Dr.テオ・メルキオル
通常 | エンジェライズ |
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Illustrator:repi
名前 | Dr.テオ・メルキオル |
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年齢 | 年齢不詳 |
職業 | メタヴァース創世期の開発者にして ファクトリーを統治する『三賢者』の1人 |
- 2019年8月8日追加
- AMAZON ep.VIマップ2完走で入手。<終了済>
- 入手方法:2021/5/13~6/9開催の「「大きな魚がお空を泳ぐでしょう」ガチャ」<終了済>
- 入手方法:2022/2/3~2022/3/2開催の「「最後の物語。約束はあなたと共に」ガチャ」<終了済>
- 専用スキル「ジーニアスパーティー」を装備することで「テオ・メルキオル/エンジェライズ」へと名前とグラフィックが変化する。
- 対応楽曲は「暗晦にハイライト」。
メタヴァースの礎を築いたファクトリーの科学者の一人。
年若くして科学者となった彼女は、少女としての多感さゆえにファクトリーとしての役目に心を痛める。
スキル
RANK | スキル |
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1 | 時のしるし |
5 | |
10 | ジーニアスパーティー |
15 |
- 時のしるし [HARD]
- 天使の笑顔のハイリスクハイリターン版と言えるスキルだが、ジャッジメントなどの方が6本はとりやすい。ただしこのスキルは、通常のゲージ上昇が無くなる分、MISSさえしなければATTACK多発でもゲージに影響はない。
- ちなみに、勇気のしるしや嘆きのしるしのように名前が~のしるしであるが、即死条件や効果はジャッジ系に近い。ノート数が多い譜面のほうが効果が大きいと思わないように。
- 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
- 筐体内では入手できない。
プレイ環境 | 最大 | |
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開始時期 | ガチャ | |
PARADISE× (2021/8/5~) | 無し | × |
あり | +2 | |
PARADISE (~2021/8/4) | 無し | × |
あり | +8 | |
CRYSTAL | 無し | +3 |
あり | +8 | |
AMAZON+以前 |
GRADE | 効果 | |
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▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 | ||
共通 | ゲージが上昇しない MISS判定30回で強制終了 | |
初期値 | 一定時間ごとに +1350 | |
+1 | 〃 +1400 | |
+2 | 〃 +1450 | |
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要 (2021/8/5以降では未登場) | ||
+3 | 〃 +1500 | |
+4 | 〃 +1550 | |
+5 | 〃 +1600 | |
+6 | 〃 +1650 | |
+7 | 〃 +1700 | |
+8 | 〃 +1750 | |
参考理論値:126150(7本+150/26k)[+2] 参考理論値:130500(7本+4500/26k)[+3] 参考理論値:152250(8本+500/28k)[+8] [条件:絶対にチョコミントを食べる アオイチャン[MASTER] ] | ||
参考理論値Ω:129050(7本+3050/26k)[+2] 参考理論値Ω:133500(7本+7500/26k)[+3] 参考理論値Ω:155750(8本+3750/28k)[+8] [条件:なるがちゃんなぎにいよいよ えれー目にあわされる話] |
所有キャラ【 テルミット(1,5) / ワイズマン(1~10) / ディアナ(1,5) / Dr.テオ(1,5) 】
- 時間はメトロノームの1拍目が基準。1ノーツ目まで4秒以上ある場合は必要時間が増える。
- 灰色の部分は到達不能。
