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ミルフィーユ・エピソード

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作成者: ユーザー30251
最終更新者: 名無し

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ミルフィーユのエピソード

勝利に執着する自信家の少年。

甘党で、甘い物を食べることにおいては誰にも

負けない。ナポレオン時代の人物の仮想をする

のが好きで、帽子を人に触られるのを嫌う。


Ⅰ 孤島

辺境の島に久しぶりににぎやかさが戻ってきた。


波が岩にぶつかり白い水しぶきが上がる。

セグロカモメが海面近くをかすめた後、急上昇して断崖の上の群れに舞い降り、捕らえた獲物をヒナに与える。


ああ、やはり新しい命が生まれる季節を祝うにはスイーツが必要だ。

御侍がこの島に追放されて以来、私はスイーツとは縁のない生活を強いられている。


「このままじゃ糖分不足になってしまうな」


私は銃を抱いて大げさにため息を吐き、足元の小石を蹴飛ばしながら、とぼとぼと島の最も高い所にある療養院へと向かった。


御侍が暮らしているのは療養院と言うよりは、刑務所と言った方がふさわしい。

療養院では兵士たちが二組に分かれ、数少ない政治犯を交代で監視していた。物資を補給するための船が定期的に来るたびに島の人口は変動した。その時だけこの島に私以外の食霊が現れる。


「帰ってきたか。ミルフィーユ


療養院に住むようになってから、御侍の精神状態は悪化の一途を辿った。ずっと病気を患っていたため、体はますます弱り、いつも自分はもうすぐ死ぬと独り言を繰り返していた。


「間に合ってよかった……私は今日死んでしまうから」


御侍はベッドに横たわったまま、私を見ようともせず、擦れてボロボロになったブックカバーを呆けたようにさすっている。


「私はここで毎日、後悔しながら過ごしてきた……私は自分が選んだ道に背き、お前を裏切ったんだ。急にそんなこと言うなんて、これはご臨終前の懺悔かい?」

「そうだよ……私は一言お前に謝りたかったんだ」


御侍の声は徐々に小さくなっていき、頭は垂れ下がっていった。


「もし生まれ変われるなら……きっと……」

御侍は最後の言葉を言い終えることなく、本当に生命を終えてしまった。

私は薄い掛け布団を彼の頭まで引き上げながら、そっと声をかけた。


「もう一度やり直せれば、今度は負けないかい?御侍様」


御侍が私に残した遺産は、彼が枕の下に隠していた薬と、死の直前まで手にしていたあの、主人公が私と同じ名の小説だけだった。

私は本一冊だけを持って船で島を離れた。

潮風に吹かれながら久しぶりに本を開くと、既に取れてしまったページが空へ舞い上がり、過ぎ去った記憶とともに飛び去って行った。



ミルフィーユ、ここが私たちのスタート地点だ。一緒にがんばろうな!」


召喚したばかりの私を連れ、若く自信に溢れた御侍は宮廷料理人組合へとやってきた。


私は帽子のつばを高く上げ、名前が刻まれた石碑に向かって射撃のポーズを取った。


「戦いは私に任せてくれ。御侍はおいしいスイーツを作ればそれでいいから」


御侍が肌身離さず持っている小説を取り出し、その上に手を置き、宣誓を行うような口調で言った。


「お前と賭けをしよう。私は十五年以内にナポレオンみたいに人の上に立つ人間になる!」


Ⅱ スイーツ

「ついに陸に戻ってきた!スイーツだスイーツを食べるぞ!」


港に降り立ったらすぐに市場へ行きたいと思っていた。


「よう、これ持っていきな」

軍官の食霊が私を呼び止めた。

背後で金属がぶつかる音が聞こえ、私は振り返って飛んできた財布をつかんだ。


「危ないじゃないか。私の帽子を叩き落とすところだったぞ」


私は財布の重さに満足すると、帽子の前でクルクルと指を回した。


「すまないな。今度会ったらスイーツをおごるよ。オ・ルヴォワール~(さようなら)」



私は船に別れを告げ、小さな町へ足を踏み入れた。

にぎやかな風景と甘い香りに思わず興奮してきた。


「この町はどうしてこんなに甘い匂いがするんだ――そこの旦那、何かお祝いごとでもあるのかい?」

「何だ知らんのか。今日はこの町ができて100年の記念日で、街を挙げてのスイーツコンテストが開かれるんだ。コンテストに参加している屋台では無料で味見ができるぞ」

「スイーツ・コンテスト……食べきれないほどのスイーツ!やったあ!」


ずいぶん長い間、糖分を補給していなかったため、全ての屋台を一通り試食してようやく生き返ったという実感を得ることができた。


最後の屋台のスイーツは手の込んだものではなく、甘さも控えめだったが、そこのパステル・デ・ナタは柔らかさとサクサクした食感、濃厚なクリームと卵の風味がマッチしていて、いつまでも食べ続けたくなるおいしさだった。


