御形 アリシアナ／襲来のシンセ研編

　イロドリミドリのリードギター担当。

　弛まない努力と練習で磨かれた直感で、みんなの音をバシッとまとめあげる、イロドリミドリの頼れるバンドマスター！

　明るい性格に華やかなルックス、人が良すぎてちょっといじられ過ぎるところもあるけれど、みんなに愛され認められる、このバンドのフロントマン。

　鎌倉の良家の生まれで、たくさん嗜んだ習い事を差し置いて、「本気の」ギターにのめり込む。

　高校で芹菜に誘われバンドに参加してからは、オリジナル曲作りでも作曲として貢献している。

　友達思いで面倒見が良く、撫子の活動を巡って七々瀬と険悪になった時は、真っ先に矢面に立って撫子をかばうようなアツさもあって、メンバーの信頼は特に厚い。

　メンバー随一の音楽好き（雑食）である、なるや白奈と比べても、そのこだわりでは全く負けていないあーりん。

　バンマスとしての立場もあってか、演奏だけではなくバンド全体での音作りや、聞かせ方にもしっかりとした考え方ができてきているようで、ライブごとに加速度的な成長をみせている。

　そんな中、最近のあーりんの中では曲作りに対する興味が、さらに大きく育っているらしい。

　旧軽音部における「Ａｇｉｔａｔｉｏｎ！」のように、生まれるよりも前から長く愛され受け継がれていく楽曲、そしてそんな曲を生み出すことに憧れを抱くところは、感受性の強いあーりんらしい思いかもしれない。

　卒業までに、そんな快心の一曲が生まれれば…

　と、このところメンバーにもこぼしているあーりん。

　遠い未来の後輩たちにも向けた一曲が、在学中に形になるかどうかはメンバーの頑張り次第だが…

　果たして、どうなるか？

　いや、驚いたわ…

　後で聞いたら生徒会の役員の人だ、って華ちゃん。

　まあうちの学校も変わってるからさ、その変わった学校の生徒会の人なわけで。

　フリースタイルラップの女の子が、藤堂さん…で、生徒会の副会長。

　え、あたしたち生徒会の副会長に、フリースタイルでｄｉｓられたってこと？

　ヤンキー、的なパーソナリティの方なのかしら。

　舞ヶ原にそういう人いたんだ…！　怖！！！

　…で、ちょっと挙動不審気味というか、口数の…少ない？　女の子が桔梗さん、会計の方。

　華ちゃんによると名前を「セレナーデ」というとか。

　珍しいけど、私はアリシアナ…ちょっとシンパシー。

　…なんかやっぱり、書いてるとわかるんだけど、特別キャラクターが濃い、というかさ。。。

　いやごめんなさい、私失礼なこと言ってないよね…？

　何かと用事のある日が続いてたけど、今日は１日、完全にオフ！ってことで、久しぶりに終日、音楽三昧。

　３年生だから勉強もしなきゃだし、本当に没頭してギター弾くのも、ちょっと久しぶりって感じ。

　もちろん毎日のトレーニングは欠かしてないけどね。

　ギターの練習と言えば、一度七々瀬と練習方法のことを話したことがあったっけ。

　めちゃくちゃ練習して、っていうのはあんまりない…

　みたいなことを涼しい顔でサラッと言ってて、あ、天才タイプ…？　とか思った覚えあり。

　七々瀬が書いた歌詞なんか見ると、普段の振る舞いとは裏腹というか、めっちゃくちゃ繊細な感受性っていうか、神経質っぽいというか。

　あたし、なんか嫌なこととかあってもご飯食べて寝ちゃえば割と平気な方だからなあ…

　意識したことないけど、タイプ的にはガサツな方なのかしら…

　おしとやかなお姉さんで売ってたんだけどな。

　古びたレスポール、年代物のアコギ、確かこっちには…あったあった、黒のストラト。

　ひんやりして、今は静かな蔵で眠っているみたいだけど、どの子もかつては、アンプと一緒に大きないい音出して、ステージを跳ね回ってたんだと思う。

　あ、このアコギはアンプには繋がらないか。

　いや、それでもきっと…その時のオーナーの魂になって歌ってたってことには、きっと変わらない。

　…なんかポエムみたいになっちゃったな。なずなが好きそうな…って、これは余計な一言。

　ここにはアンプはないけど、ストラトを抱いて、そのままの音を聞いてみる。

　チューニングは適当だけど、フレットの感じは…素人目には悪くないように感じる。

　なずなに見てもらえば、また「火」が入るかも…。

　その希望が、今は少し嬉しかった。

　みんな、次の一歩に向かって準備してるから。

　あたしにも何か、できないかな…って思って、さ。