Brave The Lion 2|N-15 Story
15-1 獅子の咆哮
主人公たちは、
突然ひらけた部屋に出た。
ダグラス
ど~やら……
終点についたみてえだな。
ヨーゼフ
すぐさまこちらだ!
素晴らしい精度じゃないか!
クハハハハハハハハ!
キャトラ
な、なんなのこの
おじいさん……!?
ダグラス
そのツラ……!
会いたかったぜ、ジジイ……!
ヨーゼフ
嬉しい言葉だ、冥利に尽きるな!
おお! エルフの女も!
何もかも完璧じゃないか!
恐るべき発明だな! クククク!
クロエ
え……?
なにを言っているの……?
ヨーゼフ
あぁ……エピタフ様……
おっしゃる通りですなぁ……
計画は、時をかければ、
かけるほど面白い……!
ダグラス
独り言の最中恐縮だが、
おめぇの計画とやらも
今日で最後だぜ。
ダグラス
てめぇらごと……!
ここを、全部潰してやる……!
ヨーゼフ
どうやってだ二号?
お前の動力は瘴気だろう?
ダグラス
……は?
ヨーゼフ
オレはお前をそう作ったぞ?
無理はするな、役目は終えたんだ。
次の出番まで休憩していろ。
ダグラス
……何を言ってやがる……?
アイリス
聞く必要はありません、
ダグラスさん!
キャトラ
そうよ! 悪役お得意の、
動揺させる作戦に
決まってるわ!
ヨーゼフ
なるほど、不必要な脇役は、
トンチンカンな発言でしか
己の存在を誇示出来ない、と……
キャトラ
なんだってのよ!
エラそうにしてるんじゃないわ!
ヨーゼフ
すべてオレの絵図通り進んでいる。
演出家が一番偉いのは
物事の道理ではないのかね?
ダグラス
ごちゃごちゃと……!
うるせえんだよッ!!!
クロエ
ミーチャ!
ダグラス
てめぇをぶちのめす分だけ、
残しといたんだ……!
全部、もってけぇッ!!!
ダグラスが気炎を吐き、
閃かせた剣が、虚空を裂いて
衝撃波を飛ばす!
(ヨーゼフの両隣にいた男たちが、
盾となって消滅していく)
ダグラス
ちっ……! だが、
これでもう、てめぇを
庇ってくれるヤツはいねぇぜ……
ダグラス
その細首、
噛み砕いてやるッ……!!!
ぐらぐらと体を揺らしながら、
野獣のように瞳をギラつかせる。
――余力わずかであろうとも、
雄々しいタテガミ、気高い眼差し、
その姿は、まぎれもなく獅子だ――
キャトラ
ダグラス!? 無理しないで!
ダグラス
ここまで来て、
無理も無法もねえだろ……!
アイリス
でも、これ以上は、
ダグラスさんの体が……!
ダグラス
後先のこたどうでもいい!
いまここで、コイツを倒す!
ヨーゼフ
……少し遅れているな。
何よりも順序が肝心なのだ。
最初に入れるから出汁がとれる。
ヨーゼフ
仕方あるまい。
幾分不細工だがな。
ヨーゼフ
ミーチャ!
ダグラス
てめぇがその名を呼ぶなッ!
ヨーゼフ
馬鹿が! 誰が貴様なんぞ!
ダグラス
――!?
ヨーゼフ
名など貴様には贅沢過ぎる!
わきまえろ二号!
ヨーゼフ
ミーチャ! ミーチャ!
出ておいで!
オレの可愛いミーチャ!
???
…………
クロエ
――!!!
ダグラス
な……んだよ、
この……化け物……
ダグラス
なんで……ミーチャって……
ヨーゼフ
ミーチャ! オレのミーチャ!
おなかは一杯かい?
眠くはないかい?
ミーチャ
うん……しまのしょうきは、
ぜんぶたべたし……
おひるねは……あとでもいいし……
クロエ
…………
……ウソ……でしょ……
ヨーゼフ
よーしいい子だ!