「このエッグタルトはとてもうまい。ご主人――おや、君も食霊かい」


できたてのエッグタルトを運んできたイケメン青年は、

パティシエ服を着た食霊で、一目で腕のよさが知れた。


「ご主人、君は他のスイーツも作れるのかい?」

「あんたに関係ないだろ」


その食霊はそっけなく答えた。

どうやらあまり話をしたくないらしい。


「そう冷たくするなよ。君が作ったエッグタルトはこんなにおいしいんだから、他のスイーツもきっと悪くないだろうと思ってな。うちのチームに入って一緒に戦わないか」

「戦いに興味はない」

「じゃあ君はスイーツ作りを担当すればいい」

「イヤだ」

「はっきり断りすぎだろ!」

「すまないね」

「じゃあ一つだけ教えてくれ、君の名は何という?――おい、どこへ行く。コンテストはやめるのか。おい!」


まったく。私はただスイーツの心配をしなくてよい日々を送りたいだけなんだ。


遠ざかる食霊の背中を見ながら、最後のエッグタルトを口に放り込むと、舌先に広がる甘さで閃いた。


あ……あの執事をやってたあいつ、まだいるんじゃないかな。何でもこなす執事だから、スイーツだって作れるに違いない!待てよ、どこかに地図が……


帽子のツバをつまんで空を見上げると、

遠くから鐘の音が聞こえてきた。


「ゴーン――」


修道院の鐘の音が厳粛に響き渡る。

御侍は新婦とともに馬車に乗って去っていく。

これから新婦の父親である伯爵の屋敷で

舞踏会が開かれる予定だ。


御侍は一カ月ほど前、伯爵より子爵の称号を授けられたが、伯爵が満足するような婚礼を挙行するには、彼の財産は少なすぎた。


正確に言えば、娘が御侍の子を宿していなければ、私が御侍のために功績を挙げていなければ、ただ彼が外見に優れ、弁が立つと言うだけで伯爵が平民出身者を婿に迎えることはあり得なかった。


ミルフィーユ、ここにいたのか」


舞踏会の最中、本来なら主役のはずの御侍は、あまり注目を集めていなかった。

彼は憂鬱そうな顔で、スイーツが並んだテーブルでケーキを食べていた私を見つけ、酒の入ったグラスを掲げた後、一気に飲み干した。


「見ろよ、ミルフィーユ。この気位の高い貴族たちは私のような人間を対等に扱うことが我慢ならないんだ」


スイーツに没頭していた私は来賓たちの反応など気にもかけていなかったが、そう言われて他の客たちが御侍に向ける視線を注意して見てみると、嘲りと軽蔑のまなざしばかりだった。