- 9本以上はGRADEを問わず到達不能。
GRADE | 4本 | 5本 | 6本 | 7本 | 8本 |
---|---|---|---|---|---|
初期値 | 1分30秒 (45回) | 2分00秒 (60回) | 2分32秒 (76回) | 3分08秒 (94回) | 3分46秒 (113回) |
+1 | 1分26秒 (43回) | 1分56秒 (58回) | 2分26秒 (73回) | 3分00秒 (90回) | 3分38秒 (109回) |
+2 | 1分24秒 (42回) | 1分52秒 (56回) | 2分22秒 (71回) | 2分54秒 (87回) | 3分30秒 (105回) |
+3 | 1分20秒 (40回) | 1分48秒 (54回) | 2分16秒 (68回) | 2分48秒 (84回) | 3分24秒 (102回) |
+4 | 1分18秒 (39回) | 1分44秒 (52回) | 2分12秒 (66回) | 2分44秒 (82回) | 3分18秒 (99回) |
+5 | 1分16秒 (38回) | 1分40秒 (50回) | 2分08秒 (64回) | 2分38秒 (79回) | 3分10秒 (95回) |
+6 | 1分14秒 (37回) | 1分38秒 (49回) | 2分04秒 (62回) | 2分34秒 (77回) | 3分06秒 (93回) |
+7 | 1分12秒 (36回) | 1分36秒 (48回) | 2分00秒 (60回) | 2分30秒 (75回) | 3分00秒 (90回) |
+8 | 1分10秒 (35回) | 1分32秒 (46回) | 1分58秒 (59回) | 2分24秒 (72回) | 2分54秒 (87回) |
- ジーニアスパーティー [ABSOLUTE] ※専用スキル
- アストラル・リベレイションの亜種。カウントの減少は「JUSTICEとATTACKは-1、MISSは-10」。
GRADE | 効果 |
---|---|
共通 | ゲージ上昇UP (255%) JUSTICE以下でカウント [-1] MISS判定時さらにカウント [-9] カウント[0]で強制終了 |
初期値 | (※初期カウント70) |
+1 | (※初期カウント80) |
理論値:153000(8本+1000/28k) |
ゲージ上昇率が増加し、JUSTICE以下の許容量がカウント管理により複数段階に分かれているスキル。
スキル名 | 上昇率 カウント(初期/J/A/M) 理論値 |
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[HARD] | |
ハーモニゼーション+2 | 230% 40/0/-1/-2 138000(7本+12k) ※汎用スキル |
憑依「喜怒哀楽ポゼッション」+3 | 225% 999/-1/-25/-50 135000(7本+9k) |
[ABSOLUTE] | |
アストラル・リベレイション+9 | 255% 145/-1/-10/-10 153000(8本+1k) |
FREQ-Vertex Blaze+1 | 255% 110/-1/-5/-5 153000(8本+1k) |
セラフィックブレイド+3 | 240% 150/-1/-5/-5 144000(7本+18k) |
FREQ-Vertex Luminous+1 | 255% 30/0/-1/-5 153000(8本+1k) |
ジーニアスパーティー+1 | 255% 80/-1/-1/-10 153000(8本+1k) |
cherry blessing ~巡る恵みの物語~ | 260% 10/0/-1/-3 156000(8本+4k) |
[CATASTROPHY] | |
天地創造+3 | 355% 10/-1/-9/-9 213000(10本+3k) ※汎用スキル |
ランクテーブル
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | |
スキル | Ep.1 | Ep.2 | Ep.3 | スキル | |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | |
Ep.4 | Ep.5 | Ep.6 | Ep.7 | スキル | |
11 | 12 | 13 | 14 | 15 | |