今日はもっと楽しいことが
あるからね!
ヨーゼフ
でも準備がまだなんだ。
少し、遊んでてくれるかい?
ミーチャ
うん……あそぶ……
――光がおさまると、
そこには……
クロエ
――!?
アイリス
たくさんの……
ダグラスさん……!
ミーチャ
みんな……たのしいね……
きょうは、ちがうひとがいるよ……
ヨーゼフ
アッハハハハハハハハ!
本当にいい子だ、ミーチャ!
大勢のダグラスたちは、
黄色い瞳をギョロリと動かし、
こちらを捉えた。
ダグラス
――なんなんだよ、これ――!
ダグラス
おめぇら……
なんだっつんだよォッ!!!?
15-2 偽りの獅子
ダグラス
うおおおおあああああ―――!!!
――獅子が咆哮を上げる。
群れから追われた獣のように――
己の存在を問い、苦悶する、
哀切を帯びた長い方向を――
ヨーゼフ
アハハハハハハァ!
よかったなぁミーチャ!
おにいちゃん喜んでるぞ!
ダグラス
おい、てめぇ……!
なぜそいつをミーチャと呼ぶ!
ダグラス
ミーチャはオレだ!!
ヨーゼフ
おお、そうだとも!
叫べ、叫べ!
やはりオレこそが天才なのだ!
ダグラス
あぁ!?
ヨーゼフ
あの女め!
見ろ、オレが手を加えれば、
こんなにも素晴らしくなるのだ!
ヨーゼフ
二号はまさしくミーチャ!
ここから出たミーチャ!
全てが……完璧だ……!
ダグラス
てめぇ、だから
それがどういうことか、
聞いてンだろうがよッ!!
クロエ
ミーチャ……だめ……
ミーチャ
……?
……おねえちゃん……?
クロエ
――そんな……
やっぱり……あなたは……
ミーチャ
おねえちゃん……
あいたかったよ……
ダグラス
!? お、おい、
姉ちゃん……
なんだよ、なにが、
なにがやっぱりなんだよ……?
ヨーゼフ
こっちにいるのが正真正銘、
オリジナルのミーチャ。
ヨーゼフ
お前は去年造ったコピーだ、
二号。
ダグラス
おい……馬鹿なこと言うなよ……
オレには、孤児院の記憶が……
冒険家になってからも……
ヨーゼフ
ククク……ならば聞く。
冒険家になってからの記憶とは?
ダグラス
オレは魔剣士で、
特技を活かして、失せ物探しを……
ヨーゼフ
他には?
ダグラス
……魔力を使う魔剣士、
ソウルを感じ、失せ物探し……!
ヨーゼフ
だから、他には?
ダグラス
魔剣士で!
失せ物探しを!
ヨーゼフ
他に?
ダグラス
なんなんだよ!!!!!
なんで出てこねえんだ!!!!!
どうしてそれしか!!!!!
ヨーゼフ
それ以外仕込んでないからな。
ダグラス
――なんだよそれ――
ダグラス
オレは――オレの過去は、
全部、
作りものだったってのかよ――
ヨーゼフ
そうだ。お前は本能に従い、
そのエルフの女を
連れてくれば良かった。
ダグラス
――本能――
――そうだ――!
ダグラス
たとえ、オレがコピーで、
記憶が偽物だったとしても!
ダグラス
オレの心はオレのもんだ!
ダグラス
姉ちゃんは……オレが守る!
オレが何者だろうとも……
姉ちゃんはオレの、大切な人だ!
ヨーゼフ
と、思うように仕込んだ。
ダグラス
違う!
ダグラス
この想いは、大切な人を考えると、
湧いてくる力は――!
ダグラス
それだけは、
何があっても偽りじゃねぇッ!!!
ヨーゼフ
偽りだとも。
ダグラス
ふさけたことを……!
