【白猫】ミラ(名星会)・思い出
敬虔なるシスター ミラ・フェンリエッタ CV:下田屋有依 各地で教えを説くシスター。 実は信仰を糧とする悪魔。 |
思い出1
ちょっとちょっと!
あっ。
あっ、じゃないでしょ!あたしよあたし!
いらっしゃい、ミラさん。
そうよあたしよ!さあ心を開いて!
やりにくい。
なによもー!素直になって!
いつもわりと素直よ!
信仰してって言ってんのよ!
私たち、ミラさんのこと、信じてますよ……?
わっ、アイリスったら聖女みたいな笑顔……信仰しそう……
負けてどうする。
あたしたち、意外とこう……長い付き合いじゃない?
そうですね。
あたしが地道に布教活動をしてたときからの付き合いだし。
いまもそうじゃん。
なんでわかるのよ!
そうでしょうが!
いまもそうよ!ああ信仰されたい!
ミラさん……
こっちは信仰されないと消えちゃうのよ!遊びじゃないの!!
なんぎな悪魔ね……
えぐえぐえぐ……
泣き落としのつもり?
少しは憐れんで!
じゅうぶん憐れんどるわい!
じゃあ信仰しろー!!
憐れみは信仰ともっとも遠い感情じゃーい!!
胸を打つ言葉ァ!!
思い出2
ちょっと主人公!!
あたしの目を見て!!
<ミラは、主人公の手を握った……!>
疑問とかいらないから! ただあたしを見て!
あたしだけを見て!
眼をそらすな!
どう?
信仰芽生えてきた?
芽生えるかー!!!
芽生えろー!
ハアアアアアアー!?
煮詰まってるのよ!! 察して!!
知るか!!
鬼!! 悪魔!!
おまえじゃ!!!
そこをなんとか!!
だいたい今のヤツあれじゃん……ちがうやつじゃん……
えっ、そうなの?
そうよ……別のヤツが芽生える感じのやつじゃん……
芽生えた? 主人公?
そっちも芽生えてないわ。不毛の大地よ。
じゃーどうすればいいのよー!
そもそもさ……難しいじゃん。信仰って。
信じるだけなのにー。タダなのにー。
アタシら、アンタと……そこそこ仲良しじゃん。
光栄に思いなさーい!
仲良しは訂正する。そこそこ知人じゃん?
なんで距離をあけるのよー。
そこよ。知り合いに対して、信仰とか……ないでしょ?
そこからなの!?
思い出3
……まったく、お人よしもきわまれりだわ。
いいじゃない。ミラさんのためだもの。
でも、布教の手伝いっても、具体的になにするの?
チラシをくばるのだー。
あら、ルーシーじゃないの。そっか……アンタはミラといっしょなのね。
そうなのだー。
<ルーシーは、故郷の悪魔の国で疎まれ、独りぼっちだった。
ミラは、そんなルーシーをひきとり、一緒に暮らしているのだという。>
チラシをくばるには、コツがあるのだ~。
そうそう。チラシは手元に出して。すぐ手に取れるようにね。
なるほど……
相手の眼をしっかり見て、笑顔~。無視をさせない。これ重要。
受け取ってくれないときは、悲しそうな顔をするのだ~。
そうそう~。情に訴えるの。これぞ悪魔よね!
ミラ……
感心した?
お疲れ様って感じ……
***
<街角で、ミラの説法……? が始まった……>
なんだか大道芸でも始めるみたいな雰囲気ね……
はい、お集まりのみなさんこんにちは~。
純白のシスターことミラ様よ! どう? 感動した?
そう、あたしはみんなを救いにきたの!もうバンバン救うから!
……うわあ……
具体的には……どうやって救うんじゃ……
それ聞きたい?それ聞きたいおじいちゃん。
いきなり手を取るとは情熱的じゃな……
絶対救いたいから!
ハァ……
あなたが救われる方法!それは!
お嬢さんを信じること……かのう。
そう! 正解~!!ものわかりがよくって、なんだか感激しちゃう!
では聞くが……信仰とはなんじゃ?
えっ……えっ……?
思い出4
……ぶつぶつぶつぶつ。
……あらら。
あーもう!どうして悪魔のあたしが惑わされてんのよー!
ミラが悩んでる。
悩んでない!
そうよね。ミラだもん。
あたしだって悩むっての!
じゃあ悩んでるの?
……まあ、その……ちょっとね?
信仰って……何なのかしらね……
そこからかーい!
しょうがないでしょ! 考えたこともなかったんだし!
ウーン……信仰って、好きとは別物なわけ?
別物よ! 信仰ってのはもっと、ゆるぎないもの……なのよ!
