【白猫】Extend Horizon Story2
目次
story6 おまつりみたいね
呼ばれて来たらば……
レイチェル | ルエル |
---|
(私だけ席違い……)
見知った顔がたくさんいるわ。飛行島でつれてきたひとも混じってるし。おまつりみたいね。
お、来てくれたか。ありがとな。
アタシたちが最後?
まだまだ来るぜ。悪いな、詳しくはまた。
あいかわらずせわしないヤツだわねえ。
ごはん食べ終わったら、散歩でもしましょ?初めての島だし。
うん、いいわね♪
……むしゃり……むしゃり……
(キャトラ……!ビュッフェなのに、サンドイッチなの……!?
最近はまっているの……!?)
…………
…………
(パフェのおかわりは……食べ過ぎかな……)
……?
あなたたちは、この島の人?
あ、はい。そうです。
変わったソウルしてるわね。
ああ、なんだか先祖返りとからしいんです、俺たち。
ふぅん……?
わかるんですか?
ちょっとだけ。
なんか、よこしまなカンジに変わったソウルでした?
変なこと言っちゃったわね。そういう意味じゃないから、気にしないでちょうだい。
(たぶんね)
story7 お、盛った
――つーわけでお前ら、接待しといて接待。
俺の代わりに。何事も経験だよ!ぎゃははは!
……とか言ってたけど。あれだな。
冒険家って人種は……基本、ほっといても自由にやんのな。
そりゃあ、昨今の指示待ち人間ではなかろうよ。
まあ、朝食ビュッフェで『いただきます』を待たれても困るけど……ん?
お。おまえら、この島の子供だな?
子供……いやいやいや……
クロカです。こっちはシロー。次期統領です。
(お、盛った)
ならオレと同じだな。
え?
オレはナップル。ナップル・カトウ。フルーツ忍者の次期頭領だ。
!!
縁があってな。今回の任務に、里をあげて協力してるのさ。妹弟子たちは謀報に飛んでいる。
目星のつけてある島々で、不穏な気配が漂ってないか、調べて回っているのさ。
オレはその報告を待っている、オレの体に、万ーがあってはならないからな。
…………
大規模な作戦では司令部の役割が重い。このオレの役目がな。ふっ……!
おや、ナップル。
と、頭領……!
おかしいね。君にも任務があったはずだけど?
お、オレには!潜入調査よりも、作戦立案の方が向いてます!お願いです、部署変えを……!
そうだね。そうしよう。ー緒においで。
は、はいっ!
アテル・ラナの次期統領は有望株だそうだ。本当に、羨ましい話だよねえ。
え?それって、どういう……?
<――>
…………
アラ?ナップルにクリュウ……が、去ったところにいるのは……
!!
こんにちは~。はじめましてね。アタシはキャトラよ。
今度はしゃべる猫!?
ん、その反応から察するに、先にコテツに会ったようね。
……仲間?
モチのロンよ。こっちはアイリスと、主人公。アタシたちは――
…………
……
というわけで、わるものと戦ったりしながら、飛行島で旅をしてるの。
あらためて、よろしくお願いしますね♪
ご丁寧に、どうも。こちらこそです。
…………
……あ!いえ、なんでもないです。
それにしても、たいへんねえ。
なにがです?
あの連中を滞在させて。へんちくりんなのばっかりだわよ。
キャトラさんをはじめとして?
失礼ね!アタシはどちらかといえば処理する側よ!
アンタたちも、もしなにかボケようもんなら、ツッこんでやるんだから!
ごめんなさい、この子って、こういうところがあって……
いえ、全然。どころか、しゃべる猫なんて素敵です。
ほほう。見る目があるわね?