ぬ か す ん じゃ ね え !
獅子のタテガミが跳ね上がり、
周囲に気合の渦を巻く!
柄を握る拳に力が込められる!
裂帛(※)の斬撃が、宙を疾って
ヨーゼフへと――
※れっぱく。布を引き裂くように激しく鋭い様子。
ミーチャ
だめだよ……
ダグラス
――!?
――ダグラスの発した
その衝撃波を、ミーチャは――
――喰らった。
ミーチャ
おねえちゃんは……
ぼくのおねえちゃんだもの……
ダグラス
――!!!!!
クロエ
ミー……チャ……
ヨーゼフ
愛情ほど
本能に仕込みやすいものはない。
ミーチャ
おねえちゃん……
ぼく……わすれなかったよ……
ミーチャ
ずっとあいたかった……
ねえ……なでて……
ミーチャ
ぼくのそばにいてよ……
ヨーゼフ
ミーチャの愛情は
どっちだろうなぁ!?
母へか!? 異性へか!?
ヨーゼフ
受け継いだキミには
わかるのかなぁ!?
どうなんだい二号くん!?
ダグラス
<想い>まで……
嘘だ……なんて……
ダグラス
んなことが……
あんのかよ……!!
ダグラス
……姉ちゃん……!
オレは……あんたが……
ミーチャ
おねえちゃん……
だいすきだよ……
クロエ
――! ミー……チャ……
ダグラス
……ぅぅぅ……!!
ああぁぁあぁぁああああああ!!!
ダグラス
オレは!!!
オレは、なんなんだよっ!?!?
ダグラス
なんもねえじゃねえか!
なんもねえじゃねえかよぉぉおお
おおぉぉぉあああぁぁあああ!!!
ヨーゼフ
クフハハハハハハハ!
いいぞいいぞいいぞ!
この演出! この手法!
ヨーゼフ
エピタフ様にも共有する価値が
あるかもしれんな!
ヨーゼフ
興が乗ってきた!
もう一叩きといこう!
ヨーゼフ
産め! ミーチャよ!
デクノボウどもを!
15-3 今一度、地に爪を立て
アイリス
危ないダグラスさん!
はぁっ! バーンナップ!
ダグラス
…………
キャトラ
ダグラス……!
――敵は無限に生み出される。
なにか打つ手はないのか……!
ヨーゼフ
遅い! 遅すぎる!
ヨーゼフ
まあ確かにここまで順調過ぎた。
実験にこの程度のこと、
起こらぬ方が不自然か!
ヨーゼフ
仕方ない、下ごしらえを
始めるとしよう。待つのが
後か今かの違いだ。
ヨーゼフ
ミーチャ。覚えているかな?
コロコロと太った鳥さんは、
おいしかったね?
ミーチャ
うん……
ヨーゼフ
あのお兄ちゃんは、
瘴気を食べると太るんだよ。
分けてくれるかな?
ミーチャ
うん……
わかった……
ミーチャの全身から、
計り知れないほどの
膨大な瘴気が溢れ――
ダグラスの左目へ流れ込む!
ダグラス
――ぐあぁぁァあああアぁあ!?
ヨーゼフ
受け取れ! ごちそうだ!
スキっ腹にはちと
刺激が強いかもしれんがなぁ!
クロエ
ミーチャ!
陽炎のように、周囲を歪ませるほど
<濃い>瘴気が、ダグラスの目に
無理矢理ねじこまれていく!
ダグラス
あああァああァああああ!?!?
ぐゥ、ぁああアぁ、ひぅ、う、
がァァぁあぁっアあぁァあ!!!!
まるで土砂の混じった激流のように、
瞳という狭い入り口に、
強引になだれ込んでいく!
ダグラス
ひぃッ、うっ、ふふ、あぁァァ!!
あがァ…! うぐァ、ふ、
ああぁぁああぁっぁぁぁあ!!!!