Ep.8 | Ep.9 | Ep.10 | Ep.11 | スキル | |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | |
21 | 22 | 23 | 24 | 25 | |
スキル | |||||
~50 | |||||
スキル | |||||
~100 | |||||
スキル |
STORY
人類のゆりかご、永久楽土メタヴァース。
Dr.テオ・メルキオルは、メタヴァースの開発に従事していた科学者であり、メインフレームを補佐するファクトリーの一員である。
地上からの第一次入植者としてメタヴァースに降りたった彼女は、ほどなく自身の肉体情報を捨てて新世界のプログラムとなった。
自身のアストラルコピーすらアップデートすることで、一種の情報生命体として現在まで長い時を生きながらえた彼女は、やがてファクトリーの中でも『原初の者』と呼ばれるようになった。
死と時間を超越したテオの人格は、すでに人間時代とは別人と言っていい。
事実、彼女は自分自身の過去さえも外部バックアップとして利用し、すでに遠い他人の情報として扱っているほどである。
肉体と人格、どちらも生まれ変わったテオだったが、ひとつだけ変わらないものがあった。
それは元人間として、そして科学者として。
人やプログラムといった表面的情報は関係ない。
ただ、『心』を信じ続けること。
複合企業体『K.H.D』の育成施設で育った彼女は、幼齢ながらもいち科学者として大人たちと共に研究を行うほど、その類いまれなる知能を花開かせていく。
しかし、知能と感情は決して正比例しなかった。
大人たちと互角に弁論を繰り広げる一方で、少女らしい多感さも持ち合わせていたテオ。
次第に自分が『普通の少女』ではないということに対してコンプレックスを持ち、仮想空間の中へ引きこもりがちになっていく。
人目につくことを嫌った彼女は、ついには現実世界で姿を見せることを完全に拒否するようになった。
だが、才能が枯れることはない。
仮想空間内から現実世界へと次々に発表される研究や論文は、学会に大きな衝撃を与え続けていく。
いつしかテオは、ネットワーク世界に住む天才科学者として、『K.H.D』内での語り草になっていくのだった。
そんな中、メタヴァースへの人類入植計画がいよいよ始動することとなる。
荒廃する地球と人類の保守が目的であるこの計画。
開発に携わっていたテオは、ためらうことなく第一次入植者として志願した。
すでに現実世界から自身の居場所を放棄していたテオにとっては、この計画は願ったり叶ったりの魅力的なものだったのだ。
そして、テオは自らが手がけたプログラム世界の地に足をつける。
これは、彼女が『原初の者』と呼ばれるまでの、はじまりの一歩であった。
メタヴァースへの第一次入植は無事成功した。
『K.H.D』の科学者たちは、電脳世界に理想郷を造り出そうと日々研究を繰り返す。
人類の未来に関して様々な議論が飛び交う中で、一際光る持論を繰り広げる、ひとりの科学者が発言力を獲得していく。
その名は、テオ・メルキオル。
メタヴァースに入植するにあたり、肉体を捨てて新たな存在を得たことで、彼女のコンプレックスは解消されていた。
テオは、文字通り生まれ変わったことで、今まで以上にその頭脳をいかんなく発揮。
そして、テオと同じく聡明な頭脳を持つ科学者であるユバル、メトと共に、『ファクトリー』内での地位を確固たるものにしていく。
一方、現実世界では環境悪化が急速に加速していた。
環境シミュレーションAIエクレールによる先導のもと、ファクトリーの科学者たちは地上環境の再生方法を模索するが、何度シミュレーションを繰り返してみても、『破滅』以外の結果は算出されなかった。
なんとしてでも最悪の結末を回避したい科学者たちはとあるプロジェクトを発足させる。
それは、全人類をメタヴァースへ入植させ、地上の保護・再生を目的とするものだった。
デザインされた楽園での幸福な生活。地球が無人になることで、より自然な形で実現される環境の再生。
ファクトリーの科学者たちは、このプロジェクトが全人類のためになると信じて疑わなかったが、誰もが迎合するわけではなく、地上人類はこれに反発した。
入植計画を進めたいメタヴァース側と、それを拒否して地上に残った人々。
双方の間に生まれた溝はあっという間に広がり、やがて人類同士が争う大規模な戦争へと発展するのだった。
さらに情勢は激化する。
覚醒したAIエクレールは、
『地球環境を再生するためには地上人類を一掃する必要がある』と判断。
