【白猫】シャオフー・思い出
不老長寿の少女 シャオフー・タイヤン cv.小澤亜李 不老長寿のキョンシー。 見た目は少女だが中身は優しいお婆ちゃん。 | ||
2014/11/28 |
フォースター☆プロジェクト 6th
思い出1
おお、タマや。そんなところにおったんか。エサの時間じゃぞい。
えっ? アタシのこと?アタシはタマじゃなくて、キャトラだよ。
ああ、そうじゃった、そうじゃった。タマはもう100年前に……
100年ってアンタ、いったい今いくつよ!?
ふぇっふぇっふぇっ。死んでからずいぶんと日が経っておるからのう。いくつじゃろうかねぇ?
そうなんですね……でも幽霊とは違った気配を感じます。
わしゃ、シャオフー。故郷では<キョンシー>と呼ばれておったのう。
どうしてここに来たんですか?
はて? どうしてじゃろ?この年になったら旅の理由なんていらんいらん。
は~、どっこらしょっと。それにしても、ここはええとこじゃのう。
空気も澄んでいて、若者たちがにぎやかで。日頃の疲れがとれる。
わしゃあ、おてんとさまが苦手でのう。ここの日陰は心地ええ。
ふふっ。好きなだけ休んでいってくださいね。
ふぇっふぇっふぇっ。あんがとよ~、お嬢ちゃん。
ほれ、タマ。そんなところにおらんでこっちにこんかい。いつものように膝の上でねんごろせぇ。
だからアタシはキャトラだってば~。
いいじゃない、キャトラ。しばらくタマになってあげたら。シャオフーさん、寂しそうだよ。
わかったわよ~。わ~い。おばあちゃん、なでてなでて~。
はて?ここに来てからずっとタマが言葉をしゃべっておる気が……わしもいよいよかのう……
ご、ごろにゃ~ん。
頑張れ、キャトラ。
思い出2
お腹すいたわね~。
もう、キャトラったら。さっき、カニカマ食べたばかりでしょ。
ふぇっふぇっふぇっ。相変わらずタマは食いしんぼうじゃのう~。
どれ、わしのオヤツをあげようかねぇ~。わしは腹が減らんのでなあ、遠慮せんでお食べ。
ありがとにゃーん。
ほーれ、甘くて美味しいぞい。
――――ッ!
ぎにゃーーーー!?げ、ゲゲ、ゲル状に腐ってるぅ!!
もしかして、これも100年前の……
タマ? どうしたんじゃ?いつものようにしゃぶりついてこんかい。
キャトラ……イケる?
無理よ!
おお、そうか。タマはこっちのほうが好きじゃったな。
すまんかったのう。ほれ、<ニボシ>じゃ。
にゃっ♪ あっ……
乾燥しすぎて粉になっちゃってるわね。
…………
ふぇっふぇっふぇっ。相変わらずタマは食いしんぼうじゃのう~。
どれ、わしのオヤツをあげようかねぇ~。わしは腹が減らんのでなあ、遠慮せんでお食べ。
ぎにゃーーーー!!
思い出3
シャオさん! シャオさん!
おお……お嬢ちゃんに主人公。それにタマ。もう朝かえ?
大丈夫ですか? シャオさん、突然倒れちゃったから心配しましたよ。
そうか、そうか。またわしの持病が……困ったもんじゃな。
なにか病気をわずらってるんですか?
ふぇっふぇっふぇっ。なーに、わしには血が流れとらんのでなぁ。体が冷えて硬直しやすいんじゃ。
今起きるからのう……よっこらせっ! あつつつ……ダメじゃ……うんともすんとも。
どうすれば……
この近くに温泉はないかのう。
なにか体を温めるものがあればよいのじゃが……
ごろにゃん♪
キャトラがシャオフーのお腹の上に飛び乗った。
おぉ、おぉ。ええぞタマ。お前はあったかいのう……生き返るわい……
毛布、持ってきますね。
ええ子たちじゃなぁ……このバケモンにはもったいない心配りじゃ……
シャオさんがいつも私たちにしてることですよ。
……お前さんら。わしにはかかわらんほうがええぞ。
わしはこんな体じゃからのう……人々から忌み嫌われる……
親しくした人間はとばっちりを食うて、わしと一緒に故郷から追い出されてしもうた……
わしは他人を不幸にする……じゃから……
そんなこと言わないでください。それでも――
アタシはずっとそばにいるからね、シャオばあちゃん。
ふぇっふぇっふぇっ……ありがとよ……キャトラ。
やっと名前覚えてくれたのね♪
思い出4
アイリスや。<ダイコン>と<コンニャク>買ってきたぞい。
シャオさん。それは私の買い物だって言ったじゃないですか。
日の光が苦手なんだから無理して歩いたらダメよ。
ええ、ええ。ほれ、キャトラ。お前の好きな<カニカマ>じゃぞ。
アタシの好物、覚えててくれたんだ~♪
ふぇっふぇっふぇっ。
いつも物忘れで迷惑をかけてしもうとるからのう。メモを取るようにしたんじゃ。
メモ? 紙が見当たらないけど、どこに書いてるの?