「我々が目標を達成するまでは、長い道のりになりそうだな」

「ご安心を御侍様。君がしたいことなら何でもお手伝いするから」


私の口の中は食べ物でいっぱいだったため、舌足らずな言い方となり、かえって御侍を笑わせてしまった。


「思う存分スイーツを堪能するんだなミルフィーユ。これからは毎日君が食べきれないほどのスイーツを用意させよう」


彼はダンスフロアにいたある人物と目を合わせた後、すぐに私に視線を戻した。


「まあ、君がずっとそういう気持ちでいるとありがたいんだが……」


Ⅲ 執事

「帰ってください。賭けで負けた後、御侍様は寝込んだままです。あなたに会ったら病気が悪化するだけでしょう」

「私は彼が病気で寝込んだと聞いたから、わざわざ見舞いにやってきた。君は……」

「その気持ちは私が代わりに御侍様に伝えておきます。ですからあなたはもう帰っていいです。さようなら」


ブラウニーが客に応対している隙に、私は空のティーカップを持ってきて、自分のカップの紅茶を半分そのカップに注いで、代わりに多めのミルクを入れた。


「君は前から客にこうも強気だったっけ?」

「あの客は例外です」


私のミルク増し増しの紅茶を見てブラウニーは仕方ないといった顔になったが、それでもワゴンからデザートを取り出して私の目の前に置いた。

私は遠慮なしに次々と食べていく。


「君が作ったケーキはうまいな……例外とは何のことだ?」}

「彼は御侍を騙して賭け事を持ちかけました。インチキで勝った後、家の蔵書を全部持っていきました。その後、御侍様の体は日に日に弱くなっていって、今となっては起床すらできなくなってしまいました……」

「私の御侍と似ているな。でも書籍商は今年すでに……ああ、忘れたところだ。前あった時彼の髪の毛は既に全部白髪になっていたな」

「ええ、御侍様もそろそろ時間です……」

「おいおい、そんな悲しい顔をするな。まあその気持ちもわからないわけではないが」


私は目の前で手を振って、滅多に人前では見せない彼の情緒を引き出そうとした。


「これからどうするのか考えたか?」

「いえ……私はずっと御侍様の蔵書と事業を受け継ぐと思ってました。でも今はもう全て失ってしまったのです」

ブラウニーは頭を下げて苦笑した。


「御侍様は私が同じ失敗を繰り返すのを心配して、私があの人に会うのを禁止しました。もうかなりの時間が過ぎたので、おそらく御侍様の心血は既に大半売り捌かれたでしょう」

