【白猫】ケンセイ・思い出
ライゴウの王 ケンセイ・ライゴウ cv.山寺宏一 一代でタイカンの諸国を統一した覇王。 天才的な戦術眼を持っている。 |
2019/06/28
覇戦のレガリア
思い出1
<――十数年前。
乱世の島タイカンにて、あるひとつの国が消えてなくなろうとしていた……>
「……はぁ……はぁ……はぁ……」
「降伏しろ。ケンセイ・ライゴウ。
ライゴウ王はすでに討ち取った。この国は我が<オード>のもの。もはや貴様の守るべきものはない。」
「……お前が親父を殺ったのか?」
「貴様の武勇は我が耳にも届いておる。殺すには惜しい。」
「答えろ! お前が親父を殺したのか!?」
「だったらどうする?」
「うおおおおっ!
お前だけは絶対に討ち取る!」
「さすがだな。まだそれだけの力が残っていたか!
だが、怒りに任せて剣を振るなど、笑止!」
「ぐわああああっ!」
――
「持て! そやつは殺すな。我が国へ連れていく。」
…………
……
<ライゴウ改め、タイカンの国では<波蝕の島>進軍の準備が着々と進められていた。>
歩兵、編成完了しました!
猛虎騎兵、いつでも行けるぜ。
ネロ大将軍およびヴァイス、セレナ両将軍は?
すでに先発しました。我らもいつでも出発できます。
皆のもの、此度の戦はタイカン軍としての初陣となる。
決して敗北などあり得ない! 勝利あるのみ!
では、タイカンの王よ。出陣の号令を。
…………
……ケンセイ様は?
先ほどまでいらしたんですが……
はあああああああ!?
どこ行ったの!この大事な時に!!
また悪いクセが出たようですね。
期待を裏切らない野郎だぜ。
あーもうなんで!なんで予定通りにコ卜が進まないの!
探して! 探しなさい! 草の根わけてでも!!
…………
……
主人公、武器の整備は終わったかしら?
アイリス、薬や包帯は多めに持ったほうがいいわ。
うん。そうだね。
今回はいつになく激しい戦いになりそうよ。準備は万全にね。
よお、張り切ってるじゃねえか。
ケンセイ? アンタ、なにやってんのよ!?
やっぱり飛行島ってのはすげえな。タイカンの島が一望できるぜ。
なにのんきなコト言ってんの!?
アンタは軍隊を率いて<波蝕の島>に向かう手はずでしょ!
まあ、そうなんだが……その辺りはリーランたちがうまくやってくれんだろ。
でなきゃ俺の副官なんか務まらねえ。
アンタがそれを言うの?
それよりも――
俺にはタイカンを離れる前に、どうしてもやっておかなきゃならねえことがあるんだ。
やっておくこと……?
なあ、闇の王子よ。
?
少し俺に付き合ってくれねえか?
思い出2
兄様、ただいま戻りましたよっ!
うん、ご苦労だったね。どうだった?
やはりケンセイ様は飛行島に行ったようです。
でも、すぐに飛行艇に乗って出かけてしまったとか。
どこへ行ったかわかるかい?
そこまでは……
いつもいつも自分勝手ばかり……本当に王としての自覚があるんでしょうか。
あいつのことだ。何か考えがあるんだろうさ。
それはわかってます! だったらそれを言えって話ですよ!
リーラン殿、どうなさいますか?
王不在のまま進軍などあり得ません。兵たちの士気にも関わります。
メイリン!
はいっ!
伝書鳩を用意して。できるだけ多く!
…………
……
もう一度聞くわよ。アタシたちどこに向かってるんだっけ?
言っただろ、オードの国だ。
?
正確に言えば、元オードの国だな。
そこになんの用があるの?
そいつは行けば分かる。
ムムム、相変わらずの秘密主義ね。リーランがほやくのがよくわかるわ。
見ろ。あれが七彩大圏谷だ。オードの国は谷を越えたもっと先にある。
改めて見ても広い島なんですね。
そうだな。昔はこの広大な島に無数の国があった。
戦をして他国の領土を奪い、大きくなった国が分裂して、また戦をはじめる……その繰り返しだ。
じー。
なんだ、猫?