動物全般大好きなので。
ひとも動物よ。
ふけぇ……
story8 共通点
…………
ルエルちゃん、こんなところにいたの。
私たちの分の宿舎も、建ててもらったよ。
夜の森は好きなの。
……そう。
…………いいえ。あんたに嘘をついてもしょうがないわね。
慣れないのよ、まだ。他人とー緒にいるのは。
森は嫌い。木は嫌い。自分はこれでいいのかって――
――自分だけのうのうと暮らしてていいのかって、責められてる気がするから。
……ルエルちゃん……
お前がルエルか。
だれ?あんた?
私はル=グイン。この島の長を務めていた、未来樹の化身。
未来樹……
破壊樹計画の話を聞き。ー度、会っておきたかった。
なんのために?
さあな……自分でもわからん。
同情ならいらないけど。
そんなつもりはない。頼りにしている。
私のような、樹木の精霊の気持ちを知る者は、そう多くはいないのだから。
あんたを同情しろって?それもやるつもりはないわね。
まだ生きているんなら、未来だけを見つめてなさいよ。
……そうだな。
――?もしかして、そこ、だれかいますか?
レディ・キラーの関係者か?
霊鳥の射手だな。
霊鳥……?
報告がある。
ついてこい。……ではな。
……なんなのー体……
♪
なによ。ニヤニヤしないでくれる?
……ルエルちゃんは、やっぱりかっこいいね。
***
やあ。僕はケンゾウっていうんだ。ほんとだよ。
祖父は言った。『仮の宿でも、基礎工事は手を抜いちゃいけない』ってね。
じゃあ、ー仕事終えたし、僕は帰らせてもらうよ。またね。
***
たったー日のあいだに、酒場とかが増築されてるわ!
――さては、ヤツの仕業ね!
story9 秘密かつオープン
悪いわね。こんな時間になっちゃって。
いえ、構いません。我らはアンドロイドですから。
セレナ様のご到着、心待ちにしておりました。
かの戦で功績をあげた、有能な将と聞いております。
……べつに。それだけじゃないけど。
……この時間でしたら、皆さま酒場に集まっています。そちらにお越しください。
のんきなものね。
今日をどう過ごそうと、決戦の日は訪れますから。
いらした冒険家の皆さまは、それがよくわかっているように感じております。
……そ。じゃあ、案内して。
…………
……
アラ、セレナじゃないの。アンタも来たんだ?
ええ、ネロに聞いて。それにしても……すごい人数ね。
ふだんはお目にかかれないメンバーばっかりよ。仮にも秘密組織の会合だから。
それにしてはオープンすぎない?
この島自体がひとつの秘密組織なんだそうですよ。
それならいいってワケでもない気がするけれど……
ちょうどいいわ。初めてのひとも多いでしょ?自己紹介しときなさいよ。
え?
…………
……セレナよ。
……あれ?それだけ?
闇の王の後継者で、天才美少女。
……だってことを、あらためて!証明するためにやってきたわ!
ー兵士として使ってちょうだい。なんでもするわ。あたしにはもう――
――その覚悟があるから。
……てとこ?悪かったわね、盛り下がるようなこと言って。
いいえ。シンプルでよかったと思います……!
ありがと♪
ふむ。では、次は俺の番だな。
!!
この場では特にない。
こぉーっ!偉そうに前に出てきといてそんだけかーい!
俺は大声が苦手だ。詳しく知りたければ片隅でサシ飲みに持ち込んでくれ。
次、メア。
え、私!?どうして!?
意味はある。やれ。
はぁ……いいですけど。
……メア・ミスニーハ。元退魔士。得意なのは断ち切ること。
好きなものはパフェ。だけど、それはオフのとき。ここへは任務で来てる。
戦闘の際には連携をお願い。以後よろしく。
及第点だ。次は……
というか、いつからいたんですかバイパーさん……
<一同はバイパーの仕切りで自己紹介をし合った>
<珍しい機会に、普段は他者との関わりを極力持たぬ者も自分なりの言葉を発した>
<そして最後は――>
…………
(先、言えよ……!)
(そっちこそ……!)
二人はこの島の次の長。今回の作戦でも重要な立場だと聞いている。
……さあ!何かを言うのだ!