「賭け事なら私の領分だ。私が代わりに全部取り返してきてもいい」

私は匙でカップを叩いて紅茶をぐっと飲み干し、口を拭いて彼を見やる。


「しかし条件がある、君はまず賭けで私に勝たなければならない――安心しろ、いかさまはしない」

「そういう問題ではなくて、御侍様に禁止されまして……」「書籍商のあいつとの賭け事を禁止しただけで、他の奴なら問題ないだろう」

「しかし……」


ブラウニー、彼の要求を聞いてもいい」

「はい……!御侍様!?」


ブラウニーは驚くあまり飛び上がってしまった。

私は杖をついている老人に手を振って挨拶した。


「久しぶりだな書籍商。出てこられるとは思ってなかった」

「ケホケホ……ただの仲直りだけだろう」

ブラウニーが彼を支えて私の向かい側に座らせた。


ミルフィーユを信じよう。あの子爵も、元々は正直な人だった」

「残念ながら彼はチャンスを無駄に使った」


私は顔色を変えず帽子を直して、指を鳴らしてから

手で拳銃を作ってブラウニーを指した。


「もし私が勝ったら、あなたの死後、ブラウニーは私のチームに入ってもらう」

ミルフィーユ、あなたは……!」

書籍商はもう一度ブラウニーの話を遮った。


「なぜだ?」

「何故……それはもちろん、甘いものを作れる副官がほしい!」




「お呼びか御侍殿?私は今日まだデザートを食べていないが――」


私は書斎の扉を押し開け、暖炉の前に寄り、適当に御侍の向かい側のソファーに座ったら、彼の太ももの上の箱を見て目から光線が出そうになった。


「その箱の中は甘いものか?御侍殿は狡猾だな。まさか一人で甘いものを盗み食いするとは」


御侍は私の木箱への言及を耳にしたら、揺らぐ火の光が照らす下で、顔が少し暗くなった。


ミルフィーユ、私達はしばらくここを離れる」

「また戦か?今回は何処に?」

「戦じゃない、今回は……」




「何をしている?」


御侍が箱の中からファイルを一つ取り出して私が殺した「敵」の間者の懐に入れたのを見て、私は少し疑問を覚えた。


「手紙を送る」

御侍は頭を上げずに答えた。


「行こう」

「待ってくれ」

私は彼を呼び止めるが、彼は立ち止まらなかった。


「早く行かないと警備が来る」

「御侍殿、私が殺したのは"敵"じゃないんだな?」

私は答えてもらえなかった。


「何をしているのかはわかっている。御・侍・殿」

「わかっているなら、これは私達の目標を達成するために必要なこともわかっているだろ?」

「――それは違う!ナポレオン将軍なら、決して自分の利益のために他人を陥れたりしない!」

「戦場での彼は他人に付き従わない!しかし今の私達は、泥沼の中で他人が差し伸べてきた木の枝を掴んでもがくしかない!そうしないと、私達は呑み込まれてしまう!」


「あなたが戦いを諦めたのだ。あなたが部隊の最後尾に立つことを選んだから、私たちは泥沼に落ちた」

長年感じてきた気持ち悪さの正体にようやく気付いた私の口調が、ますます冷たくなった。


「目を覚ませ、ミルフィーユ

御侍の声がますます低くなった。


「私達は存在しない人間に、いつまでもついていくわけにはいかないのだ」


Ⅳ 賭けごとの約束

「はははケホ……相変わらず甘い物が好きだな」


書籍商の笑い声にはもう過去のような勢いがない。

だが私の話でかなり元気になったのも見て取れた。


「御侍様……」

ブラウニーが心配そうに咳が絶えない書籍商を

眺めているが、老人は彼に手を振った。


「それで、私たちに何を賭けてもらいたい?」

「スイーツを食べる」

「何?」


ブラウニーは書籍商より驚いていた。

私は根気よく説明した。


ブラウニーがスイーツを作り、私が食べる。もし私が彼が作った量を食べ切れなかったら私の負けだ」

「面白い。ははは、おまえが考えそうな賭け事だな。ケホケホ……ブラウニー、受けるかどうかはお前が決めろ」


書籍商がブラウニーの手を握り彼の手の甲を軽く叩いた。


「私は自分の命がもうすぐ尽きることを知っている。この数日で考えたら納得もいった。私はお前がきっとうまくやってくれると信じてる。だがもしあれらの本の内容がもっとたくさんの人に見てもらえるのなら、たとえ最初の目的が不純だったとしても、それらの本を世に残すという目的も達成できるだろう。あれらの本より、私はお前の方が心配だ。ブラウニー

「御侍様が私を選んだから私はここに存在できたのです。あなたの執事としてあなたの願いを叶えるのが私の責任です。それは私の望みでもあります」

「もし私が居なくなったら、おまえは誰の命令に従うのだ?誰の願いを叶えるのだ?」

沈黙するブラウニーを、書籍商は促した。

「お前の決定はなんだ?」


「ゆっくり考えるといい。どのみちスイーツに関して、私が負けるはずがない」

ブラウニーが意志を決める前に私は自信満々に胸を叩いた。

「もちろん、他のことでも勝つけどね」


――たとえ一回では勝てないとしても、簡単に負けを認めたりしない。





「私は負けた……」


夜明け方の港には海風が吹いている。

私は御侍の話が良く聞こえなかった。

ただ風に飛ばされそうな帽子を押さえて真っ黒な海面を眺めて、流罪者を護送する船団を待っていた。


今日護送される対象は御侍だ。

間違った人を選んだせいだ。相手は絶体絶命の時、彼を売って罪を肩代わりさせた。

しかし彼が訴えた御侍の罪状は間違ってなかった。

暗殺、陥れ……これはすべて彼が御侍に命令した

ことだった。


もしも権力闘争から引退した伯爵がその影響力で御侍を守らなかったら、彼が迎えるのは流刑ではなく、絞首刑だっただろう。


港はとっくに封鎖された。

守備は厳しいけど、駐在している食霊は多くない。

私が命懸けでかかれば、御侍を逃がせるかもしれない。


私は彼の最後の切り札だから。


しかし船の笛が長く鳴いて、光が海面を貫き、夜の檻を打ち破って、入港した艦船が停泊するまで、彼はこの賭博を続けることができなかった。


彼は私に言った……


「私は本当に負けたんだ。ミルフィーユ


Ⅴ ミルフィーユ

食霊が召喚されるとき、御侍の願いで自己の形態を決めたりするのか?