キャトラよ。よくよく考えたらアタシたち、アンタのこと何も知らないのよね。
顔を合わせてすぐ戦争に巻き込まれちゃったから。
だから聞かせてちょうだい。アンタの話。
何か知りたい?
アンタと大王ゴーマは知り合いだったんでしょ?どーゆー関係だったの?
話すのはいいが、ちょっと長くなるぜ。
構わないわ。目的地までまだかかるんでしょ。
そうだな……
俺の生まれた国はオードに滅ぼされたんだ。
王である父親は殺され、俺は捕らわれの身となった……
ケンセイさん……
オードヘ連れていかれた俺は、ゴーマの付き人をさせられた。よく剣の相手もさせられたぜ。
「はああああああっ!」
「やるな。いい踏み込みだ! だが、甘い!」
「……まいりました。」
「さすがはゴーマ殿下。いつ見ても見事な腕前ですな。
「当たり前だ。奴隷風情が殿下に太刀打ちできるものか。
「…………」
アンタたちは主君と奴隷の関係だったのね?
ああ、傍目にはそう見えただろうな。
ん、どーゆーこと?
「お呼びでしょうか、ゴーマ殿下?」
「二人きりの時は堅苦しい言葉はいらぬ。」
「なんか用か?俺だって忙しいんだよ。」
「くだけすぎだ! 少しはわきまえろ!
だが、貴様の物怖じせぬ態度は嫌いではない。」
「……で、用件は?」
「これから<雷獄山>へ行く。貴様も一緒に来い。」
「冗談だろ。雷獄山はバルガ族の縄張りだぜ。下手に近づかねえほうがいい。」
「我はいずれオードの王となり、タイカンを束ねる。バルガなど恐れるに足りん。」
「なぜ俺を連れて行く?」
「貴様は剣の稽古で手を抜いている。我が気づかぬとでも思ったか?」
「殿下に花を持たせてやるのも、立派な奴隷の務めだろ。」
「我は貴様の本気が見たいのだ。」
「……ふん。」
確かに主君と奴隷って感じじゃないわね。
今思えば、俺は試されていたんだろうな。
あいつの望む男かどうか……
思い出3
<タイカンの霊峰、……
雷が雨のように降り注ぎ、時折、マグマが噴き上がる……>
「こいつはすげえな……
この島で最も険しい山ってのは、嘘じゃなさそうだ。」
「ケンセイよ。雷獄山は凡庸な山ではない。
風を感じて、雷雲の行く末を読め。山の息吹に耳を澄まし、噴火の予兆を知れ。
さすれば活路が見える。」
「それはいいが……
背後に気配がする。つけられてるぜ。」
「先刻承知だ。それに後方だけではない。囲まれたぞ。」
「タチサレ。」
「ココハ、ワレラノ、リョウイキ。」
「イマスグ、タチサルノダ。」
「熱烈な歓迎だな。」
「バルガよ。山岳の戦士よ。その刃は我をオードの太子と知ってのものか?」
「タチサラネバ、コロス!」
「やってみろ!」
「キサマッ!!」
「遅い!」
<ゴーマは次々とバルガ族を斬り伏せるが――
岩場で足を取られ、バランスが崩れた。>
「オード、ノ、ゴーマヨ。シネ!!」
「させるかよっ!」
「ココロス。コロス。コロス!」
「お前らこそ、消えな!
