Brave The Lion 2|N-3 Story
3-1 時同じくして訪れし者
ルーンチェーンソーの
獰猛な唸り声が、
人影の消えた廃村にこだまする!
メア
断ち切るッ!!
ギュルギュルと回転する刃が、
邪悪な意識ごと魔物を分断する。
メア
これでよし――
???
――ガキが。
音もなく現れた男、
その両手に携えた凶悪な
ノコギリ状の武器が、一体の魔獣を
瞬時に10数個の肉片へと分かつ。
???
止めは確実に刺せ。
堕ちてからでは遅い。
メア
……私はあなたのように
<刻む>趣味はないのよ、
バイパーさん。
バイパー
フン……
そんな口答え、どこで覚えた?
メア
どこでだっていいでしょ。
???
いいわけないわね。
???
穿つ!(※)
※うがつ。穴を開ける、貫くこと。
――女性が両手に持った大槍が、
さらに一体の魔獣を貫き、
その身を爆裂四散させる。
???
退魔士の使命は<混沌>を
滅すること……徹底的にね。
???
わずかでも<混沌>に
染まる可能性があれば、それは敵。
与えるべきよ……完全な<無>を。
メア
言われるまでもない。
そうしているわ。
バイパー
……ククク。
メア
……なにがおかしいの?
バイパー
なに……『そうしている』ように
見えないから、セラは親切に
忠告しているのに、と思ってな。
メア
……! 子ども扱いしないで!
メア
!
バイパー
メア……お前、何体の
<混沌>を滅した?
バイパー
100か? 200か?
メア
……!
300は超えてるわよ!
バイパー
一桁足りん。
メア
くっ……!?
セラ
メア。退魔士は兵隊なのよ。
セラ
より早く。効率的に。
より多くの<混沌>を狩る――
それだけでいいの。
バイパー
メア。学べよ。
通常、個々人で仕事をするのが
退魔士だ。
バイパー
そんな中で、
<ルーンジグソー>のこの俺と――
セラ
<ルーンギムレット>の
あたしと共闘出来るなんて、
あり得ないんだからね。普通は。
メア
…………
バイパー
行くぞ。速やかに島内を調査する。
セラ
ええ。
メア
退魔士は……
それだけなの……?
3-2 獅子を狩る者たち
バイパー
どうだ?
セラ
予想通りね。
この村は、滅んでから
50年以上経過している。
メア
(……予想通り……?)
メア
これって、何を調べているの?
バイパー
メア。今回の狩りは、
俺たちが上で、お前が下。
そうだな?
セラ
無駄口叩かず、
戦ってればいいのよ、
お嬢ちゃんは。
メア
……私は兵隊じゃないわ。
セラ
違うでしょ?
セラ
あなたは兵隊にすら
<なれていない>のよ。
偉そうに語らないでくれる?
メア
……!
バイパー
セラは親切だな。
セラ
ええ、自分でも呆れるわ。
メア
……?
セラ
行きましょうバイパー。
ここは全ての証拠が
抹消されている。
メア
待って!
バイパー
……なんだ?
メア
……私たちの目的は、なに?
バイパー
……<獅子>狩りだ。
メア
……じゃあどうしてこんな
寄り道が必要なの!?
バイパー
行くぞ、セラ。
セラ
ええ。
メア
待ってよ!
メア
……証拠が、抹消されている……?
どういうこと……?