ふぇっふぇっふぇっ。このデコに貼りつけた札の裏じゃよ。
斬新ですね。
こうしておけば、いくらなんでも忘れたりはせんじゃろう。
札があまっとるから、キャトラにも貼ってやろうかね。
アタシは記憶力いいほうだから平気だよ。
あら? 買い物袋の中に<ジャガイモ>がないわね……
はて?
ねえ、シャオばあちゃん。札が落ちたよ。
ジャガイモって書いてあるわ。
ふぇっふぇっふぇっ。
どうやら札をはがすのを忘れて、上からもう一枚貼ってしまったようじゃのう。
意味なぁーーーーいっ!!
思い出5
ふう……
珍しいわね。シャオばあちゃんがため息つくなんて。
そのパンダのポーチ……いつも身につけてますよね。なにか特別なものなんですか?
このポーチを見るたびに、どうも胸が切なくなってねぇ……
なのに、ちいっとも思い出せんのじゃよ。いつ、どこで、これを手にしたのか……
死ぬ直前の記憶ならはっきりしとるんじゃがのう。
聞かせてよ。なにか思い出せるかもしれないわ。
私からもお願いします。
…………ある日、わしの故郷で大きな戦争が起こってな……
あっという間に多くの人が亡くなってのう……わしもその中の一人でなぁ。
真っ暗な森の中で、誰にもみとられることなくひっそりと息絶えた……
そんな……
じゃが、わしは、死なんかった。
このポーチに入っていた<束縛のルーン>によって死にゆく体に魂が残ったのじゃ。
それからわしは、変わり果てた故郷を眺めながら……一年……また一年と時を過ごした。
ほいで、長生きしとるうちに、この体になってからのわしのことしか知らんもんばかりになっていってな……
淋しくて淋しくて、どうすることもできんとき、このポーチをふと眺めるとな……一人じゃないような気になるんじゃよ……
今度からは、寂しくなったら私たちを頼ってくださいね。
ふぇっふぇっふぇっ。ありがとよう……
じゃがなぁアイリス。未来永劫生きるということは死ぬことより辛いのかもしれんのよ……
生きることも死ぬこともできないわしは……これからどうなるんじゃろうかねぇ……
思い出6
おお……なんてあったかい……おてんとさまのような光じゃ……
久しいのう……――おやおや。
シャオさん!ポーチが光って……!
ふぇっふぇっふぇっ。そうかい、そうかい。そういうことじゃったんじゃな……
シャオばあちゃんが泣いてる……
記憶……戻ったんですね。
母はわしを戦争から離れた安全な国へ送った。
別れの前に母は、淋しくないようにと、一人で生きていけるようにと、お守り代わりにこのポーチをわしにくれた……
顔を合わさん約束をしたがわしゃ、耐えきれんかった。たとえ危難にあおうとも母と一緒にいたかったんじゃ……
その想いだけで真夜中の森を懸命に走った。じゃが……そこに敵兵が潜んでおった。
わしは撃たれ、死んだ……
だけど、まだ生きてるじゃないですか。
…………
シャオさんにずっと生きていてほしいから、お母さんはそのポーチの中にルーンを入れたんじゃないんですか?
こんなわしでも……生きててええんかのう?
生きようよ。それがお母さんの願いでもあり、アタシたちの願いでもあるんだからね。
いつも通り、物忘れがひどくて、あてもなくフラフラしてるシャオさんのままでいいから……
これからも、もっと長生きしてね!
ああ……そうじゃのう。わしらしく、悲しい過去はもう……キレイさっぱり忘れたわい。
どっこいせっと。
シャオばあちゃん、座りこんじゃってどうしたの?体痛いの?
うんにゃ。ずいぶんと長い寄り道をしてきたからのう。少し休ませてくれ。
好きなだけ休んでいってくださいね。
ああ、そうさせてもらうよ。それにしても、ここはええとこじゃのう……
忘己利他のキョンシー シャオフー・タイヤン
その他