クロエ
もうやめてぇぇぇぇぇ―――――!
アイリス
ダグラスさんっ!!!
ダグラスの虹のような髪は変色し、
なおも目を掻きむしりながら、
のたうちまわっている――
ミーチャ
…………
ミーチャ
ねえ……ぼく……
おなかへっちゃった……
ミーチャ
おねえちゃん……
たべちゃだめかな……?
クロエ
!?
ヨーゼフ
アハハハハ! もちろんいいとも!
そのために呼んだんだから!
栄養はないけどね! いつがいい?
ミーチャ
うんとね……
ミーチャ
いま……
クロエ
!!
ダグラス
やめ……ろぉ………………
キャトラ
させないわ!
主人公!
ミーチャ
じゃま……しないで……
瘴気の嵐が吹き荒れる!
体が――はりつけにされたように、
動かない!
ミーチャ
おねえ……ちゃん……
クロエ
……ミーチャ……
ミーチャ
たべる……よ……
ダグラス
やめて……くれぇ……!
ダニエル
ダグラス!
クロエ
――ダニエル!?
セラ
間に合ったのね、ダニエル。
ダニエル
うん、ありがとう、セラ。
ミーチャ
じゃま……するの……?
どうして……?
ヨーゼフ
素晴らしいタイミングだぞ一号!
最高の晩餐に滑り込みセーフだ!
よかったなぁミーチャ!
アイリス
一号……?
ヨーゼフ
ククク、一号と二号、
そしてあの双子を与えれば、
ミーチャは――
ヨーゼフ
――史上最高の傑作に……!
クッハハハハハハハハハハ!
ダニエル
そんなことはさせない。
ヨーゼフ
得意のヘリクツか? 一号。
貴様にあるのは<心>だけ。
ヨーゼフ
二号に劣る失敗作が。
立場をわきまえろ。
ダニエル
それは誤りだ。
ヨーゼフ
なに?
ダニエル
思い出したんだ。
ボクはミーチャの<心>、
それ自体だということ。
ダニエル
でも、それ以外のものが
なかったから、廃棄されたと
いうこと。
ダニエル
でも、よく見たら違った。
フラットな心で、<見えた>。
<感じ>られた。
ダニエル
ボクの遺伝子の中にある
プログラム。そこから来る
衝動。込められた悪意。
ダニエル
そして――知った。
ボクにも……できることを――
ヨーゼフ
チッ、
べらべらとうるさい試験体が。
ミーチャ!
再び放出された瘴気の波が、
ダニエルを飲み込む!
――が!
ダニエル
キミは悲しいね。『瘴気を喰らう化け物』
ミーチャ。ボクの故郷。
ダニエル
もう……終わりにしよう。
ヨーゼフ
!? 馬鹿な! 一号には、
瘴気を吸収する能力は
引き継がれなかったはずだ!
ダニエル
とんでもない。
――ボクは――
<喰えちまう>――!
アイリス
すごい……!
この大量の瘴気を、
吸い込んでる……!
ヨーゼフ
……フン! 予期していない
特徴が発現するなど、
実験ではよくあること!
ヨーゼフ
だが所詮、貴様はそこまでだ!
いくら喰らおうとも、
貴様にはそれを使えまい!
ダニエル
ああ、そうだね。
――ダグラス。
ダグラス
……?
ダニエル
辛いかい? キミは、
飲むのが少し苦手なんだね。
ダグラス
がんばって。それは強い薬。
キミの苦痛は、体がそれに
適応しようとしているからさ。
ダグラス
……な……に……?
ダニエル
――頼みがある。ダグラス。
瘴気ごと、ボクの全てを
<喰らって>くれ。
ダニエル
キミなら、出来るはずさ。
ダグラス
――!?
ヨーゼフ
いかん! ミーチャ!
先に喰らえ! 二人ともだ!
ダニエル
早く! 迷っている暇はない!
セラ
ダニエル!
