小野 美苗／襲来のシンセ研編

　舞ヶ原高校の新１年生で、撫子の同級生！

　新歓ライブに出演するために撫子が集めたバンドメンバーの一人で、今は軽音同好会の会員として、彼女たちと一緒にバンドを組んでいる。

　担当はドラムスで、ちょっとだけ打楽器の経験があって…と口が滑ったところを、釣られてしまったそう。

　おとなしく穏やかな性格で、個性たっぷりの軽音メンバーと比べるとごくごく、ごく普通の高校一年生。

　ただそんな濃いメンバーの中でも部活には意外と馴染んでいて、誰に対しても隔てなく接するため、厳し～い先輩である七々瀬にも気後れすることなくやりとりできる…という、意外な一面もあったりする。

　撫子の手で作られた、新生・軽音同好会の設立届。

　そんな軽音の最初の発表の場は思いの外早く訪れる。

　音楽系部活動が一堂に会して新入生たちにその活動を披露する、生徒会主催の新入生歓迎ライブへの参加がそれだ。

　七々瀬の合流と同じ頃、撫子は同じクラスでドラムの経験があるらしい、小野美苗を軽音部に勧誘。

　七々瀬をベースに据え、即席ではあるが、スリーピースのバンド編成で新歓ライブにエントリーする。

　旧軽音部の流儀だ、というスパルタな集中トレーニングを受け、七々瀬から軽音部に代々伝わるオリジナル曲「Ａｇｉｔａｔｉｏｎ！」を伝授してもらった撫子は、新生軽音の初ライブを、見事に成功させたのだった。

　ちなみに、新歓ライブの演奏を見て…と言って軽音への入部を希望してきたのは、華以外には現れていない。

　撫子は今も新しい友達ができる度「どうっスか！？」と声をかけているようだが、今のところ、成果は芳しくないようだ。

　イロドリミドリの先輩は単位で結成したバンドだし、ナデちゃんも学園フェス出て、単位狙っちゃう？

　なんて話をしたんですが、あたし単位のこと、あんまよく把握してないんだよね！って言われちゃいました。

　最初に出した履修登録のやつ、どうしたの？って聞いてみたんだけど、そしたらナデちゃん

「先生に聞いてみたら、合計でこのくらいになってればいいよ！」って言われたって言って。

　それはそうだから、そうだねって言ったんですけど、

　そしたらナデちゃん、単位って、そもそもなんの単位なの？

　点数とは違うの？って言われちゃって。

　色々話してるうちに私もわかんなくなっちゃったし、６０点取ったら１単位もらえるんじゃないかな？

　って言いました。

　うーんあってたのかな。

　単位制って、高校だと珍しいですよね？

　なんでこんなことになっちゃったんだろう。

　七々瀬先輩のあの話で、撫子めっちゃ凹んでるよね、って華ちゃんが言ってて。

　頑張っていつも通りにしよう、ってしてるみたいでもあるんですけど、どうしても雰囲気に出ちゃうのかな。

　昔お母さんが言ってたけど、初代ポチが死んじゃった時はお父さん凹んじゃって大変だったって言ってたのを思い出しました。

　お母さんは凹んでるお父さんにイライラしたって言ってたけどね。

　あ、ナデちゃんがお父さんで、華ちゃんがお母さんなのかな？

　と、いうことは私、二人の子供なんだ…

　全然知りませんでした。

　全然関係ないけど、華ちゃんが呼んでくれるみーにゃってあだ名、だんだんクラスの中でも流行ってきたよ。

　かわいいよね！ってたくさん言ってもらえてちょっと嬉しいけど、この場合のかわいいって、私っていうか私のあだ名に対して、だもんね。

　複雑な気分です。

　この間、ポチの散歩に行った時の話です。

　いつも行く公園でたまに会うワンちゃんがいて。

　小型犬なんですけど、ポチよりはけっこう年上みたいで、なんというかポチよりもずっと落ち着いてるんですよね。

　ポチなんか、最初はいい感じで遊んでもらおうとするんですけど、控えおろう！ワン！て吠えられて、シュンてして帰ってきたりするんです。

　飼い主のおじさんもすっかり顔なじみで、会うとよくお話しする方なんですけど、その時は、ごめんねえ、うちの子が気難しくて…なんて言ってました。

　で、なんでだかわかんないんですけど、その方、顔が飼ってるワンちゃんにそっくりで、横に並んでると本当に笑っちゃいそうになるくらい似てるんですよね。

　いつも我慢してるんですけど、この間ついにチャンスがあったのでその話をしたら…

　「よく言われるんだ～、一緒に暮らしてると似てくるのかな。」て言ってて。

　私の顔もそのうち、ポチに似てくるのかな？