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第八皇女エルルーン

最終更新日時 :
1人が閲覧中
作成者: ゲストユーザー


Illustrator:ザザ


名前エルルーン
年齢16歳
職業ヴァレアイン帝国・第八皇女
CV大西沙織※デュエルで入手可能なシステムボイス

覇権主義国家・ヴァレアイン帝国の第八皇女。

エルルーン【 通常 / 戦禍を呼ぶ戦乙女

人が失ってはいけない何かが欠けている。

システムボイス(CV:大西沙織 / 「白銀の狂争曲」で入手)
  • デュエル進行中(状況:バトル)
登場大人の面子・軍の権威・それが傷つけられても最終的に我が国が勝利すればよい!
攻撃いけませんわ、罪には罰を与えねば。
こんな手でワタクシを葬ろうなんて可愛らしいこと。
……何を慌てていらっしゃるの?
撃破……結局、こうなりましたか。つまらないですわね……まあ、仕方がありません。
  • リザルト
SSSどうせなら今度はもっと大きな火が見たいものですわね? フフフ……早く戦争になぁれ!
SS傷つけられ、傷つけ合う、蹂躙し、蹂躙される……素晴らしいですわ! もっともっとこの喜びを味わいたい!
Sワタクシが望むのはさらなる闘争! さらなる血華!……ここで死ぬわけには参りませんわね?
A-AAAあらあら。何か楽しいことを計画していらっしゃるようですね
B-BBBベストを尽くしたのですから……反省点は次に生かせばいいのですわ
C……ワタクシはここにおります。逃げるなら、お一人でどうぞ
Dズルいわ。いざとなったら自分では何もしないんだもの
  • その他(NEW~)
マップ選択
チケット選択
コース選択
クラスエンブレム更新
ソート変更
クエストクリアクエストクリア!
限界突破……さあ! ワタクシの可愛い子どもたち! 産声を上げる時が参りました!『セイレーン』! お前たちの歌声で、数多の死を誘いなさい!
コンティニュー?コンティニューしてはいかが?
コンティニュー……さて、これから、どこに行きましょうか?
終了セーユーネクストプレイ!

スキル

RANKスキル
1鉄壁ガード
5
10エヴォリューションスパイク
15

include:共通スキル


  • 鉄壁ガード [GUARD]
  • 微量なゲージボーナスと一定回数のダメージ無効効果を持つ。PARADISE ep.Iマップでは最初に手に入るスキルであり、初心者向けと言って良い性能。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
  • PARADISE ep.Iマップ1(PARADISE時点で5マス)クリア
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し+3
あり
PARADISE
(~2021/8/4)
無し
あり+7
CRYSTAL無し+5
あり+12
AMAZON無し+7
あり+12
STAR+以前
GRADE効果
共通ゲーム開始時にボーナス +????
一定回数ダメージを無効化 (??回)
ボーナス無効回数
初期値+6000(20回)
+1+8000 (30回)
+2+10000 (40回)
+3+12000 (50回)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+4+14000 (60回)
+5+16000 (70回)
+6+18000 (80回)
+7+20000 (90回)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(PARADISE以降では未登場)
+8+22000 (100回)
+9+24000 (110回)
+10+26000 (120回)
+11+28000 (130回)
+12+30000 (140回)
理論値:72000(4本+12000/20k)[+3]
理論値:76000(4本+16000/20k)[+5]
理論値:80000(5本+0/22k)[+7]
理論値:90000(5本+10000/22k)[+12]

所有キャラ【 荒場 流子 / 舞園 星斗(1) / エルルーン(1,5) / 高橋 早苗(1,5) / ナイ

PLUSまでの旧仕様

AIRバージョンから、開始時ボーナスが増加した。

初期値ゲーム開始時にボーナス +5000
一定回数ダメージを無効化(20回)
GRADE UPダメージ無効化 10回増加(最大50回)