あなた、何を言い出すの!?
ダニエル
セラ……いままでありがとう。
<心>に染みたよ、キミの優しさ。
ダニエル
でも、<心>は、
それだけじゃ無力だ。
器が必要なのさ。
セラ
馬鹿なこと言ってないで!
あなたはあなたでしょう!?
ダニエル
ちがうよぉ~。
そういうさ~、常識的な
考えとかじゃなくてさ~。
セラ
ダニエルっ……!
ダニエル
ボクはボクのままじゃ、
キミを守れないから……
セラ
そんな必要ないのよ!?
だから……!
ダニエル
ごめんね。
ダニエル
さあダグラス! 早くボクを!
力をあげよう!
守りたい人を守れる力だ!
ダグラス
けど……オレは……
ダニエル
シャクじゃないのかい!?
ボクたちはコピーだ!
ダニエル
でも、二人を足せばさ!
本物一体を超える分くらい、
なれたっていいじゃないか!
キャトラ
ダニエル、アンタ……!
ミーチャ
……おねえちゃんは……?
あとにするの……?
ヨーゼフ
ガキが! こんなときに、
何を甘えたこと言ってやがるッ!
ミーチャ
……!
ダグラス
――いいんだな――
ダニエル
ああ。
心配しなくても大丈夫。
中で、デカいツラはしないさ。
ダグラス
これで――オレは、
オレたちは、
偽物じゃなくなるんだな……?
ダニエル
馬鹿だなぁ。
最初っから本物だったよ。
セラ
――ダニエル――!
ミーチャ
なんだよもぉぉぉぉおおおお!
やればいいんだろぉぉぉおおお!?
(神気解放)
クロエ
――あなたなの?
???
――へへっ。
その聞き方は、ずるくないかい?
???
――姉ちゃん――
クロエ
――ダグラス……!
心……
弱くもあり、強くもある、
それと一つになり――
獅子は再び、
大地に立ち上がる!
ヨーゼフ
クソが! お前がモタモタ
してるからだぞ、ミーチャ!
ミーチャ
もぉぉぉおおおおおおおお!!!!
くえなかったじゃないかぁあ!!
ミーチャ――
さよならだ。
15-4 故郷との決別
ミーチャ
ああぁぁぁあぁぁぁぁぁぁああ!!!
もぉぉおぉおおおぉおぉぉぉお!!!
なんなんだよぉぉおぉおおおお!!!
…………
ダグラスが無言で振るった
最後の一撃を受け、
ミーチャは動きを止めた。
クロエ
……ミーチャ……
すまねぇ……姉ちゃん……
これしか……
クロエ
……いいえ。あの子に代わって、
礼を言うわ、ダグラス。
クロエ
――眠らせてくれて、
ありがとう――
ヨーゼフ
……ックックックックック!!!
キャトラ
な、なによアンタ……!?
観念して、おかしく
なっちゃったの……!
ヨーゼフ
バックアップのプランを
用意してない科学者など、
この世におるのかねぇ!?
アイリス
この気配は――<闇>――!
――なっ!?
ヨーゼフ
感動を台無しにして申し訳ないな!
瘴気など所詮、予備動力だ!
このミーチャは<闇>をも喰らう!
ヨーゼフ
この島にいる限り、
ミーチャには<闇>が
無限に供給される仕組みに
なっていてなぁ!
キャトラ
そんな……じゃあ……
倒せないってこと……?
メア
違うわ!
ヨーゼフ
ぬぅ!?
メア
<闇>は……
<意志>の力で、
<断ち切れる>ッ!!
アイリス
メアさん!?
バイパー
そういうことだ。
ヨーゼフ
……貴様ら、退魔士か?
……ククク、丁度いい。
<闇>を運んで来てくれたのかな?
メア
くだらないことを!
あなたもここで、
倒させてもらうっ!
ヨーゼフ
ニコラは元気か?
あぁ、百年前に死んだか。
メア
!?