はあああああああああああっ!」
「ウガァァァァァァァ!」
「終わったぜ。奴らは逃げた。」
「それが貴様の力か。見事な腕前だ。」
「そうでもねえよ。」
「……なぜ助けた?」
「ああ?」
「我を見捨てて逃げることもできた。さすれば貴様は自由の身だったのだぞ。」
「言われてみりゃそうだな。思いつきもしなかったぜ。」
「そうか……」
「「!!」」
<切り立った崖から二人を見下ろすもの――>
「あれは、タイカンの霊獣……」
「麒麟か。」
「その姿を見ることは、古来より吉兆とされる……
やはり貴様は、我が思った通りの男かもしれぬ。」
あれからだ……
ゴーマが俺に剣術だけではなく、兵法や治世の術を教え込みはじめたのは。
おそらくあの頃から覚悟を決めてたんだろう。俺にオードを討ち取らせるとな。
そうだったのね……
……下を見てみろ。
街ね。大きな街だわ。
あれがオードの首都シセイだ。真ん中に見えるのが王宮だな。俺も来るのは久しぶりだぜ。
思い出4
<――シセイの街は静まり返っていた。>
ひとの気配がしないわ。
うん、誰もいないのかしら?
無理もない。オードの兵や民は恐怖によって支配されてきた。大王亡き今、この地に残る理由なんかねえだろう。
でも、行き場のない人たちだっているはずです。
そうだな。見つけたらタイカンの街に連れて帰ろう。
とりあえずは王宮を目指すぞ。
待って。あそこに誰か――
ぎにゃー! 人じゃなくて魔物だわ!
<街のいたるところから、無数の魔物が現れた。>
オード軍が召喚した闇の魔物だ。召喚士を失って路頭に迷ってるんだろう。
どおりで人っ子ひとりいないわけだぜ。
どうすんのよ!?
先に進むには倒すしかねえだろ!
はあああああああ!
さすがだな。闇の王子!
ふう、あらかた片付いたみたいね。
ああ、また邪魔がはいる前に先に進もう。
ケンセイさん、うしろ!
せりゃああああ!
ケンセイ様、ご無事ですか!
リーラン!
魔物が多いな。喧嘩するなら俺も混ぜろ。
ジャッキー! お前らなにしてやがる!?
それはこっちの台詞です!大事な出陣を前にふらっと姿を消して!
お前のことだからうまくやっといてくれただろ?
無論、兵たちの準備は万全です。
ですが、王がいなくては、戦は始まりません。だから飛行艇で迎えに来ました。
ああ、ぴょ~んと飛んで来たぜ。
よくここがわかったな?
お忘れですか、ケンセイ様。
王のお力でタイカンは統一されました。長さに渡る戦が終わり、ひとつの国となったんですよ。
……?
リーランは各地に散らばる同胞に伝書鳩を送ったんだ。
それでオードヘ向かう飛行艇があるって情報を得たのさ。
なるほど。そんな手があったか。
だがな、リーラン。まだ終わっちゃいないんだ。やらなきゃならねえことが残ってる。
それがここへ来た理由ですか? 此度の出陣よりも大事なことだと?
ああ、タイカンを離れる前にケリをつけたい。
……わかりました。ならば私に反対する理由はありません。
ねえ、また魔物が集まりだしたわよ!
ケンセイ様は先へお進みください。ここは私とジャッキーで食い止めます。
大丈夫か?
任せろ。キュートに摯退してやる。
何をするかは知りませんが、兵たちが王を待っています。さっさと用を済ませてください!
ああ、わかった! 闇の王子よ!
?
王宮まで走るぞ!
思い出5
<――王宮の中は荒れ果てていた。>
ずいぶんひどいアリサマね。
敗戦を知った臣下たちが、金目の物を持ち出して逃げたんだろう。
で、ここに何があるの? そろそろ話してくれてもいいんじゃない?
ああ、そうだな……
<ケンセイが王座の背後の壁を押すと――
そこにポッカリと入り口が現れた。>
えっ、隠し扉!?
この王宮の地下に古代遺跡がある。
古代遺跡……?
ゴーマが奴隷である俺を解放する前に見せてくれたのさ。
「いったい何なんだここは?
「オードの聖域だ。我ら王族とわずかな臣下しか、立ち入ることは許されていない。
「そんなところに奴隷を入れちまっていいのか?
「ああ、貴様に見せたいものがある。
「見せたいもの……?