  • エヴォリューションスパイク [NORMAL]
  • キャラクターのRANKによって効果が変わるスキル。RANK11以上で上昇率が上がる代わりにATTACKにペナルティが付く。
  • 240は0本時のMISSの2/3、6本時のMISSの1/3に相当する(HOLD・SLIDEの場合は割合が倍になり、2本未満の場合はATTACKの方がダメージが多くなってしまう)。
  • RANK11以上のキャラで使用するのがメインだが、RANK10以下でも同GRADEのゲージブーストと同じ効果なので、全く使えないことはない。
  • 新規プレイヤーの場合、PARADISE稼働時点では筐体内マップにゲージブースト系の汎用スキル所有者がほとんどいないため、イングリットを早い段階で入手してRANK10以下のキャラで安定的に4本を確保するスキルとして運用していくことも視野に入れたい。(課題曲等で5本以上が必要な場合、クリアランクS取得を前提にボーダーブースト・Sの入手・使用を検討されたし)
  • +8になるとRANK10以下で6本、RANK11以上で7本到達可能になる。ただし、+8時点では理論値必須なので、実用には最大GRADE(+9)がほぼ必須。
  • 同じくATTACK判定にリスクを持ち、近いゲージ上昇量を持つアタックブレイクと比較すると、以下の違いがある。
  • ATTACK判定で受けるダメージが小さい(アタックブレイクはMISSに書き換えられる=MISSと同値のダメージになる)。
  • ATTACK判定を書き換えないので、スコアやフルコンボに影響しない。
  • キャラのRANKが11以上でないと効果が落ちるため、低RANKのキャラクターを育成しながら使うのに難がある。
  • タイプがNORMALとMANIACで異なる。マップボーナス目当てで使う場合は競合しない。
  • 筐体内の入手方法(2021/8/5時点):
  • 筐体内では入手できない。
ゲーム上での効果表記(初期値)
RANK11未満の時 ゲージ上昇UP (130%)
RANK11以上の時
ゲージ上昇UP (190%)
ATTACKでダメージ -240
プレイ環境と最大GRADEの関係
プレイ環境最大
開始時期ガチャ
PARADISE×
(2021/8/5~)
無し×
あり+1
PARADISE
(~2021/8/4)
無し
あり+9
CRYSTAL無し+5
あり+9
AMAZON+以前
GRADE効果
RANK11未満の時RANK11以上の時
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
共通(なし)ATTACKでダメージ -240
初期値ゲージ上昇UP (130%)ゲージ上昇UP (190%)
+1〃 (135%)〃 (195%)
▼以降はCARD MAKERで入手するキャラが必要
(2021/8/5以降では未登場)
+2〃 (140%)〃 (200%)
+3〃 (145%)〃 (205%)
+4〃 (150%)〃 (206%)
+5〃 (155%)〃 (207%)
+6〃 (160%)〃 (208%)
+7〃 (165%)〃 (209%)
+8〃 (170%)〃 (210%)
+9〃 (175%)〃 (211%)
理論値1:81000(5本+1000/22k)[RANK10以下/+1]
理論値2:117000(6本+15000/24k)[RANK11以上/+1]
理論値1:93000(5本+13000/22k)[RANK10以下/+5]
理論値2:124200(6本+22200/24k)[RANK11以上/+5]
理論値1:105000(6本+3000/24k)[RANK10以下/+9]
理論値2:126600(7本+600/26k)[RANK11以上/+9]

所有キャラ【 清瀧 藍(1,5) / エルルーン(10,15) / 京極院 桜花 / イングリット(1,5)

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ランクテーブル

12345
スキルEp.1Ep.2Ep.3スキル
678910
Ep.4Ep.5Ep.6Ep.7スキル
1112131415
Ep.8Ep.9Ep.10Ep.11スキル
1617181920
-----
2122232425
----スキル
~50
スキル
~100
スキル

