月鈴 白奈／僕らの学園フェス編

　イロドリミドリのヴァイオリン／チェロ担当。

　バンドの曲作りになくてはならない、イロドリミドリの名プロデューサー！

　作曲を専攻していてＤＴＭや機材にも明るく、編曲やデモ制作なんかには大活躍。

　自身が主催したライブでの客演をきっかけに加入した六人目のメンバーで、卒業とともに海外へと旅立った七人目・「終身名誉メンバー」こと月鈴那知先輩の妹。

　担当楽器であるヴァイオリンはお姉ちゃんの置き土産も使っている。

　おっちょこちょいで口下手だけど、目標に向かって力強く進む、強さの持ち主でもある。

　夜寝る時は、緑のネコパジャマがお気に入り。

　七々瀬と撫子、そしてイロドリミドリとの馴れ初めを導いたり、ＨａＮａＭｉＮａに七々瀬が復帰するメッセンジャーのような役になったりと、姉・那知を通じて、何かと七々瀬と関係の深い白奈。

　その一方１年生たちには、穏やかでちょっとおっちょこちょいな先輩、として愛されているようだ。

　後輩に対しても（なぜか）敬語で接する物腰の丁寧なところなども、後輩には親しみやすさと捉えられているに違いない。

　また幅広い音楽趣味も健在で、ネットラッパーＦＪＢＫＭ（＝藤堂陽南袴）についてもいち早く気付いて情報提供するなど、なるにも負けない音楽おたくっぷりには磨きがかかっている。

　同学年のシンセ研・小夜ちゃんとも関係は良好で、凪も加えた三人はＤＴＭという共通の音楽性もあってか、よく会話する間柄になったようだ。

　友人も増えてきた軽音同好会。彼女の人当たりの良さは、きっとみんなにいい影響を与えることだろう。

　ある日の夜、月鈴家。

　スマホから、白奈を呼ぶ音が鳴る。

白奈「はいはいはい…　っと、はいもしもしー。ああ、なるちゃん？　どうかしました？」

なる「どうかしましたじゃないよって。緊急招集！」

白奈「緊急！？　何か問題が！？」

なる「そうそう緊急！　ちゃんなぎが！　釣れたの！」

白奈「釣れた…　え、お魚釣りにでも行ったの？」

なる「だから違くて！　麻雀！！　スマホの！！！」

白奈「え？　ああ、凪ちゃんも入れて、三人で遊ぶよ、ってこと、ですね」

なる「いやいや。これはあくまで『打ち合わせ』。打ち合わせするから来てつったら、じゃあ入る、って」

白奈「…凪ちゃん、たまにちょっとノリがいい時、あるといえばあるけど…じゃとりあえず、待ってます～」

なる「うい！　部屋立てたらコード送っから。じゃ！」

　ピポポン…　通話が閉じる。

白奈「このパターン、絶対打ち合わせなんて、しないんだけどなぁ…。凪ちゃんくらいしっかりしてると、麻雀しながら打ち合わせできるのかな。さすが！」

　そんなこんなで、対局スタート。

白奈「うーーん、この配牌は…同じ色が多いから…あ、この役が狙えそう、かな？　よしっ」

凪「……」

なる「………」

白奈「っと、この色はいらないから…ふむふむ」

凪「………」

なる「…………」

白奈「あ、いいのがきた…から、これをこうして…」

なる「…い、いやー、今日の宿題もう終わった？　ちゃんなぎ」

凪「終わったけど、明日の予習をしとかないとかな、って思ってて…えっと」

白奈「あ、字牌が入ってるとホンイツになっちゃって、点が下がっちゃうんだ。なるほどなるほど、すると」

なる「いやしろにゃ、初心者だし、別にいいけど…」

凪「狙ってる役のこととかは、心の中で喋ってもらった方がいい、かなって…バレちゃうから、ね」

白奈「はっ。私また、一人用の時のクセで…！」

白奈「すいません！　一番若輩の私が！　一位とっちゃうなんて！！」

凪「じゃ、若輩だなんて…こういうのは時の運もあるし、胸を張っていいよ。おめでとう、白奈ちゃん」

白奈「なんという寛容…！　ありがとうございます～」

なる「麻雀なんて運が７割とか言われてるしな。ま、あたしがドベになるのもやむなしってワケ」

凪「なるちゃんはね…チョンボで罰符もらったのが響いたね」

なる「バンドマンだからさ。響きにはうるさいよ」

白奈「あはは！　…たまにこういうのも面白いですね、なんだか新鮮で。最初は難しかったけど、みんなでこうやってやるゲームって、あんまり知らなくて」

なる「あ、ハマっちゃう？　付き合おうか？　この後」

凪「白奈ちゃんも、ゲームとかハマると沼っちゃうタイプ…？　気をつけてね、勉強とか、バンドの編曲も」

白奈「はっ…！」

白奈「忘れてました、次の曲のアレンジラフ…」

凪・なる「それはね、やってほしい…」