Brave The Lion 2｜N-4 Story
4-1 貫く意志の力
セラ
……通路を埋める土砂と岩石が、
ブ厚い層になっている。
セラ
廃棄『した』形跡があるわね。
二十、いや、三十年ほど前かしら。
メア
……さっきの村といい、
捨てられた年代まで、
よくわかるわね。
セラ
人が触れたあらゆる物には、
痕跡があり、意志が宿る。
セラ
痕跡を見抜く術は、
学習で得られる。
あなたにはそれが足りていない。
セラ
それならばと、意志を
感じ取る力も――
あなたは全然使いこなせていない。
メア
＜意志＞を＜感じ取る＞……？
バイパー
セラは優しいな。
セラ
ホント、そう思うわ。
メア
なにが……言いたいのよ？
バイパー
下がっていろ。
セラが、穴を＜穿つ＞。
メア
――！？
セラ
――＜穿つ＞！
セラの構えた
＜ルーンギムレット＞が、
命を宿したかのように激しく跳ねる！
セラ
はぁッ！！！
先端が閃光のように疾り、
通路を埋め尽くしていた
大質量に、人が通れる大きさの
穴を空ける……！
セラ
これが＜意志＞の力。
あらゆる塊から一点の脆さを
見抜き、＜穿つ＞、意志。
メア
……＜意志＞が力になるなら……
メア
それを捨てて、機械的に
任務を遂行するだけの
兵隊になるのは……
セラ
……なに？
メア
言ってることが矛盾してるわ。
セラ
してないわ。
メア
ちょっと！ 待ってよ！
バイパー
……メア。
メア
なによ？
バイパー
対象を狩るための
兵士になりきること、
その先にも、＜意志＞はある。
メア
……どういうこと？
バイパー
俺はセラほど親切じゃなくてな。
自分で考えろ。
メア
…………
4-2 廃墟の深部
広い空間に、人工物の残骸と、
大型の生物の骨などが
散らばっている……
セラ
さしずめ、
魔獣のトレーニングルームって
ところかしらね。
バイパー
メア。
＜混沌＞は感じるか？
メア
え！？
……いや、ここには、
何も感じないけど……
バイパー
そうか。
メア
……ねえ、教えてくれない？
一番下っ端でも、私も
同じチームでしょう？
メア
何も知らないままじゃ、
いざというときに
連携が取れないわ。
メア
＜獅子＞を狩る……って、
＜混沌＞を滅する
いつもの仕事と、何か違うの？
バイパー
……いつもの仕事、か。
誰に頼まれた仕事だ？
メア
え？ ……それは、
＜混沌＞によって
被害を受けている人や……
バイパー
それは正確ではない。
メア
……じゃあ、つまり、それらの
依頼を取りまとめている……
セラ
そう。退魔士一族の長たち……
退魔士の中の、上層部からの
指令よね。
メア
そうね。
……それがどうかしたの？
バイパー
今回は違う。俺とセラは、
この島で＜獅子＞を狩るという
『提案』を通した。つまり――
セラ
メア。この仕事の
あなたのクライアントは、
あたしたちよ。
メア
――！？
4-3 退魔の系譜
バイパー
はるか昔、一人の退魔士が
一体目の＜混沌＞を滅した。
バイパー
しかし、＜混沌＞は、
際限なく湧き続けた。
バイパー
対抗するために、
退魔士は一族となり、
長年のうちに、数派に分かれた――
メア
それがどうかしたの？
セラ
それって、何年前のことだと思う？
メア
何年……前？
バイパー
退魔士の系譜には偽りがある。
メア
――！？
バイパー
退魔士の歴史は、
思った以上に浅い。
おそらく長くて百数十年。
バイパー
俺とセラは、
そういう結論に達した。
メア
待ってよ、
頭が混乱してる……！
バイパー
体を動かしているうちに、
思考もクリアになるだろう。
メア
他人事みたいに言うのね……
セラ
とんでもない。
あたしたちだって
内心ドキドキしてるわ。
メア
とてもそうは見えないわよ。
バイパー
くぐってきた修羅場の数の
違いかもな。
メア
簡単に言ってくれるわ。
メア
……一つだけ今教えて。
その、退魔士一族の
隠された真実って……
一体なんなの……？
バイパー
……この島には
禁忌の研究施設がある。
バイパー
生命と生命を掛け合わせ、
新たな魔獣を作るという、
狂気の研究をしている。
メア
生命を掛け合わせる……
バイパー
……人間も含めてな。
メア
そんなの……！
世間に知れたら……！
セラ
あたしたちも
ただじゃ済まないでしょうね。
メア
え？
バイパー
その合成に――
バイパー
＜混沌＞が利用されている
かもしれない。
メア
――！