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STORY

EPISODE1 悲劇の第八皇女「ワタクシの名前は『エルルーン』。大戦を繰り返すヴァレアイン国の八番目の姫……」

 ヴァレアイン帝国。

 この国は資源豊かな土壌を活かし農業、工業共にトップレベルの大国であった。

 だがその思想は選民思想にして覇権主義。積極的に他国を侵攻し、領土を己が物にし続けるヴァレアイン帝国の前に、隣接するいくつもの小国が消えていった。


 しかし、その強覇権主義は己の非道なふるまいのツケを支払うことになる。

 ヴァレアイン帝国を危険視した諸国からの攻撃、そして拡大を続けた領土の中から発生した紛争や過激な革命運動……。


 開戦初期こそ快進撃を続けていたヴァレアイン帝国だったが、すぐに各地で敗戦を繰り返すようになる。


 ヴァレアイン帝国は急速に疲弊していった。

 そんな時代の中、生まれたのがヴァレアイン帝国第八皇女エルルーンである。

EPISODE2 戦場の華「危険な戦地への慰問に行くワタクシとお姉さまは哀れだと言われているようですが、それは違います」

ヴァレアイン帝国の末の皇女として生まれたエルルーンは、非常に可憐な容姿をしていた。

 赤く澄んだ大きな瞳は、同量の紅玉と比較しても少しも遜色がなかっただろう。

 何より彼女の長く艶やかな白銀の髪は、穢れを知らず邪心に染まっていない、彼女の無垢な心の象徴でもあった。


 先行きの見えない暗黒の時代を過ごす国民たちにとって、エルルーンの存在は自分たちを導く光明のように信じられたのである。


 エルルーンの他では、少し年の離れた第六皇女の姉もまた国民の支えとなっていた。

 彼女は覇権主義を貫くヴァレアイン帝国の姫君にして稀有な平和主義者だった。

 故に、一部の為政者たちからは疎まれたものの、彼女と主張を同じくする若き政治家たち、そして何より終わらぬ戦闘に怯えていた弱き国民たちの支持を集めていたのである。


 国民たちの人気、そして図らずも皇位継承権の低い皇女たちということで、エルルーンと姉は、戦場の兵士たちの士気を向上させるために、頻繁に最前線のキャンプに慰問へ向かわされたり、国民たちに向けた演説のアイコンに使われたりと、その存在を利用されていた。


 人々は戦場に舞い降りた天使としてエルルーンと姉を讃えた。

 エルルーンはそんな国民たちの想いに答えるために、幼いながらも堂々とした笑みを向けていた。

 姉も演説の最中は穏やかな慈愛深い笑みを浮かべていたのだが……彼女は自分の仕事が終わるといつも泣いていた。

 彼女は戦争にいいように利用される自分の存在に憂いていた。だがそれ以上に国の愚かな主張のために、有無を言わさず死地に向かわざるを得ない兵士たちを……そして、まだ政治についての是非が分からぬ幼い内から利用される妹を哀れに思っていた。


 「私はいい。まだ自分の意志でこの場に立つことができるのだから……でもエルルーン、貴女は……」


 自分を想い泣く姉の手を優しく握り、励ますようにエルルーンは微笑む。


 「いいんですのよ、お姉さま。ワタクシもヴァレイアン帝国の皇女……。これがワタクシの務めなのですわ」

 「エルルーン……」


 姉は健気な妹を抱きしめると、再び涙を流したのだった。

EPISODE3 不可解な涙「戦場へ向かう少年兵を見て、お姉さまは泣きます。分からないわ? 何がそんなに悲しいのでしょう?」

――その日、エルルーンと姉はいつもと同じように、駅で兵士たちの出陣式を見守っていた。


 自分といくつも年の変わらない少年兵の出陣を励ましていた姉は、式が終わり自室に戻った後、いつものように枕を涙で濡らしていた。


 (ああ……本来ならこの国の未来を作る若者たちが、どうしてこんな愚かな戦争に行かねばならないのでしょう? ……いいえ、我が国だけではありません。敵対する国でも多くの子供たちが死んでいると聞きます……この悲しみの連鎖は一刻も早く、断ち切らねばならない!)