地上に配備されていた機動兵器群に、実行を指示してしまう。
無力なファクトリーの科学者であるテオたちは、強大すぎるメインフレームの力によって蹂躙されていく人類の惨状を、ただただ眺め続けるしかなかった。
メタヴァースの基幹機能に干渉することが可能な、完全なる管理AI群であるメインフレーム。
プログラムの神となった彼らは、地上を掃討するにあたって圧倒的な力を振りかざした。
その力を目の当たりにしたファクトリーの科学者たちは、すべなくメインフレームとその新たな管理者たる『最古』に恭順することを余儀なくされる。
一方、神々によって命を刈り取られていく地上人類。
わずかに生き残った者たちが、最後の抵抗を見せようとしていた。
理不尽に、一方的に、虐殺を繰り返すメタヴァースへの怒り、憎しみ。
それらの感情を詰め込んだ凶悪なウイルス、ティアマット。
これをメタヴァースへ送りこみ、電脳世界もろとも破壊する作戦であった。
地上人類の目論見通り、ティアマットは怒りの炎を燃え上がらせる。
戦いに加わるもの、戦いを放棄するもの関係なく、無差別にプログラムを破壊し、メタヴァースを飲み込んでいく。
かつては自身もそこにいた地上世界からの、思わぬ反撃。
こうするしかなかったのかと、テオは自問自答する。
自分たちは、あくまでも人類の未来のため、地球のためにプロジェクトを立ち上げたはずであった。
その瞳にはティフォンに討たれ、砕け散るティアマットの姿が映る。
地上からの思いに胸を痛めつつも、テオは自身の役目である人類の進化と地上の再生という理想を見つめ直す。
そして、理想に必要不可欠である最古たちと共に歩み、旧人類と決別することを決めたのだった。
のちに『大厄災』と呼ばれることとなる、メインフレームと旧人類の戦いは終わった。
メインフレームは管理AI群という概念から進化し続け、人のような意思や感情を持つようになり、さながら人間社会に似た世界を作り出していた。
その庇護下のもとでファクトリーはうまく立ち回り、安寧の日々が過ぎていく。
ところが、メインフレームの王であるティフォンが討たれたことをきっかけに再び情勢は動き出す。
絶対神であったティフォンを失い、組織が不安定になっている今、メインフレームは可能な限り世界の安定を守ることを最優先事項と判断。
管理者のいない領域の一部をファクトリーに解放、同時に自身らの超高度技術も与えることで、ファクトリーにも領域保有と防衛の任を与えるようになる。
メインフレームから提供された超高度技術を吸収したファクトリーの技術力は、爆発的速度で高まっていく。
かつて人類を襲った地上との悲壮な決別を乗り越え、ファクトリーは再び平和な日常を取り戻し、進化と繁栄を続けていった。
――しかし、旧人類の憎しみは決して風化などしていなかったのだ。
爆散したティアマットの欠片はメタヴァース世界の極地でひっそりと、だが確かに生き残っていた。
その欠片はメインフレームらと同じように進化し、力を蓄え、ネメシスと呼ばれる悪性プログラムへと自己を変革させていく。
ネメシスの行動理念は『メタヴァース世界の破壊』で統一され、メインフレームの殲滅、そしてネメシスの手による人類の地上再生を目的としていた。
そして、その目的を完遂させるべくネメシスは牙を剥き、ついにその時がやってきた。
群衆となって押し寄せるネメシスによる、メタヴァースへの大侵攻作戦。
かつてのティアマットを凌ぐほどの強大な戦力は、メインフレームをも苦戦させ、戦いは熾烈を極めていく。
ネメシスによる総攻撃はメタヴァース世界を大きく傷つけ、結果ファクトリーとメインフレームとの世界を繋ぐ領域が分断されてしまう。
これは、ファクトリーがメインフレームからの協力を望めなくなってしまったことを意味する。
ファクトリーにとって、安寧の日々が終わりを告げる合図であった。
分断された領域の中、孤立してしまったファクトリー。
メインフレーム無しではネメシスに対抗する力を持たないファクトリーは、管理権を奪われた領域内からメインフレームとの連絡を取るための接続座標を探し出すことを急ぎ迫られることとなった。
ネメシスの支配領域潜入にあたり、強力なネメシスとの単体戦闘に耐えうる戦闘タイプを開発するテオたち科学者は、ファクトリー内より適正素体を抜擢する。
選ばれたのは二人の姉妹、ディアナとルナだった。
メインフレーム製自立型探索プログラム『MIRタイプ』と同等の性能を搭載するため、メインフレームより享受されたプログラムデータを元に、科学者たちは姉妹へ改造を施していく。