「この奥に我がオードの<力の源>がある。しかとその目で見ておくことだ。
うっ……
アイリス、大丈夫?
ケンセイさん……この奥にあるのは、まさか……
ああ。察しの通りだ。
なになに? どーゆーこと!?
もともとオードは好戦的な国だ。他の国を完膚なきまで叩き漬して領土を広げてきた。
今回の戦だってひでえモンだっだろ?
でも、それはシンラとかいう闇の軍師のせいなんでしょ?
それもある。でも、それだけじゃねえ。
オードという国自体が……遥か昔から<闇>の影響を受けていたんですね?
そうだ。そしてあれがオードの<力の源>だ。
<ケンセイが指さした、その先に――
どす黒い闇をまとった石碑が鎮座している。>
なんなのアレは?
なんだって構わねえ。とにかくぶっ漬す。
危険です。正体もわからないのに……
そうよ。闇が関わるなら軍隊を連れてくるべきだったわ!
こいつは俺がやらなきゃならねえ。なにしろ託されちまったからな……
「後は貴様に、任せる……ケンセイ……約束しろ……
闇の好きにはさせぬと、貴様が、闇を討つと……・
だが、相手は闇だ。万が一ってこともある。だからお前たちに来てもらった。
ケンセイさん……
ねえ、見て!
出やがったか。
石碑に近づかせないつもりだわ!
俺は闇を討つ。そして、この戦いを終わらせる!
誰にも邪魔はさせねえ!!
思い出6 (友情覚醒)
はあああああああああああっ!
くそっ! 斬っても斬ってもわいてきやがる!
なにか……なにか手はないのか?
なんだ、この光は……!
麒麟! なぜここに!?
ルーンの光に導かれたんだわ!
「!!!
また俺に力を貸そうってのか?
「!!!
なら、お言葉に甘えるぜ!!
霊獣の御名のもと、タイカンに巣くう闇を滅する!!
はああああああああああああっ!
<繰り出された斬撃は――
無数の魔物を消し去り、闇をまとった石碑を粉砕した。>
終わったの……?
うん。<闇>の気配は消えたわ。
タイカンの霊獣よ。
「…………
この島に宿る闇は潰えた……
これからは泰平の世を見守るがいい。
「…………
<麒麟は何も答えず、その場を去った。>
ゴーマ……約束は守った。
安心してソウルヘ還れ。
ケンセイ様!
よお、お前らも無事だったか?
街中にいた魔物は全て始末した。
ケンセイ様のほうは?目的は達せられたのですか?
ああ、すべて終わった。
これで心置きなくタイカンを離れられる。
そうですか……ならば戻りましょう。兵たちが待っております。
迷惑をかけたな。感謝するぞ。
ホントにそうですよ!私たちがどんだけ苦労したと……
えええええっ!? 今なんと!?
感謝する、とかなんとか……
聞こえてるじゃねえか。
ケンセイ様が謝意を表すなんて……怖い。逆に怖いです!これはもう天変地異の前触れかも!!
うるせえな。行くぞ。兵が待ってんだろ。
あ、ちょっと待って下さいよ!
歩兵、編成完了しております!
猛虎騎兵、お待ちかねだぜ。
では、タイカンの王よ。出陣の号令を。
聞け、タイカンの兵たちよ!
今日、この島に残る闇の残滓は消えた。
長きに渡る戦は終わった。お前たちの望みは叶った。そうだろう!?
「「「然り! 然り! 然り!」」」
だがなぁ……この島の外でも、闇は好き勝手やってやがる。それも気に入らねえ。
いいか、タイカンの平和なんてケチなことは言うな。世界だ! この世界を変えてやろうぜ!
これよりタイカン軍は、闇を討伐するため<波蝕の島>へ向かう!
全軍、俺について来い!
「「「おおおおおおおおお!!!」」」」
覇王ケンセイ・ライゴウ……
その男が見据える先には、まだ見ぬ未来があった……
覚醒絵・覚醒画像
タイカンを統べる覇王 ケンセイ・ライゴウ
その他