葛城 華／襲来のシンセ研編

　新歓ライブを見て軽音同好会に入部しに来た、舞ヶ原の１年生！

　ステージでの撫子たちの演奏に心を動かされて入部を希望した…らしいんだけど、歌っていた当の撫子には、なんだかやたらとライバル心を抱いているみたい。

　演奏スタイルは違えど、同じくギターを弾いているので、それが余計にそうさせるのかも？

　裕福だけど厳しい家族の方針で、課外活動に積極的に取り組むように言われている。

　学校では生徒会の活動をしていて、実は新歓ライブでもお手伝いをしていたらしく、放課後には忙しい合間を縫って部活に出席しているようだ。

　晴れて、正式に「軽音同好会」として発足した、撫子たち新生軽音は、日々の活動をこなしていく。

　夏休みも迫ってきたある日、軽音に舞い込んできたのは、夏休み明けに開かれる、これも学内の音楽系部活動向けライブイベント、その名も

　「部活対抗！裏・定期演奏会」だ。

　次なる目標をこれに定めた軽音の面々。

　さらに軽音同好会としても「ライブへ向けて楽曲を作る」という名目の夏合宿が企画され、華や凪の活躍で準備が進められる。

　海、ＢＢＱ、夜のおしゃべり、そして曲作り…

　軽音メンバー１０人で寝食を共にし、お互いともより深く向き合う、密度の濃い時間。

　ぶつかり合いやコラボを経て、合宿の中でそれぞれの新曲を仕上げ、さらにパワーアップした軽音同好会は、このステージでも素晴らしい演奏を披露。

　そしてここにはもう一つ、学内での初ライブを披露した小さな学内ユニット「シンセ研」の姿もあった。

　部室に先輩きてたの意外だったけど、その…

　先輩、本気出すとああいう感じなんだ…

　ラップやってたのも意外って思ったけど。

　小夜先輩は相変わらずかわいいな。

　めちゃくちゃコミュ障だし、結構ボーッとしてるんだけど、そこが可愛い感じ。

　七々瀬先輩はともかく、イロドリの先輩たちも結構変わった人ばっかりだし、この学校変わった人しかいないのかな…

　すごい音楽できる人ばっかなのは間違い無いけど。

　やっぱ変わってる人が多い気がする。

　キャラが立ってるってこと？

　いや、ああいう感じでキャラが立ってもなあ…

　はーーーーもううんんんんざり。

　部室入ってくる時もおはようございます～って。

　セリフ間違ってない？

　おはよっス～！とか言って入ってくるとこでしょ？

　バカみたい。

　前から思ってたんだけど。

　あいつ、七々瀬先輩のこと気にしすぎじゃない？？

　先輩がいいって言ってるんだから、最悪ベースはサポートに手伝ってもらってとか、いくらでもできると思うんだけど。

　そりゃ先輩、いてくれた方が嬉しいけどさ…

　先輩って特別ワケありって感じするから、そういう個人の事情に過剰に反応して凹んだりしちゃったら、先輩本人だって、余計に悩んじゃうと思うんだよね。

　ていうか。

　あたしだって出たいしさ、学園フェス。

　わかってる？

　部長なのに、ちゃんと周り見えてる？？？

　怒るのはカロリー使うから怒りたくない。

　だってイメージと違うくない？

　あたし結構、いつもニコニコ温厚な感じだしさ。

　今日だって、別に怒りたくて怒ったわけじゃないし。

　撫子がいつも、子供みたいなこと言ってスネまくってるからだもん。

　あいつ見てるとさ、なんか自分がかわいそう、みたいなアピールに見えちゃって。

　あたし別に、可哀想な人なんていないって思ってた。

　先輩は、悪いけど出たくない、って理由コミでちゃんと表明してる。

　撫子はそれ聞いて勝手に凹んでるだけでしょ？

　はあ…

　車のエンジンみたいな体型とか声とかしてるくせに。

　ここっていう時にプスンプスンて。

　…おっきな声出したの、謝るから。

　ちゃんと引っ張ってよ…もう。