 姉はその時、背後で誰かの気配を感じ振り向いた。するとそこには幼い妹、エルルーンが立っていた。


 「……お姉さま、泣いていらっしゃったのですか?どこか痛いのですか?」


 姉は妹に余計な心配を掛けさせまいと、できるだけ自然に微笑んだ。


 「……大丈夫よ、エルルーン。でも、やはり戦場へ向かう兵士の皆さんを見ると、辛くてね」

 「どうして辛いのですか?」

 「どうしてって……戦場はとても恐ろしいところなのよ。大きな怪我をしたり、もしかしたら命を失うことになるかもしれないのです」


 エルルーンは透明な表情のままこう言った。


 「彼らは戦場で戦うのが使命なのでしょう? なら、そこで怪我をしようと、死のうと仕方がないことではありませんか」


 姉は妹の言葉に一瞬息を呑んだが、すぐにこう納得した。


 (この子は幼過ぎて、状況をよく理解できていないのね。我が国の教育でも戦争の正統性を主張しているし。……でも、きっとこの子も大国の皇女として、いつかは本当に大切なものが何なのか分かるはず)


 姉はエルルーンを優しく抱き、諭すように言った。


 「エルルーン、命は何よりも大事なものなのです。そして平等なもの。貴女の命も、今日見送った少年兵たちの命も、どちらも同じくらい掛け替えのないものなのですよ」


 エルルーンは姉の胸の中で、きょとんとするばかりだった。

EPISODE4 開く毒の花「ある日、ワタクシはテロに遭いました。重傷を負い感じたのです……生の実感と、戦争の喜びを!」

 ――時が経ち、戦況は更に激化していた。突撃命令を下し、戦場へと向かう兵士たちを見送るのは美しく成長したエルルーンと姉だ。


 「さあ! 皆さん! 国のために闘い、華々しく散っていってください! それは皆さんの何よりの栄誉となるでしょう!」


 幼い頃とエルルーンは何も変わらない。死に物狂いで戦う兵士たちを見て、エルルーンは無垢な笑顔を向けている。

 その姿を見て、姉はようやく自分の妹の異常さに気が付いた。


 (エルルーン……この子は何かが欠けている。人が決して失ってはいけない何かが……)


 今やエルルーンは自ら進んで戦場に立つようになっていた。

 そんなエルルーンの傍に過激派の政治家たちは急接近して、彼女を持ちあげるようになっていた。


 やがてついには学徒まで召集されるようになった。

 姉を始め、穏健派は『学徒兵を動員するのは何事か』と批判したが、過激派に支えられたエルルーンは次のような演説を行った。


 「大人の面子・軍の権威・それが傷つけられても最終的に我が国が勝利すればよい! 国民一丸となり、最後の1人となっても戦うのです!」


 姉は戦争を推し進めるエルルーンを必死に説得しようとしたが、彼女には届かなかった。


 ――そんなある日。


 「エルルーンは!? 妹は無事なのですかっ!?」


 エルルーンが演説中にテロに遭い、重傷を負ったと聞いた姉は、取る物も取りあえず妹が搬送されたという病院に向かった。


 (ああっ! エルルーン! どうか無事でいて頂戴!)


 姉は必死で妹の安否を気遣う一方、心の底のどこかでは安堵もしていた。


 (……これでエルルーンも、戦争の恐ろしさと命の大事さを理解してくれるでしょう)


 今までエルルーンは、自分が戦場に立つ訳でもなく安全な位置から叫んでいただけだった。


 自分が痛みを負ったことで、エルルーンも戦争の悍ましさが理解できたはずだと思ったのだ。


 だが病院に着き、妹の特別病室に案内された姉は、自分の期待が淡い夢だったことを知る。


 エルルーンは震えながらも笑っていたのだ。


 「一歩間違えればワタクシは死んでいました。死神は確実にワタクシの首筋に冷たい刃を突き付けたのです。これが戦争なのですね……傷つけられ、傷つけ合う、蹂躙し、蹂躙される……素晴らしいですわ! もっともっとこの喜びを味わいたい!」