……人が困るの、好きですよね……
……え~っと……
ウチ、じゃない、私は――
story10 大本営で
…………
……急すぎ……!緊張したわー!
まったくだ。
――クロカ・マニトです。え~と、好きな動物は……じゃなくて、好きなものは動物で……
あの……アテル・ラナの次期統領として、研修中でして……
ええと、研修中という言葉に甘えず、全力で、取り組もうと思う次第ですので……
なにとぞ、温かい目で見守っていただけたらと…………シロー!
お、同じく、シロー・メナスです。まだまだ若輩者ですので、ご指導ご鞭鎚のほど、よろしくお願いいたします……
シロー……ずるくね?
ずるくはない。どっちかは先に言わなきゃならなかったわけで。時の運だ。
くそう、イモ引いた……
にしても、甘く見てたな……思った以上に、人オオスギ。
師匠たちって、顔が広いんな……
……大人かぁ……
……人間関係の広さばっかしは、年齢にはかなわんね……
<一方その頃――>
<オズマたちの元には続々と情報が集まってきていた>
――巧妙に隠されてたが、何者かが出入りした痕跡があった。
あの島を無視はできねえ。ムカつくぜ。
隣の島もあやしいの!チョウスケとチョウサクが、邪悪なソウルを感じ取ったの!
ん~……
どうするつもりだ?
ん~……あんたに調べてもらった島も、かな~りあやしいのよねぇ~……
あやしさー覧表でも作りましょうか?
お、ジョニー。さてはもう用意してあんな?
全部じゃないですけどね。レイヴンさん、フランさん、バイパーさん……これまでの報告は反映してあります。
みしてみ。
……まいった。多すぎだ。絞りきれねえ。
サニオとかいう野郎、わざとかなり範囲を広げやがったな。
ならば全ての島へ向かえばいい。
ま、そーなるわな。とはいえ、ある程度ヤマは張らねえとよ。
アタリでしたが戦力不足でした、じゃあ話にならねえし。
戦力を均等に分散しろ。簡単な話だ。
因縁も加味しなきゃな。
それがプロかよ。ムカつくぜ。
そう言うなって。みんながみんなお前みたいにクールじゃない。
感情での伸びしろも含めて、トータルで編成しねえと。
それについて意見がある。
お。宴はもういいの?
前夜祭は性に合わん。お前もいないしな。
んで?
未来樹の予言など、俺は信じる立場にない。世界の危機などいくらでもある。
同意見だ。ただ、多少耳を傾けても罰はあたらんがな。
この作戦は、危機であると同時に、決着の場であるとも捉えるべきだ。
声をかける範囲を広げれば、こちらの戦力増加にもなる。
ほほう?
この島にはかつて、ナーペルが現れたそうだな。
ああ。
もしも子さらいナーペルが関わっていると仮定するなら、ファルファラとも親しいあの少女。
ティナちゃんだったな。
<最強の母と父をもつ少女> ティナ |
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ガキを巻き込むのは嫌いだが、自分でケリをつけるべき宿命もある。
他にも、<禁忌>の可能性があるならスキエンティアの<花園>。
<花園の猟犬> ウェルナー |
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パッチワークマン……あの男の興味は引けるかもな。ダグラス……いや、オレから要請送っておく。
連邦のV.O.Xや帝国の狩猟戦旗。
<神樹の守り人> エスカ |
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V.O.Xは国との関係が濃いめだからなぁ……最近、メンバーも増えたそうだが。
狩猟戦旗は……そうだったな、おそらく<混ぜ>られてる男。
<帝国の棺> ジュダ |
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この件を追えばあの道化師にたどり着くかもしれねえ。そのあたり上手く示峻すりゃ、食指も動くだろうな。
などの連中であれば、あえて表舞台に出てくることはないだろう。
国家ぐるみの大事件にはしたくないのであれば、あとは――
オーケーわかった。候補者をありったけ並べな。ー人でも反応してくれりゃめっけもんだ。
ぜんぶひっくるめて、ベストな采配をしてやるぜ~。
story11 猛者もっさもさ
……さすがにこの時間だと、もう来る人はいませんね。
その判断は不要だ。私たちはただ待っていればいい。
そうですけど。……あの、ピラウ?