ミルフィーユは知らない。

同じ状況の食霊がいるかどうかも知らない。

御侍が小説の主人公を好きすぎて、同じ名前のデザートで食霊を呼び出したなんて。

でもミルフィーユも、その適当な性格の御侍は嫌いじゃなかった。


あの後、彼らが初版の小説を買う時、書籍商から教わった、あの小説の主人公が彼と同じ名前の原因は、作者が小説を考えるときちょうどミルフィーユを食べていたから。


その話が本当かどうかはさておき、彼はミルフィーユに興味があるのは間違いなしだ。

名前だけじゃなく、身長すら似ていた。


ミルフィーユにとって、御侍の他に大好きなのは甘いものだけだった。

契約に縛られた日々の中で、彼の最大の願いは、食べきれないほどのスイーツがあることだった。


ミルフィーユは気性が良いと公認されていた。

それは彼が話の通じやすい人だからじゃなく、大抵のことは甘いもので解決できるからだった。

御侍と見解が別れたときまで、二つだけ、どれだけ甘いものを食べても許せないことがあった。


ひとつは負けること。

ひとつは彼の帽子に触ること。



ミルフィーユの御侍は、特権階級にとっても卑しい人種だった。どれだけ功を立てても、王城で名を馳せて、婚姻を通じて子爵に抜擢されて同じ特権階級になったとしても、彼は依然として見下されていた。


ミルフィーユ、私はあいつらと対等になりたいわけではない」

無人の夜、御侍はミルフィーユに言った。

「私はあいつらを二度と私を軽蔑できないようにしてやる」

その時、ミルフィーユはまだ彼の御侍がすでに変わっていたことに気づいていなかった。


あれ以来、御侍は小説の中のナポレオン将軍のように死んでも屈服しなくなった。功績と強引な手段で彼に「NO」と言う人間を征服することも夢見なくなった。

より早く登るために、彼はある人に頼ることを選んだ。

自分の原則を打ち破ってまで、卑劣な手段で相手を打ち破り、あの人に協力すると同時に、自分の貴族間での影響力を高めた。


厳格かつ迅速なスタイルは確かに小説の中のあの将軍に似ていたかもしれない。しかしそれは多くの人の怒りを買ってしまった。そのせいで、御侍が支持していた人物が失態を侵した後、その人物が真っ先に御侍を押し出し衆人の怒りの

的にして、流刑という結末になった。



御侍に付き添って流された数年は、ミルフィーユにとって最も苦しかった数年といえるだろう。

物資が不足していた島に、充足な甘いものがあるはずもなかった。二か月に一度やってくる補給の船団も、持ってくるのは人類が必要な糖分だけだった。

幸い、彼と人類の官兵との関係は悪くはなかった。

彼は賭け事で限りのあるスイーツを勝ち取ることができた。


この事が原因でミルフィーユは心に決めた。

この島を離れたあと、十分な糖分の補給を確保するために、まずはスイーツを作れる部下を捜さなければならない。


それ以外の事は?


自由になった後、何をすればいいのかはまだ考えていない。だがミルフィーユはもう心に決めた。

何をしても御侍のように簡単に諦めたりしないと。


彼はわかっている。

食霊は人類よりも多くの可能性を秘めている。

頭を下げない。

妥協しない限り、彼は絶対に負けない。





ミルフィーユはマークをつけてある地図を下ろして、書斎に入ってきた食霊に言った。


ブラウニー〜私はパステル・デ・ナタが食べたい」



勝利とスイーツは、すべて彼のものだ。


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コメント (ミルフィーユ・エピソード)
  • 総コメント数8
  • 最終投稿日時 2019年01月28日 23:20
    • ななしの投稿者
    8
    2019年01月28日 23:20 ID:du0x1ig9

    続き(8)最後です

    編集方法がわからないため、よろしくお願いします。

    • ななしの投稿者
    7
    2019年01月28日 23:19 ID:du0x1ig9

    続き(7)

    • ななしの投稿者
    6
    2019年01月28日 23:19 ID:du0x1ig9

    続き(6)

    • ななしの投稿者
    5
    2019年01月28日 23:18 ID:du0x1ig9

    続き(5)

    • ななしの投稿者
    4
    2019年01月28日 23:18 ID:du0x1ig9

    続き(4)

    つながりがわかるようにと撮ったら細かくなってしまいました…

    • ななしの投稿者
    3
    2019年01月28日 23:17 ID:du0x1ig9

    続き(3)

    • ななしの投稿者
    2
    2019年01月28日 23:16 ID:du0x1ig9

    続き(2)

    • ななしの投稿者
    1
    2019年01月28日 23:15 ID:du0x1ig9

    ミルフィーユエピソード5話(1)

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タイトル FOOD FANTASY フードファンタジー
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  • RPG(ロールプレイング)
ゲーム概要 美食擬人化RPG物語+経営シミュレーションゲーム

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