ヨーゼフ
貴様らの先祖だったか。
裏では<闇>と手を組み、
表では<混沌>と戦うと宣言……
いい筋書きを考えたものだなぁ!
ヨーゼフ
罪に穢れた一族よ!
欲しい台詞をくれてやる!
『こちらへつけば、
全て黙っていてやるぞ』
メア
結構よ。
そういったしがらみ、全て、
決着をつけさせてもらう!
ヨーゼフ
だと思ったさ!
子孫の教育がなってねぇなぁ!
ヨシュア
追いついた……!
あんただけは、この手で……!
キャトラ
え!? カティア!?
カティア
――!?
しまった、もしかして――!
ヨーゼフ
クフハハハハ! 微々たる
誤差で、全員集合とはなぁ!
カティア様の遺伝子命令は
正確なことこの上ない!
ヨーゼフ
二号と一号のことも、
この上は好都合よ! ミーチャ!
ありったけの<闇>を喰らえ!
ヨーゼフ
そのあと、楽しい
ディナータイムだ!
背筋の凍るような<濃さ>の
<闇>が、ミーチャに
注がれていく……!
ヨーゼフ
ハハハハハ! 喰らえ喰らえ!
熟成百年、通好みの<闇>だ!
ヨーゼフ
あるだけ全てを喰らってかまわ――
ミーチャ
……あぁぁあぁぁぁあ!?!?!?
ヨーゼフ
!? なんだこれは!?
なぜ逆流している!?
おい! 吐き出すな!
喰らえ! <闇>を!
???
悪いな。この研究所、
ちょっといじくらせてもらったぜ。
メア
オズマさん!
カティア
あんた……相変わらず、
いいタイミングで……
オズマ
いや~、目ぇ痛ぇ。
操作方法から調べたから、
けっこうかかっちまったぜ~。
ヨーゼフ
オズマ……!
貴様の仕業か……!
オズマ
よう。あんときゃぁ、
世話んなったなぁ。
もうお互い引退しねぇか?
ヨーゼフ
ほざけ!
実験に不測の事態はつきものだ!
ミーチャ
……あぁぁ……
ヨーゼフ
辛抱しろよミーチャ!
すぐにシステムを復旧させる!
それまででいい! 時間を稼げ!
キャトラ
ダメよ、逃がしちゃ!
ミーチャ
……うあああぁぁぁあああ!!!!
バイパー
遅い!
メア
<断ち切る>!
ヨシュア
邪魔をするな!
ミレイユ
お兄ちゃん!
カティア
可哀そうだけどっ……!
セラ
……<穿つ>!
――悪ぃな、何度も……
これで終わりだ。
――ぶちかますッ!!
クロエ
――さようなら……ミーチャ……
ミーチャ
……う……ん……
…………
……
ヨーゼフ
チッ、この程度の
アクシデント、百年の
苦労に比べれば……!
???
――てんやわんやですねぇ、
ヨーゼフサァン……?
ヨーゼフ
! その声は……!
???
ナンでもアリ――なら……
???
――もう一手、
あると思いマせんかァ?
ヨーゼフ
……なるほど……!
…………
……
ヨシュア
どこへ行った!?
ミレイユ
お兄ちゃん、落ち着いて?
カティア
…………
ヨシュア
! ……そっか……
そうだね……
キャトラ
アンタたちもいたんだ……
メア
えぇ……
ちょっと用があってね……
バイパー
油断するな。
まだ終わっていない。
キャトラ
見知らぬ人もいた……
セラ
…………
ま、もうさすがに、だろ?
あんた、
逃げ道封じたんだもんな?
オズマ
そんなとこだが……
どうした?
アイリス
……いる……!
???
みなサァン♪
ミーチャちゃん討伐、
おめでとうございま~す♪
???
そんなアナタガタに、
プレゼントがございま~すぅ♪
???
――ゲームを、しまショウ?
???
――ギャハハハハ!