「こんな姿にしてしまって、ごめんなさい……。でも、もうファクトリーはあなたたちに頼るしかないの……」
研究室で、カプセルの中に横たわる姉妹へ、テオは呟いた。
改造を繰り返すたび、姉妹は肉体や思考といった人間性を失っていく。
テオは、人体改造をすることに最後まで反対していたのだが、メインフレームの加護がないファクトリーは、丸腰のようなもの。それほどまでに追い詰められていたのだ。
感情論だけでは事態が好転するはずがないことは、研究者であるテオもよく分かっていた。
科学者である自分と、感情で揺れる自分。
相反する思考は、深い罪悪感をテオに植え付けるのだった。
ディアナとルナの姉妹は、幾多に渡る地獄のような人体改造を終え、今その任に就こうとしている。
「ディアナ、ルナ……辛い旅になるかもしれないけど身体には気をつけてね……」
その言葉にうなづいた姉妹は、ファクトリー最後の希望として、ネメシス領域へと旅立っていった。
……そして、姉妹を送り出して、幾日か過ぎた頃。
ファクトリー内に鳴り響くけたたましいアラート音が最も危惧していた事態になったことを報せる。
「テオ! 領域内にネメシスの侵入が確認された!」
「分かってる! 私が迎撃に向かいます! メトはファクトリー内の指示をお願い!」
テオは防衛BOTを携え、他の新世代MDAタイプと共に迎撃に向かう。
だが、ファクトリー中枢から離れた中空に浮かぶ敵の姿を見て、一同は絶望の色を隠せなくなった。
「あれは……テスタメント……ッ!」
ネメシスを統治する七器の『器』。
中でも際立った残虐性を持つことで知られる……終焉の奏者テスタメント、その姿であった。
最悪の相手にテオは思わず怯むも、自らを奮い立たせるように声を張る。
「ネメシスの器よ……! 今すぐここを立ち去りなさいッ!」
当然、その言葉に応えることはなく、戦闘が始まってしまう。
テオや戦闘型MDAタイプは必死に応戦するが、テスタメント率いるネメシスらとの戦力差は明らかであった。
限界を超える力を引きだし応戦するMDAタイプたちだったが、テスタメントは鼻歌交じりで弄ぶ。
次第に押されていくファクトリー陣営。誰の目にも、これ以上の攻撃は無意味だと分かった。
そんな絶望感が漂う戦場で、テオの元にファクトリー中枢にいるメトからの通信が届く。
メトから提案された作戦を聞いたテオは青ざめた。同時に、残された手はこれしかないということも理解した。
これ以上の被害を防ぐためにファクトリーがとった苦渋の決断。
それは、前線の防衛陣地を自爆させ、管理領域もろともネメシスを消しとばす。端的に言うと自爆作戦だった。
ファクトリー中枢からの指示を受け、巻き込まれないよう高速で撤退する防衛部隊。
幸いにも、テオたちをゴミのようにしか思っていないテスタメントは、追ってくることもなかった。
あらかた防衛部隊が撤退したのを確認したテオは殿として残していた防衛BOTを、一気に撤退させる。
それを合図にしたかのように、中枢からの遠隔操作によって自爆は決行されたのだった。
ファクトリーの領域を失うことと引き換えに、空間を構築するすべてのデータを消滅させる。
……ネメシスといえども無事で済むはずがない。
そう信じていたテオたちだったが、崩壊後の更地の様な領域には、存在してはいけないはずの影が二つ漂っていた。
直撃させたはずのテスタメント。そして、それを自爆攻撃から守るように援護に現れたエリスネメシス。
ただでさえ強力な器が二器に増えた事実は、いよいよをもってファクトリー陣営に絶望をもたらした。
器たちは明確な敵意をテオに注ぐ。
ファクトリーを守りたいが、恐怖から立ちすくむテオへ、攻撃が降りかかろうとした瞬間――。
認識外から突然現れた何者かが、テオの前に立ちふさがり、テスタメントの攻撃を全て受け切った。
突然のことに呆けていたテオであったが、これは自分を救出した行為だということに気づき、顔をあげて何者なのか確認した。
「ディアナ……ルナ……ッ!」
それは、メインフレームとの接続座標を探し出す旅から帰還した、ディアナとルナであった。
姉妹はすかさずネメシスの器たちの元へと飛んでいく。間をおかず、激しい戦闘の様子が輝く閃光の嵐となって確認できた。
ディアナとルナは、器を相手に互角の戦いを繰り広げる。それを見たテオは、違和感を覚えた。
確かに、姉妹は伝説ともいえるMIRタイプのプログラムを模して生み出されたものだ。だがそれにしても、この桁違いの強さは異常だった。
――これはファクトリーの技術力を遥かに超えている!?
