Brave The Lion 2|N-8 Story
8-1 こっちですよね!
ヨシュア
さあ急ぎましょう。カティア様の
優れた知識で書かれた研究資料が
この島に残っているなど――
ヨシュア
そのような唾棄すべき事実、
一刻も早く抹消しなくては!
カティア
そ、そうね。
ミレイユ
お兄ちゃん……適応早い……
ヨシュア
下僕と決まっちゃったんだから、
覚悟をしなくちゃね。
覚悟するまでを迷い悩むのも、
時間の無駄だし。
カティア
ふ~ん、まあまあね。
ヨシュア
ささ、カティア様、
参りましょう。
ヨシュア
この僕が、邪魔な魔獣たちを
蹴散らしてみせますので!
ミレイユ
……兄が、すみません。
実はわりかしお調子者なんです。
カティア
…………
ミレイユ
お兄ちゃ~ん!
走ると転ぶよ~!
カティア
…………
カティア
……いまさら
言い出せないじゃない。
カティア
むきィ。
8-2 ここですよね?
ヨシュア
ここが……かつてカティア様が
働かれていたところですね。
カティア
違うわ。
ヨシュア
さぁ、すぐに
カティア様の痕跡を
消し去りましょう、って――
ヨシュア
違うんですかっ!?
カティア
キンキンうるさいわねぇ。
あとテンション高いのよ。
ミレイユ
カティアさまが以前いらっしゃった
建物は、ここではない
という意味ですか?
カティア
そうよ。
ヨシュア
でしたら……
どうしてこちらの研究棟に?
カティア
あ~……
ヨシュア
いかなる目論見で?
カティア
……とりあえずヨシュア、
あなたもうちょっと
普通にしゃべりなさい。
ヨシュア
え? あ……はい……
……ヘンだった?
ミレイユ
ヘンだったよ。
カティア
ま、なんてゆーの?
外堀を埋める的な?
私がいなくなってからの情報も
集めなきゃいけないと思ったし?
ヨシュア
あ、そういうことですか。
カティア
までも、
パッと見、たいした資料は――
ヨシュア
よし、ミレイユ!
資料を漁るカティア様の
お手伝いをしよう!
ミレイユ
もしかしたら……
あたしたちのことも……
ヨシュアとミレイユは、
部屋にある大量の資料を
調べ出した。
カティア
…………
カティア
むきィ。
8-3 擬似殲滅兵器
ヨシュア、ミレイユ、
カティアの三人が、
大量の資料を漁っている。
ヨシュア
なるほど、わからない……
うん、なるほど、
こっちもわからない……
ミレイユ
お兄ちゃん、黙って作業してよ。
ヨシュア
え? なに? ミレイユ?
ミレイユ
……はぁ?
だから、黙って読みなよって。
ヨシュア
え? 僕、何かしゃべってた?
ミレイユ
しゃべってたよ、もう……
カティアさま。
カティア
ん~?
ミレイユ
……なにか、ヘンな気がします。
カティア
なにが?
ミレイユ
生命の合成……を
研究してるはずなのに、
ここにある資料は、
どれも武器や兵器のことばかり……
ミレイユ
どういうことなのでしょう?
カティア
武器にだって手を出すわよ。
合成魔獣って、
要は生物兵器でしょ?
単純に資料にもなるし。
カティア
いざってときの抑止力にもなるし。
ヨシュア
『吸闇率、想定より一割減少』……
だめだ、すごそうだけど、
僕にはピンとこないや。
ミレイユ
え!? つまりそれって、
<闇>を吸い取る
武器ってことじゃ……!
ヨシュア
え?
ミレイユ
もしそれが本当なら……!
ちょっとそれ見せて、
お兄ちゃん!
ヨシュア
う、うん……
ヨシュアから受け取った
資料に目を通すミレイユ。
数枚めくり、手が止まる。
ミレイユ
……意外すぎる。
人のためになる研究も
されていただなんて……
カティア
なわきゃないでしょ。
ミレイユ
え、でも、この資料は確かに……
カティア
<吸収>ってことは、
どこかに<放出>すんのよ、
溜まった<闇>を。
カティア
穴掘って埋めれば
土に還るってんならいいけどね。
そういうもんじゃないわけだから。
カティア
集められた<闇>が
どうなるのか?
ってのが問題になるわねぇ。
カティア
ちょっと見せてみなさい。
カティアがミレイユから
紙の束を受け取り、黙読する。
その両目が高速で左右に揺れる。
カティア
…………
息もつかせぬ勢いで
ページをめくり、
あっという間に最後の一枚へ!
ヨシュア
すごい……!
さすがカティア様……!
カティア
……うんざりね……
凡人共の発想って、
ホント貧困なんだから……
ミレイユ
え?
カティア
寄り道はおしまい!
さっさと本部を落とすわよ!
ヨシュア
きゅ、急にどうしたんですか!?
カティア
こんなとこに長居は無用よ!
ミレイユ
なにが……
書いてあったんですか……?
カティア
ここの連中と、ある<武器>を
使う一族との癒着。
それと多分<闇>とも――
ミレイユ
えっ!?
カティア
むっきィ―――!
下品なのよ、凡愚共!
馬鹿同士で手を組んで
どーすんのよォー!?
カティア
いくわよ!
ヨシュア
あっ、カティア様!
ミレイユ、行こう!
ミレイユ
…………
ヨシュア
ほら、それなら
カティア様が読んだんだから、
もういいんだよ。
ミレイユ
うん、そうね……
ミレイユ
(チェーンソー、糸ノコギリ、
鎌、他にも、ヨーヨーとか、
たくさん……}
ミレイユ
(それらの武器で、
一見『滅した』ように見せて、
『集めていた』ということ……!?