 「エルルーン……」


 妹は間違いなく重傷だった。けれども包帯を血で滲ませながら、笑い続ける。

 その笑顔は一片の曇りもなかった。


 この出来事を境に、姉は妹と自分の間には越えられない隔たりがあることを確信したのだった。

EPISODE5 対立する姉妹「戦争の素晴らしさを知ったワタクシは、さらなる闘争を求めました……でも、お姉さまは反対らしくて」

 自らが重傷を負った後、エルルーンは危険な最前線にも赴き、自国の戦争の正統性を説いた。

 そんな彼女のことを過激派は『ヴァレアインの戦女神』として祭りあげた。


 それに抵抗する形で、穏健派は彼女の姉を担ぎ上げ『平和の象徴』として戦争を止めさせようと試みる。


 こうして姉妹はそれぞれのプロパガンダで対決するようになった。

 姉は事あるごとに妹に戦争の愚かさを説こうとするがエルルーンには、一向に通じなかった。


 「お姉様はズルいわ。皆を平和なんて言葉で集めておいて、いざとなったら自分では何もしないんだもの」

 「エルルーン……」

 エルルーンの言葉を受け、姉は密かに和平団を設立した。

 そして和平団を敵国に送り、戦争終結を求める特使としようとしたのだが……。

 エルルーンは姉の思惑にいち早く気が付くと、敵国に『隠密部隊』が向かっているという情報を流し、これを始末させる流れを作り上げた。

 さらにその後、和平団を壊滅させたのは敵国であると主張し、激しく非難。

 国民の感情を逆撫でして報復戦を仕掛けることに成功したのだった。

EPISODE6 退かぬ皇女「戦局はワタクシの望み通りに激化し敵軍が迫ります。でもワタクシは一歩も逃げるつもりはありません」

 和平団壊滅をきっかけに戦局は泥沼状態になった。

 武力の応酬が続き、兵士だけでなく多くの一般人の血も流れるようになる。


 姉はそれでも必死に平和の重要性を謳い、国民に終戦を呼び掛けるが、彼女の声はもはや誰にも届かなかった。


 そんな折り、突如敵軍の爆撃機部隊がヴァレアイン首都に無差別爆撃を仕掛けてきた。


 その猛威はエルルーンと姉の住むヴァレアイン城をも飲み込もうとしていた。


 「姫様方っ! お逃げくださいっ!」


 御付の侍女らは、エルルーンと姉を秘密の避難経路から逃がそうとしていた。


 「分かりました……さ、エルルーン、行きますよ」


 姉はエルルーンに避難を促した。しかし、彼女は一向に動こうとはしない。


 「何をしているのです! 敵の攻撃がすぐそこまで来ているというのに!」

 「……ワタクシはここにおります。逃げるなら、お姉さまお一人でどうぞ」

 「何を言って……」

 「もう時間がありません!」


 家来たちに半ば引きずられるようにして逃げた姉の後ろ姿を見送ってエルルーンは呟いた。


 「……ここで逃げ出すなんてあまりに惜しいですわ。折角肌がひりつくような戦を感じる絶好の機会だというのに……ですがワタクシが望むのはさらなる闘争! さらなる血華!……ここで死ぬわけには参りませんわね?」