じゃあ、好きって気持ちが強くなったのが……信仰?
……それは……違うような……?
何かを信じるっていうのは……何かに惹かれることとは、違うのかも……
信じる……信じるねえ……確信ってやつ?
……そうねえ……
つまり、信じるってのは……信じるに足る根拠が必要ってことになるわけ?
なんかそれも違うわね……
そりゃそうよ。根拠がない事のほうが、この世には多いもの。
理屈じゃないのかもしれませんね……
そうよ理屈じゃないのよ信仰は! 心で感じて!
いや無理だから!
なんでよ!
考えたら結局わけわかんなくなってきたわ……
もしかしてこれ、答えが出ないやつ?
そうかもしれませんね……
ハァ……まあいいわ。それがなんであれ、あたしには信仰が必要なわけだし……
考えたってらちあかないし。だいたいどうしてこんな話が気になってんだか……
……あれ? あたし……そういえば……
どうしたの、ミラ?
あたし……いつから信仰を集めてたんだっけ……
思い出5
……うーん……やっぱり……思い出せない……
だってアンタ、ルーシーと同じように悪魔の国の出身なんでしょ?
たしかにそうなんだけどさ~。うーん……
記憶があいまいなんですか?
そうじゃないのよ。なんつーかあたしさ……
自分の意志が……なかったような気がすんのよね……
アンタが!?
自分でも変なことをいってると思うけどさ……
昔のあたしって、なんだか……すごく空っぽだったの。
どういうこと?
感情がないっていうかね……あるのは、明確な目的だけ。
目的……ですか……?
信仰を集めるっていう目的。
意志とか感情とかが無いのに……?
そう。なんか……姿形も、今とは違った感じだったし。
そういえばアンタ、その昔はヘビメタっぽい格好してたって。
あれはもうちょっと後の時代よ!
(じゃあ自分から望んでそういう格好を……)
なんだか想像つかんわね…… ?
一つだけ、覚えてることがあるの。
何ですか?
昔のあたし……なんだか、ちゃんと信仰を集めてたみたい……
あり得ない……!?
あり得ないとはなによー! 今だってバリバリ信仰を集めてるでしょ!?
自分で言ってて虚しくならんのかしら……!
***
あたしはそう。最初は……意志なんてなかった。
あたしはずっと……命じられるまま、信仰を集め続けて……
……あたしは……何なの……?
まさか……
この感じ……!
……
あたしを使い魔にしてた<白い聖女>……! 滅んでなかったっていうの……?
いや……違う……
……そっか……そういうこと……あたしは……最初から……!
思い出6 (友情覚醒)
あっ……あれ? 主人公?
……ええっと、ルーンの光とか、今のあたしには……
っていうかあたしには……別に、こんな……
考えたんだけどね……信仰については、アタシらは正直わからないわ。
でも、アタシらは……アンタに、消えて欲しくないわけ。
キャトラ……
いきなり消えちゃったら、寝覚めが悪いじゃないの!
力になりたいんです。
アンタたち……
今の力になりたいんです、のとこ、なんかグッときたわ……!
ミラさん?
そういう、しおらしい感じを取り入れていくと、信仰が集まりそうね……!
集まるかい!!
***
以前あらわれた、あたしのニセモノ……
あいつも、あたしの同類だった。
あれの使い魔――信仰を集めるための、道具だった……
悪魔の国でも最悪の大物……<白き罪>……!
信仰を糧とする悪魔は……全てあいつを根源とするとか言われてたような……
元は、意志の無い使い魔だったってことね……
はぁ……あたし自身が……元は、意志の無い使い魔だったってことね……
シスター、おうちに帰るのだー。
やだ、もうこんな時間……フフーン。悪魔の時間ね~。
ごはんの時間なのだー。
はいはい~。
シスター、何か……悩んでたのだ。
別に悩んじゃないわ~。ちょこっと、現実をね……受け止めてただけ。
げんじつが、シスターをいじめるのだ? だったらやっつけるのだ!
あはは……現実は厳しいけど、優しいこともあるのよ。
……あんたとも、こうして出会えたしね~。
シスター……
ミラは、ルーシーの頭をなでた……
……そっか……信じるってのはこういうことかもね……
心の中に、揺るがないやつを持つっていう……そういうことなのかも……
……あたしが消えなかったのは、あたしが、あたしのことを……信じてたから、か……
ぎゅー、なのだ。
ルーシー、今日はハンバーグにしましょう。
お金がないのだー。
あるところに行くのよ!
ルーシーもがんばるのだ~。
信仰もごはんもあたしのものよ悪魔の力を見せてやるわ!
信仰されたい悪魔 ミラ・フェンリエッタ
その他