なんだ?
今回、私たちはシロー様たちとは別行動するっていう話は……
ほぼFIXだ。
どうして?
編成に口を出す気か?
そういうつもりはありませんけど……
私たちは少し、距離が近すぎる。
『親離れ』が必要なのだと説明されたら、了承するしかないだろう?
親……そうですね、そういう風に言われれば…………ふふ……♪
現金だな…………ん?あれは……?
あのドラゴンは――!?
***
セダンよ!煌々と光の漏れとるあの建物が酒場に決まっとる!
ならばやることはーつ――
――殴り込みじゃあああ!!!
***
な、なにごとっ!?
イツァーク |
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おんどりゃあ!!!イツァーク様のお帰りじゃあ!!!
……おかえり……?
い、イツァーク様!お待ちください!
まずはお戻りの報告を……!
おう?おうおうおうおう!なんじゃ、ゴッツいメンツが揃っとるのう!
音に聞く猛者たちがわんさかとおるわおるわ……!ワクワクしてたまらんのう!
味方か?
そうじゃ!アテル・ラナーの鉄砲玉、フライドエッグのイツァークとはワシのことじゃけえ!
ふらいどえっぐ?
戦場ではー人で敵陣に突っ込み、周囲360度を囲まれ、目玉焼きみたいな状況になるからかのう。がっはっは……!
豪快と言うべきか、アホっぽいと言うべきか……
どっちでも構わんわい!意味はだいたいー緒じゃあ!
ちがうじゃあ!
オズマの兄ぃもアピスもル=グインもここにはおらんようじゃの。
邪魔したの。
<立ち去り際、イツァークは寿司をー貫つまんだ!>
これっ!お行儀が悪いわ!
はんじゃ、ねふぉがしゃべりよったふあ!
お米がフライングするー!
イツァーク様!こちらに!
ご案内いたします!
story12 感情
帰っていたのか。
おう、ル=グイン。ー人で月夜の散歩とはシャレとるのう。
早かったな。今回は。
……言うてくれるな。
少し外してくれるか?
え?……あ、はい。
わかりました。
……なんじゃい、大袈裟な。
…………
オズマの兄ぃは?
ついさっき、発った。
なんじゃ、入れ違いかいな。相変わらずせわしないひとやのう。
ほんで、次の仕事は?
知らせていた通りだ。首謀者はサニオと確定した。
ただ、本拠地が絞れていない。オズマの編成に従い、複数のチームで別々の島に赴いてもらう。
ワシは?
まさか戻れるとは思っていなかったからな。編成には入っていない。
戻るじゃろ、そりゃあ。
こちらとしてもありがたい話だが……
歯切れが悪いのう。ほんじゃったらどこでもええ、ワシを追加メンバーにせんかい。
…………
セレナのいるチームに入れ。
……!!
……セレナっちゅうのは……!
そうだ。あの、セレナだ。
……どうなるかわからんぞ?
そうだな。未来樹もそんな枝葉のことまでは語らない。
だが、忘れるな。あのとき傷を負ったのは、お前だけではない。
言われんでもわかっとるわ。ヨゲンシャサマよ。言われんでもわかっとるわ。ヨゲンシャサマよ。
…………
……すまん。そんなつもりではないんじゃ。じゃが……
ワシは、アホじゃ。頭ではわかっとるつもりでも、体がどう動くかは、ワシにもわからんのじゃ。
構わん。……感情とは、子供だけのも構わん。
今にして、そう思う。
……フン。
長い任務で、体がバッキバキじゃ。出発まで眠らせてもらうぞ。
…………