 エルルーンは密かに城の地下に用意しておいた軍事施設に降り立った。


 「……さあ! ワタクシの可愛い子どもたち! 産声を上げる時が参りました!」


 そこに鎮座していたのは金色の巨大兵器だった。

 エルルーンにより『セイレーン』と名付けたこの兵器は、高出力マイクロウェーブを利用し、兵器の心臓部を容易に破壊する新兵器であった。


 「さあ! 『セイレーン』! お前たちの歌声で、数多の死を誘いなさい!」


 エルルーンはこの『セイレーン』によって、見事敵国の爆撃機を撃墜することに成功したのだった。


 この事件によりヴァレアインでのエルルーンの地位は確実なものとなった。

EPISODE7 エルルーンの独壇場「ワタクシの声で戦場は一層、華麗に燃え上がります。和平を求める声もあるようですが、関係ありません」

 ヴァレアイン防衛戦により、エルルーンの地位は確固たるものになった。


 最初こそ彼女を利用していた過激派だったが、今では彼女に利用される立場へと成り下がっていた。


 そして仕方がない事情とはいえ、一時城を捨てたと判断されたエルルーンの姉の地位は妹と反対に失墜していくばかりであった。


 エルルーン主導となったヴァレアインの上層部は一時和平へと傾いていた姿勢を、再び戦争礼賛へと戻し戦意を向上させる。


 無謀な闘いを繰り返し、資源を消費するヴァレアインは疲弊の一途を辿った。


 それでも、もはや後戻りができないと判断した過激派や兵士たちは狂気的な闘いを繰り返すのだった。


 一方で国民たちは荒んでいた。

 軍部による圧政、恐怖政治の中で、国民たちは疲れ切っていた。

 政治的に力を持たない彼らにとって、国の支配者が誰に変わろうと関係ない。

 そんな国民たちの間では戦争の終わりを望む声が密やかに、だが確実に強まっていった。

 エルルーンはそんな国民たちの声を無視するだけではなく、彼らが何らかの活動を行った際は、迅速に容赦なく処分していった。


 絶望と狂気が支配するヴァレアイン。

 そんな状況下、未だ平和を諦めぬ者がいた。

 エルルーンの姉である。

EPISODE8 穏健派の暗躍「あらあら。穏健派の皆さまが、お姉さまを担ぎ上げて何か楽しいことを計画していらっしゃるようですね」

 エルルーンの姉は、自分がどのような状況に陥っても平和への道を諦めなかった。

 また同志の政治家だけでなく、民間からも広く人材を採用し、立場を越えて平和への道を模索できるような仕組みを作ろうとしていた。


 (私は一度、自分の命惜しさに、この国の民を見捨てるような愚行を犯してしまった。今度こそ、この身を賭して民を……ヴァレアインを救わねばっ!)


 姉の言葉は最初は小さな埋火のようだったが、徐々に平和への祈りを求める人々の心に燃え移り、支持者を集めていった。


 しかしながら未だヴァレアインの政治の主流は過激派が占めており、穏健派はごく少数派であった。


 幾ら皇女が旗印になっているとはいえ、現在の過激派に逆らうような主張を掲げるのは、あまりに危険である。


 穏健派の代表メンバーは、エルルーンの姉に向かってこの状況を打破するためには、エルルーンの排除しかないと説いた。


 「エルルーン様が生きていらっしゃる限り、過激派の勢いは止まらず、戦争は終わりません。……姫様、どうかご決断を」

 「貴方方の主張は十二分に理解できます。ですが……実の妹を手に掛けるなど、私にはできません」


 穏健派がまとまっているのは、エルルーンの姉の人徳によるところが大きい。またこんな状況でも妹の身を案じるというのは非常に彼女らしい意見でもあり、なるべく尊重したいと考えて、穏健派は決断を先送りにしていた。

 けれど、これ以上エルルーンを野放しにしておくのはヴァレアインの存亡に関わる……それもまた事実であり穏健派はジレンマに陥った。


 そんな中、エルルーンと姉の食事会が開催されることになった。

 これは過激派と穏健派の親睦を深め、ヴァレアインのより良い未来を考えるという趣旨の会である。


 独特の緊張感が漂う中、それでも順調に食事会は進んでいくように見えた。

 だが、エルルーンにワインを勧める給仕が、穏健派のスパイであると気が付いた姉は、思わず叫んでしまった。


 「いけないっ! それを飲んではダメ! エルルーン!」


 姉の忠告は遅く、エルルーンはワインを一気に飲み干してしまった後だった。

EPISODE9 毒酒より濃く闇より深く「こんな手でワタクシを葬ろうなんて可愛らしいこと。でも穏健派の方には大人しくしてもらいましょうね」

(ああ……なんてこと!)


