃん!?
なんかトラウマでも思い出したかぁ~?オルデンベルクの小娘~?
おら、どけぇ!大人しく通しやがれ!
大丈夫、ベアトリスちゃん?
こんなんじゃ……!〈ローゼン〉は……正義の使者よ……!
ハハハハハ!無理すんな!成長には時間がかかるもんだぜぇ!?
あばよ!!
……前へ……進むんだ……!
!!
バカ……な……!
あなたは……?
……う……ううん……?
ぼくは……ぼくは……!
かわいいだけじゃ……だめなんだ……!
たたかうんだ……ぼくだって……
……偉いわ、チッチョ……
チッチョ……?……ありがとう……
うぅ……こわかったよ……
うぅわぁああああーーーーん!!!
がんばったわね……
……そうだ……私も……
どんなに怖くっても、前へ――!
***
〈ワスカの葉〉が、どこにもないだと!?
はい。あれほど出回っていたのに――
パイセンもワルっすね~?
前金しかもらってなかったもの。
へ~い。メシはよかったんすか~?
あの程度の〈希望〉じゃ逆におなかが空いちゃうわよ。
さ、次にいきましょうオリバーくん。
残業はナシでお願いしゃ~す。
最終話 貴族
――わ、わかった……!
こんなことは、もう二度としないと誓う!だ、だから……!
もう、つきまとわないでくれ、ベンジャミン……!!!
***
…………
歓迎しちゃあくれなかったかい。
いや……もっとか……
……時代遅れの家なのさ。何につけても、ね……
フェロー一家をたきつけたのは、僕の家――フルード家だ。
歴史の長さはゼメキアでも一、二を争う。
だからこそ家の人間は、僕が敵対するクレメンティ家の娘と結ばれることを……
決して許しはしなかった……
…………
僕は、知っている。
表面上は敵対していても、クレメンティ家も同じさ。
彼女に僕を殺させたのは――両家の、両親だ。
裏では通じていたのさ……
……言いなりになったその娘に、ムカつきゃしねェのかい?
彼女に怒りはない。
僕は、毒杯と知って飲み干したんだ。
覚悟、あったんだな……
……どちらの家も、何も変わっていかない。
僕が何度忠告しようと……その場では頷き、すぐまた同じ愚行を犯す。
それが……この島で、最も古いと言われる貴族の家の実態さ……
…………
すまない。結婚披露宴は無期延期だ。
この世では……実現しないかもな。
そりゃァいいや。
え?
オレは退屈が苦手でね……
死んだあと、どーやって暇を潰すか悩んでたんだ。
予約は大歓迎だぜ。
ヴィンセント……
気長に待つさ。
それまでは、なんつったか、またあの――
うめぇリゾットで一杯やろうぜ?
……ああ……!
その他
相関図
●社交の島・ゼメキア出身者
(華やかな貴族社会を構築している一方で、格差社会が進んでいるという見方もある。)
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