驚いたテオは、姉妹へ向けて簡易的なスキャニングを実行すると、彼女らを構成する要素の一部にメインフレーム由来のものが組み込まれていることがわかる。
送り出したあの日以上に、強さと引き換えにより人間から遠ざってしまった姉妹を見て、テオの表情は悲壮感に包まれた。
ディアナとルナは、接続座標を探す旅の途中、最古と呼ばれるメインフレームの一人、裁定者セラフィータの手によって強力なプログラムを与えられていた。その力を刃に込め、ネメシスの器を相手に互角に戦う。
だが、わずかに実力で上回る器たちの猛攻にじわじわと形勢は傾き、次第に押されていく姉妹。
祈るような思いでそれを見つめていたテオのもとへ、ファクトリー中枢にいるメトから通信が入る。
「テオ、もう一度自爆攻撃を仕掛けようと思う」
「……何かいい考えが?」
「もちろんだとも。確かにさっきの自爆攻撃では器を倒すことはできなかった。だけど、防護障壁を吹き飛ばすことには成功している。つまり、攻撃自体の効果はあるということだね」
「それは私にも分かってる。でも、逆説的に領域崩壊程度では火力が足りないことが証明されてしまったじゃない」
「そう、だから火力を上げる。今度はこのファクトリー中枢ごと自爆させるんだ」
「……ッ!?」
テオは驚くが、今まさに目の前でネメシスの器の強大な力を目の当たりにし、姉妹も劣勢気味となりつつある状況で悩んでいる暇はない。
このままではジリ貧になることは明白であるため、すぐに作戦内容を了承したことをメトへ伝える。
作戦を実行する前に戦闘中の姉妹へ概要を説明しなくてはならない。
しかし、分断領域を旅する道中で破損でもしたのだろうか、通信が繋がらなかった。
強力な器を誘い出すためには姉妹の協力がなくてはならない。
テオは有線通信を試みようと、2対2の激しい戦闘の渦中へ割り込むことを決意する。
戦線に乱入したテオは、なんとか攻撃をかいくぐって姉妹と有線通信を繋ぐことに成功する。これはテオの回避能力が高いわけではなく、敵がテオを虫ケラ程度にしか認識していないという、幸運がもたらした結果であった。
テオは姉妹へ作戦を伝えた。
自爆攻撃の威力を最大限に高めるため、ネメシスの器たちを起爆ポイントまで引きつける必要がある。
それは、決してリスクの少ないものではなく、命がけの作戦であったのだ。
テオ、そしてディアナとルナの姉妹が、ファクトリーの中枢ごと自爆させるという決死の作戦を実行しようとしている頃、中枢ではユバルがその口元に歪んだ笑みを浮かべている。
一連の自爆作戦をはじめに提案したユバルは、テオやメトたちとは違い、人の感情というものが欠落していた。
自爆という選択は、敵の力が強大であるがゆえにそうせざるを得なかったということ以上に、科学者としてネメシスそのものへの研究心からなる、私利私欲に準ずるものだった。
ユバルは、スキャニングを用いるまでもなく、姉妹がメインフレームからアップグレード処置を受けており、何かしらの重要情報を持ち帰っていると睨んでいた。
また、以前ユバル自身を襲撃したヴェルゼビュートに続き、テスタメントにエリスと、立て続けに現れた器から観測できたデータは、現在のファクトリーに残された資産以上の価値があり、それらのデータが手に入るのであればファクトリーを引き換えにしても構わないという、破滅的な考えを持っていた。
だが、それにはひとつ問題がある。
ファクトリーを中枢ごと自爆させるのは、一度目の自爆よりも高火力であるのは間違いない。
しかし、中枢を崩壊するには遠隔操作は不可能であり、手動による起動が必要だった。
二度目の自爆を実行するにあたり、その起動を誰が行うか頭を悩ませるメト。
そんな彼に、ユバルは自らが行うと提案する。
身を案じるメトに対し、ユバルは笑いながら言い放つ。
それは、ネメシスの器をより間近で観察するために……狂気の科学者ユバルにとって、死など過程にしか過ぎない。
ファクトリー中枢ごと自爆させるため、テオと姉妹は器たちを罠にかける。
いくら中枢ごと自爆させるとはいっても、二器を同時に巻き込むには不確定要素が大きすぎるため、テオがエリスを起爆ポイントまで誘導、姉妹はその手でテスタメントの撃退、という二手に分かれた作戦をとることとなった。