 毒酒を呷った妹の最期を想い、姉は思わず顔を覆ってしまった。


 それとは逆に穏健派の重鎮たちは、暗殺計画の成功と毒婦の最期を予想しほくそ笑んだ。


 けれども一向にエルルーンが倒れる様子はない。

 それどころか、涼やかな顔をして引き続きワインを楽しんでいる。


 穏健派たちが疑問に思っていると……。


 「……何を慌てていらっしゃるの? 毒のワインなら今頃、貴方たちのお友達が楽しんでいらっしゃるはずでしてよ?」

 「なっ……!?」


 穏健派の暗殺計画など、エルルーンにはお見通しだったのだ。


 「……こんな幼い計画でワタクシを排することができると信じていただなんて、本当に可愛らしい方たちね。……でも少しお遊びが過ぎたようですわ」


 エルルーンは側近たちに穏健派を捕らえさせ、処分するように言い渡した。

 その場に独り残された姉は、突然の展開にしばし呆然としていたが、やがて穏健派の助命をエルルーンに必死に乞うた。

 ……だが。


 「いけませんわ、お姉さま。罪には罰を与えねば。それが世の習わしでしてよ」

 「でも……せめて命だけは助けて。この陰惨極まりない闘争の時代に、無駄な命を散らすことがあってはならないわ」

 「全ての者の命は等価値……以前お姉さまはそうワタクシに教えてくださいました。ならば無駄も有益もないでしょう。命は命。それだけです」

 「エルルーン……。貴女は人の命を軽んじ過ぎているのよ!」


 ついに姉が声を大にして叫んだ。

 しかし、エルルーンはそんな姉に対して、心底心外であるという表情をする。


 「ワタクシが命を軽んじている? とんでもないですわ、ワタクシは全ての命を愛しています。宝物のように大事に想っています。……その証拠に」


 エルルーンは、幼い頃から自分が見聞きした戦死者の全ての名前を挙げていった。

 姉はそんな彼女の様子に顔を青ざめる。


 「……これでお分かりかしら? ワタクシは全ての命を愛しているのです。だからこそ、それが散る様は狂おしいほどに美しい! 多くの命が散り行く戦場は、まさに神が我ら人間だけに与えたもうた芸術ですわ!」

 「エルルーン……貴女は戦争を楽しんでいるというの?」

 「ええ、こんなに心躍るものが、この世にありますか?」

 「分からないわ……貴女の心が、少しも分からない」


 エルルーンの姉は脱力し、その場で膝をついた。

 その顔は涙で濡れていたが、自分を失いつつある彼女は、それを拭うことすらしなかった。

EPISODE10 燃え上がる闘いの火「お姉さまを表舞台から降ろし、ワタクシはさらなる炎を求めました。そう、我が大国が滅びるその日まで」

 緩やかに自分を失いながら悲嘆にくれる姉を見て、エルルーンは痛ましそうに彼女を抱きしめた。


 「……可哀想なお姉さま。こんなにも心が擦り切れるまで傷ついて……。貴女はいつでも優しかった。ワタクシは幼い頃から本当に貴女のことが好きでした」


 エルルーンの言葉に嘘はない。彼女は本気で姉が自分に向ける愛情に感動し、彼女を愛していた。

 だが姉に向ける愛と、戦争を愛する気持ちが等しかっただけなのだ。


 「お姉さま……これ以上、優しい貴女が傷つくのは見ていて心苦しいですわ。少し、空気の良い場所で静養された方がよろしくてよ……そうね、お母様の生まれ育った国には美しい自然が広がると聞きます。しばらくそちらに移り住んではいかが?」