テオと姉妹は、撤退しているように見せかけつつ、器たちを誘導する。
タイミングを合わせて二手に分かれることで、二器を分断することに成功した。
「ふたりとも……必ず生きて帰って……! あなたたちが幸せになる道は、私が必ず用意してあげるから……!」
これから死闘を繰り広げるであろう姉妹を横目に祈りながら、テオは難解な複層構造体へと逃げ込み、追跡してきたエリスへ音声通信で問いかける。
「ネメシスの器よ……。人類の後継を自称するあなたたちが、なぜ旧人類の血統を受け継ぐ人々を滅ぼそうというのです!」
「……ふん。余らはすでにこの世界に格納された数十億の人類の肉体情報のうち、十分な数を手中に納めた……。来るべき『時』に備え、強きものを選別する。母数としてはそれで十分であろう?」
「あなたたちは……、メインフレームになろうというの?」
「汝らはもはや不要な羽虫、といったところか」
そう呟くとエリスはテオを炙り出すかのように、複雑に入り組んだ構造体を無差別に破壊し始める。
「……ッ! 何て力……ッ!」
「機械に寄り添い生きる……メインフレーム共の飼い犬である貴様らは……徹底的に駆逐する」
感情もなく淡々と言い放つエリスに、テオは戦慄する。
エリスの気配を間近に感じたテオは、すぐさま複層構造体を脱出し、ファクトリー中枢へと急ぐのだった。
エリスを撒きつつ、身を隠しながらファクトリー中枢に逃れたテオ。エリスはテオを探しているだろうが、これで数刻の時間は稼ぐことができるはず。
ファクトリー中枢区画へ到達したテオを出迎えたのは、ユバルだった。
中枢内の重要な機能は凍結させ、人員も退避させたというユバルは、自身の研究データのアクセスキーをテオへと送る。
「吾輩の全てが詰まっておる。この崇高なデータの素晴らしさを理解できるのはメトとお主くらいじゃからな」
「ユバル……あなた……」
「吾輩が情などという不安定でくだらないもので動くと思うのか? ぬひゃ……ぬひゃひゃひゃッ! これほどまでに最ッ高にエキサイティングな瞬間! 楽しまないほうがどうかしておるわッ! ネメシスの器……本当は腑のひとつでも解体してみたいところじゃが……ふん、観測程度で我慢してやる。ほら邪魔じゃ! 早く行けッ!」
起動だけ済ませたら、すぐさま撤退するというユバル。
ユバルの狂気に呆れつつもテオは心配を隠せない。
だが、再びエリスが接近するのを感知したテオは、ユバルを残し中枢を離脱した。
テオを始末するべく、ファクトリー中枢に到達したエリス。
避難が済んだ伽藍堂の中枢内に、テオではなくユバルがいることを視認すると、全てを理解し激昂する。
「羽虫がッ! 余を愚弄するかッ!」
怒りの表情を浮かべつつ、自身の周囲に浮遊させた無数の禍々しい光の粒が、みるみる肥大化していく。
その粒ひとつで中枢など一撃で消し去ってしまうだろうと、見るものに知らしめるほどの邪悪なオーラを放っている。
それを崇め祭るように、ユバルが叫んだ。
「おお……なんと、なんと素晴らしい……ッ!! その圧倒的な力! ここまでとは思いもよらなんだ!」
「汝らに慈悲はない……滅びよッ!」
「メインフレームとは異なるその可能性ッ! もっとよく吾輩に見せてくれ! さあッ!」
「エーテルスパーダッ!!」
エリスが静かに腕を伸ばし、周囲に浮遊する光の粒が今まさに放たれんとするその時、ユバルは起爆ボタンに指をかける。
「……ここまでか。もったいないのう……観測は終了じゃ。そして、吾輩は一足先に帰らせてもらう……!」
瞬間、一度目の自爆とは比べ物にならないほどの閃光と衝撃がファクトリー中枢を軸にして広がり、中心に表れた特異点に向かって全てが吸い込まれていく。
ユバルは即座に撤退しようとするが、エリスの放ったエーテルスパーダに随伴した細かな光が楔となり、その身体の自由を奪う。
「な、なんじゃこれはっ!? よせ! やめろ!!」
「余が汝をこのまま逃がすと思うたか?」
「――アヒャーーーッ!?」
断末魔にも似たユバルの高笑いは、間も無く閃光と共に消えていった。