 姉妹の母の出身はヴァレアインから遠く離れた小国で、俗世の情報が一切入らない僻地も多数ある場所だ。

 これは事実上の罷免であった。


 後ろ盾を失った姉は、妹の下した決断に一切逆らわなかった。絶望も怒りも見せなかった。

 それどころか、姉は最後までエルルーンの身を案じていたのだ。

 「エルルーン……。貴女がいつか真の平穏を得られることを祈っているわ」

 出発の朝、姉はエルルーンに別れの言葉を述べた。

 そんな姉にエルルーンも別れの言葉を返す。


 「さようなら、お姉さま。もうお会いすることはないでしょう。でもどれだけ離れていても、ワタクシはお姉さまを想っていますわ」


 エルルーンの顔は実に晴れやかだった。幼い頃からずっと変わらない無垢な笑みだった。


 ……こうして決定的にすれ違ったまま姉妹は別れた。そしてエルルーンの言葉通り、二度と再会することもなかった。


 姉を排斥したことにより、エルルーンを止める者はもはやヴァレアインに1人も存在しない。

 彼女は自ら望むままに戦争を貪り続け、ついにヴァレアイン帝国は戦争に敗れ、崩壊してしまったのである。

EPISODE11 白銀の狂争曲「我が大国は滅びましたが、きっとまた素敵な闘争がワタクシを待っていることでしょう……ウフフ」

 『曇りなき白銀の戦女神』。……そう讃えられたエルルーンは、戦場で儚く散ったとも、帝国の最期と共に自害したとも言われているが、真相は分からない。

 とにかく彼女は消えたということだけが真実だった。


 敗戦したヴァレアインは戦勝国に占領され、独裁政権から民主政権へと生まれ変わる。


 奇しくも国から罷免され、遠国の僻地へ逃れていたエルルーンの姉は無事であり、旧ヴァレアイン帝国は、彼女を新王として迎え入れ、復興の道を歩むこととなった。

 「――私の命は私の物ではありません。国民の、そして生まれ変わったこの国の物です。この命尽きる時まで、国の復興に努めます」


 エルルーンの姉は、長い間平和を求めていた国民に歓迎された。

 焦土となった大地から再スタートは容易ではなかったが、世界中が驚くスピードで旧ヴァレアイン帝国は復興していった。


 ――やがて戦勝国の支配から脱却し、ヴァレアインは民主主義国家として独立することが認められた。


 エルルーンの姉は戦勝国の首相たちと和平条約を結ぶ。

 その姿はあらゆるメディアで報じられた。


 ……そして、各国首脳陣と固い握手を交わすエルルーンの姉が一面に取り上げられた新聞を笑顔で見つめる1人の美女がいる。


 美女はカフェのテラスでカフェオレを飲みながら、新聞に目を通していた。


 「……結局、こうなりましたか。つまらないですわね……まあ、仕方がありません。ワタクシはベストを尽くしたのですから……反省点は次に生かせばいいのですわ」


 美女はそれ以上新聞を読み進めようとせず、カフェオレを飲み終わると立ち上がった。

 その時、美女のかぶっていた帽子からわずかに髪の毛が零れる。

 その色は透明に近い白銀だった。


 「どうせなら今度はもっと大きな火が見たいものですわね? ……さて、これから、どこに行きましょうか? フフフ……早く戦争になぁれ!」


 美女は蕩けるような破滅の笑みを浮かべて、いずこかへ立ち去っていった……。

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チュウニズム大戦

レーベル難易度スコア
スキル名/効果/備考
●リレイBASIC0 / 150 / 300
アンダーブレイク(250以下ミス)
次のプレイヤーの250以下の
COMBO/CHAINは、MISSとなる。

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コメント (第八皇女エルルーン)
  • 総コメント数62
  • 最終投稿日時 2022年12月06日 11:52
    • チュウニズムな名無し
    62
    2020年08月09日 12:10 ID:g1ijq9xm

    この人シビュラ精霊記のドロドロした戦知ったらウキウキしそう

    • チュウニズムな名無し
    61
    2019年06月08日 02:42 ID:mevuuh6w

    おいG.O.D

    一刻も早く早くこの危険人物を煉獄に連行してくれ

    グンマ県に干渉できたんならヴァレアインへの干渉なんざ余裕だろ

    • チュウニズムな名無し
    60
    2018年06月26日 20:00 ID:c8d2o1x2

    >>56

    例外:渋沢ノノ

    (さて、次回作の所持者はどうなることやら…)

    • チュウニズムな名無し
    59
    2018年06月26日 08:02 ID:dt1egdnr

    >>56

    だから鉄壁(壁的な意味で)なんだろうなぁ…

    • チュウニズムな名無し
    58
    2018年06月25日 23:48 ID:mo6ftc1u

    >>57

    確かにこのストーリー日本の歴史が元になってそう 特に最後あたり

    • チュウニズムな名無し
    57
    2018年06月24日 13:05 ID:oervgjpj

    日本の歴史意識してる・・・?

    • チュウニズムな名無し
    56
    2018年06月12日 22:41 ID:q91jerb1

    鉄壁ガード所有のキャラってみんなつるぺったん?

    • チュウニズムな名無し
    55
    2018年05月26日 18:45 ID:dq7dxqr2

    >>40

    や め ん か

    • チュウニズムな名無し
    54
    2018年05月26日 16:02 ID:eqvivwe3

    戦争好きのかわいい娘とか最高すぎる

    • チュウニズムな名無し
    53
    2018年05月14日 20:50 ID:sju4c30p

    狂気に満ちてやがる...

    まぁ、可愛いからいっか!!

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