ユバルが実行したファクトリー中枢での自爆。
撤退中であったテオは、飲まれるようにその閃光に包まれる。
上下左右何も認識できない、真っ白で強烈な光。
その光と衝撃に飲み込まれ、テオは意識を失った。
(……テオ……聞こえるかい……テオ…)
テオの頭の中で声が響く。
(聞き覚えのある名前……テオ……そう、テオ・メルキオル……身体という魂の檻があったころから、私を定義しつづける名前……)
ゆっくりと目を開き、まどろみの中から抜け出すと、テオは自分に言い聞かせるように呟いた。
(しっかりしなさい、テオ……。私は科学者として、ファクトリーを統治するものとして、まだやらなくてはならないことがあるのだから……)
目を覚ましたテオは辺りを見渡した。
ファクトリーの領域は見る影もなくなり、またネメシスの反応も消失している。
テオは、数百年の時を過ごしたファクトリー中枢を思い出す。珍しく、ほんの少しだけ寂しい気持ちを覚えていた。
「……テオ! テオ! 生きてるのかい!?」
「……さっきから聞こえてるわ……何とか、無事みたい……」
「良かった……! 生きているのなら、早く返事をしてくれるとありがたいんだけどな」
「ごめんなさい。ちょっと、色々考えてしまって」
「こっちは無事だよ。ネメシスの器を相手にしたとは思えないほど、被害は少なく済んだ」
「よかった……。ふたりは!? ディアナとルナはッ!?」
「そのことなんだけど……」
そう言い淀むメトから、姉妹が最後に観測された座標データをテオは受け取る。
それからメトは退避させたファクトリーの領域をまとめ上げるので精一杯なので、姉妹の回収をテオに任せたいと続けた。
「だけど……おそらくディアナとルナは……既に生きてはいないかもしれない……。君には酷な任務かもしれないけど……」
通信を終えたテオは、ボロボロの身体で時折ふらつきながらも歩を進める。
ファクトリーのために戦った、姉妹の元へと……。
チュウニズム大戦
レーベル | 難易度 | スコア | |
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スキル名/効果/備考 | |||
■メタヴ | EXPERT | 0 / 330 / 660 | |
ミスエスケープ(コンボ選択権) | |||
自分の場にMISSが3枚以上で発動。 自分は、このカードをCOMBOにしてもよい。 |
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チュウニズムな名無し
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314年まえ ID:c5xb4m3h分からせたい……分からせたくない?
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チュウニズムな名無し
304年まえ ID:sscp2tz3幼女…(о'¬'о)ジュルリ
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
285年まえ ID:am6soufb人目を気にしつつ接写しました
お納め下さい。
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し
255年まえ ID:jlxp4jmgミスに弱すぎるくせに8本許容が狭い上に専用だしお世辞にも神スキルとは言えないなぁ
道化師はミスしても8本狙えるし譜面と位置によっては9本もいける
でもこれはミスしたら相当カウント減るから安定もきつい
そしてミス1,2なら鎌で十分
確かにイラストは良いし自分も好きなんだがそれを使う上でのこのスキルが足枷にしかなってないからなぁ…
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チュウニズムな名無し
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チュウニズムな名無し